南アルプス南部縦走 ③【聖岳・赤石岳】

南アルプス

2022.7.23-7.27

歩き人たかちです。

昨日は光岳小屋を出発し、茶臼岳と上河内岳を経て聖平小屋まで。

3日目の今日は、明日の天候悪化により百間洞山の家をキャンセルし、聖岳と赤石岳を越えて荒川小屋まで。昭文社の地図では13時間30分。これぞ南部…というような、激しいアップダウンを繰り返すハードな道のり。

一つの目安として、10時半前後に百間洞山の家に着くよう出発。

 1日目:芝沢ゲートー光岳小屋ー▲光岳
 2日目:光岳小屋ー聖平小屋
★3日目:聖平小屋ー▲聖岳ー▲赤石岳ー荒川小屋
 4日目:荒川小屋ー▲悪沢岳ー千枚小屋
 5日目:千枚小屋ー椹島

     行程
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聖平小屋-小聖岳-▲聖岳-聖兎のコル-兎岳避難小屋-▲兎岳-小兎岳南峰-▲小兎岳-▲中盛丸山-百閒洞下降点-百閒洞山の家-百閒平-赤石岳避難小屋-▲赤石岳-小赤石岳-大聖寺平-荒川小屋

▲コースタイム:13時間30分
▲歩行距離:15.5km
▲累積標高差:上り2109m
       下り1778m

どっしりと聖岳。聖平小屋-聖岳

*聖平小屋-小聖岳-▲聖岳:CT2時間55分*

計画変更により、昨夜なかなか寝付けず。明日は長いから寝なきゃ、と思うと余計に寝られない。

2時に目が覚め、30分二度寝。芝沢ゲートから行程がずっと一緒で、今日は荒川小屋までという男性の方は3時に出発されました。私は3時40分出発。予定より10分オーバー。

聖平小屋にいた大半の人は聖岳のピストンで、縦走組は思っていたよりも少なめ。真っ暗な中、岩混ざりの樹林帯をせっせと登る。

薊畑の分岐に到着。空は夜明けの準備中。

闇テンの多い南部ですが、この薊畑にもまた闇テンあり。易老渡への分岐点なので、おそらくそこから登り、聖平小屋まで下るのは面倒という感じか。小屋まで20分だから意図的かな。

薊畑から先は一旦傾斜が緩やかに。その後、森林限界へ向けて再びぐっと登る。ロープが下がっているところもありました。

風のない樹林帯は暗い時間も暑かったですが、森林限界に出た途端、その熱がすべて吹き飛びました。ちょうど朝日のタイミングらしい。

小聖岳に到着。朝待ちの人が5人ほど。富士山は今日も美しいシルエットで人間を魅了している。

夜明けの空にはレンズ雲。上空の風が強いときや低気圧の接近を知らせてくれる。まさに、低気圧接近中。そして、風も強い。

御来光は聖岳に隠され、小聖岳からは見えませんでした。

淡いピンクのビーナスベルト。これ、好き。

ボス感たっぷりの聖岳。遠くからでも大きな山でしたが、近くにくると迫力満点。ガレ・ザレの急斜面を3013mまで。

この岩山に惹きつけられて、小さな人間たちが取りついていく。

登るごとに傾斜は急に。下りも大変そうだ。

 

振り返る度に、小さな一歩の積み重ねってすごいよなあと。

御来光が終わると、テント場の顔見知りの人たちが下ってきました。

「おお~!担いできましたね~!んー、あと20分ってとこかなー、頑張って!」
「今日は最高の天気ですね!縦走楽しんでください!」
「またどこかの山で会いましょう!」

たくさんのエールをいただきました。すれ違う人たちは何かしら話しかけてくれる。南アルプス、交流が最高に楽しい。

「聖岳の影が綺麗ですよ」と言われ、ふっと横を見る。本当だ…朝の特別な影。

キツくて余裕がなくなってくると、うつむきがち。自分が美しいと思うものを見て、感じるために歩いているのだから、しっかり顔を上げないと。

気持ちをシャキッとさせてもらい、聖岳に登頂◎

朝日に照らされ、消耗した体力をチャージされる気分。山はやはり、朝がいい。

おはよう富士山。

早朝の青が好き。

これから向かう赤石岳。半円を描くように、ぐるりと歩きます。

↓聖岳山頂からの景色をどうぞ↓

百間洞山の家泊まりなら奥聖岳を往復しましたが、今回はパス。往復45分。チングルマのお花畑になっているようです。

THE南アルプス。聖岳-百間洞山の家

*聖岳-聖兎のコル-兎岳避難小屋-兎岳-小兎岳南峰-小兎岳-中盛丸山-百閒洞下降点-百閒洞山の家:CT5時間

ここからジェットコースターのようなアップダウンのはじまり、はじまり。見るからにうねうね。でも、やっと歩くことができた南アルプス南部。そのハードさを噛みしめたい。

まずは、兎岳まで。聖岳から300mちょっと急下降して、200mほど急上昇。

 

ストッパーになるものがほぼない、ズルズル滑る一番苦手なやつ。右方面に行くのですが、ここで滑ったら…と思うとゾッとします。低

姿勢になりながら慎重に。そんな斜面が多すぎて常に集中力が必要。こういうとき、ストックがほしいとチラリと思う。

 

兎岳を下ったあとの、小兎岳から中盛丸山、その後ろにギザギザの大沢岳。大沢岳は巻きます。影になっているところに百間洞山の家があるはず。まだ遠い。

赤色チャート盤岩露出地。

ここを下ると聖兎のコルに到着します。そして、10歩くらいですぐ登り返し。

谷風でクールダウン。暑さにやられ過ぎないうちに、行動食を多めに補給。

ミネウスユキソウ

さて、登ります。

稜線にもなれず、森にもなり切れない中途半端な樹林帯を淡々と登る。

 

この斜面をさらに登る。

急登になり、岩場になり、また森林限界へ。

兎岳避難小屋に到着。コンクリートの人工物がちょこんと頭を出している。あそこまで行く気力はなかったので中は見ていませんが、ちょっと不気味な雰囲気。ロケーションはいいですが、水場もトイレもありません。

兎岳避難小屋の道標があった場所を見下ろす。山頂までもう少し。

7時半頃、兎岳に登頂◎

かわいい名前をしていますが、結構な急登でした。

 

再び100mほどザレ場を下り、先の小兎岳まで登り返します。

こちらから見る兎岳は、丸くて柔らかい印象。登っていると全くそんなことはありませんが。

↓聖岳から兎岳まで↓

一山登ったところは小兎岳南峰で、純粋な小兎岳はその先。

スネ夫くんみたいだねえ。

水場の案内。往復15分。スルー。

小兎岳に到着◎

お次に控えているのは"中盛丸山"。これまたえげつないですね。「丸い」という雰囲気はない。

わざわざ森林限界下まで100mほど下り、150mほど登る。アップダウンがいちいち100mを超えてくる。

↓小兎岳の展望↓

「聖平小屋から百間洞山の家まで10時間もかかっちゃいました…」という方もいて、山小屋が限られているだけに、この山域で無理は禁物だと改めて。

昭文社とYAMAPではコースタイムに大きな差があるところが結構ありますが、どっちがいいとは言えず。結局、"自分はこのくらいの距離と標高差を、どのくらいの速さで登れる"というのを把握しておくのが大事だとつくづく感じました。コースタイムは目安でしかない。

写真を撮ったり、花を見たりしていればその分時間もかかるし、余裕が大事ですね。

下りましょう。

FH2って、何だ?

小聖岳方面。

遠くから見た感じは正面突破で行きそうですが、西側の斜面から攻めます。お

決まりの急登、ばっちこい。

岩場からまた南部お得意のこの感じ。急です。滑り台のように滑っていきそうです。

登ったー◎

本当に、一山一山越えている感覚が半端ない。これが南アルプス南部。これぞ南アルプス南部。

中盛丸山から見えるのは"大沢岳"。これは巻いて、百間洞山の家へ下っていきます。ようやく、ここまできたなー。

下ります。

振り返った中盛丸山。こっちから見ると丸かった。

1kmらしい。

初めは緩やか。

そのうちどんどん下る。飽きるくらい下る。気持ちだけ前へ前へといってしまうので、まだか、まだなのか、1km長い!って、なっていました。

沢。水はここから引いているようで。

沢から10分弱で小屋に到着。10時10分。荒川小屋まで行くのに、11時を一つのリミットとしていました。大丈夫だ。

キャンセルのことを小屋の人に直接話そうと思っていたけど誰もいない。受付には「休憩中です。お待ちください。」と。

一応ベルをリンリン鳴らしてみましたが、誰一人いないようで、大声で呼んでも音沙汰なし。仕方ないのでメモ書きを残しておきました。

トレーの上には400円が乗っていて、先に寄った人がジュースを買ったらしい。私もここで一気飲みしようと思っていたけど、赤石岳避難小屋にしよう。水だけ補給して、少しストレッチをして、10時30分出発。

南部名物。百間洞山の家-赤石岳

*百間洞山の家-百間平-大斜面下コル-赤石岳避難小屋-赤石岳:3時間25分*

まずは"百間平"まで。赤石岳までの第一段階の急登です。

小屋から少し歩くと、沢の少し上からテント場がスタート。

 

さらに岩場を登っていくと上の段のテント場。小屋から少し離れています。

30分も経たないうちに、荒川小屋から来たという方に3人お会いしました。早いけど、聖平小屋までは遠いからここでストップだと。

どこまでですか?と立て続けに聞かれ、荒川小屋までと答えると、「百間平まで結構登るのでお気をつけて」とか、「荒川小屋ですか、まだまだありますね」とちょっと苦笑いだったり。

そう、まだまだある。しかし、歩き出してしまった。

岩場はまだよかった。いつの間にか、お決まりのふくらはぎピーン斜面になり、うぐぅ…という感じ。

景色を見ながら行こうよ。

ビブラムソールの足袋みたいな靴で、忍者のように下っていく人もいました。あのスピードでよく滑らずに…下り方教えてほしい。どうしても恐怖心が勝る。

天気は最高、天気は最高、と呪文のように唱えながら登りきりました。緩やかだあ〜。

天国のようなその場所が"百間平"。最高ですね、ここ。南部にもこんなところが…と、感動してしまいました。

↓危うく昼寝をしそうになった百間平↓

百間平を青空の中歩いて

これを見るために、今日ここまで歩いてきたんだ…となった一コマ。素晴らしい日だこと。

聖岳のときは、遥か遠くに聳えていた赤石岳が目の前に。赤石岳も、なんてどっしりした山なのでしょう。しばし、岩尾根歩きを楽しみます。

聖岳、反対側から見ても体格がいい。

幸せだなあ。ここまでのアップダウンなんて忘れてしまう。

岩尾根の先には、大斜面のトラバースが控え、山頂への最後の急登が待っています。

とりあえずザックを下ろしてグデンと一休み。休み過ぎると気力を失いそうなので10分だけ。残りは赤石岳避難小屋でごっそり休みます。

そして、歩き出す。

足元はザレザレに見えましたが、岩が結構大きくてガレガレ。

今さっき歩いていた場所がどんどん過去になっていく。

ふっと上を見上げたら・・・え?槍?ミニ槍ヶ岳?西鎌尾根のラストに似ている構図。規模は小さいけど。

急坂手前の標柱で女性の方とギア談義。反対側から縦走している方で、スタート時何kgだった?、ザックどこの?テント何kgくらい?などなど。テント場だったら永遠に話せるな~という感じですが、お互いまだ先へ進まなければならないという悲しさ。南アルプス盛り上がるなあ。

急登スタート。

今日はもうこれで最後だ!と喝を入れますが、急登は急登。南部は噂通りハードだな~なんて振り返りながら、ちまちまと。

中盛丸山からの稜線。

荒川小屋まで行く人で赤石岳をよちよち登っているのは私が最後だろうと思っていたら、男性が一人早いスピードで登ってきた。

このときは挨拶だけでしたが、荒川小屋で私を追い越した方だと判明。55~60歳くらいの方でしたが、なんと、聖平小屋を5時30に出発したと。

速すぎる・・・。私の2時間後に出て、颯爽と歩いて、すぐに見えなくなりました。しかも、テント泊が初めてだと。

同じく光岳から縦走していて、この後は塩見岳、北岳へと向かい、白峰三山を縦走して奈良田に下山する計画。テントもダブルウォールだし、そんな大縦走をするような大きさの荷物でもない。南部ってすごい人いすぎやしません?

↓聖岳からの稜線。そして赤石岳へ↓

あそこまで登れば~という地点までようやく登り、小屋までまだあるなーと落ち込む。あとちょっとが長いのよね。

チングルマで現実逃避。かわいいなあ。

そして、着きました~、赤石岳避難小屋。百間洞山の家で飲めなかったC.C.レモンとバッジを購入。

名物管理人である榎田さんとちえこさんもいらっしゃいました。お二人は今季が最後の小屋番。このことを出発の何日か前に知りました。本当は赤石岳避難小屋に泊まりたかったけど満室。せめて、お話だけでもと思い、ここを目指して歩いてきました。

「やっと解放されるよ~」なんて、笑いながらお話されていましたが、気さくで明るくて、とっても素敵なお二人。「最近はスピード違反の若者が多い笑」なんて、言っていました。

記念に撮らせていただきました。

キャンセルがあったか聞くと、一組あったとのこと。飛び込みで泊まってもよかったけど、明日のことを考えてグッと我慢。予報より早く崩れるかもしれないし、安全第一でそのまま荒川小屋まで行くことに。

今季で終了ということで、Tシャツが500円~1,000円くらいの在庫セールとなっていました。仲間の分まで買って担いでいく人も。

「泣きたい時は山に来い!」バージョンがあったら欲しかったなと思い購入しませんでしたが、下山してから調べたらあったみたい…全面はお花の絵柄で、背中にそれがプリントされていたようで。ちゃんと見なかったなあ、残念。

赤石岳避難小屋がゴールになっていましたが、赤石岳にまだ登頂していなかった。30分ほどの楽しいひとときにお礼をして、今日の宿へと向かいます。

赤石岳がちょっぴり寂しくなりそうですね。

赤石岳、登頂◎

赤石岳の三角点は、日本最高所の三角点となっています。記念にタッチ。

長い、長い、縦走路。今日、ここまで来てよかった。あとは、稜線の空中散歩をして、一気に下ってトラバース。全身の力が抜けていくようですが、集中力を切らさずに。

稜線散歩。赤石岳-荒川小屋

*赤石岳-小赤石岳-小赤石の肩-大聖寺平-荒川小屋:2時間10分*

赤石岳から小赤石岳、小赤石の肩までは稜線の空中散歩。曇り気味になっていますが、ガスはなく、展望は良好。

 

小赤石岳。

赤石岳方面。

赤石岳へ歩いていく人も結構いました。赤石岳避難小屋かな、いいな。

稜線にはお花がたくさん。クロユリが咲いていました。

明日の中岳と悪沢岳。荒川小屋も見えました。こちらもまた、かっこいいですね。

小赤石の肩を過ぎると、大聖寺平まで長めの下り。九十九折りのガレ・ザレとなっています。アルプスらしい道ですが、なかなか下に着かない。

大聖寺平に到着。荒川小屋も目と鼻の先。

思ったよりも減っていない行動食を取り出し、ちょっと座ってみました。

南アルプス南部は人が少ない。コロナでもっと少なくなっていると思うけど、元々北アルプスみたいに人が溢れているような山域ではない。

歩いてみると確かにハードだし、悠々自適に歩けるような稜線も少ないし、大展望のテント場とかも特にない。どこから登るにも急登だし、入り込んでからも急坂だらけ。

でも、人と自然の一体感がすごく好きだと感じました。

手つかずの美しい自然が残っていて、どこを歩いていても本当に心が躍る。それは、屋久島を歩いているときと同じような感覚で、この感覚がすごく好き。見通しのいい森は、心に余裕を与える。

そして、最低限の山小屋と、この山域を歩く人たち。人が少なくて山が深いだけに、人が人に興味を示す。みんなで歩いているような不思議な気持ち。人も自然も、すべてが一体となっている。

いつもは、山深くて、誰も歩いていないような道では心細さが伴いますが、ここは、独りでもなんか温かい。山全体にハグされているような、そんな感覚。

物思いに耽る時間も大切ですね。

残りのトラバースを歩き出す。グリーンとグレーの斜面が綺麗だ。

 

森林限界から樹林帯へ。何度行ったり来たりしただろう。

15時30分、荒川小屋に着きました。

荒川小屋は、位置的に他の小屋に比べると利用者の少ない小屋。椹島から赤石岳を周回するにも、1日目の小屋としてはちょっと遠い。

だからこその、静かで素朴な雰囲気とロケーションがとても心地よく、お気に入りとなりました。管理人さんも優しいオーラ全開で、ここの雰囲気にとてもお似合いの方でした。

予定変更してここまで来たことを告げると、快く受け入れてくれました。テント場は今日空いているので、お好きなところにどうぞとのこと。

悪沢岳のグッズが売っています。千枚小屋でバッジの販売はないので、悪沢岳のバッジをゲットするならここで。

売店で牛乳を発見し購入。長期縦走に牛乳大事。千枚小屋にもありました。

テント場。2段になっています。綺麗に整地され、平坦。ここは富士山の展望ですが、雲の中。

荒川小屋のいいところは、水!テント場からすぐで、しかもすっごく冷たくて、最高に美味しい◎3秒も手をつけていられないほど冷たい南アルプスの天然水。静高平とともにおすすめの水場です。縦走中、水が足りていたとしても、ここは立ち寄った方がいい。

百間洞山の家はテント場が小屋からちょっと離れているので、結果的に荒川小屋にしてよかったなと。

先に着いていた、ここまで行程が同じ方と「明日の天気が悪いので、ここまで来ちゃいました~」と談笑に入る。お二人は明日、悪沢岳に寄ったあと塩見岳方面へ向かわれます。

荒川小屋は電波が良好でした(docomo)。17時になりヤマテンを見ると、明日はやはりお昼前後から雨予報。午前中は晴れたり霧だったりと、忙しい天気。明後日は、変わらず雨。

明日歩く予定だった行程の半分近くを今日に回したので、明日のコースタイムは5時間ほど。悪沢岳を越えて、運よく予約変更できた千枚小屋に泊まります。テント泊の予定だったので食料はありますが、夕食が美味しそうだったので、夕食付に。お昼頃には小屋に着くようにして、小屋でまったりしたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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