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4泊5日で百名山4座を巡る。山の深さと花を楽しむ南アルプス南部縦走#4【悪沢岳・千枚岳】

南アルプス

2022.7.23‐7.27

歩き人たかちです。

南アルプス南部縦走4日目。今日の天気が雨予報となったため、昨日は計画変更で赤石岳を越えて荒川小屋まで歩きました。

3日目をロングにしたことにより、今日は千枚小屋までの短めコース。雨が降り出すお昼頃には小屋に着いてしまおうという計画です。ガスが絶え間なく流れ、たまに太陽が顔を出す。しかし、雲の上では朝からゴロゴロ…

忙しい天気ですが、悪沢岳と千枚岳周辺はここまでで一番のお花畑でした。

 1日目:芝沢ゲートー光岳小屋ー▲光岳
 2日目:光岳小屋ー聖平小屋
 3日目:聖平小屋ー▲聖岳ー▲赤石岳ー荒川小屋
★4日目:荒川小屋ー▲悪沢岳ー千枚小屋
 5日目:千枚小屋ー椹島

      行程
ーーーーーー
天気:曇り・霧☁時々晴れ☀→雨☂
気温:朝15℃/山頂10℃
風:南南西1~2m/s

荒川小屋-標柱-中岳-中岳避難小屋-▲悪沢岳-丸山-▲千枚岳-千枚小屋

▲コースタイム5時間30分
▲歩行距離:5.8km
▲累積標高差:上り705m
       下り729m

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お花畑。荒川小屋-悪沢岳

*荒川小屋-標柱-中岳-中岳避難小屋-悪沢岳:CT2時間20分*

4時起床。塩見岳方面へ向かうお二人は、4時半前には出発されました。今日はみんな早め早め。

テントの外は、雲多めのどんより空。今日も富士山は見えません。パラパラと雨が降ってきて、もう!?と思ったらやんで、また降って、またやんで・・・。

5時半出発。はじめは緩やかにトラバース。そして、稜線に上がるため今日もいつもの急登です。

 

荒川小屋がどんどん小さくなっていく。小屋からは見えませんが、赤石岳の山体がすごくかっこいい。

シナノオトギリソウ

タカネグンナイフウロ

トラバースの先にはギザギザと登っていく道が。あの辺りから急登が始まる。

ここから上へ、上へ。

聖岳方面から見る赤石岳は緑が目立ちましたが、荒川三山側から見ると山肌の色合いが素敵。

聖岳を歩いていたときとは、見える景色が違います。歩いてきた嬉しみ。

小さい集まりはかわいい。

ガレ場を登った先には

何やら柵が見える。

この先のお花畑は、鹿から高山植物を守るため、柵で囲われています。

ゲートを開けて中へ。写真でわかりませんが、斜面一面にお花✿

7月初旬〜中旬頃の梅雨時期に最盛期を迎えます。荒川小屋〜悪沢岳〜千枚岳は、お花好きにはたまらない縦走路。

ハクサンイチゲ

ミヤマダイコンソウ

タカネヤハズハハコ。ヤマハハコのピンクバージョンという感じで綺麗な色。

クロユリもありました。

Instagramで教えていただきましたが、クロユリは独特の臭いがするそうです。クロユリの花粉を運ぶ役目はハエが大部分を担っているということで、ハエが好む臭いを考えると…次クロユリを見たときは鼻を近づけてみよう。

ハクサンチドリ

ハクサンフウロ

イワベンケイ

ここまでに見てきた花が凝縮されています。朝露と、時折顔を出す太陽の光によって一段と輝きが増す。南アルプス全体で鹿の被害がない場合、どれほどのお花畑になるのでしょうか。どの山でもそうですが、昔の姿を見てみたい。

 

防鹿柵から出てお花畑エリア終了。急な斜面ですが、お花で癒されました。

悪沢岳のガスが晴れた☀︎

稜線に向かって登り続けます。

山歩きにおいて、ガスは気持ちを一番翻弄されますが、幻想的な光景をつくりだしてくれるのもガス。真っ白でなければいい。

分岐に到着。

テント場が一緒だった、歩くのがめちゃめちゃ早い方が悪沢岳を往復してきたところでした。明日の天気が少し変わり、てんくらでは晴れマークがついているとか。

今日の雨は避けられないから、三伏峠でのテント泊をやめて塩見小屋まで行くとのこと。「テント泊は初めてだから、雨が続くようなら帰る」と話していましたが、体力あるがゆえの計画変更。聖平小屋〜荒川小屋をさらに超えるロングコースだ。

お気をつけて~とお別れして、中岳へ。

青空が出たことにより、山頂が神々しく見える。

荒川中岳、登頂です◎

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今年の雷鳥。中岳ー悪沢岳

*中岳ー中岳避難小屋ー悪沢岳:CT40分*

少し下ると"中岳避難小屋"があります。悪沢岳は再びガスに包まれました。

コンパクトな小屋ですが、ロケーションは抜群。赤石岳避難小屋もですが、避難小屋の方がロケーション最高という南部です。不気味な雰囲気だった兎岳避難小屋も、ロケーションはとてもよかった。

宿泊している人がいたので、中は見ませんでした。

山の看板好きには見逃せない。「トイレ岳 3060m」。

展望が素晴らしいトイレ岳。記念に…入りませんでした。

中岳避難小屋から悪沢岳へ。

夜行バスから一緒だったもう一人の方とお会いしました。長期縦走が好きで慣れているので、予定通り三伏峠でテント泊とのこと。お互いの山旅に「楽しんで!」とお別れ。

たくさんの方とお話して楽しい縦走だったな~と、すでに振り返り始める。海の世界も楽しいけど、"縦走"というのは山旅の特別なもの。

悪沢岳は晴れるのか、晴れないのか。ガスに気持ちを翻弄されながら、岩尾根を歩いていきます。

お花ロード。

タカネナデシコ

ウメバチソウ

マツムシソウ

トリカブト

まだまだ暑いけど、山では8〜9月頃に最盛期を迎える花が咲き始めている。ウメバチソウ、マツムシソウ、トリカブト…

また今年も、気持ちだけどんどん取り残されそう。花を見て、夏山の短さをしみじみ感じる。

悪沢岳へのザレ・ガレロードへ。ここを登り、もう一段階先に悪沢岳の山頂があります。

シコタンソウ。端っこの赤がかわいいお花。過酷な環境ほど、かわいらしい花が咲いています。

手足を使い、岩場を越えていく。

青空再び。晴れてくれるの?

すると、前方でガサガサっと何かが出てきました・・・雷鳥!!

南アルプスで雷鳥を見るのはお初。光岳が生息地の南限といわれています。

オスだったのでチビちゃんはいませんでしたが、今年も雷鳥に会えてほっとしました。下界は悶えるような暑さですが、これからも生き続けてほしいですね。

↓雷鳥を見送る↓

もう少し。ガスが消えていく。

中岳からの稜線が露わに。

赤石岳も晴れた。

展望が回復したところで、悪沢岳に登頂◎

タイミングばっちり。天気が芳しくない中、最後に南アルプスを見せてくれたことに感謝。

悪沢岳の東斜面は大岩がゴロゴロしていて、西斜面とは全く違う様相です。

↓悪沢岳山頂から↓

ここでも「どこから縦走してきたの?」「昨日は最高だったでしょう!」など、会う人会う人に声をかけていただき、南部の楽しさを味わう。

山が大きくて、奥が深くて、今までの縦走とは一味も二味も違うような気がします。南アルプスの知らなかった部分を齧った感じ。北部もいいけど、南部もいいですね。

ガスがまた少し上がってきたところで出発。残すピークは千枚岳。

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白いビランジ。悪沢岳-千枚小屋

*悪沢岳-丸山-千枚岳-千枚小屋:3時間10分*

ヒョイッヒョイッと大岩を下っていく。

スマホとか落としたら終わる隙間もあるので、持ち物には要注意。

 

 

縦走中、一番綺麗だったミネウスユキソウ。見頃は宝石のような花です。

 

ガレ場をどんどん進むと、かわいい丸山が見えました。

しかし、眺めていると、丸山の斜面で何かが動いている…

クマ!?と一瞬立ち止まりましたが、サルでした。しかも、ものすごい数。何十匹というサルが丸山の斜面を歩いたり、走ったり、グデンとしていたり。

しばらく観察していましたが、そのまま歩いていくと、そこまで近づかないうちにサーーーッと走り去っていきました。上高地のサルとは違う。

ゆるーく丸山に到着。何かつまんで食べている仕草をしていましたが、斜面の高山植物でも食べていたのでしょうか。すっかり姿を消してしまいました。

悪沢岳方面。

丸山からは緩やかな下りで気持ちがいい。千枚岳のあとは樹林帯に突入なので、最後の稜線歩きをしかと味わう。

赤石岳をガスが襲う。

ちょっと下っているうちに食われた。こういう光景はガスならでは。

 

イワオウギ

イブキジャコウソウ。西鎌尾根で名前を覚えたお花。

 

ミヤマオダマキ

タカネビランジ。鳳凰三山以来のビランジさん。ちょっと白っぽいですが、千枚岳周辺のものは白っぽく、鳳凰三山周辺はピンクっぽいものが咲くとのこと。南アルプスだけで見られる特別な花。

ちょりんと咲いているものから大きめの株まで、千枚岳に近づくにつれてどんどん増えていきます。

 

花に見惚れて落ちないように歩いていると、前方にハシゴが見えた。

 

ハシゴのすぐ横は急斜面になっています。

光石にも咲いていたミヤマムラサキ。

ピンク系のタカネビランジもちょっといた。

悪沢岳、千枚岳はお花が本当に綺麗です。今日は展望が少ないので、じっくり足元観察。

 

コバノコゴメグサ

チシマギキョウ

そうこうしているうちに、千枚岳に到着。ついに最後のピークまできてしまった。

再びガスが晴れた瞬間、最後に赤石岳を見ようと、ちょっとだけ戻りました。

時間は10時半前。ここから小屋までは1時間もかからないので、時間調整で休憩。早く着いても迷惑だろうか、どうだろうか。

南アルプスにさよならする面持ちで、最後のピークに座り込む。まだ終わっていないけどちょっと寂しい。縦走とか、ロングトレイルとか、最後はいつもこんな。暑い、辛い、美しい…すべて思い出になっている。

そろそろ雨が降りそう。

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樹林帯へ。千枚岳ー千枚小屋

*千枚岳ー千枚小屋:40分*

11時前になり、そろそろ行ってもいいかな〜と下り始める。

地図では40分ですが、少し下ったところにある道標には「千枚小屋まで20分」。結局早く着いてしまうか。

太陽はもう出てこなくなり、完全にガスに包まていました。朝からずっと鳴り続けている雷の音も続く。

ウサギギク。山のひまわりみたいな花。

11時を回ったところで、ポツポツ・・・ついに雨が降ってきました。本降りになる前にとスピードアップ。ちょうど樹林帯に入ったのでレインは着ずにそのまま。

道も歩きやすい。木が傘がわりになる樹林帯。しかし、あれよあれよと強くなる。

濡れた状態で小屋に入るのは申し訳ない。YAMAPを見ると、あと200mくらい。レインジャケットを頭からザックにかけてバサッと被り早足で下る。

しかし、マルバダケブキによるトラップ。この丸くて大きな葉っぱに雨が溜まり、ガサガサ通過するごとにパンツがどんどん濡れていく。山と道のライトパンツは、使い過ぎて撥水力がなくなっている。

 

くっ、あとちょっとなのに・・・!と思っていると、千枚小屋出現。雨に降られたのは10分くらいで、11時半前に到着。一番乗りでした。

2日前にネット予約した千枚小屋。しかし、受付をしたら予約になっていませんでした・・・

テント場は、東海フォレストにキャンセルのメールを送り、それはまだ反映されていないだろうと思っていましたが、ネット予約して完了メールがきている方まで反映されていないとは。昨日は月曜日で、予約センターは営業しているはず。処理が追い付かないのか。

「予約時のメールとかありますか?」といわれ、それを見せて無事通常料金で泊まれました。無予約の場合は1,000円プラスです。山小屋に直接連絡が取れず、大きな組織が予約もキャンセルも管理するというのは、山小屋においてやはり不便ですね。

小屋は2階建て。

指定されたブースで好きな寝床を選びます。置いてあるのは、封筒型のフリース地のシュラフと毛布、枕。シュラフは入るのではなく敷布団代わりに敷き、その上に持参のインナーシーツを乗せて毛布を掛けるというスタイルでみなさん使用していました。

板張りの床には薄い御座が敷いてありますが、シュラフを敷いただけでは硬いので、自分のマットも使用しました。自分のシュラフを使って毛布は使わず。

雨の中、千枚小屋には上下両方向の人たちが続々と集まります。

外からしか上がれない2階の寝床もあり、その一角が更衣室になっていました。「使用中」の置き看板とカーテンがあります。混む前に利用。

売店にもいろいろ。カップラーメンやらパンやら。目に付いたのは枝豆!ビールを買っている人の大半が枝豆も一緒に。これは嬉しいだろうな。

100円のドリンクサービスも。

食堂は夕食の準備が始まる15時半頃(この日は)まで自由に利用可。夕食後は消灯の20時まで使えます。

しばらくすると小雨になり、小屋の周辺を散歩。小屋の案内図には何やら他に建物が描かれていて、気になって行ってみました。

千枚小屋も富士山の展望ですが、やはりダメ。

 

ちょっと登ると「月光荘」と「百枚小屋」という建物が。別館と自炊室のようです。

戻って今度はテント場拝見。トイレ前をそのまま進む。

地図上でも少し離れた場所にありますが、小屋から3分前後歩いた森の中にありました。

 

整地された空間が数箇所、広がっています。

雨の中ここで一人テント泊は寂しいので、小屋に泊まれてよかった。

小屋周辺の斜面は、マルバタケブキがこれでもかというくらい群生。オオサクラソウなども咲くようです。

食堂に戻ってまったりのんびり珈琲を。余り過ぎている行動食を昼食として。

朝からずっと雷の音が聞こえていましたが、今日は光岳方面で雷がすごかったようで。幸いこっちの方にはきませんでしたが、昨日赤石岳を越えておいて本当によかったなと。雨の中、南部の急坂はなかなか怖い。

夕食は17時から。千枚小屋の夕食はハンバーグとシュウマイがメイン。ごはんは少なめに盛られていて、みそ汁とともにおかわり自由です。

食堂はそこまで広くない上に人数制限もあり、1回で15人程度。この日は4回戦でした。千枚小屋のスタッフさんは3人だけのようで、3人で60〜80人を捌くのはなかなか恐ろしい。山小屋バイトを経験すると、その大変さがよくわかりますね。いい経験だったなと思うと同時に、ありがたさが身に沁みる。

山小屋の本棚を見るのが好き。古い雑誌とかあると見たくなります。

明日は椹島まで5時間ほど。テントの撤収もないし、19時半まで雑誌を読み漁っていました。小屋にはツアーの団体や、個人の多めのグループなどで賑わっていて、ソロの人は割と少なめ。

20時の消灯時間になっても、食堂の方ではスタッフさんがまだ片付けをしていました。朝ごはんは4時半スタート。ちゃんと寝られているのだろうか・・・なかなか過酷そうです。

そんな、山小屋BGMを聴きながら夢の中へ。シュラフで寝ていたら暑くて途中で目が覚めました。今時期はテントがちょうどいい。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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