2020.8.5
歩き人たかちです(@takachi_aiina)
剱岳1泊2日のテント泊登山、2日目。今日は、ついに岩の殿堂「剱岳」にアタック!天気も上々で晴天の剱岳に期待大。夜明け前から出発しましたが、まさかのロスも・・・
剱岳「別山尾根」の概要、室堂〜剱沢キャンプ場までの記録、キャンプ場情報は1日目の記録をご覧ください。
\ 1日目の記録はこちら /

剱澤小屋の剱岳案内図
【1日目 / 室堂 → 剱沢キャンプ場 】
室堂 ー 雷鳥沢キャンプ場 ー(直登ルート)ー 剣御前小舎 ー 剱沢キャンプ場
▲ コースタイム:3時間25分
▲ 歩行距離:約5km
▲ 累積標高差:+550m / -450m
【2日目 / 剱岳ピストン → 室堂 】
剱沢キャンプ場 ー 剱澤小屋 ー 剣山荘 ー 一服剱 ー 前剱 ー 平蔵の頭 ー 平蔵のコル ー カニのタテバイ ー ▲ 剱岳 ー カニのヨコバイ ー 平蔵のコル ー 平蔵の頭 ー 前剱 ー 一服剱 ー 剣山荘 ー 剱澤小屋 ー 剱沢キャンプ場 ー 剱御前小舎 ー 室堂新道 ー 雷鳥沢キャンプ場 ー 室堂
▲ コースタイム:8時間35分
▲ 歩行距離:約10km
▲ 累積標高差:+1330m / -1420m
「別山尾根」から剱岳ピストン!
剱沢キャンプ場 ー 前剱
3時出発予定で、2時15分起床。2時なんて胃も働かず、昨日炊いたごはんにみそ汁かけて流し込みました。
月は曇に隠れ、あたりは真っ暗闇。トイレと水場の場所がまったくわからん・・・。ヘッドランプの光も届かず。
剱沢キャンプ場は広いので、トイレと水場から離れたところにテントを張ると迷子になる可能性があります。
適当に歩いたらトイレより上にいたし、水場も通り過ぎてしまい、最終的にホースを辿って到着。5分程度で済ませようと思ったら、15〜20分くらいかかってしまいました。
テントに戻れなくなりそう、と思ってランタンを点けたまま出てきたのは正解だった。
\ テント泊のおともソーラー充電式ランタン /
3時5分出発。剱澤小屋から剱山荘までは、岩のペンキマークに沿って進みます。明るければ問題ないですが、完全に迷った場所がありました。
剱澤小屋から先、短いですが雪渓を横切る場所が1箇所(*雪渓がなければただの岩場)。目印のポールは見つけたものの、そのさらに上にペンキマークがあり、そちらへ進んでしまいました。
本来はポールから雪渓をトラバースします。昨日確認しておけば何の問題もなかったものの、ちょっとしたことが大きなロスタイムに。

下山時の写真。明るければ絶対迷いませんが、ポールよりさらに上の岩場を彷徨っていました。諦めて雪渓の縁に沿って進むも、ペンキマークが見つからないから正規ルートにも戻れず。
後ろから単独の男性が一人来ましたがその方も道を見失っており、「適当」と言って剣山荘に向かってガンガン歩いて行きました。
しかし、登山道から外れた場所はお花畑なので、適当にも歩けない。できるかぎり踏まないように進むと、登山道に合流しました。大分上の方を歩いていたようです。
ようやく剱山荘に到着し、水を補給してヘルメットを装着。ここから先はガレ場と鎖場が始まります。

山が眠りから覚めてゆく
はじめの方の鎖場は、鎖を使わなくても通れる感じでした。1つ目と思った鎖場は「鎖場2」で、「鎖場1」はどこだった?なかった?

「一服剱」を振り返る
到着時はまだ薄暗かったので、通りすぎてからパシャリ。小屋から20〜25分くらいでした。

「前剱」へ向かいます

「一服剱」から緩やかなガレ、ザレの道を進んだあとは「前剱」に向けて一気に登る。下から見上げると前剱は遥か上。なかなかの急斜面です。
落石や浮石に要注意。自分が落とす可能性もあるため、Kさんとは少し距離をとって登ります。


いつの間にか一服剱が遥か下に


朝日が昇りましたが、前剱まで登らないと見えません。雪溪でロスタイムしていなければいい感じだったかも。前剱で朝日を迎える計画で出発する人もいます。

ところどころ鎖場があり、最後の方は大きな岩がゴロゴロ。三点確保でラストスパート。
剱沢キャンプ場が見えます。そして・・・

「前剱」登頂!
ボスはまだまだ先ですが、剱沢キャンプ場なら眺めていた岩山を着実に登っていることが嬉しい。
前剱から「平蔵の頭」や「カニのタテバイ」など、岩場と鎖場の核心部に入っていきます。朝日を浴びながら一休みして、次へのエネルギーを補給。
前剱 ー ▲剱岳

チングルマはもう終わり

前剱を下り、「前剱の門」という鎖場へ。剱岳の鎖はどこもピカピカで綺麗です。


5番目の鎖場。足場はしっかりしていますが、切れ落ちているので踏み外しや転倒に要注意。
前を歩くのは、小学生の女の子とお父さんペア。娘を連れて剱岳、かっこいいなあ。子どもは身体が柔らかく、身軽なので案外スイスイ歩く。大人の方が危なっかしい。



「平蔵の頭」から「平蔵のコル」下る。ここは、登りと下りで鎖が分かれています。鎖を頼りに後ろ向きで。
鎖は100%命を保障するものではないため、鎖に全体重をかけるのは危険。片手は鎖、片手は岩を持ち(掴み)、万が一鎖が切れても滑落を防げるようにするのが理想です。

下っているときは特に何も思いませんが、振り返ると「こんな岩下っていたのか」となりますね。白いウェアを着た、今から下ります、という男性が見えます。

次はいよいよ「カニのタテバイ」。青いウェアを着た先行者が取り付いています。

真下に到着。足場が弱い箇所には鉄杭があります。人が多くて渋滞している場合は詰め過ぎない程度に登りますが、渋滞していない場合はしっかり間隔を空ける。
登っている最中に下を見ると高度感がありますが、岩に集中していたため気にならず。
チビで短足なので、足上げの間隔が高い、と感じました。個人的には、「カニのタテバイ」の方が体力を使い、「カニのヨコバイ」の方がらくでした。


岩陵帯をさらに上へ上へ・・・

一服剱、前剱、平蔵の頭。一つひとつ越えてきた点を繋いで線にしていく。
「岩の殿堂」という名がお似合い。三点確保で一歩、一手と登っていく感じは、目の前の自然と真摯に向き合って、戯れている感覚。岩陵帯は、この感覚が面白くて好きです。

山頂までラストスパート


イワツメクサ

ガラガラ、ゴロゴロ。すでに感無量の絶景を眺めながら一歩一歩進み、前方に山頂の祠が見えて・・・

「剱岳」登頂!
2,999mの剱岳。3,000mに1m足りないところが好きです。
「剱岳」の看板はいろいろ置いてありますが、これらは登山者が持ってきたもので、記念に置いて行ってしまうそうです。
現地ガイドさんが「定期的に処分しているけど、気がつくと増えていて減らない」と仰っていました。処分も大変なはずなので、持ち込んだらお持ち帰りを・・・まあ、使わせていただきましたが。

風もなく、ガスもなく、ベストコンディションの剱岳!計画を立ててから何度目の正直?無理せず待った甲斐がありました。

先行していた親子も至福の時ですね。父と子が黙って同じ方向を見つめている姿が素敵。10歳くらいのこどもは、この圧巻の景色を見て何を感じるのか。
大きくなって山からいったん離れても、間違いなく脳裏に焼きついていて、ふと瞬間にきっと思い出す。自分も将来子どもを産んだら、たくさん見せてあげたいです。
\ 2023年の登頂の方が快晴でした /
北西には馬場島からの「早月尾根」がのびています。左下に赤い屋根の「早月小屋」が見えます。
\「早月尾根」からの登頂記はこちら /
Kさんは12時台室堂発のバスを予約しているため山頂に長居ができず、ここでお別れ。朝のロスタイムが悔やまれる・・・
私はアルペンルートから富山へ戻り、夜行バスで帰るので時間は十分。お互い普段からソロ山行をするため、自由に合流して解散することもしばしば。
穏やかすぎる気候に1時間以上滞在。何時間でも居座れますが、人が増えてきたところで退散。
▲ 剱岳 ー 前剱

晴れやかな気分でふわふわしているので、油断せず、気を引き締めて下山開始。
上からだと見づらいですが、赤いマーキングを頼りに1歩目を下ろします。「この一歩が怖い」と言われますが、身長147cmの自分でもしっかり届きました。両足を置けるくらいのスペースはあるので、整えてから横移動。溝はしっかりあるし、長くはありません。

横移動を終えた地点からの写真
仕事で訪れたとき、ガイドさんに撮っていただいた写真(念のためモザイク)。足をしっかり置けるので、片手を離せるくらいの余裕は一応あります。

ヨコバイのあとは長めの梯子。踏み外すと谷底なので慎重に。個人的には、こちらの方が嫌な感じがしました。


「平蔵のコル」まで、登りと下りでルートが異なります。

「カニのタテバイ」に多くの人が取りついていますね。「ファイトいっぱーつ!」と、仲間の掛け声が響く。

「平蔵谷」の美しさよ。登山者が1人登っていますが、雪渓が少ないので登りにくそう。

「平蔵のコル」から「平蔵の頭」へ。下りルートよりも足をかける場所がたくさん、はっきりとあります。



「前剱の門」の鎖場

名残惜しい。どんどん小さくなっていく剱岳を背に、寂しさと登頂の嬉しさを背負って・・・

「前剱」は、登頂を終えて楽しそうに休憩している人たちの賑やかな声で溢れていました。
前剱 ー 剱沢キャンプ場 - 室堂

「前剱」下山開始。少しガスが流れてきました。剱岳は朝一登頂が一番。

前剱からは「こんなに登った!?」というほど下りました。下りで登った長さを実感するのは、登山あるある。

「前剱」が、ちょこん、とかわいくなった

ラストの「一服剱」へ

一服剱からの前剱は、やはりかっこいい

剣山荘を出発して最初の鎖場


無事「剱山荘」に到着。剱山荘は剱岳に一番近いですが、剱岳の雄姿をどどーん!と眺めるならやはり剱澤小屋。しかし、剣山荘のロケーションも素敵ですね。

剱山荘周辺はお花畑です


帰りはしっかり雪渓を歩きます

剱沢キャンプ場に帰還
デポしたテントは無事でした(盗難多い)。KさんはNEMOのいいテントだったのでかなり心配していましたが、Kさんも無事だったと。
剱岳を眺めながらお昼を食べて、テントを撤収して、室堂へ戻ります。

心地よく剱岳に心を支配されていますが、テント泊装備がずっしりくる。剱岳はガスの中へ。


ミヤマダイコンソウ

トウヤクリンドウ

剱御前小舎から「室堂新道」でゆるゆる下山。直登ルートより緩やかで、お花畑が続きます。
以前は8月下旬だったのでお花は終わっていましたが、今回はチングルマやハクサンイチゲ、イワカガミを中心に綺麗に咲いています。

ハクサンイチゲ

イワカガミ

ハイマツの花

比較的緩やかですが足元はガレ場が多いので、景色とお花に見惚れて石車に乗らないよう注意。

橋まで戻ってきて渡ると、雷鳥が砂浴び?でバタバタしていました。

少し大きくなった3羽の子どもが周りをウロチョロ走り回っていた。
雷鳥沢キャンプ場から雷鳥荘への辛い階段を登りきったときは、またもや汗だくに。雷鳥荘で日帰り入浴をして室堂へ。

タテヤマリンドウ(白ver.)
みくりが池温泉でブルーベリーのソフトクリームを食べながらまったりして、最終便に近いバスで室堂を出発。

いろいろ乗り継いで富山駅に戻ってきました。富山名物の「白えび丼」で締めました。

夜行バスまで、スターバックスで時間を潰す。ロケーションがいいことで有名なスタバですが、真っ暗で何も見えない。
ということで、素晴らしき剱岳のテント泊が終了。狙い続けて、ようやく最高の条件で登頂できました。憧れの的になる理由がよくわかる。次回は別ルートで、また山頂を踏みたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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コメント
今から20年ほど前、私も小学校高学年だった息子を連れて、劔に挑んだことがあります。
一日目は快晴、剱沢小屋までの予定が、元気な息子に対して運動不足で体力低下と重荷の私は、雷鳥沢からの長い九十九折の道に疲れてしまい、剱御前小舎で泊。
翌日は何故か小雨と一面ガスになってしまい、剱沢小屋で小休止の後、剣山荘で待機。朝暗いうちから登った方が下山してきて言うには、岩が濡れていて危険極まりない、スリップして危ない目にあった人もいるので、今日は登らない方が良い、とのこと。我々も仕方なく来た道を戻るハメに。大日岳経由で帰ろうかとも思うも、下調べなしではとこれも断念。地獄谷の景観を楽しんで室堂に戻りました。
たかちさんの写真はため息が出るほど美しく、大気感にあふれ臨場感たっぷりですが、剱御前小舎から剱沢小屋まで、草の滴るような道だったはずが、小広い砂礫道に、また全般に少しずつ緑の後退、浸食を感じます。
小窓を越える裏剱をお考え、実にチャレンジングですね。小窓の王、チンネなどの迫力ある写真を見てみたいものです。
劔は思った以上に脆く危険な山ですね。悪天で断念して返って良かったようです。昔は誰もヘルメットなどかぶりませんでした。中アの宝剣岳も小1の息子を連れてヒョイヒョイ往復したものです。安全意識の変化と各地の山岳の風化浸食の進行を感じます。