水の山、祖母山①【神原コース】

山 歩 き

2021.10.29(金)
天気:晴れ☀
気温:1000m付近8℃/1500m付近6℃
風:北東 2m/s

歩き人たかちです。

豊後竹田で穏やかなひとときを過ごし、祖母山へ。

祖母山は日帰りのできる山ですが、せっかくなので九合目小屋を利用して1泊2日で歩きました。これが大正解で、想像以上に美しかった祖母山をじっくり堪能。紅葉のピークはこれからでしたが、心も身体も頭の中も…細胞から丸洗いされた祖母山の山旅です。

【1日目行程】

祖母山登山口1.4km手前(車道距離)-一合目の滝-祖母山登山口-御社の滝-五合目小屋-国観峠-▲祖母山-九合目避難小屋

▲コースタイム:4時間

【アクセス】

■カモシカ号2便目
豊後竹田駅(9:15)-登山口前(9:35)

*1便目は7:00発。所要時間は前後します。前日15:00までに要予約

*カモシカ号*

カモシカ号・ユネスココース|竹田市バス路線 総合案内
竹田市を走る路線バスの路線図と時刻表を調べることができるサイトです。

1泊2日で急がないので、カモシカ号は2便目の9:15発を予約。昨日スーパーで朝ごはんを買いましたが、ホステルcueの朝ごはんが美味しそうだったのでお願いしました。素泊まり予約でも、チェックイン時に案内してくださいます。

パン屋さんということもあり、オリジナルブレッドのパン食。これがすごく美味しい…。食材は地元の野菜などを使用しており、これも美味しい・・・。そして、自家焙煎珈琲も、もちろん◎

昨日よく見ていませんでしたが、cueでも珈琲豆を購入できます。"nageia coffee"で豆を買いましたが、ここでも購入。手作りクッキーの販売もあり、"カボスクッキー"を祖母山用に。

朝から近所の子連れのお父さんが遊びに来ていたり、本当にほっこりする街。ご夫婦に「いってらっしゃーい!」と元気よく送り出され、竹田の街とお別れ。

途中で振り返るとご主人がまだ見送ってくださっていて、再度大きく手を振って「いってらっしゃーい!!」と。こういうのすごく元気になる。そして、ゲストハウスが大好きな理由のひとつ。きっちりかっちりしたおもてなしよりも、フランクな感じがいい。もてなされながらも、同じ人間の目線でお喋りしてくれる感じ。ご夫婦も旅が大好きだからこその雰囲気で、"一期一会"を思いっきり楽しんでいる感じが伝わってきて、とても心地がいい。

すっきり晴れた秋の空。9時頃駅へ行くとすでにカモシカ号がスタンバイ。近くには昨日テントを干しながら談笑したタクシーのおじちゃんもいました。「あれえ、これから行くんか。昨日の子今頃登ってるんかなあって祖母山の方見てたんよ。天気がいいねえ!」と。ここでも笑顔をいただく。

予約は私一人なので、そのまま出発。さて、祖母山へ。

渓谷美。バス降車-五合目小屋

*登山口1.4mk手前-一合目の滝-御社の滝-五合目小屋:CT 約50分*

カモシカ号で人里を少しずつ離れていく。以前はバスが出ていましたが廃線に。2017年に「祖母傾大崩ユネスコエコパーク」になったことで、直行便のカモシカ号が運行されるようになりました。

以前のバス停「神原」の近くには"民宿清流"という宿があります。グレートトラバースの田中陽希さんが泊まっていた宿で、ごはんがすごく美味しそうだったのでここでの前泊も考えていました。結局今回は利用しませんでしたが、一度泊まってみたいお宿。豊後竹田駅からの送迎、登山口までの送迎もあります。

*たけ旅 民宿清流*

民宿清流
自然・歴史・文化を育む名水名湯田園観光都市 竹田市

神原川沿いに差し掛かると、車内でもひんやりした空気感が伝わってきます。色づいた葉っぱがちらほらと見え始め、とても綺麗でした。

登山口(第一駐車場)1.4km手前でバスを降ります。第二駐車場から山道に入って車道をショートカットできるので、登山口までは1kmくらい。

第二駐車場までは林道。なだらかに登っていきます。

第二駐車場には車が1台だけありました。ここから"一合目の滝"を経由して登山口のある第一駐車場へ。

杉林の中を歩いていくと滝への案内板がありました。

美しい空気。

大きい滝ではないですが、人知れず静かに在るところがすごくいい。どれだけ大きいか、長いかよりも、どれだけ静かで心が落ち着くか。私はこれが好き。那智の滝とか確かにすごかったけど、人もたくさんいて滝に心を寄せ切れていなかった気がします。

しーんとした空間に流れ落ちる水の音。目の前に座ってただそれを聴くというこの時間が至福。

祖母山、すごーくいいのでは?と思いつつ登山口へ。

第一駐車場にはトイレがあります。こちらの駐車場には車が5台。いずれにせよ、今日の神原コースは静かそうです。

祖母山には"入山者手動カウンター"が設置され、各登山口で入山者数をカウントしています。月ごとの入山者数を見ると、1年の中ではやはり10月が一番多いみたい。カチッとカウントして出発。

山頂までは4.2km。"下山しなくていい"という心の余裕があるのはいい。

はじめは杉林の中を。そのうち広葉樹林の森となりました。

滝で感じた「祖母山、すごーくいいのでは?」という気持ちは、奥へと入るほど大きくなっていきました。歩けば歩くほど森は瑞々しく、美しい。道も緩やかで歩きやすい。

紅葉のピーク時はすごく美しいと思います。

心をときめかせながら歩いていると"御社の滝"の看板。

苔むした岩の先に滝が見えます。もののけ姫を彷彿させる雰囲気で、もう言葉がでません。(もののけ姫大好き)

祖母山にはカモシカが生息しています。2日間探しながら歩きましたが、残念ながら出会えず。探しているときは大抵会えませんが、ここでカモシカに会いたっかったなあ。カモシカにぴったりの森。

近くまで。水の流れで岩肌が削られたのでしょう。同じ岩だけど、水の流れている部分と流れていない部分で全然違います。美しい。

もののけ姫のBGMを流しちゃったりして。身体中に滝と森を取り込む。細胞が喜んでいる。

*苔の森 御社の滝*

先程の滝の上にもさらに続いていました。もう、本当に素敵。水の色よ…

祖母山がこんなに美しい山だとは。正直、名前だけだど少し地味なのかな?と思っていました。下山を黒金尾根と宮原コースどちらにしようというのを少し調べたくらいで、神原コースの情報はあまり入れていませんでした。しかし、その神原コースがとてつもなくよい。

いつもだけど、歩が進まない。日帰りにしていたら日没を過ぎていたかもしれない。

そのまま森の一部になったように歩き、"五合目小屋"に到着。

利用している人はどれくらいいるのかな?トイレもあります。外に水道がありますが飲用不可。浄水器があれば先程の川で汲めるし、泊まるにしても不自由なさそう。

10年前の2011年、クマと思われる動物を見た人がいるとのことで、熊注意の案内。九州の熊は絶滅したといわれていますが、実際どうなのでしょう。黒いカモシカという可能性が高い気もします。

少しだけ中を。

小屋脇には"トレッキングコース"の道案内。五合目小屋は神原渓谷を楽しむトレッキングコースの折り返し地点となっています。ここまでだけでも十分満足のトレッキングだと思います。神原渓谷、特に"御社の滝"は本当におすすめです◎

五合目小屋から山頂までは3km程。ここから急登がはじまります。

急登でも美しい。五合目小屋-山頂

*五合目小屋-国観峠-祖母山:CT 2時間50分*

はじめは階段。傾斜が少しずつ増していきます。

美しい森は続く。

看板や道標はところどころありますが、この先に直進してしまいそうな道があるので、赤テープを見失わないように。

気持ちよく直進したくなりますが、赤テープは右の斜面の枝にあり、尾根を登っていきます。

直進方向には"こっちじゃないよ!"とばかりに木の棒が置かれていました。間違えやすいポイントはここくらいで、あとは明瞭。

尾根道の本格的な急登になりますが、森が楽しませてくれるのでそれほど苦ではない。10℃くらいの気温がちょうどよく、秋の急登はむしろ清々しくて気持ちが良い。

標高が上がるほど紅葉具合も進む。

↓神原コースの森↓

ロープ箇所も出てきます。

そろそろ日帰りの方とすれ違う頃かな~と歩いていますが、まだ誰にも会っていません。平日とはいえ日本百名山。金曜日ですが、とても静かです。熊の心配もないので、誰もいなくても怖さもない。これが九州の山。

真っ赤なもみじは必須。

葉っぱの色もいいですが、幹の模様も魅力的。

半分以上歩いてようやく下山者に会いました。ロープ箇所や狭い道を通りながら上へ上へ。

森はどんどん色彩豊かで明るくなります。気温はさらに下がり8℃くらい。急登でも汗をかかずに登れる秋、最高の季節。

絶壁になっているという箇所は足元ゴロゴロだったり、木の根が出ていたり。斜面は垂直に近い場所もあるので注意。

国観峠ももうすぐか。

ちょっと広いスペースがありました。少し長めの休憩によさそう。

粘土質の滑りやすい道を歩いていきます。

下界が見えたところで一気に緩やかになりました。

いきなり、ぱあーっと広い広場のような空間に出ました。国観峠に到着です。

何これテント張りたい。レジャーシート敷いて昼寝ピクニックもいい。山頂をしっかり捉えました。

国観峠から山頂までの間、下山者に何人かお会いしました。「北谷登山口が通れるようになってよかったねえ〜。」と地元の男性。神原から来たと話すと「あ~そうか~。」と。

北谷登山口は祖母山までの最短ルートですが、道路改良工事により閉鎖されていました。それが最近解除されたようです。しかし、工事は続いているため、これからも解除、歩行通行可、前面通行止を繰り返すようで。利用する場合は情報を要チェック。

*祖母・傾・大崩ユネスコエコパークHP*

祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク
祖母・傾・大崩ユネスコエコパークは地域と自然を活かす活動をしています。

北谷登山口方面は"九州自然歩道"にもなっています。登山口からバス停までは2時間かかりますが、高千穂方面に行けるので、高千穂に行くならこっちと考えていました。結局高千穂はやめたので利用しませんでしたが、地元の方は北谷登山口が利用できるようになって喜んでおられるようで。

8合目。山頂まで1km。

ラストスパートで登る登る登る。

粘土質の斜面には落ち葉が張り付き、むしろストッパーになっているところも。落ち葉がなかったら結構滑りそう。

しばらく登ると九合目小屋との分岐。看板かわいい。「九合目」が「Q合目」になってるし、小屋の「屋」もオリジナル文字。こういうの好き。

ここまでくればあと10~15分程。登っていると20人くらいのツアーの団体さんが下ってきました。おそらく北谷登山口でしょう。いいタイミングで登頂できそう。

山頂手前にも九合目小屋への道がありました。

最後にガレ場を登れば…

祖母山に到着◎

山頂には男性が2人だけ。ちょうど静かになったタイミング。

祖母山山頂からは360℃ぐるりの展望。

下山の方に「雲海になっていて九重も頭をちょこっと出しているくらいだった」と言われましたが、登頂したときには雲海はほとんど消えていて、むしろどんどん好展望に。

昨日までいた九重。

これから向かう阿蘇。

悩んだけど今回は歩かない黒金尾根方面。

歩き始めから魅了され続けた祖母山はあっという間でした。水と森を感じながら4時間かけて登ってきましたが、気持ち的には2時間くらい。まだ13時半なので、思う存分山頂に滞在します。

ホステルcueとnageia coffeeで買ったお豆たち。cueで買ったカボスサブレがあるのでcueのお豆をミルでガリガリ。カボスサブレの写真を撮り忘れましたが、カボスのさっぱりした甘みがよく合う。これが本当に、めちゃくちゃ美味しかったのでおすすめです◎

3個入にしましたが、6個入にすれば良かったと山頂で食べながら後悔。また食べたいなあ…cueのオンラインショップで、珈琲豆とおやつセットという形で購入することもできます。

男性が一人下っていき、山頂には自分を含め2人。もう登ってくる人もいないのかなと思ったら、14時頃、欧米系の在日女性が一人登頂。泊まりかな?と思いましたが日帰り。

すっきりしていく景色の中でまだまだ日向ぼっこ。風がほとんどなく、上着を羽織らなくても寒くないほど温かい。樹林帯の方がひんやりしていました。

男性が下っていき、15時前に女性もさよなら。山頂に一人ぽつん。

↓祖母山の展望↓

山に泊まるのは優雅なことだと改めて実感。日帰りだったら滝や森を存分に感じられなかっただろうし、山頂で2時間の日向ぼっこも無理だった。あえての1泊2日、素晴らしい。

15時半になり、さすがに行くかと腰を上げます。さて、今日は小屋に人はいるのだろうか・・・?

みんなの九合目小屋

*祖母山-九合目小屋:CT 15分*

山頂手前にあった小屋への道で下ります。夕方の空気が気持ちがいい。

看板はやっぱりかわいい。

15時半まで山頂にいて、夕日を見にまた登らないだろうな…という気持ちが濃厚になりつつある中、小屋に着きました。

これが噂の。

小屋の中から物音が。扉を開けると65歳前後くらいの男性が一人いらっしゃいました。挨拶をすると「上がりな、上がりな」という感じで。

地元の方で、"祖母傾山系全山縦走"をするために昨日「ほにゃらら(聞き取れなかった)」を出発して「ほにゃらら(聞き取れなかった)」に泊まっていたとのこと。ここまで歩いたけど思うように動けず、明日下山することにしたと。「もう歳だからなあ、だめだった。」と。

長年登山をされているようですが、自分の身体にしっかり耳を傾けながら山と向き合っていて尊敬します。どうしても「まだ登れるんじゃないか、登れるはず」という思考が働きがちですが、身体はやっぱり正直なわけで。50mならまだ早く走れるんじゃないかとかたまに思いますが、そんな思考と同じ。

いろいろお話しましたが、方言の訛りが強くて半分くらい聞き取れず。途中から聞き返すのを諦めて相槌を打ちながらニコニコしていました。それでも会話が成立するのは平和な証。

16時を回った頃、夕日を見に行くと男性は山頂へ。

玄関入ったことろには暖炉。水道がありますが水は出ません。

土間から続く階段があり、そこも寝床となっています。「出発が早い方向けの部屋」との貼り紙。

九合目小屋は現在避難小屋となっていますが、以前は有人小屋でした。2018年4月から避難小屋となり無人に。営業小屋であったときの趣があり、太陽光発電があるため電気がつきます。小屋内のコンセントは使えませんでした。

1階には談笑スペース。本もいっぱいあります。山と溪谷の最新号が袋に入ったままテーブルに置いてありました。宛名の方は小屋を管理している代表者なのか、管理をするときに持って来ているのかな。

1階には寝室が一部屋あり、男性はここで。

2階も寝床で、毛布がカーテンのように下がっていました。

窓のところにはテーブルもあり、ここで火器も使用できます。

トイレは女性優先の便座が一つと男性用の小便器が一つ。トイレットペーパーはありました。

水場は小屋から少し(8m)下ったところ。

ここの水場は"涸れることはない"と聞きましたが、いつもよりだいぶ細いとのこと。男性も「雨少なかったかなあ・・・」と。涸れていなくてよかった。

そのまま飲めるかは不明なので浄水器を使用しました。16時半頃、テント泊をするという男性が一人来ましたが、この方も「一応浄水器使いました。」とのこと。鹿が多いし、浄水した方が無難。地図によっては"要煮沸"となっているようです。

テント場は宮原へ向かうルートの途中にありました。次の日通りましたが、小屋から少しだけ離れた場所。テント泊の男性の方は「テント場どこですかねえ、まあ誰も来ないし小屋の前で張ります。」と。水場も近いし。

山頂にまた行かないだろうなあ・・・と思っていましたが、小屋でぬくぬく状態となってしまいやっぱり行かず。

しかし、そういうときは大抵これ。

あー、ほら、やっぱり行けばよかった・・・と後悔しながら2階の窓から眺めていました。雲が真っ赤に染まった今日。とんだ芸術作品だったと思います。だから迷わず行くべきなんだよなあ・・・

九重を見つめながら冷たい空気で深呼吸。

ごはんを食べて、白湯をつくって、おやすみ。坊ガツルに比べてなんと温かいことか。小屋だし。

天気のいい金曜日なので、もう少し泊まる人がいると思いましたが、やはり基本は日帰りなのでしょう。でも、山頂で2時間もまったりしたのは久しぶりで、心も身体も頭の中も、すべて丸洗いされた気分。時間を気にせず山を歩けるのは幸せです。

明日は宮原コースから尾平へと下山します。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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