2023.9.23-9.28
1日目:尾白川渓谷駐車場-七丈小屋
★2日目:七丈小屋-甲斐駒ヶ岳-藪沢小屋
3日目:藪沢小屋-仙丈ヶ岳-両俣小屋
4日目:両俣小屋-熊ノ平小屋
5日目:熊ノ平小屋-塩見岳-三伏峠小屋
6日目:三伏峠小屋-鳥倉登山口-バス停「大河原」
歩き人たかちです。
縦走2日目。昨日は、尾白川渓谷駐車場より黒戸尾根に入りました。南アルプスの美しくて幻想的な森を吸収しつつ、噂のハシゴを登って登って七丈小屋に到着。心配していたテント場はガラガラでした。
今日は、黒戸尾根の核心部をよじ登り甲斐駒ヶ岳に登頂。仙水峠経由で北沢峠に下山し、仙丈ヶ岳への道中にある"藪沢小屋"に一泊。ネットの無料情報から藪沢小屋まで進みましたが、結果的には有料。長衛小屋でテント泊をすれば良かったなあ・・・と。
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天気:曇り時々晴れ→霧
気温:18〜20℃
七丈小屋-八合目御来迎場-▲ 甲斐駒ヶ岳-摩利支天-駒津峰-仙水峠-仙水小屋-長衛小屋-北沢峠-1合目-2合目-3合目-4合目-5合目-藪沢小屋
▲ コースタイム:7時間40分
▲ 歩行距離:13.1km
▲ 累積標高差:+1202m
-1063m
甲斐駒ヶ岳コース概要
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甲斐駒ヶ岳-駒津峰
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北沢峠からの道は、甲斐駒ヶ岳を前に"直登コース"と"摩利支天側の砂礫コース"に分かれます。直登コースは短いけど巨岩をよじ登るような道で、昭文社の登山地図は破線コースになっています(YAMAPも)。滑落多発箇所あり、迷いポイントありのコースです。初めて登ったとき直登コースからの登頂を試みましたが、巨岩すぎてどんどん「これ行けるの?」となり戻りました。
砂礫コースは白くて眩しい斜面。滑りやすい砂地を歩きます。直登コースとの合流地点手前から樹林帯になり岩場の道に。駒津峰までは登り返しで、鎖の箇所も。この区間が地味にキツい。
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駒津峰-仙水峠-北沢峠
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駒津峰から展望のいいガレ場を下ると徐々に樹林帯になり、北沢峠まで岩場の下りが続きます。北沢峠から傾斜は一気に緩くなり、ガレの山を通過して気持ちのいい樹林帯へ。仙水小屋から沢沿いを歩き、最後は舗装された林道で長衛小屋。バリエーション豊かな道で、個人的にはこちらが好き。双児山経由のコースはハイマツ帯から樹林帯に入ると、北沢峠までずっと樹林帯です。
黒戸の剣[ 七丈小屋-甲斐駒ヶ岳 ]
七丈小屋-八合目御来迎場-甲斐駒ヶ岳:CT2時間30分
七丈小屋のテント場で、18時過ぎから20時頃までずーっと電話をしている在日?の方がいて寝られず。何語なのかもわからず、一人ずーっと喋ってる・・・20時過ぎにトイレに行ったらしく、ようやく静まり返ったところでスッと夢の中へ。川とか雨とか風とか、自然音なら心地よいBGMになりますが、ラジオとか話し声はやはり気になりますね。
4時に起きるもなんだか眠くて二度寝。再び目が覚めたときは5:20・・・寝過ぎた。朝の気温は5℃で結露が冷たい。テントの撤収で秋を感じ、小屋を往復して6:20出発。テントの人も小屋の人も、ほとんど出発したあとでした。
昨日の続きの黒戸尾根。七丈小屋からしばらく、ストックが邪魔にならない程度の登りが続きます。
振り返ると、八ヶ岳の主峰が雲の上の孤島に。
雲海が晴れていくのを見ながら「大日大聖・・・(読めない)」と書かれた石碑のあるところに到着。地図には特に何も書かれていませんが、いい休憩スペース。
鳳凰三山方面。オベリスクがツーンとしていてかわいい。
石碑から先、岩場は激しくなり鎖に頼って登るようなところも。このあたりはもうストックは邪魔になります。とりあえず、やっぱり一歩が大きい黒戸尾根。
短い足を上げながら、すでに下山してくる人たちとすれ違いながら、少しずつよじ登る。テント泊装備のザックが邪魔だなあと思う岩場も。
薄曇りから徐々に青空が広がり、朝のひんやり感が消えていく。穏やかな気候だとまだまだ暑い。"八合目御来迎場"に到着です。
烏帽子岩に刺さる二本剣。黒戸尾根の噂の剣。いつ、誰が奉納したかはわからないとのこと。山岳信仰がたくさんある日本の山。その歴史を知るのは面白いけど、謎が多いのもまた面白い。
鳳凰三山の奥にはうっすら富士山。今日のこの淡い色の空がなんだかすごくいいな・・・
甲斐駒ヶ岳らしい色の砂礫地帯になり、黒戸尾根もラストスパート。
黒戸尾根は七丈小屋で一泊することで、その長さが緩和されます。早月尾根は一気に登ったことで距離に意識がいきましたが、早月小屋で一泊すれば同じような感じなのか。
距離、標高差ともに黒戸尾根の方が上ですが、傾斜は早月尾根の方がキツい印象。黒戸尾根は緩急がありクールダウンしやすいですが、早月尾根は登り一辺倒。使用しているザックが違うので印象が少し変わるかもしれませんが、個人的には早月尾根の方がキツかったです。北アルプス三大急登と日本三大急登を一通り歩いてみましたが、黒戸尾根と早月尾根は2トップだと思います。
昨日は晴れ予報でしたが、結局晴れなかったようで。今日は素晴らしい秋晴れ。
山頂手前の"駒ヶ岳神社本社"。日本の山には神社あり。登る前に挨拶をして、登ったときに挨拶をして、下山してお礼をする。ご利益を享受したいわけではなく、自然と敬意をはらう感じがなんだか心地よい。大きな神社があってパワースポットみたいになっているところはわちゃわちゃしているけど、岩陰に隠れてポツンとしているのはいい。
ご無沙汰の甲斐駒ヶ岳◎
北沢峠へ行こうとすると甲府からバスにながーく乗りますが、黒戸尾根はアクセスが良くていいですね。森が綺麗で修験道感じる黒戸尾根、とても楽しめました。
すっかり青空になり八ヶ岳が美しい。登頂する人たちの第一声がほとんど「うわあ、八ヶ岳が綺麗だあ〜」でしたが、本当に今日は八ヶ岳の展望日和り。向こうからも甲斐駒ヶ岳がいい感じに見えていることでしょう。
南アルプスの女王"仙丈ヶ岳"。イメージでは甲斐駒ヶ岳の方が高そうですが、あちらは3000m超。たおやかでどっしり構えた姿。緑のドレスを召した南アルプスらしい女王様。仙丈ヶ岳から続く仙塩尾根が楽しみでならない。
次は甲斐駒ヶ岳から鳳凰三山に向けて縦走したい。富士山を正面に歩くのも良さそうですね。
甲斐駒ヶ岳日和り
びしょびしょのテントを端に広げて乾かしつつ、山頂でゆっくり1時間以上。風もなくて暖かく、最高の山日和。日曜日ということもあり、大人気の甲斐駒ヶ岳。大人も子どももにっこにこ。
砂礫とガレ[ 甲斐駒ヶ岳-北沢峠 ]
甲斐駒ヶ岳-摩利支天-駒津峰-仙水峠-仙水小屋-長衛小屋-北沢峠:CT3時間5分
眩しすぎるくらいの白い砂礫地を下る。晴天の日にサングラスなしでここを歩くのは結構キツイです。そして、結構滑りやすい。前回、摩利支天の分岐からこの斜面をひぃひぃ言いながら登っていました。あの日も暑かった。
今回は摩利支天に寄ってみようと思っていましたが、甲斐駒ヶ岳に満足して結局今回も行かず。摩利支天は、摩利支天を眺めているのがいい気がする。という言い訳。
摩利支天の分岐を過ぎ、砂礫地をトラバース気味に下ると徐々に樹林帯へ。"駒津峰"に向けての登り返しがはじまります。これが地味にキツい。直登コースでも砂礫方面のコースでもこれは避けられません。
直登コースとの分岐
山頂で乾いたウェアは再び汗でやられていく。
直登コースはこの斜面を登っていきます。道がどこにあるかよくわかりませんが、以前は途中から「どこいくんだ?この岩登れる?」などとなり、引き返しました。GPSがあれば多少はマシなのかな?破線ルートになっているので、いずれにせよ要注意。
登りの人も多く、鎖場は譲り合いながら。最後に岩尾根を歩いて"駒津峰"に到着。甲斐駒ヶ岳で満足してしまったせいか、駒津峰までが長く感じました。
白と緑のコントラストがかっこいい甲斐駒ヶ岳
前回は仙水峠から登り、双児山の方へ下山。コースタイム的には双児山経由の方が少し早いですが、双児山への登り返しが面倒なのと、沢沿いの樹林帯がすごく綺麗だった記憶があるため仙水峠経由で。
以前、双児山からの樹林帯で友人に大便の波が。単調な樹林帯をまだかまだかとひたすら下りましたが、最終的にまじでやばいと言って一人トレランで下っていきました。その強烈な思い出により双児山経由の道は割と覚えています。
それに比べて、登った仙水峠経由の道はあまり覚えていない。樹林帯で初めてギンリョウソウを見て、なんかガレ場だったことだけ。
途中からハイマツ帯に入り、そのうち樹林帯へ。樹林帯全然覚えていませんでしたが、割と岩と根っこの道でした。
駒津峰周辺の低い樹林帯は暑かったですが本格的な樹林帯に入るとひんやり涼しく、ちょっと前まで「あちー!」と言っていたことが嘘のよう。歩きやすい季節になったものだ。
淡々と下って"仙水峠"に到着。ここから傾斜が一気に緩やかになります。
ぼんやりした記憶のガレ場は想像以上にガレの山で、八ヶ岳の賽の河原みたい。
しばらくガレ場を歩き樹林帯。歩きやすく、とても美しい。
"仙水小屋"。宿泊者と幕営者以外は中に入れません。
冷たくてうまーい水がジャバジャバ出ているので、ここで細胞を生き返らせる。最高にうまい南アルプスの天然水◎
2019年の台風やその後の大雨の影響で記憶とは異なる風景になっていました。ギンリョウソウを見た美しい森の道はどこへ?という感じ。山に再び登れるようになっても、記憶の風景がなくなるのは悲しい。整備の方々には感謝ですが、今後そんな山が増えるのかな〜としんみり林道を歩く。
以前はこまめに写真を撮っていなかったので、どんな風景だったのかもどかしく思うこともたまに。何気ない登山道を撮るのも、そんな意味で大事だなと。
山は逃げない?いや、逃げる。
災害大国日本。温暖化や地震、異常気象などでマイナーな山、マイナーな道ほど閉ざされていく。そうなる前に、ひとつでも多くの山、一本でも多くの道を歩いておきたい。味気ない砂利道を歩きながら、改めて"山は逃げる・道は逃げる"ことを感じました。
"長衛小屋"に到着。ここにも冷たい水が待っています。長衛小屋で販売されている甲斐駒ヶ岳のバッジはかっこいいので、個人的におすすめ。
長衛小屋のテント場は日曜日の今日も賑わっていました。12:30、今ここでテントを張って、暖かい日差しのもとでのんびり過ごすのもありだなあ・・・
でも、明日の両俣小屋でのんびりしたいし、チャーハン食べたい。今回は両俣小屋に早着するため先へ進みます。
5〜10分、林道を歩くと北沢峠。バス待ち多め。とりあえず"こもれび山荘"で一息。
こもれび山荘で食べたチョコブラウニーがすごーく美味しくて、それを楽しみにしていましたが・・・ありませんでした。今はもうつくってないのかな?また食べたいとずっと思っていたので残念・・・
長衛小屋
シャワーを浴びることができます
こもれび山荘
食事が美味しいと評判の山小屋です
仙丈の無人小屋[ 北沢峠-藪沢小屋 ]
北沢峠-1合目-2合目-3合目-4合目-5合目-藪沢小屋:CT2時間30分
こもれび山荘の軽食に惹かれつつ、チョコブラウニーがないなら〜と行動食で済ませる。下山者とすれ違いながら再び登っていきます。
仙丈ヶ岳はすごく登りやすかった記憶ですが、最初の方はとても歩きやすい。特に急な箇所もなく、美しい森をゆったり歩く。
2合目を過ぎると徐々に傾斜が増し、足元も岩が多くなり3合目に突入していく。北沢峠から馬の背ヒュッテまではコースタイム3時間なので、お昼頃到着するバスに乗り登っている人もいました。
テント泊装備ということもあり、下山者に「どこに泊まるんですか?」としばしば聞かれました。「縦走なんですけど、今日は藪沢小屋に・・・」というと「あの小屋やってるんですね!?」と驚く人も。
雰囲気的に閉業している小屋、廃屋みたいに思っている人もいるようですが無理もない。近くに素敵な馬の背ヒュッテがあればそう感じるだろうな…人気がなくて静かな藪沢小屋の雰囲気が好きな人もいると思いますが、一人では泊まりたくないと思う人もいるような小屋です。
このあたりまでくると、もはや全然覚えていない。こんな岩の道だったか。
午後から登っているものの、樹林帯は涼しい。真夏だと14時くらいが一番暑く感じますが、今時期は11〜12時くらいがピーク?14時になると夕方の空気になり、そんなところでも季節の移ろいを感じます。
斜面を登り切って平坦になると5合目"大滝ノ頭"に到着。ここで小仙丈ヶ岳方面と馬の背ヒュッテ方面に分かれます。日帰りなら小仙丈ヶ岳から馬の背ヒュッテへ時計回りで登る人が多い印象。
北沢峠から全体的に電波は入りませんでしたが、ここは微妙に入りました(docomo1本)。この先、少し開けたところではまた微妙に入りましたが、樹林帯は基本的に圏外。とりあえず天気予報だけチェックして、馬の背ヒュッテ方面へ。
トラバースでサクサクサックリ歩く
水が流れる場所を2回通ったあと、藪沢小屋の水場。浄水して利用しました。小屋から少し下った場所にある藪沢は、上に馬の背ヒュッテがあるため汲む場合は浄水必須。馬の背ヒュッテで汲めるのでわざわざ藪沢で汲まなくてもいいと思いますが。
水場から1分くらいで"藪沢小屋"に到着。
夏のシーズン中は管理人在中ですが、期間外は無人。おそらく泊まる人が非常に少ないため情報もあまりなかったのですが、宿泊料金が「-」となっていたり、無料と記載があったり。無料で開放されているなら翌日楽にするために利用しようと思いましたが・・・
素泊まり¥4,000だった!
到着したときは誰もおらず。しかし、20分ほど経ったとき小屋番さん登場・・・あれ?期間外では(シーズンは7月〜8月らしい)?そして、素泊まり¥4,000(寝具付き¥5,000)とのこと・・・まじ?完全にミスった。ほぼ避難小屋みたいな感じで¥4,000は高くないか?両俣小屋素泊まり¥3,900なのに。
¥4,000と知っていたら長衛小屋でテント泊したのになあ。あるいは、馬の背ヒュッテでリッチに夕食付で泊まりたかった。悔しさいっぱいでしたが、入ってしまったものは仕方がない。ちなみに、寝床の柱に「無人期間はこちらへ」という記載と料金箱がありました。
寝床は2段になっており、少しでも明るい2段目に。寝具なしでの宿泊でしたが「特別に寝具使っていいよ」と。
はじめて富士山に登ったとき全身ダニにやられ、皇海山の庚申山荘で布団を使ったという知人も全身ダニにやられ・・・無人小屋の布団は特に使わないようにしていますが、マットレスだけお借りして寝袋で寝ました。しかし、この小屋が結構寒くて結局毛布も借りました。
藪沢小屋のトイレは携帯トイレ専用で、宿泊者は小屋で貰えます。通過の場合は¥200だったかな?トイレ内にゴミ箱があり、回収してくれます。
無人だと思っていたのでモンベルの携帯トイレを持参しましたが、モンベルの袋は椅子全体に袋の口をかけることができず(3分の2くらい)。荷物を減らそうと思いましたが、2回目以降は小屋のものを使わせていただきました。袋が大きく、吸収パッドが付属しているタイプだったので使いやすいかったです。
小屋番さんは男性と女性の2人でしたが(普段は1人?女性は久々に来たと仰っていました)、2人とも18時には就寝して小屋の中は超静か・・・少しでも小屋代を節約したければ藪沢小屋という選択肢もありなのかなと思いますが、個人的には馬の背ヒュッテがいいと思います。藪沢小屋から10〜15分くらいなので(テントあるなら長衛小屋がよい)。
南アルプス市芦安山岳館
ネット上には「無料」や「宿泊料金なし」という情報も多くありますが、通年で「寝具なし¥4,000/寝具あり¥5,000」。管理人在中は7月中旬〜8月下旬となっていますが、期間外も不定期で来られるようです。
両俣小屋のテント場で超ぐだぐだしてやる!という気持ちを胸に自分も就寝。ということで、明日はいよいよ待ちに待った"仙塩尾根"です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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