2023.9.23-9.28
1日目:尾白川渓谷駐車場-七丈小屋
2日目:七丈小屋-甲斐駒ヶ岳-藪沢小屋
3日目:藪沢小屋-仙丈ヶ岳-両俣小屋
4日目:両俣小屋-熊ノ平小屋
★5日目:熊ノ平小屋-塩見岳-三伏峠小屋
★6日目:三伏峠小屋-鳥倉登山口-バス停「大河原」
歩き人たかちです。
縦走5日目。昨日は両俣小屋から仙塩尾根に戻り、三峰岳を越えて塩見岳を正面に眺めながら熊ノ平小屋へ。三峰岳から方角を変えてはじまる仙塩尾根の第二章に突入しました。
今日は、いよいよ最終目標山である"塩見岳"へ。しかし、前線の影響を受けた天気はコロッと変わり霧と雨予報で風強め。そんな天気の中、渋くてかっこいい日本百名山99座目を目指して前進。最終日6日目の三伏峠小屋からの下山も一緒に記します。
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天気:霧 時々 雨 ☔︎
気温:8〜9℃
風:西北西12〜13m/s
熊ノ平小屋-安倍荒倉岳-新蛇抜山-北荒川岳-北俣岳分岐-▲塩見岳-天狗岩-塩見小屋-ゴーロ-本谷山-コル-三伏峠小屋
▲ コースタイム:10時間
▲ 歩行距離:14km
▲ 累積標高差:+1096m
-1111m
6日目行程
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天気:霧 → 雨
気温:8〜9℃
風:樹林帯無し/塩見岳 西16〜18m/s
三伏峠小屋-鳥倉登山口-ゲート-バス停「大河原」
▲ コースタイム:5時間40分
(鳥倉登山口まで2時間40分)
▲ 歩行距離:約19km
(鳥倉登山口まで約3km)
▲ 累積標高差:+208m
-2070m
「塩見岳」概要
美しい樹林帯が広がる、渋くてかっこいい塩見岳
コースタイム | 8時間25分 (昭文社登山地図/鳥倉登山口〜塩見岳) |
距離 | 約10km |
累積標高差 | +約1720m -約460m |
水場 | 途中「ほとけの清水」あり *9月下旬はチョロチョロ程度 |
山小屋 | 三伏峠小屋・塩見小屋 |
アクセス | ◼︎ 車:鳥倉登山口より約2.5km手前に駐車場あり ◼︎ 伊那バス:伊那大島駅〜鳥倉登山口(夏季運行) ◼︎ 登山バス:毎日あるぺん号(季節運行) |
↓公共交通機関でのアクセスは下記記事にて↓
塩見岳のメジャーコースは鳥倉登山口からの"鳥倉ルート"。登山口から3時間ほどで着く"三伏峠小屋"と山頂手前に"塩見小屋"があり、朝発・午後発・テント泊ピストンなど出発時間や宿泊スタイルに合わせて利用できます。現在"塩川ルート"は崩落により封鎖されています。
登山口からカラマツ林の九十九折りの坂を上がり、尾根道へ。道が細く、ロープ箇所なども出てきますが登山道は全体的に歩きやすいです。木の枝が敷かれたハシゴが数箇所あり、濡れていると滑りやすいので注意。
三伏峠からは"三伏山"と"本谷山"を越えていく、多少アップダウンのある道のり。本谷山〜ゴーロの直登(塩見小屋直下)まではコースの中でも一段と美しい森が広がり、フラットで緩やかな森歩き。
ゴーロ〜塩見小屋は、名前の通り小中の石がゴロゴロ転がっている坂。ハイマツ帯に出ると塩見小屋に到着し、その先は鎖の岩場で塩見岳まで。濡れていると滑りやすい険しい岩場で、落石や転倒に要注意。西峰のすぐ先に東峰があります。山頂は岩場なので、基本的に岩で休憩するスタイル。広いとは言い難いですが、グループでも十分休める広さです。
霧・雨・風[ 熊ノ平小屋-塩見岳 ]
熊ノ平小屋-安倍荒倉岳-新蛇抜山-北荒川岳-北俣岳分岐-塩見岳:CT4時間50分
4時起床。外は霧でヤマテン通りか。同じく熊ノ平小屋にテント泊していた学生さん3人組は4時半頃出発し、自分は5時頃出発。昨日の天気予報では、午前中霧で午後から雨マーク。風が12〜14m/sの予報だから、雨が降る前に塩見岳は抜けておきたい・・・(天気予報は再び変わっており、午後から晴れるかも予報になっていた)
真っ暗な樹林帯の斜面を尾根に向けて登っていく。登り始めて15分くらいするとポツポツ・・・もう雨!?樹林帯だからと横着するも普通に降ってきた。降り続かないだろうという謎の勘を信じて傘で歩く。誰もいないし。そして、見事に10分も経たずにやんだ。こういうとき、レインを着ると大体やむんだよなあ。
尾根に上がって岩場を少し歩くとまた樹林帯。風は轟々音を立てて吹き荒れていて、少しばかり不安に。3000m級の山を繋ぐこの尾根に逃げ場はなく、荒天なら停滞するしかない。
濃霧で日の出の時間を過ぎてもまだ暗い。不気味さを醸し出しながらも美しいと感じる南アルプスの森は、それだけ魅力的なのだと思う。
6時を過ぎてようやく明るくなりヘッドランプをしまう。"安部荒倉岳"の看板には気が付かなかった(山頂は巻く)。
しばらく緩やかに歩いているとまた開けた。たぶん、地図上の「展望良好」と記載されているポイント(竜尾見晴)。何も見えませんけどねえ…
展望がなければサクサク進むのみ。また樹林帯に潜り込むと"新蛇抜山"の看板。ここも山頂は巻きますが、山頂に寄り道できます。
頭上で轟々ビュービュー音を立てている風も、ちょっとハイマツがあるだけで、ちょっと東斜面になるだけで(今日は北西の風)穏やかに守られている。西斜面は恐ろしい音がするけど、東斜面では鳥が鳴いている。ほんのちょっとの違いが命取りになるなあと思う。
こんな日は無心で歩いているので、遠いと思っていた"北荒川岳"はどんどん近づく。その先はもう吹き曝しだろうか・・・
西側の斜面から攻めはじめると、山頂の方から雄叫びが聞こえてきた。どうやら先に出発した男3人衆が、風に吹かれてテンションMAXになったいるようす。ボーイズは北岳から出発し、最終は光岳まで。10日くらいの縦走らしい。
吹き曝しの山頂を目前に、ハイマツ帯で化繊ジャケットを着込み"北荒川岳"に登頂◎塩見岳の大展望はもちろんお預けですが、ここからは大迫力の塩見岳を拝めるそうです。
山頂からのっぺりした広いザレ場を歩いていく。地図には「大崩壊」と書かれていて、クラックのような割れ目もある。
ガスだと道がわかりづらくなりますが、ケルンやピンクテープが巻かれたポール、枝が見える範囲にあるためそれを頼りに進みます。見失わないように。
熊ノ平小屋の「クマ」がところどころ目立つ。
そのうち「キャンプ禁止」の標柱が出てきます。このあたりは昔キャンプ場だったようで、区間された場所がところどころありました。ここにテント場あったら結構便利だなあとも思う。
ここに到着したとき標柱の案内を見ておらず、サイトがあったんだな〜と中へ入り込んでしまいました。だんだん登山道の雰囲気がなくなり、GPSを見ると全然違う方角で。標柱まで戻り、ちゃんと書いてあるじゃんと思いながら正しい方へ。
晴れる気配は一切ないし、ガスで景色も何もあったものではないけど、なんとなく爽やかな草原の小径みたいなところを歩いていく。仙丈ヶ岳〜三峰岳との尾根とは様相が全然違って面白い。
何も見えない吹き曝しの稜線
これ以降守ってくれるものはない吹き曝しの稜線歩きへ。塩見岳の山頂酷いだろうなあ・・・と、少しでも風が弱くなるのを祈りながら遅々と進む。一瞬塩見岳方面のガスが切れたものの、全容までは見られず。
"北俣岳分岐"へのガレの急斜面に突入。ここは今日一の急斜面。
こんな天気で塩見岳に登っている人はいるのかと思ったら、縦走の男性が一人下ってきた。風の音で聞こえないから声を張り上げて話をすると、塩見岳は吹き飛ばされそうなほどの風が吹いているとのこと。蝙蝠岳をピストンしようと思ったけど、風が半端なくて途中で引き返してきたらしい。十分気をつけるようにと。感慨深い99座目だけど、そそくさ通過するしかないかな。
午後にかけて風は弱まる予報になっていたので、足取りをさらに遅くしてゆっくりゆっくり・・・といってももうコースタイムは1時間弱。再びパアーッとガスが切れて期待させられたけど、また一瞬で終わった。
急斜面を登りきり"北俣岳分岐"に到着。ここは風が遮られて休憩にちょうどよかったので、寒くなりすぎない程度で20分ほど休憩。塩見岳を想うも、塩見岳に登っている実感があまりないというね。
分岐からは傾斜が緩み東峰に向けてラストスパート。残り40分前後。熊ノ平方面からの場合、核心部はさっきの急斜面だろうか。
明日は見えないだろうと三峰岳からじっくり眺めたけど、塩見岳の「し」の字もない。どっしり構えた勇姿を思い浮かべながら、頭の中では青空の塩見岳を描きながら。そして・・・
99座目"塩見岳"に登頂◎
まっちろーーーーーーーー!!!
なんだかんだ感慨に浸っていると太陽の温もりが。見上げると青空・・・?しかしながらガスもしぶとく山頂にまとわりついて、スパコーン!と晴れる感動的なラストは難しそう。
経験上、諦めて下山を開始すると一気に晴れる。風はまだ強いものの、そこまで寒いわけでもない。とりあえず30分、山頂にしがみつてみることに。
青空が覗く雲の中。映画のワンシーンのよう。
青空の奥に形のはっきりした雲がある。霧のようなガスがそれを飛び越えてこっちに向かってくる。なんだか映画のワンシーンのようだった。何度も何度も期待させられるも、こちらの望み通りにはならず。塩見岳に「また来いよ」と言われちゃってるなこれ。
今回、塩見岳スタートにすれば穏やかな晴天の塩見岳に登ることができたはず。でも、あえて最後にしてみました。信越トレイルで苗場山に登頂したとき、なんだかそれが自分に合っていると思い、ロングトレイル的な感じで塩見岳に登頂したかったのです。
遠くに聳える塩見岳に想いを馳せ、果たして天気は続くのだろうかと不安になり、結局自然に翻弄される。計画が捻くれているからか、天気も捻くれてしまった。それでも、5日かけて塩見岳に辿り着いたということに意味がある。それが目的だったから。
美森[ 塩見岳-三伏峠小屋 ]
塩見岳-塩見小屋-ゴーロ-本谷山-三伏山-三伏峠小屋:CT4時間10分
今回こそ?待っても晴れなさそうなので下山。三伏峠までコースタイム4時間ちょっと。意外にあるのでそろそろ下らねば…
東峰から岩場を下り、少し登り返すと"西峰"に到着。ソロの女性が岩陰に座り込んで晴れ待ちをしていました。北岳方面に縦走予定だけど、明日はさらに天気が悪くなる予報で迷っているとのこと。明日の風はさらに強く、16〜18m/s予報。
塩見岳の西斜面は険しめの鎖場。歩いてきた東斜面に鎖場はなく、北荒川岳の斜面が急なガレ・ザレだったくらい(下りは特に要注意)。しかし、個人的にはしっかり掴める岩とか鎖とかあった方が安心感はあります。
霧で岩も自分もしっとりしているけど、幸い雨は降っていない。朝、ほんの10分程度降っただけで済み、助かりました。雨だとこのあたりは滑りやすくなりそうですね。
ガスがふっと切れる瞬間に何度も振り返るも、塩見岳は姿を隠したまま。下山を開始しても晴れないということは、今日は意地でも見せないか。
岩場が終わりハイマツ帯に入ると"塩見小屋"に到着。楽しみにしていた赤い屋根の塩見小屋は雰囲気よし。
塩見岳が渋いから(個人的な印象)塩見小屋もいい感じに渋いのかなあと思っていたら、いい感じに素敵でした。木の明るさが目立つ小屋の中には何やら素敵な音楽が流れていて、優しい小屋番さんがいて、共有スペースと寝床がコンパクトな山小屋。塩見小屋、めちゃくちゃ好みですね。渋かわいいてぬぐいに惹かれましたが、キリがないので我慢。
塩見小屋は電波がバリバリ入るので、クレジットやSuicaなども使用可能。
塩見小屋の名物は2つ。手づくりパンとおはぎ!両方食べるつもりでいましたが、パンはありませんでした。平日でこの天気だし?かどうかはわからりませんが、ちょっと残念。
おはぎは1つ¥400で、お茶とセット(緑茶か蕎麦茶)。あんこときなこがあり、きなこと蕎麦茶のセットにしました。これがすごく美味しくて、風に曝されて冷えた身体に蕎麦茶が沁みる・・・2つ食べてもよかったな、とあとから。何も注文せず小屋の中で休憩する場合は30分300円なので、おはぎを食べた方がいいですね。
塩見小屋のトイレは宿泊者含め携帯トイレ形式。小屋でも販売しています(宿泊者は無料)。通過の場合携帯トイレ300円(男性小便器利用100円)なので、ピストンで利用するとき女性は特に持参した方がいいかと。持参かつ持ち帰る場合は無料でブースを利用できますが、回収してもらう場合は100円です。
おはぎを食べただけですが、塩見小屋すっかり気に入ってしまいました。塩見岳は必ずやリベンジしようと思うので、そのときは泊まろう。
塩見小屋
塩見小屋を出発し、ハイマツ帯を下っていくとすぐ樹林帯に入りました。南アルプスの展望とおさらば。
ゴロゴロと不揃いの石が転がる"ゴーロ"に突入。平日で、今日も明日も天気が悪い塩見岳ですがさすが百名山。塩見小屋を目指して登ってくる人が結構いました。仙塩尾根なんて天気が良くてもちょろっとしかいなかったのに。
ゴーロを過ぎるとお待ちかねの美しい森。地図に「美しい森」と書かれるくらいの森とは・・・と楽しみにしていました。南アルプスの森自体とても素敵ですが、実際、ゴーロ〜本谷山の間は一段と美しかったです。
緩やかで歩きやすい傾斜。明日はナイトハイクで下山してしまうので、最後に南アルプスの森を存分に取り込む。稜線もいいのだけど、やっぱり自分は森が好きだなあと。森の中にいると温かく包み込まれているような、安心感があります。特に今日はこんな天気だったので余計に。
とっても静かな美林
三伏峠までは細かいアップダウンが意外に多い。塩見小屋が2766mで、三伏峠が2560m。コースタイムは3時間ちょっとありますが、標高は200mしか下がりません。
山頂は真っ白だったけど、仙塩尾根も小屋も森も素敵過ぎて、塩見岳大好きだわ〜と歩いていると、森の中に光が。
霧と雨と風に晒され、ほんのわずかな太陽の温もりに喜び、やっぱりダメかあと落胆する。山頂は相変わらずしぶとい濃いめのベールに包まれていましたが、稜線で猛威を奮っていた風は、樹林帯では実に爽やか。
1日の中にあらゆる自然があって、展望0だったけどなんだか贅沢だった。暑い、寒い、涼しい、温かい、爽やか、冷たい・・・その時々で変わる肌感覚。5日も歩いているといろいろあって、そのいろいろが楽しくて、やっぱり縦走はいい。ロングトレイルはいい。最高だ。
好きなことを全力でやることに理解を示してくれる家族に感謝。そんな人生を歩めて、これ以上何を望むのだろうと思う。好きなことがある。やりたいことがある。それは一番豊かだと思う。人生は結局想い出だと思うから。
本谷山に登り返し、そこから10分ほど下ると"のぞき岩"なる場所が。
大鹿村の谷間の景色が広がっていた
コルに向かって下りはじめ少しすると、北荒川岳での雄叫びが再び。のぞき岩で学生くんたちがまたテンションMAXになっているらしい。人のいる場所ではなかなか出せない声量がすごく気持ち良さげ。南アルプスが全部受け入れてくれる感じか。
コルからまた登り返すと、最後の"三伏山"に到着。青空はなくなり、またガスに包まれました。ここまでくれば"三伏峠小屋"も目と鼻の先。
三伏峠小屋でテント泊
営業期間 | 7月初旬〜9月下旬 |
料金 | ◼︎ 1泊2食+寝具:平日12,000円 休前日13,000円 ◼︎ 寝具付素泊まり:平日9,000円 休前日10,000円 *予約制。予約なし1,000円追加 *個室料金あり ◼︎ お弁当:1,200円(宿泊日の消灯までに予約) ◼︎ 夕食:2,500円(予約制) ◼︎ テント:1人1,100円 + 1張500円 (ソロ:1,600円/2人:2,700円) |
水場 | 小屋から片道10〜15分 *夏山営業に使われる水場は 毎年9月第3週を目途に撤去 |
トイレ | あり。冬季使用不可 |
冬季 | 小屋の開放なし。テント場は利用可 |
URL | 三伏峠小屋HP |
*2023時度の情報 |
三伏峠小屋であわよくばカレーを食べたいと思っていましたが、ランチは13時まででした。売店は17時半まで。食料品はカップラーメンの販売があります。
三伏峠小屋のテント場は新館の背後、段々になっています。区間の大きさは微妙に異なり、大きめテントは基本的に上段。小さめテントならどこでもという感じ。4段目あたりに1人用サイズのこじんまりしたサイトがありましたが、今日は空いてるからと広めの上段サイトに張りました。
三伏峠小屋の水場は離れていて、小屋から10〜15分下ったところにあります。沢水のため要煮沸・浄水。遠いので小屋番の方が申し訳なさそうに水場の場所を教えてくれましたが、無料の水があるなら汲むタイプ。
三伏峠の分岐を"荒川岳・小河内岳"方面に進むと、先の分岐で水場の案内があります(この分岐には何も記載がありません)。
奥の分岐からさらに三伏小屋跡のある三伏沢方面にさらに下ると小屋出現。下りも登りも、小屋から片道10分くらいでした。ラジオが流れていて誰かいるのかと思いきや、誰もいない。目印?クマ除け?
沢からパイプが引かれ、木に括り付けられている水場。小屋が営業している間は汲めると思っていましたが、ちょうど今日いっぱいで撤去されるとのこと。危なかった…毎年9月下旬に撤去されるようですが、水場が先に撤去されるのかな?
三伏峠小屋のトイレは簡易トイレと汲み取り式(和式)が並んでいますが、簡易トイレは使用不可になっており、男性用と和式が一つずつ開放されていました。水洗は故障中でした。
一仕事終えて静かにコーヒーでも飲むか〜と思ったら、5人組の山岳部がわいわいがやがややってきた。彼らのテントは大きいため、もちろん上段。自分の斜め前にテントが張られ、ああ、下段のこじんまりした方に張ればよかったか・・・と少しばかり後悔。しかし、この山岳部観察がなかなか面白かったです。
4年生のリーダー1人と2年生集団らしく、指示されながらなんかテキパキやっている。スーパーを3周したけど白菜がなかったとか言って一悶着したり。食事が始まるも「うめえ!」の声が聴こえてこなかったり(漫画ではあるあるな気がするけど、味が微妙だったのか?)。
明日は4時頃出発するので18時頃には寝る体勢に入りましたが、18時から彼らの報告会が始まり寝られず。今日の反省とか明日の天気や行程の確認、事故報告とやらを一通りして、寝るのかなと思ったらティータイム開催。そこで就寝は19:20と決められた。
チャイティーだのストロベリーティーだの話していて、食事のときには聴こえなかった「うめえ!」が発せられる。明日の道の確認やらトイレタイムが終わり、就寝の時間になるやいやなピタッと静まり返る。明日の出発は3時で熊ノ平小屋まで行くらしい。早すぎないか?と思ったら、リーダーが早くテント場に着きたいらしく、12時到着を目指すらしい。
山岳部の一連の流れをここまで細かく聞いたことはなかったので、なんだか面白かったです。「北アルプスのテント場は高い」と話していて、今年は南アルプスで山岳部をよく見かけるなあと思っていたらそういうことなのかも。白馬界隈とかすごく高くなってしまって大人でも躊躇うし。学生は半額にしてあげてもいいんじゃないかと思ったり。
最後の夜は愉快に過ぎていきました。明日は"鳥倉登山口"へ下山しますが、登山バスは8月で終了しているためバス停「大河原」まで約17km。10時台の便を目指して、ナイトハイクです。
6日目[ 鳥倉登山口下山 ]
三伏峠小屋-鳥倉登山口-ゲート:CT2時間40分間 (約3km)/ ゲート-バス停「大河原」:CT3時間(約14km)
2時過ぎに目が覚めると、山岳部の子たちが撤収中。日の長い夏なら2時頃からテント場は動き出していますが、この時期はさすがに彼らだけ(たぶん)。2:45に彼らは出発し、テント場は再び静まり返る。30分だけ二度寝をして3:15起床。
それでもまだ他に動いている人はおらず、一人せっせと撤収。3時前に雨が降ってきて、このタイミングで〜?と思ったけど、とりあえず一旦やんでくれた。4:10出発。
前日撮影した下山方面の道。鳥倉登山口までは2時間。明るくなる頃到着予定。
樹林帯で雨が降っているのかいないのかよくわかりませんでしたが、木々が風で揺れて雨粒が降ってくる。上空では風が轟々唸っている。今日の塩見岳はMAX18m/sの風予報。昨日より凄まじい。
さらに、昨日以上の濃霧。濃霧のときはヘッドランプの光が霧に反射してとてつもなく見えづらい。そんなときは頭ではなく首にヘッドランプをかけると、反射がマシになります。頭につけると目の前の濃霧がチラチラ邪魔ですが、首にかけると光が目の下になるためチラチラがかなり軽減されます。現在使っているヘッドランプは360度角度を変えることができるため、首から下げて使うのにとても便利。
塩川ルートの分岐に到着。こちらは崩落により現在通行できません。ロープが張ってありました。
真っ暗でどんな森かわかりませんが、このうよな枝でつくられてたハシゴのようなものがところどころありました。濡れていると滑ります。ロープのあるちょっとした岩場や細めの道もあるので、足元は要注意。
途中の水場"ほとけの清水"に到着。細いですが出ています。三伏峠小屋の水場は9月27日に撤去との注意書きがありました。
鳥倉登山口〜三伏峠小屋までは約3kmで、300mごとに看板があります(1〜10番)。こんな天気でも日帰りピストンする人はいて、登山口までに4組くらいすれ違いました。ほぼトレランの人たちですが。
5時半を過ぎて最後のカラマツ林になると急に明るくなりました。カラマツ林の下はシダが多い茂りとても綺麗。紅葉はこれからのようですが、すごく良さそうですね。
ということで、予定通り6時頃"鳥倉登山口"に到着。簡易トイレがありました(使用できるかは不明)。自転車が何台か置いてあり、駐車場からの3km弱乗ってきたようで。
登山届を出すところ(夏季運行の伊那バスはここまできます)にはホワイトボードがあり、情報やら喜びの声がびっしり。「塩見小屋のごはんが山小屋とは思えないほど美味しかった」と書かれていました。やっぱり塩見小屋は泊まらねば。
駐車場のあるゲートまでは3km弱。砂利道からすぐにコンクリートの舗装道になります。歩いているとポツポツ・・・すれ違う人たちに「もう下山ですか?」と言われ、どんだけ早く帰りたいんだこの人って思われてたかもしれない。
ゲートに到着。ここにもトイレがあります。平日ですが30〜40台くらい停まっていて、割とうまっていました。
ここからバス停「大河原」までは約14km。柔らかい土を踏んでいた足には厳しい固いロード歩き。
伊那大島駅から鳥倉登山口までのバスは、夏の1ヶ月ちょっとしか運行されません。まいたびの登山バスは9月も週末ならありますが。南アルプスは南部に行くほどアクセス問題が大きくなるため長く縦走する人も少なくなく、1週間〜10日くらいの縦走者には結構会います。9月まで運行しても需要はあると思うのですが…そうでもないのかなあ。
そんな思いで淡々と下っていると猿軍団が山栗をめっちゃ食べていて、音楽を流し、電波が入ったらラジオを聴く。人里は面白いですが、何もない林道歩きはちょっと飽きるのでラジオが快適。
途中に水場がありました。
"夕立神パノラマ展望台"の駐車場。公衆トイレがありました。展望台は100mくらい先のようですが、駐車場からもいい景色。
ようやく人里に下りてきて、東屋の休憩所を過ぎるとバス停1.5km手前には"福徳寺"の公衆トイレあり。ちょうどトイレ行きたかったからありがたい(バス停にはトイレありません)。
ということで、9:40バス停「大河原」に到着。伊那大島駅行のバスは10:20発なので、クールダウンをしながら待ち。
お疲れサイダー◎
バスは"松川I.C."まで行くので、そこから新宿行の高速バスに乗ることもできます。安く帰るなら松川I.C.や駒ヶ根BTから高速バスですが、特急あずさを利用してもそこまで変わらないので今回は早さ優先で。
10時頃にはバスが到着し、運転手が「乗っていいですよ〜」と。柔らかい運転手さんで、時間まで地元の人とお喋りしていました。
大河原から伊那大島まで50分ほど乗りましたが、たったの¥500(夏季運行のバスとは料金が異なります)。ちなみに、鳥倉登山口〜伊那大島駅までタクシーを利用すると¥9,000〜10,000ほどかかります。
伊那大島駅
光岳から南アルプス南部を縦走するとき、まいたびの夜行バスを利用。芝沢ゲートへ行くために、3時半くらいにここでタクシーに乗り換えました。そのときトイレだけお借りした駅。
乗車券を購入するために駅員さんを呼ぶと「は〜い、いらっしゃいませ〜」と、60〜70代くらいの男性駅員さん。いらっしゃいませ〜と言われたのは初めてですね。かわいい。ローカル線ののほほ〜んとした感じ、ほんと好き。
近くにセブンがあったので、両俣小屋で食べられなかったチャーハンを食べながら電車待ち。今回はあえてお米を何も持ち歩かずに縦走してみました。なので、途中からあんなにお米を求めていたのに、チャーハンの油を摂取してきつくなるというオチ。
そんなことで、黒戸尾根〜仙塩尾根〜塩見岳、5泊6日の山旅が終わりました。急登、岩場、美しい森、静かな名物小屋・・・南アルプスには面白い人たちがたくさんいる。どんだけ縦走するの?何日目ですか?という人も多いし、そんな強者たちを一座一座どっしり大きい南アルプスの山々が全て包み込んでいる。
北アルプスのような華やかさはないけれど、それが南アルプスのいいところであり、ずっと変わらないでほしい。南アルプスを静かに歩いている人たちはきっと、そんなところが好き。自分も然り。
樹林帯の割合が多いですが、その分稜線に出るととてつもなく気分が上がる。静かに、ひっそりアルプスを歩きたい人におすすめの仙塩尾根です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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