2022.5.9(月)
天気:曇り☁︎時々晴れ☀︎のち雨☔︎
気温:西大台ヶ原10℃前後
歩き人たかちです。
大台ヶ原の山旅3日目。昨日は、桃の木山の家から登り詰め、東大台ヶ原の日出ヶ岳に到着。展望の東大台と大蛇グラを満喫し、大台ヶ原駐車場にある「心・湯治館」に宿泊しました。
大台ヶ原まできたら西大台も歩きたい。ということで、3日目の今日は入山制限がされている西大台の森歩き。東大台とは全く違う、静かで、豊かなハイキング。開拓とはどういうことか。そんなことを考えながら、古の森に心を澄ませた最終日。
ーーーーーーー
大台ヶ原駐車場ー七ツ池ー開拓跡ー分岐ーカボチャの木ー展望台ー分岐ータタラ力水ー大台ヶ原駐車場
▲コースタイム:5時間
▲歩行距離:8km
西大台ヶ原
大台ヶ原は、吉野熊野国立公園の一部となっており、東大台と西大台に分かれています。
大台ヶ原の中で原生林の残る範囲が"西大台"とされ、大勢の人が利用することで自然が失われないよう、利用制限がされています。
通常は土日祝50人、平日30人、ハイシーズンの利用集中期は土日祝100人、平日50人まで。
西大台に入山するためには"認定証"が必要で、事前申請、あるいは当日受付(利用枠が空いていれば)で手数料¥1,000を支払います。事前申請は直前にはできない、かつ、払い戻しはないので、天気を狙う場合は要注意。入山はビジターセンターでレクチャーを受けてから(事前でも当日でも可)になります。
*吉野熊野国立公園 大台ヶ原*
かつては東大台にも広がっていた大台ヶ原の原生林。自然に境界線があるわけではないですが、自然災害や人間の立ち入りによってここまで違うかというほど異なる森。しっとり瑞々しく、苔も植生も非常に豊かで、野鳥が囀る静かな森歩きを楽しめます。
東大台と西大台をセットで歩くことで、大台ヶ原の深い部分に触れることができるのでおすすめです◎
今回は大杉峡谷と合わせてなので、天気優先で事前申請はしませんでした。予約状況はHPや電話で確認できます。平日であれば受付枠には余裕があるので、当日でも入れることが多いです。
新緑光る、静謐な森
*大台ヶ原駐車場ー七ツ池ーカボチャの木ー展望台:2時間25分*
当日受付は物産館の入口で。物産館の営業は9時からです。申請料の1,000円を支払い認定証を受け取ります。そして、レクチャーを受けるためにビジターセンターへ。10分間の映像を見て、認定証にハンコを押されました(本人確認できるものが必要です)。
ビジターセンターの人が「今日は3人だけなので、静かな森ですよ。ちょっと不気味かもしれません。」と。
9時前に大台ヶ原の駐車場に何台か車が入ってきたので、同じく当日受付の人かなーと思いきや、みなさん東大台でした。平日はこんなものか。
物産館横の「大台教会」という看板のある場所からハイキングコースへ。下っていくと、巡査員の方がいるゲートがあるので、そこで認定証を見せて入れてもらいます。
今日初めての入山者として。
時計回り、半時計回りはどちらでもよく、半時計回りで歩くことにしました。時計回りの場合は、岩でゴロゴロした坂が下りになります。
レクチャーでは、道標や道しるべのテープ類は最低限で、ちょっと道が分かりづらい箇所もあるという説明でしたが、必ず見える範囲に青いテープがあり、踏み跡も十分でとてもわかりやすかったです。
ゆるゆる下り、川に出ました。ここはバイケイソウの群生地。
咲くのはこれからですが、これからぐんぐん育ち、一面に白い花が咲き乱れる光景を想像すると、とてもメルヘンですね。昨日のシャクナゲ坂もそうでしたが、ここも見頃を見てみたい。
東大台に比べてとても静か。人が歩いていないので当たり前ですが、森本来の静謐さ。
熊鈴は鳴らさず、森の音に耳を傾けながら歩きました。鳥の声があちらこちらに響いています。
しかも、種類が多い。耳を澄ませると同じ鳴き声の鳥たちが呼応していて、何を話しているのかなー?と気になります。
ミヤマシキミ
森の幼稚園
足元は広葉樹林の落ち葉でふかふか。まだ腐葉土になっていない枯れ葉の上をサクサクと。時折「ギィーギィー」と、木が揺れる音。これだけ静かだと、いつも森で聞く音にも敏感になります。
コミヤマカタバミがあちこちに。
新緑を楽しみにしていましたが、ちょうどいい。朝は青空が見えていましたが、歩き始める頃には雲が多めに。しかし、晴れ間が出て光が射すと森が一層輝きを増してうっとり。
自然に上を向いて、無条件に前向きになれる春の山。気持ちを切り替えたり、何かを始めたり、年始よりも「よしっ!」という気持ちが大きくなる。これはやっぱり山のエネルギーだろうか。
水の音も森によく響きます。
小さな流れから大きな流れまで、この森を潤す命の水。
オオダイガハラサンショウウオを探しながら歩いてみましたが、残念ながら見つけられず。曇りとか雨の日は出てきやすいようです。
豊かな森の木はのびのびしているように見える。"余裕"がありそうですね。
途中で霧がサーッと流れました。ミストサウナのような潤いに包まれて、一瞬だけ白い世界に。
オオカメノキ
虫食いがかわいい。
歪で、まだらで、すべての色がマッチしていて、森はいいなあ。
ゲートが出現。西大台の中で特に保全が必要な場所には防鹿柵が設置されています。
ヒメヤマスミレ
倒木も美しい。
苔が豊かになっていく森を歩いていると、「グェッ、グェッ・・・」というカエルの合唱が始まりました。タゴガエルかな?高尾山でも春によく聴く鳴き声。
ゲートの区間は短めで、再び出入口を通りました。
クマ?
石を選んで渡渉。
出発から約4km。"開拓跡"に着きました。広い空間になっています。
この辺りは明治時代に開拓が試みられたものの、自然条件が厳しいため結局開拓されずに残ったようです。
ここには携帯トイレブースがあります。ハイキングコースの中ではここのみ。
この辺りで巡査員の方とお会いしました。西大台では巡査員が巡回していて、認定証の確認をします。今日の入山は3人だけなので、巡査員の方ものびのび歩いていそう。
「さっき、キツネがいたんですけど、逃げられちゃいました。今日は鳥が多いですね。」と。
川を渡ると再びバイケイソウの群生地。新緑の黄緑とバイケイソウのTHE緑。このコントラストが素敵です。
バイケイソウが群生している山はたくさんありますが、森の中の群生地を歩くというのはあまりなかったか?なんだか新鮮な気持ち。
開拓跡周辺はコースの中で一番標高が低い場所。とても平坦で、森好きにはたまらない森歩き。本当に美しいです。
バイケイソウの中を歩いていくと、展望台への分岐に到着。800m登っていきます。
そろそろ着くかなーというところで"カボチャの木"。根本がカボチャのような形をしていてかわいいミズナラの巨木。どてっ、ぼてっ、という感じですね。どうしてこうなっちゃったのか。
反対側から。
展望台に到着。
今日は真っ白です。いや、いい景色です。
ここでちょっと休憩。森の音を聞きながらお菓子をボリボリ。
ここは"小処温泉"への分岐にもなっています。
今日は午後から雨予報でしたが、ここでポツポツ雨が降ってきました。行程の半分程が終了し、残りは4kmほど。移り変わる森が素敵で、見惚れていたらあっという間に半分。
雨降る白い森
*展望台ー分岐ータタラ力水ー大台ヶ原駐車場:1時間45分*
登ってきた道を分岐まで戻ります。分岐から駐車場まで3.3km。
橋を渡った先から道の雰囲気がちょっと変わりました、。石、岩がゴロゴロした道になり、登り返し。
こういう道は登りの方が好きなので、半時計回りでよかったなと。
雨がしっかり降ってきて幻想的な森に様変わり。屋久島とか八ヶ岳の雨の森の雰囲気があるような気もするけど、それらとはどこか違う。やっぱりここは大台ヶ原。
岩場を登ったあとはトラバース道。
巨石が現れたら"タタラ力水"。
冷たくて美味しいです。
こちら側は急斜面になっていて、道も細め。
苔ワールド全開。雨が降るまでカサカサだった苔がしっとりモフモフになりました。命が宿った。
雨が森の音を吸収し、さらに静かに。雨の音は頭の中を空っぽにしてくれる気がして、雨の森歩きも悪くない。好んで雨の日に山へ行くわけではありませんが、緩やかな森歩きなら楽しめます。特に、このような豊かな森では。
橋を何度か渡り、川から離れてミヤコザサの中を登っていくと間もなく最初の分岐に到着。
巡査員の方にゲートを開けてもらい、楽しい西大台ハイキングは終了。
物産館横のここが入口。
ビジターセンターで下山報告。アンケートに答えると、オリジナルバッジを貰えます。ビジターセンター自体は大きくありませんが、大台ヶ原の自然や歴史をサクッと学ぶのにちょうどいい大きさです。
平日なので、バスは一台でした。
心・湯治館にデポしていた荷物を回収。スタッフの方に見送ってもらい物産館へ。
バス停近くの食事処には猪肉カレーなどがありますが、そこまでお腹も空いていなかったので、物産館のカフェでバス待ち。モンベル会員だと、コーヒーが100円!(通常350円)
今日のバス利用は15人弱でした。大和八木駅19:10着予定のところ、18:50頃到着。これにて、3日間の大台ヶ原の山旅は終了。
紀伊山地のほんの一部ではありますが、峡谷、滝、シャクナゲ、展望、原生林と、移り変わる大台ヶ原の自然美を堪能した3日間。何より、東大台と西大台をセットで歩いたことがとても良かったです。
駐車場によって分けられている感覚ですが、すべて繋がっている山脈の一部分。不思議な感覚もありつつ、開拓ということを感じつつ。しかし、その恩恵を受けてこの森を見ることができているのだという思いもありつつ・・・とても複雑な気持ちの山歩き。
自分ができることはゴミ拾いとか、協力金とかですが、いつまでも、むしろ範囲を広げて残ってほしいと思います。西大台、とってもおすすめです◎
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
コメント