2020.11.6(金)
高知県中土佐町 曇り☁時々晴れ☀ 21/10℃
歩き人たかちです。
今日は青龍寺から58.5km、37番岩本寺へ。土佐久礼からの峠越えは2つ。「土佐往還 そえみみず遍路道」か「大阪遍路道」。山道の多いそえみみず遍路道を選びました。ここまで来て初めてカフェに寄り道。今日の寝床は岩本寺のガレージをお借りする予定ですが・・・
岩本寺への峠越えについて
岩本寺へは2つの峠のどちらかを越えるか、国道56号をひらすら歩くかの3通りあります。
焼坂峠のときと同じく、どこを歩くかはひとそれぞれでした。
土佐往還そえみみず遍路道
純粋な山道。標高差は370mほど。ルートの中では一番登るルートで、体力もそれなりに使います。しかし、比較的緩やかに標高を上げていくので、数字ほど辛くはありませんでした。初めの階段を登り切れば、山道は歩きやすいです。
ただ、歩いたときは台風の影響が少々残っており、大きめの石、岩がゴロゴロしている箇所もありました。(2020.11.6時点)「そえみみずは台風の影響で荒れている」と聞いてやめたという人もいましたが、すごく荒れてるという訳ではありません。焼坂峠の方が断然荒れています。登り始めに多少、足元がゴロゴロしている箇所がある程度で、登れば登るほど道は良くなりました。
ピーク付近には久礼湾を望む展望所がありますが、そこは迂回路となっており、実際には標高330m前後で下り始めました。(時計の数値のため多少の誤差はあります)
道は細い箇所、広い箇所さまざま。下りは200mの標高差を3kmかけて下るので、とても緩やかです。
大阪遍路道
大阪遍路道は山間の谷を歩くルート。最後の七子峠への登りまではほぼ平坦で、最後に一気に登ります。約700mの距離で標高差200mを登るため、傾斜は急です。ただ、ほとんど階段だとお聞きしました。きついのは最後の階段のみなので、大阪遍路道を選ぶ人はかなり多い印象です。
アスファルトではない、林道を歩く気持ちの良い遍路道とのこと。宿でもこちらを勧められたという方が多かったです。
ただ、谷なので雨の日は水が流れ込み、雨量によっては遍路道が川のようになり、通行不可になることもあるそうです。
国道56号
国道をひたすら歩きます。車道なので急坂などはなく、緩やかな登りがずっと続きます。足を痛めている人や、山道に不安のある人は国道を歩いていました。距離は一番長いです。
天候の悪い日は無難なルート。
だーれもいない。そえみみず遍路道
*小鎌田の浜キャンプ場~そえみみず遍路道下山:7.4km*
車道に面しているキャンプ場ですが、車の音は特に気にならずに寝ていました。自然界の子守唄が非常に心地よくぐっすり。5時半頃目を覚ますと、カヤックの人はトラックで海へと移動していきました。早朝カヤックとは贅沢。時季によってはだるま朝日カヤックができます。
夜も寒くありませんでしたが朝も寒くなく、結露も全くしていない。風が穏やかだったので、問題なく一夜を過ごせました。
今日は雲の多い一日ですが、6時頃、水平線と雲のわずかな隙間が赤く燃え上がりました。天気がどうであれ、自然の営みはいつでも美しい。
徐々に色が柔らかくなっていく空を見ながら朝ごはん。双名島の左側の岩にちょうど隠れて太陽が上がっています。撤収して6:50頃出発。
トンネルをくぐり、土佐久礼の駅の方へ戻ります。
ローソンから山の方へ行く道に入り、しばらく歩くとへんろ石がありました。
山に入る手前に「へんろ小屋 そえみみず」。
細めのスペース。野宿している人が多そうな雰囲気です。目の前は田畑なので人目は気にならないと思いますが、トイレはありません。
ここからすぐに山道へ。
案内板には「道の状態が曲がりくねって前に進むミミズのさまに似ているのでこの名がついたのでは」と書かれていました。
坂を上がって細い道を抜けると「草刈奉仕者」の名がズラリ。道は守られています。
道が広くなったと思って登っていると、10分もしないうちにひらけました。ここに「迂回路設置完了」みたいな看板がありました。迂回路?とよくわからないまま進みます。
お?と思ったら、階段を下ります。高知自動車道と交差する箇所が階段になっており、下をくぐってまた登ります。
くぐったあとは、登りの階段。
途中には東屋がありました。へんろ道の登りには大体東屋があります。山の中はほぼあるといっても過言ではない。
登り終わり、そのまましばらく進んでいくとまた階段。ここを登り切れば山道へと入るので、そこまで頑張ります。
しかし、風がなく蒸し暑い・・・
はじめの足元はこのような感じ。焼坂峠程ではありませんが、こちらも台風による土砂崩れの影響が多少残っています。
ゆっくりゆっくり登って行くと細めの道に。
序盤の少々荒れた箇所を抜ければ、道もかなり緩やかになり、足元も問題なし。非常に歩きやすい道となっていきます。
登れば登るほど傾斜はなくなっていきました。途中はほとんど平坦に近く、軽めのハイキング気分。
振り返るとミミズっぽい。
この辺りのことなのかと考えながら歩いていると看板がありました。やはりこの一帯が由来らしい。
「坂道」と書いてあります。登り初めよりも緩やかで、今歩いてきたところよりちょっと傾斜のある坂をあがっていきます。
杉林であったり、広葉樹があったり、綺麗な山道でした。
進んで行くといきなり左折で下り始めました。どうやらこの先は荒れているようで、はじめに見た「迂回路設置完了」とはここのことみたいです。
下りは標高差200mくらいなので、非常に緩やか。荒れている箇所も特にありませんでした。
ロープが張られている尾根道。快適に歩けそうな尾根道なので、標識に気が付かずそのまま進んで迷ってしまう人が多い様子。
20分くらいすると国道が見えました。国道の7kmと山道7kmは時間の流れが全然違う。山道の時間の方が断然好み。
結局、人っ子一人会わずに下山。
土佐往還の道と思いながら歩くのも良かったですが、思った以上に緩やかな峠で、楽しめました。登り初め以外は秋の低山散歩といった感じ。展望所へ行けなかったのは残念ですが。
人はなぜ遍路道を歩くのか
*そえみみず峠下山地点~道の駅あぐり窪川:10km*
明日の天気予報は雨。しかも結構降る。峠を下山してすぐに宿に電話をしました。岩本寺のあとの宿は「民宿たかはま」か「ホテル海坊主」が距離的に丁度良さそう。明後日は四万十川でキャンプをするためにストップするので、明日はそこまで距離を稼がなくてもいいと民宿たかはまへ電話をしました。
すると「民宿は9月から休業していますが、もう一つ近くにゲストハウスがあって、そちらはやっています。」とのことでした。ネットで調べた時もゲストハウスは出てきました。食事をつけることも可能だと言われたので、ゲストハウスで予約することに。
明日の寝床確保。
国道56号を歩いてももちろん問題はありませんが、遍路道は農道の方へ伸びていました。静かそうな道だったので、へんろ道へ。
歩いていると原付に乗ったおじいちゃん登場。
「岩本寺行くん?こっちは農道で、あっちは国道で、国道を歩く人が多い。国道を見失ったらいかんよ。あと12kmくらい。2時間半くらい。」と。おじいちゃんが話したことを纏めると非常に短いですが“とにかく国道を見失うな”ということを必死に伝えてくれて、それを5回くらい言いなおしながら話していたので、会話自体はとても長かったです。
「国道ですね!はい!わかりました、気をつけます!」とその度に返していましたが、あまり聞かれていなかったようすで、途中から笑ってしまいました。
満足に話したあとブロロロロロロ…と去っていきました。
おじいちゃんが仕切りに見失うなといった国道。
農道は最終的に国道と合流するので、そのまま最後まで歩きます。
少しだけ森の中を歩いて行くと、イノシシ用の柵がありました。ここを開けて、締めて、国道へ合流。
山に身体を向けて、木の下に体育座りをするおじいちゃん。自然に溶け込んでいました。すごく自然に。
すこし歩くと休憩所「雪椿」。ここであんぱん休憩。あんこは夏には食べたいと思いませんが、少し寒くなってくるとすごく美味しく感じます。カロリーもあって行動食としてもよし。あんぱんは結構持ち歩いていました。
ありがたいことにここにはゴミ箱が設置されています。トイレはないので野宿は厳しいですが、とてもいい休憩所でした。
「塩けんぴ」。以前、神峯寺のあとに寄った道の駅大山で手を出して食べてみましたが、すごく美味しかったです。これは高知にいる間に食べなければ!と、スーパーでまた買いました。塩けんぴにもいろいろ種類があるので、食べ比べると楽しい。
これは、スーパーには大体置いてあるメジャーな塩けんぴ。よくポリポリしながら歩いていますが、止まらない美味しさ。高知県にこのお菓子があるというだけで羨ましい。
休んでいると、巡航船が一緒だったおじちゃんたちが3人やってきました。山道が嫌だから国道を永遠と歩いてきたとのこと。
その中の1人、船の中で私を質問攻めにした人が私を見るなり「昨日18日目って言ったけど大違いだったよ。今日17日目だった。」と報告。
いや、もういいって…。
若い君と一緒だとか、良いペースだと言いたいのか…。一緒にいたもう一人のおじちゃんはスタートがその人より1日遅いらしく、それを気にしているようで…。もう、いいじゃない!と大声で言いたい気分でした。人は人、そんなことでしょんぼりしていても何も楽しくありません。
さらにもう一人のおじちゃんは柿を食べながら「明日は道後温泉だ~!」と楽しそうで。岩本寺に着いたら道後温泉に行くようです。それくらいの気持ちじゃないと。
土佐久礼には旅館が2軒とゲストハウスが1軒あります。ゲストハウスは何年か前にできたばかりで地図には載っていませんでした。旅館はどちらも満室だったようで、2人のおじちゃんは、到着後に電車で「須崎」まで戻ったと。
宿の少ない街は早めに予約しておかないと中々苦労しそうです。キャンプ場があって良かった。
結構ゆっくり休憩したので出発。
ちょっと先にも休憩所がありました。
ここからはひたすら国道歩き。道の駅を目指します。
しばらく歩き水を飲むために立ち止まると「明日は道後温泉だ~!」と言っていたおじちゃんが後ろからやってきました。
チラっと見て会釈をしたとき、ゾクっとしました。
巡航船の中でも、休憩所でも、人と話しているときはヘラヘラした感じで、すごく陽気なのですが、歩いているときの顔がすごく険しい。
え、何で…?と思ったら、右足をびっこを引きながら歩いていました。確かに右膝にテーピングは巻いていたのですが、そんなにひどいのかと。
歩くスピードが遅いわけではないのですが、膝があまり曲がらないようで、痛みに耐えながらの表情でした。みんなの前では何でもないような顔をしていましたが、歩いているときは必死に何かと闘っている表情。
ここに来てはじめて本気で歩いている人を見た気がします。もちろん、他の人も自分も本気で歩いていますが。日本であれば、怪我をしたり、我慢できないほど痛むならすぐに帰ることができます。でも、帰らないで歩き続ける。
そこまでして歩き続ける理由があるのでしょう。
スペインの巡礼道では「歩く目的は何か?」ということが挨拶代わりみたいになっていました。気軽に聞かれることが多かったです。もちろん、スペインの巡礼道も様々な理由で歩きに来ている人がたくさんいるので、気軽に聞くことが失礼にあたることもあります。
本物のお遍路さんを見たような気持になり、「人はなぜお遍路を歩くのか」について考えながら歩いていました。正解はないですが、高知県が終わる頃、私なりの答えが1つ出ました。
道の駅の手前にゲストハウス。岩本寺の5kmほど手前です。「ゲストハウス四万十」。
道の駅が見えたところで、左手に色鮮やかな場所がありました。
ガソリンスタンドの裏手で、公園かと思ったら駐車場のような場所。他の紅葉に先駆けて、赤とピンクがまざったような優しい色合いが目を引きました。
ちょうど正午に「道の駅 あぐり窪川」に到着。
先ほどのおじちゃんも休憩をしていましたが、ベンチに荷物を置いて立っていました。膝を曲げるのが痛いのかもしれない。
広い道の駅。中にはいろんなお土産やちょっとしたお弁当類も売っています。塩けんぴもいっぱい。
レストランもあります。何を食べようか散々悩みました。あぐり豚のカレーも食べたいけど、あぐり豚の肉まんも気になる。今日は岩本寺近くにある古民家カフェに行く予定なので、カレーだとお腹いっぱいになる。悩んだ末に肉まんしました。
野菜も豊富です。
そして、肉まんとともに惹かれたのが「アイスクリーム」。安芸市の焼きナスアイスといい、高知県は初めましての味のアイスがたくさんあって、本当に美味しいそう。ついに食べました。
「四万十栗」を食べたかったのですが、券売機にはなく販売していないようだったので「仁井田米」にしました。
お米が細かくされて入っており、つぶつぶかりかり感がありました。甘すぎず、すごくさっぱりした味で、とても美味しかったです。甘いものが食べたいというよりは、さっぱりしたものが食べたいというときにちょうど良さそうな味。
古民家カフェの前にもうひとつ、芋けんぴで有名な「四万十郷 水車亭」に寄りたいので出発。
絶品芋けんぴ。水車亭
*道の駅あぐり窪川〜水車亭:3.1km*
残りの国道56号を優雅に歩きます。
道の駅の近くに養鶏場直売店「こっこらんど」がありました。養鶏場直売店とは…ここのアイスやロールケーキも美味しそうです。
岩本寺の次の目的地「足摺岬」が出ました。95km。高地も終盤戦。到達まで3日かかるところが実に高知らしい。
途中でへんろ道を逸れて「水車亭」に到着。すごく立派なお店でした。
中には名物がいっぱい。その奥にあらゆる芋けんぴがズラリと並んでいました。味がとにかく豊富で、選びきれず。スタンダードな芋けんぴ、塩けんぴ、青のり、生姜、黒糖、さつまいもチップス、お徳用に大きな塩けんぴ…とにかくたくさん。パッケージからしてもう美味しそう。
芋けんぴが食べたいという家族にまだ送っていなかったので、ここで送ることにしました。
「購入品以外に不要なものを一緒に送れますか?」と聞くと、快く承諾してくださいました。ということで、この時点で不要だと判断したものをまとめて返送。1㎏くらい軽くなりました。
食べ歩き用にスタンダードな芋けんぴを購入。塩けんぴと相当迷いましたが、それは帰ってから食べることにしてスタンダードな方を。
水車亭の芋けんぴ、めちゃめちゃ美味しかったです。スタンダード芋けんぴ特におすすめ。
自宅で塩けんぴを食べました。塩もすごく美味しいのですが、水車亭の塩けんぴは他の塩けんぴよりも少し太め。塩加減は控えめという印象。個人的に塩けんぴは細い方が美味しいと感じました。他の塩けんぴは細くて、塩がもう少し強い感じで、私はそちらの方が好みでしたが、水車亭は原材料の芋がうまい。
満足にお土産を買うことができ、荷物も軽くなり、朗らかに古民家カフェへ向かいます。
岩本寺からすぐ。古民家カフェ半平
*水車亭~古民家カフェ半平:600m*
古民家カフェ半平は、昨日スーパーを調べているときに発見しました。ここまできてようやくカフェに入ります。
岩本寺に向けて歩いていましたが、気が付いたら岩本寺の目の前。あれ?カフェあった?と、来た道を戻るとありました。
手前が駐車場になっており、その奥に建物があったので気が付かずに通り過ぎていました。
明治34年に建てられたという建物で、土佐の伝統的技術が駆使されているとのこと。
靴を脱いであがります。とにかく格好いい。
中では素敵な「組子細工」の展示がありました。
作品単体も素敵ですが、この部屋にあると見栄えが素晴らしい。
飲食スペースも素敵すぎる。奥の座敷へ。
半平抹茶パフェかこんまいパフェか迷いましたが、こんまいパフェと半平ブレンドコーヒーを。
抹茶が濃厚で、深みのある味。とても美味しかったです。珈琲ももちろん。自分好みの酸味少なめの珈琲でした。
1時間くらいゆっくりしました。スーパーに寄り忘れたので、少し戻ってサニーマートへ。そのあと、ちょっと気になった宿を見てから岩本寺へ。
華やかな天井画。37番「岩本寺」
*半平~サニーマートなど寄り道~岩本寺:1.4km
こちらが気になったお宿「美馬旅館はなれ木のホテル」。
美馬旅館は別にあって、それとは別に新しく木のホテルがオープンしたらしい。外から見ただけですが、外観も内観も素敵でした。とても居心地が良さそう。この向かいにも建物があり、受付はこちら的な看板がありました。
岩本寺の街は歩くと結構面白かったです。
蔦に覆われた昔ながらの喫茶店もありました。
こちらのサイトにお店の情報と、窪川のちょっとした紹介がありました。ノスタルジー爆発。ここでウィンナーコーヒーっていうのも渋くて良かったな・・・
岩本寺の門前には果物やジュース、アイスを味わえるお店や和菓子のお店がありました。
16時頃岩本寺へ。
本尊:不動明王,観世音菩薩,阿弥陀如来,薬師如来,地蔵菩薩
宗派:真言宗智山派
開基:行基(天平年間729~749)
四万十川を西に臨む岩本寺。川の上流には仁井田明神が鎮座しています。行基は聖武天皇の勅願により、この地に7つの寺を建立しました。弘仁年間には弘法大師が訪れ、さらに5つの寺を建立。それぞれの本地仏として、不動明王像、観世音菩薩、阿弥陀如来像、薬師如来像、地蔵菩薩像を安置しました。天正の兵火により衰退し、再興さしたときに「岩本寺」と改名。5つの本地仏と札所が継承されました。五つの本尊を有し、真言もそれぞれに唱えるというのは88ヶ所でもここだけです。
参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ
16時を過ぎて、境内も静まり返っていました。
アメリカンなベンチ。
岩本寺といえば有名なのが「天井画」。
本堂に入った瞬間驚くほど鮮やかで、明るい空間に包まれました。天井を埋め尽くすありとあらゆる絵。
天井画は575枚あり、再建時に公募して400人が参加したものとのこと。宗教や国に関係なく様々な人に訪れて欲しいという思いから、テーマは設けなかったそうです。そのため、とにかくいろいろな絵が並んでいました。
マリリンモンローがお寺の天井にいるのが不思議。
見応え抜群の本堂でした。
コロナで休業している宿坊も多い中、岩本寺はやっていました。食事を出せるかどうかはその日の人数に寄るようですが「食事をしているのは自分だけだった」という方にもお会いしました。
お手洗いは宿坊のものを利用するので中に入りましたが、綺麗な宿坊でした。
そのあとに納経所へ。岩本寺の住職さん、とても変わった方でした…。
女性のご高齢の方で、新聞を読んでいました。「こんにちは~よろしくお願いします」と納経帳を差し出すも…反応なし。動きません。新聞を読み続けています。
え、無視…?と思いましたが、そのまま待ちます。おそらく、切りのいいところまで読もうとしている。
まだ17時じゃないですよ…ちょっと呆れながら30秒くらい待ちました。すると「もう、終わりですよ。」といきなり言われました。
時計をみるも16時半。「え?」というと「秋は日が早いから」と言って新聞をやっと閉じました。あー、そういうこと…。
お釣りをいただいたあとに「こちらでテントを張らせていただけるとお聞きしたのですが、今日は可能でしょうか?」と尋ねると「境内にテントは張れないよ。」と返されました。
「ガレージをお借りできると聞いたのですが」というと「物がたくさんあってテントなんか張れないよ。そのまま寝てもらうことになる。」と。
「テントは張れなくてもいいのですが、よろしければ見せていただけますか?」というと「見たいって言われても勝手に見てもらわないと。私はここから動けないから。」と。
何でそんな態度なの…
「場所を教えていただければ自分で行きます」というと「あなたみたいに見るだけみたいなんて人いないよ。」と…。
なんなのさ…でも借りる側なので文句は言えず。
「寝られればいいので、今日泊まらせていただけますか?」とちょっと語気を強めて言うと、嫌々渋々という感じで、引き出しから「野宿者のために車庫解放」と書かれた案内図をくれました。
トレイは壊れているから、斜め向かいにある「遊芸庵」というお店の横にある公衆トイレを使うようにと説明を受け、納経所をあとにしました。
借りる側なので悪くは言えませんが、堂々と新聞を読み続けていた時点でちょっとそれは…という感じ。
岩本寺が悪いわけではないですが、たった一つのことで印象がガラリと変わってしまいます。後々会う方にこのお話をすると「あー、岩本寺の住職さん変わった人でしたね」と、同じような印象でした。
岩本寺のガレージで雨風凌ぐ
説明通り、ガレージへ。
2年くらい前のネット情報では、テーブルやイスが置かれ、悠々とテントを張っている感じでしたが、ドアを開けると確かに倉庫状態。
本が所狭しと積まれていました。椅子をどければ1人用のテントなら張れるかなくらいのスペース。
手前に折り畳みのベッドとイスが一つ、ゴミ箱がありました。埃っぽいですが、鍵もかかるし、寝るだけなら問題ない。何よりポツポツ雨が降ってきているので、雨風凌げるだけで十分。
ベッドにテントのインナーシートを敷いて、マットを乗せて寝ました。
電気はつきますが、本に阻まれて紐に届かない。ロープにかかっていたハンガーで手繰り寄せて点けました。コンセントも使える状態。
遊芸庵のトイレは奇麗なトイレでした。多目的トイレのような広めの個室トイレ。24時間使用できます。
最後にちょっと気分が下がってしまいましたが、峠も芋けんぴも古民家カフェもお寺も、充分に楽しんだ一日。次はいよいよ足摺岬の38番金剛福寺。3日かけて歩きます。
★本日の歩行距離:22.4km
★累計:445.5km
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