2020.11.3(火)
高知県高知市 晴れ☀ 21/14℃
歩き人たかちです。
今日の寝床は34番種間寺の通夜堂を予定。遍路宿ととろっとのご主人、ゲストハウス水仙のお母さん両人にお勧めされました。種間寺の通夜堂は16時以降でないと「まだ歩けるよね?」と断られるとのことで、必ず16時以降に納経所に行くように言われました。なので、今日は、龍馬気分でゆっくり桂浜散歩をして向かいます。
お地蔵様のお寺。32番「禅師峰寺」
*ホテルサウスブリーズ~禅師峰寺:8.6km*
ここのホテルは朝食バイキング付。高知駅周辺は宿だらけで迷いましたが、美味しそうな朝食と大浴場が付いているということで選びました。GO TO利用で2000円ちょっと。クーポンをいただいて実質1000円ちょっとという破格さ。
朝食は7時からで、高知の名物などがある美味しいバイキング。おかずも飲み物も種類が豊富で、中でも「土佐茶漬け」が美味すぎた。ウツボの唐揚げに出し汁をかけていただきます。ウツボは美味しいと聞きますが、何の癖もなく美味しかったです。他にも高知市にある老舗のパン屋さんのパンとかゆずジュースとかいろいろ。朝食開始が6時半からであればゆっくり珈琲も飲みたかったのですが、いろいろありすぎてお腹も追い付かないので諦め7時半頃出発。
昨日、竹林寺から歩いてきた道を戻ります。Yさんは今日、巡航船計画のために5時頃出発すると仰っていました。次はいつ会えるか、はたまたもう会えないか。
昨日の雨が嘘のように雲一つない快晴☀昨日桂浜の日だったら泣けました。焼山寺を一日延期したことで、快晴の桂浜散歩ができます。そう考えると、あの延期も無駄ではなかった。未来のことなんてわかりませんが、うまくまわっているようです。
高知県は本当に鯨の街です。いいなー。
通学の学生が自転車で通り過ぎていく中「青柳橋」を渡ります。昨日の風景とは大違い。
竹林寺からへんろ道は県道247号へと続きますが、竹林寺には行かないので県道376号を通りました。そちらの方が10分弱早いのでGoogleに従います。
「大畑山トンネル」に歩道があるか心配でしたが、ありました。「大平山トンネル」は通らずに高知高等技術学校の方へ進んで行きます。
地図上の「住吉池」の場所には「高知県立池公園」という少し大きめの公園がありました。東屋が点々と配置され、トイレ、水道もあります。自動販売機もあったと思います。高知市内から少し離れるので、民家も密集しているような感じではなく野宿はしやすそうな環境でした。
禅師峰寺を終えたお遍路さんとすれ違いながら、大きな道路を離れて禅師峰寺の小高い丘を目指します。
ここから登り。
禅師峰寺は標高82m。70m弱登ります。
小さな山を気持ちよくハイキング。すぐに着きました。
本尊:十一面観音菩薩
宗派:真言宗豊山派
開基:行基(創建807年)
境内からは土佐湾が一望でき、寺は海上交通の安全を祈願し建立されました。弘法大師が巡錫した際、境内に奇岩や奇石が立ち並ぶ様が観音菩薩の住む天竺の補陀落山のようであると感得し、十一面観音菩薩を本尊としました。本尊は「船魂観音」と呼ばれ、船乗りや漁師から篤い信仰を受けてきました。江戸時代には、参勤交代で浦戸から出航する藩主も、航海の安全祈願に立ち寄りました。本堂は海を向き、いつも扉が開かれています。標高80mほどの山は「峰山」といい、地元では「峰寺」と呼ばれ親しまれています。
参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ
禅師峰寺はかわいいお地蔵様がたくさんいるお寺でした。笑顔に癒される。「おかげさま」って言葉が好きです。
お寺からは土佐湾一望。ベンチもあって、小高い丘の上なので静かで、とても落ち着くお寺でした。桂浜まで続く綺麗な海岸線が延びています。
ゴツゴツした石の周りには石仏がいっぱい。
竹林寺には「潮の干満岩」があります。潮の満ち引きによって、くぼみに溜まっている水の水位が変わるという不思議な岩。確かめてみたい・・・。
納経所には「ポン菓子」がありました。どれでも100円。たまに食べるとすごく美味しいですが、口がパサパサになりそうだったので、やめておきました。
とろとろの鰹の藁焼き
*禅師峰寺~土佐タタキ道場:4.8km*
この先「浦戸湾」を渡るにあたり、へんろ道上には無料の「県営渡船」が運行しています。桂浜に寄らなければ、ほとんどの人は船に乗って33番の雪蹊寺まで行きます。渡船の時刻表は地図に記載がありました。
私は桂浜に寄るので、この渡船は利用せず少し遠回りで雪蹊寺を目指します。その場合は大きな「浦戸大橋」を渡りますが、この歩道はなかなか狭いです。
禅師峰寺を打ち終え、県道14号をひたすら西へ向かいます。いやー暑い。
ずーっと歩いていると「日本サンゴセンター」に着きました。サンゴ大好きなのでちょっと寄ってみます。
中には高知のお土産と、珊瑚のアクセサリーなどがありました。資料の展示もあるのですが、このときは改装中とのことで、本当に一部しか見ることはできませんでした。サンゴのアクセサリーがすごく素敵で、タイピンにもなるというサンゴの小さなブローチを購入。高知県の思い出をまた一つ、ウェストバッグに付けます。
ちょうど1000円だったので、地域クーポン券を利用。
そこからちょっと歩くと、今度は「ドライブインかつお船」。11時だったのでここでお昼休憩をすることに。
せっかく高知を歩いているのにまだ「カツオのたたき」を食べていません。そろそろ食べておかないと食べずに終わりそうと思い、どれがいいかメニューを見ながらお店を検討。
その中で一つ、やけにお客さんが出入りしているお店がありました。外で呼び込みもしていて力が入っている。
「土佐タタキ道場」という、藁焼きの体験ができるお店でした。単品か定食かの2択。定食を食べるほどのお腹ではなかったので、藁焼き体験の単品を。
中に案内されるなり早速藁焼き。燃え上がる炎を前に、言われるがままカツオを炙ります。炙り終わるとすぐさま切る担当の人に渡して、スーッと柔らかそうに、滑らかに切られ、私の元に返ってきました。
お店の前の写真は5切くらいだったのですが、倍はある。こんなに食べられるだろうかと思いましたが、そんな心配はよそにペロリでした。
もう、本当に美味しくて…。とろけるってこういうことか…と、口の中で、全身で感動。初めて食べた本場の味。今まで食べていたカツオとは全然違う。
お店の人に「まずは塩で味わってからポン酢でお召し上がりください」と言われましたが、塩がめちゃくちゃ美味い。半分以上塩で食べました。
後の宿で、テレビや雑誌によく出る有名店だとお聞きしました。
おはぎのお店も気になりましたが、もう食べられない。カツオの余韻に浸りたいので桂浜へ。
坂本龍馬にこんにちは
*土佐タタキ道場~坂本龍馬像:3km*
浦戸大橋の前には「種崎千松公園」があり、ここには無料のキャンプ場があります。公園全体がキャンプ場となっていて、思い思いにテントが張れるとのこと。「テント100張り」というキャッチフレーズがあるようです。海水浴場にもなっているので、夏場は人が多そうですが、どこでも張れるなら混んでいてもどこかしらには張れそうです。
日程が合わなかったので利用しませんでしたが、日程が合えば利用しようと考えていたキャンプ場。
そして「浦戸大橋」に突入。
情報通り歩道が狭い。トラックがくるとぶつかりそう。交通量も多いです。それでも、住民の方はランニングをしていました。生活道でもあります。
渡り切ると室戸とはまた違う桂浜ブルーが待っていました。室戸ではマグマの痕跡がゴツゴツとありましたが、ここはTHE海岸。果てしなさを感じます。
国民宿舎から公園内の遊歩道に入りました。「上竜頭岬」が先にあったので行ってみました。いやー本当に太平洋の色。
岬は小さくて人がわちゃわちゃしていました。
断崖絶壁に岬らしさを感じます。
そこから桂浜に下りていきます。
室戸もなかなか荒々しい海でしたが、桂浜の波も勢いがあります。ザッブーンという音に強さを感じる。入ったら身体をもっていかれそうな力強さ。
しかし、綺麗です。すごく。
ここに桂浜水族館がありました。晴れた海にくると炭酸が飲みたくなるので、そこの自動販売機でファンタグレープを購入。何年も飲んでいませんでしたが、秋の照りつく太陽につい。
炭酸のように波もシュワシュワ。
最高の桂浜日和。
昨日Yさんに巡航船のことを聞いたとき、桂浜に行ってみたいと話すと「気になっているなら行った方がいいよ」と言われました。Yさんも富士山に登ったとき、一番高い場所である「剣ヶ峰」に行かなかったことを今でもちょっと後悔していると。せっかく来たのだから気になった場所は行かないと。
今日36km歩かなくてよかった。
ここから、階段を上って坂本龍馬に会いに行きました。
思ったよりもでかい…。5m30cm。
お顔が遠い!と思いましたが、なんとそのすぐ横で「龍馬に大接近」という企画が行われていて、龍馬の横顔を見ることができると。2ヶ月間のイベントで、100円で登ることができました。
横顔が見たいというよりは、龍馬が太平洋を眺めている姿を同じ目線で見たい。ということで、登りました。
完全に龍馬と同じ高さ。太平洋を見つめる姿が凛々しいこと。空も海も青くて言うことなし。
龍馬目当てではないとしても、いい眺めです。
龍馬をじっくり見つめたあと、しばらく龍馬像前のベンチで休憩。今日は文化の日なので人が多く、地元の方や遠方から来ている旅行の方にたくさん話しかけられ、激励していただきました。
地元の方と話したとき「地元の人でも歩いて回る人は少ないよ。歩き遍路はやっぱり特別、価値が全然違うから」と言われました。もちろん、時間をつくらないとできないことではありますし、車でも自転車でも回っていることに変わりはありませんが、たくさん応援していただけるのは嬉しいです。
歩き遍路では定年退職後の男性が多く、20代ということだけで結構注目されます。よく「何で歩いているの?」と聞かれました。私は特別な理由があるわけではなく「アウトドアが好きで、歩いて四国の文化や自然を見てみたかったので」と答えていましたが、歴史的には罪を償うとか、病気が治るようにということが多いので、若い人が歩いていると興味深いようです。
龍馬さん、さようなら。
天気が味方をしてくれて、本当に良かった。
風が吹き抜ける。33番「雪蹊寺」
*坂本龍馬像~雪蹊寺:4km*
公園の入り口に来ました。お土産屋がたくさんあります。
国民宿舎から入り、竜王岬、本浜、龍馬像、そして今土産センターにいます。
浦戸湾に沿って歩いていきます。
静かな港街を歩いていると一人のおじいちゃんに「雪蹊寺ならあっち方が近いよ」と話しかけられました。おそらく県道のこと。Googleはへんろ道が最短と出ます。「こっちの方が静かに歩けるので」と言って話していると、今度は自転車に乗ったおじいちゃんがやってきて「何?何?どうしたの?どこ行きたいの?」と会話に加わりました。
みなさん本当に優しい。でも、迷っているわけではないんだ、おじいちゃんたちよ。
話がまとまりそうになかったので、地図を見せて「ここを歩いていきます」と言うと納得した様子。おじいちゃんたちとばいばい。
種間寺周辺にはお店がないので、雪蹊寺手前の「ナンコクスーパー長浜店」に寄りました。小さいスーパーかと思いましたが、品数豊富なスーパーでした。今日の食料を調達。
梨のバラ売りがなかなかなくて、いつも2個売りばかり。しかし、ここにはバラ売りがありました。果物はバナナを食べていますが、そろそろ他も食べたい。新高梨はちょっと高いけど、せっかくバラ売りしているので購入。
すぐに到着。山門はありません。
本尊:薬師如来
宗派:臨済宗妙心寺派
開基:弘法大師(創建815年)
四国霊場に二つだけある禅寺の一つ。はじめは「高福寺」という真言宗のお寺でした。鎌倉時代の仏師である運慶・湛慶親子も滞在し、仏像を制作したと伝わります。運慶作の薬師如来像と日光・月光菩薩像、湛慶作の毘沙門天像、吉祥天女像などはすべて国の重要文化財で宝物館に安置されています。鎌倉時代に「慶運寺」と改名されましたがその後荒廃、長宗我部元親が再興し臨済宗に改め「雪蹊寺」となりました。
参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ
ここの手水舎にはかわいい修行大師?
雪蹊寺もまた静かな場所にあるお寺。隣には「秦神社」、周辺には「長浜城址」や公園があり、街中にありながらも緑が多く、風が抜ける爽やかなお寺でした。さわさわと葉を擦る音がすごく良くて、今日もベンチでぼけーっと。
境内ではいろいろ売っていました。「鯨ジャーキー」がすごく気になった。
田んぼにぽつん。34番「種間寺」
*種間寺まで6.3km*
地図を見ても種間寺は静かそうな場所だなというのが窺えます。
川沿いの県道278号を真っ直ぐ歩いていくとやがて民家も少なくなっていきました。
心が和む里の風景。
そして、一面のコスモス畑。
ここまでで一番大きなコスモス畑。15時を過ぎて、淡い黄色の秋の日差しが、濃いピンクをほんわか和らげて、とても柔らかい印象のコスモス畑。
この種間寺への道は個人的にとても良かったです。空が広くて、とても豊か。歩いた時期も正解。
農道をくねくね歩き、最後は用水路の脇を2kmほど。
途中にベンチが置かれていました。看板には可愛い絵とともに
「今日もお疲れ様です。お急ぎの旅とは思いますが、一度足を止めてゆっくり春野の空を見上げてみて下さい。もしかしたら何かを見つけることができるかもしれません」
と書かれていました。
「ここの空いいなー」と思いながら歩いてきましたが、住民の方にも自慢の空のようです。心にぐっとくる何かが見つかると思います。こんな文言見たら急げない。
15時50分、種間寺到着。種間寺も山門なし。
本尊:薬師如来
宗派:真言宗豊山派
開基:弘法大師(創建:弘仁年間)
種間寺近くを流れるのは「二淀川」。全国でもトップクラスに入る水質を誇り、周辺に広がる田畑を潤します。寺の創建は古く、用明天皇の頃といわれます。その前の敏達天皇の頃には、大阪の四天王寺造営のために百済から多くの工匠が渡来しました。しかし、帰国時に一行の船を嵐が襲い、寺近くの秋山に避難。そこで航海の安全を祈って薬師如来坐像をつくり祀ったことが起源とされています。後に弘法大師がその像を本尊に堂宇を建立しました。そのとき、唐から持ち帰った米や麦、粟などの五穀豊穣の種を蒔き、土地が豊かになるよう祈りました。種間寺の由来はそこからと伝わります。
参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ
参拝していると団体さんがわらわら。
あ…と思いつつ、16時を過ぎたので納経所へ。
団体さんの分やってるな~でも今日はここでおしまいだからいいかと思って並ぶと、すぐさま「個人の方どうぞ!」と言われました。2人態勢で団体の対応をしていましたが、並んだ瞬間の対応が素早い。こんな感じで納経所の方から声をかけていただけるとすごくありがたいです。
納経帳をお渡しして返されたタイミングで「今日、通夜堂をお借りすることはできますか?」と尋ねると、チラっと時計を見ました。16時を確認したと思われます。お話通り、時間にはかなりきっちりしているみたい。
「1人?」と聞かれ、忙しそうだったので「はい。終わるまで外で待ってます。」と返事をすると「うん、悪いけどちょっと待ってて」と言って、団体の対応を先に。
終わると「これに名前とか書いてください。あそこが通夜堂の建物で、鍵は開いているから。特に何時までとかの決まりはないけど、なるべく早めに出発してください。」と説明を受け、名前とか住所とか記入してノートを返し、通夜堂へ。
私の前の人の日付は一週間くらい前でした。種間寺の通夜堂は人気とのことですが、歩いている人の少なさを感じます。
ガレージ横のお部屋が通夜堂。
お話通り、通夜堂はとても綺麗に管理されています。6畳程の和室で布団は2組。
種間寺の通夜堂のすごいところは、布団がふかふかであること。シーツは使用後毎回洗濯されるので、旅館のように清潔です。使ったシーツは玄関のところに置いて出てくださいと、ドアに案内がありました。
そして、なにより温水シャワーを浴びることができます。
タオルまで敷いてあります。
とても素敵な通夜堂でした。
種間寺の通夜堂は、女性が先に申し込んでいたら男性はお断り。男性が先であれば女性はお断りとお聞きしました。女性でも安心です。
一番に申し込むために16時前に種間寺に着くようにいきましたが、一応断られたときのための代替案も考えていました。種間寺周辺には宿が無く、良い野宿地もありません。
断られたら3.5km先の「はるのゲストハウス」に電話しようと思っていました。へんろ道からちょっと逸れるだけの場所にあるので問題なし。ネット予約が可能なので、空室があることも確認しておきました。
結果的には無事に通夜堂に泊まることができて一安心。鍵もしっかり閉められます。お手洗いは、種間寺の駐車場にある綺麗な公衆トイレを使用します。
桂浜にも寄って、カツオのたたきも平らげて、高知をたくさん取り入れた一日でした。
★本日の歩行距離:26.7km
★累計:371.4km
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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