2020.11.12(木)
高知県三原村 晴れ☀ 19/6℃
歩き人たかちです。
今日は、高知県最後の札所39番「延光寺」。そのあとは「松尾峠」を越えて、3県目の愛媛県に入ります。今日の寝床はまだ決まっていません。先の行程を考えて40km近く頑張ってしまうか、28kmに留めて一本松温泉でゆっくりするか悩みどころ。一本松温泉近くにあるグラウンドの休憩スペースは野宿が黙認されています。松尾峠ではたくさんのエールに包まれました。
高知県最後。39番「延光寺」
*清水川荘~延光寺:9.2km*
宿の人は「帰るかもしれないし、そのまま居るかもしれない」と言っていましたが、5時過ぎに起きるとテレビの音が聞こえたので、帰らなかったようです。
みはらのじまんやで買ったごはんを食べて6:30頃出発。テレビの音がするのでてっきり起きているのかと思いきや「すみません。」と言っても返事なし。ノックをしても反応なし。まあ、いいかと思って靴を履くと中でゴソゴソっと動いたので「ありがとうございました!」と大声で言うと「あ…はーい!気を付けてねー・・・」と寝起きの声が聞こえてきました。一晩中テレビをつけていたのだろうか。
外に出ると身震いする寒さで、ここに来て初めて手袋をしてウィンドシェルを着ました。三原村は標高120mほどですが、山間の集落でとても寒かったです。このあと、愛媛の山間にも行きますが、三原村の方が寒かったです。野宿は震えていたかもしれない。
寒いので、早歩きで県道を下り身体を温めます。吐く息も真っ白。
やがて「宿毛市」にはいりました。
トンネルの手前に「三原村いこいの森 梅の木公園」が県道の下に見えました。東屋がポツン…とあります。ここでの野宿は寒そう、結露やばそう。足摺岬手前でお会いしたテント無し野宿のMさんはここで野宿をしたと。予想通りめちゃくちゃ寒くて、シートをロープで張ってなんとなく壁をつくったそうですが、めちゃくちゃ結露していたと。
トンネルを抜けると左手に「中筋川ダム」がありました。
綿を切れないように薄く薄く伸ばしたような雲が朝日を浴びてすごく綺麗。しばらく見ていました。水鳥がバシャーっと飛び去ります。音も風景のひとつ。こういう何気ない場所が綺麗なんだよな。
車が一台停まり、カメラを持った男性が降りました。5分くらい写真を撮って去っていきました。やっぱり自分は歩いて繋ぐのが好き。学生時代にそれを知ってしまったから、こういう風景を見逃すのが惜しいと感じる。点だけを回るのではなく、線にしたい。
つーんと冷たい空気をかき分けるように下ります。
道も平坦になってきました。平田町の中へどんどん入っていきます。
朝の7時半頃、中筋川には朝靄が上がっていました。大規模な四万十川も綺麗だったけど、小規模もいい。
どんどん栄えてきて、小学校の脇を通り、民家の間をうねうね歩き国道へ。
国道から農道へ。しかし、700mほど手前の電柱に貼ってある2枚のシールが右と左で別々の方向を示していました。どちらでも行けるということなのか?貼り間違いか?いらずらか…。地図とGoogleで確かめて進みました。
到着。
本尊:薬師如来
宗派:真言宗智山派
開基:行基(創建724年)
修行の道場最後の霊場。911年、竜宮からの遣いだという銅の梵鐘を背負った赤亀が現れました。そのときに「亀鶴山宝光寺」から「赤亀山延光寺」に改名。仁王門をくぐった右手には、赤亀の石像があります。本堂横や池にも亀に似せた岩が置かれます。高さ約33㎝、口径約23㎝の小ぶりの鐘は今も寺に伝わり、国の重要文化財に指定されています。20番鶴林寺の鶴の印と、39番延光寺の亀の印を白衣に押してもらうのが、四国遍路では習わしとなっています。
参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ
境内の中は人がほとんどおらず、高知の最後を静かに参拝できると思い手を合わせると…いきなり後ろがガヤガヤ。
あー団体だ…。お話し好きのおばちゃん多めの団体がワイワイガヤガヤ。「あなた、何お願いしてるの?」とか、とにかく喋りまくり。大きな声で笑いまくり。
全く頭が整理できない。団体が悪いとは言いませんが、境内では静かにしてほしい。
納経所は団体の納経帳でパンク。自分一人だったら「先にいいですか?」と声をかけますが、個人の方が2人ほど待っていたので私も待つことに。
最後のお寺でしたが、今日は峠越えなので仕方なく去りました。もう15分くらい早く着いていたら、静かに手を合わせることができましたが、タイミングだなー。
たくさんの応援。松尾峠
*延光寺~松尾峠:12.6km*
宿毛市の市街地まではひたすら国道56号を歩きます。
歩きながら今日の寝床と明日以降の行程を考えていました。
今日40番観自在寺まで歩けば、そのあとの「柏坂」の峠越えも無理なく歩けるし、その後の行程も割とスムーズ。
今日一本松温泉に泊まって明日柏坂を超えようとすると、峠を含めて30km、そこから5,6km歩かないと宿もないので峠を含めて36kmくらい歩くことになる。トイレもスーパーもその町に行かないとないし、地図上の「へんろ小屋 津島」は、野宿はNGとのこと。
一本松温泉に泊まって無理をしないなら、明日は20kmになり柏坂手前の愛南町に泊まる。
さて、どうしよう。三原村で一泊するとこの辺りの計画が少し立てづらい。でも、一本松温泉行きたいし…
松尾峠を越えてから時間を見て再度考えることにしました。
そして、そんなことを考えていたら、以前禅師峰寺で食べた羊羹パン「ひしだベーカリー」を完全に見過ごしてしまいました。
宿毛ではここに寄るんだと決めていたのに…。目の前を通ったはずですが。歩きながら地図を見たり、あれこれ考え過ぎると楽しめていないとよくわかります。
市街地まで来てしまったので、諦めました。松尾峠に入っていきます。
市内を離れ、登り始めます。海抜は0に近いので、標高差は山の高さの300m。
こういう坂がきつい。
登り切って林道になりました。右手の斜面から「気をつけてね~」と声がしました。見上げると、文旦の剪定をしていたおじちゃんがエールを送ってくれました。
分岐を左へ。
こんにちは。
そのまま平坦な、少し下り気味の林道を歩きます。
すると集落へ出ました。松尾峠に至るまで3つの集落を抜けていきます。
またすぐに山道に入り登っていく。
「人生の畳み方を探す巡礼旅 仏に出会えるこころ道」
そしてまた集落に出る。そして山へ。
いい天気ですが、峠を越えるには暑いな…
最後の集落。
ここから先は峠を目指して本格的に登って行きます。
立派な文旦を横目に。
松尾峠を登り始めると、たくさんの応援メッセージが木に吊るされていました。一体何枚あったのか。はじめは1枚1枚撮っていましたが、ありすぎて撮り切れないほど。
地元の小学生が、お遍路さんへのメッセージを。松尾峠は荒れた箇所もなく、歩きやすい綺麗な峠でした。
読んでいると、みんな宿毛の魚やだるま夕日の景色が好きなんだとわかります。お遍路さんの絵も可愛くて上手です。
励まされながら登るも、松尾峠は登れば登るほど傾斜は急になっていきます。久々に汗が滴りました。峠を越えているな〜という感じ。峠を越えて次の県に移るのは達成感があります。
「宿毛の美味しい魚食べてね」という言葉がとても多かったです。自慢できる食べ物があるって素敵。
「もう少し」「あとちょっと」という応援メッセージが多くなってきて、ちょっと緩やかになって…
宿毛湾の展望!
この展望所にはベンチがあります。昔の茶屋跡です。
峠の東屋はほんのちょっと先ですが、そちらは展望がありません。メッセージに「宿毛湾一望!」と誇らしく書かれたものがたくさんあったので、自慢の景色をお裾分けしてもらいます。
本当に気持ちの良い峠です。
動きたくなくなったので、もう観自在寺まで行くのはやめようと9割方思っていました。残りの1割は一応下山したら考えようという頭。
汗を乾かしながら遠くなった海をぼーっと目に焼き付けます。
修行の道場高知県が終わりました。
海の高知が山の中で終わりましたが、見ている景色は海。高知はやっぱり海。高知県は2週間ほど歩き、本当にたくさんの人にお世話になり、感謝の気持ちが溢れています。様々なことに気がついて、たくさんのことを教えてくれた高知県。
愛媛県はどんな物語が待っているのか、心が楽しんでいます。
しばらく休んで出発。
1800年頃は1日に200人、多い日は300人がこの峠を通っていたとのこと。昭和4年に宿毛トンネルができると歩く人も少なくなったと。茶屋や地蔵堂も今は跡だけになっています。
「菩提の道場」愛媛県
*松尾峠〜一本松市ローソン:4.8km*
「菩提」とは仏の悟りのこと。煩悩を断ち切り真理を知ることで得た境地を意味します。愛媛県は高知県の次に総距離が長いです。
ちょっと先に東屋。お手洗いもあります。
いざ、菩提の道場へ。
下りは登りに比べてかなり緩やかでした。
へんろ案内もいきなり愛媛愛南町のキャラクターつきになりました。「空海あいなん」
愛媛県側はずっと柵付き。これも県の違いでしょうか。
そのまま綺麗に整備された道を下りアスファルトにでました。高知側の方が断然山道感があります。
やがて一本松市内。賑やかになってきました。
一本松温泉と観自在寺の分岐の交差点にあるローソンに到着し、気持ちはもう温泉でした。汗かいたし、もう温泉に入りたい。ここからさらに9kmは進みたくない。
温泉に決定。
一本松温泉あけぼの荘
*ローソン~一本松温泉:1.4km*
遍路道とは逆の方へ。お遍路を歩かないと一本松温泉に入る機会もないだろう。
歩いていくと酷く醜い「メガソーラー」。山の斜面にズラリ。
なぜ、日本はこういうやり方しかできないのか。下には民家もあります。自然災害で斜面ごと崩れるという事故も起きているというのに。木を倒したら土壌が脆くなるということを今の時代に知らないわけないのに。こういうのを見るとつくづく嫌になります。
しかし、四国はとても多かったです。四国に限ったことではないですが、愛媛県は特に斜面に並べられたメガソーラーをよく見た気がします。
一本松温泉到着。
一本松温泉では野宿をしようと思っていたのですが、まだ13時14時前。大分早く着いてしまいました。
ここはGO TO利用ができて、朝食付きで3000円いかない。しかも地域クーポン券貰える。野宿で温泉に入って食料買ったとして、宿泊まりと1000円くらいしか変わらない。
さらに、普通のチェックインは15時ですが「お遍路さんは早めのチェックインどうぞ」というありがたい文言が。それが決め手となって泊まることにしました。もう足を伸ばしてしまおうと。
インターネットからしかGO TOは利用できないので、この場で予約。温泉の前にある道の駅で愛媛の名物を探しました。
愛南町のお菓子とか売っていたので見ていると、おばあさんに「あなた、どこに行くん?」と話しかけられました。「え?」と反応すると「あたしは篠山あたりに住んでるんだけど、どこまで行くん?女性一人で大変でしょう。」と。
もう少し話をすると、どうやら“うちは篠山にあるから泊まるなら”ということらしい。
「今日はここを予約したので大丈夫です。ありがとうございます。」と返事をすると「あ~予約しとるんかあ。」と、そのままレジの人と話していました。
調べると笹山は歩くと結構あるので、そもそも泊まれませんでしたが、泊まっていたらどうなっていたのかちょっと気になりました。
美味しそうなお菓子を買って温泉へ。
14時過ぎにチェックイン。
庭には池があり、日当たり抜群。寝袋もしっかり干しました。
峠でおにぎり一個しか食べていなかったので、ローソンで買った「密いも」というプリンみたいなものと、道の駅で買った愛南町の名物らしき藻塩使用のお菓子でカロリー摂取。
このあと温泉にゆっくり浸かり、野宿ができるという場所を見に行きました。
ここのグラウンドは2年前くらいに改装したらしい。大きなグラウンド。温泉のすぐ奥に階段があり、そこを登ると休憩スペースと水道とトイレがあります。駐車場には自動販売機もあるし、ここに来るまではローソンもあるし、道の駅もあるし、環境は充分すぎる。
めちゃくちゃ良い場所でした。到着してすぐここをチェックしていたら野宿をしていたな、というくらいいい場所でした。
トイレの先には階段があり、遊具のある公園に下りられます。その先にはテニスコートがあり、そこでは子どものテニススクールがやっていました。
ここのトイレや休憩スペースはどんな感じに使われるのかかわりませんが、テニススクールは夜の20時まで声が聞こえてきました。
裏山みたいな場所も車道があり、どうやら上の方は公園になっているようです。途中まで行って帰りました。
温泉には軽食のレストランもあるので、夜はそこで。
14時にチェックインできると大分ゆっくり休めます。急いで観自在寺まで行かなくて良かった。温泉の効力はやはり偉大。
★本日の歩行距離:28km
★累計:618.4km
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