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日々感謝。1200kmのへんろ道。【38日目:65番三角寺~66番雲辺寺】

お 遍 路

2020.11.26(木)
愛媛県四国中央市 曇り☁ 15/7℃

歩き人たかちです。

ついに四国霊場最高峰の66番雲辺寺

65番三角寺を打ち愛媛県とお別れ、徳島県に入り雲辺寺を目指します。実は雲辺寺は徳島県のお寺。山頂がちょうど香川県と徳島県の境目であり、山頂公園は香川県ですが、雲辺寺は徳島県にあります。雲辺寺の山頂公園にて期間限定のカフェが営業しているということで、それを楽しみに山登り♪

雲辺寺では通夜堂をお借りして、今日の寝床は山の上。昨年の2019年に新しい通夜堂になり、3人くらいが泊まれる小部屋になりました。以前はかなり広い通夜堂でしたが、大分こじんまりに変身。

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菩提の道場最後。65番「三角寺」

*ホテルリブマックス~三角寺:7.7km*

5時半起床。雲辺寺へのルートは3つありますが、どのルートをいくか迷い中。Yさんは「境目トンネル」経由で登り、その情報を下さいました。

私は「曼陀羅峠」とかどうかな~と思っていましたが、朝ごはんを食べながら調べるとなんか荒れているっぽい…。ハイカーの記録はあるので通れなくはなさそう。しかし、微妙な感じがしたので境目トンネルを第一候補として、6時45分に出発。

今日は曇り空☁︎

三角寺の標高は353m。海抜ほぼ0mから登ります。

昨日の「珈琲蔵」の前を通り、山の方へ。傾斜はどんどん急になっていきます。

小学生が通学で元気に下ってくる。この坂を毎日往復しているのか…自転車は大変だろうなとか考えつつ、自分の身体を上に持って行くので精一杯。

戸川公園の前を通ります。現在野宿禁止。

どんどん登って行くと歩きと車で分かれましたが、またすぐに合流。

そこからもどんどん登る。アスファルトの急坂きつい。朝一の身体にこたえる。

そして急に右折。こんなところに小さく案内がありました。これも見逃しそうな案内。

ここから山道。傾斜があると暑いな。

細い山道に入りましたが、10分もしないうちにまた車道に出ました。ここから私はへんろ案内に従っているつもりでした。しかし、どこかで道を間違えたようで…。

地図では戸川公園を越えた先から山道が続いています。途中には昔のへんろ石マークもついている。しかし、山道に入ったかな?と思ったら林道が続くばかり。

なんか違う…。

Googleを見ると、やはり車道にいました。しかし、そこまで長く歩いてはいないけど三角寺はもうすぐ。さっきの山道で車道は多少ショートカットしたようだけど、どこで間違えて、どこに出たのかはわからず仕舞い。どこかにへんろ案内があったのだろうか。そもそもあの山道が違ったのか?

道を間違えても大体車道で行けてしまうのが遍路道。そこは安心だったり。

結局車道を15分くらい歩くと三角寺まで700m。看板は500m。最後までバラバラなら感じ。

そこから少し歩くと…ありました、遍路道。

歩きやすそうな山道だ。

いや~どこから入口だったのか。全然気がつきませんでした。金剛杖の鈴の音が山の中から聞こえ、お遍路さんが歩いているみたい。

わからないまま三角寺に到着。写真を撮っていると、先ほどの鈴の主も到着。

「あれ、遍路道歩いてた?」と聞かれ「歩いていたつもりなんですけど、なんか車道にいました。」というと「あ〜そうなの、いやー遍路道に人いたかなーと思って。」と。そりゃ、どこから湧いてきたんだと思いますよね。

【 65番 三角寺 】

本尊:十一面観世音菩薩
宗派
:高野山真言宗
開基
:行基(創建729~749年)

聖武天皇の勅願により、行基が弥勒の浄土を具現するために開きました。815年には弘法大師が十一面観世音菩薩を刻んで安置。三角の護摩壇を築いて国家安泰と万民福祉を記念し、降伏護摩の秘法を修したとされますが、この秘法を修めたのは三角寺だけ。境内にある「三角の池」の中に、護摩壇跡とされる場所が残ります。嵯峨天皇からも篤い帰依を受け、お寺は大いに栄えました。天正の兵火で堂宇を焼失し、現在の本堂は1849年に建て替えられたもの。開運厄除、安産子安の観音として信仰を集めています。「子宝杓子」という、子供を願う夫婦がその杓子で仲良く食事をすると子宝に恵まれるといわれており、成就した際にはその杓子とともに新しい杓子を奉納することが習わしとされています。

参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ

春には桜が咲き誇るという境内。桜だけではなく、色とりどりのお花を楽しめそうです。

本堂のそばには、小林一茶が「これでこそ 登りかひあり 山桜」と詠んだ樹齢数百年の桜の古木が枝を振り乱しています。苔のついた幹が情緒溢れる。

本堂

大師堂

納経所の近くにはお手洗いと東屋。この東屋では野宿をさせていただけると聞きました。

参拝が終わったところで、Mさんが三角寺に到着。伊予西条で再会して、同じような行程になると思っていましたが、はやりお会いしました。

昨日は同じリブマックスに泊まっていたと。三角寺の東屋で野宿を考えていたけど辿り着かず、良い野宿場所も見つからなかったため一番安いホテルにしたと。

今日はやはり通夜堂。男女で被ると断られるかもということで、「私はテントがあるので。」というと「いや、ぼくは外でいいので」と。「いやいや、1000m近い山でテント無しはダメですよ。」と、お互い譲り合うも埒があかないので着いてから考えましょうと。

昨日納経所に電話で確認したそうですが、「夜は氷点下になるので、あまりおすすめしません。」いわれたそうです。

どのルートで行くか聞くと「え、そんなにルートあるんですか?」だって…なんと、Mさんは最近まで地図を持っていませんでした。ずっとへんろ案内オンリーで歩いてきたと。

46番浄瑠璃寺の納経所で「地図を持っていない」という話をしたら、納経所の人が「じゃあ、これあげます。」と黄色の地図をくださったようですが、それは2007年版。在庫処分ですねと(笑)。今日も地図を見ていないし、前回もどこを歩いたのか覚えていないということで、境目トンネルが一番良さそうだとお伝え。

一日歩けるだけ歩いて、日が傾いてきたら寝床を探して。完全に自由に歩いているMさんがなんだか羨ましかった。

宿の場合、ほとんどの人が雲辺寺から5kmほど手前の「民宿岡田」に一泊します。周辺に他の宿はなく、どうしてもここに一点集中してしまう。コロナで人数制限をしているため、Yさんは予約を取れなくて大変だったと後日聞きました。三角寺と雲辺寺を一気に越える人もいます。

Mさんも期間限定のカフェをご存知で、ラストオーダーが15時半だと言うと「え!?間に合うかな…」と心配していましたが、チーズケーキのために頑張りましょう!と先に雲辺寺へ。        

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雲辺寺へのコースについて

雲辺寺へのへんろ道は3つ。

①境目トンネル経由の佐野道 : 8.6km
②境目峠→曼陀トンネル : 10.4km
③曼陀羅峠
→曼陀トンネル : 9.7km

*分岐点から雲辺寺までの距離

①境目トンネル経由の佐野道

自分が歩いたルート。

*境目トンネルを抜けた地点から雲辺寺まで8.6km。

雲辺寺までの最短ルート。歩く人が多く道は明瞭整備も行き届いています。一番古い遍路道はこのルートだそうです。

境目トンネルを通らず、境目峠を越えて再び国道に合流して佐野道を歩くことも可能。トンネル内で県境を跨ぎたくない、旧峠道を歩きたいという方はトンネルではなく境目峠へ。(峠越えの場合は距離が長くなります。)

国道192号でギリギリまで車道を歩き、「民宿岡田」のある池田町を抜けて山道へ。山道は約2km。そのあとの林道歩きも2kmちょっとで一番短いです。

三角寺から標高100mまで下り、再び登ります。山道スタート地点の標高は300m。そこから約2kmで365mを一気に登ります。そのあとは標高差250mの車道をだらだらと。

コースの中では一番の急登になりますが、一番短いコース。

②境目峠→曼陀トンネル

*分岐点から雲辺寺まで10.4km

境目トンネルの少し手前から境目峠へ。1km程登ると再び国道へ出る道と、曼陀トンネルへ向かう道に分かれます。

国道を離れて約4km歩くと曼陀トンネルの地点に達し、そこから雲辺寺まで林道をだらだらと約6km歩きます。

国道からピークまでの標高差は約250m、林道に出てから雲辺寺までの標高差は約390m。3つの中では最長ルート

あまり変わり映えのない林道歩きが辛いと聞きましたが、境目峠にはかつて山を切り開いた石積みの道が残されていたり、風情があります。愛媛県と徳島県の県境の石柱もしっかりあります。

③曼陀峠→曼陀トンネル

*分岐点から雲辺寺まで9.7km

境目峠よりもさらに手前から山道に入ります。

ピークの曼陀峠の標高は570m。そこから曼陀トンネルの地点まで下りになり、境目峠からの道と合流。そこからは同じく6kmだらだら登る。

国道から曼陀峠までの標高差は340m。境目峠からの山道よりも標高差は大きいです。

3つの中では2番目に長いルート。

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とことん歩く。境目トンネルまで

*三角寺~境目トンネル:10.4km*

三角寺を出たあとに、朝会ったお遍路さんがいました。私とMさんの会話が聞こえていたようで、「境目トンネルが一番いいよ。」と教えてくれました。ということで、境目トンネルに決定。

早速小腹用のパンを食べながら歩いていると、伊予三島の街が一望の休憩スポット。目の前の民家の方が置いたテーブルとイスだと思います。お遍路さん用に置かれているのかは不明ですが、とてもいい眺め。

何もない林道を3km程歩いていきます。

40~45分くらい歩くと民家がでてきました。

「ゆらぎ休憩所」には東屋。トイレはなし。

ここの看板には・・・雲辺寺29km

いやいやそんなわけないでしょう。これは、車の距離だと思われます。でも車のお遍路さんがここで休憩することもないだろうし、ちょっとややこしい看板。

今日も住民の方に応援されながら歩きます。「どこから来たん?」とおじちゃん3人組に声を掛けられ、東京と答えると「東京の人は多いね~千葉とか埼玉も多いよ。」と。まあ、人口が多いからな。

しかし、これが四国の場合は「あ~地元か。」と言われるそうです。Mさんは徳島県なので、その反応がちょっと寂しいと仰っていました。

途中には、家の隣に小屋みたいなものをつくっている人がいました。高いところで背を向けて釘を打っていたので挨拶は控えましたが、Mさんはお話をしたようで、なんと善根宿を作っているのだと。完全にその方個人で。

三角寺から雲辺寺まではトイレがありません。宿も、境目トンネルを経由した場合の「民宿岡田」のみ。

「トイレは男性ならなんとかなるけど、女性はそう簡単な問題ではないでしょ?だから、休めるような小屋をつくって、トイレを設置しようと思っている。」と話していたそうです。

心温まるお話。トイレの設置は結構お金がかかると思います。資金を援助してもらえるわけでもなく、完全にその方の善意。どこまでも頭が下がりっぱなしの四国。

やがて国道に合流。

水を発見。「手洗いにどうぞ」と書いてあります。飲めるわけではないのか。

コンクリートのバス停にはゴミ箱が置いてありました。多分ここで野宿する人もいるんだろうな。

時刻表を見てみると…あれ、朝の一本だけ?

もう少し歩くと「へんろ小屋 しんきん庵 法皇」がありました。国道に面しているので、野宿にはちょっと落ち着かない環境。ここでしばし休憩。

だらだらと登っていきます。

5分程歩くと、曼陀峠への案内がありました。

さらにその先の境目峠の分岐もスルーして奥へ。

境目トンネルの手前には、自然に還りそうで還らないバスが一台。以前このバスは素泊まりバス(宿)だったそうです。前はバスに貼り紙があったそうですが、今はありません。中を見てみたい気持ちもありましたが、カーテンは全て閉まっていて、開ける勇気はありませんでした。そもそも開くのかどうか…。

「気をつけてね〜」と工事のおじちゃんに見送られトンネルへ。

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実は徳島県。66番「雲辺寺」

*境目トンネル~雲辺寺:7.7km*

トンネルを抜けると徳島県の三好市になりました。トンネル内で愛媛県とはお別れ。ありがとう、愛媛県!

あっという間に終わってしまいました。しかし、香川県はもっとあっという間。4県の中で歩く距離が断然短いです。

お遍路前に寄っていた大歩危小歩危とかずら橋。歩いていけるじゃん。

地図上にあった「お食事処 水車」は既に廃屋。

この辺りには、使えなくなった車がたくさん放置されていました。フロントがぐしゃっと潰れている車も多く、事故車が放置されているのだろうか。

トンネルを抜けて下っていき、そして池田町へ入ります。

歩いていると「民宿岡田」発見。庭には浴衣が干され、前日もお遍路さんが泊まっていたようです。この宿がなくなったら、かなり大変だろうな。コロナ禍でも営業しているのは“ここが休業したらお遍路さんが困る”という思いが強いと思います。

宿泊まりの場合「ここに泊まらなければ」という宿がいくつかありますが、この宿もその一つ。ここ以外だと遍路道から結構逸れます。その代わり、池田町までの送迎をしてくれる宿がほとんどです。コロナ禍でさえ、ここの予約を取れなかったという方もいたので、早めの予約が吉。

先の木材の前を通って、いよいよ雲辺寺への登り。

池田町、さようなら!

車道を登っているとへんろ案内がありました。

おっと、いきなりめちゃくちゃ急だな…

車道をショートカットしながら上へ上へと行くので、山道に辿り着くまでが一番急でした。

ようやく山道でほっと一息。聞いた通り、整備の行き届いた綺麗な道でした。急な箇所もありますが、さっきの車道の方が辛かった。

落ち葉、落ちまくり。ふかふか。

四国霊場最高峰、ここまでいろいろな道を歩いてきました。雲辺寺が最後の難所。そのお寺ももう目と鼻の先。

ここを登り切って方向が変わってから傾斜が緩やかになりました。

良い感じに歩いていると車道に合流。

やがて林道は広くなり、ときどき車も通ります。えっちらおっちら登っていると参道の看板。

ここから歩き遍路の道は、また車道をショートカットしながら続きます。

参道っぽい綺麗なアスファルトになり、ほぼほぼ到着。

13時半に到着。思ったよりも早く着きました。

雲辺寺を下山した最初の宿は4.3km先の「民宿青空屋」。この時間だと秋でも日暮れ前に辿り着きますが、今日はもう終わり。通夜堂をお借りするには早い時間なので、参拝をして先に山頂公園のカフェに行くことにしました。

【 66番 雲辺寺 】

本尊:千手観世音菩薩
宗派
:真言宗御室派
開基
:弘法大師(創建789年)

88ヶ所で最高所910mに建つ雲辺寺は「涅槃の道場」の関所寺。遍路ころがしの難所であり、香川県の最初の札所となるが所在地は徳島県。弘法大師が16歳のとき、75番の善通寺の建材を求めて山に登った際に、深遠さに心を打たれ一夜にして堂宇を建立したと伝わります。その後も大師は難所を2度登り、僧呂の学問修行の道場として「四国高野」と称されるほど栄えました。阿波、伊予、讃岐に接することから、関所としての役割もありました。天正年間に長宗我部元親が雲辺寺に参拝し、四国制覇の野望を住職に打ち明けたところ諫められました。天正の兵火により堂宇を焼失したお寺が多い中で、雲辺寺は戦禍を免れ手厚い保護を受けました。

参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ

本堂

青白く光っていました。ライトアップみたい。

「おたのみなす」。くぐった先にあるナスに願いを込めて腰をかけるそうです。

大師堂

雲辺寺は香川県側からロープウェイでひょいっと来られますが、今日は曇り空のためか空いています。観光地化しているので賑やかだと思っていましたが、静かで良かった。

参拝後、カフェへ。

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期間限定のカフェ「カフェルポ」

香川県の三豊市で営業していた人気の「カフェルポ」が、2020年10月15日より雲辺寺山頂公園にオープン。とてもタイムリー。

パンやケーキなど、とても評判の良い人気店ということでしたが、2020年の9月下旬に営業終了したようです。雲辺寺のケーブルカーを運営する四国ケーブルから出店の依頼を受け、山頂公園にあるスキーロッジの中に期間限定のカフェを出したとのこと。

当初は11月23日までの期間限定出店でしたが、あまりに人気なので、11月29日まで一週間延長。そんなことで、今回美味しいチーズケーキをいただけました。

ケーキ以外にも、フレンチトーストもおすすめということ。あとは「天空のソーダ」が売りらしい。いかにもインスタ映えなやつ。

さすがに標高910mまでくると汗が冷えて肌寒い。温かいカフェで一休みします。ティータイムでしたが、平日だし席は空いていました。

チーズケーキは5種類。天空のチーズケーキ、抹茶、かぼちゃ、さつまいも、和栗。秋なので和栗をチョイス。

公園の見える窓際の席でいただきます。

めちゃくちゃ美味しい!!!

しっとりして、濃厚チーズ。ほんのり栗風味。珈琲も酸味が少なくコクのある珈琲。カップもかわいいし。なぜお店を閉めてしまったの!?というほど美味しい。

延長してくれたことに感謝。幸せすぎた。

テラス席もいいのですが、今日はどんより曇りの空。汗が冷えるので中でぬくぬく楽しみました。

汗も乾き、お手洗いで顔を洗ったりして山頂公園へ。晴れていたらすごい絶景。空の公園。ブランコが人気で、アルプスのハイジのような写真を撮ることができます。ブランコには常に人がいて、みなさん一生懸命写真撮影をしていました。

施設の中にはその写真がズラリ。初夏とかすごく良さそう。

15時過ぎに再度お寺へ。

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新しくなった雲辺寺の通夜堂

納経所には到着したMさんがいました。ちょうど通夜堂のことを話していて、私も一緒に。男女なので、納経所の方には「お二人が承諾しているのであれば。」とのことで許可をいただきました。

新しい通夜堂は、お手洗いの建物に併設されていました。木の香りが残る綺麗な小部屋。川の字で3人が限界。一人違う方向に寝ればギリギリ4人いけるかという広さ。

以前の広い通夜堂には杉が貫通していて、それを見てみたかったのですが残念ながら取り壊し。

納経所の方には「本当に寒いので。夜は氷点下です。」と言われました。隙間風が入るわけでもないし、壁と屋根のある空間というだけでありがたい。

Mさんは「本当に、僕は外でいいので。」とか「ロープを張ってシートで区切りましょうか。」とか言ってくださいましたが、ロープは張れないし、凍死は困るので通夜堂で寝ましょうと。

全く知らない人であればちょっと怖さがあるかもしれませんが、通夜堂はそんなもん。避難小屋となんら変わりません。

Mさんはこのあとギリギリラストオーダーに間に合い、抹茶のチーズケーキでブレイクしていました。

以前、ゲストハウスBEKKUで聞いた医大生お遍路さんとは、八坂寺と仙遊寺の通夜堂で一緒だったと。八坂寺の環境が最強で、仙遊寺も同じだと思ったらしく「自分も泊まります」となったそうですが、その人が到着したのは19時半頃。護摩祈祷の最中に来てなんとか頼み込んだとか。

さらに温泉に入れないかと催促。通夜堂に入ると「ここはなかなか過酷な環境ですね。」と一言。翌朝、別の住職さんに「普通はあんな時間に来たら泊めないし、お風呂だって入れないから。」と怒られていたとのこと。いろんな人がいてお寺も大変だ。

Mさんとは本当にいろいろなお話をしました。

少し前は、亡くなったお父さんの部屋から出てきたお遍路の記録ノートを見て歩きに来たという人と一緒に野宿をしたそうで。ノートには「また歩きたい。」とあり、なんで2回目も回りたいと思ったのか、父の見た景色はどんなものだったのかが気になり、お父さんと同じ行程、同じ場所で野宿をしていると。お父さんの願いを背負いながら歩いているその人との一晩がすごく良かったそうです。

野宿中に「こんなところで寝たら寒いだろう。」と熱燗を持って来てくれたおじちゃんの話、納札箱に入っている納め札を取って「へえ~こんなことお願いしてるんかぁ~」というビックリなおばちゃんの話。

たまに、納札箱には「中身を取らないでください」という貼り紙があります。大体の納札箱は口が広いですが、中には貯金箱のように細く小さいものもあったり。納め札はお遍路の回数によって色が違います。100回以上の人は、綺麗な錦の納め札になり、この錦の納め札を狙っている人がいると聞きました。夜な夜な中身を漁るのか…とんでもない話もよく聞きます。

さらにこの前、日が暮れたあとも歩き続けていたら車の角がザックにバーン!と当たって若干突き飛ばされたと。幸い怪我はなし。運転手の人が何も言わずに突っ立ってじーっと見ているので「な、何ですか?」と聞くと「すみません…」とボソッと呟いたそうで。「何してたんですか?」と聞くと「よそ見していました…」と。

当たりどころが悪ければ大怪我していたかも。夜歩くのはやはり危険ですね。反射板は絶対あった方がいい。

面白い野宿話が満載。宿でも通夜堂でも1人のことが多く、このような交流がなかなかできないコロナ禍ですが、書ききれないほどたくさんのエピソードを聞きました。人との交流はやっぱりいいな。

夜は大して寒くありませんでした。曇りということもありますが、20時頃でも10℃近い。明日は、山頂公園の最低気温は10℃。外でも十分寝られたなというほど。

3日後くらいには最低気温が5℃前後になっていて、いいとき泊まりました。でも、氷点下はまだ大げさな気がする。

ついに愛媛県が終了し、残りの行程をなんとなく計算するとあと5日で結願!?香川県短い…。高知県なんて2週間以上いたのに。短いからこそしっかり目に焼き付け、たくさん感じながら歩きたいと思います。

★本日の歩行距離:25.8km

★累計:1010.2km(1000km超!)

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