2020.12.6(日)
和歌山県高野山 晴れ☀ 11/-2℃
歩き人たかちです。
今日は、高野山の参詣道の一つである「町石道」を歩いて高野山へと向かいます。高野山の参詣道は7本ほどありますが、空海が切り開き、最も使われた主要道が「町石道」。沿道には一町109mの町石が建てられています。
慈尊院~根本大塔(金剛峯寺の壇上伽藍)まで180基、そこから奥の院の弘法大師御廟まで36基の町石があります。慈尊院~大門まで約19km、大門~奥の院まで約4km、標高差は約700m、全体の所要時間は7~8時間。町石道のマップは玉川亭のご主人からいただきました。
帰りにいただいたものですが、高野山駅には大きめのマップが置いてありました。町石道以外の参詣道のマップもありました。昭文社の登山地図に全て載っていますが、これら絵地図のものが見やすく、わかりやすいです。
高野山奥の院では「生身苦」というものが行われています。お大師さまは奥の院で今も修行を続けているとされ、朝の6時と10時半にお大師さまのごはんが運ばれます。
それを見るために今日は奥の院へ行かず「恵光院」でストップ。本当は八十窪で紹介していただいた「天徳院」に泊まりたかったのですが、電話をしたときは既に満室でした。
出発の場所「慈尊院」へ
*玉川亭~慈尊院:1.7km*
5時40分起床。のそのそ起き出しコタツで朝ごはん。朝ごはんはセルフとなっていて、パン、サラダ、ゆで卵、ヨーグルト、珈琲が用意されています。
ウサギのげんじろうに別れを告げて出発。「夜行性なのでうるさいと思います。」と宿の方に言われましたが、その通り元気に動き回っていました。
真田ミュージアムや道の駅の前を通り、慈尊院へ向かいます。
自尊院は世界遺産。立派なお寺ですが、四国88ヶ所とはどこか雰囲気が違う…。白衣や菅笠のお遍路さんがいないのか。町石道のハイカーの人たちがちらほら。
鳥居へと続く階段を上がります。ここもまた世界遺産の「丹生官省符神社」。
この神社の右手に町石道が続いています。
いざ、高野山へ!
町石を数えながら
*慈尊院~二ツ鳥居:6.6km*
林道を歩いていきます。
お遍路シール発見!町石道にもあるのですね。ちょっと嬉しい。
それよりも、慈尊院にて180町の町石を見るのを忘れました…
道は歩きやすく、とても綺麗です。日曜日ですが、そこまでハイカーは多くなく、快適。
「熊出没注意」によって和歌山だな~と思う。鈴は持って来なかった。そういうときは、笛や手で適度に音を出します。
初めの方はアスファルトをぐーっと登って行きます。途中には展望台があり、九度山の景色を一望。
みかん、100円…食べたい。けど思い…諦め。
九度山の景色が終わると山の中へと入り込みます。
ゆったりと登っていきます。
「接待場」に到着。ここには弘法大師の石像があります。この石像を拝むと「遠く高野山奥の院御廟を臨む」と言われているそうです。
天気がよくて非常に気持ちが良いです。道の雰囲気は変わらずですが、初冬のハイキングとして実によい。夏場は「暑い・・・」を連発しそうですが、今の時季は最高です。
ちょっとした階段の道を上がって行くと、整備をされているグループのような方々がいらっしゃって、この先の「丹生都比売神社(にうつひめ)」のことを聞きました。「時間があったら寄ってみな〜。」と言われましたが、そこへ行くにはちょっと遠回り。結局寄りませんでした・・・
神社に寄る場合、六本杉の場所で道を逸れて二つ鳥居でまた町石道と合流しますが、二つ鳥居が神社境内の鳥居となっています。高野山参拝前に寄るのが本来の習慣とのこと。
この神社もまた世界遺産であり、町石道には世界遺産の神社が3つもあります。
景色は変わりませんが、針葉樹と広葉樹を交互に見ながら歩くのがとても楽しい。ここ2日間大した距離を歩かなかったせいか、高野山が楽しみなのか、冬の低山ハイクが最高な時季に入ったからか。全部か。
長い距離で少しずつ登って行くので、道自体は緩やか。「古峠」を越えて少し歩くと東屋がありました。展望もいいので、ここで昨日買ったおにぎりを。
すっきりと晴れてくれて感謝。相変わらずハイカーはちらほら会う程度。トレランをしている人たちが多かったです。走りやすくていいルートだと思います。
この少し先に「二つ鳥居」があります。これは、819年に弘法大師によって建立された鳥居。当時は木製でしたが、1649年に今の鳥居になりました。
おにぎりのエネルギーで再び歩いていきます。
やきもちを目指して
*二つ鳥居~矢立茶屋:6.8km*
町石も新しいもの、古いものが混ざっています。二つ鳥居まで標高を上げてきましたが「矢立」までは緩やかに下って行きます。
今までずっとお遍路さんとともに歩いてきましたが、一人も見かけません。山のハイカーばかりでちょっと寂しい。50日近く、四国の優しさに包まれ過ぎました。「一人ではない」という意識が四国を出て少し薄くなったような。「みんな無事に結願したかな~」と考えながら。
「ご苦労様」「頑張って」という挨拶から、登山と同じいつも通りの「こんにちは」という挨拶に変わっていました。
今日も明日も明後日も、四国では脈々と文化が受け継がれている。四国に魅了された人たちもそれを伝え、しかもそれが自然に行われている。ゴールを切りたくなくて歩き続ける人もいる。いつも通りの山登りの感覚になった途端、お遍路に対して様々な思いが蘇ってきました。
「白蛇の岩と鳥居」
石の前の鳥居には、小石が積まれている。
弘法大師に関するこういったものも、道中いくつかあります。
お、視界が開けた!と思ったらゴルフ場でした。
そこを過ぎると「神田」という集落に出ました。とても長閑。
木漏れ日が美しい。
落ち葉もふかふか〜。
矢立に近づくと、車の音が聴こえるようになりました。
このお地蔵様すごく良い顔。可愛いというか美人。目を閉じてにっこり。
岩と苔に溶け込んでいる感じも素敵です。
車道に出ると「矢立茶屋」がありました。ここの名物は“やきもち”。
しかし、コロナの関係で持ち帰り用の販売のみでした。以前は焼きたてを食べることができたので「ぜひ食べて!」と知り合いに勧められていたので残念。焼きたて食べたかった〜!
一つ買って外のベンチでいただきました。薄いお餅の中に薄くあんこ。癖になる感じの優しい味で美味しかったです。高野山でも販売されていました。
へんろシールがペタペタ。
ここからまた登って行きます。
清浄結界を経て大門へ
*矢立茶屋~大門:5.8km*
10分くらい歩くと「袈裟掛石」がありました。この石からは「清浄結界」になります。また、この石をくぐると長生きするとのこと。ザックを置けばくぐれそうです。
清浄結界という言葉を見てしまったからか、空気がさらにひんやりしだしたような…雰囲気が厳かになったのは気のせいか、気のせいでもいいか。高野山へと近づいているような気がして気分が上がります。
ここにも弘法大師のすごい伝説。
町石の数字もかなり減りました。
一度車道を横切り再び山道。
木の根元にお地蔵様がいっぱい。
よく見ると…んん??
こんなところにもいた!道隆寺参拝記念の子!
仲間がたくさんいて幸せそうに笑っています。海を渡ってこんなところにまで来ていました。
すぐ近くに東屋がありました。大門までもうすぐです。
朝、トレランで通り過ぎて行った人たちが戻って来ました。往復40km程。トレランの人にはちょうどいい距離のようです。
「鏡石」。これ?でいいのか?
川沿いでマイナスイオンをたっぷり浴びます。
とても緩やかに登ってきましたが、十二町を過ぎてからラストスパート!という感じで登って行きます。
急傾斜お得意の階段。
車道の方から声が聴こえてきます。ここを登り切れば大門。
そして…
到着!!!
でかーい!!!
ちょっと待って、本当に大きい。大門ってこんなに大きいものだったのですね。圧倒されました。びっくりした。青空に朱色が映えます。
周囲の人も「おお~!!!」という感じで歓声を上げています。でもやっぱりお遍路さんがいないなあ。
初の高野山。聖域に入ります。
広いのね、高野山
*大門~恵光院:2km*
高野山の第一印象は「街だ」ということ。
大門の中に広がる街。お寺が点在していて、なんだかテーマパークのようで不思議。街にお寺があるというよりは、お寺の中に街があるような。善通寺をめっちゃ大きくしたような。
お店もあるし、民家もあるし、学校もある。山上の街。
お寺は明日ゆっくり見るとして、恵光院の前にある「光海珈琲」を目指しました。
光海珈琲では、珈琲の中にたまごの黄身が入っているという「たまご珈琲」が名物。高野山を調べていた時に出てきて楽しみにしていました。
しかし、お腹が空き過ぎて頭の中は看板にある「精進カレー」でいっぱいに。
店内はこじんまりした感じ。みんなカレーを食べていて、脳内は完全にカレー。たまご珈琲のことは忘れ、カレーとセットで普通の珈琲を頼んでいました。
精進カレーは野菜中心のカレー。とても美味しかったです。登山後のカレーはやっぱりいいなあ。
そして、食べ終えて珈琲をだしていただいたとき、他のお客さんが「たまご珈琲」を注文しているのを聞いて、思い出しました。
あ、忘れてた…
珈琲の中から黄身をすくって物珍しく写真を撮るみなさん…。珈琲と黄身の相性はとてもいいようで、混ぜて飲むとまろやかなカフェオレのような味になるようです。
悔しい。次高野山に来た時の楽しみにしておきます。「チョコバナナ高野山カカオのせ」も気になるし…よし、次回。
お客さんが少ないときは15時でcloseすることもあるそうです。
お店のお手洗いには、経営までの経緯が記された紙が貼ってありました。HPにも記載があります。車での事故の際、お大師さまが助けてくださったと感じた女性が1人で経営されています。
注文時に「お大師さまにお会いしてきたんですか?」と聞かれました。その意味が、お遍路を歩いたということなのか、奥の院へ行ってきたということなのかわからず「お遍路を歩いてきました。奥の院へは明日行きます。」と答えました。
すると「お会いしたんですね。そのピンバッジ室戸ですね。まだ室戸には行ったことがないので羨ましいです。」と。どうやら"お遍路を回った"という意味だったらしい。
興味があれば、ぜひたまご珈琲を!
*光海珈琲*
大きな宿坊「恵光院」
今日の宿「恵光院」は目の前。
初めにこのお部屋で説明を受けました。宿坊の施設や朝のお勤めのスケジュールなどが話されます。
PCもあります。
デロンギまである。
お土産というか、グッズもいくつかありましたが、Tシャツが凄かった・・・訪日の方に人気がありそうなデザイン。
宿坊はとても広いです。庭を見ながらゆったり触れるソファもありました。
廊下も長い。
今回泊まった部屋の前の庭。
コロナ対策で換気をしているのか、夜になっても廊下の戸は開けられたままで、トイレに行くのがめちゃめちゃ寒かったです。寒すぎて自分の部屋の周りだけ閉めてしまいました。
外気がバンバン入る洗面。
部屋の中も冷え切っていて、すぐにストーブをつけました。
宿泊したときは"護摩木をプレゼント"というキャンペーンが行われていました。願い事を書いて、指定された時間までに受付に持って行き、翌朝の護摩祈祷に参加します。
通常であれば、護摩木は300円。護摩祈祷に無料で参加できるのは恵光院のいいところ。
他にも阿字観瞑想や写経もできます。阿字観瞑想に参加してみようと思いつつ、冷えた身体を早く温めたくて結局お風呂へ。お風呂は16時から、阿字観瞑想は16時半から。ゆっくり温まるために瞑想は諦めました。
阿字観瞑想に参加する人が多いせいか、一番乗りで貸し切り。
天徳院が満室で、他の宿を調べていたときは恵光院も既に残り2室。高野山の宿坊は基本的にどこも高く、1泊5万くらいの宿坊もあります。ゲストハウスも人気なので、高野山の予約は早めにしておくのが吉。
ストーブの前でぬくぬくしながら、奥の院や高野山のお寺の本を読んでいました。
初めはケーブルカーと言っていたYさんも、町石道を歩き高野山を満喫して北海道へと帰られました。金剛杖については、奥の院で奉納したいと申し出たところ「分身なのだから持ち帰りなさい。」と説得され、宅急便で送ったとのこと。「お坊さんの話は説得力があるね。」と仰っていました。ちなみに、買ったときよりも9cm短くなっていたそうです。
町石道は長いですが、高野山へと一歩一歩近づく感覚はとても素晴らしいものでした。何より、大門が本当に大きくて「着いたー!」という気持ちが溢れます。高野山は見所満載なので、最低1泊はしたい場所。
明日はいよいよ奥の院。修行を続けるお大師さまの元へ。
*恵光院*
★本日の歩行距離:22.9km
★累計:1221.2km
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