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「日々感謝」1200kmのへんろ道#2【7番-10番】

お 遍 路

2020.10.21(水)
天気:晴れ ☀︎
気温:鳴島市23/16℃

お遍路2日目。昨日はお寺の見方、過ごし方に戸惑いつつ出発しました。まだまだ暑い四国の地を6番安楽寺まで。

今日のお寺は7番十楽寺~10番切幡寺。お遍路の"難所"のひとつとして紹介される焼山寺について考えながら歩いていました。明日は雨予報。しかも、10mm前後というなかなかの激しさ。

へんろ道で半日山の中にいるという道は焼山寺くらいで、山好きとしては焼山寺をとても楽しみにしていました。雨がそこまで激しいならば延期か、そのまま雨の中か・・・悩みながら一歩一歩。

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朝一の空気。7番「十楽寺」

*6番安楽寺-7番十楽寺:1.2km*

6時頃のそのそ起き出して軽く朝ごはんを食べて7時頃出発。野宿スタイルだったので、宿坊の人に「泊まるところはどこでもいいの?」と、"鴨の湯"を勧められました。

鴨の湯は、焼山寺の前泊地としてお遍路さんに有名な善根宿です。小屋は2つあり、1つは女性優先なので善根宿初心者でも安心して利用できます。温泉施設の一角にあり、洗濯乾燥機まであるという最高の環境とのこと。人が多ければ外にテントを張ってもいいようで、ぜひともお世話になろうと考えていました。

しかし、このときはコロナで善根宿は宿泊停止。温泉施設も地元の方限定でお遍路さんは利用できないとのこと。

すっかり泊まれるものだと思っており、この情報は後々知ることになります・・・

安楽寺、ありがとうございました。

静かな朝のへんろ道。高校生くらいの男の子の元気な挨拶に、こちらも清々しい気分。挨拶をするときは誰でも顔を上げるので、本当に気持ちが良いですね。

電柱には大体シールがペタペタと。

[  7番 十楽寺  ]

本尊:阿弥陀如来
宗派:高野山真言宗
開基:弘法大師

阿弥陀如来が主催する極楽には「十楽」があり、人の持つ8つの苦しみを解き、10の光明が得られるようにと名付けられました。全てを焼失したあと1635年に現在の地に再建。なお、本尊は住職が背負い逃げて焼失の難を逃れたと伝わっています。

参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ

朝一のお寺は静かで空気が凛としています。キリッとした巡拝の始まり。

本堂

 

大師堂

到着時は男性のお遍路さんが1人。静まり返った境内に響く般若心教はとても風情がありました。

十楽寺にも宿坊があるので、1日目はここまで歩く人も多いです。「宿坊」とはなっていますが、中はビジネスホテルのような感じとのこと。研修の団体を受け入れることが多いためビジネスホテル風になっているそうで。納経所はその建物の1階にあります。

ただ、十楽寺は電話が繋がらないことが多々あるようです。後に会ったお遍路さんは、3回電話をしてすべて留守。仕方なく他の宿を予約したとのことでした。他の宿の人も「あ~、十楽寺は繋がらないことが多いんですよ。」と話していたので、宿泊を考えている場合は早めに連絡を取った方が良さそうです。

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大きな仁王門。8番「熊谷寺」

*8番熊谷寺まで4.2km*

十楽寺を出て再び田園風景の中を。こどもたちからの挨拶はもちろん、校門前に立っている先生にも「ご苦労様です。」と声を掛けていただきながら。

お遍路では「ご苦労様です」とよく言われます。これも一つのお遍路文化であり、あちこちで声を掛けていただきました。その地域だけでなく、四国全体の文化としてあるというのが素敵ですね。

影へんろ。

ところどころコスモスも咲いていて、秋空に映えて美しい。

8番までの道のりはギリギリまで国道には出ず、田園風景の中。しかし、へんろ案内に従っているつもりが途中から違う道を歩いていました。地図ではほとんど真っ直ぐ進んでいくのですが、気が付いたら「天然温泉御所の郷」の前に。どこかで何故か曲がってしまったようで。戻るのは面倒なので、そのまま県道139号を進む。歩道がしっかりあって一安心。

この先も、ぼーっとしながら、あるいは考えごとをしながら歩いているとこんなことがたまにありました。

ちなみに、温泉施設では軒下に、あるいは近くの「土成中央公園」でテントを張らせていただけるようです。コロナ禍の今も許可されているかは不明ですが、公園の方は特に何も記載はありませんでした。

公園と言っても道路の余ったスペースみたいな場所で、コンクリートにベンチが2つくらいあるようなとても小さな空間。車の通りは昼夜問わず多そう。温泉施設の軒下の方がよさそうな感じですが、公園の方が人目は少ないかもしれません。温泉は閉店までは人の出入りがありますが、道路の人通りは少なそうで、公園の利用者もあまりいないかと。

1日目の野宿場所として候補には挙げていましたが、初日は距離を短めにしておこうと思いやめました。2番で御朱印を貰い忘れて1時間ロスしたし、慣れるまでは何があるかわからない。

本来は仁王門を通ってからここに辿り着きますが、横から攻めてしまったので帰りに見ることにします。

[  8番 熊谷寺  ]

本尊:千手観世音菩薩
宗派:高野山真言宗
開基:弘法大師

仁王門は、木造の山門としては四国霊場最大級の規模を誇ります。また、境内にある「多宝塔」も四国霊場最大級。弘法大師が修行中、紀州の熊野権現が現れ金の観世音菩薩像を授けたとされ、それを本尊にしたとのこと。桜や藤、紫陽花などが植えられ四季折々楽しめるお寺です。

多宝塔。屋根の内側の色彩豊かなデザインが素敵。

 

本堂

背後は山で、奥へ進むほど車の音は聞こえなくなり静かな熊谷寺に。山のお寺はやはりいいですね。醸し出す雰囲気が巡拝の気分を高揚させます。8箇所目のお寺で、手を合わせる姿も少しはましになったか。

大師堂

仁王門や多宝塔は存在感がありますが、大師堂はとても小さな空間でした。88箇所でもここが一番こじんまりしていた気がします。こじまんり、好きですが。

石と苔とお寺。なぜこれほどまでに相性がいいのでしょうか。

お寺に着くとまず自然を見てしまいます。カメラを向ける対象が他の人となんか違う。この自然だからこそ、このお寺の美しさ。建物とかよりも、そんなところを見るのが好きということに気がつきました。

納経所近くのベンチでは、大学生の女の子が地元のおじさんたちと歓談中。「12月にテストがあるからそこまでには帰らないと…」と聞こえてきました。女性のお遍路さんを嬉しく思いましたが、リミットがあるようなのでこの先会うことはなさそう。残念(会いませんでした)。

行きでスルーした仁王門(裏から)。大きい!

表から。ちゃんとへんろ道を歩いていたら遠くからこれがどーんと見えたのだろうなと、ちょっと悔しい。

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暮らしの中に。9番「法輪寺」

*9番法輪寺まで2.4km*

9番法輪寺まではさらに長閑な道になりました。道路は広いけど交通量は少なく、とても静かなロード歩き。

 

突然の鳥居。何の鳥居だろう。

見渡す限りの田園風景。空が広い。

これだけのっぺりした感じだと法輪寺は見えそうですが、どこにあるのかよくかわらず。木がわさわさしているところかな。

「うるし茶屋」に到着。茶屋には草もち、アイスコーヒー、甘酒、カキ氷などの看板が。草もちが気になりましたが、今日はやっていないみたい。

地図に記載のあった「あわじ庵」という、たらいうどんが有名なお店は閉業したようです。うるし茶屋の写真しかないので、もはや建物があったかどうかも記憶にないのですが・・・。2020年4月時点での利用者の情報はあるので、コロナの影響か。うるし茶屋も休業なのか閉業なのかわかりません。

そのうるし茶屋の向かいに法輪寺がありました。

[  9番 法輪寺  ]

本尊:涅槃釈迦如来
宗派:高野山真言宗
開基:弘法大師(815年)

法輪寺はかつて、数キロ離れた山の谷間にありました。焼失後に現在の場所に再建されましたが、約200年後の安政の時代に再び焼失。明治時代に再建されました。「健脚祈願」のお寺でもあり、本堂には多くのわらじが奉納されています。

参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ

法輪寺に入ったとき、空気がスッと身体に馴染んだように感じました。その空気感がとても心地よくて、お寺自体もすごくのんびりした雰囲気で。私の中で法輪寺に勝るお寺は最後まで現れませんでした。すごく好き。

お寺に入ると、そこの"空気"を何かしら感じ取ることが多いです。法輪寺は田園風景の中にひっそりと佇み、周辺の暮らしに一番溶け込んでいるお寺だと感じました。お寺として主張していない、素朴なところがとてもいい。

ふら〜と寄って、ベンチで本を読んで帰りたくなるような場所。熊野古道でも生活道の先に神社があるとか、"暮らしの中にある"という雰囲気がとてもいいですね。

本堂  

大師堂

納経所がある建物には中庭もあり、ベンチに座って休憩できます。本当に、のんびりしたお寺でした。

猫もゴロゴロ気持ち良さそうで。

お寺の見所よりも空気。このときはお寺に何があるのか全く見ていませんでしたが、それで満足でした。"お寺を感じる"とはこのことか。ちょっとだけわかったような気がします。

しばらく休憩していました。空気をたくさん吸い込んで、名残惜しく今日最後である10番切幡寺へ。

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333段の先に。10番「切幡寺」

*10番切幡寺まで3.8km*

 

引き続き田んぼ道。

「小豆洗大師」がありました。由来は諸説あるようです。

 

「四国のみち」の分岐。へんろ道とは違う方向に行きます。ぼーっとしいてると間違えてこういうのに従ってしまったり。

歩きへんろにとってありがたい看板。曲がり角でもスピードを出して走っている車も多いので要注意。

高知県を歩いていたとき、押しボタン式の信号で赤に変わったことに気が付かず普通に突っ込んできた車もありました。人通りの少ない場所では特に、青だからと安心してはいけない。

夜に、よそ見をして走っていた車(スマホを見ていたとのこと)の角がザックに当たって突き飛ばされたというお遍路さんもいました。歩きへんろと車の事故は少なからずあったりします。

気温はぐんぐん上り、一番暑い時間に今日一番の登り。工事中の道路脇を通り進んで行くとまもなく坂道。

へんろ用品のお店もあるので、焼山寺前にやっぱり金剛杖が欲しいとかがあれば揃えられます。

休憩のベンチには先客。

周辺のお店に頼めば荷物を預かっていただけるかもしれませんが、そのまま背負って行きました。

さらに上がっていくと林道になり、山門が見えてきます。

 

ここから一気に山のお寺。手前の駐車場にお手洗いがあります。

本堂までは333段の階段。階段横にスロープもあります。木陰は涼しいのだけど・・・

階段と坂の分岐のところに建物がありました。なんて書いてあるのかわからず。今も謎のまま…。

 

最後は「女やくよけ坂」33段と「男やくよけ坂」42段を登り到着です。

[  10番 切幡寺  ]

本尊:千手観世音菩薩
宗派:高野山真言宗
開基:弘法大師(弘仁年間)

この地で修法をしていた弘法大師が衣服を繕うため民家で機を織る娘に布をお願いしたところ、織っていた布を断ち切って差し出されました。弘法大師は感動し、娘を得度させ灌頂を授けました。しかし、そのとき娘は即身成仏し、千手観音の姿に変わったと伝えられています。境内にはハサミと布を持った「はたきり観音」の銅像もあります。

参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ

本堂

大師堂

切幡寺もまた静かなお寺。参拝者もまばらで、日当たりが良く暖かいので日向ぼっこ。

ここで明日のことを考えました。予報は少し変わり、10mmだった雨は5mm前後に。それでも5mmかあ・・・「遍路ころがし」として有名な焼山寺。山好きとしてはとても楽しみにしていたので、折角なら晴れの日にゆっくりと味わいたい。明後日は晴れ予報なので、お遍路開始早々延期を決め込みました。

今日は「ゲストハウス チャンネルカン」に泊まり、明日は休養日として「鴨の湯」でお世話になろうかなと。ゲストハウスの予約を済ませ、吉野川市を目指します。

帰りはスロープ。

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雄大な吉野川、阿波中央橋へ

*切幡寺-チャンネルカン:8.6km*

連日の晴天でついにサングラスを装着。愛媛に入るまでは太陽に向かって歩くことがほとんどなのでサングラス推奨。特に高知県は、太陽を正面にギラギラの海沿いを歩くので。

美女のいる休憩所。

2km弱進んだ場所に、2階建ての「へんろ小屋 空海庵」

2階からの眺め、いいですね。お手洗いがあれば泊まりたいロケーションでした。秋風が良い感じに吹き抜けて、切幡寺で1時間休みましたが、ここでも少しザックを下ろす。

 

 

階段を上がると道が二手に分かれます。善入寺島という中洲を通り「川島橋」を渡るか、県道138号をしばらく歩き「阿波中央橋」を渡るか。鴨島駅周辺に宿泊するのであれば、阿波中央橋を渡った方が近いです。ゲストハウスは駅よりさらに手前なのでそちらへ。

本来のへんろ道は善入寺島の方で、かつては人も住んでいたとのこと。度重なる台風などの氾濫により住民は強制退去。今では無人島になっていますが、歴史ある道です。看板の説明だけ見て、阿波中央橋へと向かいました。

 

県道なので車も通りますが、数は少なく走り出したくなるような一本道。歩いている人はおらず、熱唱しても大丈夫。吉野川を眺めながらの優雅なお散歩。

しかし、とても残念だったのが・・・ゴミゴミゴミ。斜面に散乱するペットボトルの数々。橋に近づくにつれ、その数は増えていきました。

へんろ道はゴミが非常に多いです。日本はこんなにゴミが落ちている国なのかと、ほとほと嫌になったほど。ところどころに「へんろ道を世界遺産に」という看板がありましたが、まずはゴミを無くそうよ・・・という感じで。

山道のゴミはできる限り拾って歩きましたが、街のゴミは大量すぎて無理。熊野古道にゴミはなかったけど、世界遺産との違いか。自然にとっては世界遺産かどうかなんて関係ないので、残念の一言。

気分を落ち込ませながら橋に到着。長くて大きい。

 

吉野川も雄大に流れていますね。

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Pizzeria il Ceppo

今日の行程は20km程なので、遅めの昼食を取るため寄り道。橋を渡って県道30号を左折、1.2km程歩いたところにある「Pizzeria il Ceppo」でパスタをいただきました。

県道が暑すぎてそんなお洒落なイタリアンが本当にあるのかと若干疑いながら歩いていましたが、ちゃんとありました。

14時ちょっと前。ランチは111:00~15:00までで、入ったときは結構賑わっていました。安楽寺でいただいた地域共通クーポンは使えませんが、「豚肉とトマトのクリームパスタのランチセット」をがっつりと。

 

これが本当に美味しくて、美味しくて…。駅近ではないですが、人が入っているので評判なのかな。お腹が満たされて元気回復。

機会があればぜひ。

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ゲストハウス「チャンネルカン」

近くのミニストップはクーポンが使えないので、鴨島駅をさらに越えたローソンで食糧調達。go toのおかげで食費も浮く。

 

途中に「江川・鴨島公園」がありました。東屋のある川に面した素敵な公園。ここも野宿場所としてリストに載っていましたが、住民の方が結構利用しているので人目は気になりそうです。子連れの方も多いので、堂々と野宿するのはちょっと迷惑かなという感じ。やるとしても暗くなってからこそっと。

16時のチェックインとともに宿へ。今日の宿泊者は私だけでした。本来であれば海外の方も多いと思うのですが、コロナで閑散としていることが窺えます。

とても綺麗なゲストハウスで、フリードリンクやお遍路情報もたくさんあります。

 

ベッドの中。

共有スペース以外にも、食べたりするスペースがあります。コロナなので特別に飲食スペースとしても利用できるようです。

共有スペース。

フリードリンク類。キッチンはないのでお湯はポットから。

本や資料もたくさん。こちらで「萩森リスト」をいただきました。


萩森リストの閲覧はこちら

Just a moment...

シャワーは1で男女共有。シャンプー、リンス、ボディソープと揃っていました。お手洗いは男女別。

シャワーと洗濯(¥100)を済ませ日記を書いていると、19時頃にゲストハウスのオーナーの男性がいらっしゃいました。明日の焼山寺を延期にして鴨の湯でお世話になることをお話すると・・・

「あ、鴨の湯今やってないかもなぁ…電話で聞いてみた方がいいかもしれない」

え・・・。まだ営業時間だったので電話をすると、コロナにより宿泊は中止。温泉も地元の方限定で、お遍路さんは受け入れていないとのことでした。

仕方ないので激しめの雨の中焼山寺に行くかと思いましたが、11番の藤井寺近くにある「旅館吉野」に電話をしてみたところ部屋が空いていたので、そちらでお世話になることにしました(焼山寺の前泊、後泊の宿として利用する人が多い)。そうすれば藤井寺もゆっくり見られる。

「どちらからいらっしゃいますか?」と聞かれたので事情を話すと「お昼頃には宿に入れるようにしておきますので」とのこと。藤井寺くらいしか行くところがないなと思っていたので、感謝感激。

鴨の湯をとても楽しみにしていたので残念ですが、コロナでは仕方がない。3日目にして早速休養日となりますが、急いでないし「まあいっか」という感じ。この「まあいっか」が結構大事。

ゲストハウスのオーナーさんが来なかったら鴨の湯に向かっているところでした。ありがとうございます。


ゲストハウス チャンネルカン

5〜11番の札所は送迎もしてくれます。

 

Guest House Channel-kan ゲストハウス チャンネルカン
臨時休業のお知らせ いつもご利用頂き、ありがとうございます。 誠に勝手ながら、下記の日程にて臨時休業とさせていただきます。 大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承頂きますよう、お願い申し上げます。 2023年 10月17日、18日

明日は3kmの移動と藤井寺です。

▲ 歩行距離:22.6km
▲ 累計:43.3km

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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