2020.11.13(金)
愛媛県愛南町 曇り☁時々晴れ☀ 21/10℃
歩き人たかちです。
愛媛県に着いたら寄り道したい場所がありました。愛南町の「外泊」(そとどまり)という地域。ここは「石垣の里」と呼ばれています。集落の各戸を囲む、がっちりと組まれた石垣が美しい外泊。ここには宇和島市から出発するのだと勘違いしていました。昨日改めて調べると、40番観自在寺のすぐ近くの「御荘」というバス停からバスが出ていると。宇和島からバスに乗るとここで乗り換えということでした。危ない危ない…
昨日観自在寺まで行かなくて良かった。今日は峠の関係で20kmの行程。11時台のちょうどいいバスがあったので、観自在寺を参拝したあとに外泊行くことにしました。
歴史と暮らしを垣間見る、とても美しい場所でした。
いい風が吹く。40番「観自在寺」
*一本松温泉~観自在寺:10km*
朝ごはんは通常7時半からですが、お遍路や仕事などで朝が早ければ7時からも対応してくれます。さらに6時50分くらいでも大丈夫ですと言われました。今日は早くないので7時でお願いしました。
6時まで寝ていたのはいつぶりか。観自在寺まではここから10km、約2時間なので8時15分頃出発。
宿を出ると、地面が濡れていました。昨夜雨が降ったようです。昨日の場所へ戻り、観自在寺まではひたすら国道を歩きます。歩道はとても広々。
「蓮乗寺トンネル」も歩道の広い綺麗なトンネルでした。壁のタイルは珍しい。白いタイルでトンネル内も明るい。
トンネルを抜けると観自在寺の街。大きなスーパーもあります。
街の中はとてもレトロ。良い感じのレトロ。建物とか看板の文字とか、少し昭和の香りが残る街でした。
バス停「御荘」を確認してから観自在寺へ。
本尊:薬師如来
宗派:真言宗大覚寺派
開基:弘法大師(創建807年)
愛南町の御荘平城に建つ、菩提の道場最初の札所。1番の霊山寺から最も遠いため、四国霊場の裏関所とも呼ばれています。平常天皇の病気平癒を祈願して、弘法大師が薬師如来、阿弥陀如来、十一面観音をつくりました。3体は「一木三体」「一刀三体」の像であり、一本の霊木を一刀入れるごとに3度礼拝しながら刻んだとされています。天皇から庶民まであらゆる人々の帰心を受け、厄除祈願の根本道場として信仰を集めました。
参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ
仁王門をくぐり、本堂へ向かうと「八体仏十二支守り本尊」がズラリ。自分の干支の守り本尊に願をかけるとのこと。
いろんなお顔。
大師堂には「独鈷杵」や「三鈷杵」も置かれていました。弘法大師は度々これらを投げたということですが、こんなものどうやって投げたんだという大きさであり重さ。
その下に「高野山奥之院」の文字。何だこれと思ったら、大師堂の周りには四国88ヶ所のお寺の名前が書かれていました。「お砂踏み」ができるとのこと。ここで88ヶ所、さらに高野山奥之院まで回れます。
目玉の迫力。
観自在寺は宿坊のある大きめのお寺でした。風の通る気持ちの良いお寺。
手拭い販売コーナーもありました。心に優しく語り掛けてくるような手拭いも言葉。
納経所は本堂の中です。
外泊行きのバスは11時20分発。まだ時間があるので、宿坊前のベンチでぼけーっと待ちます。
観自在寺の宿坊は素泊まりなら予約しなくてもいいとのこと。空きがあるかは確認した方が良さそうですが。ここもおすすめされた宿です。
先にスーパーで今日の食料を調達しようかと思いましたが、往復で20分弱、中でウロウロする時間を入れるとそこまで余裕はなかったのでやめました。
11時過ぎに観自在寺を出ました。
ここで暮らす。愛南町「外泊」
*観自在寺~御荘バス停:450m+散策約2km*
*御荘(11:20) → 外泊(11:49)*
門前には「ご縁茶屋」。金土日のみの営業。
来た道を少し戻りバス停へ。
バス停前の「モンマート」でみかんサイダー。愛媛県ではみかん祭りにします。
外泊まではバスで30分程。宇和島からだと2時間くらいかかるのて、昨日気が付いて本当に良かった。
バスが発車してからわかりましたが、御荘の次のバス停「平城札所前」がさらに観自在寺から近いバス停でした。ネットのバスの時刻表には記載がありませんでしたが、単体で調べると出てきました。帰りはここで下車。
中泊を過ぎて外泊に到着。バス停の近くに「しおかぜ」という休憩所があるので、荷物はそこに置かせていただきました。
帰りのバスは12:36発。観自在寺に戻ってから10km歩くので、このバスに乗らないと真っ暗になってしまいます。散策できるのは45分程。たっぷり時間がある訳ではありませんが、集落はぐるっと周れます。ただ、一つひとつにあまり時間はかけられない・・・。
左側から歩いてみました。
はじめから城塞のような石垣。沖縄の石垣とは全然違います。
川も流れていて、昔の洗い場であり井戸端会議の場であったとのこと。
中泊の人口が増え、次男三男の人たちが移り住んで山を切り開き外泊の集落をつくったとのこと。山を切り開いたときに出た石を積んで強風や塩害から家を守ったことが、この石垣のはじまりだそうです。
所狭しと積まれた石垣。当たり前ですが、触れてみるとものすごくがっちりと組まれています。微動だにしない。そうでないと自然から守ることはできませんが、これを一つひとつ積んだのかと思うと気が遠くなります。
「この豊かな海があれば生きていける」そんな確かな思いが、ここで暮らすことを可能にしたのでしょう。
人間は生き物だと、しっかり実感できる集落です。
現在は空き家、空き地も多くなっているようです。空いたところは広場のようになっていて、ベンチなども置いてありました。
山側は以前段々畑でした。今は山林になっていますが、かつては中服まで畑が続いていたそうです。
「ここで生きていくんだ」という、生物としての強い意志がこの石垣を生み出した。人間にも、人間以外の生物にも、適地だと思う場所で生きていくという意思はあると思いますが、それって実はすごいことだと思います。その一つの思いで、とんでもないものをつくりあげてしまう。あるいは進化していく。
何でも便利になる世の中で、自分はどんな動物なのかとふと考えました。根本を考えず「自然なんてなくたって生きていける」と、そんな思いを持っている人もいるでしょう。繋がりを無くすことはとても恐ろしい。
石垣と家の隙間はわずか。集落内も細い道や階段が続き、尾道に負けず劣らず。
今でもここで生きる人がいる。それは、ここが豊かだから。
どんな山奥にも、気象の激しい海にも人は住んでいます。「恵みを見つける目」「豊かだと思う心」それらを無くしたときは人間が生き物ではなくなるとき。
スーパーがあればいい。コンビニがあればいい。生きることの根本ってそういうことではないよね。ここに居ると、そう問いかけられている気がしました。
四国を歩いて、心が豊かな人たちを毎日見ています。それってすごく幸せなこと。通勤していた時は、電車の中で死んだ目がうようよしていました。自分もそんな風に見られていたかもしれない。
誰にでも声を掛けて、支え合って、笑顔で生きていく。だからみんな四国に惹かれるんだなと。「四国病」という言葉があります。お遍路を歩くと四国病にかかる人がたさくんいると。移住したり、何度もお遍路を歩きにきたり。ここまでにもたくさんお会いしました。
四国には、すごく「人間的な文化」があります。飾らずに一緒に生きていく楽しさがあります。四国病になる気持ちがすごくわかります。もう半分くらいなっているかもしれない。
宇和の海がとても綺麗でした。高知とはまた違う、穏やかな海です。
集落の中には休憩用の東屋があります。
そこにはありとあらゆる、色とりどりのお雛様が。
ここでは「だんだんひな祭り」というイベントが3月〜4月頃に開催されます。そのときに、石のお雛様を募集するそうです。それらが、集落に置かれています。
休憩所のすぐ近くには「だんだん館」という、カフェのある資料館、お土産屋さんのような施設があります。昔の民家を模して造ったそうです。海を見ながら休憩できます。
ゆっくりしたかったのですが、バスの時間があるので外から少し覗いただけで散策の続きを。
Googleで「石垣の里」と表示される場所。
これは「遠見の窓」。家の中から船や海のようすを見るための凹。
45分では足りない。カフェにも寄って、2時間くらいかけてじっくり見たいです。
私以外にも観光で来ている方がいました。ご家族で来ているようでしたが、声がすごく大きくてちょっとうるさい…。騒いで歩いたり、じろじろ見るのは暮らしている人に迷惑になってしまいます。
屋敷神様。石垣の中に祀られている、大漁と事業繁栄の神様。
石垣の里の一番高いところに位置する民宿。現在も営業されているかは問い合わせないとわかりませんが、お遍路を逸れて泊まるのもいいかもしれない。
休憩所に戻るとこんな地図がありました。見るポイントが書かれています。これを見ながら歩けば良かったのね。
またバスに揺られて観自在寺へ戻りました。
国道56号とみかん。
*バス停平城札所前~かめや旅館:10km*
残り10km。スーパーに寄って、ひたすら国道56号を歩いていきます。
この数字が何を示しているのか気になりましたが不明なまま。オレンジロードの距離?
バス停?休憩所?よく見ずに通り過ぎました。
歩いていると反対車線にみかんの無人販売がありました。みかんーと思っていたら、近くにいた女性に「取り立てのみかん食べるー?」と声をかけられました。
カゴいっぱいに入ったみかん!30コくらいあって「全部持って行ってもいいよ」と言われましたがさすがにそれは無理。
大きめのみかんを4ついただきました。
嬉しさいっぱいで歩いているとローソンの看板。
これから向かう柏の街です。
あ、ローソンあったの…というか、新しくできたみたいですね。地図に記載がなかったのでお店はないと思っていました。
緩やかに坂を上がっていくと海。
そして、柏の街に入ります。
すぐに今日のお宿「かめや旅館」に到着。
かめや旅館
お礼の納め札がたくさん。
今日も一人で泊まります。
足摺岬以降、お遍路さんを全然見なくなりました。みなさんどこへ行ってしまったのか…。
一日の中で1人か2人に会うのみで、今までちょこちょこ会っていた人たちも一気に見なくなりました。
かめや旅館は奇麗な宿でした。
お風呂は3人くらい入れる大きさ。洗濯機は無料でした。
お風呂に入り、いただいたみかんを食べてゆったり。
外泊まりで「暮らし」「生きること」「動物であること」などを考えました。とてもいい一日でした。四国の魅力をまた一つ垣間見て、明日からの行程も非常に楽しみです。
2018年には「カフェ&ランチ かしわ」という、カフェと宿泊ができるお店もオープンしていたようです。これは知らなかった。
★本日の歩行距離:21.5km
★累計:639.9km
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