2023.5.16-5.19
1日目:天川川合-弥山小屋
★2日目:弥山-八経ヶ岳-釈迦ヶ岳-持教の宿
3日目:マダニに噛まれてエスケープ
ーーーー 当初の計画 ーーーー
3日目:持教の宿-笠捨山-玉置神社
4日目:玉置神社-熊野本宮大社
歩き人たかちです。
昨日は、天川村から"川合道"を歩いて弥山小屋でテント泊。新緑の美しい尾根をのんびりハイクしながら大峯奥駈道がはじまりました。大峯奥駈道や水場のことは1日目の記事にて。
縦走2日目は朝一で八経ヶ岳に登頂し、その奥の釈迦ヶ岳へ。バリエーション豊かな大峯奥駆道。夏前の5月の暑さの中、アップダウンを繰り返して"持教の宿"を目指します。
ーーーーーーー
天気:晴れ ☀︎
気温:弥山5時7℃/日中25℃前後
風:北西7〜8→西2m/s
弥山小屋ー▲八経ヶ岳ー舟ノ峠-揚子ヶ宿小屋ー▲釈迦ヶ岳ー深仙小屋ー太古ノ辻ー天狗山ー嫁越峠ー地蔵岳ーヒクタワー涅槃岳ー証誠無漏岳ー阿須迦利岳ー持教の宿
▲ コースタイム:11時間10分
▲ 歩行距離:22.7km
▲ 累積標高差:+1344m
-2187m
釈迦の森[ 弥山-釈迦ヶ岳 ]
弥山小屋ー八経ヶ岳ー明星ヶ岳ー舟ノ峠-揚子ヶ宿小屋ー釈迦ヶ岳:CT5時間40分
昨日の風は朝まで残り、換気が十分で結露なし。モンベルのシュラフ#3に、シルクのインナーシーツでちょうどよく眠っていました。
日が長くなり、日の出は4:45。それでも、東に比べると西はちょっと遅め。弥山の山頂は東側に木があり日の出は見えませんが、"国見八方覗"は東側がひらけています。
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風が強く、ちょっと出遅れて見に行くと、霞みがかった東の空にぼや〜っと浮かんでいた。夕日みたいな朝日で今日がはじまる。目が覚めるような強烈な光を放つ朝日もいいけれど、こんな曖昧な朝日も趣深い。
仲間と屋久島の宮之浦岳を縦走したとき、新高塚小屋を出発して、日の出の時間に"白石"という開けた場所に到着。特にチェックしていた場所ではなかったけど、もののけ姫で夜明けにモロとアシタカが話しているような岩の場所で。そこでBGMを流したら、もう完全にもののけ姫で。
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屋久島には敵わないけれど、大峰山脈には同じような雰囲気を感じる。西日本の深い濃い森。もののけの気配がこの山脈にはどことなくある。
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ちなみに、国見八方覗の手前にもテントを張れるスペースがあります。小屋から少しだけ奥に入った場所。朝日も見られるし、静かでとても心地よい場所でした。ここだったら星がもっともっと綺麗に見えたかもしれない。
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5:30頃出発。持教の宿まで歩くには遅い出発だけど、日の出を見てしまったからな。日が長いから、なんとかなるだろうと。
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八経ヶ岳までは30分ほど。下って登り返します。八経ヶ岳周辺は"オオヤマレンゲ"の保護区になっており、鹿避けネットが張ってあります。梅雨時期に咲く、純白の上品な花。見てみたいなあ。
この時期の山の朝は、歩くのにちょうどいい気候。そして・・・
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近畿最高峰の八経ヶ岳に登頂◎
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これから歩く道。奥のちょっととんがった三角が釈迦ヶ岳。あそこで今日の行程の半分ほどですが、遠いなあ。
朝一の八経ヶ岳より。ゆっくり撮ったつもりが、風が寒いからか思ったより早かった・・・
風が強く、15分ほどで山頂をあとにする。さて、私の大峯奥駈道のはじまりはじまり。
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枯れ木の風景を進みながら、明星ヶ岳を巻いていく。
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1694mのピークを巻く手前から、倒木やら崩れ、斜め道とアスレチック的な感じに。急斜面にはロープと鎖。ゴツゴツの岩道も出てきて、天川村からの道とは一変していく。
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登りがあれば下りもある。小さい石はコロコロ転がり、落石注意。名のない大きな岩峰だった。
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今日もミヤマカタバミが可憐。激しさと優しさが混ざる1本の道はバリエーション豊かで、この時点ですでに他の熊野古道とは一味違う。
はじめて歩いた熊野古道は伊勢路・中辺路。その頃からたぶん虜になっていた。昨年は小辺路を歩き、今は大峯奥駈道。言葉でうまく表せないけど、熊野古道には惹きつけられる何か独特の空気がある。好きなんだよなあ、熊野古道。
大峯奥駈道は電波の入る場所が限られており、弥山は圏外。両側開けた場所で試みるとたまに電波が入ります(東側がひらけていると入りやすい傾向にありました)。
大峯奥駈道にはコバイケイソウが多く、釈迦ヶ岳あたりまでしばらくコバイケイソウロードが続きます。まだ時期ではないけれど、鮮やかな緑が修行の道を彩る。咲き乱れると圧巻ですね、きっと。
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フレッシュグリーンに眩しさを感じたら、ハウチワカエデロード。新緑の葉がキラキラと輝き、幹が白いために森が眩しい。足元は草地でふっかふか。ついさっきガレ場を歩いていたとは思えないメルヘンぶり。
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一面のコバイケイソウ。パッとひらけたと思ったらトラバースで道は細く、脆く。そんなのを繰り返しながら前進。
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揚子ヶ宿小屋に到着。狼平避難小屋に比べて少し小さめ。中は同じく2階建で、1階は7人くらい。このポイントにそんなに集まることもないのかな。
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小屋裏にはテントスペースがあり、3,4張り程度。その奥を直進していくと、水場があるようです。まだ十分あるので確認はしませんでしたが、看板には4分とありました。
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揚子ヶ宿小屋を過ぎて仏生ヶ岳の巻道へと徐々に登る。道は笹ロードになり、蒸し暑くなっていく。
トラバースしていたら、はじめてのすれ違い。女性のソロハイカーで「本宮まで行くの!いいなあ〜今日は30度超えだから気をつけてね!」とのこと。サコッシュの温度計は25度を超えている。
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さらに、日帰りの男性ソロハイカー。天気がいいので釈迦ヶ岳には人がいるかと思っていましたが、周辺を歩いている人もちらほら。
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森歩きは続き、濡れている地面の先に・・・鳥の水!!
登山道脇にある貴重な水場(涸れていることも)。2日前まで雨が降っていたし、思っていたより水量がありました。何より、冷たくて美味しい…!この暑さで手持ちの水はあっという間にぬるくなっており、飲んだ気がせず。とりあえずがぶ飲みをして、3L補給。
暑い時期は、食料でエネルギー補給するよりも冷たい水を飲む方が元気出る。水のありがたさが半端ない大峯奥駈道です。
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そこから少し歩くと"孔雀の覗"に到着。断崖絶壁の大展望。緑が濃ゆいなあ。ここは電波良好で、天気予報を確認。
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孔雀の覗から先は釈迦ヶ岳ワールド。先に見える登り返しにばかり気が向いていましたが、その手前も岩場やら鎖やら。ちょっとしたアップダウンの笹道かなと思っていたら甘かった。
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あっついなあ〜と歩いていると、足元に可憐な小花が・・・オオミネコザクラ!見られるのは明日の行程かと思っていましたが、こんなところに一輪ちょりん。かわいい。
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釈迦ヶ岳の序章が終了し、急登の登り返し。残り600mという距離をどう感じるか。蒸しあっつい笹道からはじまり、三点確保の岩場になっていく。無風、暑い、溶ける。この季節は長い。いろいろ越えて、空が近くなり・・・
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釈迦ヶ岳登頂◎
あー、着いたー・・・そんな感じ。
山頂に一番近い登山口である"太尾登山口(旭登山口)"からの人が多いようですね。八経ヶ岳方面から顔を出す人が少ないようで、山頂に到着するなり「どこから来たの?」「どこまで行くの?」といろいろ聞かれました。
突き抜けるような青空。夏のように積乱雲を心配しながら歩くこともない5月。歩けば暑いけど、日陰は爽やか。そんな、本物の夏には敵わないところが初々しく"初夏"の2文字が頭に浮かぶ。あっついあっついと悪態をつきながら登っていますが、初夏好きなんです。なんだかんだ。
思っていたよりも午前中ゆっくり歩いてしまい、持教の宿までの時間が気になる。釈迦ヶ岳はひとつの目的地でもあったけど、持教の宿まではまだ5時間以上。長くて暑いアップダウンは続く・・・
笹ロード[ 釈迦ヶ岳-嫁越峠 ]
釈迦ヶ岳-深仙小屋ー太古ノ辻ー天狗山ー嫁越峠:CT3時間
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釈迦ヶ岳からひとまず"深仙の宿"へ。こちら側は歩きやすい笹道。日陰ほぼなしロードが続く。
山頂でお話した方に「下りたところの水場(かくし水)出てたよ。冷たくて美味しかった。」と教えていただきました。ここは一応"枯れない水場"で、登山道上にある貴重な水場。しかし、釈迦ヶ岳手前の"鳥の水"でがぶ飲みして、量も十分あるのでスルー。
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笹道を下り下り下り、ロケーションの良い"深仙の宿"に到着。青くて小さいお宿。気持ちのいい開けた草地で展望もいい。この時期コバイケイソウの草がいいアクセントになっており、なるほど、これはテント泊したくなるメルヘンさ。
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中はコの字型なので、詰めても4人が限界かな。
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吉野から歩きはじめ、前泊が行者還避難小屋の場合はここがちょうどいいですが、弥山小屋出発の場合ここだとちょっと早い。かといって、次の持教の宿までここから9.4kmとちょっと遠い。
南奥駆道は水場がさらに乏しくなるため、行仙の宿から先は適当にビバークするにもちょっと悩ましい。そのため、持教の宿から玉置神社まではやはり一気に歩きたい。行仙の宿に泊まれば玉置神社まで楽ですが、持教の宿からだと近い。日程を1日増やすか、12時間前後の行程を歩き続けるか。歩きながらもそんなことを考える奥駆道ですが、基本どこでもビバークできるというのは精神的には楽ですね。水さえ持っていれば・・・
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テントを張ってダラダラ午後を過ごしたい気持ちを抑え、深仙の宿にさよなら。
釈迦ヶ岳周辺の笹道はそのまま続き、歩きやすいかと思いきや道はだんだん細くなりちょっと厄介になったり。人の気配もまた消えていく。
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春からちょっと時間が経ったような、濃ゆいピンクのアケボノツツジ。
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24時間を表示しちゃうところ、素敵。さすが奥駆道だ。
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大日岳の山肌に映えるピンク。このあたりはツツジが美しいのですね。
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ツツジの次はピンクのぼんぼり!
突然シャクナゲロードに突入しました。しかもちょうど見頃。玉置神社のシャクナゲを楽しみにしていましたが、このあたりもこんなに咲くのかあ。地図には"石楠花岳"とあるし、*シャクナゲと記載もありますが、こんな感じなのか。シャクナゲに囲まれと気分が華やかになりますね。
蘇莫岳を越えたあと、なんとなく踏み跡を辿っていたら道を誤りロスタイム(看板は笹に埋もれていた)。10分、15分のロスでも、ロングのときはちょっと痛い。同じように間違えた人たちの踏み跡だと思いますが、暑くても集中ですね…
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笹道がムッとする空気を放ち、気力を奪う。いつまで続くのー早く終わってくれーと悪態をついていると、草地の歩きやすい道に。
夏らしい空が広がり、気持ちだけは清々しい。初夏のこの時期、アニメのような夏の空気感をすごく楽しみにしているけど、実際夏がくると溶けそうになっている。そして、溶ける溶けると言っているうちに夏が終わる。
子どもの頃は暑さも気にせず蝉の声に心を弾ませていたけど、いつから数字を気にするようになったのか。今ほど暑くはなかったと思いますが、それが自分の子どもと大人の境目だったのかもしれません。
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暑そうだねえ。暑いよねえ。
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シャクナゲロードがしばらく続く。石楠花岳の案内がありましたが、それはスルー。スルーしてもいいやと思うほど、道中シャクナゲです。
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千と千尋の朝のシーンのようなシャクナゲロード。シャクナゲ好きだなー。
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深仙の宿から細かいアップダウンを繰り返し"天狗山"に到着。なんとなく山頂に立ちましたが、特に何も。持教の宿まで7.1km。
ちなみに、石楠花岳〜天狗山までの尾根部分には「クマ・カモシカ」と記載があります(昭文社)。目撃情報多め?
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線路は続くよどこまでも状態
コバイケイソウの群生が広がり、花の咲いた道を想像しながら歩いていくと"奥守岳"に到着。正面の"地蔵岳"への登り返しを見つめながら、ここからの山越えをカウントダウンしていく。
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奥守岳を下っていくと"嫁越峠"。地図上で廃道になっている方面に"悪路"の看板。今も歩く人がいるのだろうか。
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嫁越峠には、なんとなくテント場になっている場所が2,3箇所あります。草地の気持ちがいい場所で、ビバークしやすそう。水を十分確保していればストップするのもありですね。
ちょっとした日陰で少しクールダウンをして、この先のアップダウンに備える。
アップダウン[ 嫁越峠-持教の宿 ]
嫁越峠ー地蔵岳ーヒクタワー涅槃岳ー証誠無漏岳ー阿須迦利岳ー持教の宿:CT3時間5分
嫁越峠から先、地蔵岳・涅槃岳・証誠無漏岳・阿須加利岳を越えて、ようやく持教の宿。まだまだです。
![](https://takachi-ho.com/wp-content/uploads/2023/06/D94C2179-794B-42AE-A9F6-A90E08BC4240-1024x683.jpeg)
地蔵岳に向けて登っていく。暑すぎてもはや無心。早く持教の宿の水場で冷たい水をがぶ飲みしたい・・・。水はすっかりぬるくなってしまい、飲んでも飲んでも全然潤されず。
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地蔵岳の山頂手前に"天狗の稽古場"があり、緩やかになります。ここも気持ち良くテントを張れそうな草地。早くゴロンしたい。
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天狗の稽古場のもう少し先、地蔵岳に到着。"子守岳"とも書いてありますね。
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地蔵岳から今日のノルマが見えました。一番左のちょっと高い山が"涅槃岳"。そこからさらに2つの山頂を踏み、ギューンと下った先に持教の宿がある。近づいているはずなのに遠いなあ。
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傾きはじめた太陽の日差しがまた暑い。公園のような綺麗な道で歩きやすいですが、虫が増えてきました。ハエと黒いやつらが1日の終わりを迎えるように乱舞。
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普通の通過点みたいな場所に"般若岳"があり、その先の"滝川辻"に到着。このあたりも適当にテントが張れそうです。もう、目に入るところ全部テント場に見える。
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今季新しく導入したモンベル「U.L. フォールディングポール100」。春の日帰りで試しただけでしたが、今回、これのありがたさを実感しました。暑さにやられた身体を前進ささせるのにすごくいい。疲弊しているときは特に、強い味方ですね。
どんどん下っていき"乾光門"に到着。涅槃岳に向けて登り返します。
![](https://takachi-ho.com/wp-content/uploads/2023/06/9E9517D3-16A1-4802-A38D-49847D92BA97-1024x683.jpeg)
振り返る。登りやすいとも登りにくいとも言えない道。いうなれば"下りやすい"か。
登りでスピードが落ちると虫がやたらと付きまとってくる。うっとうしい・・・うっとうしいいい・・・!!
ブンブンブンブンうるさーい!!!
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悪態をつきながら涅槃岳に到着。持教の宿までようやく2.5km。まだ2.5kmもあるんかい。
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次の"証誠無漏岳"に向けて・・・ああ、下るのもったいない。
南奥駆道に入ってから人っ子1人おらず、誰も歩いていないと思っていたら休んでいる人を発見。誰かいる!?と思ったら、訪日の男性でした。どこまで行くのか聞かれ、こちらも聞き返すと"平治ノ宿"とのこと。持教の宿の次の宿で、さらに50分先。
疲れてどこから(国)きたのか聞くことすらしませんでしたが、スペインとかドイツとかそのあたりの雰囲気。大きなザック。熊野まで、日本の山を楽しんでくださいという気持ち。
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お互い「Fight!」と言い合い、証誠無漏岳に登り返す。先ほどと同じような道をえっちらおっちら歩いて到着。登り返す度に新しい汗が溢れ出す。もう少し涼しくなってもいいんじゃないか?
越えるべき山はあとひとつ!と気合を入れ直しましたが、この先は鎖場でした。忘れていた、最後鎖場だった。
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ポールが邪魔だけど、しまう気力もなくちまちま放り投げながら垂直下降。段差が大きいと体力を奪われる。このあたりにもシャクナゲが咲き、夕方の光に照らされていました。
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下ったら急坂の登り返し。相変わらず虫がうっとしいけど悪態をつく気力はもう残っておらず、どうにでもなれという気持ち。
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登り返しの距離はそこまで長くないはずですが、まだかまだかと登って本日最後の"阿須迦利岳"に到着・・・!嬉しさで崩れ落ちる気持ち。あと600m。
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地図上も、遠くから見た感じもしっかり下ると思っていましたが、しっかりした下りでした。
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キンキンに冷えた水を飲みたい一心で下り続け、18時頃ようやく"持教の宿"に到着。こんな時間になってしまった。やはり午前中の時間配分ミスったな。
小屋に誰もいなければ泊まってしまおうかと思いましたが、扉を開けると男性が1人。しかも、すでに寝る態勢・・・いや、寝てた?ガサゴソするの迷惑なのでテント張りまーす。
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とりあえず、水を汲みに。一応小屋にもストックはありますが、冷たい水じゃないと満たされない。顔洗って全身拭きたい。
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薄暗くなりつつある林道を5分ほど歩くと水の音が聞こえ、雨が降ったばかりだからか、ものすごい勢いでした。
これが冷たくて、冷たくて、一気飲み。顔にバシャバシャを水を浴びせ、身体もさっぱり吹き上げる。冷やされた身体に、ようやくひんやりしはじめた空気があたり、1日が終わったことを実感。長かった。これが大峯奥駈道か。
出典:新宮山彦ぐるーぷFacebook
持教の宿の周りにはテント場がないため、水場方面の林道脇に張るのが一般的でした。しかし、「新宮山彦ぐるーぷ」さんのFBで"テントを張れそうな場所(正式なテント場ではないため)"として小屋から少し南へ歩いた林道脇の平坦地が紹介されていました。林道は斜めだし、石がゴロゴロしているし、平坦地を見に行くと良さげだったのでそちらへ。
ちなみに、持教の宿のトイレは便器と扉がやたら近くてなんか面白い感じでした(ちょっと動きにくい)。便器の後ろの空間の方が広くて、設計ミスっちゃった?みたいな。このときトイレットペーパーはありましたが、無いこともあると思います。
18時半頃、ようやくテントを張り、もう何もしたくないという感じに転がり込んでしぶしぶ夕食。さすがに今回は生米を炊く時間はないのでラーメンにしましたが、食べる気力もない。
明日は行程上の核心部で今日よりもハード。予定では玉置神社まで。しかし、地図を見ながら眠り込んだ夜、マダニの被害を受けたのでした・・・
3日目、無念の下山となりました。実際のようす、経験から学んだことは↓
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コメント
興味深く拝見させて頂きました。ニホンジカの食害など深刻ですね。この先いったいどうなってしまうのか心配です。バイケイソウ、コバイケイソウは有毒なので、シカはほとんど食べず、一面のコバイケイソウ群落に退行遷移。コメツガなどの針葉樹も樹皮の食害、あるいは下層植生の消失による乾燥から枯死。藪漕ぎなどなくなり見通し見晴らし良く、よい面もありますが、土壌流失、そして山腹崩壊に至るかと。
例えば、伊吹山も今年ついに登山道が崩落して正面登山道が閉鎖。登山される方の意識も、本来恐怖を覚え敵視するべきシカに「癒される」が圧倒的な不思議。米原市も鹿対策の職員を募集するなどしていましたが、対策が追い付かず、薬草、天然記念物のお花畑も見るかげもありません。防護柵で囲んでも突破されてしまう。登山道修復のためふるさと納税を募集という地方自治体の窮状に心が痛みます。
鈴鹿山系も被害は末期的な酷さ。
北海道のとある牧場では牧草を食い放題とか。
ヤマビルやマダニがこれだけ増えたのも大部分はシカに起因。一度マダニの個体数が増えると、容易には減らないようです。
とにかく狩猟法を改正してでもシカの個体数を減らさねば。既に手遅れか。
早池峰山も食害が深刻化、高山帯にも被害が拡大中らしい。ハヤチネウスユキソウだとか関係なしに食ってくって食いまくりになりそう。恐ろしい。
AKIRA様
コメントありがとうございます!
鹿の被害は本当に深刻ですね。尾瀬で貴重な花の食害を目の当たりにして、やるせない気持ちでした。
伊吹山の正面登山道崩れてしまったのですね。自分が登ったルートだけに、余計に厳しさを感じます…
マダニの生息域も広がっていますよね。調べれば調べるほど問題は山積みですが、同時に自分の無力さも感じます。日本の自然にはなんとか生き抜いてほしい思いです。