2020.8.16-8.20
歩き人たかちです。
昨日、黒部五郎岳に登頂し、黒部五郎カールへと迷い込みました。緑と灰の美しい景観にすっかり虜になりつつ黒部五郎小舎まで。
3日目は双六岳に登り、西鎌尾根を歩いて槍ヶ岳まで。常念岳から東鎌尾根を歩いてくるKさんと槍ヶ岳で待ち合わせです。
西鎌尾根も憧れの尾根でしたが、ここからの槍ヶ岳にやられました。今までの尾根歩きの中で一番好きになってしまった西鎌尾根へ。
1日目:折立ー薬師岳
2日目:薬師岳ー黒部五郎岳
★3日目:黒部五郎岳ー双六岳ー槍ヶ岳
4日目:槍ヶ岳ー大キレットー北穂高岳
5日目:北穂高岳ー奥穂高岳ー上高地
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晴れ☀︎
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黒部五郎小舎ー三俣蓮華岳分岐ー▲双六岳ー双六小屋ー▲樅沢岳ー左俣乗越ー千丈乗越ー槍ヶ岳山荘ー▲槍ヶ岳ー槍ヶ岳山荘
▲コースタイム:10時間25分
尾根へ。黒部五郎小舎ー分岐
*黒部五郎小舎ー三俣蓮華岳分岐:CT 2時間20分*
昨夜、ポツポツ雨がテントを叩く音で夜中に目が覚めました。あー降ってきたー…と意識があるのかないのかの狭間で「朝までにやんでください」と祈って再び眠る。
3時半頃起床。雨はやんでいました。その代わり風が強め…。テントの撤収嫌だなーと思いながら朝ごはんを軽く済ませ撤収開始。
ペグを抜くとテントさよならの風。初めてのテント泊で涸沢に行ったとき、撤収している人のテントが風船のように飛んでいったのを目の当たりにしました。ああなるのか…と学びましたが、その方のテントは谷底へ。
ポールを抜いて適当に袋に突っ込みさっさと撤収。小屋横で風を避けながら整理して5時前にスタート。8月下旬にもなると、まだ薄暗いですね。
黒部五郎小舎から尾根に上がるまでは樹林帯で急登の岩場を上がっていきます。
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黙々と樹林帯を登り頭上が開けてきました。空も明るくなってきた。
昨日熊を見たばかりなので、薄暗い樹林帯がちょっと不気味でした。ここで出たら森のくまさんだなーなんて考えながら、怯えながら。
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40分前後で展望がよくなり、黒部五郎岳におはようの挨拶。
朝の柔らかい光で山々がちょっと白っぽくなる感じが好き。今日も優しさに包まれていますね。
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後方には笠ヶ岳。綺麗な笠だ。
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尾根に上がりました。朝から風が10mくらい吹いていて結構寒い。5時半頃の温度計は10度くらいでしたが、体感はもっと下がります。
しかし、ウィンドシェルで風をシャットアウトするとちょっと暑い。前だけ風を避けて、背中が丸々空いたシェルとかないかななんて考えつつ、若干鼻をすすりながら先へ。こういうときの体温調節は難しい。
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三俣蓮華岳と双六岳の分岐に向かってハイマツ帯をガサガサ進みます。
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黒部五郎カールともお別れ。今度はゆっくり迷い込みにきたいです。本当に綺麗な場所でした。
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谷から吹きあげてくる風がひんやり…ではなくビュービュー体当たりしてくる。今日はこんな感じなのかな。
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雲ノ平方面。何度でも歩きたい場所ですね、高天原温泉のときにまた。
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岩場を登っていきます。黒部五郎岳周辺は、地図を見ているだけで山域の雄大さを感じます。
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鷲羽岳、水晶岳も天気が良さそう。鷲羽岳から眺める鷲羽池と槍ヶ岳の風景もすごく絵になります。自然はどこを切り取っても素敵だ。
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歩いてきた道を目で追うと、人間もなかなかやるじゃないかという気分になりますね。
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もう少し。
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分岐に到着しました。三俣蓮華岳はここからさらに上がります。今回は山頂に寄らず双六岳方面へ。
かわいい山。分岐ー双六岳小屋
*分岐ー双六岳ー双六小屋:CT 2時間*
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分岐を進んでいくと、槍ヶ岳が待っています。
本当は双六小屋スタートで、西鎌尾根にめちゃくちゃ時間を割きたかったのですが、行程的に無理でした。それほど虜にされた尾根です。
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双六岳までは朝のお散歩気分で。
こちら側にくると風は弱くなりとても快適。双六岳は3回目ですが、前回、前々回ともにガス。1回目は雨の中行きましたが、2回目は下山したとたんにガスが消えて悔しい限り。双六岳に嫌われてるのかな…と思っていましたが、3度目の正直。
今は廃刊になってしまった山と溪谷社の"Hutte"という雑誌に双六岳が紹介されていて、ここだ!!と思ったのが最初でした。あれから随分経ちましたが、やっと…。
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黒部五郎岳
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鷲羽岳、水晶岳
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天国だ。笠ヶ岳への稜線もいいですね。
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丸山を過ぎると"中道ルート"の分岐があります。中道は双六岳の山頂を通らないルートですがこちらもとてもいい道で、珈琲を淹れたくなお気に入りスポットがあります。
山で自分だけのお気に入りスポットを発見するのもひそかな楽しみ。近場の高尾山にも何箇所かあり、冬の低山ハイクでは特に楽しんでいます。近場の山に秘密の場所があると、日常生活の気分がちょっと変わるので、探してみてください。
双六小屋から山頂へ行き、中道から小屋に戻る周回ルートをお散歩する人も多いです。
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振り返る。
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ラストスパート
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青空の双六岳◎
ようやく会えました。
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しかしながら風が寒い。
双六岳はここからですね。
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双六岳といえば、やはりこの景色。
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山頂からは岩場を下ります。
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道の先に槍ヶ岳。
美しい。
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ひょっこり槍ヶ岳。
点在するまるっこい草がアート。秋にはこれがオレンジになり、秋は秋でとても素敵な風景になります。
ちょっとした公園に思えるような山ですね。松本のアルプス公園をぐっと近くにもってきたような感じ。ここでストップしたい、昼寝したい…とりあえずチップスターを食べる朝の8時。
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振り返った風景。至福。
双六岳周辺はお花もすごく綺麗です。豪雪の年に来たときは花が咲き乱れ、素敵すぎて雨なんかどうでもよかった。北アルプスの中でもこのあたりは本当に好きですね。
これだから双六岳はストップするべきですが、今日はここからまだ5時間の行程。後ろ髪を引かれながら双六小屋へ。
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岩場の急登。
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あの上に、あんな広場のようなところがあるとは思えませんね。岩場を下り切ると中道と小屋への分岐があります。
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双六小屋は賑わっているようす。
双六小屋に着いて水を汲んでいると、「あれ?昨日黒部五郎にいましたよね?」と声を掛けられました。小屋泊まりの方なのでお話をした訳ではありませんが、赤いパンツが目立つようで覚えてもらえていました。万一のためにも赤いパンツは効果的ですね。
お兄さんはここから新穂高へ下山するとのこと。槍ヶ岳で友人と会う約束をしていると話すと「いいですね〜それ!」と。
さあ、槍ヶ岳が待っています。ようやく西鎌尾根を歩けるときがきました。
最高か、最高だ!西鎌尾根
*双六小屋ー樅沢岳ー左俣乗越ー千丈乗越:CT 3時間35分*
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9時になりました。
昨日、黒部五郎小舎で2Lのプラティパスがお亡くなりになりました。小屋で買ったポカリスエットを飲み干して、双六小屋の水場でたんまり身体と1.1L分のボトルに補給して出発。
目の前にどーんと聳える樅沢岳への登りをスタート。
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双六岳はやっぱりマルっとしています。かわいい。
以前、三俣山荘のテント場で「西鎌尾根は絶対に双六岳から行くべきだ!槍ヶ岳を見ながら!」とおじさんに力説されました。正直どっちでもいいかなーと思っていましたが、結果的に双六出発がとっても良かったです。
「表銀座は燕岳からがいい」というのと同じですね。やっぱりみんな槍ヶ岳を見たいのです。
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風がなくなり、非常に暑い。
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双六から笠ヶ岳への稜線。
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槍ヶ岳から穂高方面。大キレットも近づいています。
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薬師岳がどんどん奥になる。3日で随分歩いてきました。
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ガレ、ザレの道を歩き、樅沢岳に到着◎
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これから歩く稜線が美しい。
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樅沢岳を下ります。
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樅沢岳を振り返る。
西鎌尾根はお花が綺麗だと聞いていましたが、高山植物がとても豊かでした。もう下旬に差し掛かっているので終わっている種類も多いですが、まだ斜面一面に咲いています。
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ミネウスユキソウ。これはもう終わり。
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タカネシオガ。ショッキングピンクが鮮やかで足元が明るい。
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トウヤクリンドウ
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ハクサンフウロ
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ミヤマリンドウ
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ミヤマダイモンジソウ
花の形が漢字の「大」になっています。小ぶりで赤と黄色が可愛い大好きな花。
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ウメバチソウ
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ヤマハハコ
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ミヤマダイコンソウ
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イワギキョウ
他にもウサギギク、イブキジャコウソウ、イワツメクサ、名前のわからない黄色い子たち。とにかくたくさん。後半は岩場なので前半より少なくなりますが、素晴らしいお花畑。もう少し早い時期ならさらに華やかな道だと思います。西鎌尾根全体的にこの時季はイワギキョウパラダイスでした。
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険しい山々に可憐なお花。日本の自然は素敵です。
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アップダウンを繰り返しながら進みます。西鎌尾根に入った途端に無風快晴状態で、エネルギーが奪われていきますが、気分は最高◎
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道幅が狭いところもありますが、前半は比較的歩きやすいです。
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ちょっとずつ、ちょっとずつ槍ヶ岳が近づきます。
双六岳を9時に出発して、西鎌尾根ですれ違ったのは5,6人程度でした。やはり双六出発の人が多いのでしょうか。
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最高か。
絶景の休憩スポット。立ち止まります。ザックを下ろして、腰を下ろす。時間だけ1時間巻き戻してほしい、いや、止まってほしい。
人がいないところがまたね、槍ヶ岳を独り占め。
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おじさんに言われた通り、双六出発が正解でした。
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左手には赤岳、硫黄岳。奥に湯股温泉もあり、硫黄臭がほのかにします。
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振り返る。
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西鎌尾根、大好きです。
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左俣岳の山頂は飛騨側を巻きます。ちょっとした鎖あり。
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巻くと、眼下には少し広くなっている"左俣乗越"が見えます。ザレザレを一旦下ります。滑りやすいゾーンです。
この辺りからの北鎌尾根はとても綺麗なのです。
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左俣乗越を通過。
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左俣乗越から徐々に岩場が増えていきます。暑すぎてちょっと曇ってもいいんだよ?状態。
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西鎌尾根を大好きになった理由の一つがこれ◎
槍の穂先から綺麗に延びる北鎌尾根。圧倒的な存在感と曲線美。険しさからの滑らかさが半端なく素敵で、ここから見る槍ヶ岳には一目惚れでした。
剱岳とはまた違う美貌がありますね。山に恋するとはこのことか。恋しすぎてもはや不倫でしょうか。
海外の高峰は岩と雪。人間を寄せ付けない雰囲気を醸し出していて、それはそれで美しいと思いますが、緑が入る日本の山も美しい。自然とともに生きてきた日本の文化に会う景観だと思います。
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ガスが上がってきた。
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徐々にグレーの地帯へ。
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岩とガレ。変わらず口を開ければ「暑い」しか出てきません。千丈乗越が異様に遠く感じます。
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いらやしい感じのザレ、ガレゾーンが続きます。登りも下りも滑るので要注意。
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小屋が見えるし、槍の穂先も目の前ですが、まだまだ。ここからが遠い。
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なんか途中で道を間違えていました。道は斜面をトラバースしていますが、どこからか岩の方へ進んでいて、「あれ、下に道がある…」なんて。
そのまま岩場を進み、正規の道に近いところで斜面を下りました。どこで間違えたのかわからないまま先へ。
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千丈乗越はまだか。右手が飛騨沢方面ですが、ガスってて分岐が見えず。でもそろそろのはず。この時点で暑さに随分やられています。
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とぼとぼ歩いているとすぐに千丈乗越。やっと着きましたが、ここからさらに1時間半。ガレ場の急登のラスボスを登ります。
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槍ヶ岳から下ってきた場合はこんな感じの風景。右手に細く双六方面の道が続きます。左手は飛騨沢で新穂高行き。ガスっていると、真っ直ぐ行って写真左側の岩場に突入して迷う人もいるようなので要注意。
槍ヶ岳から下ってきて新穂高へ下山という人も顔を真っ赤にしていました。それくらい今日は暑いです。朝のような風が少しくらい吹いてもいいんじゃないかというほど無風。
岩に寄りかかってちょっと休憩。5分以上座り込むと立てなくなりそうなので、ストレッチしつつ出発します。
ガレ場のボス。千丈乗越ー槍ヶ岳山荘
*千丈乗越ー槍ヶ岳山荘:CT 1時間30分*
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千丈乗越まできて槍ヶ岳も目の前。しかし、ここからのガレ場がきつかった。
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小屋がちっちゃい。疲れているから余計ちっちゃく見える。
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しかし
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絶景です。
歩いてきた西鎌尾根はガスに食われそう。
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無風快晴で体力消耗。行動食を結構食べてしまい、あと2日あるにも関わらず、3日目にしてあまり残っていない状況になっていました。
双六小屋でたんまり飲んだ水もすっかり身体から蒸発。この暑さでのアップダウンで1.1Lはやはり持たず、もう一本ペットボトルを買っておくべきだった…いろいろと計画ミスをして、岩に座って猛省。
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千丈乗越も結構下になったかな。でもまだ着かない。
今日は槍ヶ岳山荘のテラスでカレーを食べるんだと意気込んでいましたが、15時までに着くか微妙になってきました。もう少し早くに到着する予定でしたが、お花畑天国で遊びすぎたのと、北鎌尾根を眺めすぎました。
ガレに座りこんでいるとKさんからメールが。Kさんも途中トラブルがあり、まだ到着していないとのこと。仲間が頑張っていると思うと元気が出ました。
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しかし、上を向くと永遠を感じるので、なるべく見ないように一歩一歩。最後の方は10m歩いて一息、10m歩いて一息を繰り返す始末。最後の水を飲み干してラストスパート!
*水は十分お待ち下さい
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ようやく着きましたー◎
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到着後一番に思ったことは、死ななくて良かった。なんとか14時半に槍ヶ岳山荘に到着。あんなに疲労困憊だったくせに「いやー、いい道だったなー」と、歩き終わったらケロっと歩いてきた道を眺める。
しかし、西鎌尾根は本当に素敵な道でした。次は双六スタートで疲れないようにしたいですね。
やっぱりいいね、槍ヶ岳
*槍ヶ岳往復:CT 1時間*
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テントの受付をしてカレーライス!と思いましたが、なんとおでんしか残っていないとのこと…残念。代わりにカップラーメンをいただきました。お湯なし450円、お湯あり500円。沸かす気力はないのでお湯ありで。塩分最高。
普段、山でジュースはあまり飲まないのですが、400mlで500円を一気飲み。最高にうまい。
ビールの"のどごし"ってこんな感じか。体質的にアルコールがダメなので飲みませんが、学生の頃に「のどごしちょっとわかるかも」とか言っちゃってた自分が恥ずかしい。ラーメンのあとにもネクターを一気飲み。
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槍ヶ岳山荘は、宿泊者以外の人は水1L200円です。トイレにも水道はありません。稜線の山小屋で水は超貴重品なので、持っている水で全て済ませます。
山荘での水の販売は5時~18時まで。入口を入ったところに自動販売機もあります。こちらは500mlで400円なので、できる限り山荘で時間内に購入した方がいいです。
ここでも2Lのプラティパスを壊したことを激しく後悔。今年は小屋に還元するんだという気持ちでペットボトルも一応2本買っておきました。詳しく聞いていませんが、自動販売機は20時半頃までとスタッフの方が言っていました。夜中は買えない?それとも山荘に入れない?
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テラスで動けずにいると、東鎌尾根を歩くKさんの姿を捉え、無事合流。2人とも疲れすぎて、ひとまずテラスと一体化しながらここまでの行程を語りました。
そして、なんとKさんが行動食を持ってきすぎて困っている(重い)とのことでお裾分けをして下さいました。このあとは小屋で補給しながらと考えていましたが、ありがたい限り。
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16時を過ぎ、ようやく重い腰を上げてテント場へ。槍の穂先と並んで寝られるなんて、なんとも贅沢です。
初めて槍ヶ岳を登ったとき、上高地からウキウキで出発してこのテント場を目指していましたが、途中で疲れてしまってフラフラと殺生ヒュッテのテント場の受付をしていました。下から見上げる槍ヶ岳も良かったですが、ここはやっぱり迫力があります。
テント場は番号指定でした。槍ヶ岳がずっと晴れているので、17時頃登りにいきました。
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渾身のトンガリコーンジャンプ!
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槍ヶ岳登頂◎
17時〜18時頃は小屋の夕飯の時間なので、登る人が少なくておすすめです。槍ヶ岳に関わらず、ごはん時を狙うと割と静かです。小屋の温泉とかも。
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天使のはしごが空から何本も降りて、西鎌尾根が神々しく輝いています。
辛かったことはもう過去のこと。"苦しみ"があるからこそ"喜び"があります。セットだからこそ涙が出ます。ここまでの過程を思い出しながら、今この瞬間に一喜一憂できることは幸せなことです。
ヘリコプターでヒョイっと穂先に置かれても、景色に感動はするかもしれないけれど、身体の奥底から込み上げてくるものはたぶん何もない。歩くことは、それくらいかけがえのない過程です。
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影槍もよき。
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明日の大キレットもどっしり構えていらっしゃる。
西鎌尾根のラストで疲れ果てたとき、「やばい、大キレット無理、無理だ、下山だ」とかあんなに思っていたくせに、「明日よろしくお願いします」と挨拶していました。
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穂先で夕日を見送りたいところですが、何も準備をしていないので下ります。
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穂先で一番高度感があるのは、やはり最後の垂直な梯子でしょうか。
私自身は大丈夫ですが、Kさんは高所恐怖症。それでも岩場好きだし、大キレットも行ってしまうのですが、最後の梯子は怖いと言っていました。
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あれよあれよと下山。
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日の入りは18時40分。下るとちょうど太陽が沈むところでした。オレンジに染まる槍もよいですね。
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山荘の脇から太陽を見送ります。
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山荘の脇に槍があるの知らなかった。
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下に見える小屋が殺生ヒュッテ。
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テントの受付時に「テントはどのくらいの大きさですか?」と聞かれました。1人用なので一番小さい区画を指定されたようですが、前室が短編にあるので入らなかった…。長編にあれば入りますが、斜めに張って、後ろもギリギリまで下げて(張り綱が微妙)なんとか。
完全にピンとは張れないし、もはや区画の木の枠からはみ出していますが。Kさんの吊り下げ式シングルウォールいいなあ。
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テントの張り具合はどうでもよくなる程のロケーションです。
黒部五郎小舎から出発し、しっかり歩いた3日目でした。暑い稜線歩きの中で水やら行動食やら反省の1日となりましたが、とんでもなく美しい道のりに心は躍りっぱなし。山はいいですね…
4日目はついに"大キレット"を歩きます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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