2020.8.20
歩き人たかちです(@takachi_aiina)
2日目:薬師峠キャンプ場 ー 黒部五郎岳 -黒部五郎小舎
3日目:黒部五郎小舎 ー 双六岳 ー 槍ヶ岳
4日目:槍ヶ岳 ー 大キレット ー 北穂高岳
★5日目:北穂高岳 ー 奥穂高岳 ー 上高地
縦走5日目の最終日。昨日は、槍ヶ岳から憧れの「大キレット」を好天の中歩き、北穂高小屋で念願のスパゲティを食べました。
\ 4日目「大キレット」はこちら /
今日は、奥穂高岳まで縦走し「槍穂縦走」を完結。「重太郎新道」で上高地へ下山。「大キレットよりも怖い」という人もいる、北穂高岳 ⇆ 奥穂高岳の縦走路はいかに・・・
北穂高小屋 ー ▲北穂高岳 - 北穂高岳南峰 ー 最低コル ー 涸沢槍 ー ▲涸沢岳 ー 穂高岳山荘 ー ▲奥穂高岳 ー 吊尾根 ー 紀美子平 ー 雷鳥広場 ー 岳沢小屋 ー 天然クーラー(風穴) ー 岳沢湿原 ー 上高地温泉 ー 河童橋 ー 上高地バスターミナル
▲ コースタイム:8時間50分
▲ 歩行距離:約9km
▲ 累積標高差:+530m/-2120m
「槍穂縦走」と「重太郎新道」コース概要
「大キレット」とセットで歩く人も多い、北穂高岳 ⇆ 奥穂高岳の縦走。すべて合わせて"槍穂縦走"と呼ばれています。
個人的には「大キレット」の方が高度感はありましたが、「北穂 ⇆ 奥穂の方が怖い」という人もいます。
槍穂縦走(北穂高岳 → 奥穂高岳)
「大キレット」は岩陵帯の上を歩くことが多いですが、北穂 ⇆ 奥穂の縦走路は岩陵帯の斜面をトラバースすることが多いです。
山頂からテント場方面のガレ場を下り、登り返して稜線へ。「最低コル」までトラバースと下りメインで進んでいきます。
浮石が多いガレ・ザレ・鎖場を、ペンキのマークに従って。「最低コル」の手前の下りは、ガレとザレのやせ尾根です。
「最低コル」から登り返し。鎖、ハシゴがところどころある急斜面で、引き続き落石には要注意。ここからの方が、高度感があります。
「涸沢槍」への途中、短いハシゴと鎖が連続する岩陵帯が、一番高度感があるポイント(だと思われます)。涸沢槍からいったん下り、再び登り返すと「涸沢岳」に到着。涸沢カールが美しいです。
「涸沢岳」から「穂高岳山荘」は15分前後。鎖などはなく、細めのガレ場を下ります。
「穂高岳山荘」から「奥穂高岳」までは、山荘付近が一番急な岩場。ハシゴと鎖で通過し、ガレ場に出ます。ひたすら登っていくと山頂です。
重太郎新道(下山利用)
「奥穂高岳」からは"吊尾根"と呼ばれる細い登山道を歩きます。浮石、落石、転滑落に要注意。「前穂高岳」を正面に、岩場、鎖場、トラバースを繰り返します。
前穂高岳に登るポイント「紀美子平」から「岳沢」までは約2時間。「紀美子平」からの下り始めは、スラブ状の滑りやすいツルっとした岩場(鎖あり)。雨の日や岩が濡れている場合は注意。
引き続き、浮石や落石に注意しながら急斜面を下ります。スラブ状の岩場が終わると、ガレ・ザレの急斜面。ひたすら下ると樹林帯に入ります。
途中まで、登りと下りで道が分かれており、長いハシゴを経て九十九折りに下っていくと「岳沢小屋」に到着。
涸沢を横切り樹林帯へ。「風穴」を過ぎるとかなり歩きやすい道になり、「岳沢湿原」に出て上高地に到着。
「槍穂縦走」完結!北穂高岳から奥穂高岳へ!吊尾根経由で上高地へ下山
北穂高小屋 ー 最低コル
北穂高小屋 ー 北穂高南峰 ー 最低コル:CT1時間5分

4:26
4時頃外に出ると星が瞬いていましたが、30分もするとオレンジの閃光が走る。


常念岳方面

漆黒だった大キレットも姿を顕に
5時頃、小屋の方がテラスにお湯や水を出してくださいました。トイレ横にも水道がありますが、「飲み水は小屋の方でお願いします」と書いてありました。

常念岳より太陽が。テラスで歓声が上がる

大キレットのモルゲンロート

5:20出発

北穂高小屋ではお弁当をお願いし、朝少し食べて出発。


北穂高岳北峰に、サクッと2度目の登頂。今日もすっきりしていて、空気が最高にうまい。

山頂からテント場方面へのガレ場を下り、登り返して稜線に上がります。

大きく窪んでいるところに穂高岳山荘があり、手前が「涸沢岳」、奥が「奥穂高岳」。

「最低コル」まで、トラバースしつつガレ場を下っていきます。
大キレットは岩陵帯の上を歩くことが多かったですが、こちらは岩陵帯の斜面をトラバースすることが多いです。


振り返る

初めは北西側の斜面が多いので、涼しくて快適

昨日、北壁から見た「滝谷」。やはり見応えがある壁ですね、

ペンキマークを丁寧に辿る

奥穂とジャンダルムをバックにできる、いい写真スポット。

再び北西側の日陰斜面へ
前を歩くのは、11歳の山ガールとお母さん。昨日、同じく槍ヶ岳から大キレットを抜けてきました。1歳で山デビューして、4歳から自分の足で山を歩いているとのこと。すでに登山歴10年。
普段クライミングを習っていて、大キレットも怖くなかったとのこと。この夏は、他に黒戸尾根に行ったそうです。我が子と山を渡り歩く・・・夢ですね。


涸沢側は日向

また北西の斜面へ。行ったり来たりするので、クールダウンしながら歩けます。

振り返る



眼下は今日も谷底

涸沢岳と奥穂高岳

「最低コル」までもう少し。ガレ場の痩せ尾根を一気に下る。
「大キレット」のように各所に名前が付いているわけではないので、ひたすら岩陵帯をクリアしていきます。


「最低コル」からは登り返し

「最低コル」に到着
ここからは、鎖に加えてハシゴも出てきます。急斜面で、引き続き浮石も多いので、落石には要注意。ここからの道のりの方が、高度感があります。
最低コル ー 穂高岳山荘
最低コル ー 涸沢槍 ー 涸沢岳 ー 穂高岳山荘:CT1時間25分

後半スタート

前方

後方


鎖場通過後に振り返る

前半部よりしっかりした岩場

1日目の「薬師岳」があんなに遠くに・・・稜線を歩いて繋げてきた嬉しさと、旅の終わりの寂しさで感情は複雑。



短めのハシゴが出てきました

高度感はおそらく、涸沢槍に登る途中の鎖とハシゴをクリアしていくこのあたりが一番あると思います。高所恐怖症のKさん曰く、ここが一番怖いとのこと。

Kさん撮影


涸沢槍を乗り越えたら

いったん下る

下った地点に雷鳥がいました。食事に夢中で、こちらのことはどうでもいい様子。11歳の女の山ガールは、雷鳥を始めて見たと興奮気味。
\ 食事中の雷鳥 /

「涸沢岳」へラストスパート


槍穂縦走路を一望!

ガンガン登り

トラバースして・・・

「涸沢岳」に登頂!かわいいトンガリコーン!

眼下は涸沢カール。涸沢から見上げるのもいいですが、見下ろすのもいい。ヒュッテやテントがミニチュアサイズでかわいい。

ジャンダルムも今日は最高なことでしょう

奥穂高岳 & ジャンダルムと記念撮影

親子チームも涸沢岳で休憩中。話し込んでしまい、ちょっと休憩のつもりが40分くらい経っていました。

「穂高岳山荘」へ下ります。鎖などはなく、15分程度。涸沢岳は、奥穂高岳とはまた違う景観なので、奥穂高岳に来たらぜひ涸沢岳もセットで。

「穂高岳山荘」に到着!
Kさんは温泉とバスの時間を考慮し「少し巻きます」とのことで、ここでお別れしました。
私もいつもは新宿へ直行のバスを予約していますが、今回は下山した時間で決めようと思い、予約はしていません。小屋の売店を覗き、ゆっくり下山します。
以前の奥穂高岳はガッスガス。友人とテント泊の予定でしたが、夕方頃から強風強雨になり、万場一致で小屋泊に変更。夜中は凄まじい雷が鳴り響いていました。
3,000mの本気の雷は半端なく、テント泊をしていたら死を覚悟していたと思います。2組テント泊でしたが、相当怖かったのでは・・・
そんな思い出のある奥穂高岳。今日は文句なしの展望です。
穂高岳山荘 ー 紀美子平
穂高岳山荘 ー 奥穂高岳 ー 吊尾根 ー 紀美子平:CT2時間20分

槍穂縦走の完結に、奥穂高岳へ出発

山荘に一番近い岩場が一番の急斜面。昨日、70代の男性が穂高岳山荘に下山中、ハシゴから5〜6m滑落したと聞きました。骨を折り、頭からも流血、ヘリで救助されたそうです。
山荘が目の前で、安心感が出てしまう箇所でもあるので要注意。
その他、79歳の女性が北穂高岳~奥穂高岳縦走中、疲労により途中から男性に荷物を持ってもらい山荘に到着したそうです。ご本人は「優しいお兄さんだった」と言っていたそうですが、「それはもう救助なんですね・・・」と小屋の人。
登山を始める年齢次第で若いうちに、動けるうちに、が叶わないこともありますが、技術と体力に見合った登山をしないといけないなと。もちろん、元気な方は元気ですが。

ハシゴを登り

ガレ場を登る

山頂が見えました

槍ヶ岳はさらに遠く

ジャンダルムはさらに近く
独特の造形美。あの不思議な造形とスリルが人を呼ぶのでしょうか。岩陵帯は大キレットで満足したので、ジャンダルムまではいいかな、という感じ。自分の身長だと、足が届くかもわからない。

ベストコンディション

ジャンダルムを眺めながら「奥穂高岳」登頂!

見たかった景色がすべて見える。リベンジ大成功!ということは、下山のときが来てしまった。

「前穂高岳」を正面に「吊尾根」を歩いていきます。「紀美子平」まで1時間30分。
吊尾根は痩せた尾根道で、浮石、落石、転滑落に要注意。景色が素晴らしい場所では"よそ見"も。



岩場、鎖場、トラバースを繰り返す

足場はしっかりあるので慎重に

「焼岳」が綺麗に見えます

ヘリが頻繁に飛び交っていました。荷揚げなのか、救助なのか。このあたりの山域でヘリがくるとドキッとする

すべてを拒むような岩と、それでも必死に命を広げるハイマツ。ハイマツは貧栄養地で限界まで生きるとはいえ、この岩陵帯にはどんな栄養が存在しているのか。

だいぶ暑くなってきた

振り返る
槍穂の縦走路も、ジャンダルムも、ここも、道をつくったことがすごい。道をつくろうと思ったことがすごい。

「紀美子平」に到着。多くの方が荷物をデポして前穂高岳に登っています。

前穂高岳に登る場合、往復50分程。前回は天気が悪くてスルーしたので悩みましたが、岩陵帯と戯れすぎたので今回もスルー・・・してしまいました。
しかし、前穂高岳はすごくいいと聞きます。次回来たときに・・・!
紀美子平 ー 岳沢小屋
紀美子平 ー 重太郎新道 ー 岳沢小屋:CT2時間

「重太郎新道」を下ります。岳沢までのコースタイムは2時間。
下り始めは、スラブ状の滑りやすいツルっとした岩場。鎖がありますが、雨の日や濡れている場合は滑りやすいので注意。

スラブ状だと、下りは特に足がかけにくい

鎖がない場所は慎重に

岳沢まで等高線がギュッと詰まっています


スラブ状の岩場が終了


スラブの岩場のあとは、ザレ・ガレ場を一気に下ります。相変わらず急斜面。
前回は登り利用でしたが、見るだけで疲れるような急登。今日は天気が良く直射日光が刺さるので、登りの方はすごく辛そう。

すれ違う人たちの第一声は「暑いですね・・・」下りでも暑いです。


ガレ・ザレをひたすら下り樹林帯へ。樹林帯に入っても急斜面が続きます。
途中に"下り専用"の道があります。狭くて急なので、途中まで登りと下りで分かれています。

最後に長い梯子を下りて、くねくね下る。

冷たい水を飲みたい、顔をバシャバシャ洗いたい一心で下り続け・・・

「岳沢小屋」に到着!
小屋に着くなり水をがぶ飲み。凄まじく暑い!下りでも、穂高から2Lは必要でした。飲んでも飲んでも蒸発していく。
上高地までは樹林帯を2時間ほど。汗だくで早く温泉に入りたい。
岳沢小屋 ー 上高地バスターミナル
岳沢小屋 ー 風穴 ー 河童橋 - 上高地バスターミナル:CT2時間5分
あとは上高地に下るだけだし、樹林帯で直射日光を回避できるし、余裕ぶっこいて出発。

岳沢小屋の前に広がる岩場を通過し、樹林帯へ入っていくはずが・・・

記憶では、割とすぐ樹林帯だった気がしますが、入口が見当たらない・・・
こんなに下ったっけ?と、頭の中が「?」になっていく。いや、さすがに違うと周りを見ていたら、上から「お姉さーん!これ登山道ではないですねー」と男性が叫びました。「そうですよねー!こんなに長くないですよねー」と叫び返す。
男性も歩いたことがあるにもかかわらず、私がいたので安心して下ってきてしまったと。
ただ、左側には確実に登山道がある。2人とも口には出しませんでしたが、溶けるような暑さの中、小屋まで戻りたくない(*間違えたら戻りましょう)。
もう少し下った地点が登山道と一番近づくポイントだったので、そこから斜面を登ろう、ということに。
このあたりだ、というポイントに着き、雪の重みで倒れている木々を掻き分けて藪漕ぎ。ぐわんぐわんしている枝がすごく厄介で、「やっぱり戻ればよかったか」と思いましたが、男性が先行してくれたおかげで、割とすぐ登山道に出ました。
これもご縁ということで、お話しながらゆるーく上高地へ。森を吹き抜ける風が心地よく、木陰のありがたさをしみじみ感じる。途中には天然クーラーの「風穴」があり、そこからはさらに歩きやすい道になります。

無事「岳沢湿原」に到着
行動食、水、最後の道間違い、と反省のある縦走となりましたが、充実しすぎた5日間。北アルプス最奥部から岩陵帯まで、実に豪華な縦走でした。
髪はバサバサギシギシ、身体はバキバキ、肌は火傷かってほどボロボロですが、それでも「山はいいなあ」と思える。
このあとは「上高地温泉」で汗を流し、15時の新宿行のバスで帰りました。バスはWEB予約か、発車15分前までにバスターミナルの窓口で購入します。
*河童橋から一番近い日帰り入浴は「小梨の湯」ですが、このときはコロナで営業していませんでした
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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