歩き人たかちです(@takachi_aiina)
種類が多く、何を基準に選べばいいのか悩ましいインサレーション。
化繊の中綿ジャケットは、"防寒重視"と"行動重視"のモデルがあり、行動に焦点を当てたものは、「アクティブインサレーション」と呼ばれます。
個人的には、使える幅が広い、行動着としての機能が高い「アクティブインサレーション」がおすすめ。
ただ、「アクティブインサレーション」だけでも種類が豊富なので、選択をミスると「だめだ、暑くて着てられない!」など、失敗します。
今回は、はじめの1着にもおすすめしたい、モンベルとノースフェイスの「アクティブインサレーション」をご紹介。
長年愛用している、コスパ最強の、モンベル「U.L. サーマラップパーカ」がヘタリすぎなので、ニュージーランドのロングトイレル「テ・アラロア」のために新調。
行動着としては、モンベル「UL サーマラップ」の方が、自分には合っていると感じましたが、ノースフェイス「ベントリックスジャケット」も優秀な1枚。
化繊の特徴とメリット
◾︎ メンテナンスが容易
◾︎ 3シーズンの防寒に使いやすい
濡れても保温力の低下は最小限
化繊のメリットは、"濡れに強い"こと
ダウンは、濡れると保温力が一気に低下し。もとに戻るには、時間がかかります。ゆえに、ダウンを行動着とするのはNG。
対して化繊は、保温力の低下は最小限に抑えるため、行動着に最適。
メンテナンスが容易
化繊ジャケットは、洗濯機で洗えるモデルが多く(洗濯表示、要確認)、メンテナンスはらくちん
ダウンは基本"手洗い"で、乾燥含め気を遣います。洗濯は、シーズン終わりに1回で大丈夫ですが(頻度による)、その1回も面倒だったり。
"使ったら洗う"ができる化繊は、最高に便利です。
3シーズンの防寒に使いやすい
暑すぎず、寒すぎない化繊ジャケットは、3シーズン、特に、夏山の防寒着として最適 ◎
3,000mの高山でも、真夏にダウンを着る機会は少ない。近年は、高山でも暑いので、出番がかなり減っています。私の場合、使っても薄手のインナーダウン程度。
防寒着として、何を選べばいいかわからない時期こそ、化繊ジャケットが最適。
夏の保温着としては十分だし(寒がりさんは足りない場合も)、万が一、行動中に必要になっても、濡れに強い化繊なら使えます。
おすすめは「アクティブインサレーション」
インサレーションの中でも、行動重視の機能性を備えた「アクティブインサレーション」がおすすめ。
防寒メインのインサレーションは、必要以上に暑かったり、"ダボつき"や"厚み"で動きにくいことも。
「アクティブインサレーション」は少し薄めのモデルが多く、運動中の"快適性"を追求しています。
その分、保温性は少し劣りがちですが、体温調節に対応しやすい。中厚手1枚より、薄手を2枚重ねる方が、足し引きができて便利です。
保温着も、以前はダウン派でしたが、現在は化繊ジャケットを持ち歩く方が圧倒的に多い。足りないかな〜、と思うときは、インナーダウンを追加しています。
長年愛用!モンベル「UL サーマラップパーカ」
Women’s Sサイズ :実測195g
長年愛用している、モンベル「U.L. サーマラップパーカ」。
薄さ、フィット感、ストレッチ性、透湿性、防風性、保温性。すべてが自分の体感温度に合っていて、オールシーズン持ち歩いています。
"行動着"として、かなりおすすめのアイテム。コスパも最強。8年ほど使っていますが、いまだに浮気もせず、自分の中では「アクティブインサレーション」の決定版。
\ 詳細はこちらをご覧ください /
しかしながら、さすがにヘタリと汚れは目立ちます。ヘタッたことで、保温性は落ちましたが、逆に、使える季節や温度の幅は広がっています。
保温性の部分では、腹巻きや、アンダーウェアを変えることで対応。
ノースフェイス「ベントリックスジャケット」概要
Women’s S:実測220g
ヘタリすぎの「UL サーマラップパーカ」の代わりに、ニュージーランドのために選んだ、ノースフェイス「ベントリックスジャケット」。
\ ここがポイント /
◾︎ 裏地のレーザーホールで通気性向上
◾︎ 擦れに強いハードフェイスプリント
◾︎ 袖口と裾は風が入りにくいゴム仕様
◾︎ ポケッタブル
通気・ストレッチ性・保温性のある中綿素材「VENTRIX」
出典:GOLDWIN
「ベントリックスジャケット」の中綿素材は、通気性、ストレッチ性、保温性に優れた「VENTRIX 40g/m²」。
裏地のレーザーホールで通気性向上
裏地には、ドット状の穴(レーザーホール)があります。全体ではなく、「VENTRIX」のスリットが入っている肩周り・肘・脇腹部分。スリットとレーザーホールを連動させることで、熱の排出を促します。
表地・裏地には、通気性とストレッチ性に優れる「15D Mechanical Stretch Breathable Nylon」を使用。生地感はシャリシャリしています。
表地・中綿・裏地のすべてがストレッチ素材なので、大きな動きをしても、突っ張り感が非常に少ない。
ポケット内部にも穴があり、ベンチレーションの役割も。
擦れに強いハードフェイスプリント
ザックを背負ったときに擦れやすい肩や腰周り、摩耗しやすい腕周りには、"ハードフェイスプリント"加工がされています。
蜂の巣のようなデザインですが、目立ちません。擦れやすい部分を効果的に保護します。
袖口と裾は風が入りにくいゴム仕様
袖口と裾はゴム仕様。無駄な隙間ができないため、風が入りにくいです。
緩すぎず、キツすぎず、適度なぴったり感。裾にドローコードはありません。
ポケッタブル
左胸には内ポケットがあり、そのポケットに収納できる"ポケッタブル"仕様。
収納サイズは、約「 W25×H18×D7cm 」。500mlのペットボトル2本分くらいの幅。
正直、自分は、ポケッタブルのものをポケッタブルとして使うことはほぼないですが(面倒なので)、旅行などで、バッグに忍ばせておきたいときは便利。
中綿の厚みと、ポケットのジッパーの幅から、たたんで入れるのは困難。素材的にシワになりにくい(なっても戻りやすい)ので、押しこむのが手っ取り早いです。
GOLDWIN 公式サイト
「ベントリックスジャケット」に決めた理由
◾︎「フードなし」ジャケットがよかった
◾︎ 透湿性がよさそう
サイズ感・ロフトの厚さがいい
「ベントリックスジャケット」を選んだ一番の理由は、"サイズ感と厚み"です。
機能性に優れていても、サイズ感・フィット感が合わなければ、行動着として使いにくい。
ノースフェイスは"日本規格"をつくっているため、比較的合いやすいブランド。特に、腕の長さと着丈がぴったりで嬉しい。
◾︎ アークテリクス 「アトムジャケット」
上記2点も検討しましたが、サイズ感が合わず。チビだし、手足も短いし、海外メーカーは難しい・・・
「テ・アラロア」のハイカーは、パタゴニアの「ナノ・パフ・ジャケット」が多かった印象です。
「UL サーマラップ」よりも少し厚めですが、保温着としての役割も考えると及第点。自分は、行動中もがっつり使いたいタイプなので、厚さは結構気にします。
「フードなし」ジャケットがよかった
「UL サーマラップ」は、フードありの"パーカ"を選んだので(フードなしもある)、フードなしで探しました。
中間着として使う場合、アウターと重ねると"フード on フード"になりがち。レインジャケットや雪山用のアウターには必ずフードがあるし、フードなしの方が自由に、シンプルに使えます。
また、山と道「オンリーフード」を手に入れてから、フードはなくてもいいや、と思うようになりました。
\「オンリーフード」便利です!/
透湿性がよさそう
「アクティブインサレーション」は行動中がメインのため、"透湿性"は大事。
上記の通り、「ベントリックスジャケット」は、中綿のスリットと裏地の穴により、効率的に蒸れを排出してくれます。
素材の透湿性も大事ですが、そもそも構造的に抜けやすいものは、快適性が高いと感じます。
「ベントリックスジャケット」使用レビュー!
\ ベントリックスジャケットのここがいい!/
◾︎ 蒸れにくさを実感
◾︎ 着心地が柔らかく滑りがいい
◾︎ 袖口がゴム仕様で着脱しやすい
◾︎ ミドル・アウター両方最適
◾︎ 大きな内ポケット
◾︎ ポケッタブルにして枕使用
薄さのわりに保温性が高い
「ベントリックスジャケット」は、薄手と中厚手のあいだくらいの厚さではないかと思います。行動着としては少し厚め、保温着としては少し薄め、という印象。
しかし、防風性もあり、3シーズンには十分な保温性。触った感じは、少し薄い?という印象ですが、実際に着てみると、思ったより温かい。
中綿の「VENTRIX」には、もう一段階薄い"25g/㎡"があります。ベントリックスジャケットには"40g/m²"の中綿が使われているので、保温性は比較的高め。
ニュージーランドでは、一番寒いキャンプ地で-1〜2℃でした。9月下旬〜10上旬の、北アルプスの朝の冷え込みくらい。
そのとき着用していたウェアは、ファイントラックのブラトップ、薄手の腹巻き、山と道「UL シャツ」、アームカバー、ベントリックスジャケット。
風もありましたが、「ベントリックスジャケット」を着ていれば特に寒くもなく、レインジャケットは着ないで済みました。
蒸れにくさを実感
ニュージーランドは夏〜秋だったので、行動中の着用は最後の方だけ。朝の気温が5℃を下回るようになったとき、何度か使用しました。
スリットの開閉と、裏地の穴が効果的に働いているせいか、蒸れは少ないと感じました。
着るべき気温や風の中、激しい動きをしないかぎり、オーバーヒートする前に蒸れが抜けている感覚。
急登では我慢できずに脱ぎますが、息が上がらない程度の斜度や、風のある稜線では、不快にはなりませんでした。保温性の高さ考えると、優秀だと思います。
着心地が柔らかく滑りがいい
生地感は少しシャリっとしていて、滑りがいい。中に、フリース素材を着るときも干渉せず、スルリと腕を倒せます。
着心地も柔らかく、とってもしなやか。着用したまま寝ても、気になりません。
袖口がゴム仕様で着脱しやすい
袖口はゴムでよく伸びるので、着脱しやすい。少し大きめの、アウトドア用の時計をしていても問題なし。
モンベル「ULサーマラップ」は袖口が細く、ストレッチ素材の部分しか伸びないため、着脱が少し面倒(大きめの時計はいちいち外す)。
着脱が面倒だと、体温調節が面倒になるので、ゴムかカフスだと便利ですね。
ミドル・アウター両方最適
"フードなし・薄手(+α)"のジャケットは、ミドルレイヤー・アウター両方に使いやすい。
3シーズンはアウターとして、雪山ではミドルレイヤーとして、オールシーズン使えます。スノースポーツでも、使いやすいと思います。
身頃のサイズ感は、中に薄手のフリースやインナーダウンを足せるような余裕があります。
大きな内ポケット
左胸の内ポケットは、昭文社の登山地図が外装ごとすっぽり収まる、大きめサイズ。
外ポケットだったら、より使いやすいと思いますが、胸ポケットがあるだけで嬉しい。
手袋やスマホ、カイロ、ちょっとした行動食を入れるのに便利です。
ポケッタブルにして枕使用
ポケッタブルにすると、500mlのペットボトル2本分くらいの幅で、小さめの枕として使えます。
普段、テント泊のときは、衣類を入れているスタッフバッグを枕にしていますが、衣類が少ないと、ぺったんこで寝づらい。
そのようなときは、「ベントリックスジャケット」をポケッタブルにして、枕として利用。
高さが7cmほどあり、中身がギュッと詰まっているので、意外と寝やすい。1枚で枕がつくれるのは、結構便利です。
「モンベル」vs「ノースフェイス」行動着に最適だったのはどっち?
個人的には、総合的に"行動着"として快適だと感じたのは、モンベル「UL サーマラップパーカ」。
「UL サーマラップ」が優秀だと思うポイント
◾︎「行動着」としての薄さが絶妙
細身デザイン・フィット感の良さが ◎
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"行動・動きやすさ"を一番に考えたとき、「UL サーマラップ」のフィット感と、かさばりのなさに軍牌が上がりました。
「ベントリックスジャケット」と重ねてみると、「ULサーマラップ」の方が細身のデザイン。
身体のラインにフィットするので無駄な生地がなく、動きを妨げません。ザックを背負ったときも、生地のかさばりや重なりがなくスッキリ。手足を使うような岩場では特に、動きやすさを感じます。
寒いときは、レインジャケット(雪山ではシェル)を羽織りますが、細身のデザインが"中間着"としても最適。
上記にも記しましたが、「UL サーマラップ」の"袖口の細さ"には、デメリットを感じていました。
しかし、"無駄な厚みのない細さが行動着に適している"と、「ベントリックスジャケット」を着て実感。
\ ベントリックスジャケット /
「ベントリックスジャケット」は、袖口まで中綿の厚みがあるので、腕時計を生地の上にするのは窮屈。生地をよけると、袖口が少し渋滞。
私は、目線を向けるだけで時間を知りたい派なので、袖の中に腕時計をするのは、あまり好きではありません。トレッキングポールを使っていると両手が塞がるので、めくるのが余計面倒になる。
\ UL サーマラップパーカ /
対して、「UL サーマラップ」は、腕時計をはめてもスマート。
手袋バージョンでも、スマートさを保っています。手袋で袖口を覆っても、中に入れても、モコモコしないところもいい。
手袋は、秋冬に使用している、裏起毛のモンベル「トレールアクショングローブ」です。春〜秋の薄い手袋だと、よりスマートです。
\「トレールアクション」についてはこちら /
「アクティブインサレーション」はモンベルがはじめての1着で、それをずっと使っていたので、何気ないポイントにハッとさせられました。
ニュージーランドで「ベントリックスジャケット」を着用したとき、腕時計の位置がどうも定まらなくて。
そもそも、腕は寒さを感じにくいので、袖口までしっかり中綿がなくてもいいなと。
「行動着」としての薄さが絶妙
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アップダウンや急登を含めたとき、「UL サーマラップ」の薄さが行動向きで、より快適。
蒸れにくさ(透湿性)は、どちらも同程度かな?という印象ですが、保温性は「ベントリックスジャケット」の方が高いと思います。
ジャケット自体の厚さも、「ベントリックスジャケット」の方が厚いので、がっつり登ったり、歩いたりしていると、ほてりが早い。
着脱の頻度は、「UL サーマラップ」の方が少ないです。
両者ともに優秀なポイント
◾︎ ストレッチ性
「蒸れ」に関しては、優劣をほとんど感じないくらい、どちらも優秀だと思います。
「ベントリックスジャケット」は保温性が高い分、場面によっては暑くなりやすいですが。
出典:モンベル
背中をぐーっとのばしたときのストレッチ性は、両者ともによくのびる。
「UL サーマラップ」は、登山やスノースポーツの他、クライミングで使う人も多いモデル。
どちらも、激しい動きにも対応するストレッチ性があるので十分です。
2枚の使い分けが最適解
より行動向きの「UL サーマラップ」と、保温性が高めの「ベントリックスジャケット」。
フードの有無の点でも、山行によって使い分けるのが一番いいと思いました。
個人的な使い分けとしては、3シーズンと、冬のがっつり低山では「UL サーマラップ」。冬の、ゆったりめの山歩きでは「ベントリックスジャケット」。雪山は、天候や山域によって選択。
これまで、「UL サーマラップ」1枚で過ごしてきたので、それでも不便はありませんが、2枚あることで、より幅広い季節や温度、天候に対応できると思います。
まとめ
モンベル「UL サーマラップ」と、ノースフェイス「ベントリックスジャケット」をご紹介させていただきました。
どちらも、行動を重視した「アクティブインサレーション」として使い勝手がいいので、はじめの1着にもおすすめです。
自分の身体(代謝、体格)と、山行スタイルにフィットするのはモンベルなので、どちらか1枚を選ぶなら「UL サーマラップ」。しかし、その点は人それぞれなので、店頭での試着・検討を。
使う頻度が高くなる秋〜春にかけては、1枚あると本当に重宝します。「アクティブインサレーション」は、アウトドアウェアのアイテムとしても、かなりおすすめです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
\ この記事がお役に立ちましたら /
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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