歩き人たかちです(@takachi_aiina)
季節や目的別で防寒着を選ぶ・持つのはめんどくさい。行動着、保温着として、夏も冬も活躍する、オールシーズン使えるアイテムはないだろうか・・・
ダウンや化繊ジャケット、フリースをいろいろ試していたときに発売された、モンベル「UL サーマラップパーカ」。
薄い・軽い・保温性・蒸れにくい・ストレッチ性、フィット感。山歩きに、とてもバランスのいいモデルが登場しました。
インサレーションのなかでも、「アクティブインサレーション」とも呼ばれるもので、"行動着"をメインとした、化繊の中綿ジャケットです。
購入から約8年。春夏秋冬、オールシーズン持ち歩いている、大活躍の「UL サーマラップパーカ」をご紹介します。
\ ノースフェイス「ベントリックスジャケット」との比較 /
ダウンと化繊のメリット・デメリット
近年、どのメーカーでも力を入れている、化繊のインサレーション。
ダウンに劣らない保温性や軽量性が実現されている現在は、必ずしも、「防寒着 = ダウン」でなくてもいい。
私自身、ダウンよりも化繊を使うことが多くなりました。
ダウン | 化繊 | |
メリット | ◾︎ 保温性が高い ◾︎ 軽い・コンパクト |
◾︎ 濡れに強い(保温力を保つ) ◾︎ メンテナンスがらく ◾︎ 破れても致命的にはならない |
デメリット | ◾︎ 濡れに弱い(雨・汗・湿気) ◾︎ 羽毛抜け(破れると大惨事) |
◾︎ 重量に対する保温性はダウンに劣る ◾︎ 重い・嵩張る |
基本的なメリット・デメリットはありますが、"軽量・コンパクト・保温性"に関しては、ダウンに負けず劣らずの化繊ジャケットも多くなっています。
選ぶポイントは、"行動中に着るか"ということ。"濡れ"に関しては、どうしてもダウンが劣るので、使用目的で選択してください。
現在は、濡れに強い「撥水ダウン」も多くなりましたが、行動中のダウンは、個人的にはやはり暑い(厳冬期の吹雪とかでないかぎり)。
化繊ジャケットなら、テントを撤収して、そのまま行動に移せる。寒い時期の、化繊ジャケットの好きなポイントです。
モンベルの独自素材「エクセロフト」とは?
「エクセロフト」とは、ダウンに劣らず温かく、濡れても保温力のある中綿素材。
中綿はポリエステル100%。繊維一本一本にシリコーンコーティングが施されており、雨や汗の濡れによる"保温力低下"を最低限に抑えます。
繊維の太さは3種類
「エクセロフト」の特徴は、太さの違う、3種類のポリエステル繊維が使用されていること。それらが絡み合い、1枚のシート状になっています。
画像出典:モンベル
太い繊維は中綿をヘタリにくくするためですが、それだけで構成された中綿は、硬く、隙間が多い。しなやかさに欠け、空気をうまく溜めこめないことがデメリット。
そこで、極太・中太・極細の3種類をブレンドし、デメリットを補っています。
極 太 繊 維
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バネのような"弾力"を発揮し、ダウンのような"回復力"の役割担います。
小さく畳まれたり、スタッフバッグに押しこめられたウェアを、ブワッと広げるのが極太繊維。極太ゆえに、"ヘタリにくい"メリットがあります。
中 太 繊 維
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適度な"弾力性"と"柔らかさ"を備え、中綿全体を支える役割。
極太と極細のあいだでロフトの保持と、極太だけでは難しい"空気のためこみ"の役割りを担います。
極 細 繊 維
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極太と中太の隙間をうめて、温かい空気を保持する役割。
髪の毛の数百分の一という細さで繊維間の隙間に入りこみ、熱の動きを遮断。温かい空気をしっかり溜めこみます。
ストレッチエクセロフト
「エクセロフト」を改良し、抜群のストレッチ性をもたせたものが「ストレッチエクセロフト」。
画像出典:モンベル
「エクセロフト」の3種類の繊維に加え、コイル状に加工した繊維を投入。バネの役割を担い、高いストレッチ性を発揮します。また、隙間をさらに埋めるため、保温性も向上。
「ストレッチエクセロフト」を採用して登場したものが、「UL サーマラップ」シリーズです。
「UL サーマラップパーカ」概要
重量・サイズ・素材
重量(実測) |
Women’s S:192g ( スタッフバッグ込199g ) |
収納サイズ | ∅12×19cm |
素材 | ◾︎ 表地:ナイロン100% ◾︎ 肩袖:ナイロン89%・ポリウレタン11% ◾︎ 中綿:ポリエステル100% |
撥水加工 | あり( ポルカテックス加工 ) ※防水ではありません |
W’sの平均重量は200gを超えますが、Sサイズは200g以下。
化繊ジャケットは、"かさばり・重さ"がデメリットですが(ダウンと比較して)、200g前後なら許容範囲。
収納サイズは、500mlのペットボトルよりも大きい。
付属のスタッフバッグは、余裕のある大きさなので出し入れスムーズですが、もう少し小さいスタッフバッグでもOK(私は、スタッフバッグは使っていません)。
他のウェアや寝袋でも共通ですが、スタッフバッグの幅に合わせて畳み、細めに巻くとスルッと収まります。ぐちゃぐちゃに押し込んでも問題なし。
*レインウェアなど止水ジッパーが使用されているものは、同じたたみ方をしないのがコツ。毎回同じだと1箇所に負担がかり、破損する恐れがあります。
ストレッチ部分は、腕・肩・脇。カラー的に写真ではわかりづらいですが、ストレッチ部分は、素材の色が異なります(現モデルは同色が多い)。
腕・肩・脇は擦れやすい箇所なので、他の箇所に比べて少し厚めの生地。生地感は、少しシャリッとした感じです。
フードの形状
フードには、控えめに庇がついています。顔周りの、肌に触れる部分は、柔らかい素材で守られている仕様。
ドローコードはないので、顔周りをギュッと締めることはできまさん。
頭部にはベルクロがあり、上下のフィット感や視界の広さは調節可能。
個人差はありますが、私の場合、何もせず被るとブカッとした感じ。ヘルメットを中に被ると、ピッチリしてちょっと窮屈。
ベルクロを調節していない状態。
ベルクロで調節した状態。庇がくいっと持ち上がる。
ジッパーは当たっても痛くないように、保護されています。
裾のドローコード
裾のドローコードは、ポケット中に引っ張る部分があります。ポケットに手をいれて、ワンアクションで締められるデザイン。
引っ張ると、裾が締まる。
緩めるときは、ジッパー裏にある内側のパーツで。
購入した理由・使用レビュー
「UL サーマラップパーカ」を購入しようと決めたポイントと、使用レビュー。
\ ここがお気に入り /
◾︎ 行動中も快適な薄さ
◾︎ 汗抜けがよくて蒸れにくい
◾︎ 抜群のストレッチ性
無駄のないフィット感
「UL サーマラップ」は細身のデザインで、フィット感がとてもいい。
「アクティブインサレーション」の類なので、"行動着"がメイン。ブカッとしていたり、モコっとしていると、動きにくいです。
身頃も腕周りもシュッとしており、無駄なダボつきや隙間がありません。岩場で三点確保の動きをしても、邪魔にならないし、動きを妨げない。
ザックを背負っても、スッキリしています。
行動中も快適な薄さ
「UL サーマラップ」の薄さは、"行動着"としてちょうどよく、代謝のいい自分でも快適に着られます。
私は、"すぐ暑くなる・すぐ脱ぎたくなる"ことが悩み。
「ちょっと寒いな〜着たほうがいいかな〜」と思って着ても、動きだすと大体脱いでしまいます。
普段から、薄いアイテムを足し引きして体温調節をしていますが、アウター、特に中綿ジャケットは、"快適性と保温性のバランス"が難しい。
「サーマラップ」シリーズは以前からありましたが、「UL サーマラップ」より厚め。個人的には、"行動着としては厚い"と感じます。
シートはペラペラだし、触った感じは「保温性足りる?」と思いましたが、着てみると、保温性も悪くない。
たとえば、天候が比較的安定している厳冬期の谷川岳など、初めから雪山用のハードシェルは着ません。「UL サーマラップパーカ」か「トレールアクションパーカ」でスタート。
\「トレールアクション」についてはこちら /
天気が良く、風が穏やかであれば、アンダーに半袖で歩きますが、風があるときのハイクアップには、「UL サーマラップパーカ」が本当にちょうどいい。本格的にビュービューしてきたら、ハードシェルを。
積雪のない山では、5℃を下回るくらいの行動着としてちょうどいい。風のない樹林帯では、5℃以上だと少し暑く感じます。
風のある稜線では、10℃を下回るくらいで羽織ることが多い。
汗抜けがよくて蒸れにくい
透湿性がよく、少しの暑さなら放っておいても気にならない。
私は、暑くなったらすぐに温度調節をするタイプですが、雪山では、風を避けられる場所がなく「今はちょっと難しい」という場面も。
安全に着脱できる場所まで着ていますが、「UL サーマラップパーカ」は、多少放っておいても大丈夫。火照りだしても、蒸れが抜け出すと、いつの間にか気にならなくなっている。
防風性も適度にあるので、フリースとどちらが蒸れにくいか、といえばフリースの方が蒸れにくいと感じます。
しかし、防風性・透湿性・保温性・軽さ・嵩張りなど、総合的に考えると「UL サーマラップ」の方が断然使いやすい。
フリースは嵩張りが悩ましいので、トレールアクション以外は手放しました。
抜群のストレッチ性
腕を回しても、背中を丸めても、突っ張りがなくとても動きやすい。
スキーやアイスクライミングなど、激しいスノースポーツにも十分対応するストレッチ性があります。
寒い時期は着こむこともあるので、ストレッチ性は大事。実際に、スキーやスケボ(山スキー含め)で使用する人も多いです。
洗濯機で洗える
化繊ジャケットのメリットは、"メンテナンスがらく"であること。
ダウンは大抵手洗いですが、化繊ジャケットは洗濯機OKのモデルが多いです。脱水後、半分くらいは乾いています。
長期のロングトレイでは、ジャケットを洗濯できるのは嬉しいポイント。洗濯が必要になるロングトレイルでは、必ず化繊ジャケットを持っていきます。
*洗濯のときは、"ジッパーを全て閉める"ことを忘れずに。開けたままだと、パーツ類により生地を傷めてしまいます。また、ジッパー破損の恐れも。ドローコードも緩め、ネットを使うと長持ちします
ここがイマイチ!「UL サーマラップ」のデメリット
手首が細い!のびない(に等しい)!
手首の部分は、風が入り込まないように細めのつくり。調節できる"カフ"はなく、ゴムもありません。グレーのストレッチ素材の部分だけ、多少伸び縮みする程度。
そのため、"アウトドア用の腕時計をしていると、着脱がしづらい"。着るときは押しこめばいいですが、スマートではありません。脱ぐときは、腕時計を外すことがほとんど。
時計に被せられないくらいの細さ。日常用の時計なら問題ありませんが、アウトドア用の大きめサイズは通らない。
そもそも、脱ぐときに、手を通すのもあまりスムーズではありません。手袋も引っかかりやすい。厚さによっては、いちいち外します(薄手1枚くらいなら可能)。
出典:モンベル
もう一点、個人的な願望として、"女性用にも胸ポケットがほしい"。
男性用にはあって、なぜ女性用にはないのか。胸ポケットは、腰ベルトに干渉しないし、カイロを入れて心臓を温めたり、バッテリーを冷やさないようにできるので、とても便利。
グミとか、行動食を入れるのにもちょうどいいので、個人的にすごく好き。その2点が改良されると嬉しい。
まとめ
長年、愛用している「UL サーマラップ」をご紹介しました。
◾︎ 適度な防風性・透湿性・保温性を備える
◾︎ 中間着にも、アウターにも使える
◾︎ オールシーズン活躍
◾︎ フィット感・ストレッチ性が高く、動きを妨げない
8年ほど使用して、さすがにヘタっていますが、破れもなく、まだまだ使えます。
各メーカー、さまざな「アクティブインサレーション」をラインナップしていますが、今現在も、自分の中で「UL サーマラップ」に勝るアイテムは見つかっていません。
行動着メインで、コスパのいい「アクティブインサレーション」をお探し方には、おすすめです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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