歩き人たかちです(@takachi_aiina)
早春〜晩秋まで、基本的にモンベルの"#3"のシュラフを使っています。
シュラフを何個も所有するのはお金がかかるし、メンテナンスも面倒。できれば、ひとつのシュラフを長い季節使いたい派。
しかし、10月の3,000m(朝の気温0℃前後)となれば、#3だけでは寒い。おまけに、自分が使っているのは「ハーフレングス」のシュラフ。
今回は、防寒対策に使っているちょい足しアイテム、モンベル「シルクシーツ」とSOL(エス・オー・エル)「エスケープビビィ」をご紹介します。
\ こんな方におすすめ /
◾︎ 冬用のシュラフまでは要らない
◾︎ テント泊は夏メイン
モンベル「シルクシーツ」概要・使用感
*モンベル「シルクシーツ」は廃盤になりました
コロナにより利用者が増えた「インナーシーツ」。一時期は山小屋で強制でしたが、そもそも防寒アイテムとして使いやすい。
しかし、"意外と重いアイテム"でもあります。軽いものは100g台、平均は300〜400g程度。
残念ながら、モンベル「シルクシーツ」は廃盤となりました。似たような商品もあるので、インナーシーツの概要とともに紹介します。
\ 特徴・購入理由 /
◾︎ 「シルク」素材で肌触りがよい
◾︎ 静電気が起こりにくい
◾︎ 天然素材ゆえの高機能
◾︎ 足もとはたっぷりのマチ
◾︎ ずり落ちない紐つき
◾︎ 洗濯機で洗える(メンテナンスがらく)
◾︎ シュラフが汚れない
◾︎ 頭までカバーできるのが便利
実測152gの軽量コンパクト
重量は実測152g(スタッフバッグ含まず)。Tシャツ1枚ほどの重さで、350mlのペットボトルよりも少し大きい程度。
パッキングのときはスタッフバッグを使わず、シュラフの中に入れてザックの底に押し込んでいます。
「シルク」で肌触りがよい
素材はシルク100%。シルクは人の肌と同じ"タンパク質"でできているため、皮膚との相性が抜群。
サラサラ・スベスベした肌触りで、汗をかいてもベタつかず、気持ちよく寝られます。
シルクは高級なので価格は高め(1万5,000円〜2万円程度)ですが、睡眠の質や機能性、長く使うアイテムであることを考えれば妥当。
静電気が起こりにくい
シルクのメリットは、"静電気が起こりにくい"こと。
化繊やウールなど、ひと通りの素材で寝ましたが、今のところ静電気はありません。ただ、静電気は"体質"にも関係するため、人によっては起こるかもしれません。
化繊は静電気が起こりやすく、特にウールとの相性はよくない。
寝袋がナイロンで化繊なので、シルクを挟むことで静電気が抑えられます。就寝時、ウールを着るときは特に快適です。
天然素材ゆえの高機能
天然素材のシルクは、ウールと同じく高機能。「吸湿性」「放湿性」「保温性」に優れ、夏はサラサラ、冬は温かい素材。
「保温性」メインで考えればウールのインナーシーツがいいと思いますが、3シーズンの利用や軽量性を優先するならシルクがおすすめ。
足もとはたっぷりのマチ
足もとは丸底(楕円)の形状で、ゆとりがあります。仰向けに寝ても窮屈ではありません。
ずり落ちない紐つき
就寝中ズレないように、シュラフと連結できる紐が左右に付属。
連結して固定すると、寝返りを打ったときもぐちゃぐちゃにならずに済みます。
使用しなくても、足もとまでずり落ちていた、ということはありませんが、変に捻れていることは多々あるので。
縦走のときも、連結させていた方が向きなどを気にせず寝床を整えやすいです。
洗濯機で洗える(メンテナンスがらく)
モンベル「シルクシーツ」のメリットは、"洗濯機で洗える"こと。メンテナンスはとてもらくです。
ニュージーランドのロングトレイル「テ・アラロア」でも使用しましたが、たまに洗濯。数ヶ月に及ぶロングトレイルでも、清潔さを保てます。
シュラフが汚れない
インナーシーツを使うことで、シュラフの汚れを抑えられるのは嬉しいポイント。
皮脂汚れなどが蓄積すると、ふわふわのダウンが次第にベタつき、かさが減って保温力が低下します。
私はテント泊メインでシュラフの利用頻度が高いので、毎年春頃(1年に1回)洗濯をしていますが、秋頃になると洗濯後のふわふわはどこへやら。
しかし、インナーシーツを使いはじめたことで、ロフトの減りを抑えられていると実感しています。
頭までカバーできるのが便利
肩までのインナーシーツも多い中、頭までカバーできる形が便利。
山小屋に泊まるとき、枕カバーとして手ぬぐいを被せていましたが、このインナーシーツならその必要もない。
手ぬぐいは身体を拭くためにも使うため、山小屋泊のときは乾いた手ぬぐいをほとんど枕カバー用として1枚用意していました。
オールシーズン使用になっている「シルクシーツ」
もともとは、シュラフの防寒対策として購入した「シルクシーツ」ですが、思った以上に使い心地がよくて、今やオールシーズン活躍しています。
ダウンジャケットやダウンパンツを着て寝た方が暖かいですが、初秋はそこまで必要ないことも。とはいえ、3シーズンだと寒さを感じる北アルプスなどでは重宝しています。
1枚足すだけで保温性が上がっていることも実感でき、夏山でもぬくぬくと快適な寝心地。シュラフの汚れ防止にもなるし、今ではシュラフとセットで1年中使っています。
モンベル「シルクシーツ」は廃盤!似た商品はある?
モンベル「シルクシーツ」が廃盤となり、似た商品を探しました。
多くはないですが、重量100g台の軽量なものもあるので、シルクのインナーシーツをお探しの方は参考にしてください。
コクーン「マミーライナー 100% リップストップシルク」
COCCON(コクーン)の「マミーライナー 100% リップストップシルク」は、重量わずか120g。
出典:株式会社Nicetime
引き裂きに強い「リップストップナイロン」を100%シルクに織り込んだ、高強度のインナーシーツ。
寝袋に入れて使用することで、"使用限界温度を+5.3℃前後"引き上げてくれるそうです。
出典:moonlightgear
モンベル「シルクシーツ」と違い、顔周りはドローコードで調整可能。マミー型のシュラフと同じデザインのため、使い勝手が良さそうですね。
イスカ「シルクシーツ レクタ」
100%シルクを使用した、130gのイスカ「シルクシーツ レクタ」。
形は封筒型のため足元は広いですが、寝袋との相性は「COCOON」の方がよいと思います。
山小屋利用メインなら、形はこちらがおすすめ。頭までカバーする形ではないですが、全長185cmなの身長によっては枕までカバーできると思います。
洗濯は"手洗い推奨"なので(手洗いモードがあれば洗濯機可)、メンテナンスには少々気を遣います。
スタティック「ヤク ライナー」
"シルク"と"軽量"からは逸れますが、天然素材を求める方向けにもう一点。
出典:STATIC
標高4,000m以上の高所に生息するヤクの産毛を使用した、"ヤクウール100%"の「ヤク ライナー」。
メリノウールよりも上質で、羊毛に比べて保温性が30%高いとのこと。
出典:STATIC
重量は325g(スタッフバッグ込)と、軽量ではありませんが平均的な重さ。とにかく肌触りがいいとのことで、保温性を優先したい方にいいと思います。
SOL(エス・オー・エル)「エスケープビビィ」概要
重量 | 実測243g (スタッフバッグ無し235g) |
サイズ | ◾︎ 縦横最大幅:約213×80cm ◾︎ 前面(頭部含まず):約180cm ◾︎ 足元の細い箇所:約53cm ◾︎ 足元のマチの高さ:約30cm ◾︎ ジッパーの長さ:約60cm *自己採寸のため多少の誤差がございます。 |
体熱反射率 | 70% |
\「エスケープビビィ」の特徴 /
◾︎ アルミ蒸着加工による輻射熱で暖かい
◾︎ マミー型のシュラフと同じ形状
◾︎ 顔周りはドローコードで調整可能
◾︎ ジッパーは裏表どちらからでも可能
◾︎ 透湿性素材
◾︎ 単体使用も可能だが要注意
通常のシュラフカバーよりは軽め
重量は、スタッフバッグを含めず実測235g(個体差あり)。一般的なシュラフカバーは300〜500g台が多いので、それらと比較すると軽量です。
*2レイヤー、3レイヤーなど素材によって重量は大きく異なる。200gを切るものも。
ガサガサしているので、タイベックのような"かさばり"はあります。
アルミ蒸着による輻射熱で暖かい
内側は"アルミ蒸着加工"を施し、体熱を最大70%反射し、熱として循環させる機能。
シュラフとセットで使うことにより、保温性を上げるアイテムとして役立ちます。
マミー型のシュラフと同じ形状
形状は、マミー型のシュラフと同じ。足もとにも、しっかりマチがあります(高さ約30cm)。シュラフカバーとしても使いやすい。
顔周りはドローコードで調整可能
顔周りにはドローコードがあるので、ギュッと絞って保温性を確保できます。
ジッパーは裏表どちらからでも可能
ジッパーの長さは約60cm。寝袋のように足もとまではありませんが、出入りや温度調整がしやすいです。
ジッパーは外側と内側、両方からアクセス可能。就寝中、少し開けたいときにわざわざ腕を外に出さなくて済む仕様。
透湿性素材
数値は公表されていませんが、"透湿性のあるポリエチレン製不織布"が使用されています。
単体使用も可能だが要注意
マミー型シュラフと同じ形状なので、単体で使用している人もいます。形状としては使えますが、使い方や環境には注意も必要。
◾︎ 使用可能温度は20℃以上を想定する
「エスケープビビィ」は、輻射熱により"遮熱性"はありますが、"断熱性"がありません。
保温性は「遮熱性 + 断熱性」によってうまれるため、ビビィ自体に保温の機能は備わっておらず、生地が薄いことで熱も逃げやすい。
断熱性を確保するためには、ダウンやフリースなど空気を蓄えて断熱層をつくるウェアを着込む必要があります。
また、体熱反射率は最大70%ですが、寝ている間は体温が低くなるため、輻射熱の効果自体低くなります。
単体使用の限界温度に関して、どの程度の衣服を着たら、などの詳細が公表されていないため、数値は間に受けない方が良さそうです。
海外メーカーなので、日本人との代謝の違いもあると思います(欧米人の平均体温は37.5℃だそう)。
暑い季節の、平地のキャンプなどでは可能かもしれませんが、登山での単体使用はリスクが大きい。天気予報が外れることもあるため、推奨しません。
単体使用を検討するならば、20℃以上ある環境で試すことをおすすめします。
SOL「エスケープビビィ」使用レビュー
◾︎ じんわり温かさを感じる
◾︎ 小さいサイズがあると嬉しい
◾︎ パックライナーとしては嵩張る
寝袋とのあいだに結露する
9月末~10月初旬の北アルプス、笠ヶ岳〜裏銀座の縦走では、寝袋に入った1時間後には"しっかり結露"していました。
朝晩の気温は1〜2℃、頭までは覆わず、ドローコードも締めず、ジッパーは半分くらい開けた状態で使用。
起床時は、足もとほど結露で湿気っていましたが、シュラフが濡れていると感じるほどではありませんでした。
シュラフとビビィのあいだにインナーシーツを1枚挟むと、結露や湿気を吸ってくれて、シュラフの濡れを軽減できます。
じんわり温かさを感じる
防寒の面では、シュラフの縫い目の"コールドスポット"からじわじわくる寒さをシャットアウトしていた印象です。
ビビィで劇的に保温性が高くなるわけではないですが、足もとがじんわり温かくて眠りにつきやすかったです。
しかし、その温かさは体温が下がる前の、輻射熱効果が一番高いとき。途中で目を覚ましたときは、特別温かくもなく、寒くもない。ビビィを使わないよりはマシかな、くらいでした。
大きな保温性はありませんが、寒いと寝られないので、寝はじめだけでも温かさを感じるのはメリットだと思います。
なお、生地にストレッチ性はないですが、ゆとりがあるため、シュラフのストレッチ性が損なわれることはありませんでした。
小さいサイズがあると嬉しい
全長は、頭部を含めて213cm。身長147cm、かつ、ハーフレングスのシュラフをメイン使用している自分には、足もとがあまりまくり。
無駄な生地を持ち歩いているなあ、と思うとちょっと悔しくなります。一回り小さいサイズがあると嬉しい。
パックライナーとしては嵩張る
"パックライナー"として試してみましたが、大きい & 嵩張りすぎ、でなんとも微妙でした。
50〜60Lくらいのザックなら少しマシかもしれませんが、37Lのザックでは扱いづらかったです。
パックライナーとしての使用は、もうひとつのモデル「エスケープライトビビィ」の方が適していると思います。
まとめ
3シーズンのシュラフだけでは少し寒い、というときの防寒アイテムをご紹介しました。
◾︎ 保温性重視なら「ウール」もあり
◾︎ SOL「エスケープビビィ」はシュラフカバーとしては軽量
◾︎ 透湿素材だがある程度は結露するため、インナーシーツとの併用がいい
◾︎「エスケープビビィ」の単体使用には注意が必要
冬用のシュラフまでは必要ない、という方は、インナーシーツやシュラフカバーを試してみてはいかがでしょうか。
特に、インナーシーツはシュラフの汚れ防止など、保温性以外のメリットもあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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