日々感謝。1200kmのへんろ道。【10日目:24番 最御崎寺 】

お 遍 路

2020.10.29(木) 
高知県室戸市 晴れ☀22/17℃

歩き人たかちです。

寝床難民になりかけた私を、躊躇いなく救ってくださったTさん宅で朝を迎えました。本当は24番最御崎寺まで33km歩く予定でしたが、佐喜浜のTさん宅からのスタートでほぼ半分の18.8.kmに。宿坊を予約していたので行程は変えず、せっかくなので室戸岬を思いっきり楽しんで歩きます。「感謝の心」が完全に私を支配し始めた新たなお遍路一日目。

Tさんとのお別れと心の変化

昨日のできごとが夢のようですが、5:30頃目覚めるとTさんのお宅でした。布団がふかふかでぐっすり。台所から声が聞こえてきましたが、早すぎると迷惑なので6時15分頃ご挨拶へ。

「朝ごはんちょっと待っててね~」と奥さん。目玉焼きにサラダ、ウィンナー、伊予の麦みそみそ汁、昨日のすき焼き、ごはん…。朝からたっぷり豪華なごはんをいただきました。朝の珈琲もいただいて。「歩きながら食べて」と、美味しそうなお菓子まで。

8時に奥さんは仕事に向かうとのこと。スマホ用の三脚で記念撮影をさせていただきました。「帰宅したらお礼をさせてください」と言いましたが、「お礼をしてもらうためにやってるんじゃないから。」と。さらに、「住所は気を遣うといけないから教えないけど、電話番号は教えておくね。もし、お遍路中に何かあったらすぐに電話してね。四国の中だったらどこでも車飛ばして助けにいくから!」と、携帯の番号を教えてくれました。

もう、涙。赤の他人、昨日会ったばかりの自分にこんなにも優しくしてくれる人がいることが本当に信じられません。ご主人も「親戚の家だと思ってまた来ていいよ!」と。最後に、「これからもいろんなお接待を受けると思うよ。幸せになってね!」と。

私には、納め札にお礼を書いてお渡しすることしかできませんでした。少し疑問であった「渡されて迷惑ではないか」ということを聞いてみました。すると「迷惑なんてとんでもない!私たちもね、自分たちがすぐに渡せるように持ってるんだよ」と仰っていました。

7:50頃、Tさん宅を出発。ご主人はもう少ししたら高知市の歯医者に行くとのことで「車で追いかけるね」と。私が見えなくなるまで、家の前で見守ってくれました。国道55号に入る手前で振り返り、大きく手を振ってお辞儀して、お別れです。

室戸市佐喜浜。一生忘れません。また来ます。

室戸岬を目指して、歩きます。

ご主人の散歩道、おすすめされた防波堤の上を。なんとスッキリ晴れた室戸日和か。室戸に歓迎されているようで嬉しくなりました。もちろん暑いけど、眩しいけど、それも気にならないほど綺麗で、穏やかです。

2km程歩いたところで、ご主人の車が追い付きました。わざわざ車から降りて「本当に、頑張ってね!」と。深くお礼をすると「握手!」と言って手を差し出され、がっちりと握手を交わしました。

握手なんて、いつぶり・・・

コロナの世の中、人に近づくことも、触れることもNGの風潮。特に東京から来た自分は、引け目を感じていました。「東京というだけで嫌な目をされるのではないか」そんな気持ちはいつもありました。「どこから来たの?」と聞かれることにビクビクしていました。しかし、差別的な目を向けられるのではないかと思っていた自分を恥ずかしく思いました。

どんなときでも支え合う心を忘れない四国の人々。ご主人との握手によってついに涙腺は破裂しました。人と関わることがどれほど心を、人生を豊かにするか。支え合うからこそ、生きる希望があります。凝り固まったしこりのようなものがポロリと落ちた気分。人間の生き方がここにはあります。

何も気にせず、こんな風に人と関われる日はいつ戻ってくるのだろうか。ウィルスならば仕方がない。でも、やっぱりとても寂しい世の中になってしまいました。

ここから新たなお遍路がスタートしました。自分の心が完全に変わった瞬間。「同行二人」「お大師さまとニ人旅」と言いますがとんでもない。私は、支えてくださった方々、同じ道を歩くお遍路さんたちとともに歩いています。はじめは家族の顔ばかりが浮かびましたが、この一週間でとても心強くなりました。たくさんの人に背中を押してもらいながら、心地よい国道歩きのはじまり。

室戸市の青い宝石

*Tさん宅〜むろと廃校水族館:8.5km*

昨日、ご主人にお勧めされた廃校の水族館は、私も気になっていました。「ちょっとした水族館なのかと思ったら、なかなか良かったんだよ~」と。

今日は寄り道しまくります。

このクライミング技術、伝授していただきたい。

海が本当に素敵です。

室戸市では、高潮警報が出ると国道が封鎖されることがあるとのこと。台風の季節は封鎖されることが珍しくないそうで、季節によってお遍路中も要注意だと聞きました。

自然とともに暮らすとはそういうことですね。

国道歩きも悪くないな〜と初めて思いました。

お、自動販売機。自販1つでテンション上がるのが室戸。

しばらく歩くと「夫婦岩」が遠くに見えてきました。

じわじわと近づき到着。この大きいのかと思ったら、左側の小さい方でした。

近くまでは見に行けないのでしょうか?鎖が張ってありました。跨げば行けますが、それなら鎖をわざわざ張らないだろう…。

これが限界の近さ。

夫婦岩の近くには東屋があるとのことでしたが、それもよくわからず…。ドライブイン夫婦岩のところには自動販売機がありました。

室戸の海は荒々しいですが、晴れ渡った今日は宝石のようにキラキラ輝いて、室戸市の宝物を見せていただいたような美しさ。

奥さんにいただいたお菓子でちょっと休憩することにします。時間がたっぷりあるって大切です。1日20km以下の日をつくった方が身体も心も穏やかです。

こんなに心を空っぽにできるのっていつ以来か。大学生?

働きながら山に癒してもらっていましたが、完全に空っぽにするのは難しかった。どんなに考えないようにしても休みにはタイムリミットがあるし、心の奥の方で仕事人の自分について考えていました。

人生において、非常に貴重な時間を過ごしている。改めて、こういう時間は自分つくらない限り本当にわずかだと思います。

40分くらいほげーっとして歩き出しました。海に元気をもらいました。

廃校の水族館はこの先の「椎名」という地区にあるので、そこへ向かいます。

しばらく歩くと案内がありました。年中無休、すごい。

むろと廃校水族館(* ))))><

色合いがいいですね。受付で荷物を預かっていただき、早速徘徊します。

好きだなーこういうの。

イカスミで書きました!?

水道がタッチプールに変身。

一番奥の「暴風」っていい。ここでの生活が窺えます。

結構本格的です。

ゴンズイ。ダイビングでたまにいるやつ。

めちゃくちゃ楽しいですね。

ウミガメ。カメはかわいいですね。ちょっと狭そうだけど。

訪れたときは、ちょうどテレビやTwitterで話題になっていたようで。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方が楽しまれていました。

顔じゃないけど、動きによって表情豊か。

つくりが本当に小学校ならではで、懐かしさと楽しさを両方味わえる水族館です。

骸骨が案内する先には鯨の骨。

理科室も有効活用。

子どもたちが"一生懸命つくった"ということがわかるのは凄くいいですね。

そして、この水族館のメインは屋外プール。

ここにはシュモクザメがいます。

かっこいい。海の中で見たいんだよなー。

奥の小さめプールにも亀亀亀。

日向ぼっこしながらおやすみ中でしょうか。

餌をあげられるみたいです。

屋外プールが最後でした。

想い出の小学校が廃校になるのは寂しいことですが、このような利用の仕方はすごく素敵だと思います。海の近くならでは。また集まるきっかけを作ってくれる楽しい水族館でした。

これは、寄り道することを強くお勧めします。

むろと廃校水族館 - 室戸市 ホームページ
土佐の東の最先端、光輝く海の恵み。空海、海洋深層水の町。高知県室戸市オフィシャルWEBサイト。イベント案内等

廃校水族館の先には「旅の宿 椎名」という小屋があり、その野宿可能とのこと。見逃したので実物は見ていません。

室戸を知る。室戸ジオパークセンター

*室戸廃校水族館〜ジオパークセンター:3.4km*

ここから3km先に「室戸世界ジオパークセンター」があります。奥さんに「時間があったら是非寄って」と言われていた寄り道スポット。地図にも記載があったので気になっていました。

水族館の案内。次は桂浜水族館。まだまだだな。

水族館で課外授業をやっていた小学生の団体バスが通って行きました。おそらく次はジオパークセンターではないか。

ずっと海を見ながら歩いていたら着きました。

室戸世界ジオパークセンター到着。無料で見学できる施設ですが、内容がとっても充実していました。

室戸の地形、クジラのこと、空海のこと…。短時間で見るには勿体ないくらい。半日くらいかけてじっくり見たい。

映像見たり、展示を見たり。

ただ単に海を眺めて歩くより、地形の成り立ちを知った上で歩くと非常に面白い。

鯨と空海の部分は結構まじまじ読んでいました。

室戸の形はシンプルですね。先はまだまだ長いです。

ジオパークセンターの中にはカフェもあって、海洋深層水珈琲など、ここならではのものを楽しめます。休憩所として利用するのも◎。アイスクリームとかもありました。

ジオパークの敷地内には「へんろ小屋室戸世界ジオパーク」がありました。2階建ての、室戸の地形のようにかっこいいへんろ小屋。

2階からは室戸の海が見えます。

テントを張れる広さではありませんが、宿泊禁止とはありませんでした。駐車場にはお手洗いもあり、自動販売機もあるので、食料があれば潮風野宿ができそうです。

へんろ小屋2階から見た敷地内。駐車場も広いです。バス停もあります。

室戸ユネスコ世界ジオパーク
Just another WordPress site

最後の寄り道。シレストむろと

*ジオパーク〜シレストむろと:4.7km*

水族館、ジオパークセンターと室戸を満喫。明徳寺から歩いていたらどこにも寄っていない、あるいは水族館を小走りで見ていたかもしれません。

15km歩かなかったことは全く後悔していません。素敵なご夫婦に出会えたことが、一生の宝物になりました。Tさんのご主人が「とにかく全部歩くことにこだわる人がいるけど、そんなのいいんだよ。いろんな縁があるんだから。それを大事にした方がいい。」と仰っていました。本当にその通りだと思います。私が頑なに断っていたら、心がガラリと変わらなかったかもしれない。ただの辛い室戸になっていたかもしれない。流れてくるご縁をしっかり掴むことも大切だと改めて感じました。

室戸も大分近づいてきました。

休憩所発見。

室戸海洋深層水株式会社。高知県ではあらゆるところで「海洋深層水」という言葉を見ます。ここを過ぎるともう少し。

「シレストむろと」に着きました。

中には、休憩スペースとお土産、お食事処、温泉。ここでお昼を食べようと思っていましたが、魚と地形で遊び過ぎたのでお昼の時間は完全に通り過ぎて14時になっていました。あと数時間でご飯食べるし、行動食もあるしいいやと。

足湯がやっていたら入りたかったのですが、足湯は利用中止中でした。

萩森リストに野宿場所として記載はありませんが、足湯の方に芝生が広がっており、そこではテントを張らせていただけるようです。岬近くには意外に野宿場所がありそう。

75.4km。24番「最御崎寺」

*シレストむろと〜24番最御崎寺:2.2km*

ラストスパートだなーと歩いていると何やら白い像を発見。これは「室戸青年大使像」でした。Googleにも登録されていました。結構近くまで見に行けるようです。

かなり気になりましたが、ここに近づく前に遊歩道の案内があって、そっちに惹かれてしまいました。人工物より自然派。

この遊歩道は「乱礁遊歩道」というもの。青年大使像近くから岬を通り、反対側の中岡慎太郎像までを結ぶ2.6kmの道です。室戸の巨岩・奇岩の間を歩きながら地層や地形を楽しむことができて、室戸岬を肌で感じることができます。

さらに荒々しく。

名のある巨岩がたくさんあります。

行水の池。空海が行水をした池とのこと。

烏帽子岩。

亜熱帯植物の中も通ります。

遊歩道を最後まで行くと最御崎寺への登山口の反対側に行ってしまいます。まだ時間は大丈夫ですが、最御崎寺に向かうことに。登山口は「観音窟」のあたりからなので、そこら辺で車道に出ました。遊歩道からはちょこちょこ車道に出られるようになっています。

23番薬王寺から74.5km。24番最御崎寺が待っています。

お寺の間隔が延びると高知県を感じます。高知県最初のお寺へ。

最御崎寺までは距離695m、標高差155m

緩やかな階段の道を上がっていきます。

空海がお母さんを嵐の中雨宿りさせるために岩を捻ったとされる場所だそうです。空海って、本当にどんな人だったのでしょう。伝説がいちいちすごい。お会いしてみたい。

途中には東屋。

どこかで室戸の海がパアーっと見えるのかと思いましたが、そういうわけではありませんでした。

到着。

24 最御崎寺

本尊:虚空蔵菩薩
宗派
:真言宗豊山派
開基
:
弘法大師

荒波が削る断崖絶壁の下に、波の浸食によってできた「御厨人窟」があり、その上に立つのが修行の道場1つ目の札所である最御崎寺。19歳の弘法大師は御厨人窟で寝起きをし修行、ここで「空海」の名を感得したと伝わります。今も語り継がれる「くわずいも」や「鐘石」「捻岩」などの七不思議が残っています。26番金剛頂寺の「西寺」に対し「東寺」とも呼ばれています。

参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者
:株式会社エディスタ

本堂

大師堂

納経所では「歩いてきたの?」と聞かれ「はい。」というと、「歩いてきたの!」と。厳密には15kmスキップしましたが、そんなに驚くことなのかな。

この最御崎寺では、すごく楽しみにしていたものがありました。Tさんご夫婦にも「絶対やってみて!」とかなりお勧めされた「鐘石」です。空海の七不思議としても紹介されています。

しかし、ここまでの寄り道でかなりお腹いっぱいになっていた私。鐘石のことを完全に忘れていました・・・。境内の中心にあったようですが、全く見ていなかった・・・。

叩くと鐘のように高い音が出る石。長年多くの人に叩かれて窪んだ部分に、叩く用の小石がいくつか置かれています。叩く場所によって音が異なるようで。あー、やりたかったー。

あと、もう一つ。遊歩道の方へ行ってしまったために「御厨人窟」を見忘れました。「ここは見なきゃダメでしょ」という場所だと思います。以前、落石があって立ち入り禁止になっていたようですが、2019年に3年半ぶりに解禁。午前9時〜午後5時までで、入口にはヘルメットが置いてあるそうで、被って入るとのこと。

ここからの空と海を見ないでどうする。やっぱり室戸にはもう一度行かないといけませんね。

24番最御崎寺の宿坊

宿坊へ向かいます。

手前にかわいいお地蔵さんが並んでいると思ったら「一言お願い地蔵」でした。

新しいのがどんどん置いていかれるので、グラデーションみたいになっています。

おっと、関係ない子もしれっと置かれている。

以前はユースホステルだったようです。15時過ぎてるけどカーテンが閉まっている・・・。あれ?16時だったかな?と納経所に聞きに行くと「15時半かなあ?」と。でも、HPは15時。

おかしいなーと思っていると、男性お遍路さんもやってきました。開いてないですねーと2人で話していましたが、ドアの鍵は開いている。ちょっと覗いてみると、奥に明かりが点いていて声が聴こえました。「ちょっと行ってみようか」ということで、中に入って受付らしき方へ。

受付には女性がいて「カーテン閉まってましたか!?」と。どうやら開け忘れていたようです。入口はお寺側と、スカイラインから登ってきた駐車場側に1つずつありました。

無事に受付をして部屋へ。お風呂は16時からですが、早めに沸いたら内線しますと仰ってくださいました。

お遍路用品もたくさんありました。

ゆったり。お風呂の前に道具のメンテナンス。

15時45分頃、お風呂どうぞと内線がきました。浴室は入ってきた入口の外にあります。浴室の向かい側にランドリーコーナー。洗濯機、乾燥機が各2台。粉洗剤が置いてありました。

最御崎寺の宿坊はお風呂が名物になっています。

それが、これ。

「願い掛け大使」がいるお風呂。

ここでしかできない経験です。一番風呂いただきました。

脱衣所も綺麗です。

宿坊は1泊朝食にして6000円。室戸岬周辺に食料品店はありません。昨日Tさん宅にお邪魔したことで、道の駅で買っていたご飯がまだ残っていました。

受付の女性が「夕ご飯大丈夫ですか?食べましたか?」と心配してくれて。自動販売機はありませんでしたが、食堂に水やお茶が売られています。必要であれば、20時くらいまでには買っておいた方がいいと思います。

室戸岬周辺に宿はいくつかあります。泊まりたいと思っていた宿がありましたが、満室のため宿坊にしました。その宿が「スカイアンドシー・ムロト」。凄く良さそうな宿だったので、下にHPのURLを載せます。次に室戸に来たら泊まりたいです。

空と海|スカイ アンド シー・ムロト
室戸崎は、若き空海(弘法大師)に明星を与えた聖地です。 室戸三山、東の麓、三津集落、私たちはここに古民家ゲストハウスを誕生させました。 弘法大師思想を展開した空海の間で、明星の意味を読み解いてください。

今日は時間にも心にも余裕のある1日でした。見所がたくさんあったので、室戸岬をパッと通り過ぎる結果にならず良かったと思います。明日は室戸岬の折り返し。こらからどんな日々が待っているのか、とても楽しみです。

Muroto de あそぼ 高知県の東南端 #ジオパワむろと

★本日の歩行距離:18.8km

★累計:237.2km

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

にほんブログ村 旅行ブログ 遍路(・巡礼)へ
にほんブログ村

よろしければ、応援お願い致します。

コメント

Copied title and URL