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日々感謝。1200kmのへんろ道。【19日目:国道沿いの素敵な出会い】

お 遍 路

2020.11.7(土)
高知県四万十市 雨☂→曇り☁ 21/14℃

歩き人たかちです。

今日は、雨のため一昨日予約した「ゲストハウスまある」に泊まります。次の38番金剛福寺は80.7km先。ここから3日かけて足摺岬へと歩きます。大粒の雨が降る中、今日はほぼほぼ国道歩き。途中で、この辺りでは有名だというお接待のおじいちゃんに招かれ休憩。おじいちゃんとも、ゲストハウスのご夫婦とも、本当にたくさんお話した1日。

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ちょっとだけ山道。市野瀬遍路道

*岩本寺ガレージ~西尾自動車道:7.7km*

5時半起床。日の出は6時半くらいまで遅くなりました。なんだかんだ岩本寺のガレージでぐっすり眠っていました。起床時はまだポツポツ程度でしたが、出発の頃には3㎜くらいの本降りに。6:45出発。

水車亭の前を過ぎて国道56号を黙々と歩きます。

今のところ、雨は3回目。焼山寺を除けば、高知市内に入る日と、今日の国道歩きと、なかなかいいタイミングで降ってくれています。昨日の峠越えが雨だったらちょっと泣けました。

だんだん登りになり「峰の上」を過ぎたところがピーク。この峰の上のバス停の手前から、へんろ道は車道をショートカットするように山道になります。しかし、雨なのでここはパス。

傘を差していたからか案内にも気が付きませんでした。バス停手前に公園のような場所があったので、おそらくそこだったのだろうけど。そのままピークを過ぎて下ります。

次の「市野瀬遍路道」は短そうなので行ってみることに。弘法大師となんか可愛らしい像のある場所で左折。

民家がやがて無くなりました。

進んで行くと山道への案内。

緩やかな道でした。荒れている箇所はなく、非常に歩きやすい。少し登って、あとは下りが続きます。

10分程歩くと車道に出て、さらに山を下ります。ここからはちょっと細めのへんろ道。岩が濡れてツルツル。

岩がツルツルした道が続くのかと思ったら、すぐに広い林道に出ました。しかし、遍路道は林道を横切り再び細めのへ。

道は少しずつ広がり、最後は竹林になりました。こちらも10分程で国道に合流。ずっと国道では寂しいので、少しでも土を踏めてよかった。しっとりしている山もいいものです。

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玄関前で。佐賀橘川接待所

*市野瀬遍路道終点~土佐佐賀温泉こぶしのさと:3.6km*

こぶしのさとで休憩するぞーと歩き出します。また国道を黙々と。

1kmくらい歩き、とある民家の前を通ったとき「お遍路さーん、おはようございまーす!」と家の中から声を掛けられました。

なんだ?なんだ?と「おはようございます。」と返事をすると、「珈琲でもいかがですか?」とおじいちゃんが出てきました。

傘を差していたので全く見ていませんでしたが「佐賀橘川接待所」という看板がありました。

玄関横のスペースにベンチを置いて、お接待をされている方でした。せっかくなのでいただくことに。

ポットや紙コップ、小さな冷蔵庫などのお接待道具が外に置かれていて、すぐに珈琲を淹れてくださいました。「お菓子とかみかんも食べてね」と、たくさん入ったお菓子箱を。

雨の中、今日は黙々と歩くだけかな…と味気なさをちょっぴり感じていたので、嬉しいお接待。ありがたく、みかんとお菓子もいただきました。

コロナにより、ここまでのお接待所はほとんどが「お休み中」でした。おじいちゃんはここで17年程お接待をしているそうで、「順打ちでも逆うちでも、ここまでは2週間以上かかるから、コロナ持っている人ならここまでになっているから」と、逆に開き直った感じでお接待を続けておられました。

明日は四万十川でキャンプをすると話すと「まあ~そこまで水は奇麗じゃないけどね、最後の清流とは言われているけどね。」なんて。そんなこと言わないで~。

1番に戻るか與田寺へ行くか

結願したあとに1番に戻る人が多いけど、昔は1番じゃなくて「與田寺」に戻っていたというお話を聞きました。

與田寺は「四国88ヶ所の総奥の院」とされている場所とのこと。地図にも、1番に戻るルートと與田寺経由でのルートが記載されています。昔は與田寺に行き、そこで酒盛りをしてお祝いしたそうです。

それが、いつの間にか一周という感じで1番に戻るようになったと。さらに、みんなが1番に戻ると1番ばかりが儲かるということで、88番から一番近い10番で終わらさる人も出てきたと。

與田寺
「與田寺」の情報は「ツーリズム四国」で。天平11年、行基が開いたとされる真言宗別格本山。四国八十八ヶ所奥の院に指定されており、「厄除けの寺」として非常に有名で、初詣の定番スポット。

納経帳は全部うめる?

納経帳についてもお聞きしました。

1番に売ってる納経帳には、一番後ろに白紙のページが大体ついていて、別格とか88ヶ所以外のお寺で御朱印をいただくときに使用します。

この白紙ページ、気になって全部うめる人、全然気にしない人と分かれるらしいです。私は白紙があることすら知りませんでしたが、これもお寺の商売戦略だと…笑

お寺ごとにもいろいろな事情があるのだなと聞いていて面白かったです。でも、確かに1番は儲かるよなと納得。與田寺も気になります。

歩道があるだけありがたい

それから歩道のお話。

お遍路を歩いていると、歩道が右にあったり左にあったりするので、その度に道路を渡ります。

「あっち行ったりこっち行ったり」と文句を言う人もいるらしいですが、誰も歩かないような山道や室戸のような何もない場所にもお遍路さんのために歩道はあります。「歩道がある」ということがありがたいことなのだと。歩道を作っているところを見たら文句なんて言えなくなると話されていました。

四国以外でこんなに歩道が続く場所はあるでしょうか。どんなに細くても、一段上がる歩道があることでどれだけ安心するか。何事にも感謝しなくてはいけませんね。

室戸岬と足摺岬はどちらが辛いか

これから向かう足摺岬についてお聞きしました。

室戸市と足摺岬はどちらが辛いのかとお聞きすると「室戸岬」との答えでした。

室戸岬を歩き出すときは、まだ一週間ちょっとしか経っていないので、身体が十分にできていないことが多い。だから、歩くのに必死だと。でも、足摺岬のときは四国を半分ほど歩いて、足も身体もできあがっている。景色を楽しむ心の余裕があると仰っていました。

確かに、二週間経って国道にも慣れ、距離ごとに歩くリズムもできています。足摺岬を楽しみにしている自分もいる。

おじいちゃんと話していると男性お遍路さんが一人。何回か歩き遍路をされている方でした。30Lもないような小さなバックパックですごく身軽、1日40km前後歩いていると。

私の野宿スタイルのザックを見るなり「野宿道具持っているの?それじゃあ、一日30kmくらいしか歩けないでしょ。テントなんて必要ないよ、GO TOで安いんだから。」と、ズバズバ否定されてしまった。

この男性も「歩くこと」が目的なのですね。男性は少し休憩して先へ。この雨でも40kmちょっと歩くようです。

雨足はさらにひどくなり、一時土砂降りのように降っていました。私はそのままおじいちゃんとお話。野宿は毎日するのか聞かれ、主にはキャンプ場を利用して、宿も多いというと「うーん…そうだね。表にはでないこともたくさんあるから。絶対に安全なんてことはないからねぇ…」とちょっとうつむき加減に。このおじいちゃんもいろいろ知っているのだと思います。

たくさんお話していたら1時間近区経っていました。雨足も少し弱くなり、お礼を言って出発。雨の中、外の様子を窺って呼び止めていただき、とても楽しい時間を過ごせました。

2kmちょっと歩いて、土佐佐賀温泉こぶしのさとに到着。

ここには「へんろ小屋 佐賀」があります。温泉施設に一言断れば野宿もできるそうです。日帰り温泉もレストランもあり、良い野宿地になりそうです。

中には萩森リストが掲示されていました。テントを張るスペースはありませんが、真ん中のテーブルを動かせば張れるかもしれません。動くかは未確認。

ここでお手洗いをお借りして先へ。

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伊与木川に沿ってぶらぶらと

*土佐佐賀温泉〜伊与喜駅:6km*

土佐佐賀温泉から橋を渡り、川を挟んだ歩き遍路の道へ行きました。どちらでも距離は大して変わりませんが、国道は歩道が狭くなります。交通量が非常に多い。だいぶ落ち着かなさそうな雰囲気。また、見た感じ国道はアップダウンがあります。

こにらは民家がポツポツとあり、車もほとんど来ない。というか、住民の方か配達の車くらいしか通りません。歩いたときも、クロネコヤマトのトラックが一台通ったのみでとても静かに歩けました。

土佐くろしお鉄道に沿って道が続きます。かわいい鉄道を見ることができました。

「伊与木川」を見ながらの散歩です。音もなく流れています。

しばらく歩くと「市野々橋」に着いて国道に戻ります。

川は「伊与木」ですが、駅名は「伊与喜」と漢字が違います。

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楽しみにしていた「熊井隧道」が…

*伊与喜駅~道の駅ならぶ土佐佐賀:2.7km*

今日の行程で楽しみにしていた一つの場所が「熊井隧道」

隧道ファンにも結構有名な場所のようです。明治38年に建設された自然石と煉瓦の隧道で、美しい土木遺産として残されています。とても歴史のある隧道で、小学生が煉一個一銭の運び賃で働き、職人が作り上げたとのこと。

中は真っ暗ですが、煉瓦のトンネルだなんてなんだか浪漫です。

次は隧道だ!と歩き出すと…

あれ…通行止め…。

がーーーん。

隧道の見学はできるそうですが、通り抜けた先で工事をしていて先へ行けないとのことで、また戻って来なければなりません。

うーん、それはちょっと…。隧道まではちょっと山道を行くので、諦めて国道を歩きました。

令和3年の9月30日までの工事予定で、1年以上の大規模工事のようです。

残念…道の駅へ向かいます。

前から来た逆打ちのお遍路さんも「熊井隧道通れないんだねー」と残念そうでした。

ちょうど12時に「道の駅ならぶ土佐佐賀」に到着。

ここでお昼休憩。お弁当、パン、お菓子といろいろ売っていました。今日は土曜日なので道の駅も賑わっています。

高知のドリップコーヒーかなと思ったら

「DASHI DRIP」

すごく気になってしまったので一つ購入してみました。後日飲んだら、鰹のいいお出汁でした。

軽く済ませようと思いつつ、塩たたきに惹かれ、気が付いたら券を購入していました。土佐久礼で行きたかったお店が休業していたので、どこかで丼を食べないとと思っていたところ、ここで発見してしまいました。

「塩たたき定食」。柔らかくて食べ応えのある鰹。最高。

「鰹カツカレー」も美味しそうでしたが、桂浜での塩に感動してしまったので、素材の味を存分に味わえる定食にしました。

ここからは宿までひたすら海沿いの国道を歩きます。

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曇天の土佐湾をゆく

*道の駅ならぶ~ゲストハウスまある:9km*

道の駅を過ぎたあとは黒潮町の中を通ります。

「黒潮一番館」の大きな看板。ここも鰹で有名な食事処。へんろ道から少し逸れて港の方へ行くとあります。獲れたての鰹の定食をいただける人気のお店のようです。道の駅で食べちゃったよ…。でも満足です。

カツオふれあいセンター黒潮一番館│黒潮町公式ホームページ
高知県幡多郡黒潮町は、四国/高知県の中でも西南地域であり、幡多郡の中でも東部に位置します。「人が元気、自然が元気、地域が元気」が合い言葉。

黒潮町を抜けて再び国道へ。

途中に「土佐西南大規模公園」がありました。雨なので、休日ですが人はほとんどいません。横に長い大きな公園でした。

東屋もあります。

そこからもう少し歩いたところに展望所があります。

その展望所の下にはテントを張れそうな良いスペースが。

先ほどの東屋は国道から丸見えですが、ここは国道からちょっとだけ登って、さらに展望所の下のスペースなので国道からは見えません

ここにどれほどの人が訪れるかはわかりませんが、公園内にトイレもあるし、良い野宿地だと思います。

曇天の土佐湾。この辺りは面白い地形でした。

岩の上に何かある。海の神様かな。

さらに歩くと「土佐の塩丸」という塩のお店。

井の岬トンネル手前に「掛川のたこやき」。ここは安くて美味しいというたこ焼き屋。ネットに出ていました。10コで300円、15コで400円と確かに安い。消費税の値上げ前は確か10コ250円でした。

道の駅で軽めにしておこうと思ったのは、このたこ焼きを食べたかったから。しかし、たっぷり食べてしまったので諦めました。何に惹かれるかわかりません。店主がいないと思ったら、お店の外で海を見ながら一服されていました。

歩き続け「伊田トンネル」を抜けました。しかし、宿は伊田トンネルの手前だったので戻ります。ここからGoogleに従いましたが、場所がよくわからず…。示された場所に行くも、入口が見つからず。

近くで畑仕事をしていた女性に「すみません」と話しかけると、何も話していないのに「そこ行ったつきあたりを右に曲がるとあるよ!」と教えてくれました。宿の名を一言も発しませんでしたが、お礼を言ってつきあたりへ…。

ちょっと広めの道路に出て右に行くもない。

んん???一体どこなんだ。

戻ってまた先程の方に声をかけると「あーわからなかった?ちょっとね、わかりにくいのよ。お遍路さんよくここをウロウロしているのよー。」とゲストハウスまで連れて行ってくれました。この時点でも宿の名前は出していませんが、ここだとお「遍路さん=ゲストハウスまある」なのでしょう。

Googleに従うとわかりづらいです。トンネルから一番近い坂を下ればすぐだったのですが、さらに先の坂を下ってよくわからない道へと誘導されました。Googleをよく見ると、この辺りの道自体あやふや。生活道の入り組んだ細い道なので、地図上に反映されていませんでした。

トンネル側からの景色。一番近い坂を右折。

左手にゲストハウスまある。足元に小さめの看板が置いてあります。看板も主張していないので、ちょっとわかりづらい感じです。

おかげさまで到着。

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素敵なご夫婦。ゲストハウスまある

今日は私一人だけ。一番奥の小さな和室に案内していただきました。

すぐにお風呂を沸かしてくださいました。3日ぶりのお風呂、超気持ちいい…。

今日は一人なので、夕ごはんは何時でもと言われ、18時でお願いしました。道具のメンテナンスをして、夕飯までに珈琲を一杯。お湯や水はいただけます。

「水車亭」で買ったお菓子たち。芋けんぴはまた後日として、個包装のお菓子もとても美味しかったです。

夕ごはんはパスタとらサラダ、カツオのたたき。桂浜から鰹祭りです。パスタもすごく美味しい。

ゲストハウスまあるは2食付きで5000円。(現在のHPでは5500円になっていました)食料を買えるお店もないので、とても親切なお値段。「2食で5000円って安いですね」というと「お接待ということで、少し安くさせていただいています。」とのことでした。

ご夫婦で宿をやられていて、とても素敵な方々でした。はじめはご縁があって「民宿たかはま」の方で働いていて、それからゲストハウスの方も。このお家は奥さんのあばあちゃんの家だそうです。現在は民宿を休業しているので完全にゲストハウスの方にいるそうですが、ご主人はもともと珈琲の焙煎のお仕事をされていたとのこと。

珈琲が大好きだと話すと話は盛り上がり、四国のおすすめの珈琲屋さんを教えていただきました。とっておきのブレンドではないけど、焙煎した珈琲がちょうど1,2杯分あるから、明日の朝に淹れてくださると。

奥さんは夜に用事があるとのことで出かけ、ご主人とたくさんお話をさせていただきました。

その中で「お参りをするときはどんな感じですか?」と聞かれました。「読経はしていないので、作法とかは正直しっかりしていないのですが、お寺の空気を感じるのが好きです。」と話し、以前、遍路宿の方に「お寺で過ごす時間を大切にしてほしい」とお話していただいたことを伝えました。

するとご主人も、以前泊まったイタリアの女性が「日本人は何であんなにせかせかとお寺を回るのか全く理解できない。次!次!みたいに。お経をしっかり唱えるとか、そういう作法よりも、手を合わせて、しっかりリスペクトして、そのなかで自分に返ってくるもの、内面で感じるものを受け取ることが大切じゃないか」と話していたと仰っていました。遍路宿のご主人が伝えたいことと同じですねと。

ご主人も、普段の生活で「感じる」ことを大事にしていると。それに導かれて今はここで宿をやられているそうですが、ご夫婦には他にも夢があるそうで。

自分たちのルーツを辿りながら、2人で何ができるのか。感じること、感じたことを大切にされながら、新しいことを考えている、本当に素敵なご夫婦でした。

「自分には何ができるか」私も改めて考えながら眠りました。人生まだまだこれからと、心が軽くなりました。常に新しいことを考えて前進することこそ、元気の源だなと。

スペインを歩いたとき、70歳のおばあちゃんが「明日は今日よりも若いから、私は何にでもチャレンジするの!」と、とても素敵なことを仰っていました。私もその言葉をモットーに生きようと決めましたが、毎日意識するのは難しい。ご夫婦とお話して、気持ちがまた奮い起こされました。

ここに泊まって良かったなと心から。雨で湿気っぽい一日でしたが、たくさんのお話をお聞きでて心はとても晴れやか。

最後に、先を歩くYさんから伝言をいただいていると言われました。「松山あたりで会いましょう。」とのこと。嬉しいお誘いです。以前、道後温泉はゆっくりしたいとお互い話していたので松山なのでしょう。連絡先をお聞きして、ここからYさんとの情報交換も始まりました。

*ゲストハウスまある*

https://www.town.kuroshio.lg.jp/pb/cont/kuronavi-tomaru/22084
高知県幡多郡黒潮町は、四国/高知県の中でも西南地域であり、幡多郡の中でも東部に位置します。「人が元気、自然が元気、地域が元気」が合い言葉。

★本日の歩行距離:29km

★累計:474.5km

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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