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高野山から熊野へ。桜の時期に歩く熊野古道小辺路#1【高野山奥之院・大滝集落】

ロ ン グ ト レ イ ル

2022.4.6
天気:晴れ☀︎
気温:高野山17/3℃
風:西北西2m/s

歩き人たかちです。

各地で桜の便りが届き、桜前線がどんどん北上していく中、今年の春は熊野古道へ。

8年程前、伊勢路と中辺路の大雲取越・小雲取越を歩きました。そして、今回は小辺路と再び大雲・小雲へ。

「果無集落を歩きたい」という両親と伯母と十津川温泉で合流する約束をし、一人高野山へ。高野山をお昼過ぎに出発するため、3泊4日で繋ぎました。

★1日目:高野山散策ー大滝集落
 2日目:大滝集落ー大股ー伯母子岳
 3日目:伯母子岳ー十津川温泉
 4日目:十津川温泉ー熊野本宮大社
 5日目:湯ノ峰温泉ー小雲取越ー小口
 6日目:小口ー大雲取越ー那智大滝

  アクセス
ーーーーーーー
新宿(21:55)-大阪難波OCAT(6:20)

 

◾︎南海電鉄
南海難波駅(6:52)-極楽橋駅(8:30)
極楽橋駅(9:02)-高野山駅(9:12)
*運賃¥1,390

◾︎南海りんかいバス
高野山駅(9:17)ー千手院橋(9:27)

時刻表 | 高野山内路線バス・急行バス | 南海りんかんバス株式会社
南海りんかんバスの高野山内路線バス・急行バスの時刻表を掲載しています。
  行程
ーーーーーー
高野山散策ーろくろ峠ー薄峠ー御殿川橋ー大滝集落

 

▲ コースタイム:2時間10分
▲ 歩行距離:5.7km

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熊野古道について

熊野古道は、和歌山県紀伊山地にある熊野速玉大社、熊野那智大社、熊野本宮大社の"熊野三山"を歩き繋ぐ巡礼道。小辺路、中辺路、大辺路、伊勢路、紀伊路、そして、日本最古のロングトレイルとされる修験道の大峰奥駆道があります。

1000年以上の長い信仰の歴史があり、身分や性別、宗教に関係なく"すべての人を受け入れる"懐の深い聖地であることが一番の特徴。庶民から身分の高い人まで多くの人が参詣し、「蟻の熊野詣」といわれていました。

熊野信仰は様々な宗教が混在し、形成れている山岳信仰です。神道、仏教、道教、修験道など、あらゆるものが道によって結ばれています。熊野は身分や宗教よりも、"心"に寄り添ってきた場所なのです。

日本人は石や岩、木などの自然崇拝から始まり、八百万の神を崇めてきました。また、幸も不幸も自然災害も"すべてを受け入れながら"生きてきました。熊野古道の魅力の一つは、そんな日本人の真の姿を感じながら歩くこと。

熊野古道は世界遺産に登録されていますが、道の世界遺産は世界に2つ。熊野古道とスペインの巡礼路です。これらは"姉妹道"となっていて、熊野本宮大社近くの「世界遺産熊野本宮館」の駐車場には、しれっとスペイン巡礼路の道標があります。

サンティアゴ・デ・コンポステーラまで、10,755km!

世界遺産熊野本宮館では、スペインの縦走路を歩いたことを証明すると"共通巡礼"の証明書とバッジ、スタンプ台紙の巡礼手帳(特別版)を貰うことができます。証明書は和紙で作られており、とても日本的。

伊勢路を歩いたとき、バス停で話していた人にたまたま教えていただきました。スペインの巡礼手帳を写真に撮っていたので証明書などをいただけました。

スペインを歩いたときの巡礼手帳(クレデンシャル)。こんな感じの写真でOKでした。

共通巡礼の証明書をもらうには最低限の条件が設けられています。

↓共通巡礼の詳しいことはこちら↓

二つの道の巡礼者|田辺市熊野ツーリズムビューロー
「二つの道の巡礼者」 「二つの道の巡礼者」とは、熊野古道とサンティアゴ・デ・コンポステーラの道の二つ道の巡礼を達成した人のことを指します。熊野古道とサンティアゴ・デ・コンポステーラの道の両方の巡礼を達成すれば、「二つの道

熊野は紀伊半島の先端部を占めています。山々が何重にも連なり、川が大きく蛇行し、黒潮の通る熊野灘の荒々しい地形。今でも交通の便がいいとは言えませんが、熊野は高度経済成長の恩恵を受けることなく"見放された地"とされていました。皮肉にもそれが日本らしい景観を残すことになりましたが、だからこそ歩く価値があり、歩くことで魅了される地だと感じます。

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小辺路について

小辺路は高野山から始まる約70kmの道。熊野古道の中では最短コースですが、1000m級の大きな峠(伯母子峠、三浦峠、果無峠)を3つ越えて熊野本宮大社を目指す山岳道です。大峯奥駈道の次に険しい道とされています。

2泊3日〜3泊4日で歩く人が大半ですが、宿の場合は集落が限られているため、日程がある程度固定されると思います。途中の宿泊場所としては、野迫川温泉、大股、三浦口、十津川温泉。十津川温泉以外は宿が少ないので、早めに予約した方がいいと思います。

途中で食料を調達できる場所はほとんどありません。高野山を出発後は三浦峠を越えるまで特に何もなく、しっかり補給するためには果無峠前の十津川温泉で。しかし、2km程道を外れないとスーパーはありません。

古道上では、果無峠を下山したあと「道の駅 奥熊野古道ほんぐう」がありますが、ここまできたら本宮まで残り4〜5km。"食料の調達はできない"を前提に歩くのが基本となります。

小辺路は水場が豊富なので、こちらの心配はほとんどありませんでした。昭文社の地図に記されている場所以外にも水場があり、水で困ることはありませんでした。

伯母子岳、三浦峠、果無峠はいずれも下山が長めですが、個人的には"果無峠"が一番しっかりした下山だと感じました。標高差1000mを登り、下ります。膝痛が出る場合は、果無峠が一番辛い峠だと思います。

私が初めて歩いた熊野古道は、伊勢路と中辺路の一部。伊勢神宮から出発して熊野速玉大社、熊野那智大社へ繋ぎ、大雲取山、小雲取山を越えて熊野本宮大社へ至る約220kmの道。ロード歩きが多めで、山道よりも地域の方々との触れ合いをよく覚えています。

このときは、福元ひろこさんの「歩く旅の本 伊勢から熊野まで」を参考にして同じ道を歩きました。福元さんのことはスペインの巡礼路を歩いたときに知りました。イラストの地図が載っていて、とても読みやすい本です。

伊勢路は山、海、奇岩など、熊野の地形や成り立ち、山海至近の暮らしを見ながら歩く道でしたが、小辺路はとにかく"山"。昔はどれほど険しい道であったのか、熊野の"奥"を見て、感じる古道です。

↓小辺路の詳しい情報はこちら↓

熊野古道 小辺路|田辺市熊野ツーリズムビューロー
高野山から熊野三山へ最短距離で結ぶ、険しい道 熊野古道 小辺路は、高野山と熊野三山の両霊場を最短距離で結ぶ道。 紀伊半島中央部を南北に縦断し、途中には伯母子山をはじめとする標高1,000m以上の峠を三度も越える、熊野参詣

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高野山奥之院

1日目の予定は、午前中高野山を散歩して午後から小辺路歩きをスタートします。伯母子岳まで行くには出発が遅く、高野山は2度目なので丸一日散策しなくてもいいという感じだったので、少しだけ進んでおくことにしました。

夜行バスで大阪の難波に移動。なんば駅はたくさんありますが、高野山へは"南海電鉄"の難波駅を利用します。地下通路を一番奥まで歩いて南海電鉄の改札内へ。

急行橋本行に乗り、2時間弱で極楽橋駅に到着。ケーブルカーに乗り換えて高野山駅まで一気に上がります。

極楽橋駅の天井。やはり綺麗ですね。

以前は、お遍路を歩き終えたあと高野山に訪れました。高野山への登山道はたくさんありますが、前回は九度山駅からの"高野山町石道"で。20km程の長い道のりですが、とても歩きやすい道でした。

高野山駅に到着してそのままバスへ。高野山駅からは各方面へのバスが出ていますが、とりあえず大通りに出られるもので。

奥之院行きのバスに乗り、金剛峰寺の近くの「千手院橋」で下車。とりあえず、大門へ向かいます。

大門から奥之院の入口"一の橋"までは2.2km。一の橋から御廟までは1.5〜2km。高野山はゆっくり歩きながら散策できる距離感です。

高野山町石道を歩いてラストの急坂を登り、大きな大きな朱色の大門が目の前に現れたときは「これが大門かー!!」と見上げていました。

1年半ぶりの大門。今回はさっくり来てしまったので、久しぶり~!って感じで。もっと大きい記憶でしたが、それはやっぱり町石道を歩いたからこそ感じたことか。

今日は奥之院をゆっくり歩き、お昼を食べてから小辺路をスタートします。奥之院の雰囲気が本当に良くて、高野山散策というか奥之院散策です。

壇上伽藍にはなんとなく寄りました。「根本大塔」も大きな建物。ここは色鮮やかな曼荼羅の世界が描かれた柱が見物ですが、今回も中には入らず・・・

奥之院では毎日6時と10時半に"生身供"が行われます。これは、御廟で今も修行を続ける空海(お大師様)にごはんを運ぶ儀式で、奥之院の御供所で行われます。

前回の生身供。

この生身供は、空海が御廟に入定後から1200年続けられています。しかも、ご飯のメニューは毎日違うもので、今までのレシピが全て残されているとお遍路のときに伺いました。すごい・・・

御供所の横には"嘗試地蔵(味見地蔵)"があり、ここでまずお地蔵さまに毒味をしてもらいます。それが終わると御廟に運ばれるという流れ。どんな風に味見をしていたのかまではよく見えませんでしたが、生身供自体はあっという間。空海に捧げたご飯はその後どうなるのかとか、そんな野暮なことが気になりました。

今回も見ようかなと思いましたが、大門を先にしたので間に合いませんでした。

とぼとぼ歩いて一の橋に到着。ここから杉の巨木が立ち並ぶお墓の中を歩いて御廟に向かいます。

橋を渡るとひんやりとした空気になり雰囲気がガラリ。長い間高野山を守ってきた巨木たちの存在感が大きく、とても静かな空間。

歴史上の偉大な人物のお墓が立ち並びますが、お墓という雰囲気とはまた違う。お散歩にちょうどいい。

 

 

木の根や切り株などに置かれたお地蔵さまや石。小さなものから大きなものまで前掛けがかけてあります。

奥之院は、木も石も空気も人間もすべてが一体になった世界。大きな自然の中に"畏敬の念"が散らばっていて、ひょっこり神様が出てきそうな雰囲気です。これぞ、日本の自然、日本人と自然という感じがとてもいいのです。

 

 

周囲をじっくり見ると面白いのが奥之院。こんなところにこんなものが隠されている!という感じで、宝探しをしている気分になります。

 

すべてに長い時間の流れを感じる。

こちはら"お化粧地蔵"。前回とお化粧が変わっています。帽子も違う。

他のお地蔵さまの様子もちょこちょこ変わっていて、変化を見るのが楽しかったです。

仲良し地蔵。前回は赤いマフラーがありませんでした。優しさがところどころに感じられるのもいい。自然と神様とともに生きてきた日本人という感じ。

奥之院は杉の巨木が本当に素晴らしい。大きな杉が3本も4本も一緒になっていて迫力満点。

 

ゆっくり歩きすぎたくらい時間をかけて御供所に到着。ほとんど巨木とお地蔵さまを見て歩きました。撮影はここまでで、奥之院は撮影禁止です。

この先の"御廟橋"にはお大師様が迎えに来てくれて、帰りはここまで見送ってくれると言われます。なので、橋の前で一礼をして渡ります。

御廟の中は相変わらずとても静か。御廟の中にあるお賽銭箱には、「高野山の自然保護に使います」というプレートがあります。こういうのいいですね。お賽銭をする気分が上がります。

「小辺路を歩きます」と報告をして、ふらふら歩きながら奥之院の空気をたっぷり吸い込んで、再び御供所の方へ戻りました。

以前、大門の近くにある「角濱ごまとうふ総本舗」で、"ごま豆腐金剛懐石"を食べました。これがすっごく美味しくて、今回はもう一つの"ごま豆腐胎蔵懐石"を食べて旅立とうと思っていました。しかし、本日は臨時休業!

残念・・・でも、本当に美味しいので、高野山を訪れた際はぜひ◎

*角濱ごまとうふ総本舗飲食部門*

角濱ごまとうふ総本舗|飲食部|高野山で味わうごまとうふ
角濱ごまとうふ総本舗は和歌山県の高野山にてごまとうふを製造・販売しております。高野山1200年の歴史の中で培われてきた精進料理。その中で修行僧の大切な栄養源として重要視されてきた「ごまとうふ」を気軽に新しいスタイルでご提供いたします。

精進カレーを食べた「光海珈琲」も4月10日までお休み・・・。ここは、"たまごコーヒー"という、珈琲の中にたまごの黄身が入っている珈琲が有名です。カレーも美味しかったです。

*高野山 光海珈琲*

http://komicoffee.com/

ということで、奥之院から中の橋駐車場の方に出て、「はちよう」という食事処でおそばをいただきました。

中の橋駐車場方面。こちら側の道には、大企業の創業者の人のお墓などがズラリと立ち並びます。20代前半くらいのスーツを着た人たちがお墓の掃除に来ていましたが、新入社員とか?

天ぷらそば。

奥之院に浸っていたら既に13時過ぎ。そろそろ出発します。

以前はお休みだった「梵恩舎」が今日は営業していました。ここのランチとケーキの紹介もよく見ます。ここでランチでもよかったなあ・・・忘れていた。

小辺路への道は、この"金剛三昧院"が目印。金剛峰寺の近くにあります。

今日の行程は、大滝集落までの2時間程。東屋のある休憩所があるので、そこでテントを張らせていただきます。

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小辺路歩き始め

*小辺路スタート地点-ろくろ峠-薄峠(すすき峠)-大滝集落:CT 2時間45分*

高野山には「ゲストハウスkokuu」という、白が基調の素敵な宿があります。そこに前泊して1日目伯母子岳避難小屋、2日目十津川温泉、3日目本宮という計画も考えました。高野山が初めてであれば丸一日観光でもいいと思いますが、今回は2回目なので進みます。

*高野山ゲストハウス kokuu*

高野山ゲストハウス Kokuu(コクウ)- Koyasan Guest house Kokuu -
伝統ある高野山にたつ、新しいタイプの宿泊施設。高野山ゲストハウス Kokuu(コクウ)は世界中から訪れる旅人のためのゲストハウスです。

早速道標に従って。

坂道を上がり山へ入ります。民家の先に続く古道。境界線がない感じが生活道だったことを感じられる。こういう道は、縦走とかロングトイレルよりも"古道"がお似合いです。

ウグイスの声を聴きながら、杉林の中を緩やかに。

高野山は標高800m程で、歩き初めはアップダウンが少なめです。今日も緩やかな行程なので森林浴気分で歩きます。

スギ花粉がほとんど終わり、今年の闘いが終わった。ヒノキにはあまり反応しないようで、4月に入れば山を歩けます。待ってました~という感じ。空気を思い切り吸い込める幸せ。

あっという間に"ろくろ峠"に着きました。

女人堂への分岐にもなっています。大滝口方面へ。

間違えやすいポイントには、このような看板もあります。

このあとも平坦な道と緩やかな坂を繰り返す。登山者1人とすれ違いました。テント泊装備だったので、本宮の方からでしょうか。

 

林道を登って行き、道が二手に分かれたところで"薄峠"の道標。読み方は「すすき峠」。初め読めなかったです。

今日の峠が終了し、大滝集落に下って行きます。

下りも歩きやすい。さすが世界遺産の道という感じの歩きやすさですね。しっかり整備されています。

リズミカルになった下り、橋を渡ります。ここまでくれば大滝集落はすぐ。

 

橋を渡って車道を登っていきますが、ここが今日一の坂道。何気に疲れました。

大滝集落に到着。

休憩所はこの公衆トイレの方へ登った向かいにあります。

東屋とテーブルベンチのある居心地のいい休憩所。周囲は民家だし、テント場ではないので外に出ていた民家の方々にご挨拶。テントを張らせてもらってもいいか伺うと「あぁ、いいですよ。」と承諾をいただきました。

車を停める場所にもなっているようなので、テントを張る場合は端の方で。

トイレの方に上がらず、熊野古道ではない方の道を進んで行くとすぐに"葵の井戸"という名水があります。

大きな杉の木の下で湧き出している名水。触ると滑らかで柔らかい水。とっても美味しいです。水量も多く、ここでたっぷり補給。水があるありがたさよ。

この杉がまた立派なこと。

集落の方が管理してくださっている公衆トイレはとても綺麗で、感謝です。

この日は一人静かに眠りました。このような場所では他の人とあまり被らない方がいいですね。ちょうど休憩所横に街灯があるので、真っ暗になることはありません。

日中の気温は20℃近くで暑いくらいですが、4月上旬の朝晩はまだひんやり。

久しぶりのロングトイレルなので、今日は身体慣らし程度。2日目は、小辺路で一番高い山である"伯母子岳"に向かいます。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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