歩き人たかちです(@takachi_aiina)
2024.1.1(月)
天気:霧☁ → 晴れ☀
気温:森5~8℃ / ロード22℃
テ・アラロア31日目。昨日は雨降るドロドロのMt.Pirongiaに登頂し、TA初めての小屋「Pahautea Hut」に宿泊。予約は満室だったものの悪天により登山者は数名。
10日ぶりのTAハイカーにも会えて楽しい年末を過ごすはずが、山の中で浄水器紛失・・・

Pahautea hut - Hihikiwi Track Carpark - トレイルエンジェル宅
▲ 歩行距離:21.7km
2024年幕開けの今日は、朝から浄水器の捜索。記憶を辿りながら、さらに泥沼となった山を戻るというロスタイムからスタート。絶望と優しさに包まれ、TAで忘れられない1日になりました。
紛失した浄水器の捜索
浄水器という失くしてはいけないものを失くし、絶望しながら迎えた新年。
唯一ザックを下ろしたのはレインジャケットを取り出したとき、と思っていたけど、そのあと傘を出すために再度下したことを夜中に思い出した。
さらに私は、傘を出してザックを背負い直すとき、少し下の斜面にペットボトルのようなものが落ちているのを見ていた。ゴミか?と思ったけど、雨と泥で滑るし、リサプライしたばかりで荷物も重い。さすがに拾えないな、とスルー。
そう、あれがおそらく自分が落とした浄水器付きのペットボトル。
ニュージーランドの山はゴミが全然落ちていないから疑うべきだった・・・
地面が泥区間だったからザックは岩の上に置いた。空が開ける少し手前だったはず。GPSを見るかぎり、Hutの2〜3km手前だと思う。
浄水器がないとこの先歩けないので諦める訳にはいかず、パッキングだけ終わらせてザックはデポし、夜が明ける頃小屋を出発して昨日の道を戻った。天気はまだ回復しておらず、霧で真っ白。
人間(私)の記憶なんて適当だから、展望台あたりから入念に探した。
レインは登っている最中に出した。傘も登っている最中だったと思う。入念に探しながらザックを置いたと思われる岩に着き、ペットボトルを見た斜面を含む周囲を探したけど・・・ない。
動悸が早くなる。もう少し下ってみたけど登り返しになったし、まだ雨が降っていなかった地点だから絶対に違う。
雨で流された?でも、草が多いから転がる感じではない。
ハミルトンまでヒッチハイクか・・・と諦めて小屋に引き返していたとき、Hutに泊まっていた男性(名前がわからない)が下山してきた。「どうしたの?」と聞かれ、浄水器を落としたと話すと「Oh・・・」と。そんなこと言われても困るよな、と思い「Happy New Year!」と言ってさよならした。
9時半過ぎに小屋に戻り、さすがに誰もいないと思いきやジェニーが残っていた。ザックを置いて消えた私に「Are you OK?」と心配してくれた。
浄水器を失くしたことを話すと、ジェニーはすかさず「私のをあげる!私は今日街に戻るけど、あなたの旅はまだ続くから必要でしょ?持って行って!」と真剣な表情で言った。
ジェニーの優しさに号泣した。
「大丈夫!」とジェニーがハグをしてくれたとき、さっきすれ違った男性が空荷で小屋に戻ってきた。その手には・・・
ソーヤーミニ(浄水器)!!!
自分の鼻水をすする音で全部は聴き取れなかったけど、昨日山の中で拾ったらしい(おそらくゴミとして)。拾ったペットボトルには浄水器がついていて、でも、小屋にいる人は誰も困っていないし、その日の落とし物だとは思わなかったそう。
会ったときに私は「フィルターを失くした」と話したけど、たぶん通じていなかった。それか、拾ったペットボトルにフィルターがついていたことを思い出して気が付いてくれたか。
どちらにせよ、荷物を置いて2~3kmも泥道を必死で戻ってきてくれたことには変わりない。

Thank you sooooooo much !!

ジェニーには「Happy Day !!」と笑顔で言われ、嵐の中集まった登山者に感謝しきれないほど優しくしてもらって、本当に、ほんとーーーに感謝!!
絶望して、泣いて、笑って、2024年が幕を開けた。もう、フィルターをペットボトルに付けっぱなしにするのはやめる。
ちなみに、個人的には「ソーヤーミニ」ではなく「ソーヤー スクィーズ フィルター SP129」がおすすめ。特にロングトレイルでは毎日浄水作業があり、「ソーヤーミニ」だと時間がかかって億劫になります。
\「ソーヤーミニ」に関すること /
泥山の楽しさを知ったMt.Pirongiaの下山
霧はいつの間にか晴れて青空が広がっていた。ジェニーとハグをしてお別れ。

10時頃ようやく歩き出す。空も気分も、晴れ晴れとして非常に爽やか。登山口まで約6km、3~4時間。

アップダウンの泥道。昨日の雨が後押ししてさらにドロドロ。昨日までニュージーランドの泥山に悪態をついていたけど、今日はまったく嫌じゃない。むしろ、楽しい。
滑るし体幹がブレブレで無駄な筋力とエネルギーを使うけど、なんだかそれが楽しかった。"これがニュージーランドの山"と、素直に受け入れられた瞬間だった。
ジェニーやカルロスのように、ドロドロのMt.Pirongiaを純粋に楽しんでいる人たちがいる。ニュージーランドの人にとっては泥が普通。郷に入っては郷に従え。

昨日は足元ばかり見ていたけど、苔に覆われた森がとても美しい。泥だらけになればいい。シンプルに楽しめばいいんだ、と思った。
ニュージーランドの人たちは、街中も裸足で歩いていたりする。inかoutかの違いのように、コンクリートか泥かの違いだけ。ニュージーランドの人にとっては、泥だろうがなんだろうがただのout。この感覚こそ「outdoor」。

800km歩いて、ようやく"山に登った"という感覚になれたことも単純に嬉しかったのかもしれない。

夏真っ盛りなのに、標高1,000mに満たないのに、森の中は8〜10℃程度でとても涼しい。湿度も低いから、アップダウンでもあまり汗をかかない。最高に気持ちが良い。


とても愉快。心の余裕って大事。
3人家族が登ってきて、「Happy Muddy New Year !!」と挨拶したら笑ってくれた。みんな泥だらけで素敵。



下山はほぼすべて泥道で、最後だけ歩きやすかった。登山口近くの川で泥を落としてFinish!
Mt.Pirongia。たくさんの優しさに触れ、大事なことに気が付かせてくれて、私にとって、想い出深い大切な泥山になった。ただただ、ありがとう。

4WDトラックを歩き出す頃には14時になっていた。牧場の雄大な景色に新年の青空。気温と風も快適で、ここまでのベスト4WDトラック(気持ちが高揚中)。

ロード上に「Trail Angel Way」の看板があり、トレイルエンジェル宅が数軒ある。少し歩くと「テント$10、ディナー&ブレックファースト$30」と書いてあるお宅発見(ここには泊まっていない)。
今日は、"小川があってテント敵地"という4WDトラック脇でフリーキャンプ予定だったけど、浄水器の捜索で出発時間が大幅に遅れたから途中のトレイルエンジェル宅にお世話になることにした。
草むらで休憩中のルーカス発見。「フィルターは見つかった?」と聞かれ、今朝の出来事を話すと安心してくれた。
ルーカスは「あと10〜15kmくらい歩こうと思う」と言っていたけど、私がお世話になるトレイルエンジェル宅の庭を見るやいなや「Nice Place !」と言ってここでストップ。
ルーカスはたぶん、こんな感じでそのときの感情のままにトレイルを歩いているのだと思う。本当に無計画(誉め言葉)。
今日の宿「トレイルエンジェル宅」

ホストの人は外出中だったけどインターホンがスマホに繋がり、テントを張る場所やシャワー&トイレの説明をしてくれた。
今日のトレイルエンジェルには電波が通じるところで急遽Facebook経由のメッセージを送ったけど、違うトレイルエンジェルの投稿とごっちゃになっていて、$10でディナーをいただけると思い込んでいた。
ホストが帰宅したときディナーのことを聞くと「ディナーは出していないよ」と。途中看板があったトレイルエンジェルの投稿だったのかも。
期待させてしまったルーカスに謝ると「大丈夫!節約できたね!ポジティブ!ポジティブ!」と。このときは気を遣わせたなと思ったけど、ルーカスは正真正銘のポジティブ人間だった。

奥さんのキャシーが、「朝ごはんにどうぞ」とクリスマスのケーキとフルーツをくれた(とても美味しかった)。

目玉焼き柄のかわいい靴下。普通の靴下だけど、これが一番履きやすいらしい。というか、アウトドア用の靴下を失くしたとのこと。ちなみに、もう一枚はアボガド柄。

ルーカスの夕食は実にカオスで、ミゴレン(焼きそば的なもの)にクスクス、プロテイン、オニオンフライ、卵3つ、ツナなど、手持ちの食材を適当にぶち込むスタイル。
普通に美味しそうではなかったけど、本人も「ああ、うーーん、美味しくはないね」と。単体で食べれば全部美味しいのに。
まだ20代前半のルーカス。コンピューター関連の仕事をしていたけど「すごく退屈だった」と。テアラロアのあとはそのまま2年くらい世界を周り、その後はフリーランスで自由に生活をしたいと話していた。日本でも、世界でも"自由に働きたい"という思考は共通なのかも。

庭に広がるルーカスのギアとウェア。靴下を失くした、というのも納得。ちなみに、寝袋とか就寝に必要なもの以外、朝まで散らばっていた。乾かす意味・・・笑(海外ハイカーは愉快な人が多い)

ホストに勧められて庭の奥から夕日鑑賞。朝日は見られなかったけど、新年一発目の夕日。素敵すぎた1日の夕日は、格段に美しかった。長くて濃い1日だった。

ルーカスが「自分を撮ってくれ」というのでパシャリ(「写真をくれ」とは言わない)。
11月にスタートしてかなりゆっくり(寄り道しまくり)歩いているマイペースなルーカスとは、この日以降会わなかった。Instagramを交換し、それを見るかぎり半年ほどかけて楽しそうに歩いていた。
なんだかルーカスが羨ましい。自分も半年かけて歩いたって問題ないけど、たとえば"毎日10kmだけ"とかができない。時間を持て余す旅って意外と難しいと思う。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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