2021.7.19(月)
歩き人たかちです(@takachi_aiina)
月山とセットで歩いたのは「鳥海山」。存在感がある美しい山容、咲き乱れる花々、日本海を一望できる絶景・・・ファンが多いのも頷ける。
裾野が広い独立峰で「出羽富士」とも呼ばれ、山そのものが御神体として崇められてきました歴史ある山。
今回は、乗合タクシー利用の関係で「鉾立登山口」から「象潟口」コースをピストン。日帰りでしたが、1泊すべきだった・・・と後悔しています。それほど、美しい山でした。
気温:20℃前後(山形36℃)
風:北西 1〜2m/s
鉾立登山口 ー 賽ノ河原 ー 御浜小屋 ― 御田ヶ原分岐 ー 七五三掛 ー 伏拝岳(外輪山コース)- 新山・外輪山分岐 ー 御室 ー ▲ 新山山頂 - 御室 ー 七五三掛 -(千蛇谷コース)ー 御田ヶ原分岐 - 御浜小屋 ー 賽ノ河原 ー 鉾立登山口
▲ コースタイム:9時間20分
▲ 歩行距離:約15km
▲ 累積標高差:± 約1400m
鳥海山「象潟口コース(鉾立登山口)」概要・水場

「象潟口コース」は舗装道で緩やかに始まり、「賽ノ河原」を経て「御浜小屋」までは石畳の道が続きます。
頭上が開けたコースで展望も良く、「御浜小屋」からの鳥海湖や迫力満点の鳥海山がとても美しい。お花畑の中、ここはアルプスか?と思うような稜線漫歩を楽しめます。
「七五三掛」より「外輪山コース」と「千蛇谷コース」に分かれます。外輪山コースは岩場やザレ場がある展望コース、千蛇谷コースは雪渓と緑が美しい谷歩き。
雰囲気が全く違うため、登りと下りでの周回がおすすめ。急な岩場がある外輪山コースを登り、外輪山よりも緩やかな千蛇谷コースを下りにすると歩きやすいです。
*鳥海山は比較的長く雪渓が残っているため、状況によってはチェーンスパイクやアイゼンが必要になります(要事前確認)
「御室」から鳥海山の山頂「新山」までは岩山の世界。ここだけ別世界のようになり、三点確保で進みます。
「象潟口コース」は、鳥海山のさまざまな姿を見せてくれるバリエーション豊かなコースです。
\ 水の補給場所 /
◾︎ 稲倉山荘(9〜17時)
◾︎ 賽ノ河原(雪渓の融水。8月には涸れていることが多い)
◾︎ 御浜小屋
◾︎ 鳥海山大物忌神社
水を汲めるのは「賽ノ河原」のみで、小屋では購入になります。「賽ノ河原」は雪渓次第ですが、8月中には大抵涸れるとのこと。
7月21日時点では豊富な水が流れていました。冷たい水が喉を潤してくれるので、浄水器の持参をおすすめします。
山頂直下の鳥海山大物忌神社には水場がなく、販売されている飲み物は常温です。
御浜小屋のメニュー表には「冷たい」と書かれていました。水、コーラ、アクエリアス、オレンジジュースなど。
鳥海山乗合タクシーを利用!公共交通機関でのアクセス
\ 乗合タクシーを利用した区間 /
鉾立登山口16:10 → 遊佐駅17:00
* 年度により時間が変更されている可能性があります。最新情報は「遊佐鳥海観光協会」のHPをご覧ください
鳥海山はコースが多数あり、公共交通機関を利用したアクセス方法は登山口により異なります。
便利なのは「鳥海山乗合タクシー」と、登山バス「鳥海ブルーライナー」。それぞれ乗車場所や時間、運行日が異なるため、詳細は「鳥海国定公園観光開発協議会」のHP(登山ルートガイド → 各登山口までの交通手段)をご覧ください。
今回は、平日も運行している「鳥海山乗合タクシー」を利用しました。往路、復路の乗車場所を変えられるため縦走も可能。
「湯ノ口コース」は路線バスも通じているため、また鳥海山に登るときは山頂か「御浜小屋」で1泊し、日本海に沈む夕日を見る縦走をしたいです。
高山植物咲き乱れる花の百名山「鳥海山」
鉾立登山口 - 御浜小屋
鉾立登山口 - 賽ノ河原 - 御浜小屋:CT2時間

遊佐駅で乗合タクシーに乗車。予約は自分だけで個人タクシーに。通常1万円程かかる距離なので、公共交通機関民にとっては本当にありがたい。
「一人で登るんですか?熊は怖くないですか?」と聞かれ、昨年4回遭遇したと話すと驚かれました。コロナで登山者が減ったせいか、私も初めて遭遇した。東北では人との接触事故が多いので、地元の人もかなり警戒しています。

遊佐駅から40分ほどで鉾立登山口に到着。平日の8時前で、駐車場の埋まり具合は3分の1程度。昨日の月山に比べて静かに歩けそうです。
標高は1,150m。トイレは登山口、御浜小屋、御室小屋の3箇所。

登山情報が書かれたホワイトボードがあり、ここで雪溪の状況を確認。「外輪から新山へ向けて降りるルートの雪渓が固くなっておりますので、アイゼン装着する等充分注意ください(7/11)」とのこと。今回はチェーンスパイクを持参しました。
ヤマホタルブクロ

登山口から緩やかなアスファルトが続き、「鉾立展望台」に到着。ここまで散歩で訪れる人もいます。

「奈曽渓谷」の奥に「新山」


展望台から先は登山道になり、石畳の道へ。山形、秋田市内は今日も梅雨明け36℃。月山よりは涼しい?気のせいか?

裾野が広くて、海が見える山はいいですね

「賽ノ河原」が近づくと、小屋泊まりの下山者が多くなりました。1泊するか相当悩みましたが、コロナにより現在寝具持ち込み制。月山で持ち歩くのが億劫だったのでやめましたが、やっぱり泊まればよかった、と後々後悔します。

雪渓を過ぎたあたりからチングルマワールド。月山では少し残っていた程度でしたが、鳥海山はセーフ。


大きな雪渓が見えて「賽ノ河原」に到着。ジブリ的な雰囲気が漂う、最高の休憩スポット。

「賽ノ河原」は象潟口コース唯一の水場(小屋以外)ですが、雪渓が無くなり次第終了。通常8月中に涸れるとのこと。
冷たくて最高。浄水器を忘れたましたが、暑さに負けてグビグビ飲みました(自己責任)。生き返るー!

太陽をいっぱい浴びて嬉しそう。太陽に合わせて動き、黄色い部分を温めて虫を呼ぶのだとか。

象潟口コースの展望、半端ない

御浜小屋手前から、ニッコウキスゲやハクサンフウロ、ミヤマキンポウゲなど、お花の種類が一気に増えました。

ハクサンシャジン

「御浜小屋」に到着

鳥海湖が美しい
小屋周辺はお花畑。鳥海湖をぐるりと回るコースも良さそうです。鳥海山には登らず、このあたりでお花の写真を撮っている人もいました。
ジブリ「魔女の宅急便」の最初の方でキキが草むらに寝そべってラジオを聴いているシーンがありますが、それを再現できそうな雰囲気。
日本海に沈む夕日を見るのにベストスポットらしく、やっぱり1泊すればよかったなー。
御浜小屋 - 外輪山分岐
御浜小屋 - 御田ヶ原分岐 - 七五三掛 - 千蛇谷・外輪山分岐:CT1時間

ゴツゴツした外輪山が見えてきました。南の雲が少しずつ上がってきて山頂での展望が怪しいですが、とりあえず今は鳥海湖を見られて満足。

御浜小屋のロケーション最高すぎる

ハクサンシャクナゲ


気持ちがいい稜線漫歩。「御田ヶ原」に到着

正面にどどん!と鳥海山。お花畑に抜けるような夏空。一歩一歩、狼狽えてしまう。
「鳥海山はいいよ~!」と何度となく言われてきましたが、もっと早く歩けばよかった。こんなの、好きにならない方がおかしい。

ここはアルプスか?と錯覚してしまう

下ってきた道を振り返る

「御田ヶ原分岐」から「七五三掛」に向けて登り返し。この分岐から鳥海湖にも行けます。ザックが放置されていましたが、奥でお花の写真を撮っていました。


「八丁坂」


「八丁坂」の途中に雪渓。かなり小さくなっていますがまだ流れがあり、浄水器があればここでも補給可能。手を冷やすだけでも涼しい。


「七五三掛」の手前は、チングルマ広場になっていました。隙間にイワカガミのピンクが。昼寝したい。

「七五三掛」に到着。広めのスペースで、谷から拭き上げる風が涼しい。

大きな岩が増えていきます。外輪山コースの分岐まであと少し。

鳥海湖のあたりが雲に覆われた

「千蛇谷・外輪山分岐」に到着
日帰り、かつ、乗合タクシーの時間があるため「余裕があれば登り外輪山コース、下り千蛇谷コース。余裕がなければ千蛇谷コース往復」と考えていました。時間は大丈夫そうなので、外輪山コースから周ります。

千蛇谷・外輪山分岐 - ▲ 新山
千蛇谷・外輪山分岐 - 文殊岳 - 伏拝岳 - 行者岳 - 御室 - 新山往復:CT2時間45分


はじめは急な岩場を一気に登ります

眼下には千蛇谷コース。雪渓を歩いている人たちがポツポツ見えました。

急な岩場を登り切ったら、外輪山のギザギザを歩いて行きます。
鳥海山はブヨが多い山ですが、月山と同じく既にトンボが乱舞しており被害はほとんどありませんでした(こめかみ2箇所刺された)。一応ハッカ油は振りかけましたが、虫除けネットは使わず。トンボが出るまでは必須です。
おすすめは、シートゥサミット「ナノモスキート」。今までモンベル「パグプルーフネット」を使用していましたが、シートゥサミットの方が網目が細かくて良いです。
「文殊岳」に到着

正面のボコボコしている箇所を次、次と登って行きます。雲との闘いになってきた。

イワギキョウ

ヤマハハコ




雪溪の上に小屋が見えました。一番左が「新山」

今年はバイケイソウの当たり年

「伏拝岳」に到着。ここから先は割と緩やかになり、30分ほどで「御室」に下る分岐に着きます。


雲が雲が・・・もうちょっと


不思議な形で「オバケみたい」と言われることもありますが、小花一つひとつは可愛らしい。手を広げて「ここだよー!」とアピールしているような姿で愛嬌があります。

ミヤマキンポウゲ

「御室小屋」手前の雪渓を横切ります。ここからは急に見えますが、前から来た男性に聞くと「あそこは大丈夫ですよ。」と。実際、上から見るほど急ではありませんでした。
登山口のホワイトボードに書かれていた、新山から外輪山へ下る雪渓は少々危険とのこと。男性はアイゼンなしで下ってきたようですが、私は雪渓がないルートを往復します。

分岐から雪渓までは、浮石が多く滑りやすい急なガレ場。登ってくる方も多いので、落石を起こさないよう注意。

下から見上げる

チェーンスパイクは不要でした

「鳥海山大物忌神社」に到着

山頂への案内図。"胎内くぐり"方面は雪渓が残るルート。切り通しの方を往復します。


イワブクロ

アタックザックを忘れたので、荷物を背負ったまま「新山」へ。山頂でゆっくりしたいし。

完全な岩山となり、ここだけ別世界


「切り通し」に入ってゆく。ひんやりした空間で汗が冷やされ気持ちがいい。

三点確保で登り続け・・・

山頂「新山」に登頂!
完全に雲に覆われる前になんとか到着。海も見えます。

反対側は見えない

思っていた以上に岩に囲まれている。雲がなかったら外輪山の奥は見えるのだろうか?山頂のスペースはとても小さく、5人でいっぱいでした。
岩ゴロゴロで、ゆっくりできるような感じではなかったので、小屋で休憩することに。荷物置いてくればよかった。

周囲の岩ならどこにでも座れますが、景色は見えません。

再び、切り通しを通過

麓から見ると、山頂がこんなゴロゴロしているとは想像つかないですね。


小屋とは別に「鳥海山美術館」がありました。中にはポストカードなどが販売されています。

オレンジジュースを買って一気飲み。他にコーラ、水、お茶などがありました。水場がなく、冷やせないため常温です。
小屋周辺は広々しています。山頂直下もいいですが、個人的には「御浜小屋」に泊まりたい。
御室 - 七五三掛
御室小屋 - 千蛇谷コース - 七五三掛:CT1時間20分

雪渓を通過して「千蛇谷コース」へ

外輪山の方が人気だと思っていましたが、千蛇谷がすごく美しい。
黒部五郎カールを歩いたときものすごく感動しましたが、どことなくそんな雰囲気があって、とても素敵だと感じました。



雪渓をシャクシャク下る。吹き上がってくる風でクールダウン。外輪山がめちゃくちゃ暑かったので、爽快感がすごい。

そのまま雪渓を下ることもできますが、落石が多い区間になので一段高い登山道へ。

大きな落石も多いので、歩く際は要注意

雪溪を横切り、千蛇谷・外輪山分岐まで登り返します。

千蛇谷、とっても良かったです。外輪山コースと千蛇谷コース、両方歩くことをおすすめします。

登り返しは急斜面。下る際は滑らないよう注意



絶景ベンチがありました。この景色を独り占めできる感じが◎

下山したくないー

「外輪山・千蛇谷分岐」に戻ってきました


チングルマともお別れですね
七五三掛 - 鉾立登山口
七五三掛 - 御田ヶ原分岐 - 御浜小屋 - 賽ノ河原 - 鉾立登山口:CT2時間20分


素敵な景色ともお別れしてゆく。名残惜しい

「御浜小屋」。ロケーションを気に入りすぎて、泊まるならやっぱりこっち。私は。

「賽ノ河原」に到着。暑すぎてまたグビグビ飲みました。


登頂後の下山道って、なんだか違う景色に見える。なんでだろう、満たされてるから?
15時過ぎでも、登ってくる方が割と多かったです。御浜小屋に泊まるのでしょう。

展望台に到着。山頂、また晴れていますね ☀︎

15:50下山。タクシーは16:10発。時間をフルに使って堪能しました。

乗合タクシーは「稲倉山荘」前から。中はお土産や食事が充実していました。9〜17時までの営業で、中に自動販売機もあります。

こちらは「鉾立山荘」。可愛い山小屋です。素泊まりも安く、できればここに前泊したかったのですが、月山下山後は間に合いませんでした。
庄内町湯と鶴岡の珈琲屋
帰りの乗合タクシーは、自分を含め3人でした。鶴岡駅の近くには日帰り入浴ができる施設がほぼなく、「東京第一ホテル」はコロナで宿泊者限定になっていました。
仕方なく、鶴岡駅の数駅手前「余目駅」で途中下車し、10分ほど歩いた場所にある「庄内町ギャラリー温泉 町湯」へ。
入浴料480円(2025年5月現在530円)で、露天風呂とサウナ付き。ボディソープとリンスインシャンプーも完備。
食事処もありますが、休業日でした。とても綺麗な施設で、地元の方もよく利用しているそうです。
時間があれば行きたかった、鶴岡駅近くにある珈琲屋「カフェ コフィア」。鶴岡出身の知人に豆をいただき、とても美味しかったので寄りたかった。
時間的に温泉か珈琲かになってしまい、滝汗だったので温泉にしました。HPもSNSもないので、正確な営業時間がわからず(コロナで余計に謎だった)。
Googleの情報を信じていいのかわかりませんが、火曜日は定休日で、水・木は焙煎のために喫茶営業はしていないようです。
月山・鳥海山の梅雨明け東北遠征が終了。たくさんの高山植物に迎えられ、よき夏山の幕開けとなりました。
特に鳥海山には魅了され、今後自分も「鳥海山はいいよ〜!」と言えることが嬉しい。またゆっくりと訪れたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
\ 記事がお役に立ちましたら /
よろしければ、応援よろしくお願いいたします。
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