2020.11.21(土)
愛媛県道後市 晴れ☀ 21/11℃
楽しみ過ぎた気持ちをリセットし、道後温泉にさようなら。今日は街中を歩いて52番太山寺、県道を歩いて53番円明寺。そして海沿いを歩いて北条市まで。今日の寝床は、穏やかな瀬戸内海の潮風に吹かれる「鹿島キャンプ場」。港から船に乗り、小さな楽園のキャンプ。
本堂300m。52番「太山寺」
*ゲストハウスふじや~太山寺:9.4km*
道後温泉をこれでもかというほど味わい、スッキリ5時半起床。昨日の夜も1階から楽し気な声が聞こえていました。ユノマチベーカリーで買ったパンで朝ごはんを済ませ、6時半頃出発。
まだ眠り気味の薄暗い静かな街にさよならを告げます。山側のコースもありますが、観光地周辺の雰囲気が気になったのでそのまま街を抜けました。
街中の足元にも砥部焼。
護国神社の前を通り、小さな川沿いを歩きます。途中には松山大学がありました。道後温泉が近くてすごい立地にあるんだなと感じますが、地元民はやっぱり行かないのかな。
しばらく歩くと国道196号。しばらく真っ直ぐ歩きます。温泉街の雰囲気はもうない。
ハタダのどら焼きのお店。スーパーで何度か買いましたが、お店の中には結局入らず仕舞い。
途中で90℃方向転換をして、長閑な方へ。
こっち歩きたーい。
けれど、左。
街から離れ、一気に空気がよくなりました。気分よく歩いていると1台の原付が通り過ぎて停まり「あ~待って~!」と声をかけられました。
振りむくと女性がバックの中からあめちゃんセットをお接待してくださいました。「道端でお接待もどうかと思うけど、頑張ってね!」と。
とても嬉しいのですが、四国の不思議。このようなお菓子はお接待用に持ち歩いているのか、自分が食べようと思って持ち歩いているのか、その両方なのか。
夏に車からアイスをお接待してもらったという話も聞きましたが、クーラーボックスを乗せて常にアイスを入れているのか?とても気になりますが、これはちょっと謎のままにしておきたい。追究するのは野暮かな。
へんろ案内に導かれるまま進んで行くと一ノ門。
そして仁王門。ここからが先が一番の登り。
本尊:十一面観世音菩薩
宗派:真言宗智山派
開基:真野長者(創建6世紀後半)
温暖で食べ物にも豊かな瀬戸内には、早くから人、物、情報が行き交いました。そのため歴史の古いお寺が多く、太山寺も1400年の歴史があります。6世紀後半頃、真野長者が高浜沖で暴風雨に遭い、観音菩薩に祈り海難を免れました。恩返しにと、豊後で木組みをした本堂を船で運び、この地に一夜で建立。「一夜建立の御堂」といわれ、これが太山寺のはじまりと伝わります。 現在の本堂は1305年に建てられたものとされ、大仏様の手法が見てとれる折衷建築であり国宝となっています。また、密教の本堂では最大規模を誇ります。
参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ
仁王門をくぐると一番手前が納経所。本堂はここから300m先。
傾斜を上げながら登って行きます。途中はアスファルトの急坂。荷物置きたい…
登り切って振り返る。境内へ続く階段前は奥之院との分岐。奥の院は完全に山の中で標高差130mほど登ります。
屋根の曲線美が美しい本堂。存在感がすごい。さすが国宝。
納経所から離れていて、この隔離感がお寺の空気に心を寄せるのにちょうどいい。とても静かで、ご夫婦の読経が山に吸収されていきます。
大師堂は一段上がった先。
本堂とちょっとだけ離れていて、大師堂は大師堂の空気感。
国宝の立派な本堂があるけど、山の中で境内は大きすぎず小さすぎず。うん、全体的にいい感じの太山寺。
端っこにあるベンチでしばし休憩。
「お遍路さんプレゼントがあります。」という貼り紙がありました。
机にも。でも、今日は特に何も置かれていませんでした。へんろ道には旅の想い出になるものがたまに置かれています。
山門は複雑な格好良さ。
納経所へ下っていると団体がわらわら登ってきました。今回は静かにお参りできた。納経所では住職さんが2人いて、入るなり「どうぞ」と対応してくれたし、ツアー会社の人はサッと避けてくれて。こういうのは本当にありがたいです。
地図では来た道を戻るルートと、山道を行くルートの2つ。納経所周辺で山道ルートを探しましたが見つかりませんでした。本堂の奥から続いていたのか?さすがにまた登る気にはならなかったので一ノ門へ戻ることに。
納経所を出ると読経をしていたご夫婦とお会いし「歩き遍路ですか?お疲れ様です。」と、合唱して一礼されました。ありがたいですが、やはりこれには慣れない。車で回られているご夫婦でした。
県道183号。53番「円明寺」
*53番円明寺まで2.3km*
円明寺までは県道183号をひたすら真っ直ぐ歩きます。一ノ門まで戻り、県道へ。
広い道路をただただ真っ直ぐ。久万高原で買った塩けんぴをポリポリ齧りながら歩きます。
こんなかわいい案内板が。
コンパクトで可愛い門。
本尊:阿弥陀如来
宗派:真言宗智山派
開基:行基(創建749年)
松山市最後の8番目の札所の円明寺は、古くからの要港である堀江港を臨む和気町にあります。松山市内の8ヶ所のお寺のうち5ヶ所を行基が開きました。円明寺もその一つであり、5寺の中でも最晩年の創建。当初は西山という海岸にあり、海岸山圓明密寺と称し七堂伽藍を備えた大寺であったと伝わります。弘法大師が霊場と定めたあとに兵火で荒廃、江戸の初めに現在の場所で再興されました。「慶安3年」と書かれた銅版が本尊を安置する厨子に打ち付けられているのを、米国人学者が発見。四国霊場最古の銅板納札といわれています。
参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ
先ほどのご夫婦がまた読経していました。団体のバスはまだ来ていないようす。
街の中にあるお寺のせいか、太山寺よりも人の出入りが多かったです。今日から3連休だしな。ご夫婦が「お姉さんじゃあね~!」と颯爽と次のお寺へ。3日間で回れるだけ回るのかな。
ご夫婦で回っている人も結構多いですが、2人とも興味を持つって結構すごいことだという気もします。日本人は無信教の人が多いといいますが、お寺や神社に興味を持っている人は多い。お遍路を歩く人だって結構いる。
危険な目に遭ったとき、怖いとき、どうにもならず助けを求めるときなどは「神様」「仏様」という言葉が自然に頭の中に出てくると思います。誰でも心の奥底には信仰心があるのでしょう。それが、自分の中で大きいか大きくないかの違いかなと感じます。
スペインの巡礼路で、小さな街の小さな教会に入ろうと扉を開けると、一人の男性が膝をついて静かにお祈りをしていました。あまりの神聖な空気に、今はやめておこうと、そっと扉を閉めました。祈る姿と周りの空気がとても綺麗で、誰が何を信じようと自由だよな〜と感じました。
日本人は自然の中に八百万の神を信じてきて、それは本当に素敵な文化だと思います。山にいくと、神様が葉っぱの影からひょっこり顔を出しているんじゃないかとか、木霊がウロウロしているんじゃないかとか思ったり。
そんなことを考えながら手を合わせます。
大師堂には天井画。リアル。
ベンチで境内を眺めていると、先ほどの団体のバスが到着。ツアー会社の女性に「今日は泰山寺あたりまで?」と聞かれました。泰山寺は今治市。ここから40km近くあります。「そこまでは歩けないので、今日は北条市に泊まります。」と答えましたが、おそらく北条市がピンときていない様子。バスや車だと通り過ぎる場所。距離感を掴むには、やはり人力が一番か。
今日のお参りは終了。ここからは北条市に向かって海沿いを歩きます。
瀬戸内海の潮風を浴びて
*円明寺~海の駅~カフェと御宿まほろば:12.3km*
県道347号に出ると「海の駅」の案内がありました。道の駅のようなものかと思い行ってみることに。
県道から離れて300mほど歩くと「ほりえ海の駅 うみてらす」という休憩スポットでした。
小さな建物があり、その中では子どもが遊んだり、お遍路さんが休憩できるようになっています。かわいい空間。
外も日当たりがよく、気持ち良く休憩できるスペース。
建物の屋上に上がることもでき、そこからは瀬戸内海をちょっと高いところから見られます。
釣り人も。
県道に戻ると「カフェトレイン ベイサイド」という、かわいいシーサイドトレインがありました。自家焙煎珈琲とあります。気になりましたが、その先にあった「焼き小籠包」がもっと気になりました。
近づいてみましたが、営業していない。11時からと貼り紙があり、まさに11時でしたが…残念。
しかし、このお店の前にあるベンチが最高のロケーション。瀬戸内海ビュー。あまりにも心地良かったので、ちょっと座って海を眺めます。海も山も飽きずに一日中見ていられるのは、もはや特技。
ここから完全に海沿い。高知県を思い出すような道に気分が上がります。でも、瀬戸内海は実に穏やか。ゴツゴツした岩もなく、ポツポツも島が浮かびます。
最高。もう今日はこれで十分というほどの景色。
海沿いから街の中へ入っていくとここにもいい感じのカフェ。「NORTHSHORE」というカフェダイニング。
惹かれましたが、今日はランチを決めていました。「カフェと御宿まほろば」です。へんろ宿でもあります。地図にも記載されている宿で、ここのハンガーグがとても美味しそうだったので。
その前にスーパーに寄って食料を。マルナカと並んでよくお世話になるスーパーFUJI。
13時前に到着。
まほろばのハンバーグと天然温泉
*まほろば~シーパMAKOTO:450m*
先にいたお客さんがちょうど出ていくところで店内は私一人。中にはいろいろなものが置いてあり、すごく楽し気でした。
ハンバーグの他にもドリア、グラタン、焼カレー、オムライスなど。優柔不断なので目移りしますが、やっぱりハンバーグ。
珈琲やデザートも。
待っている間にインテリアとか本を見ていました。新聞が置いてあり、久々に世間に目を通すかと手に取ると、GO TOの見直しが叫ばれている。テレビは見ないし、スマホのニュースも見ないし、ほとんどデジタルデトックス状態。社会の動きを気にしながら歩くと頭も心も忙しい。やっぱり情報デトックスをしようと、見出しと文章を数行読んで戻しました。
テラスで昼寝したら最高だろうな。そんなことだけを考えていられる1日って幸せだな。
ハンバーグは柔らかくてジューシーで、とても美味しかったです。「手作り」の味に細胞が喜びました。
食べ終わると、今朝いただいたという宇和島のみかんをデザートに出してくださいました。ツヤツヤ。ピカピカ。
「すっごく甘いよ~」と言われましたが、本当にめちゃめちゃ甘い。今まで食べたみかんの中で一番美味しい。愛媛県の中でも宇和島のみかんは特別甘くて美味しいそうです。
「すっごく美味しいです!!」と連発していたので、帰りにみかんを2つくださいました。すっかり宇和島みかんに惚れ込んで、ファンになりました。
ここはご夫婦で営まれていて、ご主人が多趣味。名刺をいただきましたが、そこには肩書きと趣味がズラリと並んでいました。「定年後は暇ってよく聞くけど、もうやりたいことだらけで忙しい。」と仰っていて、素敵なご主人でした。
店内にある植物とか小物のお話を聞きながら食後のお腹休め。玄関の「まほろば」という格好いいランプは、ここから10kmくらい先の「菊間」という地域の瓦工房でつくってもらったものとのこと。瓦が有名な地域のようで「工房の前に瓦でつくったストラップが置いてあるから貰って帰りな。」と教えてくれました。ぜひとも。
「ゆっくりしていってね。」と言われましたが、温泉に行ってから鹿島のキャンプ場へ行くので出発することに。今の時季、北条港から鹿島への船は30分に一本。日没が早いので15時半の船には乗りたい。
「船に何かトラブルがあったら電話してね。うちはボートもあるし助けにいくから!」と、明るくてとても素敵なご夫婦でした。へんろ宿の方からはいつも「何かあったら電話してね」と心強い言葉をいただきます。本当に温かい。
宿泊するとさらに楽しい時間になると思います。
お礼を告げて、天然温泉「シーパMAKOTO」へ。
ここは、オーシャンビューの天然温泉。宿泊施設でもあります。
施設内では軽食も食べられます。北条市の鯛めしもありました。
内風呂も広く、オーシャンビューの露天風呂で時間いっぱいに身体を休めます。今日はちょっと風が強いので、お湯に浸かり続けてもさほどのぼせずちょうどいい。道後温泉に続いて癒されました。
かわいい鹿島。いいとこ鹿島。
*シーパMAKOTO~鹿島公園渡船待合所:650m*
渡船の待合所の手前には、大きくて真っ白な鹿島神社の鳥居。その先の丸っこい島が鹿島。
時刻表やHPには島まで3分となっていますが、実際は1分~2分で着きます。往復で210円。
船が見えてきたので乗り場の方へ。
鹿が乗ってる。
船内では友近さんによる島の紹介が流れました。
本当にあっという間に到着。港から直線距離400m。
結構遅くまで運行しています。
鹿島は周囲1.5kmという可愛さ。しかし、通行止め区間があるので歩いて一周はできません。このコンパクト極まりない島ではハイキング、キャンプ、BBQ、海水浴、釣り、公園、周遊船というように様々なアクティビティを楽しめます。
キャンプ場は無料。なのに、綺麗なトイレと炊事棟の設備があるという最高のキャンプ場。行かない理由がない。
船乗り場の前にはしっかり休憩所。ほとんど待合室。
売店が1軒あるので、カップ麺とかお菓子くらいの食料であれば手に入ります。
キャンプ場の手前には鹿島神社と公園。鹿様。「鹿島」というだけあって鹿。この島には鹿がたくさんいます。
キャンプ場は平坦な芝生。
東屋もありますが、東屋の中にテントを張るのは禁止。親子が一緒に宿題をしていました。ここで?いや、むしろ捗ったりして。ワーカーション流行っているし。
3連休ですが、シーズンオフということでキャンプ場はちらほらいる程度。BBQを楽しんで帰って行く人たちも多かったです。このあとちょっと増えましたが、コロナ禍には十分な間隔。
トイレと炊事棟も近くにあります。2,3ヶ所くらいありました。
水洗で綺麗なトイレ。
風を心配していましたがやはり強め。芝生のところだと諸に風を受けます。立派なキャンプテントが風に煽られ、張っている最中の人は苦労している。
張り綱がないので、風を避けられる場所で選びます。
「納涼台」を発見。「夏季期間は混みあうため、納涼台にテントを張るのはご遠慮ください」という貼り紙がありました。3連休だけど混んでいないし、シーズンオフだし、壁があって風もこない。山にピタッと近い部分ですが、海も見えるし、結露もなさそうだし、ここにしました。
納涼台は、キャンプ場全体を眺めるという感じの立地。悪くない。みなさん、思い思いの時間を過ごしています。
隣は炊事棟になっています。電気はいます一晩中点いていたので、テント内はほんのり明るかったです。
テントを張って、珈琲タイム。山田まんじゅうのドームクーヘン本当にうまい。
今日はこのまままったりと海を眺めていようと思いつつ、展望台へのハイキングコースが気になる。
気になると行ってしまう性分なので、結局登りました。納涼台のすぐ隣が登山口になっていて、柵の中にはたくさんの鹿。温泉でおばちゃんに「鹿がいるから食べ物には気をつけてね。」と言われましたが、みんな柵の中なので大丈夫でした。ここの鹿は餌をもらっているのかな?
標高115m、コースタイムは20分と看板にありました。ズンズン進んでいき、到着。日も傾きかけて誰もいません。
ゴールデンロードがくっきり…
16時半頃でしたが正解。ここは夕方がロマンチックです。
恋人の聖地によくあるやつ。
鹿島キャンプ場は夕日スポットとしても有名。夕日は下で見ようと思い、17時前に下山。
キャンパーは増えていましたが、BBQを楽しんでいる賑やかな声が聞こえてきて、夕日を静かに見ている人はとても少なかったです。
わーお。
多分奥にもっといい場所があると思うのですが、ここで十分だったのでキャンプ場の端っこで太陽を見送りました。
数人の人が同じように静かに見つめていて、感傷に浸っている。写真を撮りに来ている人も。夕日は無条件に切ない気持ちになります。
最高のひととき。
お月さんこんばんは。
キャンパーのランタンやらキャンドルが灯ります。
このまま余韻に浸りながら良い夜を過ごしました。夜空には星も散らばり、鹿のグスッグスッという鼻音を聞きながら就寝。
瀬戸内海は穏やかでいいですね。天気に恵まれて、最高の1日となりました。テント1枚、自然の音に包まれて眠るのはやっぱり至福。鹿島キャンプ場、とてもいいところでした。
★本日の歩行距離:25.4km
★累計:850.3km
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