2022.4.10(日)
天気:晴れ☀
気温:22/9℃
風:南東2m/s
歩き人たかちです。
昨日、十津川温泉から果無峠を越え、無事に熊野本宮大社に着いて3泊4日の小辺路歩きが終了。
ここから再びソロ。1泊2日で中辺路の"小雲取越・大雲取越"を歩き、那智大滝へ向かいます。当初は、湯ノ峰温泉からバスで「滝尻」へ向かい、3泊4日で中辺路を歩く予定でしたが雨予報。雨は雨で趣がありますが、小雲・大雲は晴れてほしい。
滝尻〜発心門は未踏ですが、小雲・大雲をもう一度歩きたい思いで日程を短縮。晴れ予報は大きな山越えに当てることにしました。
小辺路は小辺路でとてもよかったですが、個人的に小雲・大雲は古の険しい熊野古道をたっぷりと感じられる道だと思います。
無いに等しい記憶は戻るのか?今日は途中の集落である"小口"でテント泊です。
1日目:高野山散策ー大滝集落
2日目:大滝ー大股ー伯母子岳
3日目:伯母子岳ー三浦峠ー十津川温泉
4日目:十津川温泉ー果無峠ー熊野本宮大社
★5日目:湯ノ峰温泉ー小雲取越ー小口
6日目:小口ー大雲取越ー那智大滝
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湯ノ峰温泉-わたらせ温泉-下地橋-松畑茶屋跡-万歳道分岐-百間ぐら―賽の河原地蔵-石堂茶屋跡-桜峠-桜茶屋跡-小口自然の家
▲コースタイム:5時間40分
▲歩行距離:18.3km
↓熊野古道ウォークマップ↓
小雲取越・大雲取越について
小雲取越・大雲取越は中辺路の一部で、熊野本宮大社と熊野那智大社を結ぶ大きな山越えの道です。本来は、本宮に参拝した後に熊野川を舟で下り那智大社へ。そして、"那智大社から本宮大社に戻る道"として利用されていたため、大雲取越から小雲取越の行程で歩かれていました。
画像出典:田辺市熊野ツーリズムビューロー
どちらも15km程の行程で、特に、大雲取越は急坂とアップダウンを繰り返す道のりです。
小雲取越は特別急坂もなく、緩やかな道が多めで比較的歩きやすいです。個人的には果無峠の方が登山要素が多いと感じました。
急坂あり、アップダウンあり、所要時間が長いのは大雲取越。一番の急坂は越前峠に至る「胴切坂」で、石畳の坂が2.4km続きます。全体的に石畳の道が多く、雨の場合は非常に滑りやすい山道です。肉体的にも精神的にも、小雲取越と比べると負担が大きいのが大雲取越。
前回は那智方面から、今回は本宮方面から。登りと下りどちらも歩きましたが、どちらも長いです。全体的に登りの標高差が大きいのは本宮方面からですが、小口から越前峠は急坂多めの5kmで、下りもなかなかです。
通常は1泊2日の行程で、途中の「小口」という集落に泊まります。宿泊施設が以下2つ。
両施設合わせてもキャパはそれほど多くありません。大雲・小雲はツアーも多いので、早めに予約しないと平日でも満室になります。
今回は小口自然の家のキャンプ場でテント泊をしました。予約は不要で、GWなどの連休以外でいっぱいになることはほとんどないと思います。
紀伊山地の奥深さ、熊野本宮大社の奥深さを感じられる道が大雲取越・小雲取越。熊野川や那智大滝、熊野灘など、水とともに歩いているような旅路です。
小雲取越、再び。湯ノ峰温泉-百間ぐら
*湯ノ峰温泉-下地橋-松畑茶屋-万歳道分岐-百間ぐら:CT3時間5分*
今日も死んだように爆睡していました。5時に目が覚めて6時前までゴロゴロ。
両親と伯母は新宮行きの始発バスで那智の滝に寄って帰るので、湯ノ峰温泉でお別れ。今日も朝ごはんはおにぎりにしていただきました。
コンパクトでかわいい温泉街。湯ノ峰温泉は、開湯1800年という長い歴史があり、日本最古の湯です。
温泉街の中心にある"つぼ湯"は、熊野詣の湯垢離場として世界遺産に登録されています。日によっては7回もお湯の色が変化するといわれます。
湯ノ峰温泉は"蘇りの湯"といわれますが、これには小栗判官復活の伝説が伝えられています。
戦に敗れた判官は常陸国に逃れ、絶世の美女である照手姫と了解を得ぬまま結婚。怒った照手姫の父は、判官を毒殺しました。判官は、目も見ない口も聞けない餓鬼阿弥の姿で現世に舞い戻り、「この者を熊野の湯に入れれば、元の姿に戻ることができる」とお告げを受けた高僧に助けられました。長い旅路を経て湯ノ峰温泉に辿りつき、49日間の湯治の末、判官は元の姿に戻ったといわれます。
前回も湯ノ峰温泉に泊まり、つぼ湯に入りました。
ぬるめだった記憶ですが、日記を振り返ると「熱くて5分も入っていられなかった」と書いてありました。出たり入ったり足湯をしたりしていたようです。人間の記憶のいい加減さよ。記録は大事ですね。
営業時間 |
午前6時〜午後9時(不定休) *30分交代制 *男女混浴風呂 |
料金 | 800円 (2022.4.10時点) |
つぼ湯は30分の交代制となっており、料金を支払って番号札をもらいます。何人待ちかで大体の時間を検討し、自分の時間が近づいてきたら外で待つというスタイルです。
休日は結構待つこともあるようで、朝一で番号札をもらいに行く人も少なくありません。この日は日曜日だったので、朝から待っている人がいました。
前回は大日越えでつぼ湯の上に出てきて、そのまま番号札をもらいました。平日の夕方で3人待ちくらいだったので、先に宿の温泉に入ってからつぼ湯に行きました。
30分の交代制で1日に30組くらいなので、入る場合は早め早めがいいと思います。
下の湯筒では、湧き出る温泉で卵や野菜が茹でられています。
バス停にはトラックが一台停まっていて、おじちゃんに「袋持ってる?」と話しかけられました。袋???と思ったら、なんと、タケノコをくださいました!!
私はまだ歩くので両親に託しましたが、小さめのものをくださいました。ホッカホカ〜で、うまい!柔らかい!
湯ノ峰温泉で茹でたタケノコということで、塩気もあるからこのまま食べるのが美味しいよと。
「田辺・川湯キャンプ場」を管理している方で、「おもてなしが自慢だから、次来たときは泊まってね!!」と。タケノコを食べながら、小雲取越の登山口があるバス停「下地橋」へ向かいます。
車道をトボトボ。湯ノ峰温泉から下地橋までは5.3km。
ちょっとだけアップダウンの道。
朝は美しい。
まもなく「わたらせ温泉」エリアに到着。
トンネルを抜けて国道に出ました。
熊野川ともさよなら。大きな川ですが、昔に比べると水量がかなり減っているとのこと。
熊野川は、伐採した木材を新宮へ運ぶ道として使われていました。逆に、新宮からは海産物などがこの川を遡上して運ばれたそうです。
バス停「請川」の先にヤマザキYショップがあります。小雲取越前の最終食料調達場。両親たちに要らない食料を貰ったので寄らずに進みます。
下地橋を渡る。
バス停「下地橋」の傍から山道スタートです。階段の右手にはお弁当屋さんがありました。いつも通り民家脇から。
山道に入るなり、石が綺麗に並べられています。
小雲取越の記憶は「緩やかで歩きやすかった」ということのみで、山の様子は"百間ぐら"の展望が良かったことしか覚えていません。
あ~こんな道だったかな〜…いう感じでゆっくり登って行く。小雲取越は、ちょっとずつちょっとずつ登って行く感じが心地いい。
しかし、山道のスタートが9時頃だったので、すでに暑さがあります。今日も天気がよい。
緩やかな登りと平坦な道を繰り返し、"松畑茶屋跡"に着きました。茶屋跡は雰囲気で「あ、着いた」というのがわかりますね。
山の中でおしることか磯部餅とか美味しいですよね。箱根旧街道を歩いたときに「甘酒茶屋」があり、甘酒や力餅、ところ天などがありました。立派な茅葺屋根の茶屋で、心地よい風が吹き抜ける店内での磯部餅が至福で…多く残る茶屋跡もきっと、山越えの人たちの拠り所だったのでしょう。
茶屋跡を過ぎると、百間ぐらに向けて登って行きます。
↓鳥の声がいい、森も素敵↓
日曜日なので歩いている人も多いと思いましたが、まだご夫婦1組に会ったのみ。静かです。
百間ぐらに到着◎
空間としてはそこまで広くはなく、3〜4人くらいまでがちょうどいいか。5人以上いるとちょっとわちゃわちゃした感じになりそうです。
前回は朝早くここに着いたと思います。まだ雲がすっきり取れていなかったような。
紀伊山地の山々を眺めながら朝ごはんのおにぎりを。風が気持よい~
本宮町も遠くなりました。
どの辺りの山脈を歩いてきたのか探すのは楽しい。昔の人はここでどんなことを考えたのでしょうか。今回は本宮から離れていく形ですが、前回は伊勢神宮を出発して「見えたー!?」と気分上々でした。まだ見ぬ大斎原に心が躍りつつ、なんだか疲れていたような、ちょっと複雑な気分だったかも。
30分くらい休憩していると、ようやく人の声が聞こえてきました。十分休んで下山開始。
下りもサクサク。百間ぐら-小口
*百間ぐら-賽の河原地蔵-石堂茶屋跡-桜茶屋跡-小口自然の家:CT 2時間35分*
下山も気持ちよーく。
新緑がキラキラと眩しい季節。広葉樹林になると、もうめちゃくちゃ気持ちが良い!!どの季節も好きですが、山のエネルギーがブワーっと溢れる新緑の時季が一番好き。気候も爽やかで、いいでねす~。
百間ぐらから15分程下ると車道を横切ります。車道を100mくらい行くと駐車場があり、トイレもあります。小雲取越でのトイレはここだけ。
再び山を下っていくと、"賽の河原地蔵"に着きました。
「賽の河原」とは、死んだ子どもがいく三途の河原のこと。ここで親の供養のために石を積み上げて塔を作るも、作る度に鬼に壊される。そこへ、地蔵菩薩が現れて子どもたちを救ったということです。地蔵は、熊野詣で亡くなった人々の霊を供養するために作られたものだそう。
今は整備された歩きやすい古道となっていますが、当時は険しくて辿り着かない人も多かったと思います。お遍路にも行き倒れした人々の供養碑があちこちにありました。熊野もお遍路も、土地の人々が見ず知らずの人を供養したということで、今でも続く優しい風土が窺えます。
石を一つ積んで先へ。
また少し下ると"石堂茶屋跡"。森の中にある東屋がいい。ここは石堂峠として茶店が2軒あり、宿泊施設でもあったそう。
苔に侵食されつつあるところが、自然に溶け込んでいる感じ。
前回のことを思い出すことはあまりありませんでしたが、今回も「気持ちのいい道」と感じたことは同じ。ほとんど覚えていないのは、それなりに必死に登っていたということか。
"桜峠"に到着。
道幅もすごくいい。
"桜茶屋跡"に到着。奥の東屋には10人くらい休んでいて、グループの人たちかな?展望のある気持ちがいい休憩所です。
桜茶屋跡は、庭先に桜の大木があったことが名の由来。白衣の参詣者が見えると、茶屋の主人が大急ぎで湯を沸かし餅をついたとか。水は遥か下から桶に入れた水を頭に乗せて運んだとのこと。私はプラティパスで楽々水を運んで、なんて便利な時代になったのだと思いますね。
ツツジがあるとついつい上を見上げてしまう。
平坦になると、小口集落はすぐそこ。
この辺りにも石垣がしっかり残っています。
小雲取越が終了しました。ここから小口自然の家までは1kmちょっと。
気持ちよさそうな河原ですね。夏とか最高だろうな。
まずは車道。
途中から道標に従って民家の方へ。
そのまま車道を歩いても問題ありません。道標に従うと、トンネルになっている箇所を登って下ります。山を下りて暑さが一気にきて、石段の登りが何気にきつかった・・・
トンネル部分を登ります。
そして下る。
小口自然の家が見えました。懐かしい!
チェックインする前に、近くの川をちょっと見に行きました。前回ヘトヘトで大雲取越をして、「あー着いたー疲れたー・・・」と思って橋に肘をかけたとき、目に飛び込んできた川の美しさにびっくり。その川をもう一度見たくて再び歩いたといっても過言ではないくらい。
小口自然の家からすぐです。
この赤木川!
やっぱり綺麗ですね〜。透明度が半端なくて、エメラルドグリーンがいい色なのです。川底がくっきり見えるのが好きで。端の方の岩壁を見ると割と深さがあるように思えます。飛び込みたい。
以前の赤木川。鯉が泳いでいましたが、透明度がすごくて泳いでるというより飛んでいるよう。
何事も肉眼に勝るものはないので、この道を歩く際はぜひ橋の下を覗いてみてください。
熊野には「古座川」という、カヤックなどのアクティビティでも有名な、これまた透明度が半端ない川があります。小口にも古座川への案内板が出ていました。
伊勢路のときの宿で、「川が綺麗すぎてマグネシウムが足りず、その川を生活水としていた地域で風土病が起きた」というお話を聞きました。海でもそうですが、綺麗であればあるほど栄養が足りなくなりがち。
明日また橋を渡りますが、光によって色が変わるのでとりあえず見ておきました。小口自然の家に戻ります。
橋の手前には、小口にあるもう一つのお宿「民宿百福」。ごはんが美味しそうなお宿。ご主人はガイドもやられているようなので、いろいろお話を聞きたい場合はこちらがいいかも。
小口自然で家テント泊
小口自然の家は、元々小学校だった校舎を宿泊施設にしています。三角屋根がかわいい校舎。校庭も広くて日当たり抜群。前回は宿に泊まりました。
14時にチェックインしました。テント泊に関してはチェックイン・チェックアウトの時間が特に決まっていないので、早めに着いても大丈夫。
料金 | フリーサイト 2,300円 (入浴代500円込) |
時間 |
チェックイン・チェックアウト FREE |
施設 | トイレ・炊事棟・BBQ棟あり |
ランドリー | 洗濯機:無料 乾燥機:100円 |
お風呂 |
15:00〜21:00 ボディソープ・リンスインシャンプー |
フリーサイトにある案内板には「テント1張3,000円」と書いてありますが、実際は入浴代込で2,300円でした。オートキャンプ用の案内板なのでしょうか?ネットで調べても情報がいろいろあり、実際いくらなのかは泊まるまでよくわかりませんでした。
ちなみに、小口自然の家のフリーサイトの奥に「新宮市小口キャンプ場」というのもあります。こちらは完全なオートキャンプ場です。
蛇口がいい。高さが完全に小学校です。
鈴木みきさんのサインが。
お土産というか、グッズも売っています。
校舎前には気持ち良さげなテーブルベンチあり。
校舎前の校庭に張ってもいいし、校庭の向かいにあるサイトに張ってもOK。炊事棟がある方が静かそうなので奥側にしました。
炊事棟前より。奥の建物が校舎。芝生は綺麗に管理されてふかふかです。
柵の周りには、一段高くなっているちょっとしたプライベート区画も。ここも自由に使えます。
散々悩みましたが、一番奥の桜がいい感じでここにしました。最後はお花見キャンプ。
サイト周りは川が流れています。川遊びもできる、とてもいい環境です。
炊事棟、BBQ棟も大きめ。
七輪まであります。これも使っていいと言われました。
サイトの奥には吊り橋があり、ここを渡るとオートキャンプ場の「新宮市小口キャンプ場」があります。
完全に区画されていますね。超プライベートな感じ。
テントを設営したらお風呂に入りに行きました。15時前くらいでしたが、「もう沸かしているのでどうぞ」とのことで。
ここはツアーで泊まる方も多く、16〜17時頃にチェックインする人が多い印象です。15時頃はまだ2,3人の靴しかなく、お風呂も一番乗り。一人で悠々と入らせていただきました。
また、洗濯機は無料で乾燥機は100円というありがたさ。洗剤も置いてあります。お風呂と同時に洗濯をしたので待ちはありませんでしたが、18時頃は2台ずつフル稼働していました。早めに到着すると流れがいいです。
お風呂のあとは桜を見ながら珈琲タイム。このキャンプ場は本当に気持ちがいいので、12時くらいに到着してゆっくりするのもアリですね。
今日は新緑の新鮮で爽やかな空気をたっぷり吸いながら、気持ちよく山越えができた一日でした。
明日は熊野古道の旅最終日。大きな大雲取越をして那智大滝を目指します。熊野の深い自然の中にどっぷり浸かれる一日。どんな道だったか、とても楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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