2022.4.8(金)
天気:晴れ☀
気温:伯母子岳6時→1℃/三浦峠→15℃前後
風:北西1~3m/s
歩き人たかちです。
昨日は小辺路最高峰の伯母子岳に登り、伯母子峠の避難小屋に一泊。3日目の今日は下山からスタートし、同じく1000m級の"三浦峠"を越えて十津川温泉を目指す30km超の行程。
伯母子峠も三浦峠も下山の距離は長めですが、急な箇所が少なく個人的には歩きやすいと感じました。しかし、ラストのロード10kmが辛かった・・・
1日目:高野山散策ー大滝集落
2日目:大滝ー大股ー伯母子岳
★3日目:伯母子岳ー三浦峠ー十津川温泉
4日目:十津川温泉ー果無峠ー熊野本宮大社
5日目:湯ノ峰温泉ー小雲取越ー小口
6日目:小口ー大雲取越ー那智大滝
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伯母子峠避難小屋-上西旅籠跡-弘法大師座像-待平屋敷跡-伯母子岳登山口(三田谷)-三浦の湧水-吉村家跡防風林-三十丁の水-三浦峠-出店跡-五輪塔-矢倉観音堂-西中-昴の郷-十津川温泉「ゑびす荘」
▲コースタイム:9時間10分
▲歩行距離:約31.5km
緩やかに。伯母子峠-弘法大師座像
*伯母子峠-上西旅籠跡-弘法大師座像:CT 1時間25分*
4時45分起床。夜の風は収まりつつありましたが、まだ寒い。昨日の朝は6℃予報でしたが今日は1℃と低め。小屋内は5℃。
日の出は雲が多めであやふや。なんとなく夜が明けました。山頂から迂回路で下るという女性と別れ、6時頃下山開始。
風が強めで化繊ジャケットもレインも着ながら下山。平坦に近い緩やかな道を歩いて行きます。
伯母子岳の山頂周辺はブナ林になっていて、まだ芽吹いていませんが新緑や紅葉の時季はとても綺麗だと思います。小辺路だと伯母子岳周辺で熊を見たという情報がチラチラありますが、これだけブナがあれば納得。
歩きやすい道ですが、道が細い箇所もあるので転倒などには要注意。左側は急斜面になっています。落ち葉で滑らないように。
青空が出てきて、森に光が射し始めました。
以前崩れた場所。ロープが張ってあります。通行には問題ありませんが、足元要注意。
上西旅籠跡までは超緩やかなルンルン道。上西旅籠跡の少し手前で山頂からの迂回路と合流しました。迂回路は尾根を下ってきます。
どうなっている?木にもいろいろな人生がありますね。
再び迂回路あり。本道を通れます。
ここも道が細い。
大雨とかですぐに崩れそうな斜面ですね。
"上西旅籠跡"に到着しました。広い空間で、最初の休憩適地。
ここから少し登り返してまた下ります。相変わらず歩きやすい道。
ブナ林が終わり、植林の道に。
間伐された木があちらこちらに。これだけの間伐材を使うのも難しいだろうし、そもそも運び出せないのでしょう。苔むしています。
間伐されていてもこれだけ密。物凄く狭い間隔で植林されていたことがよくわかります。どれが育つかわからないしなあ。
歩く前に「山びとの記 木の国果無山脈」という本を読みました。昭和40年頃の果無山脈や十津川周辺の植林のようすなどが書かれていましたが、1人1日500本、時代が進むと1日1000本の苗を植えていたようです。
自然林がなくなってしまったことは残念ですが、この急斜面にそれだけの苗を植えていたということが本当にすごい。尾根などは土壌が浅いので保全区域とされ、広葉樹の森が広がっています。植林と自然林がはっきりくっきりしている熊野古道。杉林は熊野古道らしいとは思いますが、自然林になるとやっぱり気持ちがいいです。
↓植林の森↓
杉の葉が古道にびっしり。ふかふか。
杉林をしばらく歩くと"弘法大師座像"に着きました。優しく微笑む弘法大師の見つめる先はちょっと開けていてベンチもあります。
歩きやすいまま半分程下りました。伯母子岳登山口までは残り1時間。
ちょっと石畳。弘法大師座像-登山口
*弘法大師座像-待平屋敷跡-伯母子岳登山口:CT 1時間5分*
このあとも急な岩場などは特になく下って行きます。
途中に「ここでは携帯が使えます(docomo回線のみ)」の看板。2,3箇所この看板がありました。機内モードを解除してみると1本立ちました。バリバリ入るという訳ではないか。
花粉の症状なく山を歩ける幸せ。
ここまでずっと緩やかだったので、だんだんしっかりした下山の道に。ちょっとした石畳もありました。
落ち葉の積もり具合がまたいい。
石畳の道が出てくると間もなく"待平屋敷跡"に到着。寺一軒、茶店、関所跡など様々な伝承があるようです。
ここから登山口まではコースタイム25分。この間が一番"下山"という感じでした。といっても、特別急坂ではないので、総じて下りやすい道だったなあと。
川が見えた。
ミツバツツジがあちらこちらで咲き始めています。
ということで、伯母子岳下山。三浦峠の登山口までは800m。すぐに次の峠を登ることになります。
素敵な峠。伯母子岳登山口-三浦峠
*伯母子岳登山口-三浦の湧水-防風林-三十丁の水-三浦峠:CT 2時間15分*
このうねり具合が熊野ですね。
田んぼに水を張り始めている。ポツポツある山桜が素敵な日本の里山。
三浦峠の登山口前の橋。山桜が8分咲きくらいで、とっても綺麗でした。朱色の味のある橋に似合います。
やっぱり山桜が一番好きだ。出始めの赤い葉っぱと薄ピンクの花がいい塩梅で。
橋の前には"三浦の湧水"があります。ここで休憩しながら水を補給しますが、この湧水を汲むのはちょっと難しい。
チョロチョロでていると思ったらゴボッゴボッ…と詰まったようになり、そのあと鉄砲水のように飛び出してくる。リズムに合わせてボトルに水を。この先、山の中に三十丁の水もあるのでわざわざここで汲まなくてもいいのですが、湧水とか名水はなんとなく飲みたくなる。
↓三浦の湧水の鉄砲水↓
橋を渡って三浦峠を登り始めると、応援メッセージとともに、ミツマタが咲いていました。
終わりかけですが、やっぱりかわいい。今年は山には見に行けなかったので嬉しい。春のビタミンカラーです。
民家の脇を通り杉林の中へ。しっかりした石畳。この時点で「三浦峠いいなあ」となっていました。
車道は暑いですが、杉林に入るとスーっとひんやり気持ちがいい。
登っていると、整然と立ち並ぶ杉林の中にグネグネした大きな木がチラチラ見えました。"吉村家跡防風林"です。
小辺路の有名な巨木として本やテレビでも紹介されることが多いです。これが本当に大きくて立派!
樹齢は500年前後といわれ、幹周りは8メートル程とのこと。身体を預けて休みたくなるような大杉です。
すごいですねえ・・・大きな杉は神聖な雰囲気をバンバン感じます。つい触りたくなる。ザックを下ろしてしばらくボーッと見ていました。
ここには昭和23年頃まで吉村家があったようで、井戸が残っていました。
いやー素敵だ。
そのあともえっちらおっちら登っていき、やがて"三十丁の水"。三浦峠に泊まる場合はここで水を。
再び水を補給。小辺路は水場が多くて助かります。ボトルの中身は名水ブレンド。
伯母子岳も良かったですが、この三浦峠がなんだかすごく素敵だな~と思いました。700mの登り返しですが、リズミカルに登れる峠な気がします。いいなあ、いいなあ、と思っているうちにだいぶ登りました。
頭上が開けてくると峠ももうすぐ。太陽が当たると一気に暑くなる。
ここも崩れた跡。
三浦峠に到着◎
小辺路の歴史として、明治22年に十津川村で大水害があり、遠く北海道に新天地を求めた人が多かったとか。そこで、神戸から船に乗るためにこの三浦峠などの険しい山道を歩いたそう。子どもやお年寄りは青年たちに背負われながら山を越え、故郷を去ったようですね。
東屋とトイレがあり、車道と交差しています。トイレ脇はテントも張りやすそうです。東屋の中はテントを張れるくらいの広さですかわ、中くらいの石ころでじゃりじゃりしていてちょっと痛そう。
トイレは男女別の汲み取り式。トイレットペーパーは予備分もすべてなくなっていました。
今日の峠のピークはここで終了。このあと再び800〜900m程下り、十津川温泉まで10kmのロード。日陰にいると汗が冷えて肌寒くなるので、止まっている分には日向がちょうどいい。しばし休憩。
再び下る。三浦峠-西中
*三浦峠-出店跡-矢倉観音堂-西中:CT 2時間15分*
桜を見たり、巨木を見たり、ところどころ立ち止まりながら歩いていたので、12時になっていました。2時間の下りと10kmのロード。15時くらいに十津川温泉に到着して道の駅でも見ながら両親と伯母の到着を待とうと思っていましたが、そうもいかない時間になっていた。
ということで下山。
三浦峠の下りも伯母子岳の下りに似ていて歩きやすい道でした。特別急な箇所はなく、緩やかな道が多め。その分こちらも距離が長いです。
下り始めて10分くらいで水場がありました。昭文社の地図には載っていない水場です。テント泊で水が足りないならこちらが近い。
三浦峠の下りは広葉樹も多く、とても素敵な森でした。ありがたいことに連日いい天気で、非常に爽やかな古道歩き。
そのまま"出店跡"を通過。山の中ですが、「水田があった」という場所も少なくありません。谷から水を引いて耕作していたとのことで、どんな風景だったのかなあと思います。
茶屋のあった場所には大体石垣が残っています。苔むした石が歴史を物語っているようで、すごくいいですね。
尾根道、最高に気持ちがいい・・・。春の風が吹き抜けると、身体の中の灰汁が取り除かれるよう。
目を出したばかりのギンリョウソウがありました。かわいい。
真っ白で、中は龍の目玉みたいな感じで不思議な植物。ユウレイソウともいわれていますが、これ結構好きです。触ると結構硬い。繊細なキラキラが素敵です。
三浦峠は登りもいいな~と思いましたが、下りもいい。個人的に三浦峠がすごく好き。下って下って"矢倉観音堂"に到着しました。
三体の石仏像が安置されてるようで。耳を患う人が願をかけ、お地蔵さんの頭を撫でると治るといわれているそうです。
伊勢路にも身体の各所が治るというお地蔵さんがいくつかありました。山は"母体"と考えられていたため、山の中にそのようなお地蔵さんが散らばっているようです。
矢倉観音堂までくればあと少し。
車道が見えて三浦峠下山。
途中、熊野古道の旧道にロープが張ってありました。下ってきたのは新道です。車道に出て旧道の登山口の方へ70m程歩くとトイレがあります。
ここから熊野古道は車道をショートカットしながらバス停に繋がっていますが、一部崩落箇所があり、通行止めになっている場所があります。
車道に出た地点からそのまま林道を下りました。そもそもショートカットの道がどこにあったのか。気にせず歩いていたので全部見逃していて、下っている途中で「あ、ここだったんだ」となりながら。
日陰ほぼなし。西中-十津川温泉
*三浦峠下山地点-西中-十津川温泉:CT 2時間35分*
林道を歩き始めるとすぐに水場があります。10kmのロードに備えてたっぷり飲んでたっぷり補給。
気合を入れて、ラストのロードへ。こんな感じの涼しげな道が続けばいいのですが、そうはいかない・・・
車道を下り、一番初めに出てくるバス停が「西中大谷」。昭文社の地図では「西中」からになっていますが、ここから乗車できます。ただ、これは現在迂回路にここを通るだけ。通常の熊野古道を下山したら、ここまでちょっと戻ります。しかし、西中より近い気がします。
西中大谷14:01発が十津川温泉への最終便です(2022.4.8時点)。
"西中登山口"の近くにあった迂回路の案内。
迂回路の案内は2020.3時点ですが、登山口は現在も通行止めになっています。
ロードを再び歩き始めると、バス停西中を過ぎたところで再び水場がありました。夏場はありがたいですね。
枝垂桜もいいかんじ。この先にトイレもありました。(よく見ませんでしたが、この辺りが川合神社だったのかな)
気合を入れて歩き始めましたが、このラスト10kmが辛かったです。
ほぼ日陰なし!!
たまにあるちょっとした杉の木陰がなんと幸せだったことか。天気が良すぎてアスファルトからの照り返しも厳しい・・・。別にアップダウンがあるわけではないので、日陰か曇りなら多少歩きやすいと思いますが、ピーカンでは4月でも辛い。
これから暑くなるにつれてここはどんどん辛いゾーンになりますね。バスでスキップする人も多いようですが、こだわりがなければスキップしてもいいと思います。
暑さに疲弊しながら歩いていると、素敵な休憩所がありました。
建物の中でゆっくり休むことができる優しさいっぱいの休憩所。なんだかお遍路を思い出します。
本まで置いてあって、ここで座ったら寝ちゃいそう・・・見学だけして先へ。
間伐材を使った木工品の無人販売所もありました。チラ見しただけですが、料金箱が中にあり、自由にお土産を買える形式。
うねる川に沿って歩き続け、最後の方はGoogleをこまめに見ながら、あと3km、あと2.5km・・・となっていました。
ようやく"ホテル昴"に到着。十津川温泉で有名な高級宿です。さすが敷地が広くて、ステージとかありました。この広場でテント泊ができればなあ~なんて思います。
小辺路で利用する人もいますが、朝ごはんは7時半からなので、あまり小辺路向きではない感じ。朝ごはんをおにぎりやお弁当にしてくれる宿もあるので、そちらの方が山向きですね。
ホテル昴から十津川温泉の中心へは2km程。そこに至るまでも宿が何軒かあります。
十津川温泉では川幅が広く、湖みたい。なんとも言えないブルーの色味がいい。
以前伊勢路を歩いたとき、玉置神社に行くために十津川温泉に泊まりました。その時は役場のあるところよりも手前で泊ったので、奥まで行くのは初めて。
中心地に着きました。スーパーや足湯もあります。結局、道の駅にいくことはなく、16時半に今夜のお宿"ゑびす荘"に到着。
"谷瀬の吊橋"に寄って16時15分に到着した両親たちと無事に合流。
いやー、三浦峠まではよかったのですが、最後のロードにやられました。もう、本当に暑かったー・・・。
ゑびす荘はフリーの珈琲があり、ひとまず座って珈琲をいただきました。宿のご夫婦は若く、宿の中もとても素敵です。
疲れすぎて写真を撮り忘れましたが、ところどころ一輪挿しに生のお花が飾ってあったり。建物は古いとのことですが、トイレはリフォームされてとても綺麗で、宿の居心地もとてもよかったです。
お風呂は貸切で使う家族風呂の内風呂と、貸切ではない露天風呂があります。3日ぶりのお風呂・・・温泉最高◎
宿はいくつか候補を挙げて両親に選んでもらいましたが、「ゑびす荘の料理がすごく美味しそうだったから」とのことで、こちらに。その通り、ものすごく美味しかったです!!
最初からすべてが用意されている旅館の料理とは違い、食べながら順番に料理が出てきます。メインはキノコと鴨肉のお鍋でしたが、鴨肉以外はすべて地元のものとのこと。先に野菜を投入し、あとで鴨肉が運ばれてきます。
このキノコたちがたまらなく美味しい美味しい。一番黄色いのは大なめこ。こんなに大きななめこ食べたことありませんが、これが本当に美味しいのです。
つくし。初めて食べました。ほんのり苦みがあり、あんがすごく美味しい。
ふきみそのふろふき大根
グラタン
ごはんは温泉で炊いたとのことで、少し黄色味がかっていて、柔らかい炊き上がりでした。そして、「鴨肉を食べたあとはお鍋の汁をごはんにかけて食べてください」と。野菜と鴨の出汁がたっぷりの汁にごはんがめちゃくちゃ合う!!
何杯でも食べられる美味しさでした。しっかり2杯食べましたが、もっといけたかも。毎日食べたいくらい◎
デザートに抹茶アイス。夏みかんの砂糖漬けがのっています。
両親の宿のチョイスは大正解でした。"料理にこだわっている"という宿でしたが、もう、本当に何もかも美味しかったです。量もちょうどよく完食。大満足。
朝ごはんもお弁当にしてくれるので、十津川温泉に泊まるときはぜひ。とってもおすすめです◎
*十津川温泉 ゑびす荘*↓
ということで、小辺路3日目が終了。何気に30km超の1日でしたが、伯母子峠も三浦峠もとても素敵な峠で、気持ちよくここまで歩いてきました。
明日は最後の"果無峠"。下りの標高差は一番大きいラスボスです。「果無集落行ってみたいな~」と思ってから10年近く経ってしまいましたが、ようやく…明日の天気も上々、4日ぶりの布団で爆睡・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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