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木曽駒ヶ岳の先に広がる世界。紅葉の中央アルプステント泊縦走#2【宝剣岳・檜尾岳・空木岳】

山 歩 き

2021.10.5(火)
天気:晴れ☀
気温:6時→8℃/12時→12℃
風:西北西→西 6~8m/s 18時→11m/s

歩き人たかちです。

中央アルプス縦走2日目。昨日は、人混みの中木曽駒ヶ岳の紅葉を堪能し、山頂直下でテント泊。

今日は空木岳までの稜線を歩き、"駒峰ヒュッテ"まで。コースタイムは10時間20分。

稜線をゆるゆると楽しみたかったので、その手前の"木曽殿山荘"と迷いましたが、以前から憧れていた駒峰ヒュッテを選びました。

駒峰ヒュッテは小屋番さんのいる避難小屋。土日の休日中心ですが、今年はコロナによる人数制限があるため、できる限り上がるようにしているとのこと。この日も本当は無人の予定でしたが、嬉しいことにいらっしゃいました。

アップダウンで有名な中央アルプスの縦走路ですが、なぜもっと早く歩かなかったのかというほどの素敵な道で終始目も心も輝いていました。気候が良く、紅葉が綺麗な秋はとても歩きやすくておすすめです◎

【行程】

頂上山荘テント場-中岳-▲宝剣岳-極楽平-濁沢大峰-檜尾岳-大滝山-熊沢岳-東川岳-木曽殿山荘-▲空木岳-駒峰ヒュッテ

▲コースタイム:10時間20分

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とんがり宝剣岳。頂上山荘-極楽平

*頂上山荘-中岳-宝剣岳-極楽平:CT 1時間55分*

4時起床。予報通り昨日より風の音が大きくなっている。

今回も持参した防寒着はダウンではなく化繊ジャケットとウールの腹巻。八峰キレットのときと同様少し気温が上がったタイミングだったので、その組み合わせで試してみました。

モンベルのULドームシェルターに、ダウンハガー800ハーフレングス#3のシュラフ。結果的には大丈夫でしたが、これ以上寒くなるとダメだなという感じ。ヘタッた薄手の化繊ジャケットだとそろそろ厳しいな。

ありがたいことにテントは結露なし。寒い時期は寝る前にお湯を魔法瓶に入れ、起きたらまず白湯で身体を温めます。夜中に目が覚めたときも白湯を飲むと落ち着くので、この時期は魔法瓶必須。

風が強めで体感は0℃に近い状況。シュラフでぬくぬくしながら外の状況を伺うも、テントを撤収している人がいるのかいないのか。ここから縦走する人はあまりいないのか・・・?という程静か。

暗い中宝剣岳に行くのもなあ~と、日の出とともに歩き出すことに。5時を過ぎてから撤収作業。駒峰ヒュッテまで行くのに…

5時15分頃に空がだんだん焼けはじめ、5時半頃には明るめに。とりあえず中岳を登り返そうと、5時45分出発。(遅い)

太陽出たみたい。

中岳に登ると、南アルプスの稜線上に太陽が上がっており、温かい。自分も含めて世界はモルゲンロート。

さて、宝剣岳へ。ロープに沿って岩を上がって行きます。

 

岩場には綺麗な鎖がかかっていて、足場はしっかりしています。

宝剣岳から道が続いている"三ノ沢岳"。また木曽駒ヶ岳にゆっくりテント泊するときに歩いてみたい。

 

この辺りは特に高度感もなく岩を登っていきます。

 

宝剣岳のてっぺんまでくると、八ヶ岳から南アルプス、そしてカールを一望。ロープウェイはまだ動いていないので、山に泊まった人たちの特別な時間。

これから歩く稜線。素晴らしい展望に心が弾みます。

↓宝剣岳より360℃↓

 

宝剣岳の岩場を下って行きます。大きな岩の隙間を縫うように。

こちら側の方が高度感があると思いますが、足場はしっかりしているので、ガレ場のようなズルズル滑る怖さはありません。個人的な感想ですが・・・

宝剣岳には飛び出した岩の上に立てる有名な場所がありますが、完全にスルーしていました。先の稜線に目を奪われてすっかり忘れていましたが、最近地震も多いので乗るのはちょっと怖いなとも思います。岩たちもちょっとずつ動いていると思うので。ソロだと誰かに頼まないと写真も撮れないし、まあいいかと。

 

御嶽山がほんのりピンク。

先へ進むとと、宝剣岳の岩場の中で一番急な岩に。

急ですが、ここも足場はしっかりしています。足がかけにくい高さのある部分にはステップもありました。鎖も綺麗。

岩を越えて細めの道を。鎖が続きます。

 

振り返る。急な岩場を越えれば宝剣岳の岩場は間もなく終了です。

風が強いですが、日が出ると化繊ジャケットはさすがに暑い。水分補給と身支度を整えて。

岩場の先には、スキップしたくるような道が続いています。

なだらかに歩いていくと"極楽平"に到着。ここからアップダウンを繰り返しながら空木岳へ。

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憧れの避難小屋。極楽平-檜尾岳

*極楽平-濁沢大峰-檜尾岳:CT 3時間10分*

 

「気持ちいい~♪」と思わず声が漏れてしまう道。湿気のない秋の爽やかな空気はいちいち立ち止まっていちいち深呼吸したくなる。青空の稜線は本当にすっきりします。

何より南アルプスの山並み。富士山もこんにちは。北岳-間ノ岳-農鳥岳の白峰三山も大好きですが、その大好きな稜線を見ながら歩くのがまたいい。あの稜線も端から端まで繋げたい。

アップダウンが始まります。まずは下り。

自分の出発が遅かったからか、歩いている人が少ない。空木岳までは行かず、檜尾岳から下るという人も。

 

ウスユキソウの枯れ残りがいい感じ。

下ったあとは"濁沢大峰"に向けて左の斜面を登り返します。

下まで一気に。

そして登り返す。

 

写真だと渋くなりますが、斜面の下の方はいい色になっています。

岩混じりの斜面をえっちらおっちら登って到着。

衣替えした斜面◎

風が6~8m/sなので止まると寒いですが、天気が良く歩いている間はちょうどいい。アップダウンがあっても汗をあまりかかない程度のちょうどよさ。夏はすごく暑そうですね。

 

岩の横を進む。

ちょっとした鎖場も。中央アルプスはステップがある岩場が多く、非常に歩きやすかったです。

檜尾避難小屋が見えます。前方に待っているのは"檜尾岳"

 

東側の斜面を歩くと風がぴたりとやんで、急に暑くなる。西側に出ると冷やされる。

下って下って・・・

どーん。

鞍部でふーっと一息。360℃どこを見渡しても素晴らしいの一言。

さて、登り返します。

 

 

先ほど下っていた斜面。逆からもいい景色。

山にはそろそろ長い長い冬がやってくるんだな〜と思いつつ、"檜尾岳"に到着。

檜尾岳といえば、あの檜尾避難小屋。ずーっと憧れていたロケーション。南アルプスを正面にポツンと一軒家。

今年は改装工事をしているので使用できませんが、2022年の夏より有人の避難小屋に生まれ変わります。テント場をつくるとのことで、とても楽しみです。来年以降は、ここでのテント泊を目的に檜尾尾根から登ります。

黄色い谷の斜面の先に空木岳。本日のお宿駒峰ヒュッテも小さく見えました。直線距離だと近いですが、ぐるっと周ります。

寒いので15分くらいウロウロしながら休憩して出発。

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美しさしかない。檜尾岳-木曾殿山荘

*檜尾岳-大滝山-熊沢岳-東川岳-木曾殿山荘:CT 3時間30分*

空木岳が近づいてきて気分も上がりますが、まだまだ先。でも、この稜線がまだ続く嬉しさもある。ここまで「なんて綺麗なんだ!」と何回言ったかわからない。

檜尾岳を過ぎてはじめて逆からの縦走者にお会いしました。木曾駒ケ岳から縦走する人が圧倒的に多いのか、すれ違いは3,4人だけ。

 

 

 

 

小さなアップダウンを繰り返して歩いていると、休憩にちょうどいい場所がありました。ちょうど1人2人寄りかかれる岩が西風をシャットアウトしてくれて温かい。普段お昼は行動食で済ませますが、距離が長いので今回はしっかり持ってきました。展望もいいし、10時だけどここでごはんタイム。

南アルプスを見ながらお腹を満たす。山頂よりも、こういう何気ない場所で静かにブレイクするのが結構好き。

エネルギーを補給して後半戦へ。

ヤマハハコは秋の姿の方が好きだったり。

先には"熊沢岳"。ピークにある岩が目立ちます。中央アルプスの岩たちはかっこいいですね。

熊沢岳手前にも岩場。鎖とステップがあるような岩場を通過していきます。

 

 

 

 

ひょっこり御嶽山。

パックリした岩を過ぎると・・・

なんだかすごく素敵な空間。

ということで、熊沢岳に到着。

ここもまったりと休むにはとっておきの空間。女性が一人休憩されていました。昨日は同じく頂上山荘のテント場に泊まっていて、今日は木曽殿山荘に泊まるとのこと。

かっこいいULのザックを背負って軽快に歩かれていて、自分もこんな感じになりたい・・・と憧れてしまうような女性でした。次の日下山するまで何度もお会いした方で、気持ちを共有できてとても楽しい出会いでした。

同じ道を歩いて、そのときの素直な気持ちを共有できることは山歩きの醍醐味。もちろんダイビングでもそうですが、海の中でお喋りはできないので、身振り手振りで伝えたり、ときには伝わらなかったり。「綺麗~!」という言葉を海から上がるまで自分の中にしまっておいたり。それに比べて、山歩きは好きなときに、その場にいる誰とでも気持ちを共有できるので、それは本当に素晴らしいと感じます。山を歩き始めて、いいなあこれ…と思ったことのひとつ。

 

 

 

天国のような道を歩いていくと、これまたいい~道◎

どこまでもハイカーをウキウキされる中央アルプス。時の流れを忘れ、少しだけあたりが柔らかくなった風を浴びながら、岩の上でじーっと見つめていました。

 

少しずつ薄くなっていく山並み。

 

西は緑。

東は茶色。

斜面でくっきりわかれてお洒落。

空木岳の北側の斜面を一望。急峻な谷と尾根に黄色が添えられ、とっても美しくて、とってもかっこいい。黄色とオレンジが入ることで、ほんわかした気持ちで見惚れる。これは縦走しないと見れない景色。肉眼で見た以上のものを写真で表現できませんが、秋好きだなあ・・・とじわじわ。

そんな景色を見ながら下る。岩に注意というか、見惚れて踏み外すことに注意。歩きながらついつい顔を上げてしまう。

もうアップダウンのことなんて頭にはありませんでした。とにかく歩きたいという気持ち。北アルプス、南アルプス、八ヶ岳・・・どの山域もそれぞれ個性があって、どの山域も大好きですが、中央アルプスもようやく仲間入り。"山"と一括りにはできない、言葉ではうまく表せないものがそれぞれにある。

東川岳の手前にピークがあり、とんがりに向かって上がっていきます。

名のないピークの岩の隙間には、木の棒が刺さっていました。いいね、好きだなこういうの。

 

ここから東川岳までは緩やかに。

到着。

ここまでくれば残すはラスボスの空木岳。空木岳を登り返すために、木曽殿山荘に向けて一気に下って行きます。

 

噂通りすごい登り返し。今までのアップダウンが小さく見えるほど迫力満点。一番てっぺんの岩がピークではなく、山頂はさらに奥です。

空木岳周辺も紅葉が綺麗。

ようやく木曽殿山荘が見えました。13時半到着。木曽殿山荘までの坂も結構急です。

駒峰ヒュッテに管理人さんがいれば水を買うことができますが、いなければここが最後の補給場所となります。ただ、駒峰ヒュッテの場合、シーズン終わりには売り切れの場合もあるようです。

今日はいないと思っていたし、シーズンも終わりだし、3L 担いで登り返しました。買う量を少なくしようと3L満タンでスタートしたので、減った分だけ購入。ラスボスを前に増量したくはありませんが仕方がない。

CCレモンに誘惑され、それも購入。登る前にグビッと、小屋でグビッと。

水は1本¥300。木曽殿山荘から片道10分ほどの場所に"義仲の力水"という水場がありますが、「涸れています」の貼り紙が。

木曾殿山荘の中も外もとても静かでしたが、小屋締めの10日までは満室です。「満室といっても通常の3分の1だけどね。」と、ご主人は少し寂しそうでした。「気をつけてね~」と見送られ、もうひと頑張り。

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巨岩。木曾殿山荘-駒峰ヒュッテ

*木曾殿山荘-空木岳-駒峰ヒュッテ:CT 1時間30分*

木曽殿山荘から早速、今日一番の急斜面を。風がなければ汗だくだったな・・・というような斜面を一歩一歩。登っている人は他にいません。独り占めかな。

振り返りながら登っていると、熊沢岳でお会いした女性が木曾殿山荘へ向けて下山している途中で、手を振ってくださいました。こういうのすごく嬉しい。元気が出た。

初めて表銀座を燕岳方面に歩いていたとき、槍ヶ岳に向かって歩いているご夫婦と少し立ち話をしていました。早朝からガスに包まれていて、なかなか展望が見えなかったのですが、ご夫婦とお別れしたあと一気にガスが晴れて大展望に。うわ~!と思って槍ヶ岳の方を見ると、ご夫婦が大きく手を振りながら「見えたよ~!!!」と叫んでくれました。こういう一期一会で山がどんどん好きになっていく。

そんな素敵な思い出が自分の中にいっぱいあって、自然が好きであると同時に、好きなものを共有できる人たちに会うのも好き。いろいろ思い出しながら岩を進んで行きます。

 

だいぶ上がってきました。山荘がちっちゃい。

急斜面を登ると巨岩ワールドに。これが進むごとにかっこよさを増していきます。

"第一ピーク"と書いてある。

その先も続く巨岩。巨岩の脇を縫うように歩いて行きます。

でかい!とにかくでかい!!この巨岩がかっこいい!

↓空木岳ワールドの一部↓

空木岳の巨岩はなんとなく写真で見ていましたが、こんな世界だとは…想像以上でした。これが空木岳ワールド。空木岳の世界観。

 

巨大化したアスレチックのような登山道。稜線上にこんな岩が点々とあることがなんだか新鮮で、すごく感動していました。北アルプスの岩稜帯とはまた全然違う世界が広がっています。

しかも誰も歩いておらず、一人で彷徨っているこの感覚がまた不思議の国。

横を通過すると思っていた巨岩を登ったり。

烏帽子のような岩があったり。

素敵。

あそこを登りきって少し行くと山頂があります。

 

ラストの岩場を歩いていると

見えました、駒峰ヒュッテ。

 

15時30分、空木岳到着◎

いやー、空木岳周辺がこんな世界だったとは。巨岩に魅了されてしまいました。空木岳はファンが多いですが、これはかっこよすぎる。

池山尾根から上がる場合も第一ピークまでの巨岩を楽しんでいただきたい。本当にすごい世界観でした。

奥には南駒ケ岳、越百山へと続く稜線。この稜線も気になるし、なにより"越百小屋"に泊まりたい。高桑真一さんの「山小屋の主人を訪ねて」という本に載っていて、ずっと気になっている存在。明日から天気は下り坂なので今回は空木岳までですが、またの機会に。

駒峰ヒュッテから上がってきた男性と少し立ち話。ここで今日は管理人さんがいるということを知りました。シーズン最後ですが、水もまだ販売していると。なんと…

男性は池山尾根からで、水を運ぶのが嫌で問い合わせたそうです。本当は今日から改装中の檜尾避難小屋の方へ移る予定でしたが、それが明日からになったため今日は駒峰ヒュッテにいらっしゃるのだと。

そうだったのか。自分も確認しておけば水を担いで来なくてよかったな・・・水の他にビールやオレンジジュースなどもありました。ビールはあまりすぎて困っていると。

何はともあれ、小屋番さんがいるのは安心。しかも今日は女性の小屋番さんとのことでそれも嬉しい。

到着した喜びと空木岳ワールドの興奮で寒さを忘れ20分くらい山頂に留まっていました。

駒峰ヒュッテまでは200m。下りなら5分くらい。

憧れの駒峰ヒュッテ。かわいくてロケーション抜群の避難小屋。

歩いてきた稜線を一望できるテラスが最高によいですが、さらに風も強くなり寒くてテラスでゆっくりすることはできませんでした。

小屋番さんに温かく迎えられ受付。駒峰ヒュッテのバッジを買える!と思いましたが、残念ながら売り切れでした。土日ごとに大量に売れていったと…空木岳のバッジは木曾殿山荘で購入しておきましたが、駒峰ヒュッテのバッジがかわいかったので。

 

 

 

中は一階が自炊場で、2階が寝床。コロナの関係でビニールカーテンで仕切れるようになっていました。今日は5人なので2人分使ってと。銀マットを貸してくださいました。

みなさん池山尾根から上がってきた人で、明日木曾駒ケ岳へ縦走するという人が一人。

トイレは一度外に出ます。ありがたいことに女性専用が!

夕日は空木岳に登らないと見えません。風がなければ行きますが、このときは10m/sくらいまで強くなっており、寒いからやめました。

闇に包まれていく。

御嶽山に降り注ぐ夕日のオレンジを見送ります。

管理人さんもフレンドリーで、ミニマムな小屋なのでみなさんとの会話が自然と弾みます。避難小屋は小さいからこそ楽しい。

木曽駒ヶ岳から空木岳、最初から最後まですべてに浮かれっぱなし、感動しっぱなし。とても素敵な縦走路で、中央アルプスの美しさをこれでもかというほど吸収。アップダウンは確かに多いですが、晩秋ということもあり快適に歩くことができました。

疲れたという感情が出ないほど魅了されていました。空木岳は木曽駒ヶ岳とは全く違う世界で、この2つの山が繋がっている不思議さもあったり。少しずつ空木岳の空気に包まれていく感じがとてもよかったです。

最終日の3日目は、池山尾根から菅の台へ下山します。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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