2022.9.29-10.2
歩き人たかちです。
虫の音を聴きながら秋の気候よい…なんてやっていると足早に去っていく山の秋。
今年のラストアルプスは笠ヶ岳。双六岳への稜線を歩きたくて、縦走で狙っていました。そこからどこへ繋げようと地図を広げ、裏銀座へ抜けることに。
「船窪小屋に泊まりたいね」と、山仲間と七倉山荘からの裏銀座を計画して2年。今年も台風でおじゃんとなってしまいソロで決行。日程の関係で烏帽子小屋までの3泊4日となりましたが、初めて歩く裏銀座。それはそれは美しい世界でした。
特に、野口五郎岳〜烏帽子小屋の稜線はもう言葉にならず。随所に散らばる渋い黄色にうっとり。そんな、秋のアルプス旅でした。
★1日目:新穂高温泉-笠新道-笠ヶ岳
2日目:笠ヶ岳-双六岳-三俣山荘
3日目:三俣山荘-野口五郎岳-烏帽子小屋
4日目:烏帽子小屋-高瀬ダム
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往路
◾︎ 毎日あるぺん号
都庁(23:00)-新穂高温泉(6:00頃)
復路
◾︎ タクシー相乗り
高瀬ダム(10:20)-薬師の湯(11:00)
*3人乗車、1人¥2,500
*高瀬ダム〜七倉山荘はマイカー規制
◾︎ 徒歩
薬師の湯 -三俣山荘図書室(5.8km)
*信濃大町駅まで約6km。バスあり。
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天気:晴れ☀︎→霧☁︎
気温:朝15℃ / 笠ヶ岳8〜10℃
風:北北東 2m/s
新穂高温泉-わさび平小屋(休憩で寄り道)-笠新道入口-杓子平-笠新道分岐-笠ヶ岳山荘
▲コースタイム:9時間
▲歩行距離:12km
▲累積標高差:上り1950m
下り270m
裏銀座のアクセス
今回は、「新穂高温泉」から入り「高瀬ダム」に下山しました。
[ 新 穂 高 温 泉 ]
新穂高温泉には「毎日あるぺん号」の夜行バスで入りました。東京から新穂高温泉への夜行バスはこれ1本。
満席はら、新宿からの昼便(平湯温泉乗り換え)でわさび平小屋のテント場に前泊しようと考えていました。
電車の場合は高山駅から濃飛バスが出ていますが、こちらも平湯温泉で乗り換えです。
↓濃飛バス(高山駅・平湯温泉から)↓
[ 高 瀬 ダ ム ]
高瀬ダムの最寄りは「信濃大町駅」。七倉山荘や高瀬ダムへのバスはないので、タクシー利用になります。
七倉山荘〜高瀬ダムの区間はマイカー規制されているので、車の場合もその区間は徒歩かタクシーで(4.5km)。
区間 | タクシー |
信濃大町ー高瀬ダム | ¥8,000〜¥9,000 |
信濃大町ー七倉山荘 |
¥7,000〜¥8,000 *宿泊(テント可)で利用 |
七倉山荘ー高瀬ダム | 特定タクシー(期間運行) ¥2,400(4人まで可能) |
↓特定タクシーの情報は以下より↓
↓七倉山荘HP↓
下山日は日曜日で登山者がいたため相乗りできました。同じく縦走の方々だったので、運良く大町まで。七倉山荘で温泉に入る予定だったところ、私に合わせて大町の「薬師の湯」に変更してくださり、そこから信濃大町駅まで歩きました(6km)。バスもあります。
[ 相乗りできなかった場合のプラン ]
タクシー:4.5km
↓
◾︎ 七倉山荘ー大町エネルギー博物館
徒歩:9.3km
↓
◾︎ バス停「エネ博前」ー信濃大町駅
市民バス:7.1km
タクシーが一緒だった方々も、相乗りできなければ同じことを考えていたということで、節約術として使われている方法かもしれません。
↓大町市民バス(高瀬入方面)↓
笠新道について
「〇〇三大急登」などには含まれていない笠新道ですが、日本屈指の急登として度々紹介されています。
▲ 標高差:約1700m(笠新道分岐まで)
▲ コースタイム:6時間20分(登山口〜分岐)
個人的な感想は「急登は登りやすいけど、とにかく長い」です。
杓子平までは樹林帯で足元は大半が岩ですが、多くは小さなステップで登っていけるので意外にリズミカルだと感じました。ジグザグに登るので見上げるような急登というわけでもなく。足を高めに上げる、手を使う箇所もありますが少なめです。
ただ、長い!!
杓子平までは淡々と登ります。1700m地点から標高の看板が出てきますが、それ以外で目印になるものは特にありません。GPSを確認しても「あれ、大して進んでない…」という"長さ"が笠新道の辛さだと思います。
そして、杓子平〜笠新道分岐までがなんかまた長い。一旦緩やかに杓子平を進んだあとガレ場を登りますが、登れど登れどなかなか終わらない。「え、まだあるの?」という気持ちで標高差300mを。
登っている人たちからは「長いね〜」という言葉が挨拶代わりに出てくる、そんな笠新道でした。
笠新道[ 新穂高温泉-杓子平 ]
*新穂高温泉-わさび平小屋(寄り道)-笠新道入口-杓子平:CT5時間50分*
毎日あるぺん号で新穂高温泉へ。フットレストのない4列は、リクライニングをするとやはりお尻が痛くなる…
上高地で半数ほど降りたあと、6時頃到着。4年ぶりの新穂高温泉はなんか工事中でした。ロープウェイの施設はまだ閉まっているので、「ホテル穂高」でお手洗いをお借りしました。
歩いていくと見慣れたゲート。
上高地と同じく林道歩き。しかし、こちらは常に緩やかな登りが続き夜行明けの身体に若干応えつつ、いいウォーミングアップになりつつ。
1時間弱歩いて笠新道の入口に着きましたが、朝ごはんを食べるためにわさび平小屋に寄り道。
笠新道の登山口から10分ほど歩くと到着。
わさび平小屋といえば、これこれ。
いつもはトマト、今日はバナナ。朝のエネルギーチャージの時間。わさび平小屋は、みかんときゅうりがのったそうめんも美味しいです◎
笠新道の入口に戻りました。林道には途切れず人が歩いていますが、ほぼほぼ双六方面。ここで水を補給して、ついに笠新道へ。水量は十分でした◎
初っ端からぐいぐい登る。
いつかの「山と渓谷」で笠新道を知りました。"急登"として度々紹介されるので、どんな道なのかとずっと気になっていて。笠ヶ岳は笠新道で登ると決めていました。
足元は岩が続きます。
見上げるような急登が待っているのかと思っていましたがそういうわけではなく、変わり映えのない樹林帯をジグザグに淡々と登ります。
林道にはあれだけ人がいたのに、自然音しか聴こえない笠新道。9月末といえど、天気がいいと暑いですね。
お初の看板。ここから100m間隔くらいで看板が出てきますが、それ以外の目印は何もありません。
振り返ると、たまに西穂〜槍の稜線が綺麗に見えることが唯一の救いです。
しばらく登り、休憩にちょうど良さそうな岩を発見するも先客。杓子平に出るまでは良い休憩スペースがあまりなく、登山道脇にちょこんと腰をかけながらでした。
もう少し先へ進むと、大きな岩陰に男性が一人休憩。「いや〜もう、長い長い」と。この方も笠ヶ岳に登るなら笠新道と決めていたそう。あれだけ「急登」といろんなところで出てくれば、逆に気になってしまう。
暑いとはいえダラダラ汗をかくほどではないので、水は2Lで十分足りました。ひとつ言えることは「夏は登らない方がいい」ということ。2Lでは全然足りないと思います。長い上に水場がないので、ずっと秋を狙っていました。しかし、9月は台風が結構あるので毎年いつの間にかシーズンが終わっていたり…
1900mあたりから頭上がちょこちょこひらけるように。心なしか少し涼しくなったような。
稜線の全体が綺麗に見えるようになりました。
白玉ちゃん
杓子平が2450mなので、高度計を見る度に「あと250m…あと100m…」と喝を入れる。本当に淡々とした道です。
ラストスパートの雰囲気を感じながら登り、やっと杓子平に到着〜!
笠ヶ岳こんにちは〜という気持ちでしたが、笠ヶ岳はすでにガスの中。あらら。
樹林帯では色づき始めた葉やゴゼンタチバナの実が目につきましたが、まだまだ緑が優勢。しかし、山の斜面は渋い黄色になっていました。
今年は、風の影響などで高山の葉がぐちゃぐちゃになってしまっているところが多くて紅葉がちょっと微妙らしい。それでも、秋の色合いに嬉しさを感じます。
停滞していた雲が動き出して太陽の光が遮られると、寒さが一気にやってくる。いちいち一枚羽織らないとまったり休憩ができない季節になりました。
「やっと」とはいえ、笠ヶ岳山荘まではまだまだ。とりあえず最初の目的地に着いたというだけ。ここからは、稜線に上がるためにガレ場をえっちらおっちら登ります。
意外と長い[ 杓子平-笠新道分岐 ]
*杓子平-笠新道分岐:CT2時間*
ガレ場まではクールダウンのような緩やかな道を。
またひたすら登っていくわけですが、森林限界を超えて気分転換になります。
さて、登る。はじめは緩やか、そして徐々に左のピーク方面へ。
ちまちま登っていると、下の方から「ウォーーーン!」というような人の叫び声が。振り返るとそれが2度、3度と続きました。クマでもいたのかな?と斜面を探してみるもそれらしきものは見えず。4度目の叫び声が聞こえましたが、結局何だったのかは不明。
秋はクマの行動範囲が広くなるので出会い頭になりがち。クマも脂肪を蓄えるのに必死ですね。
クマ対策には"クマを知ること"が大事だなと、自分の体験を振り返りながら生態を学びました↓
ここ登ったらそろそろかな〜そろそろかな〜…を繰り返すも、なかなか終わらないガレ場。樹林帯と違ってすべて見えているからこそ終わらない。
だいぶ上がってきました。
チングルマの綿毛も終わり。
見えている壁を登って終わりかなと思ったけどまだあった。
今度こそ終わりかな…
稜線に着きました〜やっと。
笠ヶ岳にかかっていたガスはいつの間にか稜線を覆い、景色は明日にお預け…
笠の山[笠新道分岐-笠ヶ岳山荘]
*笠新道分岐-笠ヶ岳山荘:CT1時間10分*
ここからはわくわくの稜線歩きの予定でしたが、息を上げながら登っているうちにあたりは真っ白。チラチラと見え隠れする紅葉の斜面に一喜一憂しながら、笠ヶ岳山荘へのラストトレイル。
少し下ると、双六小屋と新穂高の分岐に到着します。長かった笠新道が終わり、小屋までは1時間ほど。
杓子平と笠新道分岐でそれぞれ達成感を味わいつつ、笠ヶ岳への道のりはやはり長いなあと思う。晴れていたら、目の前に笠ヶ岳がどーんとしているのだけど。
歩いていた道を見下ろす。
真っ白だけど、秋色に癒されます。
先が見えない中、ちょっとしたアップダウンをしながら前へ前へ。
さてさて笠ヶ岳山荘はどこなのだろうと思っていたら、いきなりテント場に着きました。
「ガンバ」
ガスで山荘は見えたり隠れたり。噂通り、遠いですね。一番上の方に張ってもなかなかに。
槍の稜線が綺麗に見えそうな、真ん中あたりのエリアにしました。綺麗に整地されており、フラットな場所多め。風除けの石が積んであるところもあります。
設営後、ソフトボトルを持って受付へ。笠ヶ岳の水場は8月中に涸れてしまうことがほとんどで、涸れてからは山荘で購入します(1L200円)。
テント場から山荘まではガレ場を10分ほど。冷池山荘のテント場もなかなか離れていますが、それよりもなんだか疲れたような。雲ノ平みたいに、小屋から離れていても水とトイレがその場にあれば楽なのですが。
小屋の中が温かい…
トイレは山荘のトイレを。外から入れるようになっています。
モンベルとのコラボTシャツもありました。
ガスが晴れる気配はなく、テントへ戻る。この時季、太陽がないとやはり寒いですね。笠新道の汗が冷えるのでちゃっちゃと着替えを済ませてまったり。急登で汗冷えするだろうなと、Tシャツだけ着替えを持ってきました。
そのうち、ポツポツと雨粒がテントを叩く音。もともと今日は一日中霧予報でした。翌日晴れればいいかと思っていましたが、前日には晴れ予報に。午前中は青空が広がっていたものの、午後は霧優勢。
しばらくするとテントの外が明るくなり、西穂高〜槍ヶ岳の稜線が姿を現しました。しかし、笠ヶ岳は相変わらずガス。諦めて翌朝登ることに。
17時を過ぎると西の空が赤く染まり、夕日が見られそう。急いでガレ場を上がり小屋へ。
この日のテントは7張でした。
歩いてきた稜線の斜面が赤く照らされる。
17時半頃小屋に上がると、ちょうど沈むところでした。ガスが微妙に残る中、朝とは違う強烈なオレンジを放つ太陽。同じオレンジでも、夕日はどこか哀愁を帯びていますね。
笠ヶ岳の山頂はようやく顔を出したけどもう遅い。また明日…
ヘッドランプの明かりを頼りにテント場へ。10月になろうとしている2700mは一気に冷え込みました。
ずっと頭の片隅に居座っていた笠新道。笠ヶ岳への道のりの長さを感じつつ、しっかり登ることができて大満足です。明日は、双六岳への稜線を歩き三俣山荘まで。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
コメント
笠新道は崩壊のため通行不能の時期があり、付け替えた? 良く分かりませんが、こんなガラガラ道ではなかったかと?
杓子平はシナノキンバイの黄色とハクサンイチゲの白色に埋め尽くされた一面のお花畑で緑の桃源郷でした。幡隆平も行ってみたかったが道がなく無理かと。
40年近く前、新穂高〜ワサビ平〜鏡平、泊、ここは写真家でも知られた小池潜さんの小屋で、池越しに槍穂高を間近に望む展望地で小さいながら快適な小屋でした。翌日弓折岳の稜線から朝陽射しシルエットになった槍ヶ岳から光条が輝き、神々しいまでの姿が忘れられません。笠までの稜線漫歩は何だか不思議と夢の彼方に。笠の小屋はトイレの目の前で食事で、吐気を抑えながら我慢して食べたのが苦い記憶。新しい小屋とは大違いかと。でも孤峰とも言える笠のお助け小屋で重要な小屋です。夏で意外なほど混んでいました。人気の山ですね。笠新道は登りは大変そうでしたが、下りはスイスイだったかと。