歩き人たかちです。
居住性(快適性)を取るか、軽さを取るか。テントにおいて、なかなか両立できない問題。
今回は、私が悩んで悩んで購入した、モンベルの「UL ドームシェルター 1型」をご紹介します。

※見た目はシングルウォールテントですが、位置付けは「自立式のシェルター」です。ツェルトの類であることに、ご留意ください。
テントを軽くしたい
私がずっと愛用しているのは、モンベルの「ステラリッジテント 1型」。今回、ULドームシェルターを購入した理由は、お遍路を歩くため。
お遍路では、東屋の中やコンクリートの上など"ペグを打てない"場所で張ることが多々あるため、"自立式のシングルウォール"の検討をしました。
現在は、1kgを切るモデルはわんさか登場しています。しかし、980!とか、なんとか1kgを切ったというものはちょっと違う。切るなら思いっきり切ってほしい。
ステラリッジ(旧モデル)の総重量が1.4kgほど。現行モデルはさらに軽量になっています。900g台でも400〜500gくらい軽くなりますが、軽量化を考えたとき、大幅に重量を減らせるのは大型アイテム。そのため、900g台は却下。
そうなると、自然に2つのモデルに絞られました。
決め手は「入り口のメッシュ」
「1kgをしっかり切る自立式のモデル」となると、どんどん削られていき、最終的な候補は2つ。
①モンベル「UL ドームシェルター1型」:775g
画像出典:モンベル
②ヘリテイジ「クロスオーバードーム2G」:630g
画像出典:ヘリテイジ
どうせなら山でも使いたいと思い、耐水圧や透湿性、前室の有無などいろいろ考えていました。しかし、欲張ると軽くはできない。
ということで、最低限3つの条件に絞りました。
②入口が長編にあること
③メッシュ素材があること(痒い虫対策)
3つの条件を備えていたのが「UL ドームシェルター1型」。
クロスオーバードーム2Gとは本当に悩みましたが、やはりメッシュが欲しかった…。重量は少し重くなりますが、テント内に蚊が入るストレスを考えれば、145g余分に背負った方がマシ。
UL ドームシェルターはベンチレーターもしっかりメッシュで、換気をしながらの虫対策もばっちりです。軽さを追求しながらも、私にとって痒いところに手が届いていたのがモンベルでした。
ドームシェルターは、耐水圧も他のものに比べて低いし、透湿性もありません。シングルウォールなので結露もします。しかし、そこまで厳しい環境では使わないので、決め手は「メッシュ」となりました。
UL ドームシェルター1型
ULドームシェルターの位置づけは「自立式のシェルター」です。積極的な就寝を目的としたものではないので、耐水圧なども最低限の仕様となっています。
重量 | 本体:742g(ポール含む) 総重量:775g(スタッフバッグ含む) |
耐水圧 | 本体:600㎜ フロア:1500㎜ *ともにウレタンコーティング |
透湿性 | なし |
生地 | 本体:15D/フロア:30D |
収納サイズ |
本体:高さ25㎝、直径10㎝ ポール:高さ43㎝、直径5㎝ |
画像出典:モンベル
広さは、山岳テントの「ステラリッジテント1型」と同じ。ドームシェルターはインナーポール式なので、ポールは1本分短いです。
ペグと張綱は付属していないので、必要であれば別途購入します。
フロアの生地はバスタブ型で防水性を高めています。主要な縫製箇所には、シームテープ処理が施されています。
実際に使用してみて
設営
設営は簡単です。

外側にポールを通すスリーブがあるので、そこから室内へ通します。

スリーブのある面とは反対側の角にポールの先端を固定する部分があるので、こちらに差し込みベルクロで固定します。この作業を2本とも。
そして、スリーブ側のポールの先端をグロメットに入れて立ち上げます。

内側にポールを固定するベルクロが付いているので、一つずつ留めていきます。交差しているのは天井部。

側面もベルクロを留めます。

注意点としては、ポールの先端がしっかり差し込まれていないと、立ち上げている途中でポールが抜けて、その勢いでテントを破ってしまう可能性があること。奥までぐっと差し込んで、しっかり固定します。
張り綱とペグを調整して設営完了。
結露
使用するにあたって一番気になっていたのは「結露」。
シングルウォールの宿命なので、どのテントでも逃げられません。少しでも少ない方が嬉しいですが、どうせ結露するのであればどれも変わらないかと割り切っていました。
しかし、思っていたよりも結露せず。ポタポタ落ちてくるような結露を覚悟していましたが、そこまでの結露は今のところありません。使用環境によって大きく変わるので、一概に良い悪いは判断できませんが。
お遍路では、川沿いのキャンプ場、海沿いのキャンプ場、芝生の大きめキャンプ場、東屋、たんなる平地などで使用。

一番結露をしたのは「川沿い」。高知県の四万十川キャンプ場で使用しました。水辺は湿度があるので結露しやすくなります。しかし、その日の寒暖差や湿度、地面の環境で大きく変わります。
滴るほどではありませんでしたが、壁に触れると水滴がツーっと下へ流れる感じ。テント自体はびしょ濡れです。
四万十川のように朝靄がよく出るような場所は、より結露しやすいです。

久礼の無料キャンプ場
基本的に海辺も結露しやすいですが、四国ではほとんど結露しませんでした。

愛媛県の鹿島キャンプ場

風が強めだったので海側は諦め、壁と屋根の下に避難。結露なし、サラサラ。

徳島県の「まぜのおかキャンプ場」。ほとんど結露なし。

野宿。

東屋など、壁がある場所はほとんど結露しませんでした。壁がある分、小屋の外に張るよりは寒暖差を多少和らげられます。

廃校でテントを張ったときは、グランドに向いている入口の面だけ薄ら結露していました。校舎の外壁側はほとんど結露なしという結果。ちょっとでも壁があると違いますね。

使用した中で一番標高が高かった場所が、徳島県三好市の「いやしの温泉郷」。お遍路を歩く前に剣山〜三嶺を縦走し、温泉でテント泊をしました。標高780m、急峻な山と川に囲まれた環境です。
朝晩は冷え込みましたが、ここでも薄ら結露したのみ。
シュラフカバーは持って行きませんでしたが、滴ることはなかったので結果必要ありませんでした。ただ、結露しているときは大体シュラフも湿気っています(特に足元)。これも、テント場で乾かせばいいので、今のところ問題なし。
シングルウォールはこういうものだ、と割り切ってしまえばなんてことはなかった。

冷池山荘のテント場

熊野古道小辺路

木曽駒ヶ岳
お遍路後は、1000m程度の低山から3000m級の高山まで、幅広く使用しています。それでも、ポタポタ滴るほどの結露はありません。
ちなみに、数年前からグランドシートの使用をやめました。ぐちゃぐちゃドロドロになるのが面倒だし、重いので。
その代わり、結露対策、浸水対策として、テントの中にインナーシートを敷いています。使用しているのは「SOLのエマージェンシーブランケット」。嫌な音がせず、何度でも使えるのでとても使いやすいです。
エマージェンシーシートは必ず持つものなので、どうせなら活用した方が荷物も軽くなります。
断続的な強めの雨や土砂降りという環境では使用していませんが、多少降るくらいなら特に問題ありませんでした。
雨の中ガンガン使用している人は「意外と大丈夫だよ」と。天気が悪い日の山歩きは避けるタイプなので、過酷な環境での使用実績はありませんが、アウトドアを楽しめるような天候であれば、普通のテントとして問題なく使えています。
ここがお気に入り
サイドポケットに入る
軽量テントを購入するにあたり、できれば使用するザックのサイドポケットに入れたいと思っていました。

期待通りすっぽり。
収納袋はステラリッジのものを使用。正規のものだと入れづらいので、少し大きめので。

このザックのサイドポケットは大きめに作られているのですっぽり入りました。25〜30Lくらいのザックでも、大きめなら前面ポケットに収まりました。
サイドポケットに収めたい理由は、"撤収が楽"だから。
テント内で荷物を完璧にパッキングして外に出て、テントをさっとたたんで、さっとしまう。これが理想でした。
「一番上に入れればいい」という方もいますが、前面ポケットに入りきらないけどよく出し入れするものや、潰したくないちょっといいおやつを一番上にすることが多いので、外側に収納できたら楽だなと。
テント場で、ザックの中身をズラリと並べて整理整頓している人をよく見ます。でも、外のポケットに入るととっても楽です。雨が降っていたら尚更楽です。
ザックの紹介もよろしければ。
入口のメッシュ
決め手となったメッシュ。

入口の半分程メッシュにできます。
虫対策をしながら大々的に換気ができるのはやはりありがたい。夏場は特に、平地でのテント泊は暑くて閉めきれません。梅雨明けの九州のキャンプ場では、もう暑くて暑くて…
秋でも蚊の生き残りはいるし、メッシュありは個人的に大正解でした。

ただ、メッシュにするためのジッパーが外側についているので、メッシュにするときは入口を開け閉めしないといけません。このジッパーが内側についていたら完璧ですが…。
ステラリッジも同じ仕様なので慣れてはいますが、外側にする理由が何かあるのでしょうか。
大きなベンチレーター
ベンチレーターは天井部に2箇所あります。よくある丸い吹き出し型ではなく、自動的に立ち上がるタイプ。

入口上部。

入口の向かい側。

下から見た図。
棒みたいなものがついていて、勝手に立ち上がる構造。長さは約13cm。大きいので換気は充分ですが、寒い時期は冷気が気になるかもしれません。
雨風が強い中で使用すると吹き込んでくることもあると思いますが、そのような場面で積極的には使わないので。
なお、各所ベンチレーター上部は激しい雨の際に水漏れの恐れがあるとのことで、下記図の太線箇所の防水性を高めることが推奨されています。(説明書に記載あり。)
画像出典:モンベル
内側はシームテープ処理されていますが、念には念を。

表側からシームグリップで目留めをしました。
ギアエイドの補修剤を使用。
ここはちょっと…イマイチな点
ベルクロがちょっと面倒
内側のベルクロは全部で11箇所。一個一個しっかり留めるのが少し面倒だと感じました。
オクトスの「ULシングルウォールテント」も考えていましたが、これもベルクロで留める式。メッシュも付いているし、耐水圧も倍以上でしたが、重量が972gだったので候補から省きました。

取り外ししやすいように、持ち手の部分は少し長くなっています。引っ張るとバリバリ外れるので、それは割と楽です。
生地は薄め。ポールの突き刺し注意
インナーポール式なので、設営時の突き刺しは要注意。
旧モデルは突き刺してしまいがちな形状でしたが、モデルチェンジをして改善されました。

ポールの先端をしっかりと固定できるようになったり、スリーブで内側に通す仕様になったり。
お遍路から帰ってきて全体をチェックすると、生地が薄くなっている部分が一箇所ありましたが、特に問題なし。一応補修剤を塗りました。
薄くて丈夫な生地を使用していますが、本体が15Dとなるとやはり薄い。フロアは30Dありますが、雑に扱うと破れやすいので優しく、優しく…
小さな穴あきであればリペアシートやシームグリップで自己修理。モンベルは修理をしてくれるので、大きめの穴や破れ、しっかり修理したい場合は店舗へ。
ちょっと透けやすい。夜は要注意
普通のテントでも、夜に明かりを点けると影が映ります。
ドームシェルターは1枚生地な上に薄い。そして、"生地の色も薄い"。

手前の短編にザックを置いていますが、壁についてる部分は"そこに物がある"というのがよくわかります。
購入前も透け感を結構気にしていましたが、濃い色のものに比べると透けやすいです。
クロスオーバードームの黄色は少しマットな感じで、実際に使用している人のを見せていただくと、モンベルよりは透け感がありませんでした。
洋服の色がわかるほどってわけではないですが、(ぼや〜っと)人がいるなーくらいはわかります。
暗くなって明かりを点けると影がはっきりわかるので、着替えは要注意。普通のテントでも気をつけていますが、着替えは明かりが必要ない時間帯に済ませた方がいいです。
濃い色だとテント内が暗くなりがちなのと、太陽光で自然に目を覚ましたいのでステラリッジもオフホワイトなのですが。生地の薄さとシングルウォールであるがために、気になる人は気になるかと。
屋内の明かりと太陽光ではちょっと印象が違いますが、店頭で実際に人が中にいる様子を確かめるといいと思います。
まとめ
安い買い物ではないので散々検討しましたが、今のところ酷い結露もないし、軽いし、撤収が楽なので、結果満足しています。
①自立式
②長辺入口
③メッシュ!
この3つ、特にメッシュが欲しいという方にはおすすめです。
ステラリッジテントと比べると、約700gの軽量化。生地が2枚から1枚になって、とても楽になりました。
現在ではこれがメインテントとなり、ステラリッジがお蔵入り気味に…
耐久性、耐水圧、安心感に関してはダブルウォールに勝てませんが、山行スタイルによっては軽量テントが使いやすいと思います。
荷物が軽くなったことで身体と気持ちにも余裕ができ、歩くのがより楽しくなりました。テントの軽量化をお考えの方は、ぜひご検討ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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