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苔・温泉・ツクモグサ。北から南へ八ヶ岳テント泊縦走#2【硫黄岳・横岳・赤岳・権現岳】

八 ヶ 岳

歩き人たかちです。

2泊3日の八ヶ岳縦走2日目。今日のお目当ては「ツクモグサ」

八ヶ岳では5月下旬から6月上旬に開花する黄色い可愛い花。本州では八ヶ岳と白馬岳にしか咲かない日本固有の高山植物で、絶滅危惧種の貴重な花。さらに、晴れの日しか咲かない、天気を狙わないと姿をお目にかかれない花です。

硫黄岳〜横岳〜赤岳〜権現岳を越えて青年小屋まで、八ヶ岳の岩稜帯縦走のはじまり。

【2日目】

 

2021.5.31(月)
晴れ☀︎ 後 霧☁︎ 夜間雨☔︎の可能性あり
赤岳山頂:6時 0℃ / 12時 10℃
風:西北西→西 5m/s

本沢温泉〜夏沢峠〜硫黄岳〜硫黄岳山荘〜横岳〜赤岳展望荘〜赤岳〜キレット小屋〜旭岳〜権現岳〜権現小屋〜ギボシ〜青年小屋

*コースタイム:8時間30分

 

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登り返し。本沢温泉~硫黄岳

*本沢温泉~夏沢峠~硫黄岳:CT 2時間*

4時半頃のそのそ起床。夏至も近く、外はすでに明るい。この時季はテント内の灯りがほとんど必要なくて楽。

テント泊の悩み、それは"朝ごはんを食べられない"こと。睡眠の質が落ちるからか、山小屋泊なら食べられる。ハードな1日なのでエネルギーを取りたいけれど、胃が受け付けないので行動食を摘まみながら行くことに。最近は流動食も受け付けず。山に持って行くことができて、朝でも食べられるもの・・・知りたい。

すっきり爽やかな青空。

結露はほとんどなく、楽ちん撤収。小屋の前で準備を整え、5時半過ぎに出発。5時頃出発しようと思いつつ、ぐだぐだとこの時間。

昨日下ってきた道を夏沢峠まで登り返します。つづら折りをえっちらおっちら。

 

本沢温泉は東斜面なので朝から日が当たり、森がとても綺麗。連日の晴れで今日も苔はカサカサ。シラビソの白い肌と苔の緑が目に優しく、八ヶ岳の森の大好きなところ。

 

 

身体を覚ましながら一歩一歩、夏沢峠に到着。ここから硫黄岳に向けてさらに登って行きます。

 

 

樹林帯を抜けると雲海が広がっていました。振り向くと八ヶ岳を境に北東方面に浅間山、北西方面に北アルプス。北アルプスはまだまだ雪景色。

樹林帯を抜けるとガレ場の急登ですが、景色がよくとても気持ちがいい。八ヶ岳らしい風も吹いています。といっても、八ヶ岳にしてはとても穏やか。硫黄岳周辺は八ヶ岳の中でもかなりの強風スポットで、暴風もしばしば。

山びこ荘が小さくなりました。

昨日の天狗岳。縦走路を目でなぞると元気が出ます。天気が素晴らしい☀︎

 

硫黄岳のケルン。だだっ広い硫黄岳ならではの道案内。

最後のケルンを目指して・・・

2760mの硫黄岳に到着。

主峰赤岳と、そのお隣の阿弥陀岳。何度見ても惚れ惚れ。赤岳〜横岳の縦走もいいですが、横岳〜赤岳の縦走は迫る主峰の迫力が抜群です。

ツクモグサに期待して歩きます。

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ツクモグサ。硫黄岳~横岳~赤岳

*硫黄岳~硫黄岳山荘〜横岳〜赤岳展望荘〜赤岳:CT2時間40分*

硫黄岳から横岳手前の「台座ノ頭」までの道は広々しています。まずは下った先の硫黄岳山荘へ寄り道。

 

 

硫黄岳山荘でちょっと休憩。

 

小屋の中にはタルチョがかかりとても賑やか。

雲海を楽しめる居心地のいい山小屋です。

売店にはバッジの他、タルチョ柄のバンダナやTシャツがありました。

本沢温泉のように揃ってはいませんが、2018年の開山祭のバッジがありました。本沢温泉には2016年までのものしかなく、この2018年度のバッジがとても可愛らしかったのでついつい購入。エメラルドグリーンの色合いが素敵です。

雲海を眺めながらエネルギーを補給して、横岳に向かいます。

 

南側から見るとのぺーっとした硫黄岳。

 

台座ノ頭まで登ると雲海に浮かぶ富士山。だいぶ雪が無くなっています。今年はこのまま開山予定だろうか。

 

ツクモグサを探しながら横岳へ向かいますが、この辺りは咲いていない。

 

鎖場やはしごを通りながらも探す。

 

見つからないまま2829mの横岳に到着。

横岳を越えて、さらにキョロキョロしながら歩きます。

富士山を見て、赤岳を見て、南アルプスを見て、ツクモグサを探して・・・目が忙しい。

岩場の斜面に注意を払いながら探しますが中々見つからない。「咲いた」という情報だけで来たので、どの辺りに咲いたのかという情報を見ていませんでした。

横岳からどんどん離れる・・・ないな。

赤岳方面から来る方に「ツクモグサは咲いていましたか?」と尋ねると、「あ~あっちの方で見ている人がいたかな~・・・」とのこと。ツクモグサを見に来た訳ではないらしい。さらに探します。

見つからないまま三叉峰に着いてしまいました。簡単に見つかるものだと思っていたので焦りが・・・ここまで来て、この天気で見ずに帰るわけにはいかない。岩場の斜面を必死に探す。でも、ない!!

電波が入るので今更調べ始めるも、やはり「横岳~三叉峰の間で~」という昨年以前の情報ばかり。そんなばかな。

振り向くと、朝お会いしたガイドさんと女性の方が通り過ぎた場所で立ち止まり写真を撮っている。あそこにあったの・・・?

お二人は横岳周辺を見て帰るとのことでしたが、こちらの方まで探しに来られたので聞いてみると「登山道沿いに1輪だけあったけど、ガイドさんがいなかったらわからなかったわ~」と。あとは登山道から離れた場所に2輪。

一緒に三叉峰周辺を探すも見つからず。お二人が戻るということで、一緒に1輪の場所まで戻りました。途中、少し遠くの2輪を確認し、そしてやっと会えた1輪。

本当にちょこんと1輪。

こんな感じでした。赤岳をバックに。

これは気が付かなかった。株で咲いているイメージだったし、思っていたよりも小さい。でも、色も姿も可愛らしく、1輪でも見ることができて良かった。悔いはない。

お礼をして再び三叉峰の方へ。「三叉峰から先も咲いている」という方もいて、再び探しながら赤岳方面へ。この辺りではキョロキョロ探しながら歩く人がいっぱい。

横岳周辺よりも人が多くなり、ツクモグサ情報が飛び交います。すると、横岳周辺よりもあるじゃないか!

これはもう終わりかけ。今回一番大きな株でした。

これも小さくて可愛い。ふっさふさ。

「もうちょっと下った先にありましたよ。」「あそこのはちょっと遠くて望遠じゃないと厳しいね」など、ツクモグサハンターがわんさか。一緒に登りに来たかのように、周囲の人たちみんなで探して愛でました。

このような岩と草の斜面にひたすら目を凝らします。

 

見頃。

おかげさまで、しっかり目に焼き付けることができて大満足。ツクモグサもキラキラ、無条件の笑顔もキラキラ。儚い自然に顔が綻ぶ。山はいいなあ。

ツクモグサは日を浴びてだんだん花が開いてくるので、10時〜12時頃にウロウロするといいと思います。

すんなり見つかるものだと思い込んでいたので、かなりゆっくり過ごしてしまいました。赤岳を含め、縦走はまだまだ続くので先へ。

 

 

赤岳どーーーん。歩が進まない。

 

岩場を下って・・・

地蔵尾根との合流点「地蔵の頭」に到着。ここから赤岳展望荘は5分。

赤岳展望荘。ここで再び大きなエネルギー補給。朝食が雑なので山小屋でカレーでも食べればいいかと思っていましたが、そこまでの時間はなく結局行動食。でも、やっぱりお米じゃないと元気でないな、失敗。

主峰赤岳に向けてラストスパート。ガレ場は暑い。

鎖がかかる急な斜面。

クールダウンをしながら攻めます。

赤岳頂上山荘が近づいてきました。

着きましたー。

以前、赤岳頂上山荘に泊まりましたが非常に快適でした。「浄化槽があるので、歯磨き粉を使っても大丈夫です。」と言われた小屋。

2017.5.29

朝の雲海が最高に綺麗で、朝食後には小屋番の方がハーモニカを吹いていて、穏やかな時間が流れるおすすめの小屋。しかし、今年も休業です。

 

山頂へ。2899m。ご無沙汰の赤岳です。

阿弥陀岳も急な岩場で登りが耐えがありますが、岩場好きにはおすすめ。

さて、ここからがまた長い。

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登り下り。赤岳~キレット〜権現岳

*赤岳~キレット小屋~権現岳:CT 2時間40分*

山頂から「文三郎道」の案内に従い岩場を下って行きます。

文三郎尾根との分岐。

奥の猫耳のような山が「権現岳」とお隣「ギボシ」。そして、あそこを越えた先に青年小屋があります。まだまだ遠いし、かなり下ってかなり登る。

10分くらい下ると「真教寺尾根」などの分岐。

 

 

急な岩場、ガレ場の斜面を淡々と下って行きます。

激下り。赤岳山頂付近の等高線はどこも密です。白馬連峰の不帰キレットにある「天狗の大下り」のようなガレガレ斜面。

見上げる。登るのも大変だ。

13時頃にこんな場所を青年小屋まで歩いているのは自分だけ。ツクモグサで思いの外立ち止まったので、やはりもっと早く出発するべきでした。

しかし、途中で赤岳展望荘に向けてキレット越えをしている単独の女性とお会いしてちょっと勇気づけられる。お互い「誰も歩いていないと思いました。」と笑い合い、ほっと一息。

キレット小屋が意外に遠く、どこだどこだと歩きます。先の樹林帯辺りのはずだけど全然見えない。

下り続ける。

ようやく激下り終了。

まだ見えない。というか、見えないのか。

 

ようやく看板が出てきて小屋発見。休業で誰もいないのが寂しい。

ここから権現岳まではコースタイム1時間30分、さらにそこから青年小屋までコースタイム1時間10分。いやー遠いなあ。

あれほど下ってきましたが、早速登り返します。

急。暑い。風をくれ。

振り返ると赤岳があんな場所に。しかしまだ半分もきてない。

開けた場所にケルン。眺めよし。雲がもくもくしてきました。

 

「ツルネ」に到着。東斜面に向けて「出合小屋」と書かれた道標がありますが、地図にはコースがありません。点線にもなっていないバリエーションルート。

権現岳の手前には「旭岳」があり、まずはそこへ。旭岳を越えれば権現岳もすぐそこ。

ハイマツ帯を進み、一気に登っていきます。久々の岩稜帯縦走にもはや筋肉痛。

 

聳えていた壁を登り、岩を越えると・・・

お・・・

旭岳越えた。標識は特になく(多分)、登り切ったらそのまま権現岳へ。前方に名物の長い梯子も確認。あそこまで行けば目と鼻の先。

ようやくここまできた。永遠を感じていたので元気が出ました。

長い。

八ヶ岳名物。60段程あるとかなんとか。数える気力はなく、登っている途中で疲れました。登りだったので特に高度感は感じませんでしたが、下りの方がスリルあるか?どっちもどっち?

上から見ると、谷に吸い込まれそうな迫力。

ちょっと横から。

 

ということで、権現岳に到着。2715m。奥に「桧峰神社」というものがあるそうですがスルー。

すぐ下に「権現小屋」。ここも今期休業です。

権現小屋からようやく青年小屋を見ることができました。

さて、もうひと頑張り。

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遠い飲み屋。権現岳~青年小屋

*権現岳~ギボシ~青年小屋:CT 1時間10分*

あとは青年小屋まで下るのみですが、またまたガレ場。

とりあえず「ギボシ」方面へ。

権現小屋はこんなロケーションでした。

ギボシはてっぺんまで行かず、途中から下っていきます。鎖場。

道は細め。

ガレ、ザレをザクザク下る。筋肉痛の足には辛い。

ガレ、ザレが終了し「のろし場」に到着。あと半分、自分を鼓舞しながら。

 

ハイマツ。石楠花の低木帯を通り樹林帯へ。八ヶ岳の森になりました。

青年小屋が見えた。疲れた。感無量。

今日も到着が16時頃になってしまいました。15時頃着いてゆっくりするはずだったけど・・・無事に辿り着けて良かった。

念願の「遠い飲み屋」。お酒は全く飲めませんが、トタンの小屋とロケーションに憧れていました。コロナで山小屋での飲み会も行われてはいないと思いますが、お酒好きにはたまらん山小屋。

ここでもせっかくなので青年小屋グッズを。

バッジとコースターとシールをいただきました。コースターとシールで若干文言が違う。

 

テント場は小屋のすぐ横。平坦で広々しています。編笠山が正面にくるように。

トイレは外トイレがあり、テント泊民はそれを利用。

水場は森の中へ4~5分歩いた場所にあります。テントを張って、水を汲みに。

 

緩やかに下って行くとありました。ジャバジャバ出ています。これがキンキンに冷たくて、3秒も手をつけていられない。

青年小屋は平日に休業日があり、その月の休業日はHPにてお知らせされます。今回、計画通り3泊4日で歩いていたら青年小屋はちょうど休業日でした。休業日でもテント場やトイレは利用できます。

ここまで歩いて誰もいなかったら寂しいので、結果的に2泊3日で良かった。小屋が営業していれば何かあったときに逃げ込めるので安心感があります。

今日は夜中だけ雨予報。雲に覆われ始めてどんより。

なかなかハードな一日でしたが、夏山前のいいトレーニングとなりました。でも、ツクモグサをじっくり鑑賞するならもっと余裕を持った行程にすべきでした。「本沢温泉に行きたい」「青年小屋に行きたい」「テント泊で歩きたい」という思いの結果の行程に少し反省。

明日は編笠山に登り、小淵沢駅までの下山。最終日はゆるりと歩きます。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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コメント

  1. 赤岳を北から縦位置で捉えた写真がベストショットかと。西側の崩壊壁と東側の這松斜面の深緑の対比、そそりたつ八ヶ岳最高峰の堂々とした姿を見事に超広角で捉えています。
    硫黄岳〜横岳〜赤岳は秋と冬の2回歩きましたが、昔の事なので記憶も薄れています。特に鎖場や梯子を登り降り、ガレ場をトラバース等した記憶が失われていて、こんな悪場の連続を苦もなく歩いていたのかと驚かせられます。

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