歩き人たかちです。
はじめて買ったアルトラの靴は、防水性のある「LONE PEAK ALL-WTHR LOW」でした。
しかし、実際に履いてみると「アルトラは防水じゃなくていいわ」と。理由は、それまで愛用していたサロモン「XA PRO 3D」の靴に比べて耐久性が低く、"穴が空くのが割と早かった"から。結局、途中から非防水状態でした。また、ローカットの場合はスパッツを付けないと、朝露の酷いところでは中が水溜り状態になり無意味(そうなると防水は乾きにくい)。
ちなみに、アルトラは600〜700kmほどで穴が空き、約1000kmでソールにも穴が空きそうになりさよなら。サロモンは1500kmほど履いてもアッパーの穴空きはなく、防水性もそのまま。ただ、やはりソールに穴が空きそうだったのでさよなら。
ということで、次なる相棒に「オリンパス5」を迎えました。クッション性を試してみたかったのと、かかとが高いが故のフィット感が気になったので。
「オリンパス」はどんな靴?
「クッション性」
「グリップ力」
「安定感」
「フィット感」
「オリンパス」は100km以上のロングトレイルを想定してつくられた靴。圧倒的なクッション性により、長距離・長時間のトレイルランナー・ロングハイカー向けのモデルです。
[ オリンパスの特徴 ]
◾︎ 幅広のアウトソールによる安定感
◾︎ アウトソールは「インディペンデントポッドシステム」
◾︎ 倒れ込み防止の「GUIDERAIL」搭載
◾︎ 耐久性に優れた「エンジニアードメッシュアッパー」
◾︎ 「Vibram MEGAGRIP」によるグリップ力
重量 | 248g(22.5cm実測) |
ソール | 33mm厚 ミッド:Compression Molded EVA アウト:Vibram® Megagrip |
アッパー | エンジニアードメッシュ |
マックスクッション
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アルトラの中でソールが一番厚い「オリンパス」。その厚さは"33mm"。厚底ですが"ゼロドロップシューズ"です。
クッション性の高い靴は着地時の衝撃を緩和し、膝への負担を軽減します。筋力不足の状態で衝撃を受け続けると「腸頸靭帯炎」「膝蓋靭帯炎」「鵞足炎」などを引き起こす可能性があるため、膝痛や筋力に不安のある場合はクッション性のある靴がおすすめ。
また、クッションの衝撃吸収による負担軽減は"足の疲労軽減"にも繋がります。長く走る・歩くアウトドアが好きな人には◎
幅広のアウトソール
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「オリンパス」のソールは、靴底に向かって幅広の形状(台形)になっています。これが"厚底なのに安定する"秘密。
通常、ソールが厚いと地面から足裏が離れてしまうため不安定になりがちですが、アウトソールに向けて幅広になっていることで地面との設置面が大きく、ブレを軽減してくれます。
インディペンションポッドシステム
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「オリンパス」のソールのブロックは細かく独立しているデザイン。これは、石などの硬いものを踏んだとき、その部分だけ凹む仕様。
登山靴のソールは通常硬くて曲がりません。それは尖った岩の上を歩いたり、爪先で岩場を上り下りするときに足裏全体を安定させるため。しかし、ソール全体に影響することで、小さめの石などを踏んだ場合は石車に乗りやすいことも。
「インディペンションポッドシステム」は、ソール全体に影響を及ばさないようにすることで、倒れ込みを防ぎます。
GIDERAIL
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アルトラ独自の機能「GIDERAIL」。これは、踵が内側に倒れ込みすぎるのを防ぐ機能です。
人間の身体には"プロネーション"という機能が備わっています。これは、地面に着地する際、足首をねじることによってその負荷を逃す身体機能のこと。
出典:3Wellness
しかし、走り方(歩き方)や癖によってプロネーションがかかり過ぎてしまい、内側へ倒れ込み過ぎてしまう"オーバープロネーション(過回内)"の状態になります(外側の場合もあり)。オーバープロネーションが続くと足首を痛め、さらに膝や腰にまで影響することも。
踵の状態を正常にするための(矯正するための)インソールとして「スーパーフィート」が有名ですが、「オリンパス」はオーバープロネーションにならない機能を搭載しています。
エンジニアードメッシュアッパー
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アッパーには耐久性に優れ、通気性抜群の"エンジニアードメッシュアッパー"を採用。通気孔が大きめで、目に見えて涼しさを感じます。
「オリンパス4」からアップデートした点は
◾︎ 踵部分のサポート・フィット感
◾︎ アッパー全体をさらに柔らかく
「オリンパス5」は踵部分がアキレス腱に添うように高くなり、足首から踵にかけてのくびれにフィットする形状に進化。歩行時の踵の浮きを最小限に抑え、足とシューズの一体感をより得られます。
また、アッパーがさらに柔くなったことで、靴紐を締めた際のフィット感が向上。
実際に履いてみて
◎ かかとのサポート
◎ 甲の上部まで締められる
◎ 平紐でほどけにくい
◎ ビブラムソールの安定感とグリップ力
△ アッパーは薄め
✖️ かかと部分の出っ張りあり
◎クッション性抜群
足を入れたときのクッション性には驚きました。「あ、背伸びた」と感じるくらい。ローンピークを履いたときには感じなかった厚底感。
クッション性が高いため、インソールが入っていないことに気がつかないまま駅まで歩いたこともありました。ちょっとフィット感が違うと思いつつ、登山口までは紐を適当に結んでいるためそのせいかと思いきや、インソールを入れ忘れていた・・・
支障なさそうだったので、そのまま奥多摩の山を13kmほど縦走。結果、特に問題ありませんでした。いつもよりきつく紐を結んだものの、ソールの厚さにより足裏には支障なし。ローンピークはインソールを入れ忘れたらすぐに気が付きますが、オリンパスはそれくらいクッション性があります。
ロングトレイルにいいのではと思ってオリンパスを選びました。高尾山域を26km歩き回ったときも、足裏の疲れは特に感じず。むしろ、まだまだ歩けるなあという気持ちのいいクッション性。縦走にも良さそうです。
◎ かかとのサポート
「オリンパス5」の特徴である、この立ち上がったかかと。ローカットでありながらサポートを得られます。かかとがしっかり支えられていることにより、フィット感もよい。
ミドルカットからローカットにしたいけど、足首が心配・・・
そんな方には安心感があっていいと思います。しかし、ローカットに慣れているというか、サポートがなくても特に問題ないということであれば、なくてもいいのかなと。
ローンピークのラフさに慣れていたこともあり、特別必要だとは感じませんでした。むしろ、ないモデルにして軽量にした方が良かったかな?とも(テント泊など荷物が重い場合は安心だと思います)。
というのも、公共交通機関で移動することが多く、雪山に関しては家から冬靴を履いて行くことはありません。ザックに入れてもあまり負担のない靴を履いて出るのですが、ローンピークは軽くて薄くて重宝していました。「オリンパス5」はソールも厚いし、かかとがとんがっているため、持ち運びの観点ではちょっとマイナス。重量はさほど変わりませんが。
あと、履いやすいように上部が輪っかになっていて指を引っ掛けられる仕様ですが、これはなくても問題ないかと。あるなら使いますが。
◎ 甲の上部まで締められる
一番上にある、おまけのような穴(ハトメ)。この穴を活用することで靴紐が緩みにくく、足首周りをギュッとしっかり締めることができます。アシックスが最初に提案したそうです。
ローンピークオールウェザーにはこの穴がなかったので、靴紐をギューっと締めてもちょっと物足りなさがありました。
「レースロック」「ヒールロック」などと呼ばれ、踵の浮きを感じる場合や足幅の細い人、甲が低い人に有効です。逆に、幅広・甲高の場合は痛みを感じるため活用しない方がよいです。
[ 上部ハトメの紐の通し方 ]
交差させず、そのまま上部の穴に通す
輪っかの状態にして、反対側の紐を通す
キュッと締める
完成
フィット感は向上しますが、上部の穴に通すと全体を一気に締め上げることができません。脱ぐときも、甲部分の交差している紐をグッと引っ張っても滑らないため、着脱はちょっと面倒です。
ASICS
◎ 平紐でほどけにくい
ローンピークオールウェザーが丸紐であったのに対し、こちらは"平紐"。丸紐よりも緩みにくいです。しかも、ちょっとザラザラしていて滑りにくい(緩みにくい)仕様。
紐の滑りはそこまで良くありませんが、その分緩みにくい。ローンピークオールウェザーは滑りの良い丸紐で、しばらく歩くと大体緩んでいました。それがちょっとストレスだったり。
しかし、「オリンパス5」は丸一日山を歩いても(上部まで締めている状態)はほとんど緩まずストレスフリー。履くときは下から順に締め上げるので、全体的な滑りが多少悪くてもさほど気にしていません。それよりも、歩行中の緩みがない方が◎。
しかし、後日サロモンの「クイックレース」に替えました。
◎ グリップ力と安定感
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ソールには"ビブラムメガグリップ"が採用されています。
ローンピークオールウェザーは"MaxTrac"というソールで、粘り気があるとのことでしたが、個人的にはグリップ力をあまり感じませんでした。もともとグリップ力の違いをはっきり感じるタイプではないですが、久しぶりにビムラムソールのメガグリップを履いて「お、グリップしてる」と感じました。
ソールはローンピークよりも硬め。厚みもあるため、靴全体がグニャッとは曲がらない。ローンピークに慣れていたこともあり、登山靴らしい適度な硬さを感じました。
とんがった岩とか根とか、これまで自然の凸凹を感じやすかったのですが、ソールの厚みと適度な硬さによりそれは鈍くなりました。つまり、安定感が増しました。
個人的には素足感覚に近いのも好きでしたが、テント泊で荷物が重くなる場合は「オリンパス5」の方が足元が安心だなという感じ。
"厚底は不安定"と言われますが、アウトソールに向けて幅広になる台形型のソールの恩恵を受け、そのあたりも問題なし。
△ アッパーは薄め
非防水のメッシュアッパーは薄めで、ソールとのギャップがすごい。
通気性は抜群で26km歩いても蒸れを感じることはありませんでしたが、耐久性はいかに・・・。耐久性のある"エンジニアードメッシュアッパー"ですが、サロモンの耐久性には劣ると思います。
ーーーーーーー 追記 ーーーーーーー
日本の山と、ニュージーランドのロングトレイル「テ・アラロア」で使用しました。山岳地帯メインで履いて大体300km前後くらいで穴あきが。400〜500km履くと大きく破れました。
日本の山で500km前後使用した状態
テ・アラロアで500km使用した状態
テ・アラロアでの使用感も改めてレビューしました。下記記事をご覧ください。
✖️ かかと部分の出っ張りあり
はじめてアルトラを履いたときに気になっていた、この飛び出している部分。ローンピークとは形が異なります。
設置面積を多くして安定感を出しているのだろうか?いまだによく分かりませんが、この部分が木の根や岩の出っ張りに引っかかるのが結構危ないのです。足の置き場が狭い根っこロードの下りなどは慎重に歩いていますが、一時は切り落としまおうかと思っていました。
根っこロードを何度か歩きましたが、今のところ引っ掛かりはなし。ローンピークで何度か転びそうになったため、無意識で慎重になっているのかもしれませんが、個人的にはなくしてほしい…
その他
出典:ROOMIE
甲の前部分にはゲイターの金具を引っ掛けるためのリングが付いており、踵部分は"マジックテープ"で留める仕様。つまり・・・
専用のゲイターしか取り付けられない
アルトラのものか、ティートンブロスとコラボしているもの(品薄)しか取り付けられません。普段ゲイターを使う人にとってはデメリットになりますね。
STRIDE LAB
ALTRA
他、検討したベアフットシューズ
今回、アルトラと同じようなベアフットの靴を出している「TOPO」も検討しました。
最終的には、踵のサポートが気になったのでアルトラにしましたが、TOPOの方が足に合うという方もいると思います。
出典:TOPO Athletic
「オリンパス5」と同じようなクッション性のあるモデル「ULTRAVENTURE3」。
ソールの厚さは"35mm"と、オリンパスよりも2mm厚い。しかし、こちらはゼロドロップではなく、爪先と踵で5mmの差があります。その分、推進力を得られるのが特徴です。
テント泊や長めの縦走で踵のサポート力をどう感じるかはこれからですが、そのような山行でも特に要らないと感じたら次はこちらを試してみたいと思います。
テ・アラロアでTOPO「MTN RACER 3」を使用しました。
TOPO Athletic
まとめ
ベアフットを知ると抜け出せないというか、戻ることが難しい。本来の動物としての機能を発揮できることが、とても気持ちよいです。
◾︎ 薄めのソールで岩などの突き上げが気になる
◾︎ ロングハイクのためにクッション性がほしい
◾︎ ローカットでもサポート力がほしい
そんな方は「オリンパス5」を試す価値があると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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