歩き人たかちです(@takachi_aiina)
ニュージーランドの登山て何を見て計画するんだ?
ニュージーランドのロングトレイル「テ・アラロア」でのサイドトリップを考えていたとき、疑問に思いました。
ニュージーランドに日本の登山地図(昭文社「山と高原地図」)のようなものはありません。有名どころ以外の山やトレイルのことがよくわからず。
ニュージーランドのトレッキング(トランピング)では「Topo Map」という、日本の国土地理院の地形図に似たものを使用します。「Topo Map」はアウトドアショップや書店で販売されていますが、現地(山)では紙地図よりもGPSアプリの使用が圧倒的多数。紙地図は登山前の計画用というイメージでした。
日本で「Topo Map」は販売されていないし、そもそも「Topo Map」にはコースタイムなどの情報は一切書かれていません。日本で計画を立てる場合、ガイドブックや地図アプリ、YAMAPのようなアプリ、DOCのHPなどから情報を得るのが一般的だと思います。
実際に使用していた(現地で聞いた)アプリやサイトをご紹介します。
\ こんな疑問にお答えます /
◾︎ トレイル情報は何で調べる?登山計画の立て方は?
◾︎ 使いやすい地図アプリはある?
◾︎ 無料・オフラインで使えるGPSアプリを知りたい
ニュージーランドに日本の「登山地図」のような地図はない
日本の登山では、コースタイムや注意情報などが記載されている登山地図が主流ですが、ニュージーランドにそのようなものはありません。国土地理院の地形図のような「Topo Map」が一般的。というか、おそらく地図はこれしかない?
コースタイムも細かくは設定されておらず「〇〇まで10km 3〜4時間」というようなザックリした案内のみ。距離が書かれていない、あるいは時間が書かれていない案内板もあります。どんなトレイルなのかは行ってみてからのお楽しみ。
コースタイムや詳細な情報がない分、ニュージーランドの人たちは地形図をじっくり見て計画しています。標高差は何メートルか、アップダウンは何メートル上がって何メートル下るのか、渡渉はいくつあるのか・・・「ここは標高差300mだから1時間くらい」「ここは急坂だから・・・」というように地形図を見て"自分の時間"を割り出し、その日どのあたりまで行けるかを考えます。
地形図と睨めっこして"想像"し、自然に踏み込んだらすべて自己責任。Hutは基本的に無人で予約不要(の方が多い)、禁止エリア以外ならテントを張れるなど日本との登山環境の違いはあれど、自然との向き合い方がとても素敵だと思いました。
登山計画で使う「Topo Map」
◾︎「Topo50 (1/50,000)」
「Topo Map」には2種類の縮尺があります。サイトやアプリの場合は拡大・縮小ができるのであまり関係ないですが。
紙地図は「Topo50」
地図の紙厚め。特に撥水・防水ではなく、日本の登山地図より嵩張る感じ。地図を持ち歩いている人(登山道で見ている人)はほぼ見かけませんでした。Hutでも地図を広げている人はおらず、アプリを使用している人が圧倒的に多かったです。日本のように"紙地図を持って行くべき"というような雰囲気も特になく。
タラルア山脈に入る前日に泊まったトレイルエンジェル宅。紙地図を見ながら作戦会議。
トレッキングにおすすめの無料・有料GPSアプリ5選
「Topo Map」を見るだけなら、何かしらの無料アプリで十分。何がどこまで無料かはアプリによって異なるため、いくつかご紹介します。
AndroidならオフラインでTopo Mapを使える「Te Araroa 公式アプリ」
\ TAハイカーは必須!TAセクションハイクにも /
◾︎ オフラインでも使える
◾︎ GPSで現在位置の確認ができる
◾︎ AndroidならオフラインでTopo Mapを使える(iPhoneの場合はオンラインのみ)
GPS機能も使えるテ・アラロアの公式アプリ。トレイルの詳細情報が載っているためスルーハイクやセクションハイクをする場合はダウンロードした方がいいです。
ロングトレイルでは「Far Out (旧Guthook)」も便利なアプリで、併用しながら歩きました。ただ「Far Out」はテ・アラロア周辺のみなので、コース外のTopo Mapは公式アプリで確認していました。
写真のように、TAルート周辺しかTopo Map表示がされません。拡大しても道路表示のみ。
iPhoneがオフラインで使えるのは「LINZ Offline Map」。iPhoneも「Topo Map」を使えるようにしてほしいですね。
LINZ Offline Map
拡大すると細かい等高線(20mごと)が表示されます。点線で登山道(TAルート以外)も出てきますが、結構拡大しないと表示されません。登山道は「Topo Map」の方が断然見やすいです。
アプリ使用時の位置情報をONにすると、アプリを開いたとき自動的にGPSが表示されます。
Topo Mapに切り替えた画面
「Topo Map」は縮尺が小さくても登山道が表示されるため、TAルート以外のトレイルがどこにあるのかパッと見ですごくわかりやすい。カラーも「Topo Map」の方がはっきりくっきりしていて断然よい。
サイドトリップのときは電波のある場所で「Topo Map」をスクリーンショットしておき、必要に応じて使用していました。
「ログ機能は必要ないけどGPSで現在位置を確認したい」「ニュージーランド全体のTopo Mapを確認したい」という方は、このアプリで十分だと思います。
Google MapsとTopo Mapを重ねられる「NZ Topo Map」
◾︎ 「Google Maps」「Apple Maps」と重ねて使える
「NZ Topo Map」の特徴は、Topo Map上に「Google Maps」あるいは「Apple Maps」と重ねて使用できます(宿や観光地などの表示が出る)。
Topo Mapを見ながら周辺の宿や施設、観光地の情報を同時に得ることが可能。ただ、アイコンをタップしても情報は表示されません(これが少しデメリット)。
右上の設定マークから「Google Maps」か「Apple Maps」を選択できます。Google Mapsを使用する場合は"トラッキングを許可"する必要があるため、iPhoneの設定からONにしてください(設定→プライバシーとセキュリティ→トラッキング→アプリを選んでONに切り替え)。右下で航空写真に切り替えることも可能。
GPS機能やログ機能はありませんが「Google Mapsの情報とともにTopo Mapを見たい」場合に最適なアプリ。
オフラインマップが無料「Wikiloc」
◾︎ オフラインマップを無料で使える
◾︎ GPSでトラッキング可能(無料)
◾︎ 他人の活動記録を閲覧できる(YAMAP的な)
テ・アラロア後に知ったので、現地では実際に使用していません。特徴は"登録されているトレイルの数が多い"ことや"無料でオフラインマップ・GPSトラッキングを使える"こと。
トレイルはニュージーランドだけでなく、世界中のトレイルが登録されています。後述する「All Trails」よりも登録数が多いです。
「New Zealand」で検索した画面が上の写真。GPSトラッキングも無料で使えます。記録は名前をつけて保存も可能。
さらに「トンガリロ国立公園」を検索してみました。下の他人の記録から「スタート地点(緑)」「コース(オレンジ)」「終了地点(赤)」の3点が表示されます。
「View List」をタップするとハイカーの記録一覧に切り替わり、好きな記録を閲覧可能。
もともと下に表示されていた記録は、スライドさせて他の記録に切り替えることも可能。また、ハイカーマークをタップすると、その登山口からのコース(記録)が表示されます。
オフラインマップを使用するには、予めダウンロードしておく必要があります。ダウンロードは範囲指定ではなく、ニュージーランド全体を一気にダウンロード。
「他人の記録を参考に計画を立てたい」「無料でGPS・ログ機能を使いたい」という人におすすめのアプリ。
利用者数が多い「All Trails」
上記の「Wikiloc」と同じく世界中のトレイルが登録されており、利用者が多い「All Trails」。
◾︎ 利用者数が多いためレビューが多い
◾︎ 他人の記録を閲覧可能
◾︎ オフラインマップやGPS機能は有料
サイドトリップ用に使っている人が何人かいました。身近な公園のお散歩コースから本格的なトレッキングコースまで載っています。
\ 無料・有料でできること /
無料でできる範囲は少なく、オフラインマップやGPSトラッキングの使用は有料。
しかし、利用者が多くマイナーなトレイルの情報を得やすいことはメリット。サイドトリップで情報が少ないとき、踏み跡がある程度の道(公式ルート外)に逸れたいときなどは「All Trails」で他人の記録を参考にしていました。
「Wikiloc」には登録がないトレイルが「All Trails」にあったり、その逆も然り。両方のアプリを入れておくと、より多くの情報を得られます。
「New Zealand」で検索をかけると、現時点では5,183のルート(ハイキング・マウンテンバイク・バックパッキング旅行)、20万以上のレビューがあります。
2022年、公式に開通したフランスのロングトレイル「HexaTrek」を検索してみると出てきました。さすが、利用者が多い「All Trails」(「Wikiloc」にはありませんでした)。
人気のトレイルほどレビューや写真は多くなりますが、実際に歩いたコースを閲覧できるだけでもマイナートレイル(新しいトレイル)はありがたいですね。
「Wikiloc」に比べると無料の範囲は少ないですが、利用者が多いことが強み。他にはないマイナートレイルの情報を得られる可能性があります。両方のアプリを使えば大抵のトレイルは検索できるのではないかと思います。
ニュージーランドのトレッキングに特化した計画アプリ「Plan My Walk」
ニュージーランドの環境保全省「DOC」も紹介している、ニュージーランドのトレイルに特化した「Plan My Walk」。現時点で約1,600のトレイルが登録されています。
◾︎ ニュージーランドのトレイルに特化した情報を得られる
◾︎ 映像や必須ギアも見られる
◾︎ 「絞り込み検索」で自分に合ったトレイルを探せる
◾︎ "計画専用アプリ"のためGPS機能はない
↓
トレッキングの情報は「アプリ」と「DOCのHP」を中心に調べる
ニュージーランドのトレイル情報は、上記項目でご紹介した各アプリと「DOCのHP」から集めていました。
日本では登山地図に加えて「YAMAP」や「ヤマレコ」で最新情報を確認しますが、それと同じ感覚で"DOCの情報 + アプリの情報"で動いていました。あとは「Topo Map」を眺めて地形を把握・想像。
ニュージーランドのトレイルは自然環境保全省「DOC (Department of conservation)」が管理しています。国がトレイルやHut、キャンプ場を管理しているため(約14,000kmのトレイル、グレート・ウォーク、900以上のHut、300以上のキャンプ場)、現地でもビジターセンターに行けば大抵の情報は得られます。ニュージーランド国民のDOCに対する信頼度はとても高い。テ・アラロアの整備を行なっているのもDOCです。
グレート・ウォークや人気のトレイルは「100% PURE NEW ZEALAND」にも記載
「グレート・ウォーク」などの有名どころ、人気のトレイルは「100% PURE NEW ZEALAND」のサイトにも情報が載っています。
トレッキングだけでなく、旅行やアクティビティなどニュージーランドに関するあらゆる情報があり、日本語なので見やすくて便利です。
まとめ
ニュージーランドのトレイル情報はどこから得るのか、どんなアプリがあるのかをご紹介させていただきました。
地図は「Topo Map」が主流ですが、実際はアプリの利用者が圧倒的に多いニュージーランド。あまり整備されていないトレイルもあるため、GPSは必須。日本のような登山地図はなく、日本の登山とは事情も少し異なるため、個人的には紙地図よりもアプリの利用が断然便利。
アプリごとに無料・有料の範囲が異なり、登録されているトレイルや使い勝手もさまざま。より多くの情報を得るために、いくつかアプリを併用することがおすすめです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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