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東北のロングトレイル。百名山を繋ぐ「裏岩手連峰縦走路 」#1【岩手山】

東 北

2020.9.29-10.1

歩き人たかちです。

秋も深まり、各地から紅葉の便りが届いていますね。

中でも早く紅葉する東北の山々。今回は、2泊3日で、"裏岩手連峰縦走路"を歩いてきました。

八幡平から岩手山を繋ぐ東北のロングトレイルで、総距離は約37km。さらに先の"安比高原"を含めると約50km。岩手山にはコースがいくつかあるため、どのコース歩くかで距離は多少前後します。

毎年天気に恵まれずでしたが、今年の紅葉は遅れ気味でいい感じに染まっているとの情報。今度こそ!という思いで、東北の魅力が詰まったロングトレイルを歩きました。

裏岩手連峰縦走は八幡平スタートで紹介されていることが多いですが、"岩手山は登りたい&あわよくば安比高原まで"と考えていたため、岩手山スタートにしました。

岩手山を見ながら歩くには八幡平スタートがおすすめです。間のアップダウンはそれほど変わらないかと。八幡平はサクッと到着できるので、岩手山を登るか下るかが大きな違いになると思います。

アクセス
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行き
盛岡駅(8:45)ー滝沢駅(9:26)ー馬返し登山口(9:52)
*タクシーで馬返し登山口へ¥3,500

帰り:藤七温泉(13:04)ー八幡平マウンテンホテル(13:45着/14:20発*盛岡行に乗り継ぎ)ー盛岡駅(15:59)

※八幡平マウンテンホテルで盛岡駅行に乗り継ぐ場合、乗り継ぎ割引200円があります。マウンテンホテル到着時、運転手さんから割引券をいただきました。

 

行程
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1日目
天気:晴れ☀︎
気温:麓17℃/山頂10℃前後/夕方4℃

馬返し登山口ー〇.五合目ー一合目ー二合目ー二.五合目(新道・旧道分岐)ー旧道五合目ー七合目(鉾立)ー八合目避難小屋ー不動平避難小屋ー▲岩手山(薬師岳)ー御鉢一周ー八合目避難小屋

コースタイム:5時間20分
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2日目
天気:曇り☁︎→晴れ☀︎

八合目避難小屋ー不動平避難小屋ー鬼ヶ城ルートー切通ー網張コース分岐ー大松倉山ー三ツ石山荘ー三ツ石山ー三ツ沼ー小畚山ー八瀬森分岐ー大深岳ー大深山荘

▲コースタイム:9時間35分
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3日目
天気:曇り☁︎

大深山荘ー嶮岨森ー前諸桧ー諸桧岳ー畚岳ー裏岩手連峰登山口ー八幡平登山口バスターミナルー▲八幡平ー八幡沼一周ー八幡平登山口バスターミナルー藤七温泉

コースタイム:約6時間

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森と岩。馬返し登山口ー七合目

*馬返し登山口ー新道・旧道分岐ー旧道五合目ー七合目:CT3時間30分*

早朝の新幹線に乗り、盛岡駅から滝沢駅へ。夜行バスで盛岡駅まで行く計画を立てていましたが、今回は新幹線に変更。

電車の乗り継ぎの間にタクシーを予約。滝沢駅にタクシー乗り場があれば他の登山者の方と相乗りできますが、タクシー乗り場はないので事前予約。滝沢駅に着くと、同じようなソロの人、グループの人たちがいました。相乗りしたかったなあ。

9時半頃タクシー乗車。途中からは岩手山へ向かう車しか走らない道になるので、タクシーの運転手さんは結構飛ばしていました。ものの10分程で到着。

秋晴れで、平日ですが駐車場には30台くらいはありました。山菜目的の地元の人も結構います。

おじいちゃんたちにどこまで行くのか聞かれ、八幡平までと言うと「お~感心感心。おれにはまねできねーや」と。そんなことを言いつつ、山を歩き始めるとおじいちゃんたちのペースは早いのです。さすがです。

駐車場から歩いていくと、登山口前にトイレと湧き水スポットがあります。"鬼又清水"という湧き水で、地元の人も汲みにきていました。冷たくて美味しい水をボトルと身体にたんまり補給。近くに湧き水があるのいいなあ。

岩手山の山頂までは約6km、標高差は約1400mです。

馬返し登山口からは、1合目、2合目…と順番に追っていき、2.5合目のところで「旧道」と「新道」に分かれます。

旧道は展望の良い岩場の道、新道は樹林帯の道。どちらも急坂ですが、"旧道を登り、新道を下り"にする人が多いとのこと。2.5合目に着いたときの気分で決めることに。

 

広葉樹林が爽やか!!

麓の方の紅葉はこれからですね。

東北はブナやダケカンバなどが多く、森が明るくて豊かです。吹き抜ける風もとても爽やか。頬を撫でる風には潤いがあり、ふわりと優しい。森には水がしっかり蓄えられ、しっとり瑞々しい。艶々の東北の森歩きが大好きです。

今日の宿は"八合目避難小屋"。避難小屋に着いたら荷物を置いて山頂へ。御鉢をぐるりと周ります。もう一つ先の"不動平避難小屋"と迷いましたが、水場は八合目避難小屋の前にあります。期間中は管理人さんも常駐しているし、広い小屋なので手前にしました。

よい天気☀︎

 

0.5合目の目印はこの大きな橅の木。巻き道との分岐になっています。巻き道といっても結局登るので、巻き道ではない方へ。

樹林帯を登っていくと"1合目"に到着。広めの休憩スペースがあります。

さらに樹林帯を登っていきます。歩き出しはまだグリーンですが…

数分登ると色づき始めました。ちょっと頭上が開けます。

青空が眩しい〜

振り返ると盛岡市内を一望。疲れを吹き飛ばしてくれる秋晴れです。

秋は、汗もスッキリしていていいですね。真夏の旧道はなかなか暑そうですが、風が吹き抜けて爽快です。上の方に"二合目"がありました。

 

再び樹林帯へ。

赤、黄、緑、青。上を見たり、下を見たり、自然界のあらゆる色や落とし物に目を奪われて、目も顔もキョロキョロ。いろいろな色があるのにすべて溶け込んでいて心地いい。

"2.5合目"に到着。ここから新道と旧道が分かれます。

ただ、各合目で新道、旧道、それぞれのコースへ行けるようになっているので、好きなように行き来できます。滝沢市のHPでは「4合目まで新道、そこから旧道がおすすめ」と書いてありました。2.5合目から旧道を歩きましたが、4合目から広い岩場に出るので、"4合目から旧道"というのは確かにいいと思います。

新道を歩く場合は、7合目の合流地点まで樹林帯が続きます。

 

初めは樹林帯の岩場を登っていきます。

"3合目"に到着。

ベンチが1つポツン。各合目の間隔が長すぎず歩きやすいです。

岩場の続き。

美しい。

服で赤と青を組み合わせると奇抜ですが、自然はなぜこんなにもすんなりとマッチしてしまうのでしょうか。

紅葉を見ながら登っていたら、一気にひらけました。

何度も振り返ってしまう。どこでも休憩できますね。上がれば上がるほど展望が良くなり、休憩場所が決まらないままどんどん登る。

 

ぶわーっと岩場。

"4合目"に到着。

展望が本当に最高。このあたりで東北の街を見ながらしばし休憩。もう動きたくない…くらい気持ちがよい。寝ていいよって言われたら2時間くらいは寝られますね。

太陽の温もりが温かい。登っているとまだ暑いですが、止まるとちょうどいい気候です。周囲の色づきも増してきました。

このあたりから下山の人とのすれ違いも多くなってきました。東北の山ではお話をしてくれる人が多い印象です。「こんにちは〜」とか「天気いいですね~」のあとは立ち話になることが多数。それをいつも楽しんでいます。バリバリ東北弁のおじいちゃんの話は半分以上聞き取れないのですが、ニコニコ笑っていれば大丈夫。笑顔は世界の共通言語。

地元の山が好きな人も多いと感じます。誇った笑顔で「いいでしょ~!」と言う姿が本当に素敵。

岩木山に登ったときは、標高差1400mを超えるコースを毎週登るという70代のおじいちゃんと立ち話。私は人気がなくクマにビビっていましたが、おじいちゃんは「鈴をつけると森の音が聞こえないからさ。今年はブナの実も豊富だから登山道までは出て来てないよ。」と、森を見つめていました。

熊がいるのは当たり前で、音や臭い、今年の木の実はどうかなど毎週歩きながら見ているのです。森の音を聞く、森を深く見ることは森を知ることへの第一歩。おじいちゃんと話したあと、クマへの恐怖心がスッと消えたのが不思議でした。東北の山にくると、そんなことを思い出します。

ゴツゴツ地帯を登り、"5合目"に到着。

 

低木になってきました。

 

くねくね登ってきました。

岩、ザレ、低木の中を進んで行きます。

駐車場には結構車がありましたが、すれ違いの人は少なめ。下山はやはり新道なのでしょうか。

4合目のあたりで「はー!この山は鍛えられますねー!」と明るく下山してきたおじさんがいました。下山は新道が多いらしいと話すと「あーそうなんだ!じゃあ、ここからもう新道行きまーす!」と颯爽と新道へ。展望が良いので惹かれますが、旧道の方が踏み外しや転倒のリスクは高いですね。

"7合目"に着き、新道と合流です。ここから小屋まではとても緩やか。

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淡い時間の岩手山

*七合目ー八合目避難小屋ー岩手山往復:CT1時間50分*

 

岩手山も待ち構えています。天気も大丈夫。

 

休憩に良さげな場所もあります。

 

 

すぐに小屋が見えました。

13:05八合目避難小屋に到着。本当に避難小屋なのかと疑うほど大きくて立派。

小屋前には水場とベンチがあります。「水場が細くなっている」と避難小屋のHPに記載されていましたが、汲むには十分な量が出ていました。普段はもっと勢いよくじゃんじゃん出ているようです。キンキンに冷たくて、夏は生き返りますね。

素晴らしいロケーション。

今日の宿泊者第一号でした。最終的には10人くらい。不動平避難小屋はこの日4人だったようです。

八合目避難小屋は協力金¥1,700、不動平避難小屋は無料です。

小屋では飲み物まで販売されています。珈琲、ココア100円。「岳」などの漫画や本も少し置いてありました。

 

寝床は3段になっていて、120人収容の小屋。

薄い銀マットが全体に敷いてありますが、それでは不充分なので持参した方がいいです。有料で毛布なども借りられます。管理人さんもいて、薪ストーブもあって温かく、温かい飲み物も買える居心地のいい避難小屋です。

管理人さんは10月11日まで常駐するとのこと。

 

 

トイレは男女別ですごく綺麗でした。

東北はテント場が少なく避難小屋が充実していますが、どこの避難小屋も立派で本当に綺麗ですね。雨風凌げて、テントがない分荷物は軽くなり、避難小屋泊で縦走するのも楽しいです。

荷物をデポして山頂へ向かいます。一つ先の不動平避難小屋までは緩やかな道。15分前後くらい。

 

"不動平避難小屋"がありました。

山頂へ行く前に小屋の中をチェック。この時点で男性が1名。

こちらは20人収容の小さめの小屋ですがやはり綺麗でした。この日は男性4名、女性はみなさん八号目避難小屋でした。

 

窓があって明るいです。

 

戻って山頂へ向かいます。御鉢へのザレ場をザクザク登る。ハイマツが広がっているので、ホシガラスが飛び交っていました。松ぼっくりの食べかすがあちこちに散乱。

明日のコース"鬼ヶ城"の岩がゴツゴツ、ギザギザと格好いい。

八号目避難小屋がちっちゃくなりました。

御鉢に到着。

薬師岳に向かいます。

 

御鉢がいい色ですね。歩が進まずなかなか山頂に着かない。地図上ではただの丸ですが、大きくてダイナミックな御鉢です。ちょこっと生えている草が可愛く紅葉しています。

振り返った景色もいい。

 

 

明日の稜線。

ゆっくりゆっくり山頂に到着◎

御鉢は左回りがおすすめ。ほとんどの人は左回りでした。右回りだと山頂手前でぐっと急登になります。左回りはなだらかに登っていきます。

日帰りの人はほとんど下山しているので、とても静か。しばし山頂を独り占め。お昼前後は大分賑わっていたと思いますが、そんな気配はもうどこにもなく、静かな山の時間が流れています。

割れている。割られている?

岩手山は日帰りできますが、あえて小屋泊もいいと思います。こんなのびやかな空間にひとりぼっち。誰もいない中で、時間の流れを忘れてゆっくりできる山はいくつあるでしょうか。

 

1時間近くのびのび過ごし御鉢周回へ。

 

気持ちがいい。

 

曲線美。

実際はザレザレですが、弾力がありそうな、柔らかくて、滑らかな見た目。反対側から見る御鉢は全然違いました。

秋の15時の光。少し黄色くなりかけた温かみのある太陽の色には哀愁を感じます。この柔らかくて、ちょっと物悲しい色が好き。母なる大地に包まれている安心感のようなものがあって落ち着きます。

 

岩手山の御鉢は、中をちょっとだけ通ることができます。あそこを歩くのか〜と上から見ていましたが、気がついたときには通り過ぎていました。

 

反対側から少し下りてみて、また登り返しました。ちょっとした宇宙感。

一周して名残惜しく下山。山頂に向かう人とすれ違うと、「さっき、そこで熊を見たという人と会ったので気を付けてください」と言われました。

見通しのいいハイマツ帯。ちょっと通らせていただきますね〜という気持ちでリンリン小屋へ戻りました。

管理人さんによると、"登山道まではなかなか出てこないそうですが、避難小屋周辺のハイマツ帯には割といる"とのこと。以前、岩手山のどこかのコースの山麓付近で後ろから襲われた人がいたそうで。熊も性格があるので、要注意ですね。

逆光鬼ヶ城もいい。

避難小屋では、ガスであれば中で使用できますが、固形燃料やアルコールは火事の恐れがあるので禁止です。今回は固形燃料なので外でごはん。17時にもなると結構寒くて、温度計は4℃。

16時頃、水を汲んでいるおじいちゃんが1人。管理人さんが「こんにちは」と声を掛けると「これから山頂に行ってここに泊まるから!」と言っていました。しかし、そのおじいちゃんは結局小屋には戻って来ませんでした。日が暮れるのも早くなったし、不動平避難小屋の方に泊まったのか。今でもちょっと気になっています。

 

夕日は鬼ヶ城の向こう側へ。空が赤くなっていきます。黄昏時。18時には真っ暗で、秋ですねー。

岩手山の御鉢はとても優しい印象でした。今まで見た御鉢は、エネルギー溢れる力強さがありましたが、今回はとてもふわりとした感覚で記憶に残っています。岩手山も活火山ですが、傾きかけた日の光も手伝って、女性らしい印象。またひとつ、東北の素敵な山に出逢えたなと。

小屋は17時以降、消灯の20時まで発電機によって電気が付いています。小屋の中は15度くらいあり温かく、とても快適に眠ることができました。

2日目は、紅葉で有名な"三ツ石山"を目指し、その先の"大深山荘"まで歩きます。

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