2022.10.22
歩き人たかちです(@takachi_aiina)
信越トレイル8日目。昨日は「かたくりの宿」を出発し、小赤沢ルートより苗場山に登頂。信越トレイルを踏破し、大湿原に佇む「苗場山頂ヒュッテ」で一晩過ごしました。
今日は、苗場山で一番利用者が多い「祓川コース」より下山。7日かけて登頂した苗場山とのお別れは特別寂しいですが、下山はいつだって名残惜しい。
*2020年から"田代コース"が廃道になり、紅葉期のロープウェイ登山が不可となりました。
祓川登山口から越後湯沢駅までは「雪国観光舎」の登山者専用の乗合タクシーを利用。1人の場合も通常のタクシーより安く利用できます。詳しくは【情報編】をご覧ください。
1日目:斑尾高原ー斑尾山ー赤池
2日目:赤池ー希望湖ー桂池
3日目:桂池ー仏ヶ峰ー光ヶ原高原
4日目:光ヶ原高原ー野々海高原
5日目:野々海高原ー森宮野原駅
[ section7- section10 ]
1日目:森宮野原駅ーかたくりの宿
2日目:かたくりの宿-苗場山
★3日目:苗場山ー祓川登山口
気温:苗場山4℃
風:南西5〜7m/s
苗場山山頂ヒュッテ-お花畑-雷清水-神楽ヶ峰-上ノ芝-中ノ芝-下ノ芝-和田小屋-祓川登山口
▲ コースタイム:3時間45分
▲ 歩行距離:7km
▲ 累積標高差:+142m/ -1060m
苗場山のメジャーコース「祓川コース」
苗場山頂ヒュッテ - 神楽ヶ峰
苗場山頂ヒュッテ-お花畑-雷清水-神楽ヶ峰:CT1時間10分
4時頃から二度寝、三度寝・・・痺れを切らして5時起床。小屋番さんの朝食準備の音だけが、静かに響いていました。
今日はどんよりと重たい灰色。予報通りの天気で、朝日は難しい。気温は4℃、思っていたほど寒くない晩秋の朝。
祓川登山口からの乗合タクシーを11時に予約しているので、6時半過ぎに出発。

朝の光り輝く湿原はお預けだったけど、昨日の湿原が美しすぎたからよしとする。また来ればいい。

光が当たらない湿原は、秋から冬に一晩で季節が進んでしまったかのような寂しさが漂っていました。これから長い冬が始まります。


"山の上"ということを忘れてしまう広大な苗場山。ラピュタの世界のような、とっても素敵な時間でした。

木道から岩場の急登へ。眼科にはジェットコースターのような道がのびており、神楽ヶ峰まで登り返しています。

山肌は綺麗に赤く染まっていますが、曇りの赤は深くて濃い。雲は薄いものの、太陽はなかなか顔を出しません。


岩がゴツゴツしていますが小赤沢ルートほど急ではなく、ドロドロもなくてスムーズ。

「お花畑」まで下ったあと、「神楽ヶ峰」まで登り返します。


途中の水場「雷清水」はチョロチョロもいいところ。冷たくて美味しいとのことですが、細すぎて汲むのにかなり時間がかかります。涸れることはあまりないそうですが、ジャバジャバ出ることもないようで。
テント泊装備なので、すれ違う人たちに「どこかにテント張ったんですか?」「ビバークしたの?」などと聞かれたり、すれ違ったあとに「テント?苗場山ってテント場あるのかな?」という話声が聞こえたり。
「信越トレイル」を知っている人、知らない人は半々くらいでした。新潟在住の人も「え、地元にそんな道があるんだ」と言って、ザックのトレイルタグを写真に納める人も。
苗場山まで延伸されたのは2021年ですが、信越トレイルは今年14年目。日本初の本格的なロングトレイルとして、もっともっと広がってほしい。麓を知ることで、山はもっと面白く、もっと好きになる。

振り返ると、がっしりとした体躯の苗場山。「ドスン」と聞こえてきそうな山容に力強さを感じる。
あの上に、あんなメルヘンな湿原があったなんて信じられないけど、そのギャップが最高。一晩過ごした山がすでに恋しい。

太陽が少し出てきて、綺麗な彩りを見せてくれた



「神楽ヶ峰」に到着すると、絶妙にミルキーな田代湖が見えました。
神楽ヶ峰 - 祓川登山口
神楽ヶ峰-上ノ芝-中ノ芝-下ノ芝-和田小屋-祓川登山口:CT2時間35分
神楽ヶ峰の少し先には田代コースへの分岐がありますが、現在は廃道。紅葉期にロープウェイを利用して登る人も多かったと思いますが、なぜ廃道になってしまったのか。



しかしながら、祓川コースは展望がとてもいい。木道や木段も多いし、人気なのも頷ける。
歩きやすいですが、同時に物足りなさも感じていました。圧巻のブナの森を抜け、岩と泥と格闘し、その先に現れた天国のような湿原。それが、私の中に残った苗場山。

見倉集落から歩き、"風穴"の先にあった登山道との合流地点。「小松原湿原」には避難小屋があります。次回は赤湯温泉から小松原湿原に抜けたい(あるいは、その逆)。



リズミカルに「上ノ芝」に到着。誰もいなかったので少し休憩していましたが、すぐに賑やかになりました。休日の山はどうも落ち着かない。

下っていくと「中ノ芝」。ヒュッテに泊まっていた親子がクッキング中。父と娘で登山、よいなあ。

展望の良い木段から樹林帯に変わり、足元はゴロゴロした岩の道に。急斜面は特になく、ぬかるみも酷くありませんが、ソールについた泥で油断するとツルッと滑ります。



木道が出て来て「下ノ芝」に到着。展望はありません。

途中でスキーのコースを横切り、同じような道をひたすら下る。熊笹が覆い茂り、色のない単調な道。樹林帯は小赤沢コースの方が綺麗ですね。


広葉樹林になり、6合目、5合半・・・落ち葉で赤茶けた絨毯の道になっていゆく。


終わりかけの山肌は優しい色をしている

広いスキー場に出ました。振り向くと、削られた山肌が味気なくて、痛々しい。

靴洗い場がありました。ドロドロなのでありがたい。

和田小屋。宿泊は期間中の金・土・他指定日、食事はスキーシーズンのみという限定的な営業です。
通常のタクシーであれば和田小屋まで送迎してもらえますが、雪国観光舎の乗合タクシーはここから1kmちょっと下った「祓川登山口」までの送迎です。

曲がりくねったロードを下る。登りだとちょっと辛い、というか面倒ですね。

10:50頃下山すると、タクシーはすでに待機していました。

30分で越後湯沢駅に到着。タクシーでビューンと町まで来るとなんだか戸惑ってしまいますが、歩くと20km弱あるので。
信越トレイルはこれにて終了。関田山脈はテント泊で麓に下りていないし、秋山郷では地元の人含めほとんど人に会わず、ロングトレイル的な交流はとても少なかったですが、日本をもっと見たい、知りたいと思う道でした。
世界的には小さい国かもしれないけれど、山・川・海があり、人生で味わい尽くせないほどの食や温泉、文化が凝縮している魅力溢れる日本。
現在、既存のトレイルを中心に繋げて日本を縦断する総距離1万kmの「JAPAN TRAIL」の構想があります。
食、温泉、植生・・・地域によって細かく異なる日本縦断は、かなり面白いのではないかと。何より、温泉が至るところにある日本はハイカーにとって天国でしかない。
いつか、自分が考えたルートで日本を丸ごと味わい歩くことが夢。人生最大の夢かもしれません。いつになるかわからないけど、何年かかってでも挑んでみたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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