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凍結・低山・雪渓の山で使いやすい軽アイゼン、モンベル「チェーンスパイク」

山 の 道 具

歩き人たかちです。

種類が多く、雪質や環境によって使い分けが必要なアイゼン。リスクの多い雪山の道具だからこそ、とても奥が深いものだと思っています。

アイゼンの中でも、今回は気軽に使える"チェーンスパイク"に焦点を当ててご紹介させていただきます。

[ チェーンスパイクの主な使用環境 ]

◾︎ 初冬や低山の積雪が少ない山
◾︎ 歩行者が多く踏み固められた道
◾︎ アイスバーンになっている道
◾︎ 雪がところどころ残り、岩や根が露出しているような道
◾︎ 春夏の雪渓歩き
etc…

"滑り止め"として何かと便利なチェーンスパイク。ひとつあると、とても重宝するギアです。

ちなみに、私が持っているアイゼンは2つ、ワカン1つ。

◾︎ モンベル「チェーンスパイク」
◾︎ モンベル・カジタックス「LXT-10アイゼン」
◾︎ マジックマウンテン「ラッセル」

*アイゼンとワカンは最後にチラッとご紹介します

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はじめに重要事項 ⚠︎

軽アイゼン・アイゼンともに、靴との相性(フィット感)が非常に重要な道具となります。検討される際はできる限り靴を持参し、お店でのフィッティングを!

以下のようなリスクを伴う場合があります。

◾︎ 対象サイズが合わない
◾︎ 細めの靴でプレートの幅が合わない

◾︎ ワイドの靴で通常モデルにおさまらない

◾︎ 靴の柔らかさ・硬さとアイゼンの相性が良くない

etc…

特に、チェーンスパイクで多いのは"対象サイズが合わない"ということ。

店舗に勤務しているとき、チェーンスパイクの返品・交換は非常に多かったです。大体は「対象サイズなのに小さくて入らなかった」ということ。

同じサイズの靴でも、ローカットなのかミドルなのか、化繊なのかレザーなのか、ソールが薄いのか厚いのか・・・などなど形状はさまざま。ローカットなら対象サイズで問題ないことも多いですが、ミドル以上になると"小さくて入らない"ということもしばしば。

私自身も、ミドルカットは22.5ですが対象サイズのチェーンスパイクは入らず、ワンサイズ大きいものを使用しています。

チェーンスパイクのような簡単なものでもフィット感がとても重要になるため、アイゼン全般確実な選択を。

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モンベル「チェーンスパイク」

使用しているのは旧モデル。購入時は他のメーカーと比較することは特にせず、モンベルを選びました。アウトドアメーカーのものならそこまで大きく変わらないかな〜と思っていたので・・・

[ 2023.1時点のモデル情報 ]

  サイズ   S:20.5〜23.5cm
M:23.0〜26.0cm
L:25.5〜28.5cm
  XL:28.0〜31.0cm 
重量 S:280g
M:325g
L:360g
XL:405g
素材 チェーン:ステンレス鋼
バンド:エラストマー

使用している旧モデルはXS〜のつくりで、サイズの幅がもう少し狭かったと思います。Sサイズを使用していますが、重量は326g(スタッフバッグ込み352g)。現在はモデルチェンジをして軽量になっています。

他メーカーのチェーンスパイクもSサイズで300g弱のものが多く、軽めだと200g台前半。モンベルは"平均的な重さ"というところでしょうか。

画像出典:モンベル

2023.1時点のモデル

モデルチェンジをしてバンドとチェーンの接続部の穴には樹脂パーツがはめられ(写真の赤いパーツ)、バンドがちぎれにくくなりました。

画像出典:モンベル

ちぎれにくくなった分、全体の肉抜きは多めに。

旧モデル

旧モデルと比べると、肉抜きやバンドの幅の違いが一目瞭然。爪の数は変わらず10本で、配置も変わっていません。現在のモデルの方が履きやすそうですね。

爪の長さは1.2cmほど。チェーンスパイクは爪の数で選ぶものではないですが、大体10〜12本付いています。

7年ほど使用していますが、ゴムの劣化や伸び、硬化などは特になし。歩行中にチェーンの繋ぎ目が外れるなどの問題もありません。軽量になった現モデルがどの程度の耐久性かはわかりませんが、極端に心配するような性能ではないと思います。

メーカーによっては1万円を超えるモデルもありますが、同じような性能であればそこまで出す必要はあるのかな?というのが本音。モンベルで十分事足りているので、コスパはやはりいいですね。

付属のスタッフバッグ(26g)。長年の使用で傷つき、コーティングの破れも多少ありますが問題なし。

スタッフバッグは摩耗・引き裂き強度に優れた生地を使用。内側はPVCコーティングが施されて硬めのつくり。アイゼンのスタッフバッグ同様、ザックの中に入れていても他のギアを傷つけない仕様です。


モンベル「チェーンスパイク」

https://webshop.montbell.jp/sp/goods/disp.php?product_id=1129490

モンベル「L.W. チェーンスパイク」

ちなみに、XLサイズまですべて200g台のさらに軽量なモデルも出ています。こちらは爪が12本。軽さか耐久性かになると思いますが、使用頻度が低いようであれば良さそうですね。持ち運び多め、よりお守り向きという感じでしょうか。

https://webshop.montbell.jp/sp/goods/disp.php?product_id=1129685

NOLTEC TRAIL 2.1

さらにカリカリがいいという場合、トレラン、ローカットシューズ用にチェーンではなく"ワイヤー"のモデルもあります。200gを切る超軽量モデル。

晩秋の金峰山で使用している人がいて、お話を聞いたところアイスバーンにはとてもいいそうで。通常のチェーンスパイクよりもさらに使用環境は限られますが、アイスバーン中心に使うにはいいと思います。

TRAIL 2.1
イタリアのブランドNORTEC(ノルテック)両足200gを切る最軽量のワイヤータイプマイクロクランポン TRAIL2.1(トレイル2.1) ワイヤーはチェーンより靴とのフィット感が良く、 踏み込んだ際もワイヤーがずれない。 デメリットはチェーンより劣る耐久性ですが、それを補って余りあるほどの軽さと使用感が素晴らしいモデ...

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チェーンスパイクのメリット・デメリット

 

一面アイスバーン

 

初冬の積雪の少ない山。登りは特に装着の必要なし、急坂の下りだけ装着した方がいいかなという道。

メリット

◾︎ 着脱が楽ちん
◾︎ 爪が短く岩場も比較的歩きやすい

◾︎ 爪が全体的に配置されていて安定感がある
◾︎ チェーン部分も滑り止めの役割となる
◾︎ トレランシューズなど、柔らかい靴との相性もいい
◾︎ 軽量コンパクト

着脱が楽ちん
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チェーンスパイクは靴下のように履くだけなので、着脱がとにかく楽。

バンドの長さを合わせたり、他のアイゼンのようにガチャガチャする必要がないところはとてもいい◎

爪が短く岩場も比較的歩きやすい
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チェーンスパイクの爪が短いことは、メリットでもありデメリットでもあります。

メリットとしては、ところどころ雪が残り岩や根が露出しているような道でも歩きやすいこと。また、爪が短いので通常と同じ感覚で歩行可能。

岩場などではダメージを受けて先端が丸くなりやすいですが、アイスバーンと岩場を繰り返すような場面でも装着したまま歩けるため便利です(根っこの道では、根を傷つけてしまうため、できる限り配慮を)。

爪が全体的にあり安定感がある
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4本や6本爪のアイゼンは靴の中心に爪が集中しており、前後にストッパーがないことがデメリット。その点、チェーンスパイクは爪がバランスよく配置されているため安定感があります。

また、チェーン部分も滑り止めとしての役割を担っています。

4本、6本爪のアイゼンの場合は前後に爪がない分歩行に気を遣いますが(ベタ足、フラットフィッティング)、チェーンスパイクは気を遣うことはありません。

柔らかい靴との相性がいい
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スノープレートのないチェーンスパイクは、トレランシューズや軽量で柔らかい登山靴との相性がとてもいい◎化繊、レザー、ローカット、ミドルなど、幅広い靴に対応します。

ソールが柔らかい靴は屈曲しやすいため、歩行中に硬いスノープレートとの間に隙間ができやすくなります。トレランシューズなどは特に、踵から着地して爪先で蹴り出すという普段の歩行に近い仕様となっているため、元々ソールに緩いカーブがかかっていたり。

そうなると、スノープレートのあるアイゼンとの相性が良くないこともありますが、チェーンスパイクはその点も特に気にする必要はありません。

デメリット

◾︎ 固定力は一番弱い
◾︎ 使用環境は限られる
◾︎ 雪が湿っているとダマになりやすい
◾︎ 破損時の応急処置が難しい

固定力は一番弱い
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"履くだけ"のチェーンスパイクは、パーツ類で固定するアイゼンに比べて固定力が弱いです。

微調整ができないため、サイズ感に緩さが多少なりともあるとズレを感じたり、踏ん張りが効きにくいこともあります。

画像出典:oxtos

誤脱防止のベルトが付属したモデルもあります。パーツだけの販売もあるので、ズレなどが気になる場合はいいかもしれません。

使用環境は限られる
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使い勝手のいいチェーンスパイクですが、爪が短い分使用環境は限られます。

爪が短いため、雪が積もりふかふかになってくるとお役御免。人が多く、圧雪された道であればある程度使えますが、厳冬期になればなるほど使う場面が少なくなります(登山口までの林道などでは有効)。

また、春夏の雪渓歩きにも使用可能ですが、雪がザラメ状になってしまっていると刃が刺さりません。雪渓の状態によってチェーン、6本、10本など使い分けが必要です。

雪が湿っているとダマになりやすい
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スノープレートがないため、湿気った重い雪はダマになりやすく、定期的に落としながら歩く必要があります。

チェーンの隙間という隙間に雪が入り込み、雪質や時期によってはそれがちょっと厄介です。

破損時の応急処置が難しい
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歩行中にバンドが切れてしまった!という場合、チェーンスパイクは応急処置が少々難しい。

肉抜きされている部分やチェーンの輪を利用してどうにか繋げるしか方法はなく、使用前はゴムの劣化や小さな破損などがないかのチェックも重要です。

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安物にはご注意を ⚠︎

アウトドアメーカーの相場は5,000円〜のモデルが多く、高いと1万円を超えるものも。

安いと1,000円台のモデルもありますが、安すぎるものには注意が必要です。例えば・・・

◾︎ 使用中ズレやすい・外れやすい
◾︎ ゴムが切れやすい
◾︎ チェーンが外れやすい・壊れやすい
◾︎ゴムが固くなる
◾︎金具類の耐久性が低い
etc…

本格的なアイゼンのように厳しい環境で使用するものではありませんが、どこでどんな怪我をするかはわかりません。特に怖いのは"アイスバーン"。転倒のリスクはとても高くなります。登山道が細い場合は、滑落のリスクももちろんある。

安いモデルを選び、使用中に壊れたり不具合が起きれば本末転倒。応急処置が難しいものでもあるので、アウトドアメーカーの耐久性がしっかりしたモデルの検討をおすすめします。

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チェーンスパイクの確認すべきポイント

値段はピンキリですが、最低限見るべきポイントとして(サイズ感は除外します)

◾︎ バンドが切れやすくないか
◾︎ 金具や接続部は甘くないか

バンドが切れやすくないか
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装着するときは、ぐーーーっと引っ張るので、安物だとすぐに切れてしまうことも。特に"チェーンとの接続部"

モンベルの現モデルは接続部の穴にプラスチックがはめられており、引っ張ったときの力でバンドがちぎれにくい仕様になっています。

接続部の穴に厚みがなかったり、穴が大きめだとちぎれやすくなるため、要確認ポイント。バンドの素材自体の耐久性も重要です。

チェーンの接続部は甘くないか
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チェーンの場合、ひとつひとつ輪になって繋がっていますが、閉じられている部分が甘いと歩行中に外れてしまうことも。

細めのチェーンだと起きやすいので、開き具合が気になる場合はペンチなどでグッと閉め直します。チェーンの強度や剛性もある程度必要です。

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軽アイゼンの選択

「軽アイゼン」と称されるものには、4本〜10本爪とさまざまなモデルがあります。

私が使用しているのはチェーンスパイクと厳冬期用10本爪のみ。揃えるとしても、チェーンスパイク、6本爪、厳冬期用(10、12本)があれば、幅広い山に対応できると個人的には思います。

軽アイゼンの中でもチェーンスパイク、4本爪、6本爪のチョイスは迷いどころ。

チェーンスパイクと比べて爪の長さは明らかに違うため、傾斜のある場所では有効になります。しかし、爪が真ん中に集中しているため、全体的にバランスがいいわけではない。

チェーンスパイクの使える幅が結構広いため、6本爪が必要だと感じたことは今のところありません。私の場合、公共交通機関での登山が多いため、雪が降った翌日でも誰かしら先に歩いていて(スタートが少し遅いため)多少踏み固められていることがほとんど。

チェーンスパイクでの一番急な斜面だと5月下旬の赤岳、残雪の"文三郎尾根"の下り。雪が腐っていましたが、踏み固められている箇所も多く足跡を辿りながら無事通過。友人は6本爪を使用していましたが、ここまでの傾斜になると明らかにそちらの方が安全です(朝は凍結していることもあるため、6本爪以上が望ましい)。

4本爪に至っては"お守り程度"になるため、購入するならチェーンスパイクか6本爪の方が使える幅が広がります。

傾斜、雪質、人の入り具合などで必要となるアイゼンは変わりますが、それぞれのメリット・デメリットを考慮した上で一番使用するシーンのアイゼンを選択し、必要に応じて買い足せばいいかなと。

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アイゼンとワカン

現在使用しているアイゼンとワカンをチラリとご紹介します。

モンベル・カジタックス「LXT-10アイゼン」

 

スノープレートが傷だらけですね・・・

厳冬期の登山道で使用しているのは、モンベル・カジタックス「LXT-10アイゼン」

12本ではなく10本を使用しているのは、靴のサイズが22.5cmと小さいため。足長がないため、12本だと各爪の間隔が狭くなり雪が詰まりやすくなります。23cmくらいまでの靴であれば10本の方がいい場合もあるため、実際に装着して確認した方がいいです。

ラッセルするような場所や険しめの山でない限り、スパッツはほとんどつけていません。足を少しでも軽くしたくて・・・オーバーパンツにインナースパッツが付いていて、多少埋まる程度ならそれで対応可能。ただ、裾は邪魔になるので、付けた方が足元は見やすいです。

かかと部分は"バンド式"よりもカチッとはめるだけの"ワンタッチ(セミワンタッチ)"の方が装着は楽で、がっちり安定した固定力。価格でバンド式を選びましたが、慣れてしまえば煩わしさなどは特に感じません。

マジックマウンテン「ラッセル」

 

スノーシューではなくワカンを使っているのは、単に軽いから。公共交通機関での移動が多いため、スノーシューだといろいろ気を遣います。

スノーシューの方が浮くので、ノートレースのふかふか道を歩き回るにはスノーシューの方がいいですが、今のところワカンで十分。コンパクトな分取り回しが楽で、狭い樹林帯や急斜面にも対応しやすいです。

北八ヶ岳とか美ヶ原とか、ハイキング目的(特に広い雪原)に使用するならスノーシューがいいですね。

このワカンはフレームがフラットで、ひっくり返して裏表両方使える仕様。アイゼンを付けない場合はこの歯を下に、アイゼンを付ける場合は歯を上に向けて。爪先部分がちょっと上がったフレームの場合は裏返して使うことはできません。

足が小さくアイゼンの幅が狭いからなのか、アイゼンを付けての使用は正直ちょっと微妙。うまくハマっている感じがありません。やり方が悪いのか?

アイゼンを付けると重量が結構出るので、一緒に使うことはこの先もないかなと・・・

着脱も複雑ではなく簡単。

蔵王などのもふもふ散歩にも十分使えます。ちょっと輪がつくだけで、埋まり方は段違い。

人が少ない平日登山や前日降雪がある場合など、もしかしたら使うかも?というときも、スノーシューに比べて気軽に持って行きやすいところが好きですね。


マジックマウンテン「ラッセルEVO」

ラッセルシリーズよりも簡単に着脱できるベルトの形状になった「EVO」。


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まとめ

◾︎ 本格的に雪が降る前まで使えるもの
◾︎ 登山口までのアプローチに
◾︎ 低山で気軽に使えるもの
◾︎ もしかしたら必要かも・・・

気軽に雪山を歩きたい、ちょっと歩いてみようかな?という場合に使いやすいチェーンスパイク。使える場面が何気に多く持ち運びも苦にならないため、個人的にはとても重宝しています。

メリット、デメリットを理解した上で、あえてチェーンスパイクを選ぶのもひとつだと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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