2020.8.17
歩き人たかちです(@takachi_aiina)
★2日目:薬師峠キャンプ場 ー 黒部五郎岳 -黒部五郎小舎
3日目:黒部五郎小舎 ー 双六岳 ー 槍ヶ岳
4日目:槍ヶ岳 ー 大キレット ー 北穂高岳
5日目:北穂高岳 ー 奥穂高岳 ー 上高地
縦走2日目。昨日は天気も崩れず、素晴らしい景色に囲まれて「薬師岳」に登頂し、「薬師峠キャンプ場」で1泊。
\ 縦走1日目「薬師岳」はこちら /
今日は、北アルプス最奥部の稜線を歩き「黒部五郎岳」に登頂。自然の造形美が美しすぎる「黒部五郎カール」に見惚れながら「黒部五郎小舎」へ向かいます。コロナ禍で静かなアルプスでは、クマさんもこんにちは・・・
薬師峠キャンプ場 ー 太郎平小屋 - 太郎山 ー 北ノ俣岳 ー 中俣乗越 ー 黒部五郎の肩 - ▲黒部五郎岳 ー 黒部五郎カール - 黒部五郎小舎
▲コースタイム:7時間10分
▲ 歩行距離:約12.5km
▲ 累積標高差:+1,000m/-950m
「薬師峠キャンプ場 〜 黒部五郎小舎」コース概要
薬師岳キャンプ場 - 黒部五郎岳
キャンプ場から15〜20分ほどで太郎平小屋。小屋を過ぎてすぐ「太郎山」に寄り道できます。お花畑の緩やかな木道からガレ場の登りへ。
勾配を上げながら登っていくと、ピークのような場所に出ますがピークではなく、起伏がほとんどない道を15分ほど進むと「北ノ俣岳」に到着。
北ノ俣岳から下り「赤木岳」に登り返しますが、山頂は寄り道で。ピークを巻いて「黒部五郎岳」に進めます。赤木岳から下ったあとは、また登り返し。太郎平小屋から黒部五郎岳までは、大きなアップダウンです。
「黒部五郎岳」への登りは一番長く、ガレ・ザレの急登。最後にガレ場を斜めに横切るように登ると、分岐の「黒部五郎の肩」に到着します。分岐から山頂までは約15分。
黒部五郎岳 - カール - 黒部五郎小舎
山頂から続く稜線ルートは破線のため、分岐に戻り、カールへ下るルートが一般的。急斜面ですが、眼下に広がるカールや槍ヶ岳の眺望がとても美しいです。
急斜面が終わると、岩の造形美が見事な黒部五郎カールの中をなだらかに歩きます。沢があるので、浄水器があれば水の補給も可能。
カールのメイン広場を抜けたあと、樹林帯を挟みながら「黒部五郎小舎」へ。テント場からは笠ヶ岳の眺望です。
黒部五郎カールに迷い込む!北アルプス最奥部「黒部五郎岳」へ
薬師峠キャンプ場 ー 北ノ俣岳
薬師峠ー太郎平小屋ー北ノ俣岳:CT2時間15分
今日のコースタイムは7時間ちょっとなので、6時頃のゆっくり出発。結果的には、黒部五郎カールが美しすぎて、普通に早く歩き出せば良かったと思いました。
テント場から朝日は見えないので、染まっていく空を見ながら朝食を済ませ撤収。

あの雲は天気が崩れるやつ?レンズ雲に近い?観天望気できるように頑張ろう。
\ 山の天気の勉強におすすめの本 /
\ 私が利用している登山の天気アプリ・サイト /

赤い屋根の「太郎平小屋」が見えました。この山域はどこを眺めても本当に素敵。
太郎平小屋に到着すると、小屋のスタッフさんが珈琲を片手に外を眺めていました。慌ただしい朝食が終わったひとときなのか、最高のモーニング珈琲だなあ。
木道を歩き出すとすぐ「黒部五郎、双六、三俣のキャンプ場は完全予約制です」との看板が。ネットでは、特定日は完全予約制となっていたので、大丈夫なはず。
*「双六小屋グループ(双六小屋、黒部五郎小舎)」は、コロナ以降、お盆や連休の混雑期の特定日はテント場も予約制です

小屋からすぐの「太郎山」に寄り道。誰もおらず、とても静かでした。個人的にここ好きです。


今日はちょっと天気が崩れそう

薬師岳が遠ざかってゆく

遠い山域だけど、それだけの価値がある
以前、3日間の休みを取ったらこの山域しか晴れマークがなく、1日目雲ノ平、2日目は水晶岳と鷲羽岳、3日目に新穂高下山の行程で歩きました。
なんだか忙しない山行で、もっとゆっくり歩きたかったし、歩くべきだった。がつがつした山行は記憶に残りにくい。

朝のチングルマの綿毛は朝露がついてキラキラ。雨が多くて、潤いがある日本だからこそ見られるものはたくさんあると思います。


緩やかな木道からガレ場に。少しずつ勾配を上げて、一段上の稜線を目指す。

登り切ったところはまだ「北ノ俣岳」ではない

でも、薬師岳が綺麗に見える絶景の休憩スポット

山頂まで15分ほど、起伏がほとんどない道を

奥には、山頂が綺麗な笠型の「笠ヶ岳」

写真右手には「黒部五郎岳」、そして中央に「槍ヶ岳」。槍ヶ岳で合流するKさんは、今日は常念岳。

アルプスの名峰を眺めながら「北ノ俣岳」登頂!
朝のウォーミングアップを終えて、黒部五郎岳へとアップダウンをしていきます。
北ノ俣岳 ー 黒部五郎岳
北ノ俣岳 ー 中俣乗越 ー 黒部五郎の肩 - 黒部五郎岳:CT3時間5分

果てしない・・・

北ノ俣岳を下り「赤木岳」へ登り返しますが、ハイマツ帯に入ってすぐ、なにやら異変が・・・
風の音が混じり初めは気がつきませんでしたが、前方のハイマツ帯が1箇所だけ異様にガサガサ・・・ガサガサ・・・大きく揺れている。
あ、やばい・・・と、鈴を一振りしてから静かに後退。30〜40mくらい下がったところで見ていたら、ハイマツからクマがジャンプ!
姿を現すなり猛ダッシュで逃げていきました。私の角度からはどこへ行ったかよく分かりませんでしたが、後ろからきた親子がピーーーッ!と笛を一吹き。「駆け下りて行ったからもう大丈夫だよ」と。
先月の尾瀬では木道脇の笹が大きく揺れて、姿は見えませんでしたが、おそらくクマ。今まで一度も遭遇したことがなかったのに、今年は2度目。しかも、今日は初めて姿を見た。やはり、コロナ禍で自然も変わっているようです。

人気の山域ですが、今年は人が少ない

「赤木岳」のピークは岩陵帯の上。まあいいか、と寄らずに進みました。

黒部五郎岳も近づいてきた

残すは「黒部五郎岳」への登り。のっぺりしてなだらかそうに見えますが、実際は急登。空模様が少し怪しくなってきた。

歩いてきた縦走路を眺めるのは至福。大きく、うねるようはアップダウン。

ガレ場の急登へ。風があってクールダウンしながら登れましたが、無風快晴はなかなかきつそう。

振り返る

ガレ場を斜めに横切るようになれば、分岐まであと少し。


「黒部五郎の肩」に到着
山頂からの稜線ルートは破線になっており、"熟達者向け"になっています。黒部五郎小舎まではカール経由が一般的なので、分岐に荷物をデポして山頂へ。

山頂まで15分ほど。水だけの空荷で登り、10分もかかりませんでした。

「黒部五郎岳」登頂!
雲が厚くなり始めていましたが、ギリギリ富士山も見えて大展望でした。黒部五郎小舎も見えます。山頂には、手持ちの看板しかありませんでした。
\ 黒部五郎岳からの眺望 /

ゆっくりしたいですが、10分くらいでポツポツ雨が降ってきた。荷物デポしてるし、カールを抜かなければならないので退散。
黒部五郎岳 – 黒部五郎小舎
黒部五郎岳 ー 黒部五郎の肩 - カール ー 黒部五郎小舎:CT 1時間50分

「黒部五郎の肩」へ戻り、荷物を回収してカールに下ります。

カール側も急登。黒部五郎岳はどちらから登っても急登ですね。

カールと槍ヶ岳を交互に眺めながら。雨はポツポツしたり、やんだりで、本格的には降ってこない。


急斜面を下りきると、カールの世界観が一気に爆発。上から見るのと、中に入るのはまるで違う。

雲ノ平のような、"他とはちょっと違う"空気が漂っています。
涸沢カールは全体が見渡せるので"入り込んでいる"感覚ですが、黒部五郎カールは次々と現れる造形美により"迷い込んでいる"感覚。不思議の国のよう。

草のグリーンと、岩のグレーのコントラストがとにかく美しい。
天気の心配がなければ珈琲を淹れてくつろぎたいですが、そこまでするには空が怪しい。小屋までは、急斜面を下った地点から約1時間です。


中日を設け、黒部五郎小舎に2泊してここ一帯の写真を撮るという方もいらっしゃいました。それほど美しい場所です。

青空のカールはどんな風景を見せてくれるのか。すでに、また訪れたい気持ちでいっぱい。

カール内に点在する岩が凛々しいことよ。「黒部五郎」という渋い名前もいい。
地図には水マークがありますが、沢が流れています。水量が多い、少ないは場所によりますが、浄水器があれば問題なし。

ポツポツだった雨は、離れたくない・・・と思うほど強くなる。仕方なく進みます。

造形美のあとは、樹林帯を挟みながら小屋へ

小屋まであと少しのところで雨足が強くなりましたが、あと少しだったのでレインウェアに腕は通さず頭からバサっと被る。

草原の中にあるような、赤い屋根の「黒部五郎小舎」に到着。
少し強めの雨は結局5分ほどで上がり、小屋に着いたときは青空まで見えていた。なんか翻弄されましたが、雨の中テントを張るのは面倒なのでラッキー。
「黒部五郎小舎」でテント泊

黒部五郎小舎のコロナ対策はかなり徹底されていました。テント泊の人は、小屋には一切入れず(売店は外だから問題なし)。
売店でのお金のやり取りはトレーを使用しますが、「トレーには触れないでください」との文言が。
水道は外に2つありますが、テント泊の人はトイレ側しか使用できず、水道には石鹸も置かれていました。
大変な世の中ですが、できるかぎりの対策を講じて営業してくれていることに感謝です。

テント場は、小屋からの小径を歩いた先にあります。笠ヶ岳が綺麗に見える。


14時頃の到着で3張程度。フラットな場所多め
先に到着していた方々は「いやーすぐ晴れて良かったね。設営してたら雨が強くなってきて、ギリギリでテントに逃げ込めたけど」とのことで。一瞬だったおかげで、濡れたテントを乾かしてから設営。

折立から黒部五郎岳までの行程が被っている人も多く、顔見知り状態。「疲れましたね~お疲れ様です」とスッと会話が始まるのがいい。ここからは、雲ノ平や新穂高、槍ヶ岳などバラバラ散ります。
「高天原温泉」に行く人、行ってきた人も結構いて、みなさん口を揃えて「最高だったよ〜」と。この山域に来たら行きたいよなー。

逆回りで、雲ノ平から来た人たちとはコースや水場の情報交換。ここは電波が全く繋がらない(3大キャリア全てアウト)ので、山らしい交流ができるのもいい。
*小屋から10分くらいの場所に電波をキャッチできる場所があるようです
しかしながら、天気についてはみんなモヤモヤ。売店に天気予報が掲示されていますが、"富山の天気"なので。

小屋も快適そう。泊まってみたい
2Lのプラティパスを持って水を汲みに行ったら大失態。2Lたっぷり入れて水道横の細長いテーブル(板)に立てて置いたところ、バランスを崩して落下。拾おうとしたら・・・
バシャーーーーーーーー・・・
落ちたとき小石に当たり、見事に穴が空きました。小石が中にちょこん、と入っていた。立てて置いた自分が悪いですが、2日目にしてやってしまった。
幸い、この山域は小屋が多く、定期的に水を確保できる。しかし、もう一つの0.6Lのソフトボトルだけではやっていけないので、小屋で500mlを購入。双六小屋でも汲めるので、とりあえず1.1Lで様子を見ることに。
2Lは正直使いづらいし、壊れたときのリスクが大きい。1Lの2個持ちに戻そうかなー、と思っていたところの悲劇でした。やっぱり1Lにしよう・・・

今日は曇が広がってペルセウス流星群は見えないだろうし、20時には物音がピタッとやんだ。この日の夜が一番静かでした。
3日目の明日は、双六岳から西鎌尾根を歩いて槍ヶ岳へ。大キレットをともに歩くKさんと合流します。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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