歩き人たかちです(@takachi_aiina)
青空のもと、気持ちよく山を歩きたい
山の計画を立てたとき、万人が願うこと。しかし、山の天気はあまくない。だからこそ、あらゆるアプリやサイトを見比べます。
それでも、ハズレることはもちろんある。最後は運です。しかし、少しでも安全に歩くため、天気予報をこまかく確認することはとても大事。
私は、「山は逃げる」と思います。異常気象や自然災害が年々増えており、土砂崩れなどで林道が閉鎖することも少なくない。地球は温暖化で雨が多くなる。
「一生に一度かもしれない」という気持ちで、できるかぎり晴れを狙います。
2024年7月に百名山を完登しましたが、9割ほど景色を楽しみました(リベンジした山もある)。残念ながらガスっていた山は、やっぱり、もう一度歩きたい。
今回は、晴れにこだわりまくる自分が使っているアプリとサイトをご紹介します。
晴れた山を歩くには?自己流の計画の立て方
◾︎ 天気予報は10日前くらいから毎日チェック!安定具合を見る
◾︎ 予約はギリギリまでしない(できれば)
◾︎ 最後の判断は前日 or 2日前
東西南北3,4箇所の計画を立てる
雨のリスクを減らすため、季節(月)ごとに3,4箇所、山の計画をざっくり立てています(〇〇山に行きたい、この縦走路を歩きたい、くらいでOK)。
ポイントは、"東西南北に散らす"こと
たとえば、北アルプスで3箇所計画を立ててしまうと、すべて潰れる可能性が高い。
しかし、北アルプス、南アルプス、東北、関西方面など、山域をバラバラにしておけば、どこかは晴れる可能性が高まります。
「あー、今年ここ行きたかったのに・・・」と思うこともありますが、雨やガスの中歩くくらいなら、来月(来年)に延ばす。
友人と山に行くときも、最低2箇所は案を出し、「ダメだったらこっちにしよう」と話し合っています。
天気予報は10日前くらいから毎日チェック!
10日前くらいになり、平地や天気図の予報が見られる頃から毎日チェック。
1ヶ月予報を出している天気予報もありますが、夏はまず当たりません。めまぐるしく変わります。
10日前も、もちろんコロコロ変わりますが、その"コロコロ変わる具合"を見ています。
気象予報士ではないので経験上でしか話せませんが、前日まで1日単位(数時間単位)で変わる場合は、当日も変わる可能性がとても高い。どっちに転ぶかは、もはや運。
逆に、天気の変わり具合が少ない場合、2,3日前くらいの予報がそのまま当たることが多い。
気候が安定しているか、していないか、だと思いますが、あまりにも天気予報が変わる場合は考え直します。
予約はギリギリまでしない(できれば)
晴れを狙う自分は、予約はギリギリまでしない派(空室状況は毎日確認)。そもそも、予約が必要な山行が苦手です。
北海道でも、LCCの飛行機を前日に予約するくらい、直前まで予約をしません。
「早割があるから」と早々予約しても、天気が悪ければリベンジする未来が見えているので(利尻山がそうでした)。2回行くなら、少し高くても1回の方が安い。
そんな考えですが、夜行バスが限られていたり、ハイシーズンの山小屋に泊まらなければならない場合は、しぶしぶ予約します。
「キャンセル料がもったいない」「せっかく予約できたから」と、天候が荒れていても決行する人もいますが、それで命を落としたら元も子もない。
最後は、お金のことは考えずに判断します。
最終判断は「前日 or 2日前」
最終的な判断は、2日前〜前日にします。山に特化した天気アプリでは、多くても3日間の天気予報しか出ないこともあるので(自分が使っているアプリがそうなので)。
天候がある程度安定している季節ならいいですが、夏山は特に、直前の天気で判断します。
実際に使用している天気アプリ・サイト3選!
\ 主に使用している天気アプリ・サイト /
◾︎ SCW (有料・無料/「無料」で使用)
◾︎ てんくら (無料)
ヤマテン
私が一番信頼している「ヤマテン」。山岳気象予報士の猪熊さんが立ち上げたもので、「ヤマテン」は国内初の山岳専門気象会社です。
\「ヤマテン」の特徴 /
◾︎ 全国330山の予報を見られる
◾︎ 大荒れ情報・今週のおすすめ山域をチェックできる
◾︎ 専門天気図を10日先まで見られる
10周年を迎えてサイトがリニューアル。以前は百名山を中心に「18山域59山」でしたが、現在は全国330山の予報を見ることができます。高尾山など、近郊低山の予報も追加されました。
山岳気象予報士による予報なので、精度は高いです。もちろん100%ではないのでハズレることもありますが、安心感は大きい。
有料の「プレミアムプラン」に登録すれば、すべての機能を使えます。
無料で使う場合は機能が制限され、高尾さんなど、平地の予報である程度問題ない低山の予報のみ。また、専門天気図もおおまかな晴れ・曇り・雨の予報を3日分だけ(気圧配置などはプレミアムになる)。
登録、退会は簡単なので、夏だけ有料版にして、頻度が少ない(雪山には行かない)冬は退会する使い方もOK。
\「ヤマテン」はこう使う /
◾︎ 詳細の天気予報は2〜3日前(ここで最終判断)
2〜3日前の詳細な天気予報。2日分、3日分は山により異なります。
1日4回更新ですが(1時半、7時半、13時半、19時半頃)、13時台のあとは16〜17時頃更新されます。
16〜17時の更新で最終判断をして、決行か延期を決定。夜行バスに空きがあれば、この更新後に予約をすることも多々あります。
山ごとに「スペシャル予報」と「ノーマル予報」に分かれており、「スペシャル予報」の場合は、詳しいコメントつき。
細かい天気の移り変わりや、予想されるリスクなどが解説されています。また、大荒れ情報も出ます。
このときは、ちょうど台風で大荒れ情報が出ていました。
お盆、年末年始、GWなどの大型連休は、5日〜7日先までの予報が発表されます。
しかし、ずっと掲載時間されているわけではないため、見逃さないように。メルマガに登録しておけば、掲載日程などのお知らせが届きます。
その他、今週のオススメ山域などの情報が届くので、週末登山をされる方は参考に。基本的に土日の情報なので、平日休みの場合は関係ないですが・・・
「ヤマテン」は、youtubeで天気の解説や天気図の見方なども公開しています。
個人的に一番頼りにしている天気予報で、頻繁に登山をされる方にはおすすめ。専門天気図を10日先まで見られるサイトはなかなかないので、それだけでも価値があると思います。
SCW(Supercweather)
ヤマテンの専門天気図と合わせて使用しているのが"SCW"。スーパーコンピューターが予測する、高解像度の天気予報です。
有料版もありますが、私は「無料」の範囲で利用しています。
\ 有料・無料の機能の違い /
正直、無料版でも使いこなしているわけではありません。基本は、「広域モデル」で雲のようすを見ています。
無料版の画面。右下にある「観測」から、「 予測 → 詳細 → 広域246」を選択した画面です。10日先までの予報を時間ごとに見られます。
上記の写真では、長野県と新潟県にはほとんど雲がないので、後立山連峰あたりはよく晴れそう。こんな、ざっくりとした感じで使っています。
雲量を確認して、一番晴れそうな山を選択。また、稜線を歩く時間はどうか、朝日・夕日は見れそうか、などを考えています。
それなりに恩恵を受けているので、精度はいい印象。ただ、ヤマテンと同じく、天気が安定しない季節はコロコロ変わります。
この場合、後立山連峰は完全に雨。強めの予報で、雷の可能性もありますね。
風の予報も出ますが、等圧線はちょっと見にくい。
てんきとくらす(てんくら)
利用者が一番多いと思われる「てんきとくらす」、通称「てんくら」。行楽地から山の天気まで、広くカバーしています。
週間の登山指数・気温・風
週間天気予報
1週間前からの、ざっくりとした天気を確認するために使用。個人的な印象は、"強気の予報が多い"です。
天気図で「この日はがっつり雨雲かかりそうだなあ」というときも、「てんくら」ではオール晴れだったり。そして、直前になって雨マークに変わる。
直前まで「てんくら」だけ強気なこともありますが、「ヤマテン」がハズレて「てんくら」が当たることもあるので、両方チェック。
天気予報が定まらないときは「SCW」に加え、平地の天気予報なども合わせて、多数決で考えます。
ちなみに、「てんくら」は雨マーク少しでもつくと、すぐに「C」予報になりがち。雨でも風がないこともあるし、八ヶ岳の苔の森はむしろちょっと濡れていた方がよかったり。山域によって、降雨量や風を確認して楽しめばいいと思います。
その他参考にしているアプリ・サイト
少しでも精度を上げるために、上記で紹介したアプリ・サイト以外にもいろいろ見ます。"参考程度"が多いですが、判断材料に使用しているものをピックアップ。
Windy.com
風のようすが視覚的にわかりやすいアプリ。以前は無料で10日先の予報まで見られましたが、現在は4日のみ(それにより、使用頻度が減りました)。
仕様が少し変わったようです。有料版では、15日間の予報が見られます。
アプリをダウンロードすると、風と気温の単位を選択(以前は「Kt」のみ)。
デフォルトの画面は「風」。画面右下の"赤丸三本線"をタップすると、「雨、雷」「気温」などに変更できます。
「雨、雷」バージョン
等圧線を入れた「下層雲」バージョン。台風が2つ発生中。
雲量のパーセンテージは、マークのある地点の雲量。マーク(地図)を動かすことで、見たい地点の雲量を確認できます。
雲量には、「上層雲」「中層雲」「下層雲」がありますが、一番雨に関係するのは「下層雲」です。
地図を拡大していくと、上記写真のような地図になります。
以前は山の名前で検索して(槍ヶ岳など)、その地点の天気予報を見れましたが、それができなくなったようです。
現在は、市町村の検索のみ。行きたい山域の市町村を検索するしかないですね。
「ヤマテン」や「SCW」に比べると、天気予報の精度は落ちる印象ですが、山は"風"が重要(怖い)ので、参考にはしています。
似ている(パクリ?)「うぃんでぃー」という有料アプリには要注意!
インストール後に誤って「無料トライアルを試す」みたいなボタンを気軽に押し、解約を忘れると高額な契約料を取られます(1年分)。
「こっちもWindy?何が違う?」と思い、インストール。私は、トライアルの案内画面がでたとき、✖︎ ボタンを押したためか、契約にはなっていませんでした。
詐欺アプリ?と思い、すぐに削除。削除したので概要はわかりませんが、レビューにはいろいろ書かれています。
「Windy」はアプリ内課金で有料版にできるので、謎の「うぃんでぃー」にはご注意を(名前も怪しい)。
もし、変な設定をしてしまった場合、iPhoneなら「設定 → 一番上の自分の名前(Apple ID) → サブスクリプション」を確みれば、現在の契約を確認できます。
tenki.jp 登山天気
◾︎ 日本三百名山の天気予報が見られる
◾︎「マイ山」機能で登録した山の天気を見比べられる
出典:日本気象協会
◾︎ 1時間ごとの予報を提供(通常3時間)
◾︎ 冬山登山用の積雪マップが使える
精度に関しては意見が分かれている印象。登山専用ではない、普通の「日本気象協会」の天気予報は結構変わるので、翻弄されることが多いですが。
1ヶ月間無料で試すことができ、以前、トムラウシ山を登るときに使ってみました。天気が不安定すぎる時期だったので、どの天気予報も定まらず。
「ヤマテン」や「てんくら」は数時間、1日単位でコロコロ変わっていましたが、「登山天気」は全然変わらず。たとえば、他の予報で晴れマークが出てきてもずっと雨予報で、直前になってガラリと変更、ということが多かったです。
「ヤマテン」の場合は、詳細な天気が2〜3日しかわからないので、7日先まで見られるのはメリットかと(土日休みの方とか)。
気になる方は、1ヶ月無料で試してみてください。
「YAMAP」と業務提携しています
mountain forecast
日本を含めた"世界の山"対象の天気予報サイト。海外サイトなので英語表記です。有名処はカバーしている感じですが、日本のサイトに比べたら少ないですね。
特徴的なのは、気温表記の下の「Feels」。風などの影響を考慮して"体感温度"が表示されます。
上記は槍ヶ岳の予報ですが、台風接近に伴い風が非常に強い日の予報。6日は、天気が良く気温は一番高いですが、強風予報なので体感温度がダントツで低い。
レイヤリングなど、装備を考える上で参考にするのはいいと思います。毎回見ているわけではなく、こんな予報もあるだ、くらいのテンションで。
*風速1m/sで体感温度は約1度下がります。気温10度、風速10m/sなら体感温度は約0度。
標高を選択すると、その標高の最高気温、最低気温、体感温度が表示されます。
かわいい天気図もありますが、精度は微妙か?日本は日本の天気予報が一番いいですが、海外の山に登るときは参考にしてもいいかもしれません。
BIOWEATHER SERVICE
週間の気圧配置図を見られるサイト「BIOWEATHER SERVICE」。
一週間分の気圧配置図をパッと見ることができるので、今週どうかな〜くらいのテンションで眺めています。
雨雲レーダーや台風情報もありますが、このあたりは普通の天気予報アプリで十分ですね。
YamaYama GPV
「Yama Yama GPV」の特徴は、"雲の量を数値で見る"ということ。
地点別に雲量、降水量、湿度、気温、風速、海面気圧がブラフで数値化されます。
地図上を動かしながら見られますが、メニューに「山リスト」があり、山を選択するとその地点のグラフに切り替わります。
「データ選択」から、最大"246時間後"までのデータを見ることが可能。
雲量は「SWC」で確認をしているため、見ることはほとんどありません。雲量を数値を確認したい向け。精度は不明。
「雨雲レーダー」は通常の天気予報で
雨雲レーダーは、「Yahoo!天気」など通常の天気予報で見ています。
デメリットは、"オフラインで見られない"こと。
登山中は電波がないことも多いため、稜線や山頂など、電波が入りやすい場所に出たらチェック。
最近は、電波の範囲も広がっているので、今のところ、通常の天気予報で事足りています。
雪山・バックカントリーは「日本雪崩れネットワーク」をチェック
雪山やバックカントリーをやる場合、雪崩情報も要チェック。雪山登山では、「ヤマテン」の予報に加えて雪崩に関する注意事項を確認しています。
主に北海道の一部、立山、白馬、妙高、谷川武尊とエリアは限られますが、谷川岳には毎年行くので一応確認。
基本的に、早朝に更新されるので、当日の情報を確認してから登山を開始できます。
警戒レベルや、どんな雪崩に注意すべきかなどがわかります。積雪や天候に関しての説明もあり。
メニュー内の「観察データ」には、その日の様子が写真とともに掲載されます。投稿は日本雪崩ネットワークの正会員で、トレーニングスクール「雪崩業務従事者レベル1」以上、あるいは同等資格を所持している人です。
知っておくと便利な基礎知識
天気予報の精度は上がっており、昔に比べたら安全性は高まっていると思います。
しかし、"山の天気は変わりやすい"ことはいつの時代も同じ。近年は異常気象が多く、過信は禁物。あくまでも"予報"であることを忘れずに。
山では、ハズレる前提くらいの気持ちで、常に空を見ることが大切。知っておくと便利なことは
日本は"偏西風"の影響を受けやすく、前線が西から東へ移動します。そのため、西側の高い山に雲が現れ始めたら警戒。
しかし、これは風向きによっても変わるので、その雲が風上にあるのか、風下にあるのかも重要。風下なら、近づいてくる可能性は低くなります。そして、天気が回復するのも西から。
重要なのは"湿度と乾燥"。南風は暖かい湿気った空気なので天気は崩れ、北風は乾燥した空気なので天気は回復。
北西の風 → 天気回復
山域によって影響する風向きは多少異なりますが、日本列島が受ける影響として、ざっくり知っておくと役立ちます。
もちろん「西から天気が変わる」というのも絶対ではなく、台風や他の影響を受ければ、西以外から天気が変わることも。
天気の勉強におすすめの本
西穂山荘の支配人であり、気象予報士の粟澤徹さんの著者。天気の基本を抑えるのにおすすめの一冊。
優しい解説でとてもわかりやすく、イラストが多いので視覚的にも理解しやすいです。
何度も読み返しながら、少しずつ知識を定着させようと奮闘していますが、天気はやっぱり難しい。
空と雲で判断する「観天望気」。少しでも知識があると、危険察知能力が上がります。何より、空を見るのが楽しくなります。
最後に
晴れた山を安全に歩くために、どのように山の計画を立てているのか、どんな天気予報を使っているのか、ご紹介しました。
ひとつではなく、組み合わせて総合的に判断する
私自身は"精度"を重視して「ヤマテン」と「SCW」を中心に、「てんくら」や「Windy」を使って総合的に判断します。麓の天気予報も確認します。
有料・無料、頻度、使いやすさなど、条件がいろいろあるので、自分の山行に合ったものを。
山小屋(尾瀬)で働いていたときも、ハイシーズンのときは毎日のようにツアーの方々が来ていました。「発雷確率75%」でも、基本的にキャンセルはなし(雷雲が頭上にくる時間帯に出発する場合も)。
個人なら自分の裁量で歩くことができるけど、ツアーではそうはいかない。雷が鳴り、バケツをひっくり返したような雨の中、ずぶ濡れになって到着する登山者を見て疑問に思いました。足を滑らせて怪我をする人もいました。
ツアー会社やガイドさんにも事情がありますが、命を守るのは自分。人の判断に頼らず、自分の身は自分で守る。
グループ登山では、「誰かが見ているだろう(確認しているだろう)」となりがち。天気もそうだし、コースに至っても。
相手は自然。自分で準備をして、自分で判断することが大切です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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