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【夏の花】花を知って山歩きを愉快に♪低山から高山植物まで季節ごとの山の花をまとめた花図鑑

山 雑 記

緯度や標高が高ければ高いほどほど短い山の夏。長い冬が終わり、雪解けとともに夏を謳歌する花々はなんと華やかなことか。

1日しか咲かない花もある。土の中で何年も過ごす花もある。栄養が乏しく、風雨に晒されながら子孫を残す高山の花々。そんな、逞しくて美しい姿に元気をもらおうと山に登る私たち。

今年も逢いたい花がある。それは、とても素敵なこと。

*季節はおおまかにわけていますが、山域や標高で花期は前後します。
*見聞きした情報も記載しているため、誤っている可能性もございます。

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参考文献

◾︎ 高橋勝雄著「野草の名前[夏]和名と由来と見分け方」,ヤマケイ文庫,2017年1月
◾︎ 西遊旅行,2023,「世界の花だより」,西遊旅行ホームページ,(2023年7月21日取得,https://www.saiyu.co.jp/blog/flower/)
◾︎ 尾瀬マウンテンガイド,2023,「花情報」,尾瀬マウンテンガイドホームページ,(2023年7月21日,https://mountain-guide.jp/hana/26.html)

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ア 行

アオノツガザクラ[ 青の栂桜 ]

大朝日岳 / 7月

◾︎ ツツジ科ツガザクラ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「内気」「臆病」

ぷくっとした壺型で先がすぼまっている小ぶりの花。淡黄緑色は昔"青色"といわれ、葉がコメツガに似ているためアオノツガザクラ。ちっちゃいけれど、立派な常緑小低木。中部以北〜北海道の高山、岩礫地を好む。


アカモノ[ 赤物 ]

白毛門 / 6月

◾︎ ツツジ科シラタマノキ属 / 5〜7月
◾︎ 花言葉「美しい思い出」「真心の愛」

一部の地域の方言で、木の実のことを"モモ"といった(果物の桃は意味しない)。蕾が赤いので"赤モモ"と呼ばれ、それが"アカモノ"に変化。高山や深山の日当たりのいい斜面や岩場に自生する常緑小低木。花はほんのり薄いピンク色で、萼や枝は赤い。色・形ともにかわいらしい花である。


イイデリンドウ[ 飯豊竜胆 ]

飯豊山 / 8月

◾︎ リンドウ科リンドウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「-」

瑠璃色が鮮やかな飯豊山の固有種であり、絶滅危惧種。山頂周辺に咲いている。ミヤマリンドウの変種で同じような色をしている。花びらは5裂のものが多いが、たまに6裂も。天気の良い日しか咲かないため、夏の飯豊山は太陽を狙って!


イソツツジ[ 磯躑躅 ]

羅臼岳 / 7月

◾︎ ツツジ科イソツツジ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「-」

亜高山〜高山帯に自生する常緑小低木。手毬のような丸いフォルムで、石楠花を小型化したような花。東北〜北海道に自生し"エゾイソツツジ"とも呼ばれる。羅臼岳では、樹林帯を抜けるとたくさんお目にかかった。


イブキジャコウソウ[ 伊吹麝香草 ]

南アルプス南部 / 7月

◾︎ シソ科イブキジャコウソウ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「勇気」「神聖」「潔癖症」

花の百名山である伊吹山で発見された。濃い目のピンク色で小ぶりの花が密集し、絨毯のように広がっている。葉・茎・花と全体に香りがある。"麝香"とは、ジャコウジカの腹部の香囊から製造した香料のこと。花がこの香りに似ているわけではないが、香りを麝香に例えて名付けられた。


イブキトラノオ[ 伊吹虎の尾 ]

礼文島 / 6月

◾︎ タデ科イブキトラノオ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「洗練」

伊吹山で発見され、オカトラノオに似ていることが名の由来。スーッとのびた茎の先に円錐形の花序があり、尻尾もそうだが、手持ち花火のようでもある。山地や高山の日当たりのいい場所に自生。


イワイチョウ[ 岩銀杏 ]

月山 / 7月

◾︎ ミツガシワ科イワイチョウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「純潔」「多才な人」

北海道〜中部地方の深山や亜高山の湿地に自生。葉が銀杏の葉に似ているため"イチョウ"。湿原を好むため岩場には咲かないが、ただの接頭語として"イワ"がつけられた。秋には黄色く紅葉する。

"ミツガシワ"に似たフォルムの花だが、イワイチョウは花びらが波打っており、ミツガシワの花びらには縮毛がフサフサついている。違いははっきりしている。


イワウメ[ 岩梅 ]

羅臼岳 / 7月

◾︎ イワウメ科イワウメ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「春の使者」

岩場を好み、5裂の白い花が梅に似る常緑小低木。覚えやすい名前の花である。葉は肉厚で光沢があり、紅葉する。岩場に広がる赤い絨毯が秋を彩る。


イワオウギ[ 岩黄耆 ]

南アルプス南部 / 7月

◾︎ マメ科イワオウギ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「平和」

"黄耆"とは、マメ科イワオウギ属の仲間の根のことで、黄色い薬の長とされる。健胃、止汗、強壮などに薬効がある。高山の砂礫地や岩場に自生し、下側の花弁が長いクリーム色の花をつける。6〜11枚の小葉が対生し、目に留まりやすい花である。似た花には"リシリオウギ"や"シロウマオウギ"など。

リシリオウギ


イワギキョウ[ 岩桔梗 ]

利尻山 / 6月

◾︎ キキョウ科ホタルブクロ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉:「美点の持ち主」「誠実」「感謝」

高山の岩場や砂礫地に自生。「お!桔梗!」というような、青紫色の鐘型の花。夏山では、貧栄養地で咲く逞しい姿に励まされる。

"チシマギキョウ"とよく似るが、チシマギキョウは花弁全体に毛があり、イワギキョウには毛がない。また、イワギキョウの萼片には鋸歯があるが、チシマギキョウにはない。遠くからの見分けは難しいが、近くで見るとよくわかる。


イワツメクサ[ 岩爪草 ]

南アルプス / 7月

◾︎ ナデシコ科ハコベ属
◾︎ 花言葉「初恋」「奥ゆかしさ」

岩場を登っていると、岩と岩の隙間で元気にしているイワツメクサ。細い茎に小さな花を咲かせ、平地で見るハコベに似ていて親しみのある高山植物。深い切れ込みにより花弁は10枚に見えるが、実際は5枚。高山の岩場には大体咲いていて、毎年挨拶をする花である。


イワヒゲ[ 岩髭 ]

羅臼岳 / 7月

◾︎ ツツジ科イワヒゲ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「揺れる思い」

北海道〜中部以北の高山の岩場に自生する常緑小低木。髭のような面白い葉に、リンドウのような鐘型のかわいい白い花を咲かせる。名の由来は茎の細さを髭に例えたことから。名前と見た目のギャップがいい。


イワブクロ[ 岩袋

雌阿寒岳 / 7月

◾︎ オオバコ科イワブクロ属 / 6〜8月
◾︎花言葉「勇気」「あなたに見とれています」

北海道〜東北、高山の火山系の山を好む。雌阿寒岳の阿寒湖畔コースの荒涼とした大地にたくさん群生していた。他、鳥海山の山頂付近など。崩壊地や火山砂礫などの裸地にいち早く根を下ろす"パイオニアプラント"の一つでもある。他の高山植物に比べると、過酷な環境に対して強そうな見た目。


イワベンケイ[ 岩弁慶 ]

利尻山 / 6月 

◾︎ ベンケイソウ科イワベンケイ属 / 5〜8月
◾︎ 花言葉「穏やか」「信じて従う」

星型の黄色い花が集まって咲く。強いものの例えに"弁慶"を用いることがあるが、イワベンケイはとても丈夫な花。葉や株そのものを日なたに放置しても1日くらいでは枯れず、乾燥や水のない環境に強い耐性がある。高山の岩場や砂礫地に自生するが、"ベンケイソウ"と区別するために"イワ"がつけられた。歯は多肉質で逞しく、枯れない強さを感じる。葉が細く、鋸歯のあるものを"ホソバイワベンケイ"というが、葉の幅などは固体差が大きい。

礼文島 / 6月

受粉後は雌花が紅くなり、果実ができる。茎は緑のままのものが多い気がするがこれは?礼文島には紅いイワベンケイがあると聞いたことも…


ウコンウツギ[ 鬱金空木 ]

斜里岳 / 7月

◾︎ スイカズラ科タニウツギ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「-」

受粉の前後で内側の線の色を変える面白い花。ウコンウツギの受粉の媒介者はミツバチ。虫にとって黄色は見やすく赤は見えないため、咲き始めの受粉前は内側の線が黄色、受粉すると赤に変わる。人間の目にも受粉したかどうかがわかる、ユニークな花である。

受粉後のウコンウツギ


ウサギギク[ 兎菊 ]

南アルプス / 7月

◾︎ キク科ウサギギク属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「愛嬌」

山の中に咲くひまわりのような、パッと明るい花。芽吹いた対生する葉の形がうさぎの耳に似ているといわれるが、細長く丸みを帯びた花弁の形も似ている。花弁の先は2〜4裂しており、2裂のものは特に耳のよう。


ウスユキソウ[ 薄雪草 ]

南アルプス / 7月 / ミネウスユキソウ

◾︎ キク科ウスユキソウ属 / 7〜9月
◾︎ 花言葉「大切な思い出」「高貴」「初恋」

不思議な魅力とオーラのある美しいウスユキソウ。白い花びらのようなものは苞(花にもっとも近い葉)で、この苞が"薄雪"で覆われているように見えることから名がついた。種類によって綿毛のふわふわ度合いが異なる。中央に集まっている丸いのは蕾で、初期の頃は銀色っぽく宝石のよう。高山に咲くウスユキソウは、岩場に自生しているものが多い。ウスユキソウなら高山型がミネウスユキソウ。

ーーー ウスユキソウの仲間 ーーー

 ハヤチネウスユキソウ

早池峰山 / 6月

早池峰山を代表する早池峰山特産の花。写真は咲き始めの姿。綿毛で覆われ、ふわふわ。

ホソバヒナウスユキソウ

至仏山 / 7月

至仏山と谷川岳にのみ咲く、日本固有のいわゆる"エーデルワイス"。蛇紋岩を好む蛇紋岩変性植物。谷川岳では6月中旬、至仏山では7月初旬が見頃。写真は7月1日の開山日のもの。開山後すぐがおすすめ◎

ヒメウスユキソウ

出典:中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ

中央アルプスの固有種で、木曽駒ヶ岳周辺にに咲く。絶滅危惧種に指定されている。

10月初旬、木曽駒ヶ岳〜空木岳の縦走中に名残を発見。小さくてかわいい。

レブンウスユキソウ

礼文島 / 6月

花の宝庫である礼文島に咲くレブンウスユキソウ。北海道の固有種。6月の礼文島は本当におすすめ。


ウラジロヨウラク[ 裏白瓔珞 ]

尾瀬 / 6月

◾︎ ツツジ科ヨウラクツツジ属 / 5〜7月
◾︎ 花言葉「きれいになって」「清らかな祈り」

釣鐘型でシュッとしていて、先っぽがちょこっと開いているウラジロヨウラク。紫を混ぜたようなピンク色がお上品。葉の裏が白っぽいため"ウラジロ"で、"ヨウラク"は仏具のひとつ。山地〜亜高山の少し湿った環境を好む落葉紅葉樹で、日本海側に多く分布する。


ウルップソウ[ 得撫草 ]

出典:Adobe Stock

◾︎ オオバコ科ウルップソウ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「-」

北海道と北アルプスの一部、八ヶ岳のみに自生する希少種。中でも北アルプスに多く、白馬山塊でよく見られる。千島のウルップ島で採取されたため名がついた。寒冷地や高山の湿った砂礫地に自生。雪解けすぐ咲くため、綺麗な姿を見るなら梅雨時期の残雪期。


エゾイチヤクソウ[ 蝦夷一薬草 ]

利尻山 / 6月

◾︎ ツツジ科イチヤクソウ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「恥じらい(イチヤクソウ)」

北海道と南北アルプスの亜高山帯の針葉樹林帯に生える絶滅危惧種。下向きに咲く白くて丸い花はほんのりピンクを帯び、樹林帯で控えめに佇んでいる。あちこちに咲いている花ではないため、利尻山でもよく観察しながら。


エゾカンゾウ[ 蝦夷萱草 ]

礼文島 / 6月

◾︎ ススキノキ科ワスレグサ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「憂を忘れる」

ニッコウキスゲと同じく、朝花を咲かせて夕方に閉じる"一日花"。本州北部から北海道に広く分布。ニッコウキスゲと微妙な違いはあるが同じ種で、同じく蕾や花びらは食用となる(すごく美味しいとのこと)。湿原や山地、海岸の草原に自生。"エゾキスゲ"と似るが、エゾキスゲはレモン色、エゾカンゾウは橙色。


エゾツツジ[ 蝦夷躑躅 ]

羅臼岳 / 7月

◾︎ ツツジ科エゾツツジ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「愛の喜び」

鮮やかなショッキングピンクの花を咲かせる落葉小低木。東北〜北海道に分布し、高山の風当たりの強い場所を好む。北海道で最初に採取されたことから"エゾ"がついた。秋田駒ヶ岳での群落は見事で、代表的な花となっている。


エゾノコギリソウ[ 蝦夷鋸草 ]

利尻山 / 6月

◾︎ キク科ノコギリソウ属 / 7〜9月
◾︎ 花言葉「戦い」「勇敢」(ノコギリソウ)

葉が鋸のようにギザギザしている。背丈は高いと80cmほどになる大きめの花。写真は咲きはじめで可愛らしいが、最盛期には一つの茎に花をたくさんつける。北海道〜中部以北に自生。


エゾノツガザクラ[ 蝦夷栂桜 ]

羅臼岳 / 7月

◾︎ ツツジ科ツガザクラ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「幸せを招く花」

濃ゆいピンクが濃ゆい緑に映える。北海道〜東北北部に分布し、湿り気のある岩場や草地に群生。壺型のぷくっとした花が集まっている姿は、アオノツガザクラと同じく可愛らしい。一緒に群生していると、白とピンクのコントラストが素敵である。

コエゾノツガザクラ

エゾノツガザクラに比べて淡いピンク。繊毛がエゾノツガザクラより少なめで、より丸みを帯びるという違いがある。写真は羅臼岳の岩場にて。


オオダイコンソウ[ 大大根草 ]

礼文島 / 6月

◾︎ バラ科ダイコンソウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉(ダイコンソウ)「前途洋々」「希望に溢れる」

北海道〜中部以北の山地に自生。ダイコンソウよりも背丈が大きくなる。大きめのシルエットの割に花は小さく、夏らしい黄色を放つ。


オオバギボウシ[ 大葉擬宝珠 ]

大朝日岳 / 8月

◾︎ クサスギカズラ科ギボウシ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「落ち着き」「静寂」「変わらない思い」

蕾の形が、木造の橋の欄干の先にある飾りである"擬宝珠(ぎぼうしゅ)"に似ていることから。ギボウシにはいくつか種類があるが、オオバギボウシは他より葉が大きい。淡い紫色が混ざり、他の仲間にある濃い紫色の線はない。背丈が60〜100cmあるため目立つ花である。


オゼソウ[ 尾瀬草 ]

至仏山 / 7月

◾︎ ユリ科オゼソウ属 / 7月
◾︎ 花言葉「-」

至仏山と谷川岳、北海道の一部、日本にしか咲かない1属1種の絶滅危惧種。"氷河期の生き残り"といわれる。花姿は地味といわれ、草に混ざって目立たないため注意していないと見過ごす。その代わり、見つけると「おお、これが!」と嬉しくなる。草と間違われることも多々あるが、よく見ると小さな花が可愛らしい。氷河期を生き抜いた花だから?不要なものを削ぎ落としたシンプルさがある。


オトギリソウ[ 弟切草 ]

◾︎ オトギリソウ科オトギリソウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「秘密」「恨み」

止血・はれものなどに効果のある薬草。"弟を切る"という漢字が当てられているが、これはとある鷹匠が秘密にしていた薬草の名を弟がバラしてしまい、弟を斬殺したという話から。オトギリソウは変種が多く、見分けが難しい。

シナノオトギリ

南アルプス / 7月 /シナノオトギリ

中部地方(長野中心)の高山に咲く"シナノオトギリソウ"。"イワオトギリ"とは葉の黒点の位置などで区別する。

ハイオトギリ

北海道の高山に自生する"ハイオトギリ"。写真は斜里岳。パッと見の違いは正直全くわからない。決め手はやはり葉の黒点や線の違いとのこと。

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カ〜サ行

カワラナデシコ[ 河原撫子 ]

礼文島 / 6月

◾︎ ナデシコ科ナデシコ属 / 7〜10月
◾︎ 花言葉「大胆」「可憐」

夏に咲く秋の七草。単に"ナデシコ"あるいは"ヤマトナデシコ"とも。日当たりのいい河原や草原に自生。礼文島には高山植物が多いが、自生しているのはカワラナデシコ。

タカネナデシコ

南アルプス / 7月

カワラナデシコの高山型。北海道〜中部以北の亜高山〜高山の日当たりのいい礫地や岩場に自生。花弁はカワラナデシコよりも深く、細かく裂ける。苞の数によって区別。


キバナアツモリソウ[ 黄花敦盛草 ]

高妻山 / 6月

◾︎ ラン科アツモリソウ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「-」

アツモリソウ特有のぷっくりした形で、その独特さはラン科だとすぐわかる。柄に柄を合わせたハイカラな花で、大きな葉に一輪の花を咲かせる。口を大きく開けて笑っているようである。この花を見るために6月の高妻山へ。絶滅危惧種の貴重な花である。


キバナシャクナゲ[ 黄花石楠花 ]

利尻山 /6月

◾︎ ツツジ科ツツジ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「-」

シャクナゲの中でも一番高山帯に自生するシャクナゲ。クリーム色の花には、ピンクとはまた違う魅力がある。稜線に自生するものは風が強く過酷な環境となるため、地面を這うように樹高が低くなる。足元にシャクナゲを見ながら歩くというのがまた面白い。花はクリーム色だが、蕾はまさに黄色。


キバナノコマノツメ[ 黄花の駒の爪 ]

甲武信ヶ岳 / 5月

◾︎ スミレ科スミレ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「気まぐれ」

スミレといえば紫が多く、黄色は少ない。葉の形が馬のひづめに似るため名がついた。亜高山や高山の湿った岩場や草むらを好み、鮮やかな黄色が足元を照らしとても可愛らしい。日本在来種のスミレの中で、名前に"スミレ"とつかないのはキバナノコマノツメだけである。

同じ黄色のスミレに"タカネスミレ"と"オオバキスミレ"がある。オオバキスミレは花期が早く、葉が大きいため区別はつきやすい。"タカネスミレ"とよく似るが、タカネスミレの葉は厚めで光沢があり、キバナノコマノツメは薄めで光沢がない。


キヌガサソウ[ 衣笠草 ]

白山 / 8月

◾︎ シュロソウ科キヌガサソウ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「-」

放射状につく8〜10枚の大きな葉を大きく広げ、白くて美しい1輪の花を中央に咲かせるキヌガサソウ。高貴な人にさしかける衣笠に葉姿が似ることから名付けられた。上品な佇まいは貴婦人のよう。とても存在感のある花である。

高山植物は鹿に食べられることで年々花や株が小さくなり、そのうちその場から消えてしまう。尾瀬の燧ヶ岳などには大きなキヌガサソウが自生しているが、鹿による食害が問題となっている。他の高山植物とは見た目も存在感も異なるこのキヌガサソウ、なんとか生き抜いてほしい。


キンコウカ[ 金光花 ]

尾瀬 / 7月

◾︎ キンコウカ科キンコウカ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「威厳」

キンコウカといえば尾瀬が浮かぶ。7〜8月頃、湿原に咲き乱れるキンコウカはとても美しい。標高の高い湿原や寒冷地の湿った草原を好む花で、花弁が6枚の小さな花が寄り集まり、金色の絨毯のようである。放射状に開く花弁を"光の筋"に例えて名付けられた。


クガイソウ[ 九蓋草 ]

出典:photo AC

◾︎ オオバコ科クガイソウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「明るい家族」

先っぽに向けてヒューンと長く、つい触りたくなる花。筒状の花がびっしりと密集している。本州山地の草地に自生。葉は4〜8枚が輪生し、9層ほどになる。その様子を仏具の「天蓋」に例えて名付けられた。伊吹山には少し小型の"イブキクガイソウ"が自生する。


クルマユリ[ 車百合 ]

大朝日岳 / 8月

◾︎ ユリ科ユリ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「純潔」「陽気」

花びらがくるんと強めに反り返り、夏山のオレンジといえばこの花。中間部の葉が車輪状に輪生するため"クルマ"がつけられた。高山帯、亜高山帯にも咲く唯一のユリである。


クロユリ[ 黒百合 ]

南アルプス / 7月

◾︎ ユリ科バイモ属
◾︎ 花言葉「恋」「呪い」

中部の高山と北海道に自生。"黒いユリ"というだけで興味がそそられるが、その姿もミステリアスである。本州型と北海道型の2種に分かれ、姿も若干異なるよう。花姿も独特だが、匂いもまた・・・クロユリに出逢ったら、ぜひ鼻を近づけてほしい。


コウホネ[ 河骨 ]

出典:Adobe Stock

◾︎ スイレン科コウホネ属 / 6〜9月
◾︎ 花言葉「秘められた愛情」「その恋は危険」

水面から黄色のかわいい花をパッと咲かせるコウホネ。しかし、水底に横たわる根茎はゴツゴツして太い。この根茎が人間の背骨に似ていることから"河骨"の名に。蓮の葉や花は水面に浮かぶが、コウホネは浮かばない。葉も花も水面の上まで伸びている珍しい形。なお、他のオゼコウホネなどは水面に空いている。


コケモモ[ 苔桃 ]

斜里岳 / 7月

◾︎ ツツジ科スノキ属 / 7〜9月
◾︎ 花言葉「反抗期」「冷淡」「くじけない」

日本全土に分布するコケモモ。コケモモジュースが名物の山小屋も多く、親しみ深い山の花である。"モモ"とは方言で"木の実"のこと。苔のように小さな姿であることから、コケモモの名に。花は白く釣鐘型。高山や亜高山の岩混じりの場所や、ハイマツの下に自生。秋になると実は真っ赤に熟し、食用になる。


ゴゼンタチバナ[ 御前橘 ]

南アルプス / 7月

◾︎ ミズキ科サンシュユ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「古風」「移り気」

6枚葉の中心に白い花をひとつ。見た目がまさに"山の花"という感じで、高山植物の代表格。白い花弁に見えるのは総苞葉。葉が6枚以上になると花が咲くシステムだが、4枚葉でもゴゼンタチバナだとすぐわかる。日本だけでなく、北半球の寒冷地に広く分布している世界的な花。発見されたのが白山の御前峰、赤い実がカラタチバナに似るため、合わせてゴゼンタチバナ。

花後の赤い実。クリスマスカラーでかわいい。


コバイケイソウ[ 小梅蕙草 ]

鳥海山 / 7月

◾︎ シュロソウ科シュロソウ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「遠くから見守る」

姿形が独特で、草原のような斜面にニョキニョキと生えているコバイケイソウ。小さな花が寄り集まりひとつの大きな花に見えて"オバケ"なんて言われることも。しかし、ひとつひとつの花は一見梅の花に似る。バイケイソウは淡緑色の花だが、花や葉が似ており、花が少し小さいため"コ"がついた。花が咲く前の葉も目立ち、緑がとても鮮やかである。

花は毎年咲くわけではなく数年に一度。そのため、当たり年と外れ年がある。当たり年の群生は見応え抜群だが、個人的にはニョロニョロが押し寄せてくるように見えてしまう。

バイケイソウ  

出典:photo AC

緑がかった花で、コバイケイソウほど密集しない。


コバノコゴメグサ[ 小葉の小米草 ]

南アルプス / 7月

◾︎ ハマウツボ科コゴメグサ属 / 7〜9月
◾︎ 花言葉「-」

上下にパカッとしている姿が貝殻のようにも見える。小さな花の姿から"小米"の名が付いた。虫寄せのための黄色のアクセントがとてもかわいい。山域によっては8〜9月が花期。


コフタバラン[ 小双葉蘭 ]

礼文島 / 6月

◾︎ ラン科サカネラン属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「あなたを尊敬します」(フタバラン)

ラン科特有の面白い花。亜高山帯の湿った針葉樹林下に自生。背丈も低く、花は緑で目立たず、他の草に混ざって咲くため、よく観察しないと見落とす。日本全土に分布するが、場所によっては絶滅危惧種。


コマクサ[ 駒草 ]

燕岳 / 8月

◾︎ ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属 /
◾︎ 花言葉「高嶺の花」「誇り」

高山植物の女王であり、一番最初に名前を覚える人も多いであろう山の花。"駒"とは馬の総称。蕾の形が馬の顔の形に似ることからコマクサ。北海道〜中部地方に分布し、過酷な環境である高山の砂礫地を好む。白っぽい砂に映えるピンクと緑がとても美しい。

コマクサの根は、サラサラと流れるような不安定な砂礫地の地下に長く伸びている。その長さは1mに達することもあるとか。コマクサの近くの砂礫地を踏むと、長い地下部分が切れて枯れてしまう恐れがある。コマクサで有名な燕岳ではロープを張っているが、写真目的で足を前に踏み込むことはNG。他の花も同様だが、些細な一歩で日本の花が年々減少している現実がある。


サクラソウモドキ[ 桜草擬 ]

礼文島 / 6月

◾︎ サクラソウ科サクラソウモドキ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「-」

北海道特産の花。サクラソウに似ているとは思ったが、"モドキ"と名の付く花だとは思わなかった。渓流沿いや湿気った場所を好み、礼文島では「愛とロマンの8時間コース」を歩いているときに出逢った。サクラソウはパッと上を向いているが、こちらは少し俯き加減に咲く。


サラサドウダン[ 更紗満天星 ]

高妻山 / 6月

◾︎ ツツジ科ドウダンツツジ属 / 5〜7月
◾︎ 花言葉「明るい未来」

クリーム色にピンクや紅の筋が入り、チューリップを逆さにしたような、絵本の中のスカートのような、姿形がとてもかわいい花である。北海道・本州・四国・九州と全国的に分布する、落葉性のツツジ。花に更紗染めの模様があることが名の由来。平地では5月頃、山では6月頃咲き始める。

「満天星」と書いてドウダンツツジのことを意味するが、漢字がロマンチックであることにまず惹かれる。花をたくさんつけているところを下から見ると、満天の星空のように素敵で、散って地面に落ちている姿もまた綺麗。

ベニサラサドウダン

谷川馬蹄形 / 6月

サラサドウダンの変種で紅色。より標高の高い亜高山低木帯に自生。分布も関東・中部〜東北で、関西や九州ではよく似た"ドウダンツツジ"が自生する。


サワラン[ 沢蘭 ]

出典:photo AC

◾︎ ラン科サワラン属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「陽気」「舞い戻る幸福」

沢ではなく、湿原や湿地を好んで咲くラン科の花。緑の湿原にショッキングピンクが目を引く。尾瀬ではトキソウと同じ時期に咲き、薄いピンクのトキソウとのコントラストを楽しめる。背丈や大きさが同じような花なので、ゆっくり観察したい。鮮やかなピンク色を朝日に例えて"アサヒラン"という別名もある。


シナノキンバイ[ 信濃金梅 ]

白山 / 8月

◾︎ キンポウゲ科キンバイソウ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「恋」「呪い」

キンポウゲ科の黄色は一貫して黄金のようである。花弁のように見えるのは萼で、5〜7枚ほどつける。ミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマダイコンソウなどが山ではごっちゃになりやすいが、シナノキンバイはそれらよりも大きい。それぞれ葉に特徴があり、シナノキンバイはギザギザしている。山岳地帯である長野県(信濃)でよく見られる花。


シモツケソウ[ 下野草 ]

白山 / 8月

◾︎ バラ科シモツケソウ属 / 6〜7月◾︎ 花言葉「純情」

ピンク色の小さな花が集まる姿にパチパチにという効果音をつけたい。まるで線香花火のようである。落葉低木のシモツケに花が似ており、木ではなく草なのでシモツケソウ。中部地方〜九州に自生し、見つけると夏を感じる。


シロバナニガナ[ 白花苦菜 ]

月山 / 7月

◾︎ キク科ニガナ属 / 5〜7月
◾︎ 花言葉「明るい笑顔の舌の悲しみ(ハナニガナ)」

低山〜高山までよく見る花。"シロバナハナニガナ"とも呼ばれる。黄色の"ニガナ""ハナニガナ"など仲間はややこしいが、ニガナは花弁が5枚であるのに対してハナニガナは7枚以上。7枚以上で色が白いものをシロバナニガナという。食用だが、とても苦い。

ハナニガナ


ショウキラン[ 鍾馗蘭 ]

尾瀬 / 7月

◾︎ ラン科ショウキラン属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「厄除け」

ギンリョウソウと同じ腐生植物で、葉緑素のない特殊な色。透き通る白とほんのりピンクの組み合わせが美しく、樹林帯でニョキニョキ自生している。写真は咲き始めの頃で、まだミニマム。北海道〜九州まで分布し、毎年大体同じ場所に咲く。


スズムシソウ[ 鈴虫草 ]

礼文島 / 6月

◾︎ ラン科クモキリソウ属 / 5〜7月
◾︎ 花言葉「-」

花の形が"スズムシ"に似ているからスズムシソウ。ラン科の花は派手なものから地味なものまでさまざまだが、形は一貫して面白い。蕾は緑だが、徐々に褐色系に変化する。北海道〜九州まで分布。山地に面白い形の草花があったら、スズムシソウかもしれない。礼文島ではとある場所でしか咲かないよう(礼文島のガイドさんも他では見たことがないという)。

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タ〜ナ行

タカネグンナイフウロ[ 高嶺郡内風露 ]

南アルプス / 7月

◾︎ フウロソウ科フウロソウ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「変わらぬ信頼」

チシマフウロやハクサンフウロと思って近づくとちょっと違う。グンナイフウロとの出会いはそんなだった。中心の花柱の飛び出しや、茎と葉の毛が目立つ。山梨県の東部は昔、山々に遮られて他の地域と分断され"郡内"と称して独自の経済圏を形成。グンナイフウロは、この郡内のどこかで見つけられたのではないかと考えられている。色は白〜ピンク、紫とさまざま。中部地方の高山や亜高山には濃い紫色の"タカネグンナイフウロ"が自生し、夏山ではこちらの方が多く出会う。


タカネスミレ[ 高嶺菫 ]

早池峰山 / 6月

◾︎ スミレ科スミレ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「」

東北の高山帯の礫地に群生する黄色いスミレ。秋田駒ヶ岳の群生地が有名である。キバナノコマノツメと似ているが、タカネスミレの葉は厚めで光沢がある。葉は少し丸まったような形状。


タカネバラ[ 高嶺薔薇 ]

礼文島 / 6月

◾︎ バラ科バラ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「相思相愛」

山の中に咲くピンク色のバラ。北海道で多く見られる"ハマナス"に似ているが、ハマナスは海岸、タカネバラは山に自生する。普通のバラと比べると花びらの枚数が少なく小ぶりだが、形状や葉はバラを思わせる。


タカネビランジ[ 高嶺ビランジ ]

鳳凰三山 / 7月

◾︎ ナデシコ科マンテマ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「-」

南アルプスの高山の岩場だけに自生する花。この花を見るために南アルプスを歩くハイカーも多いだろう。ハート型の花弁がかわいらしい。"ビランジ"の由来はよくわかっていないようだが、外国っぽい名前である。鳳凰三山など北部に咲くのは主にピンク色、悪沢岳や千枚岳周辺など南部に咲くのは主に白色。

南アルプス南部 / 7月

千枚岳周辺のタカネビランジ。ピンクを帯びたものもあったが、白が圧倒的に多かった。


タテヤマリンドウ[ 立山竜胆 ]

尾瀬 / 6月

◾︎ リンドウ科リンドウ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「物思い」

ハルリンドウの高山型のタテヤマリンドウ。花の見た目はほとんど同じ。葉は茎に寄り添い、萼は開かず花にぴったり、根生葉はロゼット状である。どこから高山なのかは微妙なところだが、葉や萼の形で見分ける。


チシマアマナ[ 千島甘菜 ]

早池峰山 / 6月

◾︎ ユリ科チシマアマナ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「-」

北海道〜中部以北の岩地や乾いた草地に自生。ユリ科のアマナに花が似ていて、千島諸島で採取されたためチシマアマナ。"アマナ(甘菜)"は球根に甘味があるから。雪解け後すぐに咲き始めるため、見頃は梅雨や残雪期になる。6月中旬の早池峰山にたくさん咲いていた。


チシマイワブキ[ 千島岩蕗 ]

利尻山 / 6月

◾︎ ユキノシタ科チシマイワブキ属 / 7〜9月
◾︎ 花言葉「-」

北海道の利尻山と大雪山系にしか咲かない貴重な花。利尻山も花数は多くない。千島列島で発見され、岩礫地を好み、葉が蕗に似ている。すべて合わせて"チシマイワブキ"となる。白い小花で、雄しべの先のオレンジがかわいらしい。


チシマノキンバイソウ[ 千島金梅草 ]

羅臼岳 / 7月

◾︎ キンポウゲ科キンバイソウ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「-」

北海道の大雪山系や知床山系に自生する。本州のシナノキンバイよりも一回りほど大きく、同じキンポウゲ科として黄金色。樹林帯を明るく照らしてくれて、元気が出る。葉もシナノキンバイと似ているため、「なんか大きいな」と思ったくらいの違い。


チシマギキョウ[ 千島桔梗 ]

南アルプス南部 / 7月

◾︎ キキョウ科ホタルブクロ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「-」

山の桔梗といえばチシマギキョウとイワギキョウ。高山の岩場に自生。チシマギキョウは花弁の縁に毛が多く横向きに咲き、萼に鋸歯はない。イワギキョウは花弁の縁に毛が無く、上向に咲くことが多い。萼には鋸歯がある。青紫の花色が爽やかで、岩場で励まされる登山者も多いはず。


チシマヒョウタンボク[ 千島瓢箪木 ]

利尻山 / 6月

◾︎ スイカズラ科スイカズラ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「-」

北海道〜中部以北に分布。亜高山〜高山の低木帯に自生している。花後は瓢箪型の赤い果実をつける。パッと開いた葉の上に赤紫色の花をつけ、目立つ花。場所によっては絶滅危惧種となっている。


チシマフウロ[ 千島風露 ]

礼文島 / 6月

◾︎ フウロソウ科フウロソウ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉(フウロソウ)「変わらぬ信頼」

「〇〇フウロ」と名のつく花は多いが、チシマフウロは北海道〜東北の亜高山〜高山帯、日当たりのいい草地などに自生する。色は淡いものから濃いものまであり、北海道に自生する他の種との区別も難しい。


チングルマ[ 稚児車・珍車 ]

鳥海山 / 7月

◾︎ バラ科チングルマ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「可憐」

コマクサとともに高山植物の代表ともいえる、みんな大好きチングルマ。花が終わり、ふさふさの花柱が江戸時代に流行したの稚児の髪型"唐子髷"に似ている。この髪型を"稚児の風車"と見立てた。チングルマは落葉小低木で、紅葉期には真っ赤に染まる。開花〜紅葉まで、シーズン中長く愛でられる花。

北アルプス / 8月

チングルマの綿毛

八幡平 / 10月

チングルマの紅葉


ツマトリソウ[ 褄取草 ]

尾瀬 / 6月

◾︎ サクラソウ科オカトラノオ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「純真」

基本は真っ白なツマトリソウだが、極稀に花びらのへりが赤く縁取られているものも。見つけたらラッキー。ツマトリソウの"ツマ"は"褄"で、"妻"ではない。赤く縁取られた花びらを、褄取りで見える着物の赤い裏地に見立てた。シュッとした花びらの形が端正である。


トガクシショウマ[ 戸隠升麻 ]

尾瀬 / 6月

◾︎ メギ科トガクシショウマ属 / 6月
◾︎ 花言葉「完全な美」

長野県の戸隠山で発見された花。透き通る、淡い紫とピンクを合わせたような上品な色合い。東北〜中部の限られた山域にしか自生しておらず、絶滅危惧種となっている。鹿の食害や盗掘被害が多く、野生のトガクシショウマは非常に少ない。


ナガバノモウセンゴケ[ 長葉の毛氈苔 ]

出典:photo AC

◾︎ モウセンゴケ科モウセンゴケ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「無神経」「あなたに捧げる恋の歌」

黄緑色の長い葉には赤い氈毛がびっしり。氈毛の先に水玉のような粒がキラキラしているが、これは粘液。葉に止まった虫を粘液で捕えて消化液で溶かし、養分を吸収する。日当たりのいい湿地などに自生。名前には"苔"がつくが、白くて小さいかわいい小花を咲かせ、苔ではない。ただの"モウセンゴケ"は同じ姿で円形の葉、もっと小ぶり。


ナナカマド[ 七竈 ]

羅臼岳 / 7月

◾︎ バラ科ナナカマド属 / 5〜7月
◾︎ 花言葉「慎重」「私はあなたを見守る」

ナナカマドといえば真っ赤な紅葉をイメージする人が大半ではないか。高山での秋の主役だが、花は白く可愛らしい。葉が特徴的な並びなので、赤くなくてもわかりやすい。花後は赤い実をつけるが、これも山ではよく見かける姿。


ナンブイヌナズナ[ 南部犬薺 ]

 早池峰山 / 6月

◾︎ アブラナ科イヌナズナ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「-」

北海道と東北の一部の山域にしか自生していない花。4枚の花弁の小さい花が集まり、黄色い花束をつくっている。蛇紋岩などの岩場を好む。"犬"の漢字が当てられているが、意味として"否"。ペンペン草の愛称であるナズナに似ているが、"ナズナではない"という否定形の"否"が訛ったことが名の由来といわれている。


ニッコウキスゲ[ 日光黄菅 ]

尾瀬 / 7月

◾︎ ススキノキ科ワスレグサ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「日々新たに」

朝咲いて夕方にしぼむ一日花。短命花だからこそ、こんなに思い切って花びらを広げているのかと思うほど、元気いっぱいの姿を見せてくれる。ミルキーイエローが綺麗で、正面から見るとスターのよう。湿原や高原に咲き乱れる姿は圧巻だが、鹿による食害が深刻な場所も多い。尾瀬も深刻で、かつての尾瀬の景色は今は残っていない。一面黄色の絨毯になる尾瀬を見てみたかった。蕾や花びらは食用で、とても美味しいとのこと。

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ハ〜マ行

バイカモ[ 梅花藻 ]

出典:photo AC

◾︎ キンポウゲ科キンポウゲ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「幸せになります」

水が綺麗な流水で育つ水草。梅の花に似た白い花が水面に咲く。上高地では河童橋近くの"清水川"が有名で、鮮やかな緑がゆらゆら揺れる姿は見ていてとても気持ちがよく、心が洗われる。水の温度や環境の影響が多いため、生育地は全国的に減っている。


ハイマツ[ 這松 ]

◾︎ マツ科マツ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「不老長寿」「永遠の若さ」

枝の先端につく赤い花。2年くらい前まで、これはハイマツの実だと思っていた。これが大きくなるのだろうと…

ハイマツは雌花と雄花をそれぞれつける。付け根部分に雄花、先端に雌花。ハイマツは森林限界の貧栄養地に這うように自生している。そんな過酷な環境にも関わらず、寿命は300〜1000年といわれ、なんとも逞ましい。弾力があって簡単には折れない。ハイマツ漕ぎをしようものならあざだらけである。

受粉後にできる松ぼっくり。ホシガラスの好物である。


ハクサンイチゲ[ 白山一華 ]

平標山 / 6月

◾︎ キンポウゲ科イチリンソウ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「幸せを招く花」「純潔」

チングルマとともに多くの山で群生しているハクサンイチゲ。東北〜中部の高山に自生。純白で綺麗だが、花弁に見えるのは萼片。中心の緑が雌しべ、それを取り囲む黄色が雄しべ。チングルマは花弁が丸いが、ハクサンイチゲはツンツン尖っている。

咲きはじめは背丈が低く地面に近くてかわいいが、終わりに近づくにつれてどんどん背を高くする。北海道に自生する"エゾハクサンイチゲ"など、似た種類がいくつかある。


ハクサンコザクラ[ 白山小桜 ]

谷川馬蹄形 / 6月

◾︎ サクラソウ科サクラソウ属 / 7月中旬〜8月中旬
◾︎ 花言葉「物思い」

ピンクのハート形の花弁を5枚広げて登山者を和ませるハクサンコザクラ。誰もが愛でてしまう、ユキワリソウに似た花。白山の名がつく花は多いが、ハクサンコザクラも白山で最初に発見された。色は薄めのものから濃いめのものまで。花の大きさも山域よって少し異なる。

エゾコザクラ

羅臼岳 / 7月

北海道固有のエゾコザクラ。ハクサンコザクラの母種とされ、より小型である。

オオミネコザクラ

釈迦ヶ岳 / 5月

大峰、台高山脈に自生するコイワザクラの一種。稻村ヶ岳や釈迦ヶ岳周辺などで見られる絶滅危惧種。


ハクサンシャジン[ 白山沙参 ]

大朝日岳 / 8月

◾︎ キキョウ科ツリガネニンジン属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「-」

ツリガネニンジンの高山型。ツリガネニンジンと比べてふっくらした広鐘形。ツリガネニンジンの中国名が"シャジン"で、白山で発見されたためこの名が付いた。


ハクサンチドリ[ 白山千鳥 ]

南アルプス / 7月

◾︎ ラン科ハクサンチドリ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「美点の持ち主」「素晴らしい」

花の形が小さな鳥のようで、それらが飛ぶ姿を見立てた名前。まさに翼を広げた鳥が飛んでいる花姿で、ラン科の楽しさ溢れる花。紫色の花が草地によく映える。似たものに"ノビネチドリ"があるが、葉が波打っているのがノビネチドリ、波打っていないのがハクサンチドリ。


ハクサンフウロ[ 白山風露 ]

南アルプス / 7月

◾︎ フウロソウ科フウロソウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「変わらぬ信頼」「健気」

東北〜中部地方に分布するフウロソウ。環境が厳しい亜高山〜高山の草地に自生するものの茎は細くて不安定、花弁も薄い可憐な花。花弁に乗った朝露が風に揺れて動く情景を名にしたという美しい花である。目にすると「あ、フウロだ!」と、友の名を呼ぶように口にしてしまう。


ハマナス[ 浜茄子 ]

礼文島 / 6月

◾︎ バラ科バラ属 / 4〜7月(寒冷地では6〜8月)
◾︎ 花言葉「悲しくそして美しく」

北海道に多く自生するハマナス。海岸の砂地を好み、礼文島ではあちこちで見ることができる。ビタミンCが豊富で食用でもあるため、観光地ではソフトクリームやお菓子などに使われている。見た目も華やかだが、香りもバラらしい華やかな香り。


ヒメコザクラ[ 姫小桜 ]

早池峰山 / 6月

◾︎ サクラソウ科サクラソウ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「-」

早池峰山の蛇紋岩地帯にのみ自生する固有種。早池峰山特産だが、登山道脇にたくさん咲いていて嬉しくなる。雪解け後に咲き、ハヤチネウスユキソウよりも花期は早い。6月11日に登ったが、綺麗に咲いていた。花自体は小さいが、純白のお姫様にしっかり目が留まる。


ヒメサユリ[ 姫早百合 ]

浅草岳 / 6月

◾︎ ユリ科ユリ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「飾らぬ美」

山形・福島・新潟の3県にのみ自生し、山域も限られている。濁りのない綺麗な薄ピンクが特徴的で、ササユリよりもやや小ぶり。花弁の先端は控えめに反り返り、無垢なお姫様のような花。咲き始めの花色は汚れがなく、本当に綺麗だった。


ヒメシャクナゲ[ 姫石楠花 ]

尾瀬 / 6月

◾︎ ツツジ科ヒメシャクナゲ属
◾︎ 花言葉「危険」「警戒」

通常の石楠花の何分の一の大きさだろうか。花姿はまるで違うが、葉は濃い緑で立派に石楠花。ミニマムな石楠花に一目惚れしてしまった。ツツジ科の常緑小低木で、こんなに小さいのに木なのかと関心。幹は細いが、立派に年輪もあるという。小さな花にはよく"ヒメ"とつけられるが、まさに湿原のお姫様。水芭蕉が終わり、尾瀬の湿原に群生している姿がとても素敵。


ボタンキンバイ[ 牡丹金梅 ]

利尻山 / 6月

◾︎ キンポウゲ科キンバイソウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「-」

利尻山の固有種。高山の草原に自生。牡丹のように控えめに花びらを広げる姿が上品で、虫寄せのために雌しべが紅くなっているのが特徴。登山道脇には多くないが、斜面にはたくさん咲いている。草地に目立つ黄金色が綺麗。


マルバシモツケ[ 丸葉下野 ]

飯豊山 /8月

◾︎ バラ科シモツケ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「-」

北海道〜中部以北の亜高山〜高山に自生する落葉小低木。雄しべが花弁から飛び出してふさふさ。ポンポンのような見た目が特徴的。シモツケの仲間で、葉が丸いことから名がついた。

エゾノマルバシモツケ

雌阿寒岳 / 7月

マルバシモツケの高山型。北海道のみに自生。より小型で岩礫地を好み、雌阿寒岳では地に這うように自生していた。


マルバダケブキ[ 丸葉岳蕗 ]

南アルプス千枚小屋 / 7月

◾︎ キク科メタカラコウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「先見力」「純情」

深山〜高山の湿った草地や林に自生。葉が蕗に似ており、山岳地帯に自生するため"岳蕗"。南アルプス南部の千枚小屋周辺には群落を成している。花も大きめだが葉も大きめで、群生していると存在感がある。雨が降ると葉に水が溜まり、マルバダケブキロードを歩くとびしょ濡れになりがち。


ミツガシワ[ 三柏 ]

尾瀬 / 6月

◾︎ ミツガシワ科ミツガシワ属 / 4〜8月
◾︎ 花言葉「私は表現する」

山地の湿地や沼地などに自生する水生植物。"氷河期の生き残り"といわれ、北半球の寒冷地を好む花。特徴的なのは、やはり花弁にある縮毛。花の形はイワイチョウと似ているが、風貌は一目瞭然。鹿の大好物でもあり、食害による減少が問題となっている。


ミツバオウレン[ 三葉黄蓮 ]

谷川馬蹄形 / 6月

◾︎ キンポウゲ科オウレン属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「栄誉」

春に咲くバイカオウレンの仲間で、夏に咲くミツバオウレン。オウレンの仲間は根が黄色を帯びる。地表近いところで小葉が3枚広がっている。花弁を全力で広げて太陽を浴びる姿が可愛らしい。樹林帯や登山道脇によく咲いている。


ミネズオウ[ 峰蘇芳 ]

平標山 / 6月

◾︎ ツツジ科ミネズオウ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「愛らしい」「伝統と格式」

ツツジを超小型化したような花。北海道〜中部以北の岩礫地に自生しており、チングルマやハクサンコザクラ、イワカガミなどに混ざってちょこんと花を開いている。主張は弱めだが、緑に覆われた地面に小さなピンクの星が散らばっていたらミネズオウかもしれない。


ミヤマアズマギク[ 深山東菊 ]

幌尻岳 / 7月

◾︎ キク科ムカシヨモギ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「-」

平地でもよく見るキク科の花の形をしている。高山の礫地や礫の多い草地を好む。上越信ではピンク、東北以北では淡青紫が多い。馴染みのある見た目だけどどこかメルヘンで、愛嬌のある花である。


ミヤマオダマキ[ 深山苧環 ]

幌尻岳 / 7月

◾︎ キンポウゲ科オダマキ属 / 5〜8月
◾︎ 花言葉「努力の勝利」

細い茎にぶら下がって咲く特徴的なオダマキ。紡いだ麻糸を中心を空洞にして丸い形にしたものを"苧環"というが、花の形は特に似ていない。どちらかというと蕾の形に似る。綺麗な青紫の中には黄色が混ざり、スタンドライトのような姿。北海道〜中部地方の高山帯に自生。3枚の葉はギザギザしている。花色は他に白やピンクも。


ミヤマキンバイ[ 深山金梅 ]

早池峰山 / 6月

◾︎ バラ科キジムシロ科 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「幸せ」

鮮やかで神々しい黄色を放つミヤマキンバイだが、中心はより黄色が濃いため、金色とみなした。5枚の花弁は幅が広く、梅の花に似るため"金梅"。高山の砂礫地や草むらに自生。黄色の花はごちゃごちゃになりがちだが、葉で覚える。ミヤマキンバイは3枚の小葉。


ミヤマキンポウゲ[ 深山金鳳花 ]

鳥海山 / 7月

◾︎ キンポウゲ科キジムシロ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「子供らしさ」「無邪気」

高山のお花畑にミヤマキンポウゲは欠かせない。花言葉のように、無邪気に群をなして金色に光り輝く姿は圧巻である。北海道〜中部以北の亜高山〜高山に自生。低地に咲くウマノアシガタ(キンポウゲ)の高山型で、見た目はよく似ている。ウマノアシガタの花弁が重ならないのに対して、ミヤマキンポウゲは重なり気味。

礼文島 / 6月

晴れた日の黄金具合がすごい。艶々と光り輝いている。


ミヤマシオガマ[ 深山塩釜 ]

幌尻岳 / 7月

◾︎ ハマウツボ科ゴマノハグサ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「-」

唇形の鮮やかなピンクの花をつけるミヤマシオガマ。北海道〜中部以北の高山帯に自生。礫地や草地を好む。同種の"タカネシオガマ"に似ているが、ミヤマシオガマは葉の切れ込みが一番細かい。どちらもシダの葉のような見た目。

ヨツバシオガマ[ 四葉塩釜 ]

斜里岳 / 7月

葉は4枚(4枚ではないことも)切れ込みはミヤマシオガマほどではない。パッと見でわかるくらい、細かさが異なる。花もミヤマシオガマほど密集しない。タカネシオガマよりも背は高く、タカネシオガマほど花は密集しない。


ミヤマダイコンソウ[ 深山大根草 ]

南アルプス / 7月

◾︎ バラ科ダイコンソウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「幸せを招く花」

花はミヤマキンポウゲやミヤマキンバイと似ているが、ダイコンソウの仲間なので葉が明らかに違う。しかし、丸くぼてっとしたフォルムは、ダイコンの葉には特に似ていない。高山の中でも風当たりの強い場所を好みがち。


ミヤマムラサキ[ 深山紫 ]

南アルプス / 7月

◾︎ ムラサキ科ミヤマムラサキ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「高貴な純潔」「尊い思い出」

高山の岩礫地を好む花で、ワスレナグサとかヤマルリソウに見た目が似ている。どちらも低山に自生するため間違えることはない。花色は紫一歩手前の綺麗な青という感じ。根が紫色の染料として使われていた。中心の黄色がアクセントのかわいい花である。鎖を掴もうとしたらこの花に出逢い、思わず笑みが溢れた。


ミヤマリンドウ[ 深山竜胆 ]

大朝日岳 / 8月

◾︎ リンドウ科リンドウ属 / 7〜9月
◾︎ 花言葉「満ちた自信」「あなたを慰めたい」

フデリンドウの高山型。模様のないスッキリとしたコバルトブルーがなんとも爽やかで、高山のリンドウの中では特に好きである。山に咲くリンドウはどれも同じような色形をしているが、タテヤマリンドウには斑点がある。変種のイイデリンドウは色は同じだが、あちらはファイブスターで飯豊山の固有種。


メアカンキンバイ[ 雌阿寒金梅 ]

雌阿寒岳 / 7月

◾︎ バラ科タテヤマキンバイ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「-」

北海道特産のキンバイ。大雪、知床山系、阿寒、羊蹄山に自生する。発見されたのは雌阿寒岳なので、その名がついた。風衝地に咲く低木である。キンバイははっきりとした黄色のイメージだが、メアカンキンバイはちょっと控えめ?マッド?な色合い。


メアカンフスマ[ 雌阿寒衾 ]

羅臼岳 / 7月

◾︎ ナデシコ科ノミノツヅリ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「-」

雌阿寒岳と知床山系の砂礫地に自生。葉が厚めで白い小花を咲かせる。雌阿寒岳では植物が限られた風衝地に根をつけて、受粉はアブラムシが主だという。北海道と火山という厳しい環境で生き抜く花である。


モミジカラマツ[ 紅葉唐松 ]

飯豊山 / 8月

◾︎ キンポウゲ科カラマツソウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「怠らない心」

細長い雄しべの集まった形がカラマツの葉に似ている。雄しべの太さは付け根から先端まで均一である。モミジの葉の形に似ている、大きな単葉が特徴。亜高山以上の林縁や草地に自生。似たものに"ミヤマカラマツ"や"カラマツソウ"があるが、葉の形が異なる。

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ヤ〜ワ行

ヤマオダマキ[ 山苧環 ]

尾瀬 / 7月

◾︎ キンポウゲ科オダマキ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「気がかり」

赤紫色のヤマオダマキ。高さは30〜60cmほどになり、ミヤマオダマキの倍。日本全国、日当たりのいい山地や草原、森に自生する。花色は赤褐色に黄色。


ヤマブキショウマ[ 山吹升麻 ]

利尻山 / 6月

◾︎ バラ科ヤマブキショウマ属 / 6〜8月
◾︎ 花言葉「爽やか」

樹林帯でだらりと出迎えてくれるヤマブキショウマ。わさわさ自生していて目立つ花。激似の植物に"トリアシショウマ"があるが、大きさ、色、形、葉、生育環境が似ており双子かと思うほど。見分けるポイントは葉脈。ヤマブキショウマが並行で綺麗な脈をしているのに対し、トリアシショウマは平行ではなく歪んでいる。葉脈の数も少なめ。

トリアシショウマ


ヨツバシオガマ[ 四葉塩釜 ]

礼文島 / 6月

◾︎ ハマウツボ科シオガマギク属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「美しい祈り」「誘惑」

タカネシオガマよりも背が高く、花がまばらになるヨツバシオガマ。名の通り、葉は4枚が輪生する。他の植物から栄養を奪う特性がある半寄生植物である。下から順に花が咲くが、礼文島に自生するものは本州のものよりも段数が多い。10段くらいになるものもあり、草地でよく目立つ。


リシリヒナゲシ[ 利尻雛芥子 ]

利尻島 / 6月下旬

◾︎ ケシ科ケシ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「儚い恋」

利尻山の固有種。利尻山の火山崩壊礫の斜面に自生する貴重な絶滅危惧種。利尻山の山頂付近は崩壊が進み、将来登れなくなる可能性も懸念されている。厳しい環境で生き抜く可憐な花、どうか命を繋いでほしい。

利尻島の市街地でもリシリヒナゲシが見られるが、それは栽培種とされている。遺伝的な検査が行われているが、利尻山に咲く本種とは別もの。遺伝子レベルでの違いになるため、見た目で判断する要素を示すのは難しい。


リンネソウ[ リンネ草 ]

斜里岳 / 7月

◾︎ スイカズラ科リンネソウ属 / 7〜8月
◾︎ 花言葉「」

下向きにちょりんと咲く、しおらしいリンネ草。スウェーデンの植物学者であるカールフォン・リンネが名前に付けられている。折れてしまいそうな細い茎に淡いピンクの小花をつけるが、これが草ではなく矮小低木であることに驚く。北海道〜中部以北の亜高山〜高山、林内やハイマツの下に自生する。


 レブンキンバイソウ[ 礼文金梅草 ]

礼文島 / 6月

◾︎ キンポウゲ科キンバイソウ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「-」

礼文島にのみ自生するレブンキンバイソウ。お隣の利尻島にはボタンキンバイが自生するが、それぞれ固有のキンバイソウがあるところが北海道らしい。他のキンバイソウに比べると、黄色というよりはオレンジで少し大きめ。黄金に光り輝く点は一緒。花弁に見えるのは萼で、雄しべに見えるのが花である。礼文島では草地一面に元気よく咲いており、とても綺麗。


レブンハナシノブ[ 礼文花忍 ]

礼文島 / 6月

◾︎ ハナシノブかハナシノブ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉(ハナシノブ)「お待ちしています」「野生美」

カラフトハナシノブの礼文島バージョン。背丈が低めでより花序が詰まっているのがレブンハナシブとのことだが、基準が難しい。紫と黄色というお洒落な組み合わせの上品な花。雨に打たれていると形がよくわからないが、晴れていると均等な5裂の花弁が綺麗に開いている。


ワタスゲ[ 綿菅 ]

尾瀬 / 6月

◾︎ カヤツリグサ科ワタスゲ属 / 6〜7月
◾︎ 花言葉「揺れる想い」

湿原の妖精のようにポワポワと綿毛を風に揺らすワタスゲ。花よりも花後の姿が人気である。亜高山〜高山の湿原に自生。

ワタスゲの花姿。5月頃、細長く黄色の花が咲く。見た目が地味で、緑が出てくる前の湿原の色と同系色のため目立たない。しかし、よく見るとあちこちに株がある。尾瀬では鹿の食害具合によって湿原のポワポワ度が決まるが、以前に比べて減少していることには変わりない。

花が終わると一旦黒っぽくなり、綿毛が出てくるのを待つ。

尾瀬はミズバショウやニッコウキスゲで盛り上がるが、その間のワタスゲの季節が一番好きである。梅雨の晴れ間、爽やかな初夏の湿原に真っ白なワタスゲ、そのうちカキツバタの紫が混ざりとても美しい。梅雨時期だが、人が少ない6月中旬〜下旬の尾瀬をぜひ訪れてほしい。

2022年、5月下旬〜7月の短期で、尾瀬の山小屋で働いた。花が次々と咲く時期で、その移り変わりに見惚れるばかり。よろしければ、尾瀬ギャラリーをどうぞ↓

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最後に

日本は豪雪地帯であるがゆえに、山の花が本当に美しいと思います。日本ほどのお花畑の山が世界にどれほどあるでしょうか。足元のお花が当たり前になっていますが、日本の花も年々減りつつあります。私たち人間が山に入ることで必然的に花は減り、登山道以外の場所を踏みつけることでまた花が減る。

問題とされているのは"すれ違いで道をよける(譲る)とき"。どうしても登山道から一歩踏み込んでしまう。さらに、一歩ならまだしも、よけた場所から登山道に戻らず縁を歩いてしまう人がいる。そうすることで、登山道は崩れて広がり、花は減ります。過酷な環境で生きる高山植物は、逞しくもあり繊細です。

この一歩で花がなくなるかもしれない

そんな気持ちで、山と向き合っていきたいと思います。


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自然の中の"あ、いいな"を形にするものづくり


名前の由来を知ると、 花がより身近なものに感じます。読んでいてとても楽しい植物図鑑。


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