2020.10.28(水)
晴れ/曇り 23/12℃(徳島県海南町)
歩き人たかちです。
今日はついに徳島県が終わり、2県目「修行の道場」高知県に入ります。室戸岬を目指して国道55号を果てしなく歩く旅。宿、野宿、食料、水、すべてにおいて計画を立てなければリアルに倒れてしまう修行の道です。
高知県東洋町を過ぎると野宿適地がない(しばらく宿もない)ので、今日は短めの20km。東洋町の「明徳寺通夜堂」を第一希望、唯一の宿「おへんろハウスひるねざと野根」を第二希望として歩きました。しかし、事件が…。
へんろ小屋NASAで今日の寝床を
*まぜのおかキャンプ場~へんろ小屋NASA:5.3km*
一昨日の大井小学校に比べて全く寒くなく、寝袋の中ではアンダーウェア1枚で寝ていました。やはり山間と海では大分違います。
結露は薄っすら、。今回もちょっと拭き取ればいいだけで済みました。
管理センターは8:00からで、それ以前に出発の場合は利用案内のファイルを管理棟内のベンチに置いておいてくださいと言われました。中へ入ると準備をしている男性スタッフが出てきて受け取ってくれたので、挨拶をして7:30頃出発。
昨日マメの水を抜こうと思いつつ、まだ微妙な大きさだったので諦めました。今日も中敷き抜き、おマメさんとともにお遍路。
まずは「へんろ小屋NASA」を目指します。
キャンプ場からだと線路沿いの道ではないので、長閑な「海陽町」を歩きます。
キャンプ場のさらに奥には「ピクニック公園」があります。キャンプ場と同じような規模の公園です。浅川休憩所まで戻って歩きましたので見てはいませんが、ここでテントを張っても良かったかもしれない。
4kmくらい歩き海部駅に近づくと、再び国道55号に合流しました。ここまで来ればもうすぐ。
へんろ小屋は「ふれいあの宿遊遊NASA」の駐車場にあります。
宇宙を感じるようなデザインです。しかし、これは地元の天念記念物の「大うなぎ」をモチーフにした小屋とのこと。なるほど、そういわれると色遣いがうなぎです。うなぎのお腹のしたで休んでいる気分になります。へんろ小屋も一つひとつ面白いですね。
はじめはここでの野宿も考えましたが、お手洗いがないので断念。自販機はあります。
さて、ここで明徳寺に電話をしました。明徳寺の住職さんはちょっと変わった感じらしく、口調も強めとのことで緊張しましたが、普通の口調でした。
通夜堂はコロナで宿泊中止。やっぱりそうかーと落胆。
野根での野宿は厳しいので、第二希望の「おへんろハウスひるねざと野根」を予約することに。ここは電話番号がわからないので「お遍路ハウス四国88」というサイトでアカウント登録をして予約メールを送ります。
朝の9時前くらいにメールを送信。本当に大丈夫だろうかと心配になりましたが、返信がくるまで宿の管理人さんの電話番号はわかりません。まあ、最悪テントあるし。少し休憩して出発。
歩いているうちに「予約承りました。」のメールがきました。思っていたよりもしっかりとしたメールで、管理人さんに一応電話しようか悩みましたが、大丈夫そうだったのでそのまま歩きました。
「修行の道場」高知県へ
*へんろ小屋NASA~水床トンネル出口:7.4km*
次の目的地は「道の駅 宍喰温泉」。ここまで特に何もないので、ひたすら歩くのみ。
へんろ小屋から歩き始めて10〜15分くらいだったと思いますが、国道沿いに「海陽町那佐運動公園」がありました。
反対車線からなので、東家の屋根が見えるのみですが、ここも野宿スポットとして萩森リストに記載があります。Googleには登録されていないようなので出てきませんが、「お好み焼 小那佐」のちょっと先にありました。
詳しい情報はこちらのサイトに載っています。
海を見ながらひたすら。ここまで本当にがむしゃらに歩いてきたので、徳島県はあっという間でした。お寺の見方もよくわからず「あ、こんなのあったんだ…」の繰り返し。終わった頃に徳島県の記憶は何が残るのか。やっぱり焼山寺なのか。
高知県へ一歩一歩。
海にもいろいろな風景があります。
道の駅宍喰温泉が近づくとお店も出てきました。ウェットスーツが干されていたり、ROXYもあって完全に海の街に。
そして、到着。時間があるのでここで早お昼の休憩。まだ10時半。温泉入っちゃおうかとまで思いましたが、さすがにまだ10km近くあるのでやめておきました。
売店はこじんまりした感じですが、温泉のある「HOTEL RIVIERA」の存在感がすごい。売店には、ちょっとした野菜類やお弁当、お菓子など。「オムそば」がキラキラ光って見えたのでこれに決まり。ソース系ってときどき食べたくなります。隣にいたチーズケーキも思わず…。
外のテラスで海を眺めながら休憩。
まだお昼前で、あと10km弱。宿のチェックインが16:00なので、ここで1時間半程休憩していました。野根にカフェでもあればと思いましたが特に何もないので。
腹ごしらえと充分すぎる休憩をして出発。振り返るとこんな感じ。
ちなみに、この道の駅で野宿をした人が怒鳴られたとかなんとか、ネットに情報がありました。道の駅の近くに「へんろ小屋宍喰」があり、そちらは野宿できるようです。
反対車線にへんろ小屋発見。(左側電柱のところ)民家の中に立つ「墓地ビュー」のへんろ小屋。2階建てです。
曇り空になってきました。暑さが和らいで、今日はもうこれでいい。
1km程歩くと「水床トンネル」に着きました。このトンネルを抜けるところがちょうど県境になっています。
「トンネルのむこうは、高知県でした。」
千と千尋の神隠しチックに。
徳島県ありがとう!さようなら!
高知県にチェックイン!
逆光でうまく撮れない…。1人で車が来ないか確認しながら一生懸命標識撮っていて、すごい頑張ってる人になっていました。
静かに、密かに、修行の道場がはじまりました。
こんにちは高知県。海の駅東洋町
*水床トンネル~道の駅東洋町:1.6km*
高知県でまず目にしたのは「三谷組」。建設会社で、ここにはお遍路さん休憩所がありました。
ここも野宿スポットとして記載がありました。「三谷組休憩所」とリストに載っていて、何だ三谷組ってと思っていましたが、普通の会社でした。自由に使用していいようですが、会社の出入り口の横なので社員さんの出入りが気になりそう。
お手洗いは建物の中なのか、外にあるのかわかりません。出入り口はおそらく鎖が張られる感じなので、夜や早朝に利用できるかは微妙なところ。自販機があるのは嬉しいです。
高知県の地図がありました。室戸市はひたすら海沿いです。
もうしばらく歩くと「海の駅 東洋町」に到着。
道の駅であれだけ休憩しましたが、ここでも休憩します。今日はぼーっとする時間を大切にする一日。
正直、道の駅より楽しかったです。まず、食べ物が豊富。野菜類もそうですが、総菜やパンも結構売っていました。ちょうどお昼が終わった時間で残り物という感じでしたが、置いてあるものは全て美味しそう。軽食も食べられます。
道の駅か海の駅か、どちらか1つに寄るなら私はこちらを選びます。
東洋町の「野根スーパー」で夜ごはんを買おうと思っていましたが、唐揚げが美味しそうだったのでこちらで調達することに。入ってみないとわからないですね。
高知県に入るとゆず押しがすごくて、ジュースを一本買って海を眺めに行きました。
近くの東屋では3,4人のお遍路さんが談笑していました。宿泊まりのグループの様子。みなさんも今日は短めの設定のようです。
日差しが戻って来ました。足を開放しておマメの状態を確認しつつ、ぼけーっと。心地よい海風に吹かれながら、ゆずジュースをごくり。今年はコロナで海に行きませんでした。どこか島に潜りに行こうと思っていましたが、断念。青い世界に浸りたい。来年は行けるだろうか…。
結局ここでも1時間くらい、ほげーっとして出発。
この海の駅にはキャンプ場が併設されています。なので、キャンプ場以外の場所でテントを張るのは禁止。
令和3年4月より、料金も改定されるようです。1泊2日の料金が420円値上げ。このご時世、仕方ないですね…。
先輩お遍路さんのお接待
*海の駅東洋町~野根スーパー:5.7km*
遠くから見る海の駅。
歩道の安全地帯アピールがすごい。ありがたい。
海の駅を過ぎると「明徳寺」の案内看板が出てきます。でも、まだ5km以上先です。
途中に「コインスナック」。
いろんな自販機がありましたが、飲料以外はほぼ使用されていませんね。お菓子の自販は動きそう。
肉じゃがとか…どんな缶よ。
それよりもゴミが気になる…
さらにサーファー感の強い街になります。東洋町役場のある「生見」という街には民宿も多く、完全にサーファー用みたいな名前でした。ウェットスーツやらボードもたくさん干されていて。
あと3km程で野根。ラストスパートを歩き出すと、すれ違った車から
「お遍路さーん!!」と。
振り向くと中から男性が出てきました。少し戻りながら「こんにちは~」と近づくと
「おーっとっと、ソーシャルディスターンス!」と、ストップの合図をされました。
男性は、先月の9月下旬に3回目の歩き遍路を終えたという関西の方でした。「通し?歩き遍路楽しいで~。頑張りや!」と言ったあと、「これで美味しいもん食べな!」と言って、1000円札を差し出されました。
え!?
ビックリして反射的に「いやいや…」と断ると、すぐさま
「あかん!断ったらあかん!」と制されました。
この方もたくさんの感謝の気持ちに包まれたのでしょう。1分前にすれ違っただけの、見ず知らずの「ただのお遍路さん」というだけの人に、今の私は1000円札を差し出せるだろうか。気持ちの良いくらいスッと差し出したその仕草に感銘を受けました。
「美味しいものいただきます!」とお礼をいって、受け取らせていただきました。
最後に「握手はできないから肘タッチ!」と言われ、ガチっとタッチしてお別れしました。
恐るべし、お接待文化。人の温かさが人の心に与える影響はすごいと思います。「人間不信」なんていう言葉、へんろ道には無縁に感じます。もちろん、事件に巻き込まれて逆に人間不信になってしまうこともあると思いますが、そんなことは考えたくないほど素敵ない人がいます。
山でも仕草が粋で格好いい人がたまにいます。会社の同期と縦走中、休憩で山小屋に入るとたまたま同期が働くお店の常連さんがいました。「おー!来てたの?休憩?珈琲飲むでしょ?珈琲3つ。」と即座に注文。私ともう一人の同期のことなんか全く知らないのに…。こんな粋な大人になりたいなと常々思います。
ふと、そんなことを思い出しつつ、美味しいカツオのたたきを食べよう!と再出発。
いろいろある個性的な明徳寺
生見から野根までは3kmほど。
早速「室戸岬」の案内。
ただの東家。
相間トンネル。
野根に着いたというのは、車道に並んだ明徳寺の赤い旗ですぐにわかりました。どんなところなのか見てみようと思い寄り道。
ほお。
非常に個性的なお寺でした。本堂横の部屋の中からテレビの音が聞こえました。ここの住職さんはよく出かけているとお聞きしましたが、今日はいらっしゃるようです。
出掛けていると電話は繋がらず、通夜堂をお借りしたい場合、ここで帰ってくるまで待つということもあるそうです。朝の電話が繋がってよかった。
通夜堂がありました。ドアには宿泊中止の案内。風を通しているのかドアがちょっと空いていたので覗いてみました。2,3人くらい泊まれそうな広さで、綺麗な小部屋という感じ。残念だ。
明徳寺では無料相談も行われています。お遍路中に無料相談をしてもらったという方もいました。どんなことを言われるのかと思ったそうですが、真面目に聞いていただいてすごく良かったと仰っていました。
明日の朝ごはんを買いに「野根スーパー」へ向かいました。この街での食料調達はこのお店になります。
お遍路さんの「おもてなしステーション」になっています。
食料から日用品までいろいろ売っていました。道の駅で総菜を買ったので、牛乳と梨、行動食を追加で購入。梨は先日、車のお遍路さんにいただいた「新高」。280円で売られていて、果物一個として考えると高いですが、新高梨としては安いので購入。
レジに持って行くと「これ、食べごろちょっと過ぎちゃったかはプレゼント」と言われ、梨はタダでいただいてしまいました。スーパーでもお接待を受けることになり…本当に感謝しかありません。
今日の寝床に事件が・・・
*野根スーパー〜ひるねざと野根:550m*
Googleで「ひるねざと野根」を検索して歩きます。ネットにもあまり情報が載っていませんでしたが、とりあえず入口がわかりづらいらしい。
広い道路を歩き
細めの道に入っていく。
Googleで辿り着いたのは、JAの斜め向かいにある「営林署」。もう廃墟になっています。
え?ここ?営林署の廃墟ですけど…どこ?と、ウロウロ。
管理人さんに電話しようと思ったら「こんにちは~今日ここに泊まるの?」と声がしました。振り向くと、JAの制服を着た女性の職員の方でした。
事情を話すと「この建物は旧営林署で、宿はこの奥なんですよ。管理人さんいるかちょっと見てきてあげる。」と、見に行ってくださいました。
営林署の後ろ、同じ敷地内に白いアパートのような建物があり、これが「おへんろハウス ひるねざと野根」でした。確かにこれではどこから入るのか、どれが宿なのかわかりません。ちなみに入口はこちら側の白いドアではなく、反対側でした。
「管理人さんいないみたいだな~予約したんだよね?私、管理人の人と知り合いだからちょっと電話してあげる。」と。自分で電話すればいいのですが、「知り合いだから、いいよ」と。
JAに女性が戻ろうとすると、先程ご挨拶した、JAの駐車場でお話されている職員さんが「○○さん、さっき中入っていったよ?」と。
「でも返事がないんだよね~」と再度女性が見に行ってくださって。私はといえば、情けないくらいに突っ立ったまま。
「ん~やっぱり返事ないな~電話してみる」と女性が戻って来た時、管理人さんと思しきご高齢の男性が中から静かに出てきました。
あ、と思って「こんにちは、今日予約した者です。」と話しかけると「え?予約…?…今日は予約があるって聞いてないなあ…」と言われました。
へ?
おへんろハウスのHPからメールを送り、返事もきた経緯をお話しましたが、「えー…でもね、こっちには連絡きてないんだよ…。」と。
そんなーーーーーー。なぜ。
すると、やりとりを聞いていた女性職員の方がすぐさま
「え?なに?今日泊まれないの??じゃあ、ウチくる?」と。
え・・・?
え、ちょっと待って。今さっき会った見ず知らずの得体のしれない私を?そんなことある?と、困惑している間にポンポン話が進みます。
「予約はしたけど、○○さんには連絡いってないのね?泊まれないなら、ウチにおいでよ。大丈夫、怪しい者じゃないから!前もね、ドイツ人の女の子2人泊めたことあるの!」と、力強くお誘いを受けました。
管理人さんは、予約者がいないからと布団も干してないし、準備も何もしていないと。まだ困惑している私も「え、あ、でも、まあ、寝袋もテントもあるので、敷地に張ってもよければここで野宿でもいいので。それか、布団なくても部屋だけお借りできれば寝袋で寝ますし。」と言いました。
しかし「そんな、野宿なんて!ちゃんと布団で寝て?これも何かの縁だから!」と。
・・・・・。
ということで、女性のお宅にお邪魔することになりました。17時に仕事が終わるから待合室で待っててと言われ、JAの外の待合室に案内していただきました。
と、そこへ、管理人さんの奥さん登場。
「こんにちは、なんか、予約ができていなかったみたいで。ごめんないさね。」と謝られ。一応メールを見せてほしいとのことで、見せると「あーそうね、私の主人の電話番号で間違いないな。今後こんなことあると大変だから言っとかなくちゃね」と。
メールとか電話とか、自分たちでは予約の管理が大変だからNPOの方に予約管理は一切任せているとのことでした。予約が入るとご主人に電話がくるそうなのですが、着信履歴も残っていないと。
結局、そのまま女性の家でお世話になることで話はまとまりました。17時まで30分あったので「シャワーだけでも浴びていく?」と管理人さんに言われお借りすることに。
中は本当にアパートの一室。職員住宅とかだったのかな?
管理人さんが新品のタオルを持って来てくださいました。
JAの女性が「ドライヤーちゃんと貸してあげてね!」と奥さんに言っていたのでそれも渡され。しかし、動きませんでした。他の家電は電気がつくので、ドライヤーが壊れている様子。
「ドライヤー壊れているみたいです。」とお返しすると「あらー、ごめんね、ドライヤー使ったことなくて…」とのことでした。まあ、いいんですけど。
予約の手違いがあったお詫びにと、お茶とクッキーをくださいました。
シャワーから出ると女性の方が車を出して待っていてくださいました。
一瞬で寝床難民になり、一瞬で救出された私。1時間経ってもちょっと混乱気味でしたが、一先ず安心に包まれました。
15kmスキップ。Tさんのお宅へ
Tさんのお宅は「佐喜浜」でした。野根から15km室戸岬に向けて進んだ街です。明日は、野根から30kmの室戸ロードを一気に歩いて24番最御崎寺の宿坊へ行く予定でしたが、半分の15kmになりました。
JAの待合室で「全部歩きたかったらまたここに送ってあげるよ?」とまで言ってくださいましたが、元々6時に出発しようと思っていたので、そこまで迷惑はかけられません。佐喜浜から歩くことにしました。
野根~佐喜浜までの間は、室戸のへんろ道の中でも本当に何もありません。15kmくらい歩いてやっと自動販売機があるくらい。高知県の中では一番辛い道だと思います。車の中から歩くはずだった道を眺めていましたが、本当に何もありませんでした。途中、東屋が一つありましたが、お手洗いもないし。この区間での野宿はやはり厳しい。
私がウロウロしているとき、なぜあんなにタイミングよく発見されたのかを疑問に思っていました。その真相は、JAの前を通り過ぎるとき、駐車場でお話していた2人の男性にご挨拶しました。その方たちは、JAの職員さんと、もう一人は24番最御崎寺の住職さんだったと。用事でたまたまJAに来ていて、帰り際にウロウロしている私を見て「あの子、ちょっと困っていそうだから声かけてあげて」とJAの方にお願いし、Tさんが来て下ったということでした。
そうだったのか・・・。なんと、ありがたいお話。
旅をしていると不思議なことがたくさんあります。スペインを歩いたときもそうでした。怪我をして、あ~あれ持ってないな…というときに、ちょうどそれを持っている人が現れて助けられる。逆に、他の人が足を痛めてテーピングを持っていないときに私がお渡しする。さらにそこへ、整体師の人が現れてしっかりと応急処置。
そんな偶然あるの?と疑ってしまうほど「自分は人に生かされている」ということを実感せずにはいられません。
熊野古道で「あー疲れたな~」と座り込んだとき、、普段メールなんて送ってこない母から「大丈夫?疲れてない?」と突然メールがきたり…。
何かに必ず助けられ、支えられ。旅をしていて「生きている」と実感するのはいつもこういうとき。
帰宅途中に「今週末にコスモス祭りがあって、みんなでコスモス植えたからちょっと見て」と、コスモス畑を見せていただきました。
「張り切って種撒いたからギュウギュウになっちゃってね」と仰っていましたが、薄暗くなった一帯をパッと明るく染める一面のコスモスがとても綺麗でした。へんろ道にはコスモス畑がたくさんありましたが、私にとってはここが一番です。
Tさんは自分の母と同じくらいの年齢で、家にはご主様がいらっしゃって、突然の訪問を快く受け入れてくださいました。
ドライヤーが壊れていたために、「まず、乾かさなきゃね!」とドライヤーを貸してくださって、部屋を用意してくださり、「ごはんすぐつくるからゆっくりしてて」と…。
もう、正座です。野根に着いてから怒涛のような時間で。
夕食はすき焼きで、もう本当に美味しくて、美味しくて…。たくさん食べて~とたくさん盛ってくださいました。
前職の話やアウトドアの話で盛り上がり、なんと、ご主人は今私が住んでいる街に若い頃住んでいたことがあるということでさらに盛り上がり。すごいご縁。
食後の珈琲までいただいて、楽しくて仕方ありませんでした。
ご夫婦はお遍路さんだけではなく、旅人にとても優しい方でした。ドイツ人の女性2人は、1月に室戸岬へのヒッチハイクをしていて乗せてあげたそうです。野宿場所を聞かれ、東屋とお手洗いのある場所を紹介して別れましたが、冬の海で女の子が野宿だなんて…やっぱり放っておけない!とまた戻ったそうです。家に泊まるか聞くと頷いたので泊めてあげたと。
他にも、真夏のお遍路を歩いてる6人の男子学生に野宿場所がないか聞かれ、さすがに6人は泊められないからせめてシャワーだけでも浴びてと家にお招きしたり。
本当に人徳溢れる優しいご夫婦でした。温かい布団の中で、人としての「本物の優しさ」を考えていました。コロナの世の中で、どこから来たのかもわからない私を、何の躊躇いもなく「おいで」と言える懐の深さ。「優しい」で表すのはなんか違います。
ご夫婦はお二人とも佐喜浜のご出身。おそらく、子どもの頃からこの辛いへんろ道をあるくお遍路さんを見てきたはず。「助け合うこと」は、お二人にとってごく自然の、当たり前のことなのだと思いました。
人は助け合いながら生きています。もちろん、今でも。しかし、それが見えにくくなっています。お接待の文化は助け合いの文化だと思いました。四国ではそれがごく自然に行われ、しっかり根付いている。本当に素敵な場所です。
日に日に、感謝の心が増えていきます。歩いて四国の自然や文化を見てみたいと思い、ロングトレイルとして歩き出したものの、一緒にしてはいけないなと。しっかり歩いて、結願して、必ずご報告することを強く誓いながら眠りました。
いろんな偶然が重なった一日。15kmスキップする形になりましたが、全く後悔していません。こんなにも素敵な出逢いがあるなんて。関西のおじちゃんも、スーパーのご主人も、Tさんも、本当に感謝いたします。
明日は、Tさんご夫妻からお勧めされた場所に寄り道しながら24番最御崎寺へ向かいます。
★本日の歩行距離:20.5km
★累計:218.4km
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