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日本三大キレット「不帰キレット」白馬岳から五竜岳を歩く#2【不帰ノ嶮】

北 ア ル プ ス

2020.9.14 – 9.16

歩き人たかちです。

昨日は栂池自然園から歩き始め、白馬大池のロケーションに胸を打たれながら白馬岳頂上宿舎のテント場まで。

2日目は、日本三大キレットの一つである"不帰ノ嶮"を歩きます。"天狗ノ大下り"を急下降して一峰、二峰、三峰。そして、唐松岳頂上山荘のテント場まで。

後立山連峰に魅了されながら、今日も元気に歩きます。

行程
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1日目

天気:晴れ☀︎→ガス☁︎
気温:山頂12-18時→8℃
風:西南西 8m/s

栂池高原ー天狗原ー▲乗鞍岳ー白馬大池ー▲小蓮華山ー三国境ー▲白馬岳ー白馬山荘ー白馬岳頂上宿舎テント場

▲コースタイム:CT 7時間15分
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2日目

天気:晴れ☀︎時々ガス☁︎
気温:6時→3℃12時→8〜10℃

白馬岳頂上宿舎ー丸山ー鑓ヶ岳ー天狗山荘ー天狗ノ大下りー不帰キレットー一峰ー二峰ー三峰ー▲唐松岳ー唐松岳頂上山荘テント場

▲コースタイム:CT 7時間55分
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3日目

天気:曇り☁︎時々晴れ☀︎→キリ

唐松岳頂上山荘テント場ー大黒岳ー五竜山荘ー▲五竜岳ー五竜山荘ー西遠見山ー大遠見山ー中遠見山ーアルプス平駅ーエスカルプラザー白馬五竜駅

▲コースタイム:8時間35分

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白馬の稜線。頂上宿舎ー天狗山荘

*白馬岳頂上宿舎テント場ー鑓ヶ岳ー天狗山荘:CT 2時間40分*

なかなか賑やかだった夜が明け、ちょっと寝不足気味で4時20分起床。白馬岳で日の出を見ようと思っていましたが、白馬岳に登り返す気力もなく、睡魔に負けて二度寝。

5時過ぎ、テントの撤収を始める頃には空も明るくなり始めました。多くの人が白馬岳山頂か白馬山荘へ朝日を見に行っているようで。

今日は午前中まで風が残る予報で、10~12m/s。テント場は大した風は吹いていませんでしたが、9月も半ばになり朝のテント内は3〜4℃と冷え込みます。2週間前に30℃の霧ヶ峰を縦走していたのに一気に秋で、冬も間近。シュラフから抜け出すのが辛い時季になりました。

5時50分頃出発。稜線に上がると…

重厚感のある雲海が見事に広がっていました。

何度見ても感動する。今日の雲海は本当に歩けそうですね。

白馬岳山頂からの眺めも良さそうですが、白馬岳を眺めるのもよき。

白馬には、白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳の"白馬三山"が連なります。この三山の縦走も人気で、白馬岳を前方に見ながらが歩くのがおすすめと言われます。しかし、2020年は"雲上の温泉"として有名な「白馬鑓温泉小屋」が休業。猿倉からの周回はできなくなっています。鑓温泉小屋方面の分岐にはロープが張られていました。

テント場を出発してまず聳えているのが"杓子岳"。杓子岳には巻道もあります。

予定では三山縦走でしたが、鑓ヶ岳からいろいろ見ればいいかなと巻き道に行ってしまいました。

日影の巻き道を歩きます。白馬岳素敵だ。

朝の稜線歩きは本当に気持ちがいいですね。風が少し強めですが、雲上の散歩に気分がいい。

縦走は山が離れていく寂しさと、次の山へのワクワク感や足跡がのびていく嬉しさが入り混じり、感情がいったりきたり。それも醍醐味ですね。

白馬岳側から歩いたときの杓子岳下山地点に到着。登るとなると、ガレ場の急登です。

巻き道が終わる頃には、正面に鑓ヶ岳が聳えています。

鑓ヶ岳は、手前のピークっぽいところまで急なガレ場で、そのあと緩やかなガレ場。

ズル、ズル…と踏みしめながら。なかなか歩きづらい急登です。南アルプスの農鳥小屋から農鳥岳への登りを思い出しました。

 

あそこまで頑張ればもう少し。

杓子岳を白馬岳。杓子岳はがっつり登って下る感じですが、白馬岳の眺めが良さそうです。

 

緩やかに山頂へ。

 

鑓ヶ岳に到着!

一仕事終えた気分になってしまいました。ここからなのに。雲海は少なくなりましたが、まだモクモクしています。

「いい朝ですね~」と先行者のお兄さんが一人。縦走ではなく、写真を撮ってまた白馬岳の方へ戻るとのこと。

雲海がいい感じなので!と、写真を撮ってくださいました。風はビュービュー吹いていますがそんな雰囲気はどこにもなく、空と雲の境界が曖昧で柔らかい凄く素敵な写真。ありがとうございます。

歩いてきた稜線が丸見え◎

ここからザレ、ガレをダーッと下り、緩やかな稜線を歩いて天狗山荘へ。奥の雪渓があるところに山荘があります。

雲海が上昇を開始。キレットのときはどうだろうか。

ザクザク下ってきました。

白馬鑓温泉の分岐。ロープが張ってあり、通行不可。

稜線をルンルン歩いて天狗山荘に到着。

中でランプが光っている素敵な小屋です。ここのテント場は静かでとても良さそう。

水場もしっかりあります。補給。

小屋横にあるのは天狗池。ちょっとでも水があると不思議と落ち着きます。

ここに泊まって不帰ノ嶮を経て八方池へ下山したり、五竜山荘まで一気に行く人も多いです。

ご案内。

ここからヘルメットを装着し、エネルギー補給。靴紐からドローコード類など準備を整えます。ここは風がシャットアウトされて、太陽が温かく快適でした。30分程ゆっくりしてしまいましたが、9時半頃出発。

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大下り。天狗山荘ー不帰キレット

*天狗山荘ー天狗ノ大下りー不帰キレット(最低コル):CT 2時間*

昭文社の登山地図では、天狗山荘から唐松岳までのコースタイムは5時間。天狗ノ大下りを終え、不帰キレットの最低コルから唐松岳までのコースタイムは3時間。

不帰キレットからは、「一峰→二峰北峰→二峰南峰→三峰」と越え、唐松岳へ。

地図上にも危険マークがありますが、一番険しいのが一峰の下りから二峰です。二峰への登りは一番高度感があります。

全体的には、各峰を越えるために毎回登り下りのアップダウンがあるので、一息つきながら。三峰まで到達すれば唐松岳は目の前です。

白馬岳方面、唐松岳方面どちらからスタートしてもコースタイムは同じくらい。二峰の岩場と天狗ノ大下り、どちらを登りにするか下りにするかが一番大きな違いだと思います。

天狗の大下りはガレ場の急登で、それなりに長い。唐松岳側からだとここがラスボスとなり、体力勝負になりそうです。

以下、自分のタイムを参考程度に。速すぎず、遅すぎず、景色がいいところでは5〜10分立ち止まりながらです。

不帰ノ嶮コースタイム
———————- 
9:35    天狗山荘出発
10:18  天狗の大下りスタート
11:01  不帰のキレット最低コル
11:29  一峰
12:40  二峰北峰
13:01  二峰南峰
13:40  三峰
13:47  唐松岳

天狗ノ大下りまではなだらかな稜線歩き。危険箇所はないので、ヘルメットは天狗ノ大下りのスタート地点からでもよかった。

鑓ヶ岳も離れていきます。

唐松岳、そして明日の五竜岳に心が躍る。

 

しばらく歩いて天狗ノ大下りスタート地点に到着しました。

ガスがー…

 

見るからに"大下り"のガレ場。長いですね。登っている人たちがしんどそうです。

土も滑りやすいので、慎重に淡々と下ります。

包まれないでー

天狗ノ大下りが終わりました。登りはやっぱり大変そうだ。

この辺りが"不帰キレット"で、この先に最低コルがありますが、特に看板があるわけでもなく、10分もかからず最低コルに着いたので、いつの間にか通り過ぎている人も多いのではないでしょうか。

ちょっと通過してから「あ、ここだ」と振り返る。最低コルです。狭いです。

ここから一峰に向けて登り返していきます。

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不帰ノ嶮。最低コルー唐松岳

*最低コルー一峰ー二峰北峰ー二峰南峰ー三峰ー唐松岳:CT 3時間*

一峰までは最初に岩場をちょっと登り、そのあとはほとんどハイマツ帯を歩きます。ガスに包まれてしまいました。

一峰は最低コルから近かったです。特別危険箇所もなく到着。看板は不気味な感じになっていますが。

二峰が聳えます。

一峰とはまるで違い、ごつごつの岩場ですね。「俺がボスだぜ!」感がすごい。

微妙に透けているガスがエロかっこいい。昨日の白馬岳もそうでしたが、薄いベールを纏っているようで、幻想的とはまた違う感じがします。

一峰を下っていきます。地図上で危険マークがある場所です。天狗ノ大下りのあとなので短く感じる。

いやーいいですねー。むしろガスでいいかも。

 

下り切って登り返します。

二峰への登りは鎖がバンバン出てきます。

足を置きづらい箇所もあるので、鎖を利用しながら三点確保で登っていきます。

 

唐松岳側からの人と譲り合いながら。この辺りは道幅が一番狭いか。

岩場のときは"フィンガーレスグローブ"を愛用しています。

岩の細かい突起をしっかり掴むには、やはり素手がいいなと。ただ、完全に素手だと怪我をしやすいので、これを使っています。

鎖を掴んでも滑らないように、掌の部分は全面革のものを使用しています。滑り止めが点々と付いているものもありますが、ものによってはあまり機能しないことも多いので、全面滑り止めになっているものがおすすめです。

幅が狭い道を通りながら上へ上へ。

梯子はほとんどありませんでした。横に敷かれているものが一つ、三段の梯子が一つだけで、全体的に鎖がメインです。

 

ガスの中黙々と。すれ違いはほとんどありませんでした。歩いている人が少なかったのか、天狗山荘出発の人が多いのか。

二峰まで残り半分を切ったところに「不帰嶮」の看板がしれっとあります。

しかし、ガスなので下がどうなっているのかはうっすらとしか見えない。

看板のあともぐんぐん登ります。

一歩踏み出すとストーンといきそうな岩の隙間。はまっている岩がピッタリですが、崩れ落ちて残った岩かな?風化や地震でそのうち無くなるのかな。

はまっている岩まできたら二峰はすぐそこ。最後に鎖場を上がれば到着です。

二峰北峰に到着◎

三峰だと思っていたものは"二峰南峰"でした。二峰だもんね。北峰と南峰に分かれています。

奥の天狗ノ大下りをぐわーっと下り、一峰へ登り返す。そしてまた下って二峰まできました。

北峰から下って南峰へ向かいます。不帰ノ嶮を通過して一番の危険個所は終了。ここからはガレ場がメインとなり、大きな鎖場は特にありません。

岩場から急に緩やかな感じに。クールダウン。

右奥のピークが南峰です。

最後はザレ場をぐぐっと登ります。ここが地味に辛い。

二峰南峰到着◎

あとはラスト三峰を越えて唐松岳まで。しかし、ここからが意外に遠かった印象です。

まずは下ります。お決まり。

南峰を振り返る。

天狗ノ大下り。五竜岳方面から一気に縦走する人もいますが、あれがラストはなかなかキツイですね。

 

ここは登らずに脇を通ります。

 

 

あら♡ハート型。何かいいことがあるかもしれない。ここに足を乗せるのはなんとなくやめておきました。

正面が三峰のラストで、その奥のベールに包まれているのが唐松岳。

緩やかそうに見えて、何気にちょっときつい傾斜。

ここを登り切ると唐松の山頂も目の前ですが、三峰を示す看板はどこかにあったのだろうか。4人グループの方たちが登りきったところで休憩していたのでそのまま通過しました。

通過後振り返る。

唐松岳は目と鼻の先。通過後10分もかからませんでした。

唐松岳到着◎

やりきった感に包まれました。白馬岳頂上宿舎からだとアップダウン多めなので、天狗山荘出発が気持ち的には楽な気がします。その場合、八方池に下るのはいいけど、五竜岳までとなるとちょっと考えてしまいそう。なので、結果的にこれでよかったか。

三大キレットの中では、三点確保や鎖で進む岩場は少なめです。

暑いけど寒い秋ですね。完全にガスで真っ白なわけでもなく、かっこいい二峰も見たし十分満足。

このまま山頂で寝転びたいところですが、唐松岳のテント場は争奪戦なので、ある程度休んだら出発。

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下にのびる唐松岳のテント場。

*唐松岳ー唐松岳頂上山荘:CT 15分*

山荘まで15分前後。

唐松岳頂上山荘でテント泊をする場合は出来る限り早着が吉。ななぜなら、テント場が小屋の下の方へのびているから…。

山頂からもよく見えるくねくねした道。早く着けば着くほど小屋に近い場所を確保できますが、遅くなればなるほど下のエリアへ。一番下小屋まで結構かかります。

14時05分頃山荘に到着し、受付に直行してテント場へ。

八方池スタートの人たちで上の方は埋まっているだろうと思っていましたが、ある程度平な場所は案の定埋まっていて、石がゴツゴツ出ている場所が空いているのみ。あんまり下に行きたくないー…と思い確保した場所は小屋まで登り10分程の場所。

コロナで完全予約制になっていますが、予約不要日もあります。(HP参照)この日は不要日でしたが、テント場に行くと「ご予約済み」のプレートがちょこちょこ置いてありました。

「え、予約したら場所を確保できるの?」となりましたが、そのプレートはただ置いてあるだけで、"予約不要日には関係ない"とのこと。いちいち片付けるのが大変だから置いたままなのかな。

私も、後から来た人も「ここ予約済みだわ、もっと下かー…」となってキョロキョロしていましたが、近くの女性が教えてくれました。なんと紛らわしいことか…テント場の説明時に一言欲しいところですが、山荘も人が多く忙しかったのでしょう。

隙間に張って、あとはまったり。

秋らしい空。

 

小屋への往復を考えなければ、ロケーションは最高です。

テント場の終わりから登山道がのびています。地図には「至欅平」。

「山荘への用事は1回で済ませよう」という声があちらこちらから聴こえてきます。水、お酒、トイレ、歯磨きなどは全てまとめて。お酒も飲み過ぎないようにしようとか。

水は基本的にペットボトルでの購入です(500ml、400円)。煮沸して使う水は1Lいくらという感じで購入できると言われました。ペットボトルは回収してくれます。トイレは小屋のトイレを利用。

夕食を食べて17時半頃、水、トイレ、歯磨きのために小屋へ。「小屋へ行く」ではなく「小屋まで登る」ですね。

ついでに夕日を上から見ようと思いましたがガス。無理かなーと思いながら待っていると…

ちょうどいいタイミングでガスがパァーッと晴れました。ガスの夕日めっちゃ綺麗なんですけど。

太陽が沈む一時、晴れてくれました。小屋もテント場も歓声が湧きます。

沈んだあとはまたガスがやってきて、奇跡的な夕日鑑賞でした。しかし、ガスでオレンジの光がボヤーっとなっているのもとても綺麗だった。

ガスの中信じて待っていた人。ガスだからと小屋の中へ戻り、急いで出てきたときにはまたガスに包まれて見られなかった人。あんなに真っ白だったのにほんの一瞬だけ晴れて、しかもちょうど沈むタイミングで。本当に何が起こるかわからない。これだから自然はいいですね。

いい締めくくりでした。我が家へ帰ります。

南東方面の風があると、谷からヒュゥーーーッと吹き上げてきて、テント場は結構寒いです。幸い夕方には風が穏やかになったので、凍えるような寒さにはなりませんでした。

最終日の3日目は、五竜山荘まで稜線の続き歩き五竜岳をピストン、遠見尾根を下山します。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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