軽量コンパクトなレインウェア。モンベル「トレントフライヤー・バーサライト」

山 の 道 具

歩き人たかちです。

私が初めて手にしたレインウェアは、モンベルのアウトレット店で購入した「ストームクルーザー」。なんとなく購入したGORE-TEX製品です(なんとなくでしたが、モンベルの主力レインウェア)。

しかし、アウトレット品ということでそもそも年数が経っているし、山の楽しさだけに満足してメンテナンスもおろそかでした。

その後アウトドアメーカーでいろいろ学び、軽さや機能性、自分の体質、山行スタイルなどから再検討。現在持ち歩いているのはモンベルの「トレントフライヤージャケット」「バーサライトパンツ」。合わせて254g。

高価なものだけに失敗したくないレインウェア。長くなりますが、奥が深いレインウェアのお話と愛用品のご紹介です。

レインウェアの理解を深めるおすすめサイトは「山と道JOURNALS」。山と道の夏目さんとハイカーズデポの土屋さんの対談から始まり、素材や透湿性に関する研究がまとめられた全10編。マニアックな内容もありますが、とても勉強になります↓

レインウェア編 | 山と道 U.L. HIKE & BACKPACKING

レインウェアの言葉と機能

撥水性、防水性、耐水圧、透湿性、2レイヤー、3レイヤー・・・レインウェアには実に様々な言葉が登場します。

撥 水 性 と 防 水 性

混同されがちNo.1の「撥水性」と「防水性」。似たような言葉ですが、"水が浸透するかしないか"という大きな違いがあります。

撥 水 性
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「撥水」というのは"水を弾く"機能のこと。「弾く」であり「防ぐ」ではありません。生地の表面に撥水加工を施すことで水を弾き、汚れを付きにくくします。

撥水加工が施されたウェアは、水を弾くことで"一時的な濡れ"は防いでくれます。しかし、小雨でも長時間使用したり、短時間でも雨が強い場合はキャパオーバー。

画像出典:モンベル

撥水加工を施した生地の表面には"微細な毛(柱)"が付着しています。イメージとしては、葉っぱの表面や裏面に産毛がついているあの感じ。それが水の粒子や汚れをポンポン弾くことにより、生地に触れないような仕組みとなっています。

防 水 性
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「防水」は"水の侵入を防ぐ"こと。水を通さない生地(メンブレン)を追加することで、衣類の内側が濡れることを防ぎます。

基本的には表生地の下にメンブレンが追加されるため、表生地は保水します。表生地が保水しないよう施されるのが撥水加工です。

市販の「防水スプレー」は「撥水スプレー」であることもしばしば。このあたりが、防水と撥水を混同してしまう原因にもなっています。

耐 水 圧

「耐水圧」とは、"生地がどれくらいの水圧に対して耐えることができるか"を表す数値のこと。

レインウェアには「耐水圧〇〇mm」という表記があります。これは、生地の上に1cm四方の筒を乗せ、何 mmの高さまで水が沁み込まずに耐えられるかを基準にした数値。

画像出典:V&A JAPAN

耐水圧20,000mmは「1cmあたり20,000mm = 20m」の水圧まで耐えられるということ。登山用のレインウェアでは20,000mm以上が一つの目安となっています。

画像出典:ユニフォームネクスト

◾︎ 300mm = 小雨
◾︎ 2,000mm = 中雨
◾︎ 10,000mm = 大雨
◾︎ 20,000mm = 台風や嵐
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◾︎ 折り畳み傘 = 300〜500mm
◾︎レインフライ=1,500〜3,000mm
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◾︎ 座ったとき = 3,000 mm程度
◾︎ 膝立ち = 7,000〜10,000mm

傘やレインフライの耐水圧は低めですが、これらは生地をピンと張ることで水を受け流すので特に問題はありません。

山岳テントのフロアは1,500〜3,000mmくらいのものが多く、座っているときで3,000 mm程度の水圧がかかるので浸水します。そのため、雨の日はインナーシーツやグランドシートでの対策が必要になります。

衣類は生地の窪みに水が溜まったり、濡れた岩の上に座ったり、膝をついたり、ザックの重量で肩の部分が常時圧迫されていたり・・・

ただ着て歩くだけなら耐水圧が低くても問題ありませんが、どのような場面にも対応できるよう、アウトドアのレインウェアには高い耐水圧が求められます。

透 湿 性

透湿性は"蒸れを逃す"機能。蒸れは濡れに繋がるので、透湿性はとても大事な機能。

透湿性は"24時間で1平方メートルあたりどの程度の重さ(g)の蒸気を通すか"を測った数値が表記されています。

1000g=1L

「35,000g / ㎡・24hrs」という表記なら、24時間で35,000g(35L)、1時間で1,500g(1.5L)弱が放出される計算です。

代謝は個人差が大きいですが、夏場に激しい運動をした場合の平均値は1時間で1,000g(1L)前後。透湿性が24,000 mm以上であれば、数値上はしっかり放出することになります。

しかし、登山において汗の量は一定でないことがほとんどなのでキャパオーバーになることも。数値だけで判断できない要素も多々あります。

3レイヤー・2レイヤー

メンブレン(防水生地)に貼り合わされている生地の枚数によって、3レイヤー(3層) か2レイヤー(2層)かが決まります。

3レイヤー

画像出典:モンベル

3レイヤー = 表生地+メンブレン+裏地

2レイヤー

画像出典:モンベル

2レイヤー = 表生地+メンブレン

2レイヤーの場合、メンブレンが剥き出しの状態で肌に当たることになります。メンブレンの保護やペタペタする感触を軽減するために、メッシュ生地が付いていることも。しかし、これはメンブレンと張り合わされているわけではないので、層の数には含めません。

また、「2.5レイヤー」と呼ばれるものもあります。メンブレンにドットプリントを施し、生地表面に凸凹をつけることで肌離れをよくしているもの。点と点の隙間はメンブレンがむき出しなので「2.5レイヤー」という中間の位置づけとなっています。

2レイヤーは水蒸気が通過する生地や張り合わせるための糊など、通過の妨げになるものが少ないため透湿性が高くなる傾向があります。しかし、生地繊維の密度や糊の成分、塗り方も影響するので一概には言えません。

疎 水 性 と 親 水 性

レインウェアの生地には「疎水性」「親水性」の2種類があり、透湿のメカニズムが異なります。

ただ、あまり記載のないものなので、どちらかわからない場合がほとんど。カタログに小さく「親水性」と表記している場合もあります。

ちょっと特殊なのが親水性。親水性は「水と親しくする」という意味合いで、一度生地に保水してから気化します。そのため、着心地は濡れているような感じ。

画像出典:モンベル

モンベルのバーサライトジャケットが以前親水性でした(現在はGORE-TEX)。半袖の上に直接着るとペタペタ感があり、じんわり冷たさが伝わってくるような。親水性でもモデルによって違うと思いますが、個人的にはあまり好きではない着心地でした。

疎水性と親水性に関しては、山と道JOURNALS#2で詳しく解説されています。レインウェアを解明する上でも鍵となっている事柄で、このあたりの研究には力が入れられていました。

防 水 透 湿 性

「雨は通さないけど蒸れは逃がす」

画像出典:モンベル

防水透湿素材には「孔」という無数の微細な穴が空いています(*多孔質膜の素材の場合)。この孔は"雨や水滴より小さく、水蒸気より大きい"というサイズで、雨の侵入を防ぎながら水蒸気を放出します。

親水性の場合は一度保水して気化するメカニズムなので、この「孔」は存在しません。

「レインウェアといえばGORE-TEX」と言われていた時期もありましたが、防水透湿性の素材はどんどん進化しています。

◾︎ event
◾︎ ネオシェル
◾︎ パーテックシールド
◾︎ Outdry
◾︎ フィーチャーライト(ノースフェイス)
◾︎ドライテック(モンベル)
◾︎ エバーブレス(ファイントラック)
◾︎ オムニテック(コロンビア)
◾︎ ドライQ(マウンテンハードウェア)
◾︎THYPHON50000(ミレー)
◾︎ H2No(パタゴニア)
etc…

「GORE-TEX」と一言でいっても種類はさまざまだし、他の素材も然り。

カタログ以上のことがわからない中で、やはり山と道JOURNALS。#6では、レインウェア素材の「透湿性」「保温性」「透湿速度」に焦点を絞って研究しています。これがとても面白く、選ぶ際の一つの指標になると思います。合わせて、レイヤリングについての#8を読むと納得して選択できるのではないかと。

透湿は蒸れてから始まる

アウトドア用のレインウェアを初めて着たのは屋久島。強めの雨から始まり、丸一日降っていました。

「ゴアテックスって結構蒸れる・・・」

これがそのときの感想。当時は「ゴアテックス = 蒸れない」という認識でしたが、これが大きな間違いであったことを後々知ることに…

「透湿は蒸れてから始まる」

ウェアの中と外で気圧の差(着圧差)が生じることで水蒸気は移動します。つまり、蒸れないと透湿は始まらないということ。気圧の差が生じるまでのある程度の時間は蒸れるのです。

はじめは中が蒸れて暑くて脱いでしまいたかったのですが、いつの間にかその不快感を忘れていたのは透湿が進んだからなのか、屋久島への感動が大きかったからなのか。

ただ、気圧の差が大きいほど透湿は活発になるので、外の湿度が高い場合は中が蒸れてもなかなか透湿性を発揮してくれないという可能性もあります。

レインウェアの裏地の役割

レインウェアの大事な存在が「裏地」。大きな役割は、"透湿前の水蒸気を吸収する"ということ。機能性ばかり気にしがちですが、裏地にもさまざまな生地や工夫が施されています。

透湿が始まるまでは、ウェアの中で水蒸気がウロウロ。そんな行きどころのない水蒸気を裏地が吸収してくれます。もし裏地がなければペタペタするような肌触りになり、とても不快。長袖を着ていれば特に問題ありませんが、半袖の場合はせめてアームカバーをすることで解消されます。

もっとも、レインウェア嫌いである私自身は、夏の小雨程度なら腕まくりをして歩いています(アームカバーさえ暑い)。腕は濡れたとしても拭けばいいので。

ちなみに、レインウェアと組み合わせる素材は"ウール"が最適。ポリエステルは「吸水性」が優れ、ウールは「吸湿性」が優れています。蒸気は"湿気"なので、ウールの方がしっかり吸収。

これは靴下も同じ。靴下の中は基本的に蒸気が蔓延しているので、ポリエステルよりもウールの方が快適です(素材としての肌触りもウールが◎)。

レインウェアを着ているのに濡れる?

「レインウェアを着ていたのに濡れたんだけど、不良品じゃないの?」

アウトドアメーカーに勤めていたとき、レインウェア関連でよく対応していました。

メンブレンが破れていたり、シームテープが剥がれていない限り基本的には浸水しません。原因としては、以下の場合がほとんど。

◾︎ メンテナンス不足による透湿性の低下
◾︎ 手首などの隙間から雨が侵入

[ メンテナンス不足 ]

メンテナンスについて聞くと、「メンテナンスはしたことない。レインウェアって洗うの?」という回答が非常に多かったです。私自身も、何も知らない頃は洗っていませんでした。

雨を受けているだけなので、レインウェアが汚れるているようには見えないかもしれません。しかし、レインウェアの致命的な汚れは、汗や皮脂による汚れ。

このような汚れは、土汚れなどに比べて時間が経たないと目立ちません(黄ばんでくる)。しかし、皮膚からは水蒸気の汗が常に出ており、皮脂油も付きます。

メンブレンに汚れがつくと水蒸気が抜けていく孔が塞がれてしまい透湿性が低下。その結果、出ていけない水蒸気で身体が濡れます。

画像出典:モンベル

表生地には撥水加工が施されているので、汚れがつくことで撥水の柱はペタッと倒れてしまいます。そうなると水を弾かなくなり、表生地は保水します。保水することでこれまた孔が塞がれ、水蒸気は出ていけない。

レインウェアは使用したら洗濯することが推奨されています。短時間の使用でも、水洗いや濡らした布で拭いて綺麗な状態をキープすることが大切。

使用中のポイントとしては、ウェアについた雨粒などは振って落とすこと。手で払うように落とすと、皮脂汚れが付着して撥水効果を損ねる恐れがあります。

濡れないためにも、長持ちされるためにも、メンテナンスはとても大事。

[ 隙間から雨が侵入 ]

雨は隙間があればどこからでも侵入してきます。風が吹いていればあらゆる角度から襲ってきます。100%防ぐことは不可能ですが、できる限り隙間を無くしてあげることが重要。

◾︎ ファスナーを口元まで閉める
◾︎ 顔周りや裾のドローコードを絞る
◾︎ 手首のカフをしっかり留める

顔周りは特に雨が入りやすいので、ここを疎かにするといつの間にか上半身が濡れていたり。

ただ、口元に関してはどうしても隙間ができます。ジッパーをしっかり上げたとしても密閉されるような状態にはならないので、ここは結構盲点。

画像出典:山と道

山と道の「UL All-weather Hoody」はファスナーがなく、顎の下でギュッと締める仕様になっています。こうすれば、顔に当たった雨粒がウェア内に入らないと。確かに…

袖口のカフも、腕の上げ下げがあるような場面(岩場・鎖・ストックの使用)では特に水が侵入しやすくなります。

「濡れ」は"低体温症"の原因にもなります。適切なメンテナンスと使用で、レインウェアの機能を最大限活かすことが重要です。

メンテナンス

レインウェアは洗うことで機能性を発揮し、長持ちするアイテム。そして、メンテナンスの中でも大切なことは"熱処理"です。

[ メンテナンスの行程 ]

洗濯表示の確認

ジッパー閉める、コード類伸ばす

ネットに入れる

弱流水で洗う

すすぎ多め( 重要!)

脱水はかけずに陰干し

★ 熱処理

[  ネットに入れて弱流水で洗う  ]

画像出典:消費者庁

まずは"洗濯表示"の確認を忘れずに。

レインウェアは他の物と分けて単体で洗います。パーツが破損したり、生地が傷つかないようにジッパーはきっちり締めてドローコードは伸ばした状態で。ネットに入れて弱流水で洗濯開始。

緑のボトルが洗剤、青のボトルが撥水剤

洗剤は"中性洗剤"を使用。成分が極力抑えられているアウトドアウェア専用のものがベストです。家庭用のものでも洗えますが、成分は要確認。柔軟剤、漂白剤、香料、染料、蛍光剤などはダメージを与え、機能を損なう可能性があるためNG。

モンベル
ベースクリーナー
・界面活性剤20%
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
・ポリオキシアルキレンアルキルアミン
SUPER
NANOX
・界面活性剤54%
(ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル、
アルキルエーテル硫酸エステル塩、
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
・安定化剤
・再汚染防止剤
・pH調整剤
・酵素

同じ中性洗剤でも、家庭用とアウトドア用では成分がこれだけ違います。安定化剤はどうなのだろうか…何にせよ、成分が少ないにこしたことはありません。

アウトドア用のものは普通の洗剤よりも溶けやすくできているものが多いので、生地に洗剤が残りにくくなっています。粉洗剤は残りやすいので使用しない方がいいですが、もし使う場合は水によく溶かしてから。

界面活性剤などの成分が残っているとかえって水を呼び込んでしまうのと、生地が劣化してしまうので、すすぎは普段の洗濯よりも多め(+2〜3回)。

成分は非イオン系界面活性剤のみ!の「グランジャーズ パフォーマンスウォッシュ」。1937年にイギリスで創業したメンテナンス・ケアの専門メーカー。世界でもっとも厳しい基準、製造段階での環境負荷を抑えた製品に与えられる"ブルーサイン"の認定をメンテナンス・ケアのメーカーとして世界で初めて取得。

ブルー、グレー、ブラックと三段階のランクが存在し、ブルーは最高位です。他にも「ISO14001」も取得しています。

1977年の創業当初から環境保護を訴える「ニクワックス」。洗剤の「テックウォッシュ」は、合成界面活性剤を一切使用していない非合成系洗剤です。

特許成分である「Tx.10i(水溶性撥水ポリマー)」が微量含まれているようで、アイロンや乾燥機を使用せずとも自然乾燥で撥水効果を回復できるとのこと。

[    脱水はせずに陰干し ]

レインウェアの脱水はNG✖️

防水素材なので生地が水を通しません。脱水をかけるとウェアの中に残っている水で水風船のような状態になり、洗濯機がガッコンガッコン揺れて故障の恐れがあります。

そもそも保水の少ない生地なので脱水は不要です。すすぎが終了したら、そのまま陰干しへ。アウトドアギア全般そうですが、紫外線は生地を劣化させるので直射日光には当てない方がいいです。

[   熱 処 理  ]

熱処理はメンテナンスの中でもとても重要な行程。

汚れを落としただけでは、撥水効果は戻りません。洗濯後にしっかりと熱処理を加えることで、倒れていた撥水剤の柱がピンッ!と起き上がって撥水効果が復活します。

*シームテープの接着剤などの関係で、乾燥機やアイロンがNGの製品もあります。乾燥機やアイロンの温度なども異なるので、必ず洗濯表示をご確認ください

◾︎ タンブル乾燥
◾︎ 当て布でアイロン
◾︎ ドライヤー

一般的な熱処理方法は上記3つ。自宅の洗濯機でタンブル乾燥できれば楽ですが、コインランドリーでもOK。60度までなのか、80度までなのか、そもそも乾燥機NGなのかは要確認。

アイロンでの熱処理は必ず当て布を。「止水ファスナーやプリント部分には当てないでください」というような注意書きもあるので、洗濯表示とともに確認します。

ドライヤーを当てる場合は、10cmほど離して熱くなりすぎないように満遍なく風を当てます。

[   撥 水 処 理   ]

撥水剤を使用するタイミングは、熱処理をしても撥水効果が得られなくなったとき(撥水加工が落ちてしまったとき)。

撥水加工がある状態で撥水剤を使用すると、もともとの撥水成分を邪魔して効果を損ねる可能性があります。

レインウェアとともに撥水剤を購入する方もいますが、はじめから使用するのはNG。"熱処理をしても水を弾かない"という状態になったときの武器。トレントフライヤーは5年ほど経ちますが、まだ使用していません。

*生地が薄いものは、厚いものに比べて撥水加工が取れやすい傾向にあります(薄い生地は加工しづらい)。

撥水剤は主に、スプレータイプとつけおきタイプの2種類。

[  スプレータイプ  ]

◾︎ 手軽で簡単
◾︎ 傘や靴にも使用できる

◾︎ つけおきよりもムラになりやすい

陰干しで乾燥させたあと、全体に満遍なく噴射します。近すぎると一点集中になってしまうため、15〜30cmほど離して使用。手軽で簡単にできますが、つけおきタイプに比べるとムラが出やすいです。レインウェア意外にも幅広く使用する場合はスプレータイプが便利。部分的に使用したい場合も◎

[  つけおきタイプ  ]

◾︎ ムラなく加工できる
◾︎ 裏地が吸水素材の場合は使用不可

◾︎ 中綿入りの製品には使用不可

洗濯後、濡れた状態でつけおきの行程に入ります。各ブランド規定の使用量と時間があるので、要確認。つけおきが終了したら、陰干しで乾燥させます。ムラなく加工できますが、吸水素材(裏地なども)が使われている場合は吸水性能を損ねてしまう恐れがあるため使用できません。

*濡れた状態で使うリキッドスプレーもあります。裏地に吸水加工がある場合はこちらで。

どちらのタイプも、最後に熱処理を加えることで撥水効果がしっかり回復します。熱処理をしなくてもOKという撥水剤もあります。

注意点として、撥水剤のつけすぎはNG。撥水成分が重なりすぎると成分の向きが綺麗に揃わなかったりするので、十分な効果が得られません。生地が白くなるほど吹きかけたり、規定以上の時間つけこむことは✖️。

また、スプレータイプの場合は素材によって生地が白くなることがあります。特に、アウトドア製品ではないものに関しては要注意。目立たない場所で一度試した方がいいです。

「高級ブランドのバッグにかけたら真っ白になった」という大きなクレームを受けたこともありました…

レインウェアの寿命は使用頻度や環境、メンテナンス状況により変わります。メンブレンの劣化よりもシームテープの剥がれによる買い替えも多いです。少し剥がれたくらいなら自分で修理も可能。生地の状態がよければメーカーで貼り替え修理ができます。

ーーー 保管と長持ちのポイント ーーー

レインウェアの保管は直射日光が当たらず、風通しのいい場所でハンガーにかけて。スタッフバッグに入れたままだと生地や止水ファスナーが傷みます。また、持ち運びのときにいつも同じたたみ方だと折れ目の癖がついてその部分(止水ファスナーは特に)が傷みやすくなることもあります。面倒ですが、たたみ方を変えるのがポイント。

昔に比べると撥水力は弱い

現在販売されている撥水剤の多くは、昔に比べて撥水力が低下しています。

撥水成分には「C8」というフッ素化合物の使用が主流でした。しかし2000年頃、C8系のフッ素を生産する際に環境や人体に悪影響を及ぼす可能性のある物質が排出されているということで、より安全とされる「C6」や「C4」、あるいは「非フッ素」に切り替えられるようになりました。

「C8」も「C6」も初期の撥水性能は同じですが、メンテナンスを怠ると撥水効果に差が出てきます。例えば、「10回に1回洗っていたものを5回に1回洗う」など、今まで以上に気を遣う必要があります。

洗濯によるダメージと汚れによるダメージどちらが大きいかといえば、やはり汚れ。使用したら洗濯することが長持ちの秘訣です。

↓参考にPEAKSの記事を↓

PFCフリーってなに? 変化の時を迎えた、シェル素材の撥水加工。 | PEAKS, ギアガイド
防水透湿性シェル素材が正しく機能を発揮するために欠かせないのが撥水加工。現在、環境に配慮した「PFCフリー」技術の登場で、撥水加工は大きな過渡期を迎えている。そ

レインウェアの選び方

サ イ ズ

レインウェアは衣服の上に着るものなので、多少ゆとりのあるデザインとなっています。

◾︎ 大きすぎずぴったりすぎず
◾︎ 腕や肩の突っ張感
◾︎ 裾の上がり具合
◾︎ 腕の長さは手の甲にかかる程度
◾︎ フリースなどの防寒着を着れる
◾︎ パンツもしっかり吟味

ゆとりがありすぎると隙間からの水の侵入が多くなり、風も入り込みます。ストレッチ性がないものがほとんどなので、腕や肩を回して突っ張りがないか確認してちょうどよいものを。

また、ハシゴや岩場を考慮して"手を挙げたときにお腹が見えないか"をチェック。腕の長さは、手の甲が少し隠れるものであればハシゴや岩場、ストック使用時にちょうどいい長さになります。

防寒着を着込んでも問題ないよう、フリースなどを着て試着するのがおすすめです。

レインパンツは蔑ろにされがちですが、パンツこそしっかり吟味すべきもの。足を上げたり、屈んだときに足首が見えないか、膝周りの突っ張りはないかなど。パンツの下にサポートタイツなどを履く場合は3枚重ねになるので、動きやすさは要確認。

*レインパンツは足を上げても登山靴に被る長さがいいですが、雨の日はスパッツを必ず使用するという場合はピッタリの方が収まりがいいです。

フ ー ド

 

ドローコードをギュッと締めて顔まわりの隙間や頭を動かしたときのズレ・フィット感などを確認。

ヘルメットを被る登山をする場合は、ヘルメットの上から被ることができるかは必ずチェック。

ちょっとしたひさしが役立ったりするので、デザインも重要です。

ベ ン チ レ ー シ ョ ン

ベンチレーションの有無はお好みで。

夏場の使用が多い場合、ベンチレーションで一気に換気ができると蒸れ感がだいぶ変わります。

脇の下にジッパーがあるタイプが主流ですが、換気用の穴があいているものも。動きに合わせて開閉し、蒸れが外に逃げるシステムになっています。

ジッパーが気になる場合もあるので、硬さや位置も確認。

ポケットの有無・位置

軽量化を図りポケットがないものから、胸ポケットが1つ、左右のポケットが2つなどなど。

私が使用しているモンベルのトレントフライヤージャケットは胸ポケットが1つ。レインウェアを着るときはサコッシュをザックにしまうかレインウェアの内側に入れるので、ちょっとした行動食やスマホを入れています。

ウィンドシェルとして使うこともあるので、個人的には一つでもあると便利だなと。パンツに関しては不要と感じていますが、そのあたりも使い方次第。

ドローコードやカフの機能

フード以外にも、裾のドローコードや手首のカフなど細かく確認。

ギューッと締めたときのフィット感もですが、"緩めやすさ"にも注目。パーツの大きさや仕様によっては緩めにくいものもあります。手袋をした状態でもドローコードの扱いがスムーズか確認するといいです。

手首はマジックテープ式のカフであったり、ゴムであったり。どちらにせよ、ここをしっかり締められるかは水の侵入に関わるのでとても大事。

フ ァ ス ナ ー

ファスナーは「止水」「フラップ式」があります。止水ファスナーが主流になっていますが、フラップ式のモデルも少ないながら健在。(*止水ファスナーは完全防水ではありません)

浸水の原因にもなるファスナーを排除した、被るモデルもあります。換気の調整ができるので私自身はファスナーありが好きですが、複雑なパーツができる限りない方が故障の心配はなくなり、その分軽量にもなります。

ファスナーが2つ付いていて、上下どちらからも開けられるモデルも(換気に◎)。

裏 地

上記でも記載しましたが、裏地はとても重要な存在。

裏地の有無と素材によって着心地や蒸れ感が変わります。肌触りは要チェック。

*詳しくは「レインウェアの裏地の役割」をご覧ください

縫 製

防水性が高く、軽量化が図られているものは縫製が少ないデザインになっています。

画像出典:モンベル

できる限り縫製をなくしたパターンを各メーカー試行錯誤。縫製が多いとシームテープ処理が多くなり、その分重量が増える。そして、浸水の可能性も高くなります。

軽いものだと100g前後で、生地の軽量化はこれ以上あるのか?というところまで進化しています。その上で"どこまで縫製を少なくできるか"という進化もすごい。

カ ラ ー

色は"視認性"に関わる機能性。

さまざまな場面で視認性がいいのは赤や青。ガスの中での赤は視認性が抜群です。紅葉期には混ざり気味になることもありますが、概ね目立つ色。

青は自然界の中で"違和感"があります。自然界の青は空か小さな花くらいないので、青が見えると「なんだろう?」と思います。たまにあるブルーシートやゴミなども青だとすぐにわかる。

アースカラーのウェアはかっこいいですが、アースカラーだけに混ざりやすい。遭難などの万が一を考えるのであれば、カラーも重視。

モンベルのレインウェア

私が現在愛用しているレインウェアは、モンベルの「トレントフライヤージャケット」「バーサライトパンツ」です。

トレントフライヤージャケットは、2モデルくらい前のもの。現行モデルはさらに軽量になっています。

レインウェアの買い替えにあたって重視したのは以下2点。

◾︎ 夏場に快適なもの(ピットジップがほしい)
◾︎ 背負っている時間が長いので軽量なもの

日本の夏は雨が多く、使用頻度も圧倒的に夏が多い。そのため、暑い時期でも快適に着られるかは重要でした(レインウェア嫌い)。

そして、基本的に天気の良い山を選んで歩くので、そもそもレインウェアとして使用することが少ない。どちらかというと防寒着にすることが多く、そうなると荷物として背負う時間の方が長いので軽量化も重視しました。

雨でも楽しい北八ヶ岳や屋久島などは気にせず歩きます。

トレントフライヤージャケット

 

◾︎ 耐水圧50,000mm以上
◾︎ 透湿性44,000g/m²・24hrs(JIS L-1099B-1法)
◾︎ 軽量コンパクト

◾︎ ピットジップで換気◎
◾︎ 蒸れると多少ベタつく
◾︎ 薄さゆえの破れやすさ

Women’sのXSで実測185g( 旧モデル )。

*現行モデルは縫製箇所が少なくなり、シームテープの幅も細くなっているためさらに軽量になっています。

ピットジップは脇の下に。ガバっと開く縦の長さは約23cm。

「止水ファスナーが脇の下にあると気になる」という人もいますが、私自身は特に気になりません。それよりも、ここからガバッと換気ができることが魅力的。脇は蒸れやすい部分なので、ダイレクトに空気の流れを感じられるのはとても快適です。

ただ、全開にすると閉めるのがちょっと面倒。腕を上げて反対の手でファスナーを上げようとしても上がりません。3分の1くらい残しておけばスムーズに閉まりますが、全開でもスムーズに上がると嬉しい…

トレントフライヤーは軽量化するために一度ピットジップがなくなりましたが、モデルチェンジでまた付けられました。「ピットジップが欲しい!」という声が多かったのですね。

旧モデルのトレントフライヤージャケットは「GORE-TEX PACLITE®」の2.5レイヤー。裏地はなく、薄いフィルムで保護者されています。

内側の表面は若干凸凹になっています。凸凹が全くないよりは肌離れがいいかもしれませんが、半袖の上から着て中が蒸れ出すとベタつきを感じます。

上記「裏地の役割」の項でも記載しましたが、裏地のないものは長袖やアームカバーの状態で着るのがよいです。

現行モデル(2022.9時点)は「GORE-TEX PACLITE®Plus」。新しく耐摩耗加工された裏面には、追加のライニングは不要という仕様。モンベル社のカタログでは2レイヤーとなっていますが、GORE社のHPでは2.5レイヤーになっています。

モンベルの「ストームクルーザージャケット」に使用されている「GORE® C-KNIT™ Backer Technology」の裏地は、しなやかでサラサラしていてとても気持ちがいいです。軽さとピットジップでトレントフライヤーを選びましたが、着心地と耐久性を重視するようであればストームクルーザーがおすすめ。

ポケットは胸に一つ。iPhone SE2がすっぽり入ります。縦18cm、横10cmくらいの大きさ。

ポケットは一つあると便利だなと思います。防寒で着ているときに手を入れようとして、「あ、ポケットないんだった…」となることはいまだにありますが。

手首の部分はカフとゴムで半々の仕様。

カフをぎゅっと締めても、ゴムによって窮屈さや締め付けられている感じが軽減されます。

細かいポイントとしてはサイズ表記のところにループがついており、カラビナなどで吊るしておけます。

裾のドローコードは内側についていますが、これがいまいちスムーズに締めることができず気になるポイント。しかし、現行モデルは改良されてスムーズになっています。

フードには顔周りの他、後頭部にドローコードとカフがついています。

顔周りを調節後、後ろのドローコードで首周りのフィット感を調節、そして、最後にカフでひさしの上下を調節。

ひさしは控えめです。もうちょっとほしい…という方もいるかと。ひさしの長さは顔に雨が当たるか、顔周りから水が侵入するかなどに関係しますが、大体帽子を被っているのであまり気にしていません。帽子は濡れますが…

軽量モデルのレインウェアは生地が薄いため、耐久性の低さは否めません。転倒や引っ掛かりで破れることは念頭において使用。特にパンツは破れやすいので要注意。藪漕ぎのような登山道でも使うようであれば、耐久性を重視した方がいいです。

◾︎ 雨天の使用は最低限
◾︎ 荷物率が高いので軽量に
◾︎ 本格使用でも問題なし
◾︎ ピットジップで換気◎

自分の山行スタイル、重視する点に合致したのがトレントフライヤーでした。

↓モンベルHP レインウェア ↓

https://webshop.montbell.jp/sp/goods/list.php?category=1000

バーサライトパンツ

パンツはモンベルの「バーサライトパンツ」。こちらも旧モデルです。

モンベルのレインウェアの中で最軽量モデルの「バーサライト」。以前はモンベル独自の防水素材でしたが、モデルチェンジをして「GORE-TEX INFINIUM™ WINDSTOPPER® PRODUCTS」が採用されました。

◾︎ 耐水圧30,000mm以上
◾︎ 透湿性43,000g/m²・24hrs(JIS L-1099B-1法)
◾︎ とにかく軽い、軽すぎる。
◾︎ 仕様は必要最低限

◾︎ 透湿性の高さ
◾︎ 裏地はペタペタ
◾︎ 耐久性は低い

軽量化重視、ハイキング使用、ロングトレイル使用、天候の悪い日はあまり山を歩かない人に◎

Women’sのXSサイズで実測 69g という圧倒的な軽さ。

現行モデル(2022.10時点)は裾にジッパーが付いて、靴を履いたままの着脱がしやすい仕様になっています。しかし、それにより重量が20gほど増えました。

350mlのペットボトルよりも小さく、細い。

ウエストは紐とゴム。前立てのジッパーはないし、紐も最低限の仕様。ループで干すことは可能です。

裏地は、乾いている状態ではサラサラした肌触りですが、蒸れると一瞬でペタペタするだろうなという感じ。トレントフライヤーよりもペタペタ感があります。

しかし、パンツなので気にしていません。素足のハーフパンツスタイルの場合はちょっと気になるかもしれません。

裾はドローコードでギュッと締められます。

膝裏には縫製があり、立体裁断となっています。登山用のパンツほどの立体感はありませんが、足上げや屈んだときの突っ張りは特に感じません。

裾に破れあり。

耐久性はトレントフライヤーよりもさらに低いです。ジャケットよりもパンツの方が破れる可能性は高いですが、レインパンツはギリギリまで履かないタイプなので割り切ってバーサライトを選びました。

寝るときや朝日を見るときの防寒着として使う方が多いので、どこで破れたのかは不明。ちょっとした引っ掛かりや擦れで空いてしまったのかも。パンツは破れたら補修すればいいか程度の気持ちです。

リペアシートにはGORE-TEX専用のものがあり、GORE-TEX以外の修理で使うリペアシートとは異なります。

https://webshop.montbell.jp/sp/goods/disp.php?product_id=1124151

天気が悪くても決行、その上で岩場やハイマツ帯の道も歩くという場合はかなりデメリットになります。

基本的に天候が悪ければ行かないけど、突然の雨や万が一に備えて持ってなければいけない。軽さ重視の方はもちろん、背負うアイテムにしがちな人、ハイキング中心という人などは検討の価値ありのモデルです。

↓バーサライトパンツ Women’s(旧モデル)↓

https://webshop.montbell.jp/goods/disp_fo.php?product_id=1128595

ま と め

モデルもたっくさん、値段もピンキリ、調べれば調べるほど何がいいのかわからなくなりがちなレインウェア。

◾︎ 重視する機能は何か
◾︎ 使用頻度はどうか
◾︎ どんな山行スタイルか

これらに一つひとつ当てはめて選択肢を絞っていくのがいいと思います。おすすめ品がその人の身体に合うとは限らないので、十分に試着検討を。

長年使用するアイテムだからこそ、まずは「レインウェアとは?」という奥深い世界から。山と道JOURNALSを読んでから検討することをおすすめします◎

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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