2021.10.31(日)
天気:曇り☁→晴れ☀
気温:最低10℃/最高21℃
歩き人たかちです。
昨日、祖母山から阿蘇に移動。今日は、南阿蘇鉄道沿線に沿ってゆるりと散歩しながら、根子岳の前泊基地である"鍋の平キャンプ村"を目指します。
南阿蘇鉄道は、2016年の熊本地震により甚大な被害を受け、一時は全線運休となりました。現在も立野駅~中松駅間は運休のままで、復旧に向けて尽力されています。
魅力あふれる南阿蘇鉄道沿線を歩いてみたいと思い、一日散歩の日に。鉄道の各駅には週末限定で営業するお店も多いので、休日のお散歩がおすすめです。
◾︎JR肥後本線
阿蘇駅(6:52)→立野駅(7:20)
立野駅→長陽駅→加勢駅→阿蘇下田城ふれあい温泉駅→塩井社水源→南阿蘇水の生まれる里白水高原駅→中松駅(12:15)-トロッコ列車-南阿蘇白川水源駅(12:27)→白川水源→高森町
◾︎高森町民バス(色見環状線)
フレイン高森(15:01)→前原(15:32)→鍋の平キャンプ村
*バスは右回り、左回りがあります。今回は右回り。
▲歩行距離:約19km
*高森町民バス*
長閑な南阿蘇
*立野駅~阿蘇下田城ふれあい温泉駅:8km*
夜明け前の静かな朝、道の駅で買ったパンを珈琲とともに。
今日も噴煙モクモク。
街が目覚めた空気の中駅へ行くと、超高級列車"ななつ星"が停まっていました。濃いブラウンに「SEVEN STARS」の文字が輝く・・・かっこいい。今はなき北海道への寝台特急北斗星に乗った時はとても興奮しました。料金は比べ物になりませんが、寝台列車は浪漫。
それを横目に普通の電車に乗り込み立野町へ。
走り出して間もなく、車窓は霧の中。昨夜は雨が降ったため、外はしっとりしていました。
急勾配のスイッチバックをして立野駅に到着。ここはカルデラの外と中を繋ぐ場所。
かっこいい鳥瞰図。立野駅から立野峡谷を渡り、カルデラに入ります。
立野ダムの眺め。建設途中の工事現場を見ることができるスポットがありました。
"長陽大橋"を渡る予定でしたが工事中で通行止め。少し遠回りをして"新阿蘇大橋"を渡ります。
しっかり歩道があるので安全です。
大分県からはスーッとカルデラ内に入りましたが、こちら側は溪谷になっているので入り込んでいく感じが強い。熊本市方面からの車も続々とカルデラの中へ。なんだか吸い込まれていく感覚。
通行止めの長陽大橋を上から。
渡り切ると溪谷を見下ろす展望台。ツーリングやサイクリングの休憩場所でもあるようです。
長陽駅を目指しますが、辺りは再び霧の中。歩道がないところも多いので車に注意。霧のときは特に注意。
長陽駅には"久永屋(ひさながや)"という休日限定のカフェがあります。シフォンケーキが人気のお店。ちょうど日曜日なので楽しみにしていましたが、営業は11時から。さすがに11時に合わせていたらこの先が遅くなるので、今回は断念。夏にはかき氷もあるようです。
かわいい駅舎。昔ながらのポストがいい雰囲気を醸し出している。
*久永屋*
次なる"加勢駅"までは1.4km。少し晴れ間も出てきて長閑な南阿蘇が姿を見せてくれました。
とてもシンプルな加勢駅。伐採作業中だったので、外から見るだけ。
外輪山も山容を露に。アップダウンが多い縦走路とのことですが、見るからに多そうです。全長は30km程。荒れていて不明瞭な箇所もあるようですが、カルデラ全体を見られる区間だけでも歩いてみたい。ヒルのいない真冬にでも。
阿蘇山は雲の中。
再び国道を歩いて"阿蘇下田城ふれあい温泉駅"に到着。お店が開いているような時間ではないので、ここまでサクサク歩いてきました。
駅名の通り温泉があるのですが、現在休業中。駅は閉まっていますが、駐車場からホームに入れたのでちょっと見学。
ここ、外輪山がとても綺麗に見えます。思わずホームに座り込んで休憩してしまいました。静かで、長閑で、豊かな南阿蘇。
山の麓の方にはパン屋さんも多く、サイクリングで回ってもよかったなあと思いました。気になるお店が沿線から遠い…
カルデラにいることを実感して、次の駅へ。
南阿蘇の水源
*阿蘇下田城ふれあい温泉駅-中松駅:4.4km*
国道を歩いていると"おみくじ小屋"なるものが。「珍百景登録ならず」という悔しそうな幟が風に旗巻いています。
中は子連れの家族で賑わっていたので外からチラ見しただけですが、手作り感のある面白そうな空間でした。
阿蘇といえば湧水。南阿蘇には水源が点在していますが、その中のひとつ"塩井社水源"に向かいました。おみくじ小屋の前から400m程阿蘇山側に入った場所にあります。
水路脇にある素敵な東屋。国道から少し離れるととても静かで、外輪山の展望もあり休憩にとてもいい場所。
珈琲とお菓子だけ持ってまったりできる東屋、家の近くに欲しいな。
水路に流れる水の透明度が半端ない。水草も気持ちよさそう・・・
↓塩井社水源前の水路↓
水路に沿って行くと鳥居があり、奥に塩井社。こじんまりした神社で雰囲気がいい。漫画に出てきそうな場所。
神社の横に水源がありました。写真だと色が微妙ですが、綺麗な水色に木漏れ日がキラキラと。
水源には地元の子どもたちが集まり、何やら生き物を捕ろうと自作の釣竿や網で遊んでいました。
子どもの頃にスルメイカでザリガニを釣ったり、よくわからない小さな魚に興奮したり、そんな思い出が懐かしく蘇る風景。子どもが自然を相手に夢中で遊んでいる姿は残り続けてほしい日本の風景。神社というのがまたいいですね。
国道へ戻り、お散歩の続き。
"南阿蘇水の生まれる里白水高原駅"に到着。
この駅は、読み仮名22文字の日本一長い名前の駅とされています。
そんな駅もこじんまりしたかわいい駅舎。田園の先に外輪山。復旧が待ち遠しいですね。
再び国道へ戻り、復旧して電車が走る"中松駅"へ。
長陽駅で久永屋のシフォンケーキを食べられなかったので、ここで腹ごしらえ。中松駅には"ひみつ基地ゴン"という、これまた金土日の週末限定のお店があります。
駅内もかわいい。ガチャガチャや阿蘇の湧水が。
おもちゃがいっぱいのひみつ基地へ。
中はカウンター7席(コロナのため使えない箇所あり)と4人掛けのテーブル席が一つの小さなお店。
窓からはホームの向こうに外輪山。
ここの名物は「ゴンのカレー」や「湧水コーヒー」。カレーは、辛口の"猪の燻製カレー"と辛くない"鹿と蕎麦の実のキーマカレー"の2種類。
キーマカレーのセットをいただきました。辛さが欲しい場合は、辛味噌を加えてくださいとのこと。セットの小鉢やスープは季節やそのときどきで変わるようです。
これが、どれもこれも美味しいくて美味しくて◎
セットのデザートは湧水コーヒーゼリー。
阿蘇の水で作られる素材の味は抜群でした。開店直後に行ったので座れましたが、週末限定ということもありお昼頃は混みます。また、電車の到着時間は駅に人が群がるので、時刻表も要チェック。
*ひみつ基地ゴン Instagram*
中松駅から高森駅までは復旧した南阿蘇鉄道が走ります。平日は基本的に普通の電車ですが、休日はほとんどがトロッコ列車。観光列車になります。
ちょうど中松駅12:15発の列車があったので、白川水源のある南阿蘇白川水源駅まで乗ってみることにしました。
ただし、始発の高森駅以外から乗る場合は予約ができず、席が空いていたら乗車可能とのこと。乗れるか乗れないかは到着して車掌さんに聞かないとわかりません。高森駅から往復で予約する人が多いようです。
ホームで到着を待ちながら大分県のご夫婦と談笑。山の格好をしていたため声を掛けられました。
ご主人は九重の水掛山に毎日登っているとのこと。九重が毎日登山の山だなんて、なんと素敵なことか。私が登ったときは紅葉がまだでしたが、昨日30日は最高だったと写真を見せてくださいました。たった3日しか違わないのに・・・と、自然の移ろいの早さと難しさを改めて実感。
到着したトロッコ列車がかわいいことかわいいこと。
小さい子たちがキャーキャー嬉しそうにホームに降りてきました。ひみつ基地ゴンでは、列車の到着に合わせてコーヒーゼリーやプリンがお店の外で売られるので、それを買う人も。
今日はハロウィンなので、車内もハロウィン仕様でとても賑やか。
車掌さんに尋ねると「座れますよ」とのことで、座席を指定され乗りました。本来であれば訪日の人も多いし、途中駅から予約なしで乗車するのはやはり難しいそうですが、コロナ禍ということもあり満席にはなっていませんでした。とはいっても、若干空きがあったくらい。
ひみつ基地ゴンの人たちに見送られ、たった二駅ですが南阿蘇白川水源駅まで。
近くにある水源など、説明の入る場所では速度を落としたり。10分ちょっと南阿蘇の風を浴びました。季節が最高だから、もう最高。
お隣の"阿蘇白川駅"には柴犬の駅長さんが到着に合わせてお出迎え。これはかわいい。
地元の人が手を振ってくれたり、ほのぼの。
あっという間に"南阿蘇白川水源駅"。せっかくならもっと乗りたいところですが、キャンプ場で湧水珈琲を楽しむためにも下車します。
ここにも駅カフェが。"駅Café倶利伽羅"。ここはハンバーガーがメインのお店のようです。
ここで下車した目的は"白川水源"。駅名にもなっているくらい有名な水源で、美味しい湧水をお持ち帰りできます。南阿蘇に来たからには湧水コーヒーをやらなければ、ということで寄りました。
国道を歩いてすぐに到着。入口には物産館もありました。
白川水源は保全のために協力金100円を払って入場。
入るなり早速水を汲む人たちの姿。
水源の方へ。こんこんと湧き出す無色透明の無垢な水。毎分60トンだそうで、火山の恵みです。
↓白川水源↓
汲み場に戻り、まずはその場でゴクリ。冷たくて美味しい…1Lのボトルと500mlの魔法瓶いっぱいに汲ませていただきました。持ち帰り用のペットボトルも販売しています。
水大国日本。水があることは豊かな印。
目的を果たし、最終駅である高森駅を目指します。
根子岳もよく見えるようになり、この辺りから見る外輪山がまたよい。ぐるりの風景。
↓外輪山ぐるり↓
カルデラは熊本県の一部ですが、カルデラの中はひとつの国のよう。ここだけの不思議な時間が流れています。
阿蘇に暮らす人たちは、このカルデラに入ると「帰ってきた」と思うとのこと。部外者ですが、外輪山に囲まれている安心感のようなものをなんとなく感じます。
高森町には"高森湧水トンネル公園"という、トンネルの工事跡を利用した公園があり、中を見学することができます。目の前まで来ましたが、入場料がかかるのでチラ見で。
高森町内はコミュニティバスが走っているので、それを利用して鍋の平キャンプ村に一番近いバス停「前原」まで行くことにしました。
根子岳の麓。鍋の平キャンプ村
キャンプ場は南阿蘇休暇村と迷いました。休暇村は施設が充実していますが、その代わり値段も高く、チェックアウトが11時。根子岳の登山口までは3.6kmで、早朝に出てもちょっと忙しくなりそうなのでやめました。テントを担いで登るのも嫌だし…荷物を預かってもらえるかは不明です。
時間はあるし、阿蘇五岳の中で少し離れている根子岳はゆっくり登りたかったので、チャックインチェックアウトがフリーでリーズナブルな鍋の平キャンプ村にしました。静かそうで、根子岳の眺めもいい。
スーパーのフレイン高森店前からバスに乗れるので、食料を調達してそのままキャンプ場に向かいます。その前に、根子岳のおやつを買いに"阿蘇カフェSOSUI"へ。
ケーキなどのスイーツ中心のカフェですが、クッキーなども販売しています。
ここで買ったブランデーケーキと厚めのクッキーたち。今日と明日のおやつ。
*阿蘇カフェ SOSUI*
町民バスに乗り「前原」で下車。ここからキャンプ場までは1kmほど。車道を緩やかに上がっていきます。ついに、根子岳のギザギザした山容が目の前に迫ってきました。
キャンプ場の近くには"GARDEN CAFÉ YAMA"というお店がありますが、現在休業中。カレーが美味しそうでしたが、残念。
くまモンかな。
到着。
管理棟には犬がいました。券売機があり、ここで入村料と持ち込みテントの券を購入。それぞれ500円で、合わせて1000円。管理棟に人はいませんでしたが、テントを設営しているときに管理人さんが戻り、軽トラで券を回収しにきました。
到着したときはツーリングのソロキャン男性が一人。後からソロキャンの方がもう一人。今日は3人だけでとっても静か。
炊事棟。
炊事棟でツーリングの方とお話しました。何度かここに来ているという九州の方で、このキャンプ場は平日が最高だと。今日は日曜日で、私が到着した16時頃はどっと帰ったあと。
土日は結構賑わうようで、今日も夕方まではたくさんの人が楽しんでいたとのことです。完全に平日の場合は誰もいない可能性もありそうな雰囲気。
夏のハイシーズンは予約制となるようですが、それ以外は完全フリーで自由なキャンプ場。周りにお店もないし、住宅もないし、とにかく静か。自分だけのキャンプを思いっきり楽しみたい人には文句なしの環境です。
全体的に緩やかな傾斜となっているので、できる限り水平な場所で設営。テントからの景色も良い感じ。柵の向こうでは放牧がされているので赤牛がウロウロしています。
↓翌日の爽やかなキャンプ村↓
暮れゆく晩秋のキャンプ場で、白川水源珈琲とブランデーケーキをいただきます。今日一日を振り返るのにぴったりの空気感。ここにしてよかった。
他2人がしんみりと焚火をしている中、虫と鹿のBGMに浸りながら就寝。九重、祖母山に比べたら温かく、九合目小屋と同じく爆睡でした。
*鍋の平キャンプ村*
南阿蘇の風を浴びながらとても清々しく歩けましたが、いいなあ~と思ったお店が遠かったり、時間的に行けなかったりしたので、次回はサイクリングで2日くらいかけて周りたいです。魅力的なパン屋、カレー屋、カフェ、温泉などがたくさん点在しています。
九州の山旅も明日で終わり。最後に阿蘇五岳のひとつである根子岳に登り、九州とお別れ。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
コメント