2021.10.9(土)-10.10(日)
天気:晴れ☀/山頂は時々ガス
気温:キャンプ場15℃/山頂8℃
風:南西 7~10m/s
歩き人たかちです。
各地で紅葉や冠雪の便りが届く中、10月中旬に選んだのは巻機山。どの時期がいいのかな~なんて考えているうちに、なんだかいつも訪れるタイミングを逃していました。
巻機山麓キャンプ場が10月中旬までの営業なので、ラストチャンスとばかりにパッキング。キャンプ場に前泊し、井戸尾根コースを往復する1泊2日の山旅です。
六日町駅(13:40)-バス停「清水」(14:10)-巻機山麓キャンプ場(徒歩で20分程)
*運賃¥480+荷物料金¥100(27L以上のザック)
キャンプ場-井戸尾根登山口-五合目-六合目―前巻機山(ニセ巻機)-巻機山避難小屋-井戸尾根コース分岐-▲巻機山-牛ヶ岳への道を半分歩いて引き返す―巻機山-井戸尾根コース分岐-巻機山避難小屋-前巻機山-六合目-五合目-井戸尾根コース登山口-キャンプ場
▲コースタイム:8時間30分
巻機山麓キャンプ場
巻機山へのバスは新潟県の六日町駅から。南越後観光バスの"清水線"に乗車します。
*南越後観光バス*
終点の「清水」までのバスは午前中、午後、夕方の1日3本。13:40発のバスまで時間があるので、最寄り駅から鈍行で向かってみました。(バスよりも安かった)
相変わらず車には乗りませんが、バスとか電車に乗ってぼーっとする時間はとても好き。山を歩いているときは時間やスピードを把握したり、五感も働いているので、生活の中で"本当に何も考えない時間"はとても少ない。でも、そんな時間にいろいろなひらめきがあったりするので、何もしない、考えない時間というのはとても大切。窓からの風景を永遠に見ていられる性格なので、乗り物として相性がいい。
最寄り駅にSuicaで入場し、六日町駅でチャージしたお金から清算してもらおうと思っていましたが、六日町駅にはカードを操作する機械自体がないとのことで、結局現金で支払い。「清算済」という紙をもらい、帰りに越後湯沢駅で履歴を消してもらいました。
Suica以外のカードは使えるけどSuicaは使えないという駅ではその場で履歴を消したり、チャージから引き落としてもらえますが、"カード類は何も使えません"という駅ではこうなる、ということを知らずに生きていました。無人駅は無理ですが、駅員さんが常にいる駅ならカードを操作する機械があると思っていました。反省。
六日町駅では"パンのウチヤマ"という、ローカルなパン屋さんに寄ろうと思っていましたが、残念ながら休業中でした。
駅前の商店街には食事ができるお店やカフェがチラチラあったので、早く着いても特に困りません。
近くにコンビニもあるし、駅前には"六日町駅前ショッピングセンター ラ・ラ"という、スーパーの入った施設があるので、ここで食料を調達。キャンプ場の水は生水のためそのままの飲用は不可。煮沸か浄水する必要があります。今回は家から担いでいきました。
13:40のバスに乗った登山者は6人。ほとんどがキャンプ場利用者。バス停の周辺に宿もあるし、六日町駅近くにも巻機山への往復送迎を行っている宿があります。
*六日町ヒュッテ*
30分ほどでバス停「清水」に到着。この辺りの宿は山菜料理が美味しいとのことなので、宿泊まりも良さそうです。
バス停からキャンプ場までは約1km。歩いて20分くらい。
車道をくねくねと登ります。キャンプ場の標高は700mほどで、最低気温もまだ15℃くらいあり登っていると少し暑い。最近までアルプスを歩いていたので、寝床の標高が2000m低いとなるとさすがに温かさを感じる。
橋を渡った先がキャンプ場となっており、14時半到着。すでにテントを準備している車組の人たちも。車ごと乗り入れられるので、オートキャンプの人も多いです。
基本的にどこもフラットなので、座り心地の良さそうな丸太が転がっている場所に設営。誰かが使った石もあるし。ペグはうまく刺さったり刺さらなかったりする感じでした。
時間が経つにつれオートキャンプの人たちも増えてきました。平日はそこまで混まないと思いますが、ちょうど土日なので続々と。しかも今日の天気が微妙なので、明日の日曜日に集中しそうな雰囲気。
自炊場。この自炊場をフル活用して本格的なキャンプ料理を作っている人たちもいて、いい匂いが漂っていました。
とりあえず、駅前のお店で買ったクッキーで珈琲タイム。
キャンプ場のトイレは絶賛工事中で使用できませんでした。そのため、桜坂駐車場のトイレまで登らなければなりません。
キャンプ場から駐車場までは遊歩道がのびていて、7~8分登ります。車道から上がる場合は10分くらい。
遊歩道を少し登った場所にもサイトがあります。しかし、広い空間の両端に1張ずつのみ。車では上がれないし、自炊場の近くに集中するのでこちらはとても静かです。
桜坂駐車場のトイレも新設されたものでとても綺麗でしたが、登山者が多いとトイレットペーパーがない場合があるので、持って上がった方がいいです。
17時頃行くと予備のトイレットペーパー含めすべて使い尽くされていました。山のトイレではいつも持ち歩くのでセーフ。さすがに往復はしたくない。ご注意ください。
巻機山麓キャンプ場は夕方頃に管理人さんがサイト料の集金にくるとの噂でしたが、トイレのついでに駐車場で払いました。管理人さんが来た気配はなかった・・・。バッジがあるか聞くと「今日は売り切れちゃった。明日になったらまたあるよ。」と言われたので、明日の下山時に。毎回ある程度の量を上げているようです。
17時を過ぎると自炊場のあるサイトはいっぱいになっていました。こんなに泊まる人がいるとは思っていなかった。
フラットだし、芝は気持ちがいいし、何より気温がちょうどいい。寒くもなく暑くもなく、心地良すぎてここ最近のテント泊の中では一番深く眠りました。
朝の山。キャンプ場-1564m地点
*キャンプ場-桜坂駐車場-五合目-六合目-1564m地点:CT 2時間20分*
5時半くらいでいいか・・と思って4時半頃起床。3時頃目が覚めて外を見ると満点の星が輝いていました。
テントを撤収しないのでノロノロ準備。お隣のご夫婦は風の音で全然寝られなかったようで、2人とも1時間くらいしか寝ていないとか。爆睡していた・・・
5時20分頃キャンプ場を出発。まだ暗い。同じくバスに乗ってきた人たちは出発したのかしていないのか。桜坂駐車場へ行くととんでもない台数の車があり、次から次へと入りこんでくる。空きを探すのは諦めて路駐っぽい人もいるし、大人気の巻機山です。
トイレは男性側が列を成していました。女性側に列はなく、男性が混んでいるという通常では逆の光景。トイレットペーパーは相変わらずないまま。
5時半過ぎに"井戸尾根コース"をスタート。
徐々に空は明るくなっていますが日の出はまだ。樹林帯はまだまだ暗い。写真も撮れないし無心で登ります。
四合目。
歩いていると、ひじにビリッ!だか、チクッ!だか痛みを感じ見てみると、イモムシがTシャツの袖にくっつき、上半身をブラブラさせていました…噛まれた?イモムシって噛むの?イモムシが噛むって聞いたことないけど…見た感じ毛のない子でしたが、細かい毛があって刺された?
はらおうとするも後脚の方が生地にしっかりくっついて離れず、木の棒を近づけて移ってもらいました。ひじには若干血が滲み、あとから痒みも。とりあえず水で洗い消毒と薬。開聞岳のときのように毛虫じゃなくてよかったですが、秋も虫には要注意。暑くて半袖でした。
6時頃には樹林帯も明るくなりました。ずっとこんな道を歩いてきました。
五合目に向けて少しずつ急になっていきます。
五合目。ちょっと休めるようなスペースがありますが、先客がいたのでそのまま先へ。
ここから一気にブナ林になります。
この辺りはまだほんのり色づいているくらいですが、とても爽やか。
足下は滑りやすさを増していました。粘土質でただでさえ滑りやすいのに、ソールに土がついてさらに滑りやすい。
昨日登っていた人が、雨が降って大変だったと話していましたが、これは雨の日大変ですね。
一瞬ひらけたところで六合目に到着。太陽はまだあちら側。
葉っぱが色鮮やかになっていきます。
傾斜が緩くなってきたところで"1564m地点"に到着。ここで一気に視界が開けます。
爽やかー◎。ここで一旦休憩。今日は風が強めなので、汗をかいた身体が冷やされていく。樹林帯を登っていると暑いけど、開けると一気に寒い秋の山。
ここから熊笹の急坂を経て、まずは前巻機山、通称"ニセ巻機山"へ。
ガスは芸術。六合目-ニセ巻機山
*六合目-前巻機山(ニセ巻機山):CT 1時間30分*
六合目を上がっていくと、滝雲パラダイス。
この芸術を喜ぶべきか、早く晴れてくれと願うべきか・・・「今」がとても綺麗なので喜びます。流れてなくなりそうで無くらならない。刻々と形を変える姿に目が離せない。
傾斜は増して急坂に。
しかし、振り向くとこの景色。斜面の紅葉が美しい。谷と尾根がくっきりはっきりした山並みも素敵です。
足元は相変わらず。
正面の色にもやられる。秋の巻機山、最高じゃないか。
階段になりました。この辺りからガスったり晴れたり。なかなかガスが綺麗に消えてくれませんが、青空が見える度に立ち止まる。
でも、ガスとか雲とかあるから風景はかっこよくなります。
秋と雲の芸術に頭をあっちこっち動かして登っていたら、あっという間に"ニセ巻機山"。巻機山も行程が長いといわれますが、秋はやっぱり登りやすいなあと実感。
山頂まで残り1時間。
草もみじ。ニセ巻機山-巻機山
*ニセ巻機山-巻機山避難小屋-巻機山:CT 1時間*
ニセ巻機山から先は草もみじの世界。
ガスに一面はオレンジ。白にオレンジ。平ヶ岳を思い出す…
真っ白でも綺麗だし、青空でも綺麗だし、結果すべて綺麗。
太陽頑張れー。
ガスがパアーっと晴れるとみんな一斉に立ち止まる。前から後ろから「見えた!」という声が聴こえてきます。
木道を歩いてすぐに避難小屋に到着。立派な避難小屋です。中は人がたくさんいるようなので、特に覗きませんでした。
立ちながら少し休んで、山頂へ。
いいロケーションですね。
ルンルンで進み出したものの、出発してすぐの階段にパンパンに膨れ上がった…ヒル!!!
うわ、なんかヌルッとした何かが落ちてる…と思ったらヒルでした。誰かの血を吸ったあとなのか丸々太っちゃって…
全く気にせず歩いていたのですが、巻機山には結構いるようですね。梅雨時期は特に…避難小屋周辺はだいぶ寒くなっていますが、まだ活動しているようです。
ヒルは4〜11月頃までという大雑把なことしか頭に入れていませんでしたが、7℃以上で活動するとのこと。25℃以上で最も活動的になります。
写真を撮りましたが、気持ち悪いのですぐに消しました。
気を取り直して階段を上がり
木道を歩き
また階段。なんとか晴れているうちに。
8時30分、到着▲
なんとか奥も見える。
牛ヶ岳方面のガスが微妙な感じですが、ちょっと行ってみます。
笑う池塘。牛ヶ岳引き返し‐避難小屋
*巻機山-牛ヶ岳途中まで-巻機山-避難小屋:CT 1時間5分*
牛ヶ岳方面へ進んで行くと、風がさらに強くなりました。
うーん…やはりダメか…
牛ヶ岳まで半分ほど進みましたが、風は寒いし真っ白だし引き返しました。牛ヶ岳に行ってきた人に聞いても「真っ白でしたね…」とのことで、紅葉をじっくり楽しみながら下山します。
巻機山名物"笑う池塘"。
草もみじでオレンジになり、ハロウィンのカボチャのようなお顔。これは青空が似合う。
巻機山に戻りました。今日は多くの人で賑わっています。
他の登山者の方とお話をしながら休憩。そろそろ下ろうかなというときに、「テント場のお姉さんですよね?」と話しかけられました。昨日同じバスに乗っていた女性の方。
すごくかわいい方ですが、大きな望遠レンズのカメラを持っていてすごくかっこいい。何時に出たのか聞くと、なんと3時。爽やかに「ナイトハイクしました!」とのこと…爆睡していました。すでに牛ヶ岳も割引岳も行かれたあとでした。
早朝は牛ヶ岳も晴れていたそうで。私はどちらかに登ろうと思ってなんとなく牛ヶ岳と思いましたが、お姉さんは「割引岳がすごく良かったですよ!」とのこと。また登る機会があれば割引岳に足をのばそう。今日は下山します。
縦走や周回ができる山は違う道を歩くので、ピストンは久々。
草もみじを楽しみつつ避難小屋に戻りました。山頂は風が寒かったので、ここで大休止してお腹を満たします。
まだまだ続々と登山者が登っていきます。
テント場にいたご夫婦も下山途中で休憩されていました。人が多くて話しかけられないとわからないですね。
下山の紅葉。避難小屋-1564m地点
*避難小屋-1564m地点:CT 40分*
下山時になってもガスったり晴れたり。山頂は予報ほど天気がいい訳ではありませんでしたが、ニセ巻機山から下は天気がいい。
本当に綺麗ですね。
すたこら歩いてニセ巻機山。
下山時はここからの景色が見えました。
反対側は真っ白。
いい眺め◎
登ってきた急坂をどんどん下ります。
色とりどりの斜面がとても綺麗。上から見るのと、その中を歩いているのでは印象がだいぶ違います。こんなに紅葉していたのか。開けた下りは気分爽快。
太陽が移動して全体の色がパワーアップ。
1564m地点まで戻ってきました。
とっても気持ちがいいので、ここでも大休止。ここは風が通りますが、朝と違い日が当たって温かい。
ここから樹林帯に入ります。朝は薄暗かったブナ林を爽やかに。
色を楽しむ。1564m地点-下山
*1564m地点-六合目-四合目-登山口:CT 1時間55分*
お楽しみのブナ林を下っていきます。
樹林帯に入ると風がとても爽やかに。ちょっと暑いくらいで、山頂ではあれだけ寒がっていた風がほしいくらい。
色の混ざり合いが楽しい。
この葉っぱを見ると、いつもりんごが頭に浮かびます。丸い葉っぱで赤くなるからか、美味しそうに見える。
朝とは森の印象が違いますね。
水色と黄色。素敵だなあ。
いつも通り、進みません。森大好き。
朝はねちょねちょとぬかるんでいた地面も、日が当たって乾き始めていました。朝のような滑る感覚はあまりなく、快適に下っていきます。
ブナ、気持ちがいいー◎
なんて爽やかなブナ林なのでしょう。
五合目。今回も先客がたくさん。そのまま下ります。
人の少ないところで立ち止まって深呼吸。
紅葉期の土日はとても賑やかなので、静かに歩くのであれば平日が断然おすすめです。
四合目。
ヘッドランプで歩いていたこの辺りの樹林帯もとても爽やかです。
12時30分、登山口に戻ってきました。
牛ヶ岳は残念ながら引き返しましたが、六合目を過ぎてからの展望は素晴らしかったです。それに加えて池塘、草もみじ、木々の紅葉。秋をフルコースで味わいました。
標高は2000mに届きませんが、樹林帯と森林限界、両方を存分に楽しめるので、とても満足度が高いと思います。巻機山もファンが多い山です。
避難小屋があるので無理に日帰りしなくてもいいし、あえて1泊2日にして朝一の山頂と牛ヶ岳、割引岳へゆっくりと足を運ぶのもいい。日帰りで3つの頂は少々時間がかかりますが、巻機山は牛ヶ岳と割引岳をセットにすることで、よりいい山旅になると聞きます。避難小屋のロケーションもよかったので、次回は泊まってみたい。
ぜひ、ブナ林で深呼吸を◎
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
コメント
巻機山は40年ほど前の学生時代、5月の連休、親友と二人で上越線・土合駅を起点に、白毛門、笠ヶ岳、朝日岳に登り、延々と残雪の国境稜線を北上して、終着点としました。笠ヶ岳から12時間以上かけて夕暮れ近くにスッポリ雪に埋もれた避難小屋の二階窓から何とか入って、二階にテントを張り暖かく眠ることができました。至仏山から北上、平ヶ岳、丹後山、越後沢山、下津川山を延々と辿ってきたという猛者二人組と二つのテントです。まだ残雪の巻機に登る人の少ない時代で、翌日は登り返して牛ヶ岳を往復、ガスってきたので小屋に戻り、一面の残雪とガスの真っ白な中、慎重に井戸尾根を辿って清水に下山しました。残雪の上に他の登山者のトレースはなかったです。それから思うと、秋の巻機の繁盛ぶりは驚くしかありません。またその代赭色に輝く湿原・池塘・草原の美しさもこの上ないものですね。こんな混雑さえなければ、私もぜひ再訪してみたいです。空前とも言える登山ブームのなか、昔のように独占できる至福の山も、少なくなってきたのかも知れません。