2022.4.30
歩き人たかちです(@takachi_aiina)
4月下旬、まずは新緑の時季に!と思っていた、大菩薩嶺から続く尾根"牛ノ寝通り"へ。
ブナを中心とした広葉樹林の森が延々と続く緩やかな尾根。距離は長めですが、新緑と紅葉の時季は特に気持ちよく歩けます。
百名山「大菩薩嶺」の陰に隠れがちのコースですが、広葉樹林の道を長く、静かに歩きたい人にはかなりおすすめです。
気温:大菩薩嶺7℃ / 石丸峠10℃
風:北北西6m/s→北西4m/s
上日川峠ー福ちゃん荘ー(唐松尾根)ー雷岩ー▲大菩薩嶺ー賽ノ河原ー介山荘(大菩薩峠)ー石丸峠ー榧ノ尾山ー牛ノ寝ー狩場山ー大ダワ(棚倉小屋跡)ーモロクボ平ー小菅の湯
▲ コースタイム:約7時間
▲ 歩行距離:約17km
「大菩薩嶺・牛ノ寝通り」公共交通機関のアクセス
*バスの時刻や行き先などは最新情報をご確認ください
出典:daibosatsu-kankou.com
バス:栄和交通
甲斐大和駅(7:45)-上日川峠(8:30)
*GWなどの繁忙期は臨時便が出ています
【復路】
バス:富士急行バス
小菅の湯(15:15)-上野原駅(17:10)
*15時台の「奥多摩駅行」のバスに乗車予定でしたが、バスの時刻を間違えていたため、上野原駅行に乗車
大菩薩嶺の最寄りのバス停「上日川峠」への便は、土日祝の運行。"平日は特定日のみ"です。
特定日以外は塩山駅からの山梨交通を利用し、「大菩薩峠登山口」から。
出典:daibosatsu-kankou.com
大菩薩嶺に登らず「牛ノ寝通り」に入る場合は、バス停「小屋平(石丸峠入口)」で下車。
大菩薩嶺から歩ける「牛ノ寝通り」概要
「牛ノ寝通り」とは、大菩薩嶺の東側にのびる長大な尾根の名称。ぐっと下る(登る)箇所もありますが、全体的に大きなアップダウンはなく、平坦な場所もあり、長い距離で緩やかに続いています。
コース上はブナを中心とした広葉樹林に覆われ、新緑や紅葉期は爆発的な美しさ。しかしながら歩く人は少なく、平日は特に、静かな山歩きを楽しめます。
「牛ノ寝通り」は石丸峠から奈良倉山あたりまでを指すようですが、正確には決まっていないそう。名前の由来もよくわかっていないという、何ともふわふわした尾根。
大菩薩嶺側から歩く場合、山頂2,056mから「小菅の湯」の720mまで標高差は1,336m。長い距離をかけて徐々に標高を下げていくので、とても歩きやすいです。
標高差があるので、新緑や紅葉の見頃は場所によって差があります。歩いた4月下旬は、1,500m以上はまだ冬景色、1,300〜1,500mあたりが芽吹き、1,300m付近が一番見頃でした。
全体的な新緑は5月中旬頃がいいのではないかと思いますが(その年の気候による)、標高差がある分、季節の移り変わりを楽しめます。
大菩薩嶺側から歩けば牛ノ寝通りは基本下りなので、日帰りの場合は大菩薩嶺側からがおすすめです。小菅の湯からの登山者にも会いましたが、テント泊の方々でした。
百名山「大菩薩嶺」から「牛ノ寝通り」の新緑を堪能
上日川峠-大菩薩嶺
上日川峠ー福ちゃん荘ー雷岩ー大菩薩嶺ー雷岩:CT1時間40分
3回目の大菩薩嶺。GWに訪れるのは初めてで、バスの混雑を恐れていました。繁忙期は臨時便が出ますが、どれほどの人が押し寄せるのか。
平日ガラガラの松本行の電車も、休日は席の取り合い。甲斐大和駅に到着し、ドアが開くなりダッシュする人多数。人気の山に休日登るのは大変だ。
トイレに寄るとバスが長蛇の列になりそうなので(駅のトイレも並んでいた)、トイレは無視してバス停へ。臨時便は定刻よりも早く到着し、補助席まで埋まったタイミングで出発。
3台くらい、臨時便が出たそうです。乾徳山へのバスも甲斐大和駅なので、小さめの駅が軽くお祭り騒ぎになっていました。

通常よりも20分早く、8:30に到着。「ロッジ長兵衛」で支度を整える。
ロッジの中には日本百名山のバッジが売っています。百座すべてではないですが(たぶん)、買い損ねたバッジが手に入る可能性も。荒島岳や阿蘇山もありました。

バス停から「福ちゃん荘」までは、山道と車道どちらでも。みなさん、好きな方を歩いています。

ウォーミングアップになるので私は山道を。寒気の影響で気温が下がりちょうどいい気候ですが、登ると暑い。

福ちゃん荘に到着。トイレもあり、多くの人が休憩中。宿の方は、バスが何台くるなどGWらしいお話をしていました。

福ちゃん荘からは、「唐松尾根で大菩薩嶺を先に行く」か「大菩薩峠を先に行く」かで道が分かれます。
個人的には"唐松尾根から登る"のがおすすめ。ガスりやすい時季はなるべく早い時間に富士山の眺望を楽しんだ方がいいのと(山頂は樹林帯)、大菩薩峠への稜線歩き(下り)がアルプスのように美しいので。

今回は牛ノ寝通りに抜けるので、唐松尾根から登ります。

南アルプスの稜線が綺麗に見える

足元は徐々に岩がゴロゴロした道になり、傾斜も上がります。

木々の間からチラチラ見える富士山に期待しながら。


頭上が開けて、富士山の眺望に。富士山はやはり、雪を被っている姿がいい。

大菩薩嶺は子連れの登山者も多いです。元気に登る子、座り込んでしまう子などさまざま。「もう少し登ってみない?」とお父さんに説得されていたりして、見ているのがちょっと面白い。

ガレ場を登りきり・・・


「雷岩」に到着!
富士山手前の湖は「大菩薩湖」。大菩薩嶺といえばこの景色。何度見てもいいですね。
山頂はここから森の中を10分程歩いた場所にあります。そこまで広くなく、展望もないので、雷岩に荷物をデポして往復する人多数。

今回は牛ノ寝通りがメインなので寄らなくてもいいやというマインドでしたが、なんだかんだ寄ってしまった。

「大菩薩嶺」登頂!ここで休んでいる人はおらず、写真の列ができていました。

雷岩に戻って休憩。風が穏やかで暖かい

みんな同じ方向を向いて座っていて、野外映画館のよう。あるいは、富士山の美術作品を鑑賞しているような雰囲気。
コースタイム1時間30分ほどでこの景色。そりゃあ、人気だよなと思います。
雷岩からは、大菩薩峠を経て「石丸峠」を目指します。
雷岩-石丸峠
雷岩ー賽ノ河原ー大菩薩峠ー石丸峠:CT1時間10分

雷岩から大菩薩峠までは気持ちがいい稜線歩き。プチアルプスのような雰囲気で、大菩薩嶺を機に登山を始める人も多いです。
友人やパートナーに「山に行ってみたい!」と言われたら、大菩薩嶺がおすすめ。


登るのもいいけど、私はやっぱり下るのが好き。

「賽ノ河原」に到着。ここには避難小屋がありますが、扉はなく、屋根と壁がある休憩所という感じ。

晴れを狙って歩きたい山ですね。

賽ノ河原から少し登ると「親不知ノ頭」。ここも富士山、南アルプスの景観が良い場所です。

奥で休憩している人もたくさん。こちらの方が人は少ないです。

大菩薩峠の「介山荘」が見えました。大菩薩嶺エリアで朝日と夕日を見たい場合は介山荘泊を。
ここの岩場を下りたくない場合は、大菩薩峠から登る半時計回りがよいです。

岩場を下り「大菩薩峠」に到着。登る人、下る人でごった返しており、今日一番混んでいた場所。


2022年時点での値段です
売店にはグッズや軽食がいろいろ。バッジは種類が豊富でした。

大菩薩峠から先は人が少なく、一気に静かになります。

苔がとても綺麗な森
石丸峠まで足を伸ばす人は少ないですが、石丸峠からも上日川峠に戻れるので、少し長めに歩きたい人はプラスで。


苔の森を抜けると笹原。下った場所が石丸峠です。

「石丸峠」に到着。ここなんだ、というような峠ですが、静かで落ち着きます。
「小金沢山」方面に少しいくと、今日のメイン「牛ノ寝通り」の分岐があります。
小金沢山の先には、日本一名前の長い山「牛奥ノ雁ケ腹摺山」があります。大菩薩嶺からそちらへの縦走が楽しそうなので、またいつか。
石丸峠-牛ノ寝
石丸峠ー榧ノ尾山ー牛ノ寝:CT1時間55分


笹原を進むとすぐに分岐。「小菅の湯」までの長い尾根歩きを楽しみます。


歩き始めはまだ冬景色

牛ノ寝通りは全体的にとてもなだらかな尾根。ところどころぐっと下りながら標高を下げていきます。

登山道に貼り紙が落ちていると思いきや、幹の皮でした。綺麗な剥がれ方。

お昼頃から少しずつ雲が出始め、薄日に。大菩薩嶺はお昼頃から霧予報でしたか、振り返ると濃いめの雲に覆われていました。逃げるように尾根を下る。

まだ腐葉土になりきっていない枯れ葉で道はモフモフ、フカフカ。
しかし、ときとぎ岩が隠れていたり、太めの木の棒が落ちているので注意。木の棒の端を踏んで脛にガツン!と、漫画のようなことが起こったり。痛かった。


1,500m辺りは芽吹き始め。葉っぱの赤ちゃんがいっぱいでかわいい。

一面のフレッシュグリーンも素敵ですが、冬枯れの中にチラチラと芽吹きが見える森もいい。命の動きが見える新緑の時季は、一年で一番好き。
新緑の一番フレッシュな色は一週間程度といわれています。超超超フレッシュな新緑を味わえるのは、とても短い期間です。

緩やかで広い尾根をルンルン歩く。本当に、ずーっと広葉樹林なので、紅葉も半端なく綺麗だと思います。次は紅葉期に。

「榧ノ尾山」に到着。少し開けて、休憩しやすい場所でした。


芽吹きが徐々に増える。牛ノ寝通りは、移り変わる自然の中を歩くのが楽しみでした。



芽吹きのフラッシュな香りが漂い爽やか。とてもいい道ですが、歩いている人はほとんどおらず。GWなのに。
大菩薩嶺には行かず、石丸峠から歩く人も多いので先を歩く人はいると思いますが、それにしても人がいない。大菩薩嶺は大混雑だったのに。
同じような景色は飽きる、という人には単調すぎるかもしれませんが、森が好き、新緑が好き、紅葉が好き、とにかく歩きたい!という人には本当におすすめ。ロングトレイルが好きな自分には最高の尾根。

尾根の名前になっている「牛ノ寝」に到着

この辺りは、起伏がほとんどない平坦な広い空間。ハンモックで昼寝したり、珈琲を淹れてまったりしたい空間。チェアリングもいいな。
尾根上で一番気に入りました。次回は石丸峠から歩き、時間が許すかぎりここで過ごしたい。

1,400mあたりは新緑が見頃でした。ほんとーに、素敵な樹林帯です。
空は曇ってしまいましたが、春の優しい日差しが届く森も、きっと素敵だと思います。
牛ノ寝-小菅の湯
牛ノ寝ー狩場山ー大ダワーモロクボ平ー小菅の湯:CT2時間10分


深呼吸が楽しい。薄日が射すとたまらなく素敵。テント場があったら絶対泊まります。

斜面を登ると「狩場山」。右に曲がると巻き道
「狩場山」の手前で道が二手に分かれました。
昭文社の地図では狩場山を経由する形になっていますが、実際には寄り道の山。

黄色のテープに従って登ると「狩場山」。展望は特にありません。

登った道を戻って白いテープの方へ。ここまでに出会った登山者は登り5人、下り1人。


「棚倉小屋跡(大ダワ)」に到着。小菅村方面に下ります。
「松姫峠」方面には「奈良倉山」があり、そちらも新緑と紅葉が綺麗だと聞きます。バス停がありますが、このときは道路の通行止めでバスが運行されていなかったので小菅の湯へ下りました。

標高1,300m台になると、凄まじい新緑のトンネルに。気持ちがいいことこの上ない。ときおり吹き抜ける風がまた・・・たまらん。

「緑は目に優しい」を実感する

右の斜面が植林地帯になっている箇所もあり、自然と人工がくっきりはっきり。
杉も太くて立派なものは美しいのに、いかにも"植えました"という細い植林地には寂しさがあります。自然物なのに歪。
「大ダワ」から先、山沢川方面に下る道と、ギリギリまで尾根を歩いていく道の分岐があります。山沢川方面に下る予定でしたが、分岐を完全に見逃しました。

単独の人と、4人グループの人たちがいて、「おお、人がいた」と思いながら下っていたら、いつの間にか分岐を過ぎていた模様。

時間的に見逃したなーと思いながら下り続けると、「モロクボ平」に到着。やっぱり見逃していた。沢の新緑が綺麗と聞いて楽しみにしていたのに・・・失態。


「田元」の分岐から斜面を一気に下る

最後は植林地。急斜面をつづら折りに下ります。



車道に出て、小菅村に着きました。森の中にターザンなどの遊具があり、子どもたちの楽しそうな声が響いていました。

「小菅の湯」に到着

乗車予定だった15時の奥多摩駅行は、3分前に発車していました。まじか。
奥多摩駅行のバスを調べたとき、"2021年3月から運行が変わります"という情報が出てきました。平日便が減って休日便が増える&時間も変わるというもので、1年前に大幅変更したから今年も一緒だろう、と勝手に思っていました。
しかし、2022年3月にまた時間変更があり、3分間に合わなかったというオチ。バスの時刻は最新情報を調べましょう。

やっちまった・・・となりつつもう一つの富士急バスを見ると、上野原駅行のバスが15:48発。無事、帰宅できます。しかしこれは、季節運行(土日祝のみ)のバスだったので、平日だったらアウトでした。最終便だし。

道の駅には美味しそうなものがいっぱいあり、とても賑わっていました。
山梨県産の"シャインマスカットソフトクリーム"が名物のようですが、肌寒かったので"山女魚のアンチョビポテト"をチョイス。小菅村のジャガイモを使ったコロッケも美味しそうでした。
牛ノ寝通りは何かの雑誌に新緑の記事が載っていて、ここは歩きたい!と思っていた尾根。
石丸峠からひたすら広葉樹林が続き、本当に美しい尾根道です。人が少なく、とても静かに歩ける穴場スポット。
大菩薩嶺とセットで楽しめて、下山地点には温泉あり。森好き、尾根好き、緩やかにながーく歩きたい人はぜひ!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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