2022.8.20-8.23
歩き人たかちです。
雨の中、炊事棟にテントを張らせていただき、御沢野営場に前泊した昨日。一夜明け、飯豊連峰の縦走が始まります。
↓アクセスなどの詳細はこちら↓
縦走1日目。計画では本山小屋でテント泊でしたが、時間と天気が許したため、御西小屋まで進みました。
9時頃になるとガスに包まれることも多い飯豊連峰は、朝が勝負と言われる山域。しかし、一日天気に恵まれ、初日から飯豊連峰にどハマり…
1日目:移動、御沢野営場前泊
★2日目:御沢野営場ー飯豊山ー御西小屋
3日目:御西小屋ー頼母木小屋
4日目:頼母木小屋ー丸森尾根ー飯豊山荘
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天気:晴れ☀︎
気温:山頂15〜20℃
風:西北西→南東1m/s
御沢野営場ー下十五里ー中十五里ー上十五里ー笹平ー横峰ー地蔵岳分岐ー地蔵水場ー剣ヶ峰ー三国小屋ー種蒔ー切合小屋ー本山小屋ー▲飯豊山ー駒形山ー御西小屋
▲コースタイム:11時間10分(昭文社)
(YAMAP9時間55分)
▲歩行距離:13.5km
▲累積標高差:上り1963m
下り515m
樹林帯急登[御沢登山口ー横峰]
*御沢野営場ー下十五里ー中十五里ー上十五里ー笹平ー横峰:CT3時間*
4時起床。日が長くなることにワクワクしていた気持ちも昨日のようですが、気がつけば8月下旬。嫌でも日が短くなったことを実感します。
駐車場は、30〜40台くらいに増えていました。今日は天気が良いので日帰りの人も多いと思ったけど、思ったほどではなかった。
空は晴れて綺麗な青が広がりそう。5時ちょうど、出発です。
大滝の分岐まで10分弱、林道を歩きます。
分岐。ここから一気に登る。
樹林帯はまだ薄暗い。どこから登っても稜線に出るまでが大変な飯豊連峰ですが、「稜線まで登れば天国」と言われています。期待を込めて、朝一の身体に喝を入れる。
結論として、御沢からのコースは個人的に登りやすい急登でした。足を水平に置ける箇所が多いのと、急登と急登の合間に平坦な道がコンスタントにあるので、足休めになるのがいいなと。また、500〜600mの間隔で目印があるので、精神的にも楽でした。
今年は、光岳へのえげつない急登を経験したことも大きい。"あそこに比べたら"という気持ちが強くしてくれる。まだまだ知らない山がたくさんある。経験て大事ですね…
ちなみに、下山には飯豊山荘側へ下る"丸森尾根"を利用しましたが、私としては御沢へ下る道の方がいいと感じました。
ただ、他の縦走者の方では「丸森尾根を下る方がいい」という人も。これは好き嫌いの問題で、その方はリスクのある岩場(剣ヶ峰周辺)を下りたくない、私は脆くてズルズル滑る斜面が嫌いという感じ。登るにしても、丸森尾根より御沢の方が断然いいと感じました。
しばらく登って"下十五里"。このあと、中、上、笹平、横峰と500〜600m間隔で続きますが、すべてこのようなしっかり休める空間となっています。
振り返る。雨だとぐちょぐちょになりそうですね、これ。下十五里までは根っこ多めの道でしたが、それ以降はこんな感じの登山道を登っていきます。
まだまだ暑さが半端ないと覚悟していましたが、7月下旬〜8月上旬頃のオーバーヒートするような暑さはありませんでした。ただ、日が射して気温がぐんぐん上がり始める頃スタートしたらやばいと思います。
"中十五里"。時間としては、10〜15分くらいの間隔。
登山道にアブはいませんでしたが、蚊はたくさんいました。
土の壁がひんやり。
"上十五里"。定期的な目印は精神安定剤。
このような平坦な道が程よく登場します。筋肉が悲鳴を上げすぎないところがいい。
景色があまり変わらない。
"笹平"。とりあえず目指していた横峰まであと600m。距離が書かれているのも嬉しいポイント。
振り返ると、本当に同じような写真しかありませんでした。単調に登っていたような気はしますが、こんなに同じだったか。
"横峰"に到着。
地蔵小屋跡まで500m。急登はここで一旦終わり、地蔵水場のあたりまではほぼほぼ平坦になります。歩行の一休み区間。とても歩きやすい道です。
水の音が聞こえたところで"地蔵水場"に到着。冷たい水、待ってました!昨日からぬるい水しか飲んでいなかったので、沁みる・・・
火照った顔に水を浴びせる。天然水を肌が吸って喜んでいる。機械で浄水された水とは全然違う。生き物として、自然の美しい水を取り入れることは醍醐味ですね。
水場から少し登って行くと"地蔵山下分岐"。三国岳・飯豊山方面へ。
昨日は雨が結構降ったので、泥沼箇所も多数。
そして、樹林帯を抜けました。ガツーン!とくる青空。ここから三国小屋まで、岩場、岩稜帯を歩いていきます。
夏山が眩しい!
山にはリンドウがたくさん。秋がもうそこまで来ている。いや、始まっている。
剣ヶ峰への最後の登りには鎖が付いています。
剣ヶ峰◎
三国小屋まではもうひと登り。引き続き、三点確保で。岩場の山にしがみついている感じは結構好き。
1500m台ですが、雲海がモクモクしていて気持ちがいい。谷からの風に癒される。
↓東北の山並みをどうぞ↓
岩場を登っていて、ふっと顔を上げると三国小屋が目の前にありました。飯豊連峰最初の小屋に到着です。
大日岳もスッキリ。本当に素晴らしい天気。
ここから切合小屋までは、徐々に標高を上げながら歩いて行きます。
歩いた先には[三国小屋-切合小屋]
*三国小屋-種蒔山-切合小屋:CT1時間50分*
道は細め。足元がちょっと悪い箇所もあるので、踏み外しなどに注意。
コバノコゴメグサ
地図上のハシゴ。2つ目はハシゴではなく、左の岩場の方が歩きやすかった。元々ハシゴは3つでしたが、壊れて取り外したようです。登りきったところに3つ目のハシゴが置いてありました。
足場が斜めになっているような箇所もちらほら。滑らないように。
8時台ですでにガスが湧いています。飯豊山まで持つかなー。
ガスなら本山小屋泊、晴れていれば御西小屋。予約なしで山を自由に歩ける幸せ。アルプスなども、せめてテント場の予約は無くしてほしいですね…
飯豊山の避難小屋の多くは現在予約制ですが、空きがあれば小屋泊に変更できると思います。
御沢野営場の管理人さんが「今年は人が少なくて、山小屋の人も泣いてるんじゃないかなあ」と。特に、御西より先の避難小屋は来てください状態かと。
ウメバチソウが見頃。一箇所にたくさん咲いていると、ちょっとチングルマ感がありますね。
歪な感じがたまらなくかわいい。
岩場を登ります。
太陽を全身に浴びていますが、大朝日岳のときのような悶える暑さはありません。やはりあの時期は暑いんだなと改めて思うと同時に、夏山が終わる寂しさが襲いかかってくる。毎年夏山がどんどん短くなっている気がするのは気のせいか。昨年は天気もずっと悪かったし。
木陰に入るとすごい涼しくて、秋の気配を感じます。
素敵な道に出て、"種蒔"を通過。種蒔山の山頂は通りません。切合小屋まであと1km。
うわー…なんか素敵。
麓から見る山がどうなっているのか、登らないと見られないものを目にする幸せ。イメージしていたものと違う光景が現れると、本当に言葉がでなくなる。
種蒔から切合までのこの1kmが、個人的にとても好きでした。
小屋を前に立ち止まってばかり。自然に足が止まったときは、自分が何かを感じているとき。「立ち止まる」を大切にしていきたい。
切合小屋のロケーションもいいですね。
切合小屋に到着。ここに泊って飯豊山をピストンする人も多いので賑わっていました。
水を補給。ぬるめ。
ここで30分の大休止。すでに飯豊山の良さを噛みしめていました。
飯豊はいいで~[切合小屋-飯豊山]
*切合小屋-草履塚-姥権現-本山小屋-飯豊山:CT2時間40分*
切合小屋を出発して早速止まる。
あ〜いいなあ。
まずは"草履塚"を目指します。
ミヤマカラマツ
マルバシモツケ
お花を見ながら岩場を上がり、草履塚に到着。
ここ、とってもいい景色◎切合小屋ではなく、ここで大休止すればよかった。飯豊山から大日岳に続く素敵な稜線を一望できます。ちょっと休憩。
アルプスに劣らないこの稜線。いや、そもそも比べるのは違うか。日本の代表的な山岳地帯だからこそ比較対象にしてしまいがちですが、山にはそれぞれ個性がある。
ヒメシャジン?ミヤマシャジン?
葉っぱの写真さ撮り忘れたな・・・
草履塚から一度下って"姥権現"。ここから飯豊山に向かってぐぐっと登ります。
岩稜帯再び。
ハクサンフウロもまだ綺麗に咲いていました。
"御前坂"の始まりです。さらに傾斜が増し、ガレ場を一気に上がります。飯豊へのラストスパート。
この上がどうなっているのか、そんなじれったさを感じながら登るのも山の醍醐味。一歩一歩、自分の足で登るのがいいのです。
振り返りながら。
登り切ったそこは、本山小屋のテント場。のっぺりと広いです。
このテント場は"風の通り道"ということで、確かに風が抜けていきました。風が強め日はちょっと大変かも。ところどころ、風除けの石が積まれた箇所もあります。
さて、この時点で時間は12時。今日はここに宿泊予定でしたが、先に見える飯豊山はすっきり晴れています。時間もまだあるので、御西小屋まで進むことにしました。
テント場と本山小屋は少し離れていますが、思ったほど遠くはなく5分くらいでした(5分もかかってないかな?)。10分くらいかかるという情報だったので、意外にあっさり着いたなと。
本山小屋も結構賑わっていました。ここで飯豊山のバッジを購入。イイデリンドウとヒメサユリの2種類あり、イイデリンドウを。1つ1,000円と、バッジにしてはちょっとお高いですが、これが欲しかった。2つで1,800円なので、ソロでなければ一緒に購入した方がいいですね。
山頂へ。なんて、たおやかな…左のピークは大日岳。
言葉を失って「やばい」しか出てこない。
と、その前にイイデリンドウみっけ!瑠璃色のファイブスターがとっても素敵☆
ミヤマリンドウにそっくりですが、イイデリンドウは花びらが5枚。たまに6枚のものもあるようで。ミヤマリンドウの変種で、天気が良いと花を開きます。
イイデリンドウは絶滅危惧種に指定されています。いつまでも元気に咲いていてほしいですね。
ということで、飯豊山に登頂◎!
大日岳へと続く稜線。今からここを歩けるのか。
「あっちの稜線やばいな~」という声が周りから聴こえてきます。ほんとに、やばい。
小屋方面。山形県側からガスが迫る。
山頂には人が続々と。15分くらい休憩して出発しました。この先、いい場所があったらそこでゆっくり腰を下ろします。
草原の中を[飯豊山-御西小屋]
*飯豊山-駒形山-御西岳-御西小屋:CT1時間30分*
たおやかな稜線を緩やかに下り始める。ここから先は人がぐっと減り、とても静かになりました。とはいえ、飯豊連峰最高峰の"大日岳"を登る人は結構いるので、13時前のこの時間はちょこちょこすれ違いあり。本当に静かな山歩きとなるのは、御西小屋から先です。
駒形山と飯豊山に挟まれる私。
駒形山を越えて振り返る。下った先の"玄山道分岐"に丸太のベンチ。誰もいない、静かなこの空間が気に入ったので、ここでちょっと休みます。
どこまでも広がる青い空、どこまでも広がる草原のような緑。山のそよ風が優しく頰を撫でる。私が山を歩く理由は、これ。自然の風を浴びるため。
景色も花も歩くことも全部好きですが、風を浴びている瞬間が一番好きです。自然の中を歩いて風を浴びること、何より至福の時間。
この道は明日の朝歩く予定でしたが、今でよかったかもしれない。特に急いでもない午後のまったりした時間にふさわしい場所でした。
「稜線に上がれば天国」。この言葉通り、山の上に天国がありました。
今、最高の時間を歩いているということを感じずにはいられない。
夏景色を惜しむ。夏の雲、好きなんだよなあ。
風とともに、どこかへ行ってしまいそうな気分でした。
↓風が抜ける飯豊連峰の稜線をどうぞ↓
御西岳手前のこのあたりは"草月平"というところ。ベンチが一つあり、男性の方が靴を脱いでくつろいでいました。ここも、心と身体すべてを解放したくなるような場所。
御西小屋に着いてしまう。
御西岳への緩やかな登りが終わると、御西小屋が見えました。
御西小屋、到着!他の小屋に比べるとこじんまりしたかわいいサイズの避難小屋です。
夏山シーズンは管理人さんが常駐していますが、この日はたまたま不在でした。御西小屋は、「NPO飯豊朝日を愛する会」の方々によって管理されています。管理人さんがいない場合、中の料金箱に料金を支払います。素泊まり2,500円、テント1,000円。
クーラーボックスの中にコーラやビールがありました。
水場の案内。
大日岳が目の前のロケーション。雲がだいぶ上がってきているので、見えたり見えなかったり。
14時頃でテントは3張。完全に平坦な箇所はほとんどなく、どこも微妙に斜め。気にならない程度でしたが。
入口から明日の縦走路が見える位置に張りました。
御西小屋、裏から見るとさらにかわいい。
水を汲に行きます。来た道を少し戻る。岩に青い矢印で道案内があります。
下っていくと・・・
ありましま!そして、冷たすぎる!!地蔵水場よりもう少し冷たい気がします。顔や身体をてぬぐいで拭いて、3L補給。
天気が良すぎてテント内が非常に暑いという贅沢な悩み。入口を閉めようものなら完全にサウナ状態でした。
幸い、テント場は虫が少なく、痒い系の虫もいませんでした、この日は。翌朝になると顔周りをつきまとってくる小さな黒い虫が出てきましたが。
本山小屋は日帰りの人の往来も結構あるし、1泊2日のピストンの人も泊まっているので賑わっていましたが、それに比べてととても静かな御西小屋。
朝日は見えませんが、夕日は見えます。テント場の広さもこじんまりしていて自分好み。トイレも近い。こっちまで歩いてきてよかったなかな。
すでに大日岳まで往復して泊まっている人もいました。大日岳も見る限り格好いい山ですが、私はスルーします。御西小屋にいて大日岳に行かないの、私だけだろうか?
17時を過ぎるとガスで真っ白になりました。この日のテントは6張。小屋には10人弱くらい。
夕日はちょっと厳しいな~と思っていると、ガスが赤く染まりました。
ガスの夕日。これはこれでかっこよくて好き。少しの間、幻想的なものを見せてもらいました。
ガスを心配していましたが天気はいいままで、飯豊山のいいところをしっかりと目に焼き付けることができました。懸念していた暑さも思ったほどではなく、オーバーヒートせずに歩けたのは本当によかった。
視界が開けてからの魅力が半端なく、初日の今日だけでもそれをしかと味わいました。
独立峰の多い東北で、長い縦走をできる貴重な山域。今までの東北の山歩きとは明らかに違う何かがある。刺激される五感が新鮮に感じる。新しい東北を知った、とてもいいスタートとなりました。そして、2日目はさらに・・・
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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