2023.8.3-8.5
歩き人たかちです(@takachi_aiina)
恒例化している、両親と伯母との夏山登山。今年は立山を歩きました。
「黒部ダムを見たい」という両親の希望と「剱岳の勇姿を見せたい」という自分の思いが重なり、ピークに登らない立山登山を計画。
立山のスケールを感じながら高山植物を愛で、剱御前小舎に1泊。剱岳を眺めながらゆっくりして、雷鳥も見られたらラッキーかな、というゆるい山行。
2日目:黒部ダム - 室堂 - 剱御前小舎
3日目:剱御前小舎 - 室堂
2日目 晴れ ☀︎
◾︎ 気温:室堂18℃
◾︎ 風:南南西3〜4m/s
室堂-みくりが池温泉-雷鳥沢-新室堂乗越-剱御前小舎-下山は往路と同じ
▲ コースタイム:2時間50分(往路)
2時間30分 (復路)
▲ 歩行距離(片道):5.3km
▲ 累積標高差:+571m/-228m
公共交通機関「室堂」アクセス方法
\「室堂」へのアクセス方法 /
② 夜行バス(東京発着・直行便)
出典:黒部アルペンルート
個人的な印象ですが、黒部アルペンルートは、平日含めて富山県側(立山駅)から入る方が混雑していると感じます。富山県からの方が乗り継ぎが少なくて早いので、登山目的の利用者が多いかと。
しかし、関東からは長野県側の方が近いので、人口を考えると実態は不明です。
今回は経験上の混雑予想と、下山後の観光(両親と伯母)を考え、長野県側の「扇沢」から入り富山県へ下りる行程にしました。
黒部アルペンルートは「WEBきっぷ」を予約できます。きっぷ売り場で購入する必要がないので、スムーズに移動できます。
また「扇沢-長野駅」間を運行する特急バスや「扇沢-信濃大町駅」間を運行する路線バスの券も同時に予約できるので、公共交通機関の場合とても便利です。
\ 東京から夜行バス利用 /
夜行バスの場合は、室堂への直行便が便利。面倒な乗り継ぎがなく、7時頃到着するので、1日を有効に使えます。
富山駅まで夜行バスを利用して始発の「黒部アルペンルート」に乗車したときは、室堂に9時半頃到着しました。
【1日目】黒部ダムを観光して「剱御前小舎」を目指すピークなし登山
「信濃大町」に前泊

ソロ山行は夜行バスを使いますが、両親と伯母との登山なので「信濃大町」に前泊。
かつては人口が多く、信濃大町の商店街はとても賑わっていたそうです。その証拠に、駅から続く商店街は1kmという長さ。
多くの人は松本へ移り住み、現在はほとんどシャッターが下りている状態ですが、信濃大町をまた盛り上げようと活動をしている方々もいます。

北アルプス「三俣山荘」のオーナー伊藤圭さんが手掛けた「三俣山荘図書室」。
北アルプスの玄関口として「山と人とまち」を繋ぐ大町市に山の賑わいを、との思いが込められています。以前、裏銀座縦走後に寄らせていただきましたが、この日は残念ながら定休日。
サンドウィッチとコーヒーが美味しい、登山者の交流の場。とても素敵だったので、信濃大町に訪れた際はぜひ。
近くに「松葉屋 ゲストハウス」もオープンし、次回来たときは泊まりたい。

願いが切実・・・

三俣山荘図書室のお隣には、アメリカンな看板の珈琲屋さん。


小さなお店が何軒か集まる長めの廊下は、クリエイターさんたちのギャラリー。
「Cafe kichencar」「ai coffee」などのカフェやレンタルスペースがあり、ここも信濃大町を盛り上げたい!という方々の活動の場になっています。
今日は駅前のホテルに宿泊。商店街を抜けた先のセブンイレブンで朝食を調達しましたが、近くにスーパー(デリシア)がありました。なぜ気が付かなかった?
信濃大町は全体的に閉店が早く、居酒屋以外で夜まで営業しているお店が少ない。商店街にあった「俵屋」という町中華へ行くと、同じような境遇の人たちで賑わっていました。安くて美味い!
扇沢 - 黒部ダム - 室堂

6:15扇沢行のバスに乗車(季節や特定日により始発時間は異なる)。6:40頃扇沢に到着し、自動券売機でWEBチケットを発券。きっぷ売場に並ぶ必要がないので便利ですが、発券しなくてよければもっと便利なのだが。
扇沢から電気バスに乗り、まずは黒部ダムへ。中学1年生の修学旅行以来。当時はダムに興味がありませんでしたが、黒部ダムの規模にはさすがに驚きました。

今年は雨が少なく、ダムの水も少なめですが迫力は記憶のまま。毎秒10t以上の水が放水されています。
黒部ダムは"観光放水"をしているので、早い時間でも見られるのがいいですね。

ダムもすごいけど、黒部の地形もやはりすごい



「黒部駅」からはケーブルカーで大観峰駅へ。斜度がすごい。

大観峰駅の展望台をチラ見して、ロープウェイ乗り場に並びました。標高をぐんぐん上げていく。
扇沢駅の標高は1,433m、室堂は2,450m。一気に1,000m上がるので、高山病に注意。到着後もすぐ登山を開始すると、頭痛などの症状が出ることも。水分補給はしっかりと。

最後は「トロリーバス」。日本国内最後のトロリーバスで、超絶滅危惧種。父がずっと乗りたがっていました。
*2024年11月30日の運行をもって廃止となりました。現在は、架線が不要の電気バスが運行しています
いろいろ乗り継いで、ようやく室堂に到着。思ったより混んでいない?という感じでしたが、コロナが落ち着いた室堂には訪日もたくさん。
室堂 - 剱御前小舎(室堂新道)
*室堂の「見どころMAP」はこちら
いつも通り、室堂の名水「立山玉殿の湧水」を補給して出発。剱御前小舎は水が乏しく、売店で購入します(500ml:500円、2L:1,000円)。自分が予備分を3L背負い、足りなければ購入することに。


みくりが池


地獄谷
初立山の両親は、スケールの大きさに圧倒されながら。天気も良くて嬉しそう。

初めてソロで歩いたアルプスは立山三山。「雷鳥荘」からこの風景を見たときは感銘を受けました。
青空に映える一面のグリーンが美しく、縦走路への妄想を膨らませながら心を震わせて立ち尽くしていたのがつい昨日のよう。多くの経験を積みましたが、"初めて"はやはり特別ですね。
稜線の上に見える剱御前小舎を指差して「あそこまで!」というと、「えー!あんなところまで!?」という叫び。地図だけではわからない立山のスケールを感じさせました。

「チングルマ見ながらゆっくり行こうや」となだめつつ、立山名物の"魔の階段"を下りてゆく。帰りの登り返しがきついのです。

雷鳥沢キャンプ場

キャンプ場の橋を渡り登山開始。雲を気にしながらゆっくり登る。雷がちょっと心配。
剱御前小舎までは、"直登コース(雷鳥坂)"と"お花畑コース(室堂新道)"があります。
直登コースは短い距離で一気に登れますが、お花畑は特になくひたすらガレ場。早く稜線に上がりたい人向け。
今回はチングルマを愛でる、楽しさ優先のゆる登山なのでお花畑コースへ。ガレ・ザレの道ですが、直登コースよりも緩やかです。個人的には、お花も景色もこちらがおすすめ。


徐々に曇って、ガスって、登るにはちょうどいい。雷鳥沢から吹き上げる風でクールダウンしながら、よっこらよっこら・・・


チングルマのピークは7月中旬〜下旬頃なので終わっている株もたくさんありましたが、それでも「かわいい!」を連発するほどのチングルマが咲いています。
太陽の動きに合わせて、東から西へ向きを変えるチングルマ。中心の黄色い部分に太陽の光を集めて温かくし、虫を呼んでいるのだそう。そんなチングルマは氷河期の生き残り。生きててくれてありがとう、という気持ち。


くねくね曲がりながら登ってきました

扇沢から一気に標高上げてきて、両親が高山に慣れていないため休憩は多めに。登山中は大丈夫でしたが、夕方頃ちょっと頭痛いかも?という感じだったのでバファリンを配布。


トウヤクリンドウ
7月の花から8月の花へ主役が変わりつつある。今年は花が早いので、秋の花も一緒に咲いていたり。
上の方はまだイワカガミも咲いていて、高山植物のお花畑を初めて見た両親はご満悦。日本の山は、やはり花が魅力的で宝。

剱岳の山頂は雲の中。夕方晴れるかな?
「もう少しで水平になるよー」なんてちょっと騙しながら剱御前小舎に到着。「水平にならないじゃん」と文句を垂れていたけど、雷もセーフで無事に着いたからよし。
「剱御前小舎」で1泊


渋い雰囲気漂う剱御前小舎。いろんな方面へ散らばる人たちが集まります。

部屋には敷布団が5枚に掛け布団が7枚。もう少し大きい部屋はソロの人たちの相部屋になっていましたが、私たちは小さめの部屋を4人で貸切。平日の恩恵を受けました。

コーヒー¥300。頑張って登ったあとの一杯は格別。両親は、このコーヒーが何より美味しかったと。


夕食は生姜焼き
夕方にはガスが晴れるかと思いきや、16:30頃ザーッと通り雨。今日はそのまま展望は望めず、明日に期待。
【2日目】快晴の立山!室堂で「ホテル立山」のシフォンケーキを食す!
剱御前小舎 - 室堂
剱御前小舎の布団がなんだかすごく寝心地が良くて爆睡だった。両親も19時前には寝ていて、深夜1時頃目が覚めたのでみんなで星空鑑賞へ。
空は見事に晴れ渡っていたものの、満月の次の日で明るすぎ。残念ながら星はポツポツ見えただけ。数日前に双六小屋で見たときは天の川まではっきり見えていたのに、満月の明るさってすごいよなあ。

赤い閃光を走らせて夜が明けてゆく。両親が山で見たかった風景のひとつ。ご来光は別山に隠れて見えませんが(登れば見える)、脳に焼きつくような濃ゆいマジックアワーに釘付け。


昨日は姿を見せなかった剱岳。切り絵のような美しいシルエットが浮かび上がる。

朝食後、青空に光る剱岳の勇姿を堪能。「剱岳を見に行こう!」と言ってこんな完璧な剱岳を見ているのだから、今年の夏山も大成功。
余裕があれば別山まで、と考えていたけど両親はすでに大満足。別山からの剱岳はめちゃくちゃ綺麗だけど、満足したならまあいいかと。

左奥のピークが別山
「どちらを周るんですか?」
「いえ、室堂に帰ります」
どこのピークも踏まない登山。人それぞれ自分の山がある。ここまで来たのに帰るの?という感覚も正しいし、ここまで来たから十分というのも正しい。自然の楽しみ方に正解はなくて、身の丈に合った自然を満喫すればいい。




昨日と同じ道だけど、昨日と同じ自然はない。2日目は、朝露をたっぷり纏ったチングルマの穂に惚れ込みながら歩く。
下山もお花畑でゆっくり休みながら。景色に見惚れっぱなしになるので、浮石や石車による転倒には要注意。


剱御前小舎が遠ざかってゆく

まだ歩いていない奥大日方面。次来るときは、立山駅から歩いて薬師岳の方に抜ける「立山ゴールデンルート」を歩きたい。

沢を撫でて頬に当たる風が実に爽やか

雷鳥沢から階段を登り返し、雷鳥荘に到着。伯母が数えた結果478段だったらしい(多少の誤差あり)。

両親が「雷鳥見てみたいなあ」とずっと言っていて、「そんな都合よく見られないよ」と話していたけど・・・いた。
「みくりが池温泉」からラストの階段を登っていると、遠くを見つめる家族が。もしや?と思って尋ねてみると雷鳥がいると。まじか。
近くはないけど肉眼でもはっきり見える距離。山ではいつも双眼鏡を持ち歩く父よ、ナイス。チビちゃんが5匹くらいウロチョロしていて、かわいい姿に満面の笑み。
立ち止まる人がどんどん多くなり、階段はあれよあれよと人の群れ。最後の最後に雷鳥まで見られるとは、運がいい両親だ。
絶品!「ホテル立山」のシフォンケーキ

10時頃室堂に到着し、ご褒美に「ホテル立山」のシフォンケーキとアイスコーヒー!下山後の一大イベントでもある。

モンブランもあります。「ホテル立山の水出しアイスコーヒーが美味い」という噂は聞いていましたが、高級なので私は今までスルー。
「こういうところでお金のことは言わない!」と、残りの人生を楽しむ両親。それもそうか。私の場合「また来ればいい」と思うけど、人生で立山に訪れる回数はきっと少ない。それなら毎回食べてもいいじゃないか、と思った。
泊まることはないであろう高級ホテルのスイーツ、ケーキもコーヒーも最高でした。
これは別の日に買ったものですが、ホテル立山限定の「白えびせんべい」が激うまなのでおすすめ!
知り合いの(親戚だったかな?)漁師?加工業者?がいて白えびをふんだんに使っている、と店頭で熱弁されました。騙されたと思って買ってみたらめちゃくちゃ美味しい!!
駅にあるような、お土産用の白えびせんべいとは全然違ってとにかく濃厚。これから立山の定番土産にします(あれば)。
上の段の"割れ"は特に人気で、入荷するとすぐに売り切れてしまうとか。8月下旬でしたが、このときはGW以来の入荷だったようです。

シュールなキャラクターがいた
立山駅から富山電鉄に乗り、両親と伯母は富山・金沢観光へ。私は「寺田駅」で乗り換えて「上市駅」へ向かいました。
せっかくここまで来たし、天気が持ちそうなので、"早月尾根からの裏剱縦走"をします。計画だけして行けていなかった裏剱。早月尾根も気になっていたし、ちょうどいい機会が巡ってきました。
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