歩き人たかちです。
高山が暑い・・・
個人的に、2018年の夏から高山が一段と暑くなったような気がします。あの夏はなんだか本当に暑くて、「今年は暑くてしょうがない」という北岳山荘のご主人の言葉が印象的でした。
怪我とか、虫とか、山ではなるべく身を包むに越したことはない。毛虫で痛い思いをしたこともありました。しかし、無理に長袖を着ていると危険を感じるレベル。
今回は、女性には特におすすめしたい、半袖、長袖、自由自在の「アームカバー」についてご紹介します。おまけで「腹巻き」も。
導入の経緯と女性の悩み
アームカバー導入の一番の理由は、"女性としての暑さ"を回避するため。
女性には簡単ではない脱ぎ着の問題。そして、身につけなければならないブラというもの。
「あちー!」と言いながらさっと着替えていたり、薄いアンダーウェア1枚で登る男性を羨ましい眼差しで見つめています。

少しでも脱ぎ着を楽にするために「半袖 + 長袖シャツ」というスタイルの人も多いと思います。
しかしこれ、私は苦手なのです。苦手というか、すぐ暑くなって結局シャツをほとんど着ないことがしばしば。
暑くなってザックを下ろし、寒くなってまたザックを下ろし・・・ウィンドシェルを持ち歩くので、シャツを着るのも違うなと。
もっとラフに、自由に、調節したい。
そこで、モンベルの「ジオラインL.W. アームウォーマー」を使い始めました。
さっと下ろせば半袖に、さっと上げれば長袖に。これが、とてつもなく便利で楽ちん◎
そして、悩ましいのがブラというアイテム。
この1枚が本当に暑い。
ブラが暑い問題は、女性にとって永遠の悩みだと思います。
アンダーウェアを着ない派の人もいると思いますが、着ないとどうも落ち着かないという人は3枚着なければなりません。
アームカバーを使えば、アンダーウェアを着ない派の人でも、必要なときには腕をしっかりカバーできる。
着る派の人はタンクトップやキャミソールなど、最低限のアンダーウェアに抑えることができます。また、ブラトップを使用すれば2枚で済みます。
ブラトップは温泉後に使用することが多いですが、ブラトップ登山は気楽で結構気に入っています。暖かくなってきた春先の低山とか、初秋とかちょうどいい。
使用しているのは、モンベルの"クールメッシュ"素材のもの。最低限の薄さなので、荷物として持つ場合にも軽くておすすめです。
モンベル「クールメッシュキャミトップウィズブラ」
icebreaker「サイレン ブラキャミソール」

icebreakerはウールのブラトップなので、春秋の縦走などにも使えそう。
基本情報と使い心地
モンバルの中でもいくつか種類がありますが、とりあえず使ってみようということで購入したものが「ジオライン L.W. アームウォーマー」。

ジオラインのアンダーウェアと同じ素材で、腕だけ切り落としたようなもの。
素材 | ポリエステル *UV加工あり |
重量 | 平均33g |
サイズ 男女兼用 (上腕囲) |
S:22〜26cm M:26〜30cm L:30〜34cm |
*3年程使用したSサイズの実測は26g
Sサイズの場合、縦約38cm、二の腕部分平置き約11cm、手首部分平置き約7.5cm。

自分の二の腕周りが22cm。Sサイズで緩くもなく、きつくもない装着感。購入当初に比べると、全体的に少し緩くなったと思いますが、ずり落ちてくることは今もありません。

二の腕部分のゴムは1cmの幅があり、圧迫されるような感じは特になし。

縫製は他のウェアでも採用されている"フラットシーマー"という技術。縫い目をできる限り平らにして縫製箇所のゴロつきを無くし、肌当たりが強くならないように処理されています。
また、手首の部分は縫い始めと縫い終わりが重ならないよう、斜めに縫われた"スパイラルスランテックカフ"という技術。縦横の縫製箇所が全て集まると厚みが出てゴロつくため、螺旋状に縫われています。また、螺旋状に縫うことで生地の伸び率が向上。
二の腕部分はゴムが挿入されている関係で、普通の縫製となっています。

デメリットは、アンダーウェアの素材なので、擦れや引っかかりには強くありません。
3年程使用してほつれまくり。ちょっと恥ずかしいですが、穴あきや破れはないのでまだまだ使えます(2022.8現在5年目突入。いまだに穴空きや破れはなく、もはや替え時を失っています…)
ジオラインは速乾性とともに"保温性"も備えます。繊維間に空気を溜め込む構造であり、また、身体から発せられる熱に反応して自己発熱。そのため、夏用の"クール系"のアームカバーに比べると暑さを感じるかもしれません。商品名も「アームウォーマー」なので…
私は「3シーズン使用」を考慮してクール系ではないこちらを選びました。夏は基本的に高山でしか使用しないので。使いすぎて購入当初の生地の厚みはなくなり、むしろちょうどいいくらいです。
以前、他メーカーのクール系素材のアンダーウェアを使用していたとき、濡れたときの異常な冷たさを感じました。天候が良くないときや不意に濡れたとき、汗をかきすぎたときなど、寒い(冷たい)が持続しすぎないように、というのもジオラインにした理由の一つ。
速乾素材は吸水拡散が早く、気化熱で水分とともに熱を放出するので、暑いときは水で濡らせばひんやりします。ただ、保温性も兼ね備えているので、クール系素材のような冷たさは感じません。

生地自体はこのように薄手。使いすぎて多少薄くなっていますが、風通しがいいです。

ストレッチ性があるので、装着もストレスなし。
アンダーウェアでもそうですが、使用頻度高めで長年使用していると生地が薄くなり、購入当時の柔らかい肌触りは徐々になくなります。
10年近く使用しているジオラインのアンダーウェアにはザラつき感が。アームカバーも多少ザラついてきました。
化繊でもコットンライクな肌触りのものが多いですが、使えば使うほど化繊が目立ってくるような感じ。肌の弱い方、化繊が苦手な方は気になるかもしれません。
おすすめポイント
カバーしながら「爽快感」
わざわざアームカバーをしなくても、半袖やタンクトップのアンダーウェアに長袖を着て"腕まくり"すればいいのでは?という人もいると思います。
しかし、"爽快さ"が全然違う。

アームカバーにすることで、袖部分から直接空気が入ってきます。
"生地を通してではなく直接"
これが涼しさの大事なポイント。直接か、そうでないかのちょっとした違いで大きく変わります。
また、腕まくりだと肘のあたりに生地が集まってしまい、それも暑い。
普段、シャツも含めて長袖のトップスを着ることはほとんどありません(長袖のアンダーウェアは使用します)。冬の低山ハイクで長袖シャツをちょっと使うくらい。
「重い」「体温調節がしずらい」ということが、長袖を着ない理由です。
半袖、長袖、自由自在
アームカバーのポイントはやはりこれ。

半袖、長袖、自由自在。
暑ければ下ろす、寒ければ上げる。ザックを背負ったまま体温調節をできるのは最強です。
いつどこで暑くなるかわからないし、寒いと思って着てもすぐに暑くなりがち。
手首にそのままだらんとさせておいてもいいし、それでも暑ければ取ってしまう。サコッシュに入れても邪魔ではない。
休憩以外でザックを下ろすのは結構、かなり面倒な作業ですが、これでストレスフリー◎。
荷物の軽量化
縦走やロングトレイルではなるべく軽くしたい。それに加え、ロングトレイルでは洗濯後の"速乾"を重視します。
アームカバーがあれば、タンクトップ、キャミソール、半袖のアンダーウェアなどを着用できるので、着替えの重量を抑えられます。
また、"1枚1枚の生地面積が少ない=乾きが早い"にも繋がる。
ロングトレイルでは、乾かないものをザックに吊るして歩くので、一つひとつが"小物"であることも重要。
初めて歩いたスペインの巡礼路を振り返ると、今なら半分くらいの荷物で歩けるだろうなと思ったり。でも、その経験があるからこその今。
アームカバー、軽量化にとってもおすすめです。
アームカバーの選び方
ゴムのきつさ
サイズが合うかどうかに加え、アームカバーで特に気にしていただきたいのが"ゴムのきつさ"。
長さやフィット感がよくても、ゴムが緩い、きつい、ということであればNG。
特に"きつい"という感覚に対して少しでも違和感があるものは避けた方がいいと思います。締め付けが血流の妨げになるので、末端冷え性の方は特に。
また、筋肉のつき方などにより左右の腕の太さが異なる人も多いと思います。そのため、できる限り両腕試着をした方がいいです。利き腕の方が太いことが多いと思いますが、両腕問題ないことを確認するのが確実。
本体の長さ
長さでは"Tシャツの袖に隠れるか"がポイント。
袖の長さはメーカーやモデルにより違うので、一番短い袖のものに合わせて選ぶのがいいと思います。
アームカバーの上部が袖に隠れない場合、裾とアームカバーの間だけ日焼けをするという悲しいことに…
手首に関しても、"手袋で覆えるか"チェックすることで、より完璧な日焼け、防寒対策に。
素材・形状
素材はポリエステルを中心としたものが多いですが、夏用のクール系のものから保温性のあるものまで様々。また、ストレッチ性やUV加工の有無などもいろいろ。
夏しか使わない、とにかく涼しさを保ちながら露出を防ぎたいという方は"クール"や"極薄"というタイプがいいと思います。
上記で述べましたが、私自身は3シーズン長く使用するため、クール系ではない保温性が多少あるタイプで。
UV加工かどうかは要チェック。3000mの紫外線はやはり半端ではありません。
「黒は熱を吸収しやすから暑い」と言われますが、UV加工がされていても白の方が比較的日焼けはしやすくなります。白は光を反射しやすいので、Tシャツやアームカバーが白いと顔の日焼けをしやすくなるという落とし穴も…。
形状に関しては、肌にピッタリフィットするものから、日常使用向きでゆとりを持たせたタイプまで。その他、親指を通せるサムホール付きのもの、手の甲まで覆えるもの、手袋と一体になっているものなど多くの種類があります。
山で使用するタイプは基本的に手首までですが、目的によってベストなものを。
アームカバー登山の注意点⚠︎
アームカバー登山の注意点としては、"入れ忘れ"と"落とす・無くす"ということ。
以前、北アルプス4泊5日の山行時に忘れてしまいました。稜線に出て、そろそろつけるかと探すも…ない。
一応長袖のアンダーを1枚持っていましたが、天気が良すぎて着られない。日焼け止めを塗って歩きましたが、連日好天の3000mの紫外線は半端なく、腕は火傷のように水疱ができる悲惨な状態に。仕方なく長袖アンダーを着ましたが、もう暑くて暑くて。
それ以降は、忘れないよう腕にだらりとつけて出発しています(持ち物リストをしっかり作った方がいいですね)。
また、手袋やサングラス同様、取り外したときの紛失も多い小物の類。取り外したらすぐにジッパー付きのポケットへ。入れる箇所は決めておくといいです。また、他のものを取り出す際に落とさないように。
とても便利なアームカバーですが、このあたりにはちょっと気を遣います。
現在のアームカバーがダメになったら、モンベルの「サイクルアームカバー」を考えています。アンダーウェア素材よりも耐久性があり、高いUVカット効果。ジオラインよりもピタッとフィットする着け心地でした。
モンベル アームカバー/アームウォーマー
画像出典:OLENO HP
もう一つ気になるのは「OLENO アームスリーブUL」。モンベルよりちょっと軽い。見た目もおしゃれ。着け心地が気になります。
OLENO

おまけ。腹巻き登山
アンダーウェアは暑い、でも、何も着ないのもなあ…とか、お腹は冷やしたくないという方におすすめなのが「腹巻き登山」。
腹巻といえば冬のイメージですが、オールシーズン使える薄手のものも存在します。
私が使用しているものは、上記アームウォーマーと同じ素材のモンベル「ジオライン L.W. ウエストウォーマー」。

素材 | ポリエステル99% ポリウレタン1% |
重量 | 平均32g |
サイズ (ウエスト) 男女兼用 |
S:57〜71cm M:71〜85cm L:85〜99cm |
Sサイズの実測は27g。平置きで縦38cm、横25cm。
アームウォーマー同様、ジオラインの薄手アンダーウェアの胴体部分だけを切り落とした感じのもの。
ストレッチ性が非常に良く、伸びは十分。

男女兼用なので、自分には少々長く、ゆとりがあるのですが、折り返したりしながら使用。
腹巻きも、上げ下げや着脱が自由自在。予備の防寒として持ち歩くにも便利なアイテム。
これを山で愛用しているのは、"過剰な保温性がない"から。腹巻きはやはり、保温性を重視したものが多いと思います。しかし、寒くても運動すれば暑くなる。お腹周りだけ暑い…ではなく、"冷えない程度"くらいの使い心地が気に入っています。
ちょっと寒気を感じるとき、体幹を温めるだけでもだいぶ変わるので、「腹巻き登山」おすすめです。
冷房での冷えにも役立つので、職場や日常でも活躍◎

ちなみに、冬には厚手の「スーパーメリノウール EXP.ウエストウォーマー」を使用。これ、ものすごく温かいので、寒がりさんには非常におすすめです。
どちらも長く使用していると"緩み"が出てきます。ウールの方は洗濯すると多少元に戻りますが、薄手の化繊は割と消耗品。これは仕方ないかなと。
モンベル「ジオライン L.W. ウエストウォーマー」
体感は人によって違うので、万人に合うレイヤリングはありません。機能やリスクなどを理解した上で自分に合ったスタイルを試行錯誤していくことは、道具やウェア選びの醍醐味だと思います。
汗をかくことは、エネルギーを使うこと。しかし、どんなにゆっくり登っても暑いことには変わりなく、汗もかく。それならば、ウェアを少しでも工夫するしかない。
アームカバーや腹巻き登山、ぜひ検討してみてください。

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