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アウトドアのGPS端末(PLB/ビーコン)グローバルスター「SPOT GEN3」海外ロングトレイルで使用!ガーミン「inReach Mini2」との比較

山 の 道 具

歩き人たかちです(@takachi_aiina)

日本の夏山(一般登山道)ではあまり馴染みのない「PLB(Personal Locator Beacon:個人用遭難信号発信機)」。バックカントリーなどでは基本装備ですが、一般的な登山で身につけている人は少ないと思います。

出典:GARMIN,Globalstar

ニュージーランドのロングトレイル「テ・アラロア」では必須装備となっているため、初めて購入・使用しました。ビーコンといえば「GARMIN」のイメージでしたが、選んだのはGlobalstar「SPOT GEN3」

ガーミンを使用しているハイカーが多かったですが、実際に使用してみてどうだったか。どちらがいいと思ったか。使用感や価格など、PLBを検討している方は参考にしていただければと思います。

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機能はどこまで求めるか?

最新モデルは高性能で機能が充実していますが、自分のアウトドアにはそこまで充実した機能は必要ないと考えました。

◾︎ 遭難時の救助要請
◾︎ 家族と位置情報の共有
◾︎ 到着メッセージ送信(受信は不要)
「テ・アラロア」のための購入なので、最低限上記の機能があれば十分でした。家族には「どこにいるかわかればいい」と言われたため、メッセージも送信だけできればいいかなと。

[  PLBの主な機能  ]

◾︎ トラッキング(追跡機能)︎
◾︎ 位置情報共有
◾︎ 遭難時の救助要請
◾︎ メッセージの送受信
◾︎ ナビゲーション
◾︎ 気象情報の取得

細かく見ればもう少しありますが、PLBの主な機能は上記のようなもの。オプションで機能を追加したり、もともとすべて備わっていたりさまざまです。

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「Globalstar / グローバルスター」

「Globalstar / グローバルスター」は、圏外エリアでもモバイル音声通話とデータ通信を可能にする"モバイル衛生通信サービス"を提供しています。

「iPhone14 / 14Pro」には衛生通信の"緊急SOS"が新機能として加わりましたが、Appleが手を組んだのがグローバルスターです。


「Globalstar」HP

Globalstar
グローバルスターは、携帯電話ネットワークの届かない圏外エリアにおいて、独自の低軌道周回衛星を利用したモバイル衛星携帯電話と衛星IoTソリューションを提供します。

「 SPOT GEN3」

*「SPOT GEN3」は生産終了し、最新モデル「SPOT GEN4」が販売されています

テ・アラロアで使用したのは「SPOT GEN3」。中古で購入したためボタンのマークはもともと薄かったですが、テ・アラロア中に全て消えました。

サイズ H8.72×W6.5×D2.54cm
重量 実測136g
(アルカリ単4電池×4本込)
動作温度 -30〜60℃
動作高度 -100m〜6,500m
防水等級 IPX7
 ( 最大水深 1 m、30分以内)
バッテリータイプ ◾︎ AAA Energizer® Ultimate Lithium 8 x 電池 (L92) 4本
◾︎ AAA Energizer® NiMH 充電式電池 (NH12) 4本
◾︎ 5v USB 接続を備えたライン電源

出典:Globalstar

「SPOT GEN」の基本的な機能は上記。オプションで追跡時間を最短2分半から選択可能。ディスプレイもなく、ボタンを押して操作するだけのシンプル構造です。


「SPOT GEN3」の説明書

https://www.findmespot.jp/downloads/SPOT3_User_Guide_JPN_20170530.pdf

SPOT Gen3: Getting Started


「 SPOT GEN4」

2024年5月現在の最新機種は「SPOT GEN4」。見た目がスタイリッシュになりましたが「SPOT GEN3」と機能はほとんど同じです。防水等級やUSBポートの有無などマイナーチェンジをしたようです。重量はむしろ増しています。

サイズ H8.83×W6.76×D2.36cm
重量 142g(リチウム乾電池含む)
動作温度 -30℃〜60℃
動作高度 -100m〜+6,500m
防水等級 IP68(防水・防塵)
バッテリータイプ ◾︎ 4 AAA Energizer® Ultimate Lithium 8x batteries (L92)
◾︎ 4 AAA Energizer® NiMH rechargeable batteries (NH12)

防水等級が「IPX7」から「IP68」に変わり"防塵"にも対応。よりアウトドア向けとなりました。ニュージーランドはグラベルロードが多く塵埃被害はかなり受けます。アメリカのPCTも乾燥地帯なので、防塵はあるに越したことはないです。

そして、「SPOT GEN3」にあったUSBポートはなくなりました。USBポートをなくすことで防水等級を上げたようです。

機能面は特に変わらず、「SPOT GEN3」の方が若干軽いためわざわざ最新モデルを買う必要はないと思い、中古の「SPOT GEN3」にしました。


「 SPOT GEN4」説明書

Globalstar
グローバルスターは、携帯電話ネットワークの届かない圏外エリアにおいて、独自の低軌道周回衛星を利用したモバイル衛星携帯電話と衛星IoTソリューションを提供します。

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契約 / 使用するまでの手順

① プランを決める
② アカウントを作成して「アクティブ化」
③「My Account」からデバイスの設定

契約 / プラン料金に関して

PLBは端末の購入だけでは使用できず、携帯電話と同じく通信料を支払わなければなりません。

出典:Globalstar

*2024年5月時点の料金

「SPOT GEN3」「SPOT GEN4」ともにプラン料金は同じです。各プラン料金に加え、初期設定費用の"アクティベーション費用5,000円"が必要です。また、「一ヶ月支払いFLEXプラン」の場合、登録費用として年額8,000円がさらに加算されます。「月々支払いプラン」も最低12ヶ月契約で、なかなか安くは済ませられないようになっていますね。

今回テ・アラロアが4ヶ月計画で、出国前の動作確認をするため5ヶ月の契約で考えました。その場合の一番安いプランは「一ヶ月支払いFLEXプラン」です。

  プラン料金(5ヶ月契約)   料金内容
一ヶ月支払いFLEXプラン
¥28,900
◾︎ プラン料金¥3,180×5ヶ月
◾︎ FLEXプラン登録費用¥8,000
◾︎ アクティベーション費用¥5,000
︎ 年間一括支払いプラン
¥30,800
◾︎ プラン料金¥25,800
◾︎ アクティベーション費用¥5,000
月々支払いプラン
¥35,960
◾︎ プラン料金¥2,580×12ヶ月(*最低12ヶ月〜)
◾︎ アクティベーション費用¥5,000

5ヶ月の使用で最低でも約3万円。端末を新品購入した場合、約6万円(定価¥24,800+税での計算)。6ヶ月以上使用する場合は「年間一括支払いプラン」の方が安くなります。その金額差は¥1,900。5ヶ月でスパッとやめるか、¥1,900プラスして1年間利用可能にするか。

ニュージランドで怪我をして少しの間歩けない・・・となると困るので、念のため「年間一括支払いプラン」を選びました。実際、テ・アラロア中に怪我をして1〜2週間入院・療養するハイカーもいます。

アカウント作成・デバイス設定

プランを決めたらアカウントを作成(findmestot)し、自分のデバイスの登録をしてアクティブ化をします。

端末の電池を入れる部分に「ESN」「Auth」という端末番号記載のシールが貼られているので、契約画面でその番号をそれぞれ入力。

アカウント作成・契約(アクティブ化)をしたら、アカウント内の「MY DEVICES」から自分のデイバスの設定が可能になります。詳しい設定・使用方法はHP内のユーザーガイドをご覧ください。

↓ デバイス設定画面の一部 ↓

トラッキングの時間やメッセージの内容・送信先(メールアドレスの設定)、緊急連絡先などを順に設定していきます。「S.O.S」はテストモードを有効化して説明書通りに行うことで事前の動作確認も可能。

アップグレードなしの「基本サービスプラン」では、トラッキングの時間を5分,10分,30分,60分から選択できます。追加料金でアップグレードすると"2分半"からトラッキング可能。

この設定は60分にしていましたが(電池節約)、実際10分間隔でトラッキングされました。何度設定を更新しても基本的に10分間隔。たまーに60分になることも。アップデート系の何かが原因だったのか、結局最後までなおりませんでした・・・

位置情報共有「Spot Tracking」

ニュージーランド出発前、GPSの動作確認や位置情報を共有する「Spot Tracking」の確認などを行いました。

アカウント内、左上の三本線の中に「MAPS」があります。これを開くと・・・

「Spot Tracking」の画面が出ます。これはテ・アラロアを歩き終え、帰国前にクイーンズタウンの"ベン・ロモンド"に登ったときのトラッキングです。

トラッキングは「現在(ライブ)」「24時間(24h)」「1週間(7d )」「1ヶ月(1m )」の単位で確認することができます。テ・アラロア中何度かスクリーンショットを撮ったはずなのですが、なぜか写真が残っておらず・・・地図を変えたり、線で繋がず点だけにしたり、細かい設定もできます。

画面上の左上三本線の中に"シェアビュー"という項目があり、「Spot Tracking」のリンクがあります。このリンクを共有すれば、誰でも自分の位置情報を確認することが可能。家族だけではなく、親戚や友人にも共有して3,000kmの追跡を楽しんでもらいました。

アプリではないですが、ホーム画面に追加してパッと開けるように。

使いこなしていたわけではないので大雑把に「こんな感じ」でやっていましたが、追加料金でアップグレードすればさらにいろいろな機能が使えるようです。ログは日本で使用している「スーパー地形」で記録していたため、デバイスの方でログは取りませんでした。


「Spot Tracking」の説明動画


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テ・アラロアで4ヶ月使用!「GARMIN」とどちらを選ぶべき?

実際に4ヶ月使用してみて「Globalstar」と「GARMIN」どちらが良いと思ったかというと・・・

GARMIN「inReach Mini2」
(*2024年5月時点の最新機種)

個人的に、次回使うとしたら「inReach Mini2」を選びます。一番大きな理由は"メッセージは「送受信」できた方が良い"ということ。

◾︎ メッセージは「送受信」が確実
◾︎ 充電式リチウムバッテリーが便利
◾︎ 気象情報が魅力的

メッセージは「送受信」が確実

出典:Globalstar

テ・アラロア中に使用していた機能は「追跡」「チェックイン(到着メッセージ)」のみ。出発時に電源を入れ「追跡」をON。キャンプ地や小屋に着いたら「チェックイン」で家族に到着を知らせ、節約のために電源OFF。

「SPOT」はメッセージの"送信"のみ。「GPS」と「メッセージ送信ライト」が成功の緑に点滅しても、実際には家族に届いていないことも何度か。

到着メッセージが来ない、GPSが道路の真ん中で止まっている(おそらくロード脇の草地にテントを張ったとき)ことから"車に轢かれたのではないか"と家族に思わせてしまったこともありました。

木が覆い茂った森の中や小屋の中など、空が遮られた場所では通信失敗になることもありますが、これはどの衛生通信でも同じです。そのため、できる限り頭上が開けた場所で行う必要があります(小屋の中なら窓際に置いたり)。

成功・失敗のライトの点滅を確認していましたが100%ではありませんでした。到着メッセージは自分のアドレスにも送信されますが、圏外の場合はそれも確認できません。

「inReach mini2」はメッセージの"送受信"が可能。LINEのようにやり取りできるため確実です。家族をより安心させるために、メッセージは送受信できた方が良いと感じました。

充電式リチウムバッテリーが便利

◾︎ 単4リチウム乾電池 ×4本
◾︎ 単4ニッケル水素 充電式電池 ×4本

「SPOT GEN3」では上記のバッテリータイプを使用します。とはいえ、自分はアルカリ電池を使用していました・・・

アルカリ電池で10分間隔のトラッキング(1日12時間前後使用)、夜間は電源オフ。この使い方で20日前後持ちました。

「SPOT GEN3」の残念なポイントは"本体を通して充電できない"こと。充電式電池で費用を抑えることはできますが、電池用の充電器を持ち歩かなければなりません。突然バッテリーが切れたときなど面倒臭いかなと思い充電式電池は使わず、使い捨てのアルカリ電池を使用していました。

「inReach Mini2」は内臓の充電式リチウムバッテリーを使用。USBケーブルで充電できるため、電池の持ち歩きや費用はかかりません。端末は高いですが、長い目で見れば軽量で安価?

突然のバッテリー切れ、予備バッテリーの不足などを考慮するとアナログの乾電池式が安心という人もいると思います。しかし、アルカリ電池も安くはないので、その費用や別で充電器が必要ということを考えると、やはり充電式が便利だと思いました。

気象情報が魅力的

「inReach Mini2」は気象情報を取得することが可能。この機能は欲しいと思いました。

出典:GARMIN

ニュージーランドは天気がコロコロ変わります。ピークや開けた稜線に出れば電波が入ることは多かったですが、テ・アラロアは谷間の川沿いをずーっと歩くことも多い。

北は街が多く、電波のない環境が長く続くことはあまりないため気になりませんでしたが、南の山岳地帯では「最新の天気が知りたい」が口癖気味に。何日か前の天気予報をもとに動いて後悔したこともあるし、何より雨が降るとすぐ増水する。

天候が不安定なときや低気圧が迫っているときは1日単位、数時間単位で最新情報を知りたかったので、「inReach Mini2」を使っているハイカーに天気予報を教えてもらったりしていました。

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GARMIN「inReach mini2」

前項目で述べた通り、次回使うなら自分はGARMIN「inReach Mini2」を選びます。TAハイカーにも一番使われていたPLB。ちなみに「SPOT」を使っているハイカーには会いませんでした。むしろ「それどこの?」と聞かれていた・・・それくらい、海外でも"PLBといえばGARMIN"なんですかね。

サイズ W5.17 x H9.90 x D2.61 cm
(ディスプレイサイズ:23mm × 23mm)
重量 100g
防水等級 IPX7(防塵なし)
バッテリータイプ 内蔵リチウムイオン充電池
(ケーブル:USB-C)

「inReach Mini2」の詳しい情報はGARMINのHP(こちら)をご覧ください。

「SPOT」と違い、ディスプレイがある分やはり機能は充実しています。メッセージのやり取りも、アプリをダウンロードしてBluetoothでペアリングすればスマホ上で行うことができます。

このブログを書きながら「なんでGARMINにしなかったんだろう・・・」なんて思っているくらいですが、日本で使用することがほとんどないのでケチってしまいました。

バックカントリーやバリエーションを趣味にしたい、海外ロングトレイルを定期的に歩きたい、日本の山でも便利に使いたいという場合はGARMINがいいと思います。

「inReach」のサブスクリプションプラン詳細はこちら(個人向けプラン)をご覧ください。プランは3つあり、テキストメッセージの件数やトラッキング周期の間隔などで料金が変わります。自分が選ぶなら「レクリエーション」プランかなと。

Globalstarは日本円ですが、GARMINはUSD。そのときの為替によって料金が変わります。現在は超円安なので月額がお高め。

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PLBはどこで買う?

自分はメルカリで中古を購入しました。メルカリは個人がやっているものなので、正直当たり外れがあると思います。中古を狙うなら、メンテナンスや動作確認を専門の人が行っている中古販売店がいいと思います。

今回はテ・アラロアだけの使用ということで割り切りました。幸い動作も問題なく、安く手に入れられたので結果オーライ。

テ・アラロアでしか使わない場合"入国後に中古販売店で購入して出国時に売る"というハイカーもいます。しかし、個人的には日本で購入して動作確認・家族への説明をした方がいいかと。現地で何が売っているかもわからないので。新品購入にしても、おそらく日本より高いと思います。

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まとめ

◾︎ 最低限の機能でOK→「グローバルスター」
◾︎ 家族の安心度を高くする・気象情報必要 →「ガーミン」
◾︎ もう一度選ぶなら? →「ガーミン」

何の機能を優先するか、家族への配慮をどう考えるかによって選択は変わると思いますが、自分の結論は「PLB = GARMIN」でした。

はじめは「居場所がわかれば十分でしょ」くらいにしか考えていませんでしたが、まさか"車に轢かれた"と心配されていたとは。電波が入りそうで入らなかった場所もたくさんあり、天気予報を知りたいと思ったこともしばしば。

少しでも、PLBを検討している方のお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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